情動感じる造形 香月泰男のマチエール

生誕110年 香月泰男展 @宮城県美術館


前回(2021年8月15日)投稿した「るーぷる仙台で2大ミュージアムを巡る!まずは『古代エジプト展』」に続き、仙台市博物館の次に訪れた宮城県美術館で開催中の特別展についてを、本日は紹介させていただきます。


その日、仙台の観光バスるーぷる仙台にて巡ったのは、「ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展」が開催されている仙台市博物館、そして「生誕110年 香月泰男展」が開催中の宮城県美術館です。

るーぷる仙台宮城県美術館を訪れる際に降車する停留所は「国際センター駅・宮城県美術館前」。
ここから歩いて2分ほどで宮城県美術館に到着します。


しかしながら、再び、ここ宮城も独自の緊急事態宣言が発令されました。期間は8月20日(金)より9月12日(日)まで。
「混雑した場所への外出半減、不要不急の外出を自粛するように」とのことで、飲食店や施設等の時短要請などは出ていますが、るーぷる仙台は運行を停止しておらず、展覧会も中止はされていません。

今回私が訪れたのは平日で宣言前でしたが、仙台市博物館は、平日にもかかわらず、多くの人が訪れていました。
「エジプト展」というテーマ、夏休みということもありお子さん連れが多く、土日祝日なら完全に密な状態になるかもしれないと想像します。
宣言が出された今は、入場はある程度制限されているかもしれません。

さてしかし、私が博物館を訪れた日と同日、宮城県美術館の方はといえば、とっても静かでした・・・


夏は緑が生い茂り、空気がみずみずしく感じて、お天気の日は美術館付近を散歩するのもとても気持ちが良いのですが・・・


話題の展覧会が開催されると、宮城県美術館のカフェはいつも人がいるのですが、この日は人けもなく・・・


私にとっては絶対に見たいと思っていた特別展だったので、ゆったりじっくり観覧することができそうだと、嬉しくはあるのですけれども。


2021年7月3日(土)から9月5日(日)まで、宮城県美術館で開催されいるのは生誕110年 香月泰男展」です。
この静けさ、香月泰男(かづきやすお)の名を知る人は多くはないということなのかもしれませんね。


香月泰男(かづきやすお)は、1911年10月25日、山口県大津郡三隅村(現在の山口県長門市三隅)に生まれ、62歳でその故郷において生涯を閉じるまで、独自の創作活動を貫き、20世紀中頃の美術界に大きな足跡を残した画家です。
今年、生誕110年を記念して、ここ仙台を皮切りに、大規模な巡回展が始まりました。
(宮城県での本展覧終了後は、神奈川県立近代美術館新潟市美術館練馬区立美術館足利市立美術館と巡回する予定とのことです)

香月泰男は幼少の頃から紙さえあれば何かを描き、無口でおとなしく、友だちと遊ぶよりひとりで裏山に登って風景を描く方が楽しいという人物だったそうです。
幼くして両親と離別し兄弟もいないという寂しい過去を持つ香月泰男にとって、絵を描くことは自分だけの世界を創ることであり生きる喜びであったのかもしれません。

1936年に東京美術学校(現在の東京藝大)を卒業したのちは、美術教師として教鞭をとる傍ら、独自の制作にも意欲的で、文部省美術展覧会で特選となるなど、名が知られるようになります。
しかし戦時のこと、1939年には第二次世界大戦が勃発し、1942年に香月も召集令状を受け、4年半の戦争とシベリア抑留により画業を中断することとなります。

死をも覚悟した画家が生み出す作品には、静かながらも情動がみなぎっており、見る者の心を捉えます。

宮城県美術館で開催の「生誕110年 香月泰男展」のチラシ
(画像をクリックするとPDF画面が開き拡大できます)


生誕110年 香月泰男展」のキャッチフレーズのようにもなっている香月泰男による名言、

生きることは、私には絵を描くことでしかない。

香月は他にも数々の含蓄ある言葉を残しており、今回の展示会でも、それらの言葉が造形作品とともに掲示されています。

展覧会では、主要な展示物には説明書きが付けられるものですが、作品を生み出した作家本人の言葉というものが添えられるのは、他人がつけた解説よりもずっと興味深く、味わいが増します。
今回の展示会の面白さは、そこにもあると思います。

次の画像は、1998年に出版された香月泰男の画文集の表紙です。


「画文集」とされている通り、造形物の写真の他、香月泰男による言葉がたくさん掲載されています。
香月婦美子婦人によって語られた「夫・香月泰男の思い出」というページもあり、現在では絶版の貴重な冊子で、私はこれがどうしても欲しくてしばらく前に中古で購入したものです。いかにも古本という匂いが漂うのですが(苦笑)、この中身はちょと他にはない逸品で、私の宝物の一つとなっています。

この本の表紙を開くと、カバーのそでに書かれている一文。
これには誰もが惹きつけられるのではないかと思います。

“ 生きることも捨て身でかからなければならぬ。
 愛することも捨て身でかからなければならぬ。
 芸術を生むことも。
 恋人を愛することも。”


彼が造形した作品の数々は当然のこと、寂しい幼少期やシベリア抑留という辛い過去とともに、だからこそ得られたであろう描く喜びや愛を知った香月泰男が残した言葉に、深い感動を覚えます。

最後に、今回の展示会生誕110年 香月泰男展」の図録は、こちらです。
表紙の作品は「公園雪」というタイトル。


展覧会では、私以外に来ていた二人組の女の子が、この作品(公園雪)を見て「わーっ」と声をあげていて、私も横で「わかる、その感動」と心の中で呟いていました(笑)
静かな冬の公園に表現された人の足跡、まるで、雪の上をサクサクと歩く足音が聞こえてきそうなこのマチエールは、是非とも実物を見ていただきたいです。

ところで、マチエールとは、matière、フランス語で材料や材質、素材を意味し、英語だとマテリアル(material )の意ですが、美術用語として、作品の素材感を指すために使われます。

様々な画材を混ぜるなどして技法の研究に熱心だった香月泰男の独特な表現、そのマチエールを感じるには、間近で、時には離れて、実物を鑑賞するに限ります。

なお、香月泰男は石、木、紙、缶などで創ったおもちゃや彫刻作品も残しており、今回の展覧会では少しですがそれらの立体物も展示されています。
人間愛と平和をテーマに創作を続けた香月泰男の貴重な作品の数々と出会える機会、感染予防をしっかりとして、足をお運びくださいませ。


あなたは
どんなマチエールが
お好きですか?

るーぷる仙台で2大ミュージアムを巡る!まずは「古代エジプト展」

アートが満喫できる仙台市街のミュージアム巡り


せっかくの夏休み、このところジメジメしていますが、皆さまはいかがお過ごしでしょう。
私は、運良く晴れた日に、ここ仙台の2大ミュージアム巡りをして参りました。

勝手に仙台の2大ミュージアムと名付けましたが、今回行ってきたのは、現在(2021年8月15日)、「ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展」が開催されている仙台市博物館と、「生誕110年 香月泰男展」を開催中の宮城県美術館です。


ところで、仙台には、るーぷる仙台という観光バスがあるのですが、地元の方はどのくらい利用されるのでしょうね・・・?
観光バスっていうと、県外からの観光者向けと捉えがちですが、るーぷる仙台も『仙台の観光バス』ですから、当然のこと、仙台街中の主要な観光スポットを巡るバスなわけで、県外の観光者じゃなくとも、ルートの各ポイントについては仙台市民なら知っておきたいところですよね。

特に、るーぷる仙台で巡るスポットは、アート好きという方には是非お勧めしたいもので、私も当然お気に入りで、時々利用することがあります。
仙台市博物館宮城県美術館も、るーぷる仙台には停留所があって、この2か所を1日でゆったり回るのに一日乗車券を利用するのが便利なんです。


るーぷる仙台は、どこで乗ってどこで降りようが、一回乗車につき、大人260円・小児130円です。
一日乗車券は、大人630円・小児320円なので、3回以上乗ることになるなら一日乗車券がお得で、購入特典とし入場料等が割引されるスポットもあるので、2回乗車だとしてもお得になることもあります。

(画像をクリックするとPDF画面が開き拡大できます)


私は、今回、一日乗車券を購入し、仙台駅前博物館・国際センター前宮城県美術館前メディアテーク前と3回乗車、かつ美術館の企画展観覧では100円の割引を受けることができました。

ちなみに、私は今回平日に行ったので、博物館の特別展は「平日割引」によってなんの提示をしなくても100円割引されたのですが、るーぷる仙台の一日乗車券特典として、博物館も土日祝日には100円割引が受けられます。

また、下図のマップで見てもお分かりいただけるように、博物館から美術館へは直線で結ぶと割と近く、歩いても15分程度なので車だとすぐですが、るーぷる仙台周遊では20分近くかかります。
私はたまにしか乗らないので、このバスにのんびり乗る時間も楽しんでます。それに、暑い夏や雨、雪の場合は助かりますしね。


コロナ禍もあって、るーぷる仙台を利用するのはかなり久々でしたが、お蔭でちょっと新鮮な気分を味わうこととなり、これも今回のリフレッシュに繋がったのかもしれません。


さて、早速出発ということで、こちらはるーぷる仙台のスタート地点である仙台駅前停留所ですが、2021年8月現在、仙台駅前ロータリーは工事中で、ちょっとごちゃごちゃしています・・・
これまでの場所と異なるので、過去にも利用したことがある方はご注意を。

今回、仙台駅前から乗車して、一番初めに降りたのは、博物館・国際センター前停留所。
以下の写真は博物館とは逆方面の景色です。この「大橋」の向こうが仙台の商店街。


大橋の下に流れるのは広瀬川で、この川を外堀として伊達政宗が建立した仙台城の敷地が広がります。
緑豊かで、宮城県民憩いの土地。


るーぷる仙台仙台城跡(本丸跡)まで行けますが、実は、仙台市博物館は、仙台城三の丸跡地に建っているので、博物館の庭からも仙台城の本丸跡地まで散策しながら歩いて行くことができます。


そして、博物館手前にある五色沼は、日本フィギアスケート発祥の地として有名で、天然のスケートリンクとして利用されていたのは昔のことではありますが、ここ宮城の地から荒川静香選手、羽生結弦選手というオリンピックメダリストが輩出されたことで、よく知られるようになりました。


バスを降りてから徒歩5分もかからずに、仙台市博物館に到着します。

建物に向かって左手に静かな庭が広がり、散策路を歩いて仙台城本丸跡地へ行くことができます。


博物館を入ってすぐの1階窓口で展覧会の入場券を購入して、2階の特別展示場へ。



仙台市博物館では、2021年7月9日(金)より「ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展」が開催されていて、ファラオ(古代エジプトの君主)たちの棺が一堂に集まった展示は圧巻だと話題を呼んでいます。

ライデンは、オランダの首都アムステルダムの郊外に位置する小さな町で、芸術の巨匠レンブラントの生誕の地でもあり、オランダ最古の大学都市とされています。世界で最初に日本学科が設置(1855年)されたのはライデン大学なのだそうです。「ライデン国立古代博物館」の他「日本博物館シーボルトハウス」があり、実は日本と馴染みが深い場所なんですね。

私にとっては、オランダライデンも、世界遺産であるエジプトピラミッド地帯も、実際に一度は訪れたいと思っている場所なので、そんな意味でもこのコロナ禍にはとっても貴重な機会。

古代エジプト展チラシ(表)
(画像をクリックするとPDF画面が開き拡大できます)


棺は全部で6人分だったかと思うのですが、一部屋にズラーッと立ち並んで、文字通り圧巻でした。
今回の展示所蔵の本場ライデン国立古代博物館が棺を立てて展示することを発案したのが、実はこの特別展のポイントでもあるようです。
確かに、棺を一堂に立てて展示って、ありそうでなかったですよね。

私には、ミイラにして納められる貴族たちをイメージして作られたであろう棺に描かれた顔の表情が、どれも優しげだったのが印象的でした。
特にハイトエムハトという女性の表情が最も口角が上がっていて、とても愛され感漂っていて、棺という言葉からは寒々しいイメージしか湧かないのに、この古代エジプトの棺からはなんだか暖かさを感じてしまいました。
是非とも、皆さんにも見ていただいて、どんな感想を持ったかお聞きしてみたいところです。

古代エジプト人の芸術感性を存分に感じることができる装飾品がたくさん展示されており、歴史に苦手意識のある方でも、アートには興味あるという方であれば、とても楽しめる内容ではないかな。

そして、この展示会のもう一つの目玉は、世界初のミイラCTスキャン研究成果の公開です。
CTスキャンというと病院をイメージすると思うのですが、こうやって歴史やアートの解明にも貢献してくれるなんてと感動してしまいました。

アートとサイエンスって相反するようで、融合したらそれはそれで面白いものなんだよねって、改めて思えた展示会でもありました。

古代エジプト展チラシ(裏)


以上、るーぷる仙台仙台市博物館についてで長くなってしまいましたので、同日に巡った宮城県美術館で展示されている生誕110年 香月泰男展」については、次回アップしたいと思っています。

でもこちら、エジプト展と同様、仙台での展示終了日が2021年9月5日(日)なんです。残り3週間です。
香月泰男(かづきやすお)氏という画伯を知らない方は多いかもしれませんが、こちらも是非オススメしたいアーティストなので、少しでもアートに興味のある方であれば、知識なくともまずはご覧になられること、推奨いたします。

情動感じる造形 香月泰男のマチエール/生誕110年 香月泰男展 @宮城県美術館


古代エジプトの芸術
あなたはどれが一番
気になりますか?

写真家 伊藤秀海 (Shu Ito)のフォトインテリア

美しい風景と光が奏でる素敵なアート


昨年(2020年)、初めてお会いすることができて、その素晴らしい写真と人となりに触れ、たちまちに、私にとってかけがえのない存在となった、写真家の伊藤秀海イトウシュウ)さん。
この夏、彼に再会することができました。

秀海(シュウ)さんは、ここ仙台出身の写真家です。
彼は、その時々の状況に応じているべき場所、自身にとって居心地のいい場所を拠点にするといったスタイルで、あえて拠点を絞らずにフリーで活動している、自由に旅するフォトグラファー。
その生き方にはしっかりとした軸があり、正真正銘の自分を生きている、そんな人です。

秀海さんについての過去の記事
「希望」 旅するフォトグラファー Shu Ito のメッセージ/写真家 伊藤秀海さんの2021年カレンダー
紅葉の秋保プチ旅/自然と美食と芸術を満喫する秋の一日

そんな秀海さんと深い話ができた上、注文していた写真もいただくことができて、宝物が増えたので紹介させていただきます。

まずは、しばらく前にお願いして、既に送っていただいていたお品について。
こちらは、写真だけでなく、共に木箱に添えられたドライフラワーや明かりなど、構成も仕立ても全て秀海さんによる、世界に一つのインテリアです。

写真は、ピュアWプリントという特殊なプリント製法によるもので、裏面からも画像が楽しめるものとなっており、光を美しく透過させるので、特別な感動を得られます。
光をテーマとされる秀海さんの写真は、このピュアWプリントに相応しく、観ていて飽きません。

この写真は、ラオスで撮影された美しい夕焼け。
東南アジア最後の桃源郷”とも言われる国ラオスの、世界遺産として登録されている古都ルアンパバーンの景色は、なんとも穏やかで、落ち着いたインテリアに。

このお品については、ライトをつけた状態で木箱を開け閉めした動画だと雰囲気が伝わるかと思いますので、よろしければ、以下の動画もご覧くださいませ♪


そして、次のお品。
今回、秀海さんご本人より直接お手渡ししていただけたのが、こちらです。


こちらの方は、私が個人的に秀海さんの写真と合わせてみたいと思っていて、別途購入したフレームに入れてみました。

ゆらゆら揺れて、様々な角度からその美しい情景を鑑賞できます。
見る角度や面、光の差し方によって変化する色味が面白くて、綺麗・・・
秀海さんによって捕らえられた美しい日の出の、透明感のあるこの作品にこのフレーム、想像していた通り、ピッタリです♪

皆さまにも、どちらの面からも一つの作品を楽しむことができるこの感覚がお分りいただけたらと思い、こちらも動画に収めてみました。

この写真の撮影地は、ミャンマーの、世界三大仏教遺跡のあるバガン。ここも世界遺産として登録されています。
秀海さんは、東南アジアの国々を旅していた時、ラオスの次に訪れたのがミャンマーだったのだそうです。
気球に乗って眺めることができる、パゴダ(仏塔)が立ち並ぶ聖なる景観。
その風景を、秀海さんは、現地のタクシードライバーが連れていってくれた秘密の場所から撮影したのですって。
この写真にまつわる興味深いストーリーも教えていただいて、私の想像もみるみる膨らみ、豊かな気持ちになることができて、選ばせていただいた特別感のある作品。

アートって、見方は人それぞれですし、その人なりの楽しみかたで自由に味わえばいいものと思ってはいますが、私の場合は、こんな風に、作家さんの物語を共有できるような感覚が好きだったりします。

そういった点ではことさらに、秀海さんの写真には、変に作られてなくて、自然体でありながらも、何か惹きつけられる物語が宿っていると感じるので、私は大好き。

秀海さんの写真が掲載された雑誌「CRUISE Traveller Winter 2021」(2020年12月/クルーズトラベラーカンパニー発行)
CRUISE Traveller Winter 2021」(p.12-13)


今もなお、コロナ禍にいる私たち。
不自由さはあるけれど、私が秀海さんと出会えたのは、もしかしたら、このお陰とも言えるかもしれないのです。

20代後半、秀海さんは、自分の好きなことを仕事にしたいと、当時住んでいたニュージーランドにて、旅する写真家としての人生をスタートさせ、数年後には、クルーズ船の専属フォトグラファーとして旅立ちますが、それは2019年のこと。
そう、それは、COVID-19が発生した年です。
秀海さんは何日も船を降りられず、精神が追い詰められてしまうような苦痛を体験することになってしまいます。
多くの人が心配する中、なんとか無事に母国日本への帰国を果たすことができた秀海さんは、当然のこと、逆に今度は海外には出られなくなりますが、日本の良さを改めて知る、そんな恩恵を受けることとなります。

旅するフォトグラファーなので、普段は出身地である仙台にもほとんどいらっしゃることはないですが、こうしてしばらくは日本にいることになるであろう状況になった秀海さん。
昨年、地元で展覧会をされることになり、たまたまその場所が私の友人の勤め先でもあったことがご縁で、お会いすることができました。

2020年10・11月に秋保(あきう)のガラス工房尚さんとコラボした秀海さんの写真展

そして、今、秀海さんは言います。

“以前のように自由に海外に行ける状況なら、自分は日本に留まってはいなかった。
そんな自分がこのパンデミックで海外に行けなくなったおかげで、日本の素晴らしさを再発見することができた。”

秀海さんはこれまで、日本という島国の外で、たくさんの魅惑的な異国の風景、人や文化に出会い、様々な経験を経てきました。
その彼ならではの視点で、今度はこの日本の魅力的な部分を私たちに伝えてくれるのだろうと思うと、こんなご時世だからこそ尚更に嬉しく、楽しみでなりません。


伊藤秀海さんの素敵な写真の数々は、↓こちらで見ることができます♪
Instagram:https://www.instagram.com/shu_photography_nz/?hl=ja
HP:https://shu-photography.com/ja/shu/


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あなたは
どんな写真に
惹かれますか?


感性に響く デンマーク・デザイン展@東北歴史博物館

それはシンプルな暮らし、豊かなカタチを楽しむこと


先日おすすめさせていただいた、宮城県美術館で開催の「足立美術館展」は終了してしまいましたが、ここ宮城県内では他にも、感性磨きに打って付けの展覧会が開催されています。

一見の価値ある作品集結!足立美術館展@仙台

仙台市のお隣、多賀城市にある東北歴史博物館では、現在(2021年6月12日)「デンマーク・デザイン展」が開催中。

デンマーク・デザイン展」チラシ(表)
*画像をクリックするとPDF画面が開きます

観覧料金は、一般1,200円、シルバー(65歳以上)1,100円、小・中・高校生600円で、足立美術館展の半券を持参すれば、100円割引されます。
会期は6月27日(日)まで。残り2週間ですので、お見逃しなく。

東北歴史博物館は、仙台駅からだと、
JR東北本線では国府多賀城駅(14分)下車で徒歩約1分
*JR仙石線の場合は多賀城駅(22分)下車で徒歩約25分またはタクシーで約10分
の場所にあります。
*車での場合は、仙台駅付近からだと30分強です。

開館時間は、午前9時30分から午後5時までで、月曜日は休館です。

国府多賀城駅は、いかにも東北地方といった感じの、こぢんまりとした駅です。

国府多賀城駅の北口
国府多賀城駅の南口

駅の南側は賑やかな街ですが、北側には田園風景が広がっていて、清々しい空気を味わえます。
東北の古代史上の重要な歴史遺産である多賀城政庁跡や、重要文化財で日本三古碑の一つ多賀城碑があるのがこちら側になります。


東北歴史博物館はといいますと、国府多賀城駅の南側に隣接しています。


敷地内には、県の重要指定文化財で、宮城県石巻市北上町橋浦から移築さた「今野家住宅」が屋外博物館として設置されています。


東北歴史博物館そのものについてはあまり話題になることはないですが、自然豊かな庭園に、コンクリートの外壁と円筒型の構造、まるで水に浮かんでいるような配置、この凛々しい佇まいの独特な建築物が、私は好きです。


こちらは北側入り口。
日陰の屋外カフェスペースでゆっくりすることもできます。


一方、博物館の南側には駐車場がありますので、車の場合はこちら側から入場することになります。


こちらが正面玄関とされています。
国府多賀城駅利用で来場すると、この南口に出ない人も多いと思いますが、こちら側から見る風景も良いですよ。


エントランスホールは円形でコンクリート造りの近代的でクールなデザイン。
コンクリートというと無機質に思えますが、ガラス窓からいっぱいの光が差し込んであたたかみを感じられ、落ち着きます。


さて、今回お目当の特別展「デンマーク ・デザイン」。
デンマークといえば、アンデルセンレゴブロックが日本人にも馴染み深い、北欧諸国の一つ。
近年、北欧デザインは日本では流行りみたいなところもありますよね。
北欧デザインはもちろん良いと思っていますが、私は流行っているからとか人気があるからといって飛びつくタイプではないから、正直なところ、今回の展示会、どんなもんなんだろうなーと思っていて足踏みしていたのです。
が、芸術感性の高い友人が見てきたところ「とても良かった!」と言うので、それなら間違いないなと思い、行くことにしたのでした。

デンマーク・デザイン展」チラシ(裏)

そして、いざ観覧しましたところ、結論として、友人の言う通り、すごく良かった!です。
シンプルながらもスタイリッシュで、機能性も兼ね備えられたデンマークデザインを、五感で堪能することができました。

下記の通り、4章に渡って紹介されているデンマークプロダクトの数々、歴史を辿りながら、約200点ほどが展示されています。

第1章 国際的評価を得た最初のデンマーク・デザイン
第2章 古典主義から機能主義へ
第3章 オーガニック・モダニズム ーデンマーク・デザインの国際化
第4章 ポストモダニズムと現代のデンマーク・デザイン

インスタグラム投稿を狙ってか、撮影可能箇所も数カ所ありました。
まずここ、順路回って一番はじめのところが、最も人気の撮影スポットですね。

左から、優美な曲線が美しい「パントンチェア」、中央が「ハートコーン・チェア」、椅子271F、上部のペンダントランプ「フラワーポット」(青・黄)は、全てヴィアナ・パントンの作品

ヴィアナ・パントン(Verner Panton)は、最先端の科学技術と消費文化、1960年代のポップカルチャーの波から着想を得て作品を生み出し、国外で最も認められたというデンマーク人のデザイナーです。

上の写真の向かい側に展示さていた、様々な椅子や1960/70年代のオーディオ製品なども撮影可能でした(壁面の絵画作品は撮影NG)。

左からトーヴェ・キント=ラースン/イズヴァト・キント=ラースン 肘掛椅子 モデル117ヤコブ・イェンスン FMチューナー/アンプ「ベオマスター1200

ヤコブ・イェンスン(Jacob Jensen /ヤコブ・イェンセン)は、ミニマルなデザインがかっこいい電話機や時計のブランドとしてその名を知る人も多いのではないでしょうか。


デンマークの家庭の一室が再現された撮影コーナーもありました。

テーブルの上には、ロイヤルコペンハーゲンの陶器や、ダンスク社のサラダボウルセットやキャンドルホルダーなど、左手にちらっと見えているのはカイ・ボイイスンの木馬

シンプルかつ優美なカトラリーで知られる銀細工職人のカイ・ボイイスン(Kay Bojesen /カイ・ボイスン)は、近年は手足が動かせるサルの木製玩具が人気ですね。


特別出品ということで、椅子の座り心地を実際に体感できるコーナーもありました。

座ることができたのは、ハンス・ヴィーイナ(Hans Wegner /ハンス・J・ウェグナー)の5つの作品だったのですが、私はこれが一番好き❤︎

ハンス・ヴィーイナ 椅子 pp130「サークルチェア

見た目からは想像できない快適な座り心地!欲しい!!
このデザインから映し出される影までもが美しい。

オマケとして、こんなのもありました。
陸奥国府多賀城の南門を、東大生5人がデンマーク発祥のブロック玩具の「レゴ」で復元!笑


思わず笑っちゃいましたが、設計した時点で9500個のブロックが必要だとわかり、国内からだけでは調達できず、ドイツやデンマークからも取り寄せ、3月末から東大生5人が集まり、約2ヶ月間かけて作り上げたそうです。

東大の学生さんたちが、ここ宮城のために作ってくれたなんて、地元の人間としては嬉しい限り。感謝を申し上げたいです。

そして、今回の展示会図録は、分厚いながらもコンパクトサイズでソフトカバー、気軽に読むことができます。
絵画などの芸術作品はもちろん、立体物はなおさら、本物を見るに越したことはないですが、読み物として楽しむことも豊かな感性を養うことにつながると思います。

デンマーク・デザイン展」図録 表紙/裏表紙(東北歴史博物館版)

世界幸福度ランキングで1位を獲得していたこともあるデンマーク。
今年(2021年)発表された幸福度ランキングでは、フィンランドが1位、デンマークが2位と、上位をキープしています。
数年前、私は、その幸福度の高い国ってどんななんだろう?それに北欧芸術を現地で見たいなぁ、と思って、フィンランドとデンマークを周遊しましたが、確かにどちらも素敵で居心地の良い国でした。

私は日本からフィンランドへ行ってから(飛行機直通で10時間前後)、デンマークへ行きました(フィンランド⇄デンマーク間は1時間半前後。飛行機は全てFINAIR利用)

日本から遠く離れた国ではあるけれど、両国ともジャパニーズフレンドリーで、というか、誰にでも親切なのかもしれないのですが、何か精神的にも通づるようなところもあるようにも感じました。
そして個人的には、どちらかというと、フィンランドより、デンマークの方が好きです。
デンマークもフィンランドも、アメリカやイギリスをもしのぐデジタル先進国ではありますが、そんな高度技術が発展した国にあっても、デンマークの方が、より歴史や自然、落ち着きを感じられ、刺激がある中にも安らぎがあるように思えたから。
この実際に触れた北欧芸術については、またの機会に書きたいと思っています。


あなたは
デンマーク・デザインといえば
何がお好きですか?

一見の価値ある作品集結!足立美術館展@仙台

日本一の庭園美術館が誇る名品をこの目で


2019年に挙がった宮城県美術館の移転案。
宮城県の最も貴重な建築物の一つである宮城県美術館を失うという意味の発案に、開いた口が塞がらない思いでしたが、県の決定に反対し、存続を求める市民団体の方々の努力が実り、昨年(2020年)11月、移転はせず、現地改修を行うということに最終決定しました。
私は撤回を求める署名をしたくらいでしたが、そのような活動を率先してくださった方々には、心から感謝です。本当に良かった。


さて、その宮城県美術館では、2021年4月24日(土)から6月6日(日)まで、「足立美術館展 〜横山大観、竹内栖鳳、華やかなる名品たち〜」が開催されています。
コロナ禍で未だ気軽に外出できない中ですが、気がつけば、もうすぐせっかくの企画展が終わってしまう!
というわけで、慌てて行ってきました。

宮城県美術館にて開催の「足立美術館展」のチラシ(表)
宮城県美術館にて開催の「足立美術館展」のチラシ(裏)
クリックするとPDF画面が開きます

実は正直なところ、行かなくてもいいかなあという気持ちも少なからずあって、出遅れたということもあるんです。
なぜなら、足立美術館(島根県安来市)は庭園ランキング1位を18年連続で獲得している美術館!(アメリカの日本庭園専門誌「数寄屋リビングマガジン/ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング(Sukiya Living Magazine: The Journal of Japanese Gardening)」による)
なのに、ずっと行きたくて行けていない美術館の一つで、だからこそ、絶対に近いうちに行く!!と決めているから、どうせ見るなら現地で見るべきでは??なんていう思いがちょっとあったりしたのです。

でも、県外の美術館や博物館に定期的に出かけないと気が済まなかった私、コロナ禍になってから全くそれができていないわけで、芸術品に触れる機会も激減して、フラストレーションが溜まっているので、やはり地元でも貴重な展覧会、行かないわけにはいきません。


実際のところ、今回の展覧会、行って大正解でした。
会場では、もう何度、心の中で、「美しい・・・欲しい・・・」と呟いたことか。
日本を誇るそうそうたる名画の作品の集結。
近代日本画の巨匠横山大観をはじめとした、東西の日本画壇で活躍した35人の画家による66点の作品は、バラエティーに富んでいて、とても楽しめました。
やはり、本物をナマで間近で見るに越したことはないですね。
どれもこれも素晴らしいものばかりで、大満足。

ただ、今回は、この展覧会に特化した図録は作られていなかったのが残念。
図録がない分、ハガキをたくさん購入してしまいました(笑)

私の祖父が師事した川端龍子の「春雪譜」(展示会案内チラシの裏面に掲載あり)のハガキはなくて残念…

足立美術館についての冊子は販売されていましたが、その本には今回の展示作品が網羅されていないので、そういう意味でも、この企画展に足を運ぶことはとても貴重だと思います。
足利美術館に行けたとしても、その時に展示されてないであろう作品もあるわけですしね。

販売されていた冊子
(今回の特別展に特化したものではない)

足立美術館の館長 足立隆則氏が河北新報のインタビューで述べられているように、是非とも多くの方に“自分の感性で作品見て”ほしい、そんな素晴らしい日本の名品の数々、この機会に堪能することができ、とても良い時間を過ごせました。

「足立美術館展」のチケットと会場で無料配布されている河北新報による案内

なお、今回の「足立美術館展」、宮城県美術館での会期終了後は、6月26日(土)から8月1日(日)まで岩手県立美術館で開催されるのだそうです。
足立美術館の移動展は各地で行われていますが、東北での巡回は今回が初めてとのことですよ
東北人にとって、嬉しいことですね。


きっとそう遠くない日に、日本一の庭園と称される足立美術館(島根県安来(やすぎ)市)へも行くことができますように⛧彡
ますます思いは募るけれど、いつかは叶えたいことがあること、楽しみがあることって、幸せなことだなって思います♪



あなたの
お気に入りの庭園は
どこですか?





インスタ発で異例のベストセラー!アート絵本

やさしい気持ちになれる「ぼく モグラ キツネ 馬」


ここ日本では、先月(2021年3月17日)発売され、ちまたで話題となっている絵本「ぼく モグラ キツネ 馬(飛鳥新社出版)」は、もうご覧になりましたか?

作者はCharlie Mackesyチャーリー・マッケジー)氏、和訳は川村元気かわむらげんき)氏によるもの。

作者のチャーリー・マッケジーさんはイギリスのイラストレーターで、2018年からこの本に出てくる少年と動物たちをインスタグラムにアップしていったところ、それが大人気となり、2019年10月22日に’The Boy, The Mole, The Fox and The Horse‘という一冊の本として出版され、2020年イギリスで最も売れた本となったばかりでなく、アメリカでも販売冊数は100万部を超え、数々のランキングを総なめにし、世界各国でベストセラーとなっている話題のアート絵本です。

この本の前書きでマッケジーさん自身が「この本はだれでも楽しめる。あなたが8歳でも80歳でも。」と述べているように、老若男女、誰もが親しめる内容となっています。

一人の男の子と、ケーキが大好物のモグラ、無口なキツネ、ちょっとした秘密を持つ馬との出会いと冒険の物語を通して、読者は、友情や愛、人生について考えさせられますが、それは、なにか難しいことではなくて、ただとてもやさしい気持ちになれる、そんな一冊です。

ちなみにこちらの作品、「絵本」ではありますが、結構分厚い(B5サイズ、128ページ)です。
でも、やはり絵本ですから、文章はシンプルで、大人であれば、本好きじゃなくとも、あっという間に読めます。

この絵本の素敵な言葉の一部を、以下に抜粋させていただきます。

”おおきくなったら、なにになりたい?”
モグラにきかれたので、ぼくはこたえた。
”やさしくなりたい”

“What do you want to be when you grow up?”
“Kind” said the boy.

”成功するって、どういうことかな?”
ぼくがたずねると、モグラはこたえた。
“そりゃあ、だれかをすきになることだよ”

“What do you think success is?” asked the boy.
“To love” said the mole.

”いちばんの時間のむだって、なんだとおもう?”
ぼくがたずねると、モグラはこたえる。
”じぶんをだれかとくらべることだね”

“What do you think is the biggest waste of time?
“Comparing yourself to others.” said the mole.

”とてもきれいなものを、みのがすな”

“So much beauty we need to look after.”

”やさしさに勝るものはない”馬がいった。
”すべてのうえに、しずかに存在している”

“Nothing beats kindness”, said the horse.
“It sits quietly beyond all things.”

ぼく モグラ キツネ 馬」ならびに‘The Boy, The Mole, The Fox and The Horse’より引用


そしてお次は、イギリスのボイスアーティスト※であるTim Uffindellティム・ウフィンデル)さんによって製作された‘The Boy, The Mole, The Fox and The Horse’の読み聞かせYouTube動画です。

※ボイスアーティスト(voice artist):ボイスオーバータレント(voice over talent)ともいい、ナレーターや声優を生業とする人

絵本なら、子どもから大人まで、英語学習ツールとしても良いですよね。


最後に、下図はインスタグラムへのマッケジーさんによる最近の投稿で、絵本には挿入されていないものです。
ペンで描かれたイラストと味のある文字、素敵ですよね。

少年と動物たちのアナザーストーリーは続いています。。。

自分は自分のままでいい、愛の溢れる世界に感謝して、シンプルに生きていこう、そう思えるとともに、誰かにやさしくしたくなる、そんな気持ちになれるアート作品のご紹介でした。



あなたにとって
”成功する”とは
どういうことですか?





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春の訪れと共に届いた贈り物

親友の気だてに涙


20201年3月31日、こちら仙台で、観測史上一番早い桜の満開宣言がなされました。
職場までの道すがらには桜の見所が何箇所かあり、ここ最近は良いお天気も続いているので、徒歩での通勤もとても気持ちがいいです。

花京院橋の上からは仙台市立東六番丁小学校の大きな桜を眺めることができる
仙台管区気象台へ続く道
観測史上初を受けて、仙台管区気象台前の桜の木は全国放映された
仙台管区気象台敷地内に咲く美しい桜の木

新年度が始まって慌ただしさは増す一方ですが、こんな風景には心も癒され、なんだかいい予感さえしてきます。
そんな気分の昨日、宅急便が届きました。

平らで幅50×40cmほどの包み。
送り主は親友です。
そこで、ふと「もしや・・・」との思いがよぎりました。

開封してみると、やっぱり!
2004年に製作された、画家だった祖父の作品集代わりとも言えるカレンダーです。

なんとまあ、15年以上も前のものをこんなに綺麗に取っておいてくれたのでしょう!!
このカレンダーは祖父が亡くなってから数年後に、懇意にしてくださっていた地元閖上の森内科クリニック・森精一先生が製作してくださったものです。

先日、私が祖父のことについて書いたブログを見て、このカレンダーを持っていた友人が送ってくれたのです。

前回の記事:祖父の絵を探しに/孫としてできること

内心、せめてこのカレンダーが残っていたら・・・という思いはあったものの、15年以上も前の、有名でもない画家の、しかも単なるカレンダーなどでは、わざわざ取っておいてくれている人もいないだろうと思っていたので、親友のこの気だてには泣けてしまいました。

このカレンダー表紙の作品は「弥生の頃」というタイトルで、大きさは100号くらい、閖上にあった実家の玄関に飾られていたものです。
祖父亡き後も、実家に帰るとこの絵に出迎えられ、しばし祖父に想いを馳せたものでした。

春の訪れと共に、祖父が描いた桜にも会えるとは・・・
本物の絵ではなくとも、失われてしまった祖父の絵、こんな形でも本当に嬉しく、感謝しかありません。

良い友達に恵まれ、本当に幸せです。ありがとう。


あなたの心に
春は
訪れましたか?

祖父の絵を探しに

孫としてできること


先日、心待ちにしていた一冊の本が届きました。
古本屋さんから送っていただいたのですが、かなり丁寧に梱包してくださっていて、添え状も決まり文句ではなく、気遣いの感じられる文章で、心が温まりました。

雑草文庫の池田洋一様には、この場を借りて御礼申し上げます。
とても綺麗な状態で届きました。ご丁寧に、本当にありがとうございました。

さて、注文したのは、昭和55(1980)年に初版発行された「話の散歩道」というもので、著書様には申し訳ないのですが、目的は、本の中身ではなく、この本の『表紙』です。

表紙になっている絵のタイトルは「宮城県名取市閖上 広浦」。
広浦(ひろうら)は、宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)地区と下増田(しもますだ)地区にまたがる潟湖で、市内を流れる増田川の河口潟でもあります。
10年前の津波に飲み込まれましたが、現在も以前のような穏やかで静かな情景が広がっています。

この地を故郷として愛し、テーマの一つとして絵を描き続けた画家が、このカバー絵の作家であり、雅号を「紫露(しろ)」と言います。
本名は四郎。
仙台に生まれ、美容師で絵が好きだった女性と出会い、お婿さんとなった、私の祖父です。
美容師の女性というのはもちろん、私の祖母です。
また改めて書きたいと思っていますが、私の祖父母は、現在でさえ珍しい「遠距離結婚(会社都合による単身赴任とは違い互いの意思によるもの)」です。

ところで、広浦湾はありのままの自然環境なので、鴨、川鵜、白鷺などのバードウォッチングも楽しめる場所です。
そして、この絵にもあるように、私の祖父は、白鷺をよくモチーフにしていました。

日本画家だった祖父は、20年程前に亡くなりました。
逝去年齢的には平均的なものですが、長い間パーキンソン病と戦っていました。
パーキンソン病さえ抱えていなければ、亡くなるまで絵を描き続けることも可能だったかもしれないし、確実にもっとたくさんの作品を残せたはずです。
画家でありながら、右半身の手足の震え、麻痺により、絵が描けなくなってゆく自分がどれだけ悔しかったかことか・・・

東京で単身生活していた祖父でしたが、亡くなる少し前には宮城県の病院に入院し、東京を引き払いましたので、譲ったり処分したものがほとんどですが、一部の私物や作品などは実家に保管されていました。
この本も、実家の祖母の本棚にあったと思います。
大きな本棚には、祖父が持っていた美術関係の本もたくさんあって、祖母の亡き後には、作品まではもらえなくとも、これらは私がもらうと、祖母から了解を得ていました。
しかし、あの未曾有の大地震によって、全てが失われました・・・

実は、祖父が亡くなってからほどない頃に、地元名取での個展をしてはどうかとお話をいただいたことがあります。
私の父と母は乗り気でしたが、祖父を巡っての血縁者間によるつまらないいざこざが続いていたので、私は反対し、お断りしたのです。
当時なら、個展でもやっていれば、データにでも残しておくことができたかもしれないのにと、悔やまれてなりません。

祖父を心から尊敬し、画家になりたいと考えていたことのある私ですが、その願望は高校時代に失ってしまったため、祖父の作品にはそれほど触れていないのです。
私は、これまで、人には流されず、自分のやりたいことをやってきた人間なので、ほとんど後悔はない人生を歩んできたと思っていますが、祖父に関してのことだけは、深く悔やんでいます。

東日本大地震が起きて10年過ぎてしまった今さらですが、だからこそなのでしょう。
祖父の絵を探すことを私自身のライフワークに加えたいと思いました。
正直なところ、この数年、ずっと考えていたことではあるのですが、取り組めないでいたことの一つです。

天国にいる祖父母を喜ばせたいし、私も後悔したくないから・・・


あなたには
悔やまれることは
ありませんか?

大人のための画家と詩人のコラボ絵本

パウル・クレー X 谷川俊太郎


社会人になってからというもの、読書と言えば、ビジネス書や自己啓発系のものが多かったのですが、気がつくと、似たり寄ったりのものも結構あって、もうそろそろ、子どもの頃や学生時代によく読んでいたような、物語や小説、詩集なんかをゆっくりと読みたいなぁという気持ちになってきました。

そこで見つけたのが、美術好きには嬉しい、絵画と詩がコラボレーションした素敵な一冊。


クレーの絵本 」(講談社出版)は、抽象画で有名なパウル・クレーの絵画に、日本の現代詩人を代表する谷川俊太郎の詩が添えられた、とても美しい本です。

パウル・クレー(Paul Klee)は、1879年のスイスで、音楽教師の父と声楽家の母との間に生まれました。4歳で祖母から絵を習い、7歳でバイオリンを始め、小さな頃から芸術の世界にあったクレーの生涯は、絵と音楽と詩にあふれたものだったのだそうです。

そんなクレーからインスピレーションを受けて、谷川俊太郎が詩を綴っています。


表紙にもなっている絵は「黄金の魚/The Goldfish」(1925年制作/ハンブルク美術館収蔵)で、添えられた詩の「どんなよろこびのふかいうみにも ひとつぶのなみだが とけていないということはない」という最後の部分が、心にズシンときます。

どの絵も、詩も、静かな中にも深さと、情緒的な美しさを感じるものばかりで、贅沢な一冊です。
インテリアとしても飾っておけるシンプルな装丁も素敵です。

この本の最後に、谷川氏による解説が載っていますので、一部抜粋させていただきます。
(ちなみに、背景の絵はクレーの「赤い気球/Red Ballon」(1922年/グッゲンハイム美術館)で、この本にも載っています)


抽象画はなんだか難しいと思っていた私にも、クレーの絵には引き寄せられてやまないものがあり、今では好きな画家の一人です。
谷川氏が述べているように、クレーの絵は単なる抽象画ではなく、見るものに魂を感じさせるものだからなのだろうと思います。

以下の動画は、パウル・クレーの作品「島/Island」(1932年/アーティゾン美術館)について紹介されているものです。
「クレーの絵本」では取り上げられていない作品ではありますが、クレーの作風についての参考になると思います。
2分ほどで短くまとめられていて、静かで穏やかなナレーションも心地よい、良質な動画です。


BGMは無いのに、なんだか音楽が聞こえてきそうな気がしませんか?
そして、この不思議な感覚の余韻にしばらく浸っていたい、そんな気持ちにさせられます。

穏やかな気持ちになれる芸術との対話、そんなひと時を、普段の生活の中でも大切にしていきたいです。



あなたは
抽象画を
どう感じますか?




「クレーの絵本」パウル・クレー(著) 谷川 俊太郎(著) 講談社
「クレーの絵本」パウル・クレー(著) 谷川 俊太郎(著) 講談社

レトロかわいいオールド&プレミアノリタケ

戦前戦後の芸術的里帰陶磁器


ポストを開けると、A4サイズで、厚めな本でも封入されていそうな郵便物が入っていました。
でも、封筒に記されている会社名には覚えはあるのだけど、ここ数日では何の購入の記憶はなく・・・
しかしながら、書店はもちろん、ネットでも本を買うことが多い私。
何かネット検索でもしている時に間違ってポチッちゃったのかな・・・?
と不安に思いつつ、恐る恐る封を開けたら、1冊の図録が。

図録に加え、2021年の卓上カレンダーのプレゼント

これ、なんか知ってる・・・
てか、持ってる・・・?

送り主は「敬誠アート」さん。
薩摩焼瀬戸焼隅田焼横浜焼オールドノリタケ等の『和骨董』とゲーベルローゼンタールフッチェンロイターマイセンKPM等の『西洋陶磁器磁器人形』を取り扱う古美術商さんです。

薩摩焼

瀬戸焼

隅田焼

横浜焼

過日のある日、仙台三越に行った時に、たまたま催事として1階フロアで敬誠アートさんが出店されていまして。

芸術的な骨董品がずらりと並んでいたので、思わず足を止めました。
艶やかな陶磁器の数々。美しいだけでなく、デザイン的にも面白いものがたくさんあり、見ているだけで楽しいものでした。

ゲーベル

ローゼンタール

フッチェンロイター

マイセン

私は特にブランド好きというわけではないのですが、ノリタケは日本を誇るブランドとして、今では高級なものから庶民的なものまで製品が取り揃えられていて、身近に感じられるブランドとして、もともと好感を持っていました。
そして数年前に仕事で名古屋に行った際に、ノリタケミュージアムに立ち寄ったのですが、そこで興味深い制作過程や歴史を知り、たくさんの美しい製品を見たらファンになりまして。

そんなノリタケの、今から100年程前の明治・大正時代に主にアメリカに輸出され、里帰りしたという陶器『オールドノリタケと、戦後の1945〜1960年頃に製造された『プレミアノリタケの品々も、三越での催事で展示販売されてたんです。

オールドノリタケ

プレミアノリタケ

オールドノリタケ

プレミアノリタケ

芸術的な骨董品といえば、もちろんそれなりのお値段。
購入できたとしても、使うというより、大事に飾るというイメージ。
ですが、中には普段使い出来そうなものもありまして。

オールドノリタケのピンディッシュと、プレミアノリタケのレトロかわいいカップとソーサーのセット、購入しちゃいました。

戦後に欧米に輸出されたこのヴィンテージなカップとソーサーは「スナックセット」と言うのだそう。
絵の具のパレットのような形のソーサーはお菓子なんかも一緒にのせられて、使い勝手も良しなプロダクト。

流行りものよりもレアなものや人と同じではないものに惹かれる私。
これもノリタケなのー?ってところが気に入ってます♪

ちなみに、かぼちゃの器は、「JAPAN」の刻印があるので里帰りした日本製であることは間違い無いのだけど、メーカーは謎というお品だそうで。
熱心な担当者さんが「根拠なくこれもオールドノリタケですと嘘はつけませんので」と教えてくれ、一品もので可愛かったので購入。

そしてその時に、販売されていた図録が、数々の芸術的な陶器が掲載されていて眺めているだけでも面白く、せっかくの機会だからと一緒に購入していたんです。

それが、今回送られてきたものと同じだったというわけでした。
既に買っていたものと同じお品だけど、3,000円する図録、プレゼントとはありがたいことです。
興味のある人にプレゼントしよう♪

敬誠アートさんのギャラリーは千葉県我孫子市にあるとのことで、行ってみたいとは思っていますが、このコロナ禍にあってはそうもいかないので、しばらくはこれ見て楽しみます。
敬誠アートさん、ありがとうございました☆


あなたは
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