慢心は人間の最大の敵

我が心にはマクベスがいないか・・・


ウィリアム・シェイクスピア。本をあまり読まなくとも、知らない人はいないであろう、偉大な文豪。
シェイクスピアの四大悲劇の一つ、「ロミオとジュリエット」であれば、大抵の人があらすじを知っていますね。

少々古くはなりますが、レオナルド・ディカプリオ主演の映画、現代版ロミオとジュリエット」は、本で読むような取っ付きにくさはなく、親しみやすい上、見応えがあり、多くの方が観ていらっしゃると思います。

さて、それでは、こちらはどうでしょう?
同じくシェイクスピアの四大悲劇の一つ「マクベス」。

マクベス」も、数多く翻訳、舞台化、映画化されています。
次の動画は、2015年にイギリスで映画化されたものの予告編です。
この映画は、そういう物語なのでしょうがないのだけど、救われない感漂いますが、映像がとても幻想的で美しいので(残酷な場面もあるけど…)、静かな気持ちになれます。

この予告編の「あなたの心のなかにも、マクベスがいる」というキャッチフレーズが、秀逸だなと思いました。

物語は、国のために戦い英雄と称えられた将軍マクベスが、残念にも野心にかられてしまい、その妻であるマクベス夫人と共に、人を欺き、残虐な殺人を働き、自ら破滅へと向かう、とても暗いお話しです・・・

さて、今回タイトルにした

「慢心は人間の最大の敵」

これは、1949年、日本で一番最初に「マクベス」を翻訳出版された(野上豊一郎訳/岩浪文庫出版)中の一文で、名言として語り継がれているものです。

慢心」とは、先日の投稿でも触れました通り、「おごり高ぶること。また、その心。自慢する気持ち。」のこと。

関連記事:
感情をマネジメントできる人でありたい/負の感情とも向き合いつつ、慢心や虚栄心には負けないように

このセリフにあたる部分は、先ほどご紹介した映画では直接的に取り上げられていなかったのですが、褒め称えられたことからうぬぼれ、欲望に囚われ身を滅ぼしていくマクベスを描かれているところで、慢心に蝕まれるとどうなるか、ということを深く考えさせるものでした。

私の心にはマクベスがいないか。
自分を省みて慢心を戒めることを、忘れないようにしたいです。


あなたの心には
マクベス(慢心)が
いませんか?

強い女性が世界を救う

愛・理解・感謝の気持ちを大切にする逞しい女性「ワンダーウーマン」


女性の皆さんは、強い女性に憧れますか?それともか弱くてしおらしい女性らしい女性でいたいですか?
そして男性陣にも伺いたい。強い女性って、どうですか・・・?

現在(20201年1月16日)公開中の映画「ワンダーウーマン1984」を観て参りまして、想像していた以上に良かったので、今回は、この序章として2017年に公開された「ワンダーウーマン」と併せてご紹介したいと思います。

まずは、「ワンダーウーマン1984」の予告編をご覧ください。

この予告編を見てわかるとおり、ワンダーウーマンは『史上最強の女戦士』。
ですが、後に述べるこの序章編となる2017年に公開された「ワンダーウーマン」と違って、続編にあたるこちらは、その肉体的な力で倒すだけではないところがポイントです。

叡智を兼ね備え、強靭な肉体を持ち、長い年月を生きてきたアマゾン戦士ではあるけれど、人を愛し、人間界を守るという使命のもとに生きているワンダーウーマン/ダイアナには、現代の人間が忘れがちなやさしさがあります。

また、少々話は飛びますが、6人のアメコミヒーローが活躍する映画「ジャスティスリーグ」にもワンダーウーマンが出ていて、この映画の中で、彼女がバットマンから「恋人を失って100年も隠れていたくせに」と罵倒されるシーンがあるように、そういう感情を持つ人としての当たり前の弱さも持ち合わせているわけです。

ワンダーウーマン1984」では、欲望にかられ世界を破滅へと向かわせた悪を打ちのめすクライマックスで、ダイアナの「この世界に必要なのは、愛、理解、感謝の気持ち」という言葉によって、破滅しかけた世界が救われることとなります。

また、今回は、悪役が死なないという心があたたかくなるエッセンスも良いです。
悪と化した父親が、最後には自分を恥、息子に謝るのですが、その小さな息子が「誇りなんて関係ないよ!」と言って父親を抱きしめるシーンは、『そうだよね、必要なのは愛だよね』と、ホロッとします。

ただ、その代わり、2017年公開版同様、犠牲になってほしくない人が犠牲になるので、『また?!ダイアナが可哀想すぎる』と思うこと必至ですが・・・それも、この物語のスパイスであるわけで。

VFX満載の見応えあるアクション映画でありながら、ともすると現代人が忘れかけそうになりがちな大切なことを思い出させてくれるテーマ性の強い、とても良い映画だと思いました。

なお、個人的にはこの「ワンダーウーマン1984」の序章となる「ワンダーウーマン」を観てからの方が、物語の経緯、ヒロインの感情的な部分の理解などより深まるかと思いますので、順序立てて観るのを基本的にオススメします。
(先に書いたバットマンのセリフ「100年隠れていた」の意味も「ワンダーウーマン」→「ワンダーウーマン1984」の順に観ることでわかります)

でも、『なるほど、そういうことだったのか』と感じる面白さもあるかと思いますので、公開中の映画から見るのも全然ありだと思います。

アマゾンプライムビデオでは299円で視聴可

この序章編の「ワンダーウーマン」の方が、『愛』のテーマ性が強調されており、かつそのテーマ性以上に、観て楽しむアクション感、アメコミ感がより強いように思いますので、考えることよりも単純に楽しみたい人は、こちらの方が好きかもしれませんね。

強い女性だけの島で、女王が粘土によって作り命を吹き込まれ生まれたヒロインが、人間の男性と出会い愛し合うことになるというのも、今までにない面白い設定です。

いずれにしても、ヒロインであるダイアナは、人を愛することで悲しい想いを背負うことになるのですが、その悲しみが強さの糧となるところは共通していて、アクション映画ながら、心にグッとくる部分があります。

ちなみに、映画「ワンダーウーマン」は、2017年6月にアメリカで、日本では同年8月に公開されたものですが、この主演俳優メッセージ付予告編動画は、2017年3月8日に公開されたものです。
ヒロイン演じるガル・ガドットが述べているように、『国際女性デー』である3月8日にちなんでとのこと。

国際女性デー』は、1904年3月8日にニューヨークで女性労働者が婦人参政権を要求してデモを起こしたことが始まりで、国連によって1975年3月8日を『国際女性デーInternational Women’s Day)』と制定され、女性に対する差別撤廃と女性の社会開発への平等な参加に向けた環境整備に貢献する事を各国へ呼びかけているものです。

ここ日本でも、SDGsの取り組みの一つに「女性の生き方を考える日」として『国際女性デー/HAPPY WOMAN FESTA』を2017年からスタートさせています。

SDGs:持続可能な開発目標。2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っている。発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なもの。

キラキラ輝く「ワンダーウーマン1984」のパンフレット
(画像をクリックすると映画の公式サイトへリンクします)

ワンダーウーマンの生まれた島のように、女性の世界といえば、私の職場である保育園も9割が女性スタッフで、まさにやさしくも強い女性が支える施設です。
この場合の『強い』には、ワンダーウーマンのような肉体的強さはありませんが、精神的な強さに、ある程度のことは男性に頼らなくてもできるようなたくましさは必要です。

そんな環境で働く立場としても、愛と理解と感謝の気持ちを育む豊かな社会の創出に貢献する使命感を、この映画を通して改めて感じました。


あなたの思う
女性像は
どんなですか?

2021年もあたたかい心をテーマに

ハートフルな物語「ニューヨーク 親切なロシア料理店」を観て


あけましておめでとうございます。
2021年1月1日、新たな年を迎えられたことに感謝します。

元日の今日、皆さんはいかがお過ごしでしょう。
昨年から続くコロナ禍。やはり自分だけで生きているわけではないということを考えると、行きたいところ、特に人が集まるような場所には気軽に行けないのが相変わらずの状況ではありますが・・・

私は、映画を観てきました。
本来、映画館は人が集まる場所ではありますが、現代はネット配信等の影響、また当然コロナによる影響で、映画館の運営はなかなか厳しい状況にありますので、映画好きとしては(ネット配信ももちろんありがたいのだけど)、映画館には頑張ってほしいという気持ちがあります。
人の入り具合の状況を見て、感染対策をしっかりすること、必要以上に長居しないことなどに配慮して、映画を楽しませていただきましょう。
ちなみに、シアター内は窓がなく密閉された空間に思えますが、映画上映中もしっかり換気の対策が取られているとのことですよ。


2021年、私が最初に選んだ映画は「ニューヨーク 親切なロシア料理店」です。
観客は2名しかおらず、雪降る元旦にまで営業してくださる映画館(フォーラムさん)には申し訳ない気もしつつ、感謝するばかりです。
国が支援金を出すとか何の保障もしてくれない限り、営業もせざるを得ないわけですから、大変だとは思いますが、めげないで頑張っていただきたいです。

さて、映画「ニューヨーク 親切なロシア料理店」について。
原題は「The Kindness of Strangers」直訳して「他人の優しさ」。
strangerは見知らぬ人とも訳せるので、「見知らぬ人の優しさ」の方が日本語的にはいい響きにはなりますが、この映画の内容としては、見知らぬ人だけが優しいわけではなく、一応知り合うのだけど、他人であることには変わりなく、それなのに優しく親切な行動を取る人たちが描かれているので、日本語の意味合いとしては「他人の優しさ」かなと感じています。

この物語は、現代の問題の一つであるネグレクト(児童虐待、育児怠慢)や親子愛をもとに、見知らぬ人、他人同士の人々が関わる中での優しさや思いやり、そして赦(ゆる)しの心がテーマとなっています。

物語の中核となるのは、ねじれた正義感を持つ夫から逃れ、片田舎のバッファローから憧れのニューヨークへと向かった、二人の息子を持つ主婦のクララ。
親子が到着した世界の中心地であるニューヨークは、様々な人が集まる場所。
そこでクララは息子たちのために衣類や食べ物など盗みを働くこととなり、入り込んだコンサートホールそばにあるロシア料理店に関わる人々と交わっていく中での物語で、冬のマンハッタンを舞台に、淡々と静かにストーリーは展開していきます。

ニューヨーク カーネギーホール前の通り/2017年2月(物語の舞台はこの辺じゃないかなというイメージ)

登場人物は、ほんの一部を除いて、皆なんらかの苦悩を持ちつつも優しくて愛らしいキャラクターなのですが、個人的には特に、男の子の兄弟が可愛いくて微笑ましかったです。
可愛いのだけど、しっかり意思を持ち、強く、そして優しい。
母親であるクララは二人の息子アンソニーとジュードのために必死になるのだけど、最終的に息子たちがママを救うというくだりは泣けます。

パンフレットも優しい雰囲気

困難を抱えた登場人物たちが少しずつつながっていって、最後にはみんな心地よくまとまり、見終わった後、胸の奥にあたたかなさざ波が広がっていくような感覚を味わいました。

やっぱり、世の中を救うのは、愛だよね、優しさだよね、思いやりの心だよねとしみじみ感じました。
2021年、私も、心のあたたかさをテーマに過ごしていきたいと改めて思っているところです。


2021年の
あなたのテーマは
なんですか?

映画で知る「マザー・テレサ」

オリビア・ハッセー主演による2003年公開の映画


こんな不安な時代だからこそ改めて知っていただきたいマザー・テレサについて、これまでは報道写真家の沖守弘氏による本(マザー・テレサ あふれる愛)を中心に述べてきましたが、今回はマザーのことを知るのにオススメの映画をご紹介させていただきたいと思います。

マザー・テレサに関しての映画はいくつかありますが、まずご覧いただきたいと思うのがこちらです。

映画「マザー・テレサ」DVD(表面)

日本の歌手 布施明と結婚していたことでも知られるイギリス女優 オリビア・ハッセーOlivia Hussey)がマザー・テレサ役を演じた伝記ドラマ「マザー・テレサ(Madre Teresa/Mother Teresa)」。
2003年にイタリア・イギリスで製作され、2005年に日本で公開されました。

映画「マザー・テレサ」DVD(裏面)

マザー・テレサが87歳で生涯に幕を閉じたのは1997年ですので、その6年後に作られたということになります。

マザーを演じたオリビア・ハッセーは、マザーと活動を共にしていたシスターにこの映画の感想を尋ねたところ、「まるでマザーを見ている様だった」っと好評だったそうですよ。

このことは、以下の映画の予告編の後半で見ることができるオリビア・ハッセーのインタビューでも言われていて、興味深く感じていただけるかと思いますので、よろしければご覧になってみてください。


私も、マザー・テレサのニュースやドキュメンタリーの映像で見ていた生前の姿、また沖守弘氏をはじめとする方々の記事などで読んでいるイメージにも、かなり近いと感じました。

1時間50分でマザーの50年間を語る映画ですので、かなりギュッっとまとめられてしまってますが、多くの困難の中でも自分の使命を果たすためだけに、上手に周りを巻き込みつつも信念を貫いた、強くあたたかな女性としてのマザー・テレサがわかりやすく描かれていると思います。

また、現代社会のあり方にも訴えるようなシーンもありました。
「組織」は持ちたくないというマザーでしたが、支援を集めるためには戦略も必要だと言う神父の進めで協会が設立されます。もちろん、人助けに戦略なんていらないと言うマザーでしたが・・・
そして、この映画の終盤で、ニューヨークで行われている協会の経営会議、いわゆる現代の会社でよく見かける場面ではあるのですが、そこで会議の進行者が「来年の予算は増額が必要だが歳入の見込みがない」と話しているところ、マザーはテーブルに並べれらているミネラルウォーターの値段を給仕に尋ね「3ドルもあれば子どもが1年学校に通える」と呟き、そして「今日からこの協会は存在しません」と言って席をたってしまいます。

組織であれば当然といえば当然のよくあるギスギスした経営会議。
計画だ戦略だ、効率的な運営うんぬん言って突き進むことだけを考えていると、本来の大事なことを見失ってしまうこともある。
マザーが組織を持ちたくないと言っていたのはこういうことなんだなと、私もお金を得るために働いてはいるけれど、それが人の喜びに繋がってこそ幸せなんだという心を忘れないようにしようと、改めて考えさせられました。

関連記事
愛の人 マザー・テレサ その1/マザー・テレサを取材し続けた沖守弘氏
愛の人 マザー・テレサ その2/マザー・テレサを取り巻く人々
忠実さと、人間のふれあいを忘れない心を/不安な現代にこそ多くの人に知ってほしいマザー・テレサの言葉


あなたの
使命は
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音楽のみならず『音』そのものにスポットをあてた映画!

ドキュメンタリー「ようこそ映画音響の世界へ」


全くノーマークでいたのですが、先日「海の上のピアニスト イタリア完全版」を観に行った際に、「ようこそ映画音響の世界へ」というドキュメンタリー映画が上映されていることを知りました。

先月(2020年8月)、映画『音楽』にスポットをあてた「すばらしき映画音楽たち」というドキュメンタリー映画が再上映(初公開は2017年)されていましたが、今度は、映画に使われる『音』そのものに焦点をあてるという、今まで取り上げられたことのないテーマ、是非とも観たい!と思い、早速観て参りました。

関連記事:
映画や音楽好き必見 ‘映画音楽 ’にスポットをあてた貴重な映画/これまでにないドキュメンタリー「すばらしき映画音楽たち」
名作復活上映「海の上のピアニスト」/20年の時を経て上映される完全版

映画「ようこそ映画音響の世界へ」チラシ(表)

こちらのチラシに並ぶ数々の名作映画のタイトル。
それらの名作たる所以には“音”の効果が計り知れなく、その“音”を作り出すためには、職人さん達による、知られざる創意工夫と労力が注がれているのだということを知ることができる映画です。

この映画では、同じ映像でも、音がない場合とある場合とを対比して見せてくれる場面があったり、映画を表現する上での音には声、効果音、音楽という種類があり、それぞれがどのような手法で取り込まれ、そしてどんな効果を生み出しているのか、名作のワンシーンと共に、巨匠や職人さん達の貴重なインタビューを交えながら、とても興味深い映画音響の世界を紹介してくれます。

映画「ようこそ映画音響の世界へ」チラシ(裏)

日本における『映画』という言葉、映画の『映』は『映像』と『画像』で表すように、私たちは一般に、映画は、映し出された動画を通して楽しむものだと思っていますが、実は、そこには音という聴覚的な効果が絶大だったんですね。
ともすると、音の方が映像以上に効果を発揮していることもある・・・

この映画、音響楽しめる映画館で観て大正解でした。
音をあちこちに移動させる「5.1chサラウンドシステム」について具体的に紹介してくれる場面もあって、その説明映像と映画館のそれぞれに配置されたスピーカーからの音で、改めてその効果を実感できるのは特に面白かったです。

ちなみに、この映画の原題は「Making Waves(メイキングウェーブス)」。
映画館ではまさに、この音のウェーブ(波・波長)を感じることができます。

また、例えば、誰もが知る「スターウォーズ」が公開された時のエピソードでは、オープニングで宇宙船が大画面に迫力の登場をするシーン、その圧巻の映像と音響で、観客達が驚き興奮しますが、私も改めてその感覚を得ました。

携帯電話やタブレット、パソコンなどで、手軽に配信映画を視聴できる現代ではありますが、これを観て、映画はやはりまずは映画館で観るべきだなと思いました。


そしてつくづく、視覚・聴覚を通して映画を楽しめる五体満足な体を持つ自分は幸せだなーと感じました。
素晴らしい映画クリエイターの方々へと、与えられた体で映画を十分に楽しめることに感謝して、今後も少しでも多くの映画を観て、たくさんの感動を得させていただき、感性豊かになる時間を送っていきたいと思います。

「ようこそ映画音響の世界へ」公式サイト
フォーラム仙台・チネ・ラヴィータのHP


あなたの
聴覚に訴える映画は
なんですか?

映画や音楽好き必見 ‘映画音楽 ’にスポットをあてた貴重な映画

これまでにないドキュメンタリー「すばらしき映画音楽たち」


今年(2020年)7月6日、映画音楽の巨匠として知られるイタリアの作曲家エンニオ・モリコーネ氏が91年の生涯に幕を閉じたことに因んで、ただ今、映画館フォーラム仙台では、「エンニオ・モリコーネ追悼特集」として、同氏に関係する映画が再上映されています。

エンニオ・モリコーネ氏は、約50年間で500本以上の長編映画の音楽を手がけたとされ、多くの映画音楽ファンの支持を集める作曲家です。
映画音楽作曲家としては史上2人目となる「アカデミー名誉賞」を獲得したことでも知られています。

ピンと来ないかたには、以下の音楽をお聴きいただければ「あー、これか」とお分りいただけると思います。

フォーラム仙台では、元々「海の上のピアニスト 4Kデジタル修復版」の上映を予定していたところ、エンニオ・モリコーネ氏の訃報に接し、急遽、この追悼特集を企画したのだそうです。

フォラーラム仙台における「エンニオ・モリコーネ追悼特集」は2020年7/31(金)〜9/24(木)

さて、この度、私が観て参りました「すばらしき映画音楽たち」は、映画音楽の巨匠たちの仕事にスポットをあてたドキュメンタリー映画で、「エンニオ・モリコーネ追悼特集」の『番外編』として、フォーラム仙台で上映されています。

原題は「Score: A Film Music Documentary」で、2016年に公開されました。
フォーラム仙台におけるこの度の上映は、8月20日までです。

「すばらしき映画音楽たち」のパンフレット(表紙)

映画の名シーンって、映像と共にその背景に流れる音楽も一緒に思い出されますよね。
そんな、私たちがよく知る映画音楽たちがどのようにして生まれるのかといったことや、作曲家たちの意外な想いなど、知られざる舞台裏を垣間見ることができる、これまでにはなかったドキュメンタリーです。

「すばらしき映画音楽たち」のパンフレット(裏表紙)

映画の冒頭部分では、映画にまだ音がなかった時代、映画の上映と共に演奏されるオルガンの映像が出てきたりして、そんな時代を知らない私たち世代にはもちろん、その頃を知る先輩方にとっても、大変貴重な映画だと思います。

映画音楽の、昔からのクラシカルな制作過程から、現代のデジタルテクノロジーを駆使した制作まで、余すことなく語られていて、誰もが関心を持って観ることができます。

様々な有名映画の映像&音楽と共にお話は進むので、映画ファンにはたまらないです。

また、人間の五感に訴える音楽の効果について科学的に示される場面などもちょっとあって、様々な観点から興味深く観られる映画でした。

フォラーラム仙台「エンニオ・モリコーネ追悼特集」のチラシ(裏)

ところで、今回の「エンニオ・モリコーネ追悼特集」後半に上映される「海の上のピアニスト」は、「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督とエンニオ・モリコーネがタッグを組んだ、豪華客船で生活するピアニストの物語で、全編に渡って美しい音楽が堪能できる、感動の名作です。

「海の上のピアニスト 4Kデジタル修復版&イタリア完全版」チラシ

「海の上のピアニスト」日本版は1999年に公開されたのですが、まもなく上映されるイタリア完全版は50分あまりもシーンが増えているのだそうです。

ちなみに私は、日本初上映当時は映画館では観なかったのですが、およそ1年後に父が借りてきてくれたビデオで観て、音楽に感動し、その後すぐにサントラCDを購入し、そのアルバムは今でもお気に入りの一つとなっています。

「海の上のピアニスト イタリア完全版」、フォーラム仙台での上映は、2020年9月18日〜24日を予定されています。→10月1日までに延長されました(9/25追記)
映画館の大きな画面での映像と、大音量で聴ける映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネによる音楽、楽しみです。


あなたは
映画音楽制作の裏話
ご存知でしたか?

すばらしき映画音楽たち [Blu-ray]

被爆ピアノを通して考える“平和 ”

広島在住のピアノ調律師さんがモデルの映画「おかあさんの被爆ピアノ」


本日、2020年8月15日は、戦後75年の「終戦の日」です。
平和が当たり前の日本に生きている現代の私たちですが、わずか75年前は、それが当たり前のことではなかったわけですよね。
戦後に生まれた私たちには知り得ようのない思いをされている方々が、今も生きていらっしゃる。
また、世界を見渡せば、いまだに、戦時同様の苦しい毎日を送る人もいる・・・

映画「おかあさんの被爆ピアノ」チラシ(表)

今、平和なこの国で過ごせる日本国民として、忘れてはならないことがある。
そういったことを考えさせてくれる映画「おかあさんの被爆ピアノ」が、現在公開されています。

被爆ピアノという存在、あなたはご存知でしたか?
私は、この映画によって初めて知りました。

原爆の爆心地から3キロ以内で被爆したピアノは被爆ピアノと呼ばれているのだそうです。
そして、持ち主から被爆ピアノを託され、修理・調律して、それらを自ら運転する4トントラックに載せて全国を回り、被爆ピアノの音色で、忘れてはならない原爆の記憶を伝える活動をしているかたがいらしたんですね。

広島市で「矢川ピアノ工房」を営む矢川光則さんが、被爆者団体から広島で被爆したピアノを託され、核兵器廃絶と恒久平和を願って、自らも被爆二世としてご自身のできる平和運動として、全国を回っているのだそうです。

株式会社矢川ピアノ工房HP「被爆ピアノへの取り組み

その矢川さんの活動に着想を得て、映画「おかあさんの被爆ピアノ」は作られました。

映画の中でおりがみのピアノが出てきて、懐かしくなり、私も折ってみました。パステルで描いた鍵盤がヘンですが…

主人公は東京で生まれた大学生の女性。母親は広島で生まれ、暗い過去のある広島に娘を近づけたがらず、実家にあった被爆ピアノも寄贈してしまう。しかし、主人公は、調律師との出会いをきっかけに、亡くなった祖母のこと、そして自分のルーツを探るため広島へとおもむく・・

映画「おかあさんの被爆ピアノ」チラシ(裏)

映画の内容はフィクションですが、平和な現代を生きる、とある普通の家族の物語で、特に過剰な演出もなく、淡々とした流れがかえって、親近感もあり、自分の心の中に静かにさざなみが立っていくのを感じました。

昭和20年8月6日に広島に投下された原子爆弾。
犠牲になった広島の街と多くの命。
原爆を乗り越えた生々しい傷跡の残るピアノから発せられる音色は、温もりと重みがあるように感じ、その旋律の美しさは私たちの胸に確かにメッセージを伝えてくれている気がしました。

映画「おかあさんの被爆ピアノ」パンフレット。
映画製作者の方々の思いと、矢川さんご本人や、広島の原爆に関わる人々によるメッセージが胸を打ちます。

おかあさんの被爆ピアノ」公式サイト

ところで、実際の矢川さんによる被爆ピアノの平和コンサートについて、調べましたら、今年、ここ仙台にもいらしてくださる予定があるようです。
現時点では10月27・28日が予定のようですので(場所など詳細は不明)、コロナの影響などで中止にならないことを願いつつ、今後もチェックしていこうと思います。

世界遺産広島平和記念碑(原爆ドーム)
世界遺産登録基準は『人類初の原子爆弾がもたらした悲劇を伝える価値

なお、映画「おかあさんの被爆ピアノ」は、宮城県では、フォーラム仙台でのみ、8月20日まで公開されています。

フォーラム仙台/チネ・ラヴィータWebサイト


あなたにとって
平和は
当たり前ですか?

映画「エジソンズ・ゲーム」未来を照らすのは、誰だ

今の電気の原点を決めることになった「電流戦争」


世界で最も有名な歴史的人物の一人、エジソンの、知られざる史実に基づく映画「エジソンズ・ゲーム」を観てきました。

エジソンズ・ゲーム チラシ(表)

私は小学低学年の頃、エジソンの伝記漫画を、とても面白く感じて、繰り返し読んだことを覚えています。
特に、小学校の先生に質問ばかりして先生を困らせていたとか、自分(人間の体温)で鳥の卵を孵化させようと小屋にこもったりした少年が、のちに電球を発明したという点で、やっぱりちょっとおかしいくらいの普通じゃない人が、すごい発明をするんだな、と子供ながらに感心したものでした。

さて、映画「エジソンズ・ゲーム」について。
原題は「The Current War」、直訳すると「電流戦争」です。

物語の中心となる人物は、実在した以下の4人です。

1880年〜90年代、アメリカにおいて、電力の普及を巡って、壮絶な争いがあったのだそうです。
直流方式を押す<頭脳で世界のトップにたつクリエイタートーマス・エジソンと、交流方式を推進する<戦略で支配を広げるカリスマ実業家ジョージ・ウェスティングハウスの戦いで、どちらの送電システムが選ばれるかでバトルした「電流戦争」です。

孤高の存在へと自らを追い詰めるエジソンと、周囲の人間の才能を伸ばしながら天下を取ろうとするウェスティングハウス、そして、この二人の対決の鍵を握る天才科学者ニコラ・テスラと、エジソンを支える腹心の秘書サミュエル・インサルたちの、知られざるビジネスバトル。

エジソンズ・ゲーム チラシ(裏)

中学の理科で習った、電流の「直流」と「交流」。懐かしいですね。
現代に生きる私たちが科学の知識として学び、そして、当たり前として使っている電気ですが、実は、およそ130年前のこんな物語が背景にあって、その恩恵を受けることができていたのかと、胸を打たれました。

また、あらゆる歴史の裏ではよくあることですが、プライドと情熱、エゴと野望にかられた天才たちの運命には悲壮感さえ漂い、いろいろ考えさせられる映画でした。

天才発明家  VS カリスマ実業家

直流  VS  交流

頭脳 VS 資金

ところで、エジソンの発明品といえば、撮った映像を観ることができる機械「キネトスコープKinetoscope)」があります。
これによって、映画が誕生しました。
この物語の一番最後、電流戦争を終えた後のエジソンが、映画館の席に腰掛けて、スクリーンを眺めているシーンがあるのですが、それが、「エジソンズ・ゲーム」を観ている私たちの方に視線が向かっているようにも見え、エジソンのダークな部分も描かれた物語でしたが、最後には感謝の念が湧いてきて、感慨深い気持ちになりました。

映画『エジソンズ・ゲーム』公式サイト

ちなみにこの映画、映画館で観て正解だと思いました。
なぜなら、予告編を観てお気づきの通り、電気が一般に普及する前の物語ですので、始終、画面は暗めなのです。
でも、その灯りが際立つ映像が美しかったですし、カメラワークもアーティスティックで幻想的な場面もあったりして見応えがあり、映画館のスクリーンで観ることをオススメしますが、私が行った映画館「フォーラム仙台」での上映は明日(2020年8月13日)まで・・・
ご自宅であれば、少しでも大きめの画面で観られるのが良いかと思います。
携帯画面はもってのほかで、できれば、プロジェクターなんかで観るのがベストかと。

iCODIS RD-813
私も愛用しているプロジェクター。小型で持ち運びにも便利、映像も結構綺麗で、コストパフォーマンス良いと思います。ご参考まで。

最後に、今回も購入したパンフレットについて、簡単にご紹介しますね。

エジソンズ・ゲーム パンフレット(表紙)

エジソンとステラのトリビアと語録のページもあったりして、楽しめます。

エジソンの著名な言葉といえば、
天才とは、1%のひらめきと99%の努力である
がよく知られていますが、
人はお金がいくらあっても幸せにはなれない
とも言ったそうです。
映画でも、お金よりも名誉を得るために必死だった部分がよく描かれていました。

対して、ステラは
あなたの憎しみを電気に変換してしまいなさい。そうすれば世界全体が明るくなる
という言葉を残しています。
また、このパンフレットには記されていませんでしたが、
愛とは与えるものです
とも述べたことで知られています。

電流戦争」という勝負の勝敗には、この辺の気の持ちようもだいぶ影響したのだろうなと感じ、自分自身の日頃の心のあり方についても改めて考えさせられました。


あなたは
電力の歴史
ご存知でしたか?

感動のドキュメンタリー「花のあとさき ムツばあさんの歩いた道」

日本の素晴らしい四季の移ろいをムツおばあちゃんと共に


只今、映画館フォーラム仙台/チネ・ラヴィータ では、「『今、特に観てほしいドキュメンタリー』連続公開」というフェスタが開催されています。

この中から、7/17~7/23公開の花のあとさき ムツばあさんの歩いた道」を観て参りました。
とっても素敵な映画でしたので、ご紹介させていただきたいと思います。

2020年6月12日(金)~7月30日(木):フォーラム仙台/チネ・ラヴィータ の「今、特に観てほしいドキュメンタリー」連続公開

花のあとさき ムツばあさんの歩いた道」は、2002年から放送されたNHKのドキュメンタリーシリーズ「秩父山中 花のあとさき」が映画化されたもので、 秩父の山深い村に暮らす小林ムツさんとご主人の公一さん、そして同じ集落に住むわずかな村民と家族の方々の18年間に及ぶなんの飾り気もない、そのまんまの物語です。

この映画に寄せられた瀬戸内寂聴さんのコメント
「涙があふれて、私はゲクゲク泣き続けました。
丸顔のあどけない顔つきが年と共に美しくいきいきしてきたのは、彼女の暮らしが、花のいのちと共にあったからでしょう」

に、私も心から同感しました。

ムツさんも、ムツさんを取り巻く人々も、なんて優しく愛情深い、素敵なお顔立ちなんだろう。
花や自然を愛し、そして村を訪れる人への思いやりの心を持ち、なんの贅沢もなく、毎日を大切に生きている、きっとその生き様が、お顔に現れているんだろうなと思いました。

映画のチラシ

畑仕事に毎日休みなく生きるムツおばあちゃん。
80前後の年齢で、山の急斜面でも作業し、重い荷物も運び、時には家の屋根にも登ったり、そのたくましい姿に、「かわいいのに、かっこいい!私も頑張らねば!」と力をもらえました。

ちなみに私は、映画を観ると同時にパンフレットも必ず購入します。
映画には出てこなかった写真や、ムツおばあちゃん達の詳しいプロフィールなんかも掲載されていて、とても貴重な冊子です。

映画のパンフレット

ムツおばあちゃん達からは数々の素敵な言葉が発せられていたので、映画を見ている最中、「忘れちゃう前に書き留めておきたい!」と思ったのですが、パンフレットには語録のページがあったので、ありがたかったです。

パンフレットにも掲載されていますし、予告編でも出てくるのですが、ムツおばあちゃんのこの語らいがとっても素敵で、心が温まりました。

花が咲くと何にも忘れるがね
かわいいなぁと思って
花って

香りがそれぞれ違うし
色も違うし
みんなが器量一杯に咲いてくれるから
かわいいよ〜

そう語るムツおばあちゃんの話し方がすごく可愛らしくて、『花のことをかわいいよーて愛(め)でるそんなあなたがかわいいです!』と突っ込みたくなるほどです(笑)

映画を観る前は、単に「かわいいおばあちゃんだなー」程度だった想いが、映画を観ると親近感が湧いてしまって、その後はこの予告編を見る度に「ムツおばあちゃーん」と泣けてきてしまいます。

NHK(カメラマン百崎満晴氏)がこの村で映像を取り始めたのは2002年、その時点で村に住む人々の平均年齢は73歳、撮り続けた18年でどうなるかは、想像がつきますよね・・・

以下は、後半ご主人がなくなった後の、ムツおばあちゃんの言葉です。

(おじいさん)どこに行ってしまったんだか。
なんとなくなあ

寂しくも恐ろしくもないんだけど
つい涙もろくなっちゃった。
人生なんてほんとにあっけねぇもんだが。
83歳になったけども

ほんと、あっという間で過ぎたよ〜

たくましく生きたムツおばあちゃんから出たこの言葉は、なんだか深くて重いです。

日本の山の美しい季節の移ろいにも、心が洗われます。
自然に感謝して、自分のいのちも大切に生きよう・・・
そんな穏やかな気持ちになれる本当に素敵なドキュメンタリー映画でした。


あなたの
故郷の様子は
いかがですか?

父の日にもオススメの映画

アバウト・タイム ~愛おしい時間について~


今日は、2020年6月21日、第3日曜日、父の日ですね。
とういうわけで、本日は、父の日におすすめする映画、「アバウト・タイム~愛おしい時間について~」を、ご紹介したいと思います。

「アバウト・タイム~愛おしい時間について~」は2013年のイギリス映画で、日本では2014年に公開されたSF恋愛映画です。

“SF(サイエンス・フィクション;科学的な空想にもとづいたフィクション)”とされる所以は、主人公である青年ティムがタイムトラベル能力を有していることによります。

私は、映画のジャンルでは、VFX(ビジュアル・エフェクツ;視覚効果、特撮)の効いた近未来モノやファンタジー、冒険モノといった類が好きなので、この映画も、初めは、そういう面白さがあるのかと勝手に思って観たんです。

しかし、その期待には反し、VFXの部分にお金はかかっていない映画でした。

ですが、この映画は、これで良いんです☆

「時間」について考えさせるための材料として「タイムトラベラー」の家系に生まれた主人公という設定を取られたのだと思うのです。なので、そこに特殊効果とかいった映像の面白さは必要ないんですね。

また、時空を超える映画の設定にありがちな、ちょっと無理がある部分も感じますが、そこは映画、ファンタジーならではですから、ご愛嬌。

人生の宝物は
生きてきた日々そのもの!
なにげない一日が、
かけがえのない時間だったと気づく

(DVDのジャケット裏のキャッチコピー)

そして、この映画は「恋愛映画」の部類に入りますが、家族愛についても素敵に描かれています。

主人公ティムの家族がとっても仲良しで、ほのぼのとしていて、羨ましい。
コメディータッチな部分もあり、観ていて笑顔になれるシーンがたくさんあります。
一方、意外とシリアスなシーンもあったりして、ちょっとドキドキしたり、悲しくなっちゃう部分もあるのですが、感情の緩急が心地よい映画です。

ティムの、恋人も家族もとても大切にする気持ちには、心が温まります。

ほんのちょとネタバレですが、最後、父と息子(ティム)が一緒にタイムトラベリングして、浜辺で時間を共にするシーンは、微笑ましくも感動します。
多分、息子さんを持つパパなんかは、泣けてきちゃうと思うな・・・

「Son(息子よ)」「My dad(父さん)」呼びかけるシーン、それだけで泣けてくる・・・

私は、時々この映画(DVD)を見て、かけがえのない時間について改めて考え、感謝するのですが、この短い予告編を見るだけでも、ちょっと泣けてきてしまいます。

about Time」直訳したら「時間について」ですが、邦題として「愛おしい時間について」とされたのは、とっても素敵だと思います♪


あなたとお父さんとの
時間について
想いを馳せてみませんか?

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