チュルリョーニス展 内なる星図 チラシ 図録 クッキー缶

『チュルリョーニス展 内なる星図』で出会ったリトアニア

〜 遠い国の静かな宇宙 〜


国立西洋美術館で開催されている『チュルリョーニス展 内なる星図』へ行ってきました。
(会期:2026年3月28日(土)〜6月14日(日))

正直なところ、私はこれまでチュルリョーニスという芸術家を知りませんでした。
けれど数ヶ月前、私と同じく仙台に住む友人が上野動物園を訪れ、「アート好きなあなたへ」と私のために、この展覧会のチラシを持ち帰ってきてくれたのです。

チュルリョーニス展 内なる星図 チラシ(外面)
国立西洋美術館展覧会『チュルリョーニス展 内なる星図』 チラシ(外面)

そして私は、そのチラシに載っている絵を見た瞬間、「これは好きかもしれない」と直感しました。

チュルリョーニスという芸術家

ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニスMikalojus Konstantinas Čiurlionis、1875年9月22日-1911年4月10日)は、バルト三国の一つであるリトアニアを代表する芸術家です。

彼は画家であると同時に作曲家でもあり、音楽絵画という二つの芸術分野で優れた才能を発揮しました。
ワルシャワ音楽院やライプツィヒ音楽院で音楽を学び、多くの楽曲を残す一方、30歳頃から本格的に絵画制作へ取り組み、わずか数年の間に300点以上の作品を生み出しました。

その作品には、星空神話宇宙といったモチーフが繰り返し登場します。
しかし彼が描こうとしたのは単なる風景ではなく、その奥にある精神世界自然の神秘でした。
音楽用語である「ソナタ」や「フーガ」を題名にした連作も多く、絵画と音楽を一つの世界として表現しようとした独創的な芸術家なのです。

生前は必ずしも高い評価を得られませんでしたが、35歳という若さで亡くなった後、その才能は再評価され、現在ではリトアニアの国民的芸術家として広く敬愛されています。
彼の名を冠した美術館や音楽学校も存在し、リトアニア文化を象徴する存在の一人となっています。

チュルリョーニス展 内なる星図 チラシ(中面)
国立西洋美術館展覧会『チュルリョーニス展 内なる星図』 チラシ(中面)

まず、私が初めてチュルリョーニスの作品を観て感じたのは、そこには、静けさと激しさが同時に存在しているということでした。
星や森や海が描かれているのに、それは単なる風景ではなく、どこか心の奥にある宇宙のようにも感じられる。
また、絵を見ているのに音楽を聴いているようで、音楽を聴いているのに風景を眺めているようでした。

チュルリョーニス 《第6ソナタ(星のソナタ):アレグロ》&《第6ソナタ(星のソナタ):アンダンテ》
チュルリョーニス 《第6ソナタ(星のソナタ):アレグロ》&《第6ソナタ(星のソナタ):アンダンテ》

そして驚いたのが、チュルリョーニスが美術史の上でも「抽象絵画の先駆者の一人」として認められるということです。

彼の作品には、山や森、海や星といったモチーフが描かれている一方で、現実の風景をそのまま再現することにはあまり関心がありませんでした。
むしろ彼が描こうとしたのは、音楽の響きや自然の神秘、そして人の内面に広がる精神世界であり、作品は次第に抽象性を帯びていきます。

チュルリョーニスがこうした表現に取り組んでいたのは1900年代初頭。
それは、私たちが美術の教科書で抽象絵画の先駆者であり巨匠として知るカンディンスキーWassily Kandinsky、1866年12月16日-1944年12月13日)やモンドリアンPiet Mondrian、1872年3月7日-1944年2月1日)が本格的な抽象表現へ向かうよりも早い時期だったのです。

Kandinsky《Yellow-Red-Blue》
Wassily Kandinsky《Yellow-Red-Blue》Public domain, via Wikimedia Commons
Mondrian《CompositionⅡ》
Piet Mondrian《CompositionⅡ》Public domain, via Wikimedia Commons

また、チュルリョーニスは油絵のような重厚な絵画だけでなく、本の装丁、絵はがき、楽譜の表紙、リトアニアの伝統的な十字架のデザインなど、現代でいうグラフィックデザインエディトリアル(出版)デザインの仕事も数多く手がけていました。

いわば、彼は、現代の「グラフィックデザイン」や「視覚伝達(ビジュアル・コミュニケーション)」の視点から見ても、驚くほど先進的なアプローチを行っていたクリエイターだったわけです。
このことは、生前は十分に理解されなかった彼の作品が、時代を超えて新たな価値を見出されている理由の一つなのかもしれません。

リトアニアという国とチュルリョーニス

チュルリョーニスが生きた時代にはロシア帝国の支配下にあったリトアニアは、現在、エストニアラトビアと並ぶ「バルト三国」の最南端に位置する国です。

実は私自身、数年前にエストニアを一人旅で訪れており、たいてい旅行本も「バルト三国」でまとめられているので、その時点でリトアニアにはとても興味を持っていました。
その時にはリトアニアまでは行けませんでしたが、私の中ではいつか行きたい国の一つとなっていたので、今回の展覧会が、リトアニア出身の芸術家の作品によるものであると知った時、なおさら惹かれたわけなのです。


さて、リトアニアとはどんな国なのか。

正式名称はリトアニア共和国(英語:Republic of Lithuania、リトアニア語:Lietuvos Respublika)。
面積は約6.5万平方キロメートルと北海道の約8割ほどの大きさです。
人口は約280万人で、日本でいえば大都市レベルの人口規模ですが、ヨーロッパの歴史と文化の中で独自の存在感を持っています。
首都はヴィリニュス(Vilnius)
中世には巨大なリトアニア大公国として栄え、一時はヨーロッパ有数の大国でした。
しかしその後は周辺諸国の支配を受け、19世紀にはロシア帝国、20世紀にはソ連の支配下に置かれるなど、決して平坦ではない歴史を歩んできました。
そして1990年、ソ連からの独立回復を宣言した最初の共和国となり、現在のリトアニアへとつながっています。

リトアニアを語るうえで欠かせないのが自然です。
国土の約3分の1が森林に覆われ、

  • 深い森
  • 湿地
  • 穏やかな丘陵

が広がっています。
北欧の雄大なフィヨルドとは違い、どちらかといえば静かでやわらかな風景です。
リトアニア人文化精神性には、こうした自然との深い結びつきが今も色濃く残っています。

実はリトアニアには、ヨーロッパの中でも少し特別な歴史があります。
キリスト教化されたのが14世紀末と比較的遅く、それまで長く自然信仰や多神教的な世界観が残っていました。
そのため、

  • 太陽
  • 樹木

などを神聖なものとして敬う感覚が、今でも文化や芸術の中に息づいています。

チュルリョーニスの作品に、

  • 宇宙
  • 星々
  • 神秘的な自然
  • 夢のような風景

が多く登場するのも、こうした土壌と無関係ではないでしょう。

また、リトアニアはしばしば「歌う国」とも呼ばれます。
民謡や合唱文化が非常に盛んで、人々は古くから歌によって歴史や文化を受け継いできました。
バルト三国では1980年代後半、ソ連支配からの独立を求める人々が大規模な合唱集会を開きました。
この平和的な独立運動は「歌う革命」と呼ばれています。

音楽が人々の精神的な支えとなってきた国だからこそ、チュルリョーニスのような「画家であり作曲家でもある芸術家」が国民的存在になったのかもしれません。

チュルリョーニス 《ピアノのための交響詩「海」の楽譜 草稿》
チュルリョーニス 《ピアノのための交響詩「海」の楽譜 草稿》
「リトアニア的ではない」と言われた芸術

しかしながら、生前のチュルリョーニスに対しては、「リトアニアらしくない」という批判もあったそうです。
彼の作品は民族衣装や歴史的英雄を描くわけではなく、あまりにも幻想的で象徴的だったからでしょう。

ですが後年、

ここにはどれほどのリトアニア性が込められているだろう!

と評価する声が現れたとのこと。

それはおそらく、チュルリョーニスリトアニアの風景そのものではなく、「リトアニア人が自然や世界と向き合う感覚そのもの」を描いていたからだと思います。

森に漂う霧。
静かな湖面。
果てしない星空。
自然への畏敬と、どこか物悲しい美しさ。

彼の作品には、そうしたリトアニアの精神風土が静かに息づいているように感じられます。

早すぎる死と、妻ソフィヤの存在

チュルリョーニスの人生を知るほどに、私は妻ソフィヤの存在が気になりました。
今回の展示内ではソフィヤのことについて事細かには説明されていませんが、図録やネットなどから私なりに紐解いてみました。

妻のソフィヤ・チュルリョーニエネ=キマンタイテSofija Čiurlionienė-Kymantaitė、1886年3月13日–1958年12月1日)は、単に「天才を支えた献身的な妻」という枠には収まらない、当時のリトアニアの文化・社会をリードした非常に聡明で自立した女性だったということです。

彼女は、美術や演劇を愛し、記者や文芸評論家として働きながら、自らも詩や小説を執筆していた創作者でした。
二人は互いの芸術を理解し合い、共に創作の道を歩もうとしていたといいます。

しかし、その時間はあまりにも短く終わってしまいました。
二人の結婚生活は、チュルリョーニスが精神を病んで入院するまでのわずか1年ほどでした。

チュルリョーニス 《レックス(王)》
チュルリョーニス 《レックス(王)》

オルガン奏者であった父を持つチュルリョーニスが、音楽の才能を開花させるのは幼少の頃ですが、画家としての彼の活動期間は、1903年から1909年までの実質わずか6年ほどでした。
この短い間に、彼は300点以上の絵画作品や無数の楽曲を残しています。
寝る間も惜しんで創作に没頭する一方で、経済的な困窮も重なり、心身は限界を迎えていました。

代表作である大作『レックス(王)』を完成させた1909年の年末には、深刻な燃え尽き症候群(バーンアウト)と深い鬱状態に陥ってしまいます。
精神科医から「極度の精神的・身体的消耗」と診断された彼は、1910年の初めから、ワルシャワ近郊にある「ツェルヴォニ・ドゥヴル(赤い館)」という静かなサナトリウム(療養所)に入院することになりました。

悲劇が起きたのは、翌年1911年の3月末。
体調が良くなってきたため散歩に出かけたところ、運悪く風邪をひいてしまい、それが重い肺炎を併発してしまって、帰らぬ人となってしまったのです。
35歳という若さでした。

けれど彼の芸術はそこで終わりませんでした。
作品を守り、その価値を信じ続けた人がいたからです。

チュルリョーニスが35歳で亡くなったとき、ソフィヤはまだ25歳で、生後数ヶ月の幼い娘ダヌテを抱えていました。
チュルリョーニスと娘が会うことも叶わぬまま、ソフィヤはシングルマザーとなってしまうのです。
過酷な運命に直面した彼女でしたが、そこからの人生でリトアニアの文化に計り知れない貢献を残しました。

このソフィヤの存在を知ったとき、私はチュルリョーニスの物語は一人の天才の物語ではなく、二人で紡がれた物語でもあったのだと感じました。

チュルリョーニス展 内なる星図 チラシ 図録 クッキー缶
国立西洋美術館展覧会『チュルリョーニス展 内なる星図』 図録 チラシ クッキー缶
日本との不思議な縁そして私が感じた縁

生前のチュルリョーニスの評価は、決して高いものばかりではなく、戸惑いや批判の声も少なくなかったというのは、彼の作品は時代を少し先取りしすぎていたからなのかもしれません。

それでも彼は、音楽を奏で、絵を描き、自らの国の文化に貢献しようと創り続けました。
そして彼の死後、妻ソフィヤやその価値を信じた人々が作品を守り続け、やがて時代は彼に追いつきます。
チュルリョーニスリトアニアを代表する芸術家として再評価され、その作品は国の大切な文化遺産となりました。

国立西洋美術館研究員による解説『チュルリョーニス展 内なる星図』(本展覧会場入口でも放映されている動画ですが、展示を観る前と実際に観た後ではまた印象が変わるかもしれません)

さらに興味深いことに、リトアニア独立回復後に企画された大規模回顧展の海外での最初の開催地は、なんと日本だったのです。

今回の展覧会『チュルリョーニス展 内なる星図』のチラシには”祖国リトアニアにおける生誕150周年の祝賀ムードを引き継いで開催される本展は、日本では34年ぶりの回顧展。”と明記されていたので、展覧会に行く前には、「私は10代の時だし知らなかったど、日本でも過去にこの人の展覧会されたことあったのか」程度にしか思っていませんでした。
が、意外にもそれが世界に先駆けてだったとは ──

1992年セゾン美術館で開催された『チュルリョーニス展 ─ リトアニア世紀末の幻想と神秘』
天皇陛下(現:明仁上皇陛下)も鑑賞されたとのこと。
当時、日本で世界初の回顧展が開催された背景には、ソ連から独立したばかりのリトアニアが自国の偉大な文化を世界にアピールしたかったタイミングと、当時の日本の圧倒的なカルチャー発信力、そしてソ連時代からチュルリョーニスを熱心に研究し信頼関係を築いていた日本の専門家たちの情熱が、奇跡的に合致したというドラマがあったのだそうです。

100年以上前に生きた一人の芸術家と、遠く離れた日本。
その不思議な縁に、私は少し心を動かされました。

チュルリョーニス自身は日本を訪れたことがありません。
しかし19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパを席巻したジャポニスムの影響は、彼の時代にも及んでいました。

作品の中には、日本美術を思わせる平面的な構成や、余白を活かした空間表現、自然へのまなざしを感じることもあります。
どこか日本人の感性と響き合うものがあるのです。
だからこそ私は、日本で最初の大回顧展が開催されたことを知ったとき、不思議な偶然というより、どこか必然のようにも感じました。

チュルリョーニス 《第5ソナタ(海のソナタ):フィナーレ》
チュルリョーニス 《第5ソナタ(海のソナタ):フィナーレ》(葛飾北斎の《神奈川沖浪裏》を参照したと思われる作品)

そして、私にとっては、友人が何気なく持ち帰ってくれた一枚のチラシから始まった今回の出会い・・・
その先には、一人の芸術家だけでなく、リトアニアという国の歴史や文化、そして日本との意外なつながりが広がっていました。

遠い国の静かな宇宙は、思いがけず私の心の近くまで届いていたのです。

リトアニアを旅するイメージもますます広がり、この展覧会に足を運んだ後も至福に包まれています。
心から、感謝。。。

国立西洋美術館
国立西洋美術館

国立西洋美術館
住所:東京都台東区上野公園7−7
Webサイト:https://www.nmwa.go.jp/jp/



あなたにも
遠い国から届いた
宝物はありますか?

遠い国から届いた宝物

岡沢幸さんの版画展 “かさなる線、描く形 ”

仙台藤崎ギャラリーにて開催されました


先週末になってしまいますが、ここ仙台の銅版画家 岡沢幸おかざわみゆきさんの個展にお邪魔しました。

今年(2022年)6月に、仙台のアートギャラリー蒼SOU&SOで拝見した岡沢幸さんの個展はファブリック展だったのですが、今回は版画展ということで。

もちろん、さんによって生み出されるファブリックはとても個性的で魅力的なのですが、是非じっくり見てみたいと、ずっと気になっていた銅版画も展示されるとのことで、今回の版画展は楽しみにしていました。

以下は、お送りいただいたご案内葉書。

以前、さんの版画作品を見た時に、宇宙観のようなものが漂う中に感じる静寂にすごく惹かれてしまいまして。
以下がその時、仙台のアートギャラリーTURNAROUNDでの展示の様子についてインスタグラムへのポストを再掲します。

この動画にはおさめていなかったのですが、小さな銅版画作品も拝見でき、ブルーやグリーンというアースカラーに、交わるシルバーの輝きが美しくて癒されて、いつまで見てても飽きなくて。
岡沢幸さんの作品、他も見てみたいな、そして、いつか自分のそばにも置いておきたいな・・・と思ったのでした。

そして、今回行くことができた、岡沢幸さんの版画展かさなる線、描く形」。

仙台藤崎の美術ギャラリーで、11月24日(木)〜30日(水)まで開催されていました。

大胆な構図と彩色が印象的で、他に類を見ないドライポイント作品。

美大生時代、初め、版画の技法の一種で細かな作業が必要となるメゾチントを叩き込まれた岡沢幸さんは、緻密であることだとか、こうあるべきということに囚われていた感があったそう。
ですが、引っ掻くだけのシンプルな作業であるドライポイントを取り入れてからは、大胆で良いのだという感覚を得、偶発的に生み出される表現の面白さや、イメージを描く以上に作品を生み出すまでの行為そのものを楽しめるようになったのだそうです。

もともとは抽象画には苦手意識があった私でも、岡沢幸さんの感性には不思議にとても惹かれるものがあって。

具象と抽象のあいまった表現に、どこか感傷的でもありつつ静けさと穏やかさの中に、宇宙的なパワーのようなものを感じるというか。

胎内記憶のお話から着想を得たという「In the sky with Diamond」や、植物の根のイメージによって表現された「garden」と題されたシリーズが、私はとても好きです。

残念ながらガラスへの反射があってあまり綺麗に写真が撮れなかったので、さんご自身がインスタグラムに過去に投稿されていた記事をこちらにシェアさせていただきます。

また、今回の藤崎での展覧会は終わってしまいましたが、現在、岡沢幸さんのステンシル作品が、アキウルミナートの一環で、秋保の蕎麦カフェ「SOBA to GARETT あずみの」で展示されているそうですので、こちらも転載させていただきますね。

さて、私のアートスペースにもようやく作業テーブルが入ったので、整備に本腰を入れていこうと思います。
もしかしたら、我がアートスペースには岡沢幸さんご本人の投稿にも見当たらなかった、グリーンとシルバーのきらめきが素敵な「garden」をお迎えすることになるかな・・・

アートは、単に見るだけでも感性が刺激されるのですが、やはり、作家さんご自身より作品に秘められたストーリーを伺うと、その奥深さにますます惹かれ面白さを感じると同時に、自分自身のイマジネーションの幅が広がる気がします。
この度も、貴重なお話をたくさんお聞かせいただき、本当にありがとうございました。


あなたは
どんな時に
想像力が膨らみますか?

Shu Ito 写真展「 Pulse -屋久島の鼓動-」東京で開催中

旅する写真家 Shuさんが捉えた屋久島の素晴らしい自然に癒されたい


ここ仙台出身の写真家Shu Ito(伊藤秀海)さんの個展について、先日、当ブログでも簡単に告知させていただいたところでしたが、いよいよ始まりました!

展覧会の準備風景

告知させていただいた記事はこちら
日本の魅力を伝える写真家 Shu Itoさんの情味溢れる動画/「クールジャパンコンテスト2021」にノミネートされるのも納得!


以下は、Shuさんのインスタグラムサイトで、今回の写真展開催前日、会場(ケンコー・トキナー ギャラリー)の設営完了後にポストされたものです。

写真好きなら知っている「ケンコー・トキナー」は、カメラのレンズに利用するフィルターにおいて日本を代表するメーカーさんです。
フィルターって種類がたくさんあって、メーカーも数社あるので、どれが良いか迷うのですが、ケンコー・トキナーさんなら間違いないだろうと思って、私も愛用してます♪

そんな大手ケンコー・トキナーさんがShuさんのスポンサーとなってから初の記念すべき今回の写真展が、先日2022年4月13日(水)より開催されているのです。

というわけで、こちらは、ケンコー・トキナーさん制作によるShuさんの個展のPR動画。


こちらでもお話しされているように、フィルターやカメラの機能を活用した抽象的な表現がされた作品も展示されていて、じわじわと人気度がアップしているようです。

特に今回は、展示されている写真を購入できるのはもちろんのこと、更には気に入った作品を別途ピュアWプリントにして購入できるというとっても嬉しいスタイルが取られているのだそう!

ピュアWプリントとは、写真がいわばステンドグラスみたいな感じで光を透過して、両面からその美しさを楽しむことができる特殊な印刷なのですが、そのプリントによるShuさんの作品がとっても人気なんです。

ピュアWプリントによるShuさんの作品についての記事はこちら
写真家 伊藤秀海 (Shu Ito)のフォトインテリア/美しい風景と光が奏でる素敵なアート
写真家 Shu Ito @東北 HAPPY HOLIDAY 2021/素敵すぎたイベントに忘れない感動と心からの感謝


さて次は再び、Shuさんがインスタグラムへ投稿された過去Picです。
昨年(2021年)の8月に、Shuさんが初めて屋久島を訪れ、現在へと至るきっかけとなった時のものですね。


美しいもの感動できるものを捉える眼力って、養われるものだと思います。
海外と日本各地を旅し、様々な風景や人と文化に出会って豊かな心とその眼力を培ってきたShuさんによって捉えられた自然は、生き生きとしていながら、荘厳さの中に静けさや優しさが宿っていて、本当に美しい。

日本人である私たちでさえも情報化社会の現代で忘れがちな、ここ日本の素晴らしい自然の描写、Shuさんのアーティスティックな表現力もますます磨かれていて、一見の価値ある展覧会です。

今回の写真展もまたきっかけとなって、今後Shuさんの活躍の場や作品展の開催もますます増えることと思います。
たくさんの方々に笑顔あふれ価値ある出会いがもたらされ、幸せが広がって行きますように★彡



会場であるケンコー・トキナー ギャラリーについてですが、東京中野区にあるケンコー・トキナー本社ビルの2階に、フィルターやそれ以外にも様々なカメラグッズを扱うショップがあり、その隣にギャラリーが併設されていて、入場は無料です。

『伊藤秀海 写真展 Pulse – 屋久島の鼓動 -』
会期:2022年4月13日(水)〜4月25日(月)
会場:ケンコー・トキナー ギャラリー
住所: 〒164-8616 東京都中野区中野5-68-10 KT中野ビル2F
開館時間: 11:00 – 19:00(火曜定休)


あなたは
どんな風景に
心が癒されますか?

心やすらぐメロディー感じる♪ 画家 中川和寿さんの作品展

唄がテーマのあたたかくて穏やかな絵画の癒し


先週、今週と、中川和寿さんの個展へ行ってきました。
先月(2022年1月)のTV放映をご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが、中川さんは音楽に合わせて絵を描くライブドローイングというパフォーマーとしても知られている、仙台在住の画家さんです。

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画家 中川和寿 作品展
前期:”Whale song” 2/2(水)-2/13(日)
後期:”地平線の唄” 2/15(火)-2/27(日)
会場:Gallery The attitude(仙台市青葉区昭和町1-37 眞野屋内)
時間:10:00〜21:00
*会期中の土日祝日は中川さんご自身も在廊

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前期:”Whale song” 2/2(水)-2/13(日)
後期:”地平線の唄” 2/15(火)-2/27(日)

2022年2月2日からスタートした展覧会は、前期と後期とでテーマが異なっていて、一部作品の入れ替えではなく、完全に趣が変わるので、中川さんファンにとっては嬉しい企画。
ギャラリーがこじんまりとしているので、こういった手法になったということもあるかと思いますが、それぞれに足を運ぶと、同じ作家さんの作品でも新鮮な気持ちで楽しむことができて面白いなと感じました。

現在(2022年2月17日)は後期に入ってしまっていますが、今展示終了後、年内はここ仙台での展示はなさそうとのことですので、今回初めて中川さんを知った方にとっても、すごく貴重な機会です。
*無事「ARABAKI ROCK FEST.(あらばきロックフェスティバル)」が今年開催されればご参加されるそうですが、予め入場チケット購入しなきゃですしね・・・

さて今回も、既にインスタグラムに記事を投稿しているので、こちらにアーカイブしておきます。

ところで、アートファンの私は、中川和寿さんについてはしばらく前から知っていたものの、なかなかお目にかかることができずにいたのですが、昨年10月に仙台西公園で行われたイベント「東北HAPPY HOLIDAY」に参加した際に、出店とライブドローイングのパフォーマンスをするために参加されていた中川さんに念願かなってお会いすることができたのでした。

関連記事
仙台出身の写真家 Shu Ito(伊藤秀海)凱旋展示!
写真家 Shu Ito @東北 HAPPY HOLIDAY 2021

そして、今回の素敵な個展。
中川さんが描く、唄をテーマとした作品にはあたたかさが満ちていて、心地よい旋律が 聴こえてきそうで、穏やかで豊かな気持ちになれます。
作家さんご自身ともいろいろとお話しすることができて、本当によかったです。

中川和寿さんのWEBサイト

また、ワークスペースとギャラリーを兼ねたアートスペースを自宅に併設する計画を進めている私にとって、今回の展示会に触れたことで、イマジネーションもさらに高まる有意義な機会となりました。
大感謝です。ありがとうございました!

眞野屋内にあるGallery The attitudeは、2021年10月にオープンしたばかりだそうです。
眞野屋は、2019年に北仙台にオープンしたライフスタイルショップで、地産地消の商品を中心に、美と健康を意識した食材や雑貨が販売されている他、イートインやレストラン、ベーカリー等が併設されています。

食事やショッピングついでに気軽に立ち寄れるギャラリーって、良いですね♪
北仙台にはピンとこない人も少なくないかもしれませんが、地下鉄またはJRの北仙台駅から徒歩でもすぐなので、この機会に是非!

眞野屋 WEBサイト
Gallery The attitude WEBサイト


あなたにとって
心地よい旋律って
どんなですか?

アートなうつわと美味しいひととき

2021年冬のガラス工房尚とパウンドケーキ専門店YOU&G


先日、友人がお手伝いしているガラス工房で、今年最後の展覧会をされているとのことで、秋保に行ってきました。
訪れたのは、「ガラス工房尚」さん。

ちょうど昨年の同じ頃に開催されていた展覧会にもお邪魔させていただいたのですが、気がつけば、それ以来。
月日の流れの速さを感じます・・・

昨年の記事
3時のおやつ展@ガラス工房尚/楽しくて美味しくなる♪3人のガラスと金属の素敵なコラボレーション

ガラス工房尚さんのある秋保は、宮城県仙台市に位置しますが、仙台でも山形県寄りの山里にあり、私の住む同じ仙台市でもちょっと気候が違います。
冬を迎えたとは言え、仙台の街中では雪は見ませんが、ここに来たらうっすら雪化粧。
でも、山の冬景色も良いものですね・・・

さて、今回開催されていた展覧会はこちら。

三人展ーアートなうつわー

◾️モザイクガラスを追求するガラス作家ー鍋田尚男(なべたひさお)氏

◾️プリミティブな表現の陶器作家ー垣野勝司(かきのかつし)氏

◾️優しく楽しい絵付けの磁器作家ー関根昭太郎(せきねしょうたろう)氏

こちらの3名のアーティストがコラボレーションした展覧会で、どれもそれぞれの個性、特徴があって、見るだけでも楽しませていただけるものでした。

今回は、陶器作家でいらっしゃる垣野勝司さんが、大分からはるばる来仙してくださっていました。

向かって左手がガラス作家の鍋田尚男さん、右手が陶器作家の垣野勝司さん

垣野さんの作品には初めてお目にかかり、自然で素朴な雰囲気が好きな私は、垣野さんのそのまさにプリミティブ*な作風にとても引き込まれました。


*プリミティブ(primitive): 原始的、素朴な、根源的な、などといった意味で、美術用語としては、プリミティヴィスム (Primitivism)=原始主義、プリミティブ・アート(primitive art)=原始美術などが使われます。有名なアーティストの例で言うと、ゴーギャンやピカソがその系統です。

垣野さんからはいろいろとお話もお聞かせいただけて、素敵な作品も購入でき、貴重な機会に恵まれたことに今回もまた心から感謝です。
垣野さんの、大分にあるくにさきかたち工房も、是非いつか訪ねさせていただきたいと思ってます。

ちなみに、この度購入させていただいたのが、こちらの品々。
化粧泥を刷毛で何度も塗り重ねられて出た風合いに味がある角皿、昔ながらの形と内側の底のブルーが美しい湯呑茶碗、土のザラザラ感と銀の組み合わせが素朴ながらも他に類を見ないぐい呑、これらは使って行くうちに色味も変化するそうで、それもとても楽しみです♪

ところで実は、今回の訪問には、展覧会以外にも、とーっても心待ちにしていたことがあります。
それは、こちらのギャラリーで楽しめるカフェタイム。

ガラス工房尚・シーダーギャラリー」にはカフェが併設されていて、ガラス作家鍋田尚男さんの奥様でいらっしゃる久美子さんが飲み物や軽食を提供してくださいます。

メニューはその時々で変わるのですが、数ヶ月前から出されている「ハンバーガー」の存在をインスタグラムで知ってその映えな出で立ち、そしてこちらの工房をお手伝いしている友人ががめっちゃ美味しいと言っていたこともあり、ずっと絶対いただきたい!と思っていたのです。

久美子さんのご実家であられる新潟の老舗ステーキハウスうすい牧場から取り寄せられているお肉の手作りパティでアレンジされた、お得で絶対に美味しいバーガーランチ!!

使われている食器も作家さんによるものたちで、見ても楽しく、贅沢。
しかも、バーガーに刺された可愛いピックもガラス工房によるもので、お持ち帰りできちゃいます♪
見た目も迫力なハンバーガーですが、付け合せの手作りピクルスやマッシュポテトも含め、もう本当に美味しかった!
また食べに来よう、そう思うこと請け合いです。

そんなランチタイムをゆったりと過ごし、工房を後にしてから立ち寄ったのは、こちら、高級パウンドケーキ専門店YOU&G+cafe

YOU&Gさんについては、今年の春にありがたいご縁があって、当ブログでも既に取り上げさせていただいているのですが、オープンされた店舗を訪れるのはこれが初めてです。

過去の記事
しっとりずっしり魅力の詰まった至福のパウンドケーキ/パウンドケーキに愛と情熱をかける“YOU&G”実店舗がまもなくオープン
待望のYOU&Gクラファン返礼品!/それは支援者の願いに応えたオリジナルケーキ♪

コンクリート造りのクールな外観の中にも、素敵なアートが施されていて、ほっこりする空間のカフェ。

実はこちらでは、前出のガラス工房さんの作品に出会うことができます。
テーブルに飾られているお花の花瓶もそう。

次の写真にチラリと写っているのは、シェフの宍戸元紀さん。
とても優しいのに、美味しいパウンドケーキ作りに熱い情熱を注ぎ続ける素敵な方です。

ショーケースに並んだパウンドケーキはどれも美味しそうで、迷っちゃいますね。

この度、ようやく叶った実店舗訪問なので、カフェでいただいて行くことにしました。

私が選んだのは、季節限定の3カ国の栗パウンドケーキ
ピューレにしたフランス産の栗が混ぜ込まれている生地に、熊本県産の和栗チリ産の大粒栗がゴロッと入った一品で、3種が調和した栗の自然な甘み、濃厚で、食感も楽しくすごく美味しい!
栗好きさんはもちろんのこと、ケーキのモンブラン好きさんもきっと気にいると思います。

飲み物には、日本茶をお願いしました。
宮城県北東部の桃生町で栽培される「北限のお茶 桃生茶」、こちらも美味。
ティーポットでたっぷり、ゆっくりいただけます。

さて、友達が選んだのは、カフェ限定メニューのフルールフロマージュ蔵王ヨーグルトソース付き
ガラス工房さんのプレートと相性抜群、見た目にも楽しませてもらえて、優雅な気分に浸れます。

YOU&Gさんは、つい先日の12月1日には仙台駅前店もめでたくオープンされたので、こちらなら私でも仕事帰りに寄れるし、持ち帰りはいいかなあーと思っていたのですが、美味しさを味わったら、やっぱり買って帰りたくなってしまいました。
結局、カットパウンドケーキ3つ購入してお持ち帰り。笑

とっても素敵なアートな器と美味しいカフェタイムを堪能した充実の1日でした。本当にありがとうございました。




ちなみに、昨日、仕事帰りに、YOU&Gさん仙台駅前店にも立ち寄らせていただきました。

こちらはイートインなしですが、先日お伺いした愛子のお店では出されていなかったパウンドケーキのラスクがあったので、そちらを購入させていただきました♪

それぞれ、抹茶のラスクアーモンドのラスク

パウンドケーキがサクサクのラスクに。
早速、抹茶のラスクを、陶器作家垣野さんの器にのせて。
幸せ〜 ^ ^




なお、ガラス工房さんでの今回の展覧会は終わってしまいましたが、つい先月に増設された体験工房(要予約)など、通常営業は年内26日までで、年明けは1日からとのこと。
(営業時間 10:00〜 16:00/定休 水曜・木曜日)
その間、カフェもオープン、ハンバーガーも引き続き食べられるそうですよ♪

体験工房もチラ見せさせていただきましたが、こちらもとっても素敵☆
またバーガー食べたいし、ガラス体験もしたいし、工房の作りも参考にさせていただきたく、是非またお邪魔して記事にさせていただきたいと思っています。


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ランス美術館収蔵品と日本皇室の美が一度で楽しめる贅沢@仙台

宮城県美術館で見応えある特別展が同時開催!


この秋、絶対に行きたいと思っていた宮城県美術館での特別展。
9月18日(土)から「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」と「宮内庁三の丸尚蔵館所蔵 皇室の名品展 皇室の美-東北ゆかりの品々」という2大特別展が宮城県美術館において開催されています。
しかも「ランス美術館展」のチケットの購入のみで「皇室の美展」も見ることができるというありがたさ。

この展示予定を知った時点で、芸術の秋にふさわしい展覧会!絶対行く!!と決めていたものの、気がついたら終了目前でした。
いずれも、11月7日(日)が最終日です。

朝の静かな西公園の広瀬川沿いです。宮城県美術館への道すがら。
宮城県美術館前の看板
宮城県美術館の正面入り口

文化の日(2021年11月3日)にギリギリ滑り込みで行ってきたのですが、お客さん、結構いらっしゃいました。
チッケト購入窓口には時々長い列もできていて、私も比較的すいていた時でしたが数分並んだので、前売券買っておけばよかったとちょっと悔やみました。

どうやら、11月3日(水・祝)は宮城県美術館の開館記念日とういうことで常設展無料観覧日だった模様(知らなかった〜)。
故に、常設展示場を使われていた「皇室の美展」が無料となっていたことも、混んでいた理由の一つかもしれません。

ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」の当日券料金は、一般 1600円、学生 1400円、小・中・高校生800円です。
これがあれば「皇室の美展」及び「常設展」も観られます☆

さて、その日の私の巡り方は、庭の散策→「皇室の美展」→カフェでランチ→「ランス美術館展」→ミュージアムショップ物色という流れ。

予めチケットを購入して、まずは庭の散策へ。
宮城県美術館の庭にあるおなじみの彫刻作品たちも、秋色に染まった背景の中で見ると、他の季節の時とまた違った趣を感じます。

秋の宮城県美術館庭園を堪能したのちに館内へ戻り、宮内庁三の丸尚蔵館所蔵 皇室の名品展 皇室の美-東北ゆかりの品々」を観覧しました。

宮内庁三の丸尚蔵館所蔵 皇室の名品展 皇室の美-東北ゆかりの品々」は、1階の常設展示場が会場です。
でもこちら、いわゆる「常設展」ではないわけで。
(宮城県美術館所蔵作品による常設展もこの特別展に続いて見ることができるように配置されていました)
展示数は多くはありませんが、かなり貴重な展示がされていて、ランス美術館のチケットさえ購入していれば見られるというのはお得すぎる内容でした。

前期と後期で展示内容が一部変わっていたそうで、早めにチケット購入して前期を見ておいて、後期を文化の日に無料で観覧する方法が良かったのだろうなと思いました(後の祭りだけど・・・(涙))。

宮内庁三の丸尚蔵館所蔵 皇室の名品展 皇室の美-東北ゆかりの品々」のチラシ
(画像をクリックするとPDF画面が開き、拡大できます)

驚いたことに、この展示では、入場者全員にパンフレットが配られていました。
A4サイズで、上質な用紙に、23ページオールカラー。
こんな冊子を無料で配布するなんて!!
今まで様々な展覧会を見てきましたが、これまでにない経験。さすが宮内庁、太っ腹。

でも、やはり、実物を観るに勝るものはない・・・
例えば、チラシ(表面)にも掲載されている、大島如雲(オオシマジョウン)の「菊折枝置物」は、画像ではピンときませんが、実物は、蝋型鋳造でこんな作品を生み出すなんて!と目を見張るものでした。
銅による鋳造作品で、驚きの精巧さと量感、菊の花でありながら黒一色なのに、とても美しい。

東山魁夷の「平成度 悠紀地方風俗歌屛風」(チラシの裏面に記載あり)も、感動でした。
前期では右隻、後期では左隻が展示されたもので、私が観ることができたのは左隻のみ。
パンフレットには並べて記載されていて、これこそ実物を両隻とも並べられたものを観ることができたら!と思いましたが、片方だけでも観る価値超大。

数々の”皇室の美”の中でも、今回は、ここ仙台での開催にちなんで「東北ゆかりの品々」の展示とされていますが、東北地方と皇室の関わりは、明治天皇が東北地方巡行したことに始まるということを、当時の写真によって紹介されていたのも興味深かったです。
当時はまだ新しい技術であった写真の活用、明治天皇に随行して撮影した写真師長谷川吉次郎という人のことを知ったのも、写真好きとしては嬉しい知見。

皇室の東北地方にゆかりのある素晴らしい品々を展示していただけたことは、東北人としてありがたいことでした。

ミュージアムショップに隣接したカフェ「café mozart Figaro /カフェ モーツァルト・フィガロ

館内のカフェでは、「ランス美術館コレクション」にちなんだ特別展限定メニューが♪
ランチメニューの提供は11時からということで、「皇室の美展」を観てからちょうど良い時間、私は朝食もそこそこで出てきたので、ブランチとしていただくことにしました。

特別展限定メニュー♪ 贅沢にキャビアとホタテ、サーモンを乗せたオレキエッテのクリームパスタ

お腹が満たされたら、ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派への観覧へ。
おなじみ、2階の特別展示場にて。

ランスはフランスの北部に位置し、シャンパーニュ(シャンパン)の産地としても知られる歴史ある都市です。
その中心部にある「ランス美術館」が大規模拡張のためリニューアル工事をすることとなり、その休館中に貴重な所蔵品を日本で展示する運びとなって、印象派による風景画のコレクションを中心に企画された「ランス美術館展」が2021年4月名古屋市美術館での開催を皮切りに始まりました。

巡回は、名古屋に始まり、SOMPO美術館(東京)→ここ宮城(宮城県美術館)→静岡市美術館→茨城県近代美術館と続きます。

ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」のチラシ
(画像をクリックするとPDF画面が開き、拡大できます)

印象派といえば、力強い筆のストローク、光や空気の質感、斬新な描画アングルなどによって表現されるのが特徴。

風景画を描き続け、印象派へ影響を与えたカミーユ・コローの作品に始まり、“空の王者”と賞賛されたウジェーヌ・ブーダン、印象派の巨匠として誰もが知るオーギュスト・ルノワールクロード・モネらなどの名作の数々が一堂に展示されていました。

今回の展示での私にとっての収穫の一つは、好きなアーティストが増えたこと。
それは、アンリ=ジョセフ・アルピニー
父の工場勤務や旅商人を経て20代後半で画家となったフランス人で、「穏やかな田園と樹のミケランジェロ」とも讃えられたそうです。
季節感の表し方や光線の処理、一日の様々な時間をどう描くかといったことを重視していたということですが、個人的にはアルピニーが切り取った構図に、色彩感覚、力強くも優しさを感じられるタッチと質感が好みです。

今回購入したハガキ。
額縁に入れてみたのが、アルピニーの「夜明け」。右がコローの「小川、ボーヴェ近郊」、左下がフェリクス・ジエムの「コンスタンティノープル(イスタンブール)」
ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」の図録は、A4変形、ソフトカバーで厚すぎず(150ページほど)、私にはちょうど良いサイズ感♪

日本の精巧なアートに、フランスの印象派によるアートという、趣向が全く違う作品の数々を一度に見ることができ、静寂の空間の中にありながらも刺激的で贅沢な展覧会でした。

貴重なこの2大特別展は、明日(2021年11月7日)終了してしまいますが、良い感じに紅葉してて情緒ある宮城県美術館庭園の散策だけでも、心もゆったり和むので、オススメです。

カフェの外側は中庭となっています。お天気が良い日はテラス席も人気。
宮城県美術館の裏(北)庭。秋ですね。

あなたは
日本美術と印象派の作品
どちらがお好みですか?

情動感じる造形 香月泰男のマチエール

生誕110年 香月泰男展 @宮城県美術館


前回(2021年8月15日)投稿した「るーぷる仙台で2大ミュージアムを巡る!まずは『古代エジプト展』」に続き、仙台市博物館の次に訪れた宮城県美術館で開催中の特別展についてを、本日は紹介させていただきます。


その日、仙台の観光バスるーぷる仙台にて巡ったのは、「ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展」が開催されている仙台市博物館、そして「生誕110年 香月泰男展」が開催中の宮城県美術館です。

るーぷる仙台宮城県美術館を訪れる際に降車する停留所は「国際センター駅・宮城県美術館前」。
ここから歩いて2分ほどで宮城県美術館に到着します。


しかしながら、再び、ここ宮城も独自の緊急事態宣言が発令されました。期間は8月20日(金)より9月12日(日)まで。
「混雑した場所への外出半減、不要不急の外出を自粛するように」とのことで、飲食店や施設等の時短要請などは出ていますが、るーぷる仙台は運行を停止しておらず、展覧会も中止はされていません。

今回私が訪れたのは平日で宣言前でしたが、仙台市博物館は、平日にもかかわらず、多くの人が訪れていました。
「エジプト展」というテーマ、夏休みということもありお子さん連れが多く、土日祝日なら完全に密な状態になるかもしれないと想像します。
宣言が出された今は、入場はある程度制限されているかもしれません。

さてしかし、私が博物館を訪れた日と同日、宮城県美術館の方はといえば、とっても静かでした・・・


夏は緑が生い茂り、空気がみずみずしく感じて、お天気の日は美術館付近を散歩するのもとても気持ちが良いのですが・・・


話題の展覧会が開催されると、宮城県美術館のカフェはいつも人がいるのですが、この日は人けもなく・・・


私にとっては絶対に見たいと思っていた特別展だったので、ゆったりじっくり観覧することができそうだと、嬉しくはあるのですけれども。


2021年7月3日(土)から9月5日(日)まで、宮城県美術館で開催されいるのは生誕110年 香月泰男展」です。
この静けさ、香月泰男(かづきやすお)の名を知る人は多くはないということなのかもしれませんね。


香月泰男(かづきやすお)は、1911年10月25日、山口県大津郡三隅村(現在の山口県長門市三隅)に生まれ、62歳でその故郷において生涯を閉じるまで、独自の創作活動を貫き、20世紀中頃の美術界に大きな足跡を残した画家です。
今年、生誕110年を記念して、ここ仙台を皮切りに、大規模な巡回展が始まりました。
(宮城県での本展覧終了後は、神奈川県立近代美術館新潟市美術館練馬区立美術館足利市立美術館と巡回する予定とのことです)

香月泰男は幼少の頃から紙さえあれば何かを描き、無口でおとなしく、友だちと遊ぶよりひとりで裏山に登って風景を描く方が楽しいという人物だったそうです。
幼くして両親と離別し兄弟もいないという寂しい過去を持つ香月泰男にとって、絵を描くことは自分だけの世界を創ることであり生きる喜びであったのかもしれません。

1936年に東京美術学校(現在の東京藝大)を卒業したのちは、美術教師として教鞭をとる傍ら、独自の制作にも意欲的で、文部省美術展覧会で特選となるなど、名が知られるようになります。
しかし戦時のこと、1939年には第二次世界大戦が勃発し、1942年に香月も召集令状を受け、4年半の戦争とシベリア抑留により画業を中断することとなります。

死をも覚悟した画家が生み出す作品には、静かながらも情動がみなぎっており、見る者の心を捉えます。

宮城県美術館で開催の「生誕110年 香月泰男展」のチラシ
(画像をクリックするとPDF画面が開き拡大できます)


生誕110年 香月泰男展」のキャッチフレーズのようにもなっている香月泰男による名言、

生きることは、私には絵を描くことでしかない。

香月は他にも数々の含蓄ある言葉を残しており、今回の展示会でも、それらの言葉が造形作品とともに掲示されています。

展覧会では、主要な展示物には説明書きが付けられるものですが、作品を生み出した作家本人の言葉というものが添えられるのは、他人がつけた解説よりもずっと興味深く、味わいが増します。
今回の展示会の面白さは、そこにもあると思います。

次の画像は、1998年に出版された香月泰男の画文集の表紙です。


「画文集」とされている通り、造形物の写真の他、香月泰男による言葉がたくさん掲載されています。
香月婦美子婦人によって語られた「夫・香月泰男の思い出」というページもあり、現在では絶版の貴重な冊子で、私はこれがどうしても欲しくてしばらく前に中古で購入したものです。いかにも古本という匂いが漂うのですが(苦笑)、この中身はちょと他にはない逸品で、私の宝物の一つとなっています。

この本の表紙を開くと、カバーのそでに書かれている一文。
これには誰もが惹きつけられるのではないかと思います。

“ 生きることも捨て身でかからなければならぬ。
 愛することも捨て身でかからなければならぬ。
 芸術を生むことも。
 恋人を愛することも。”


彼が造形した作品の数々は当然のこと、寂しい幼少期やシベリア抑留という辛い過去とともに、だからこそ得られたであろう描く喜びや愛を知った香月泰男が残した言葉に、深い感動を覚えます。

最後に、今回の展示会生誕110年 香月泰男展」の図録は、こちらです。
表紙の作品は「公園雪」というタイトル。


展覧会では、私以外に来ていた二人組の女の子が、この作品(公園雪)を見て「わーっ」と声をあげていて、私も横で「わかる、その感動」と心の中で呟いていました(笑)
静かな冬の公園に表現された人の足跡、まるで、雪の上をサクサクと歩く足音が聞こえてきそうなこのマチエールは、是非とも実物を見ていただきたいです。

ところで、マチエールとは、matière、フランス語で材料や材質、素材を意味し、英語だとマテリアル(material )の意ですが、美術用語として、作品の素材感を指すために使われます。

様々な画材を混ぜるなどして技法の研究に熱心だった香月泰男の独特な表現、そのマチエールを感じるには、間近で、時には離れて、実物を鑑賞するに限ります。

なお、香月泰男は石、木、紙、缶などで創ったおもちゃや彫刻作品も残しており、今回の展覧会では少しですがそれらの立体物も展示されています。
人間愛と平和をテーマに創作を続けた香月泰男の貴重な作品の数々と出会える機会、感染予防をしっかりとして、足をお運びくださいませ。


あなたは
どんなマチエールが
お好きですか?

感性に響く デンマーク・デザイン展@東北歴史博物館

それはシンプルな暮らし、豊かなカタチを楽しむこと


先日おすすめさせていただいた、宮城県美術館で開催の「足立美術館展」は終了してしまいましたが、ここ宮城県内では他にも、感性磨きに打って付けの展覧会が開催されています。

一見の価値ある作品集結!足立美術館展@仙台

仙台市のお隣、多賀城市にある東北歴史博物館では、現在(2021年6月12日)「デンマーク・デザイン展」が開催中。

デンマーク・デザイン展」チラシ(表)
*画像をクリックするとPDF画面が開きます

観覧料金は、一般1,200円、シルバー(65歳以上)1,100円、小・中・高校生600円で、足立美術館展の半券を持参すれば、100円割引されます。
会期は6月27日(日)まで。残り2週間ですので、お見逃しなく。

東北歴史博物館は、仙台駅からだと、
JR東北本線では国府多賀城駅(14分)下車で徒歩約1分
*JR仙石線の場合は多賀城駅(22分)下車で徒歩約25分またはタクシーで約10分
の場所にあります。
*車での場合は、仙台駅付近からだと30分強です。

開館時間は、午前9時30分から午後5時までで、月曜日は休館です。

国府多賀城駅は、いかにも東北地方といった感じの、こぢんまりとした駅です。

国府多賀城駅の北口
国府多賀城駅の南口

駅の南側は賑やかな街ですが、北側には田園風景が広がっていて、清々しい空気を味わえます。
東北の古代史上の重要な歴史遺産である多賀城政庁跡や、重要文化財で日本三古碑の一つ多賀城碑があるのがこちら側になります。


東北歴史博物館はといいますと、国府多賀城駅の南側に隣接しています。


敷地内には、県の重要指定文化財で、宮城県石巻市北上町橋浦から移築さた「今野家住宅」が屋外博物館として設置されています。


東北歴史博物館そのものについてはあまり話題になることはないですが、自然豊かな庭園に、コンクリートの外壁と円筒型の構造、まるで水に浮かんでいるような配置、この凛々しい佇まいの独特な建築物が、私は好きです。


こちらは北側入り口。
日陰の屋外カフェスペースでゆっくりすることもできます。


一方、博物館の南側には駐車場がありますので、車の場合はこちら側から入場することになります。


こちらが正面玄関とされています。
国府多賀城駅利用で来場すると、この南口に出ない人も多いと思いますが、こちら側から見る風景も良いですよ。


エントランスホールは円形でコンクリート造りの近代的でクールなデザイン。
コンクリートというと無機質に思えますが、ガラス窓からいっぱいの光が差し込んであたたかみを感じられ、落ち着きます。


さて、今回お目当の特別展「デンマーク ・デザイン」。
デンマークといえば、アンデルセンレゴブロックが日本人にも馴染み深い、北欧諸国の一つ。
近年、北欧デザインは日本では流行りみたいなところもありますよね。
北欧デザインはもちろん良いと思っていますが、私は流行っているからとか人気があるからといって飛びつくタイプではないから、正直なところ、今回の展示会、どんなもんなんだろうなーと思っていて足踏みしていたのです。
が、芸術感性の高い友人が見てきたところ「とても良かった!」と言うので、それなら間違いないなと思い、行くことにしたのでした。

デンマーク・デザイン展」チラシ(裏)

そして、いざ観覧しましたところ、結論として、友人の言う通り、すごく良かった!です。
シンプルながらもスタイリッシュで、機能性も兼ね備えられたデンマークデザインを、五感で堪能することができました。

下記の通り、4章に渡って紹介されているデンマークプロダクトの数々、歴史を辿りながら、約200点ほどが展示されています。

第1章 国際的評価を得た最初のデンマーク・デザイン
第2章 古典主義から機能主義へ
第3章 オーガニック・モダニズム ーデンマーク・デザインの国際化
第4章 ポストモダニズムと現代のデンマーク・デザイン

インスタグラム投稿を狙ってか、撮影可能箇所も数カ所ありました。
まずここ、順路回って一番はじめのところが、最も人気の撮影スポットですね。

左から、優美な曲線が美しい「パントンチェア」、中央が「ハートコーン・チェア」、椅子271F、上部のペンダントランプ「フラワーポット」(青・黄)は、全てヴィアナ・パントンの作品

ヴィアナ・パントン(Verner Panton)は、最先端の科学技術と消費文化、1960年代のポップカルチャーの波から着想を得て作品を生み出し、国外で最も認められたというデンマーク人のデザイナーです。

上の写真の向かい側に展示さていた、様々な椅子や1960/70年代のオーディオ製品なども撮影可能でした(壁面の絵画作品は撮影NG)。

左からトーヴェ・キント=ラースン/イズヴァト・キント=ラースン 肘掛椅子 モデル117ヤコブ・イェンスン FMチューナー/アンプ「ベオマスター1200

ヤコブ・イェンスン(Jacob Jensen /ヤコブ・イェンセン)は、ミニマルなデザインがかっこいい電話機や時計のブランドとしてその名を知る人も多いのではないでしょうか。


デンマークの家庭の一室が再現された撮影コーナーもありました。

テーブルの上には、ロイヤルコペンハーゲンの陶器や、ダンスク社のサラダボウルセットやキャンドルホルダーなど、左手にちらっと見えているのはカイ・ボイイスンの木馬

シンプルかつ優美なカトラリーで知られる銀細工職人のカイ・ボイイスン(Kay Bojesen /カイ・ボイスン)は、近年は手足が動かせるサルの木製玩具が人気ですね。


特別出品ということで、椅子の座り心地を実際に体感できるコーナーもありました。

座ることができたのは、ハンス・ヴィーイナ(Hans Wegner /ハンス・J・ウェグナー)の5つの作品だったのですが、私はこれが一番好き❤︎

ハンス・ヴィーイナ 椅子 pp130「サークルチェア

見た目からは想像できない快適な座り心地!欲しい!!
このデザインから映し出される影までもが美しい。

オマケとして、こんなのもありました。
陸奥国府多賀城の南門を、東大生5人がデンマーク発祥のブロック玩具の「レゴ」で復元!笑


思わず笑っちゃいましたが、設計した時点で9500個のブロックが必要だとわかり、国内からだけでは調達できず、ドイツやデンマークからも取り寄せ、3月末から東大生5人が集まり、約2ヶ月間かけて作り上げたそうです。

東大の学生さんたちが、ここ宮城のために作ってくれたなんて、地元の人間としては嬉しい限り。感謝を申し上げたいです。

そして、今回の展示会図録は、分厚いながらもコンパクトサイズでソフトカバー、気軽に読むことができます。
絵画などの芸術作品はもちろん、立体物はなおさら、本物を見るに越したことはないですが、読み物として楽しむことも豊かな感性を養うことにつながると思います。

デンマーク・デザイン展」図録 表紙/裏表紙(東北歴史博物館版)

世界幸福度ランキングで1位を獲得していたこともあるデンマーク。
今年(2021年)発表された幸福度ランキングでは、フィンランドが1位、デンマークが2位と、上位をキープしています。
数年前、私は、その幸福度の高い国ってどんななんだろう?それに北欧芸術を現地で見たいなぁ、と思って、フィンランドとデンマークを周遊しましたが、確かにどちらも素敵で居心地の良い国でした。

私は日本からフィンランドへ行ってから(飛行機直通で10時間前後)、デンマークへ行きました(フィンランド⇄デンマーク間は1時間半前後。飛行機は全てFINAIR利用)

日本から遠く離れた国ではあるけれど、両国ともジャパニーズフレンドリーで、というか、誰にでも親切なのかもしれないのですが、何か精神的にも通づるようなところもあるようにも感じました。
そして個人的には、どちらかというと、フィンランドより、デンマークの方が好きです。
デンマークもフィンランドも、アメリカやイギリスをもしのぐデジタル先進国ではありますが、そんな高度技術が発展した国にあっても、デンマークの方が、より歴史や自然、落ち着きを感じられ、刺激がある中にも安らぎがあるように思えたから。
この実際に触れた北欧芸術については、またの機会に書きたいと思っています。


あなたは
デンマーク・デザインといえば
何がお好きですか?

静けさに包まれる東山魁夷の大壁画展@宮城県美術館

年に数日しか公開されることのない唐招提寺御影堂障壁画の一挙展示!


ただ今(2020年10月15日現在)、宮城県美術館において、日本画家の巨匠、東山魁夷の集大成であるふすま絵が一挙に公開されています。

宮城県美術館敷地入り口付近

この特別展のタイトルは「東日本大震災復興祈念 東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」。

東日本大震災の復興を願って企画されたもので、とても貴重な展示を、今期はここ宮城と岩手を限定して開催されるということで、東北人として大変ありがたいことです。

宮城県美術館入り口

しかも、今はコロナ渦の中。気軽に遠出もできません。
そんなさなか、このような素晴らしい企画を掲げ、開催してくださった関係者の皆さまには心から感謝をお伝えしたいです。

今回の展示、何が素晴らしいかと言いますと、奈良県にある唐招提寺御影堂(とうしょうだいじみえいどう)の、年に数日しか公開されることのない全68枚にも渡る障壁画が、ここ東北の地で、初めて、ドドーンと一挙に公開されているところです。

東日本大震災復興祈念 東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」チラシ(表)
東日本大震災復興祈念 東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」チラシ(裏)

御影堂5部屋に並ぶふすま絵と壁面をつなぎ合わせると、全長83mにもなるのだそうです。
それをここに運んできて展示してくださっているのです!

その上、これらの制作に至るスケッチや下図など、東山魁夷が勢力を尽くした10年以上にわたる制作の過程にも触れることができます。

宮城県美術館の特別展示室はお馴染み2階でございます♪

「魁夷」といえば、群青と緑青の微妙な濃淡で作られる「東山ブルー」。
多くの人々が、この色に魅せられていますね。

長野県茅野市の御射鹿池(みしゃかいけ)。
東山魁夷がこの地を作品にしたことでよく知られています。

その東山ブルーに加え、モノクロで表現された水墨画にもお目にかかることができます。

ここ最近、水墨画の魅力にもハマりつつある私には、今回の展示で、東山魁夷の墨画による障壁画やスケッチを見ることができ、かなりの充実感を味わえました。

ところで、当然ながら、一般人には展示室内の写真の撮影は許可されていませんので、これ以上は写真で紹介できないのが残念ですが、展示室入って程なくのコーナーで、作品名が「濤声(とうせい)」というエメラルドグリーンの初夏の海のふすま絵がいきなりドーンと目の前に広がります。
迫力を感じるとともに、静かな波の音が聴こえてきそうな感覚に陥りました。

・・・今、写真で紹介できないのが残念とは申し上げましたが、いやこれは、この素晴らしさは写真ではわからない、実物をやはり見るべきです。

「東日本大震災復興祈念 東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」河北新報の記事とチケット

さて、ここで歴史で学んだことを、思い出してみましょう。
唐招提寺」は、仏教の戒律を伝えるために5度の失敗と失明を乗り越えて来日を果たした中国唐時代の高僧「鑑真」が安置されているお寺です。
今回の展示作品は、この鑑真に捧げられた障壁画なのです。

日本仏教の発展に尽力した鑑真の心を表現するため、東山は全国各地を取材旅行し、これらの作品が完成したのだということです。
ここ東北の地では、宮城は蔵王、岩手は浄土ヶ浜など、青森は浅虫、秋田は男鹿半島、山形は温海と、各地を歩かれたそうです。

東山魁夷による理想の心象風景。
これらの大きなふすま絵が並んだ空間にいると、荘厳な自然の中に佇んでいるような、とても静かな気持ちになり、心が落ち着きます・・・

繰り返しますが、これは写真などではわからない、実際に足を運んで、その空間に身を置いてナマの作品に触れなければ、得られない感覚です。

ちなみに、いつもは2階の特別展示会場外のスペースでグッズ販売がされますが、今回の宮城県美術館での特別展では、1階ロビーの片隅に出店されていました。

宮城県美術館1階ロビーにて、東山魁夷のアートプリント等々の品定めをしている人々

今回の展示会のオリジナルグッズは少なめでしたが、どなたでも立ち寄れるため、これを機に、東山魁夷のアートプリントを購入している人が結構いらっしゃるように見受けられました。

私はもちろん、図録を購入。
今回は、大物の展示品が多い分、全体の作品数が少ないので、図録も100ページ程度と薄めで、幅の取られる冊子ではなかったこと、とはいえ、ページ数少ないながらも、折り込みが数ページあって見応えあり、かつ内容が的を絞られているので、ありがたかったです。

図録、何冊も買ってますが、正直、読み切れることはほとんどないですし、本棚のスペースも減る一方なので、私にはこのくらいの分量だと助かります(苦笑)。

なお、本特別展は、
宮城県美術館での展示期間は2020年9月19日(土)から2020年11月1日(日)まで
となっており、その後は
岩手県立美術館において、2020年11月14日(土)から2020年12月27日(日)まで
開催される予定です。

宮城県で見逃したかたは、岩手県へのご旅行の行程に加えるのも一つではないでしょうか。
私も、このコロナ渦に定着しつつある「ステイケーション」として、隣県の岩手へ出かけて、異なる美術館で再びあの静けさに浸るのもいいかなぁなんて考えている次第です。

ステイケーション:「Stay(滞在)」と「Vacation(休暇)」を組み合わせて作られたアメリカ発の造語。遠出をして楽しむ旅行を指す「Vacation/バケーション」に対し、自宅または近場に滞在(Stay/ステイ)して、気軽に楽しむ休暇のこと。

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ヨーロッパの宝石箱 リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展@仙台

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宮城県美術館で開催されている「ヨーロッパの宝石箱 リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展」に行ってきました。

宮城県美術館外側に設置された看板
宮城県美術館の正面入口

本展覧会の開催期間は、2020年7月14日(火)~9月6日(日)です。

ヨーロッパの宝石箱 リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展 チラシ(表)

当日券料金は1,500円(一般)で、私は先日東北歴史博物館にて開催されている「GIGA・MANGA 江戸戯画から近代漫画へ 」行って参りましたので、その半券提示で、100円が割引されました。

GIGA・MANGA 江戸戯画から近代漫画へ 」についての投稿はこちら↓
世界に誇れる日本のアート GIGA・MANGA@東北歴史博物館/江戸戯画(GIGA)から近代漫画(MANGA)までをたどる漫画の歴史展覧会

宮城県美術館のWebサイト

リヒテンシュタイン侯爵家について、まず初めて知った時に驚いたのは、君主のその家名が国名となっていて、世界唯一であるという点です。
リヒテンシュタイン公国、かつて神聖ローマ帝国に支えたリヒテンシュタイン侯爵家が統合し、昨年2019年に建国300年を迎えた、中央ヨーロッパに位置する立憲君主制国家です。

欧州の名門ハプスブルク家に支え、1719年に建国された公国において、侯爵家の歴代当主たちが集めたコレクションは約3万展にも及び、「農夫から銀行家へ」と称されるほどに目覚ましい経済発展を遂げてきたリヒテンシュタイン公国は、小国でありながら、最もリッチな国として知られています。

ヨーロッパの宝石箱 リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展 チラシ(裏)

ところで、リヒテンシュタイン侯爵家コレクションの展覧会が日本で開催されるのは、これで2回目です。
日本で初めて取り上げられたのは2012年国立新美術館で巡回展が始まり、「リヒテンシュタイン華麗なる侯爵家の秘宝」というタイトルで、2013年には高知県立美術館、京都市美術館にて展覧されました。

2012・13年開催時の朝日新聞Webサイト

私は、当時、国立新美術館での展覧会を拝見し、世界屈指のルーベンスコレクションを中心とした、約5世紀に渡って収集されたその素晴らしいコレクションを目の当たりにし、とても感動したのを覚えています。

2012年国立新美術館で開催された「リヒテンシュタイン華麗なる侯爵家の秘宝」の展覧会図録とチケット
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日本ではまだ2回目のリヒテンシュタイン展。
前回は、侯爵家の収集の歴史と壮麗なバロック芸術が主要なテーマであったのに対し、今回はコレクション品の繊細さや技巧が焦点となっていています。

ちなみに、展覧会に行くと大抵は図録を購入する私でも、過去に行ったことのある作家やテーマをモチーフとされた展覧の際には、内容がカブるのでかさばる図録は買いません。

なので、正直なところ、今回の展示を観る前は「以前もリヒテンシュタイン展は観たし、図録は前回買ったから今回は買わない。」と思っていたのですが、実際に観ましたら、前回とコンセプトが異なっていて、また違う面白さがあったので、結局、図録を購入してしまいました。

ヨーロッパの宝石箱 リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展」の展覧会図録とチケット
今回の図録はスクエア型で黒を基調とされていて、前回と異なるデザインが気に入った点も、購入の決め手でした。

前回はただただ圧倒されるという部分が強かったですが、今回は、中国や日本の磁器が公国へと辿った道筋にもスポットを当てられていて、親近感も湧き、しみじみと作品を味わうという感覚が濃く、リヒテンシュタインについて深掘りすることができて楽しかったです。

リヒテンシュタイン侯爵家の
珍しいもので、良いもの、かつ美しく上品な事物にお金を費やすことは永遠かつ偉大で、最大の記念となろう
という家訓は現在も受け継がれ、今も美しいコレクションは増え続けているのだそうです。
また数年後も、私たちの心を豊かにしてくれる、素晴らしいコレクションを見させてくれることでしょう。

特設ショップではミニチュア陶器が販売されていて、きらめくリアルな可愛さに思わず購入。他にも種類はあったのですが、私が行った時、このセットは最後でした。追加されたかな…

宮城県における「ヨーロッパの宝石箱 リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展」は間も無く終了です(2020年8月22日現在)。
貴重な機会ですので、ヨーロッパの偉大な小国リヒテンシュタインへの擬似トリップ、よろしければ、お出かけくださいませ☆

なお、宮城県美術館の次の巡回先は、広島県立美術館で、2020年9月18日(金)から2020年11月29日(日)までとなっており、こちらが今回の日本での巡回最終地となります。

そして、宮城県美術館で次に予定されている展覧会は東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展(2020年9月19日(土)〜11月1日(日))です。
こちらも見逃せないです。

コロナで県外へは気軽に行けないご時世ではありますが、自分の住まいである宮城県では、今年は見応えのある企画展示が多く開催され、とてもありがたいです。
このような企画の主催者様や関わる皆様方へ、心から感謝いたします。

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