一見の価値ある作品集結!足立美術館展@仙台

日本一の庭園美術館が誇る名品をこの目で


2019年に挙がった宮城県美術館の移転案。
宮城県の最も貴重な建築物の一つである宮城県美術館を失うという意味の発案に、開いた口が塞がらない思いでしたが、県の決定に反対し、存続を求める市民団体の方々の努力が実り、昨年(2020年)11月、移転はせず、現地改修を行うということに最終決定しました。
私は撤回を求める署名をしたくらいでしたが、そのような活動を率先してくださった方々には、心から感謝です。本当に良かった。


さて、その宮城県美術館では、2021年4月24日(土)から6月6日(日)まで、「足立美術館展 〜横山大観、竹内栖鳳、華やかなる名品たち〜」が開催されています。
コロナ禍で未だ気軽に外出できない中ですが、気がつけば、もうすぐせっかくの企画展が終わってしまう!
というわけで、慌てて行ってきました。

宮城県美術館にて開催の「足立美術館展」のチラシ(表)
宮城県美術館にて開催の「足立美術館展」のチラシ(裏)
クリックするとPDF画面が開きます

実は正直なところ、行かなくてもいいかなあという気持ちも少なからずあって、出遅れたということもあるんです。
なぜなら、足立美術館(島根県安来市)は庭園ランキング1位を18年連続で獲得している美術館!(アメリカの日本庭園専門誌「数寄屋リビングマガジン/ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング(Sukiya Living Magazine: The Journal of Japanese Gardening)」による)
なのに、ずっと行きたくて行けていない美術館の一つで、だからこそ、絶対に近いうちに行く!!と決めているから、どうせ見るなら現地で見るべきでは??なんていう思いがちょっとあったりしたのです。

でも、県外の美術館や博物館に定期的に出かけないと気が済まなかった私、コロナ禍になってから全くそれができていないわけで、芸術品に触れる機会も激減して、フラストレーションが溜まっているので、やはり地元でも貴重な展覧会、行かないわけにはいきません。


実際のところ、今回の展覧会、行って大正解でした。
会場では、もう何度、心の中で、「美しい・・・欲しい・・・」と呟いたことか。
日本を誇るそうそうたる名画の作品の集結。
近代日本画の巨匠横山大観をはじめとした、東西の日本画壇で活躍した35人の画家による66点の作品は、バラエティーに富んでいて、とても楽しめました。
やはり、本物をナマで間近で見るに越したことはないですね。
どれもこれも素晴らしいものばかりで、大満足。

ただ、今回は、この展覧会に特化した図録は作られていなかったのが残念。
図録がない分、ハガキをたくさん購入してしまいました(笑)

私の祖父が師事した川端龍子の「春雪譜」(展示会案内チラシの裏面に掲載あり)のハガキはなくて残念…

足立美術館についての冊子は販売されていましたが、その本には今回の展示作品が網羅されていないので、そういう意味でも、この企画展に足を運ぶことはとても貴重だと思います。
足利美術館に行けたとしても、その時に展示されてないであろう作品もあるわけですしね。

販売されていた冊子
(今回の特別展に特化したものではない)

足立美術館の館長 足立隆則氏が河北新報のインタビューで述べられているように、是非とも多くの方に“自分の感性で作品見て”ほしい、そんな素晴らしい日本の名品の数々、この機会に堪能することができ、とても良い時間を過ごせました。

「足立美術館展」のチケットと会場で無料配布されている河北新報による案内

なお、今回の「足立美術館展」、宮城県美術館での会期終了後は、6月26日(土)から8月1日(日)まで岩手県立美術館で開催されるのだそうです。
足立美術館の移動展は各地で行われていますが、東北での巡回は今回が初めてとのことですよ
東北人にとって、嬉しいことですね。


きっとそう遠くない日に、日本一の庭園と称される足立美術館(島根県安来(やすぎ)市)へも行くことができますように⛧彡
ますます思いは募るけれど、いつかは叶えたいことがあること、楽しみがあることって、幸せなことだなって思います♪



あなたの
お気に入りの庭園は
どこですか?





誰でもできるモダンテクニックで楽しむアート

臨床美術士がすヽめるおうち時間の過ごし方


臨床美術士の資格を持つ私ですが、今年は臨床美術の活動に力を入れる!と発言したものの、相変わらずのコロナ禍で、ほとんど何もできていません。
握手から始まり、人と人との肌と心の触れ合いを大切にする臨床美術ボランティア活動は停止中で、申し込んでいた臨床美術プログラムの研修も、非常事態宣言が出されていたため、長いこと延期になっています。

臨床美術についての詳細は、カテゴリー臨床美術」をご参照ください

ですが、臨床美術士には、アートで人々の心を豊かにしたいと、様々な工夫をしてくださっている方々がいらっしゃいます。
何度かこのブログでもご紹介している古瀬先生もその一人。
今回は、古瀬先生をはじめとした東北福祉大学・元気塾の臨床美術(クリニカルアート)講座のスタッフさん方によって企画された、オウチde元気塾クリニカルアート編「『色』を楽しもう!」をやってみました。
(臨床美術士の資格は、東北では、東北福祉大学で行われる講座で取得することができます。東京拠点の通信講座もあります)

こちら、ちょうどGW前に送られてきたお便りです。
不要不急の外出を自粛せざるを得ない中、自宅でもアートを楽しんで脳や心に心地よい刺激をという心配りのサービス。


今回は、少しでも気軽に取り組めるようにと、ご丁寧に、画用紙にロウソクのかけらをセットにして送ってくださいました。
あとは自分で絵の具(または手作りの色水)などを準備すればいいだけです。ありがたいですね。


準備はこれだけ。


まずは、画用紙にロウソクで線を描きます。
「絵」を描け、と言われたら構えちゃうけど、描くのは、ただの「線」でいいんです。
とはいえ、「線??そんなこといきなり言われても・・・」と思ったら、「ふわふわ」「にょろにょろ」などなどの思い浮かんだ擬態語をイメージして描いてみるのです。


私は、今日はBGMに自然の海の音を中心にしたネオクラシックを流していたので、その感覚を描いていきました。

・・・ロウで白い紙に書いてるので、何も見えませんが・・・

ロウで線を描いた後は、水彩絵の具を使います。
気分的な色を数色、少しだけ出して、絵筆に水を多めに含ませて色を塗っていきます。


まずは、縦に横にとあえて規則性を持たせてやってみることにしました。


画面いっぱいに塗っていって、色と色が混じり合ったり、滲んだり、そして、絵の具をはじいてロウの白い線が浮かびあってくる、その過程を楽しみます。


準備時間や乾かす時間含めても1時間かからずに完成。
こんな感じになりました。


カメラで画面いっぱいに撮影してみると、それなりのアートに見えなくもない(笑)


これ、いわゆる、はじき絵と言われる技法ですね。
小学校や中学校の図工や美術、場合によっては保育園や幼稚園で、誰もが一度はやったことがあるかもしれない、モダンテクニック(美術技法)の一つで、バチック(Batik)とも呼ばれるものです。

私も、久々にやりました。
というか、大人になって初めて。こんな技法があるってことも、すっかり忘れてました。
モダンテクニックって、いくつかあるけど、実はどれも、身近なもので誰でもできるものばかり。
アート系を専門に仕事をする人だけでなく、もっと大人も誰でも、子どもの頃のようにアートを楽しむ機会があったらいいのにって思います。


さて、結構サクサクできるので、さらに作成してみました。

なんとなく、海か、虹か、そんなイメージを抱きつつも、描いているときは、うーん、イマイチかなーと思いながら進めていたのですが、乾いたところを遠目に見てみると、意外にもこちらの方がインテリア性があるように感じたので、フォトフレームに収めてみることにしました。
(フォトフレームとの相性を考えるのも、楽しみの一つ)


悪くないじゃん♪
自画自賛するも、それは自己肯定感を養うことにもつながる、休日のひと時。

深いことはあまり考えないで、純粋に、描くことを楽しむ。
普段は使わない部分の脳を刺激してみる。
しかもそれが世界に一つだけのインテリアにもなったりして。
こんな良い時間の過ごし方、今回も提供していただき、感謝です☆



あなたは
有意義なおうち時間を
過ごせていますか?

アカデミー賞受賞作「ノマドランド」に見る壮大な風景と生きる意味

ドキュメンタリータッチの雄大なロードムービー


再び映画ネタではありますが、この度鑑賞してきた映画「ノマドランド(原題 Nomadland)」について、もっと早く観てもっと早めにオススメすべきだったと感じているので、遅まきながらも投稿します。

まずは、この映画の告知用チラシをご覧ください。(画像をクリックするとPDF画面が開きます)

映画「ノマドランド」チラシ(表)
映画「ノマドランド」チラシ(裏)

このチラシは、先月(2021年4月)末に行われたアカデミー賞授賞式開催前に作成されたものなので、”本年度アカデミー賞最有力”と記載されていますが、授賞式では結果、作品賞監督賞(クロエ・ジャオ)、主演女優賞(フランシス・マクドーマンド)と、主要を含む最多3部門を制覇しました。
それ以前にも数々の受賞を成し遂げ、話題となっている作品です。

映画「ノマドランド」は、アメリカのジャーナリスト ジェシカ・ブルーダーJessica Bruder)によって執筆された本「ノマド:漂流する高齢労働者たち(原題 Nomadland: Surviving America in the Twenty-First Century/2017年出版)」が元になっています。

本「ノマド:漂流する高齢労働者たち」の表紙
(春秋社出版/2018年10月)

この本は、ジェシカ・ブルーダー氏が自ら車上生活を試み、3年以上の歳月をかけてノマド数百人を取材して書かれたノンフィクションで、映画「ノマドランド」は、このノンフィクションに、主人公として架空の人物であるファーン(フランシス・マクドーマンド)を登場させて作り上げられたフィクションです。

ネバタ州のエンパイアという企業城下町が破綻し、住み慣れた住居を失ったファーンという名の、夫に先立たれた60代の女性が、キャンピングカーを生活しやすいように自分で改造しつつ、ノマドワーカーとして季節労働の現場を渡り歩いて送る路上生活の中、ゆく先々で出会うノマドたちとの心の交流を描かれた物語。

次の動画は、「ノマドランド」の特別映像です。メイキングのショート版として興味深くご覧いただけるかと思います。


実在のノマドが本人役で登場していたり、物語としての父と息子を演じる俳優たちが実際リアルな親子だったり、エンパイアの存在と破綻も現実の話で、ノンフィクションとフィクションが混ざり合い、ドキュメンタリータッチなカメラワークのなかで繰り広げられるオスカー俳優マクドーマンドの表現はあまりにも自然で、まるで、フィクションではなく本当にドキュメンタリーを見ているような感覚になります。

この映画には、フィクション特有の事件が起きるとか特別大きな盛り上がりはなく、淡々とストーリーは続くのですが、ネバダ、カリフォルニア、アリゾナ、サウスダゴタと4つの州に渡って展開される、広大なアメリカの自然を背景にした美しい映像、サウンドトラックは叙情的なピアノ音楽でシンプルにまとめられていて、焚き火の音や波や風の音とという自然の音色を感じさせ、全てが共存してそこにいるかのような安息感と共に、静かな気持ちに浸ることができます。

「ノマドランド オリジナル・サウンドトラック」ジャケット
(画像をクリックするとYouTube musicのアルバム試聴ページにリンクします)

ちなみに、クロエ・ジャオ監督、『自然にインスパイアされた美しいクラシック音楽』でググってヒットしたルドヴィコ・エイナウディLudovico Einaudi)の『Elegy for the Arctic』からエイナウディ氏がアルプスの山中を歩きながら作曲した『Seven Days Walking』というアルバムを見つけ、彼にオファーしたそうですよ。

Elegy for the Arctic』の映像、凄いです!
圧巻の大自然とコラボした繊細なピアノ演奏は、素晴らしいアート!!


ところで、ここ数年よく見聞きするようになった「ノマドライフ」という言葉。
このイメージとしては、「好きな場所に住んで、好きなように働き、自由に生きる」といった感じで、私も、過去に人の腹黒さを感じてしまう仕事や自分の人生そのものに疑問を感じた時に、憧れを抱いた生き方です。

しかし、映画「ノマドランド」を通して、本来のノマドの生き方の裏には、社会の様々な問題が隠されていることや、気軽な考えでは到底やり通せることができない実情など、深く考えさせられるものがありました。

でも一方で、この映画の主人公ファーンをはじめとする登場人物たちの、苦境にあっても自身の信念を貫き、それぞれのやり方でもってしなやかでしたたかに生きるさまは、観るものに希望を与えてくれます。

映画「ノマドランド」パンフレット

このパンフレットに記載されている監督クロエ・ジャオ氏へのインタビューによると”あなたを定義しているものを失った時、あなたは自分を取り戻せますか”という問いかけがこの映画のテーマであるとのこと。

ここ仙台での上映(フォーラム)は5月20日(木)まででもうすぐ終わってしまうので、文頭で述べましたように、もっと早くお勧めすべきだった映画「ノマドランド」ですが、このような作品こそ、是非、大きなスクリーンで観て壮大な風景を味わうとともに、人生について内省する機会にしていただければと思います。
→追記:フォーラム仙台での公開が5月27日(木)までに伸びました!人気作は公開期間が伸びることがあります。嬉しいですね♪
→→6月3日(木)までさらに延長されました!!
→→→またまた延長!6月10日(木)まで!!
→→→→さらに延長!6月17日(木)まで!!

さて、この映画の中でファーンがたくさんの人と出会い交わされる会話はどれも深いのですが、ここは是非とも記しておきたいと感じた一節を、最後に取り上げさせていただきます。

それは、ファーンが、ある青年に再会し、自分のサンドイッチと青年のビールを交換し、会話を交わすシーン。
地元に恋人がいて手紙を書くことがあるという話を聞き、今時手紙を書くとは効果が高いと褒めるのですが、青年は気が利いたことは書けないと言います。
そこで、ファーンは詩を送ったらどうだと提案します。
青年に聞かせたのは、自分の結婚式に詠んだというシェイクスピアの「ソネット18番」。
それを聞いた後に去ってゆく青年の姿は、逆光に輝いて美しく、何か吹っ切れたような力強さを感じました。

君は夏の日よりも美しく穏やかだ
風が5月のつぼみを散らし
夏の輝きはあっけなく終わる
太陽は時に照り付け
かと思えば暗く陰る

どんな美しいものもいつか衰える
偶然か自然の成り行きによって

だが君の永遠の夏は色あせず
美しさが失われることもない
ましてや死に神が君を死の影に誘うこともない
君は永遠に詩の中に生きる
人が息をし 目が見えるかぎり
詩は生き続け 君に命を与え続ける

Shall I compare thee to a summer’s day?
Thou art more lovely and more temperate.
Rough winds do shake the darling buds of May,
And summer’s lease hath all too short a date.
Sometime too hot the eye of heaven shines,
And often is his gold complexion dimmed;
And every fair from fair sometime declines,
By chance, or nature’s changing course, untrimmed;
But thy eternal summer shall not fade,
Nor lose possession of that fair thou ow’st,
Nor shall death brag thou wand’rest in his shade,
When in eternal lines to Time thou grow’st.
So long as men can breathe, or eyes can see,
So long lives this, and this gives life to thee.

ソネット集 18番 / ウィリアム・シェイクスピア(訳:牧野琴子)
The Sonnets no.18 / William Shakespeare


ノマドランド」公式サイト



あなたの人生において
美しく感じられることは
何ですか?



世界遺産の運河都市アムステルダム回顧

400年の歴史を持つオランダの環状運河都市


TVを普段ほとんど見ない私でも愛好している番組、毎週日曜の午後6時から放映されるTBSの「世界遺産」、本日(2021年5月9日)の内容は『アムステルダムの環状運河地区 〜 400年前に誕生!人工の水上都市』ですね。


オランダの首都アムステルダムは、水路が街の中にはりめぐらされた運河の街。
この運河地区は「アムステルダムの中心部:ジンフェルグラハト内部の17世紀の環状運河地区」(Seventeenth-century canal ring area of Amsterdam inside the Singelgracht)という名称で2010年に世界遺産として登録されました。

世界遺産として認められるには、「世界遺産条約履行のための作業指針」で定められた10項目登録基準の一つ以上に当てはまる必要があります。
このアムステルダム環状運河地区登録基準(ⅰ)(ⅱ)(ⅳ)

(i):人類の創造的資質を示す傑作。
(ii):建築や技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展において、ある期間または世界の文化圏内での重要な価値観の交流を示すもの。
(iv):人類の歴史上において代表的な段階を示す、建築様式、建築技術または科学技術の総合体、もしくは景観の顕著な見本。

この世界遺産についての説明を、「世界遺産検定2級公式テキスト くわしく学ぶ世界遺産300」より参照して、以下に記載します。

アムステルダム旧市街から一番外側の運河「ジンフェルグラハト」まで扇状に広がっている環状運河は、16世紀末から17世紀初頭にかけて、新しい港湾都市プロジェクトとして整備された。
運河間の泥沢地から排水して干拓した土地に市街地を広げ、運河沿いには切り妻屋根を持つ均質的な建物が立ち並び、港から入った物資は運河を通って街の隅々にまで運ばれた。
アムステルダムの急速な拡大は、大規模な都市計画の見本として、19世紀まで世界の都市計画に影響を与えた。

さて、「緊急事態宣言」及び「まん延防止等重点措置」が発令されている、この2021年のコロナ禍中のゴールデンウィークも、何処にも行けずあっけなく終わってしまいましたので、またいつか旅行できる日を夢見て、今日は、過去に訪れたアムステルダムを、写真で回顧してみようと思います。

私が訪れたのは2019年のちょうど今頃の時期、アムステルダム運河地区散策の当日はあいにくの空模様でした。


東京駅とよく似ていると言われるアムステルダム中央駅を中心に運河が広がっています。
駅前には運河クルーズ運行会社がたくさんあり、世界遺産運河のクルージングを楽しむことができます。


歴史を感じる美しい運河。様々な橋の形状も面白い。


ところどころに跳ね橋があります。


アムステルダムの家並みといえば、これ。
カラフルで楽しげなものもあれば、モノトーンでシックなところも。


市庁舎として建設されたアムステルダム王宮
屋根に立つギリシャ神話の巨人アトラスの像は、アムステルダムのシンボルの一つ。


今は博物館となっているアンネフランクの家
かなり人気のスポットで数週間前には予約する必要があり、私は残念ながら、入館できませんでした。


絶対に訪れたかったレンブラントの家
偉大な画家レンブラント・ファン・レインが1639年から20年間住んでいた家を利用した美術館もアムステルダムの街中にあります。


2019年はちょうどレンブラントの没後350周年だったので、レンブラント出生のオランダに是非行きたい!と思って訪れたのでした。
アムステルダム旧市街から一番外側の運河「ジンフェルグラハトSingelgrachtシンゲル運河)」沿いに、美術ファンなら必ず訪れたい「アムステルダム国立美術館Rijksmuseum)」があります。
ここでも、レンブラントの特別展が開催されていました。


アムステルダム国立美術館は、ゴッホの「自画像」や、フェルメールの「牛乳を注ぐ女」などの所蔵品はさることながら、その建物自体も素晴らしく、とても広くて数時間では見切れないけれど、ここはレンブラントの名作「夜警」が収蔵されていることでも有名です。
レンブラントの没後350周年ということもあって訪れたオランダ、この作品を見ないわけにはいかないのですが、ご覧の通り、すごい人でした。


大勢の人に圧倒されましたが、挫けずにいいポジション陣取って、しっかり堪能しました。


400年の歴史を持つアムステルダムの運河都市、素晴らしい世界遺産と芸術を味わえる旅でした。
またそんな旅に行ける日はいつだろう・・・


あなたの
旅の思い出の地は
どこですか?


「くわしく学ぶ世界遺産300<第5版> 世界遺産検定2級公式テキスト」マイナビ出版
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逆輸入!驚異のコマ撮りSF超大作 JUNK HEAD

映画製作未経験者の挑戦によるストップモーションアニメ


コロナ禍になって2度目のGW。
相変わらずの状況が続いているのでまだまだ気軽に出かけられませんが、せめて、映画くらいは観たい。
家でもどこでもネット配信で映画が楽しめる時代となっても、やっぱり大画面と音響が楽しめる「映画館」で観たい!
というわけで、仙台の東口にあるチネ・ラヴィータに行ってきました。
こちらは大勢の人でごった返すこともない、こぢんまりとした落ち着いた映画館なので、映画好きにはありがたい環境です。

さて、今回チョイスしたのは「JUNK HEAD」。
とーっても気になっていた作品です。

映画「JUNK HEAD」のチラシ(表面)

製作者は堀貴秀(ほりたかひで)氏。お名前からわかる通り、日本人の方。
2017年に発表され、海外の映画祭などで話題になっていたものが、ここ日本では今年3月末から上映開始されたというわけで、いわゆる逆輸入映画です。

さて、主なスッタフ・キャストは以下の通り。
 監督:堀貴秀
 原案:堀貴秀
 デザイン:堀貴秀
 編集:堀貴秀
 撮影:堀貴秀
 照明:堀貴秀
 音楽:堀貴秀近藤芳樹
 声優:堀貴秀・三宅敦子・杉山雄治

ご覧の通り、堀貴秀氏、一人でほとんどこなされています。
そして、映画時間は99分。
ですが、制作期間はなんと7年!
というのも、氏は、元々アートワーク専門の仕事をしていたものの映画製作は未経験で、思いつきと独学によって一人で製作を始めて、まず完成した30分の作品に4年を費やし、その後、出資を得て、他のスタッフも迎え本格的な製作活動を経て、それだけの期間がかかったのだそう。
およそ14万コマの撮影を、全て手作りのフィギュアとセットで完成させたという、CGではなく、手作業で地道に作られたこの作品、人形を使った「実写」であるわけで、CGアニメにはない温かみやリアルさを感じる面白さがあります。
また、映像や写真で見たらミニチュアとは思えないセットは、芸術的でもあり、圧巻です。
アナログな技法って、コンピュータ科学や情報技術が進んでも絶対に廃れないだろうなと思いました。

映画「JUNK HEAD」のチラシ(裏面)

私が今回この映画が気になったのはその製作過程にありますが、SF系が好きな私には、物語の内容も楽しむことができました。
舞台設定は3385年の地下世界。
マリガンという人類に次ぐ知的生命体の開発を巡っての、おもしろおかしい壮大なストーリーとなっています。
ちょっと不気味な世界観でグロテスクな描写もあり、これがもし人間の実写版だったら私は苦手かもしれませんが、人形アニメーションなので、愛嬌もあり、ジョーク、ユーモアも散りばめられていて、面白かったです。

エンドロールも良かったですよ。
堀貴秀氏が一人でいろいろこなしているので、その名前が連続して並んでいるのがまず笑えてしまうのと、背景に映画の撮影風景が映し出されていて、まさに私が興味を持ったのはこの部分だったので、嬉しかったです。
でも、ハリウッド映画だったらスタッフ・関係者の名前がズラーッと続いて時間がかかるエンドロールも、「JUNK HEAD」はスタッフが少ないため、あっという間に終わってしまったのがちょっと残念でした(笑)

映画「JUNK HEAD」パンフレットの最終ページ

さて、パンフレットは、1,500円。ちょっと高いなと思ったけど、55ページ!納得。
久々ですよ、こんな気合いの入った分厚いパンフレット(笑)
撮影用のカメラはEOS Kissといった一眼レフカメラ初心者向けのものをはじめ数台のみ、パソコンは2台で低スペックだとか、自作の撮影器具、スタジオに利用した自宅兼工場の紹介、人形の製作工程やイメージ画、絵コンテなどなど、盛りだくさん。
製作の裏話が詳細で、こちらも楽しめます。

映画「JUNK HEAD」のパンフレット

年齢や経験関係なく、情熱があればすごいこともできるんだなと、励まされると共に、今までに見たことのない感覚を得られる映画でした。
ストップモーションアニメ、フィギュアものって、気味が悪くて好きではないという人もいらっしゃると思いますが、映画は芸術的観点も含めて楽しんでいるという方には是非オススメしたい作品です。

なお、仙台(チネ・ラヴィータ)での公開は5月6日(木)までです。
→追記:その後、仙台フォーラムで上映されています。5月20日(木)まで!
→さらに伸びて5月27日(木)まで!!人気作品ということですね♪
→→またまた6月3日(木)まで延長されました!!
→→→大人気!さらに延長!6月10日(木)まで!!
→→→→どこまで延びるの?!6月17日(木)まで!!
JUNK HEAD」公式サイト



あなたが
情熱を持てることは
なんですか?

遠距離結婚を貫いた画家と美容師 その1

おしんのような経験を持つ美容師


私の祖母は、101歳でこの世を去りました。
大正、昭和、平成を生きた、強くて優しい人でした。
美容師として80歳まで働いた祖母は、亡くなる少し前の体が衰弱するまで、必ず朝は早起きをして薄化粧をし、身だしなみを整える人で、年齢も常に10歳以上は若く見られていました。

1950年代の美容室の様子(出典:wikipedia)

私は、そんな祖母が大好きで、ずいぶん一緒に時間を過ごしました。
祖母のベットは大きくてフカフカだったので、時々、寝かせてもらいに行ったり。
年と共に足がかなり弱っても、あちこち行くのが楽しいと言う祖母とはよく出歩きました。
私の腕に回された祖母の手の感覚は今でも残っているくらい。
祖母からはたくさんの話を聞きました。

祖母は、宮城県名取市の港町である閖上に、3人兄妹の末っ子として生まれました(1歳で亡くなっている兄がいるので厳密には4人兄妹)。
祖母を産んで間も無く、29歳という若さで亡くなってしまった母親のことは覚えておらず、酒豪だった父親は宮大工だったこともあり芸術への造詣が深い人だったとのことでした。

祖母が生まれた大正初期といえば戦時のこと、米騒動が起きた時代で、落ちてしまった米一粒でも拾って食べたと言います。
そんな幼少期を経て、10代でとある美容院に奉公に出された祖母は、自身の手に職をつけることを願っていましたが、そこでは、小さい子供の世話や家事手伝いといったことしかさせてもらえず、食事も十分に与えられず、粗末に扱われたそうです。

数年後、もう嫌だと言って戻ってきた後は女学校に通わせてもらい、卒業後は今度こそ無事に美容院に勤めることができました。
そこは休みがほとんどない仙台中心部の美容院。住み込みで、早朝から夜中まで仕事づくめ、かなり忙しかったといいます。
有名人では、淡谷のり子さん(ブルースの女王と呼ばれた日本のシャンソン界の先駆け。若い人は知らないでしょうけど…)を対応したことがあったとか。

淡谷のり子/1930年代(出典:wikipedia)

美容師さんというと今では人気の職業ですし、たくさんの美容室があってどこに行けば良いのか迷うほどですが、祖母が若かった時代というのは、女性が手に職をつけるのも難しい時代、美容師もまだまだ稀な職業で、一般的なサラリーマンのお給料の倍はしたのだそうです。
しかも、指名してくれるお客さんもいて、そういった人からはチップももらえていたそう。
おしんのような屈辱的で辛い経験を経ている祖母には、仕事づくめの毎日でも、美容師として働けることに心からやりがいを感じ、本当にありがたかったのだそうです。

※おしん:橋田壽賀子氏の原作で大ヒットした、明治時代末期の女中奉公に出された少女のドラマ


Amazon Prime Videoはこちら→「おしん


ところで、女性の皆さんは、「日本髪」をされたことはありますでしょうか?
現代では日常では当然する人はいないヘアスタイル「日本髪」、女優さんだってカツラをかぶる現代、もうその髪型を作れる人は少ないわけですが、私の祖母は伝統的な日本髪を結うことができる人だったので、ウチでは、祖母の孫にあたる女子(従姉妹と私)は節目に日本髪を祖母に結ってもらうという儀式のようなものがありました(記念撮影をするだけですが)。


「日本髪」ってそのヘアスタイルを見ただけでも、どうやって結ってるのって思いませんか?
実際、その作業は結構な時間がかかりますし、髪の毛に鬢付け(びんつけ)油を塗って引っ張りながらされるのはただただ辛くて、痛い痛い言いながらひたすら耐えていたことしか記憶にありません・・・
でも、大好きな祖母に、自分の長く伸ばした髪の毛を日本髪にしてもらって、着物の着付けもしてもらったことは、かけがえのない一生の思い出です。
ちなみに、私の母親も美容師なので、着物の着付けは祖母と母が一緒にしてくれました。
実家は美容室だったので、何度となく着物を着る機会がありましたが、今思えば、それも貴重で幸せなことでしたね。

さて、話はまた若かりし祖母の話に戻ります。
毎日忙しくて食事を取る時間もままならなかったけれども、美容院のそばには飲食店があってよく駆け込んで食べていたことや、休みが取れたときは映画館に行って一日中ずっと大好きな映画を観ていたこと(昔は今のように指定席制じゃないから一度入ればずっといられる)、超繁忙期の年末年始は明け方まで働いたけどそのまま友達と初詣に行ったとか、楽しいこともたくさんあってとっても充実していたのだそうです。

昭和初期の仙台駅(出典:wikipedia)

そして、そんなある日、仙台の街の中で、絵を描いてる一人の男性に出会った・・・

それが、私の祖母と祖父の出会いというわけですが、長くなりましたので、続きはまたの日に書かせていただきます。


続きはこちら
遠距離結婚を貫いた画家と美容師 その2/ずっと秘密にされてきた二人の馴れ初め



おしんの時代
あなたには
想像がつきますか?

インスタ発で異例のベストセラー!アート絵本

やさしい気持ちになれる「ぼく モグラ キツネ 馬」


ここ日本では、先月(2021年3月17日)発売され、ちまたで話題となっている絵本「ぼく モグラ キツネ 馬(飛鳥新社出版)」は、もうご覧になりましたか?

作者はCharlie Mackesyチャーリー・マッケジー)氏、和訳は川村元気かわむらげんき)氏によるもの。

作者のチャーリー・マッケジーさんはイギリスのイラストレーターで、2018年からこの本に出てくる少年と動物たちをインスタグラムにアップしていったところ、それが大人気となり、2019年10月22日に’The Boy, The Mole, The Fox and The Horse‘という一冊の本として出版され、2020年イギリスで最も売れた本となったばかりでなく、アメリカでも販売冊数は100万部を超え、数々のランキングを総なめにし、世界各国でベストセラーとなっている話題のアート絵本です。

この本の前書きでマッケジーさん自身が「この本はだれでも楽しめる。あなたが8歳でも80歳でも。」と述べているように、老若男女、誰もが親しめる内容となっています。

一人の男の子と、ケーキが大好物のモグラ、無口なキツネ、ちょっとした秘密を持つ馬との出会いと冒険の物語を通して、読者は、友情や愛、人生について考えさせられますが、それは、なにか難しいことではなくて、ただとてもやさしい気持ちになれる、そんな一冊です。

ちなみにこちらの作品、「絵本」ではありますが、結構分厚い(B5サイズ、128ページ)です。
でも、やはり絵本ですから、文章はシンプルで、大人であれば、本好きじゃなくとも、あっという間に読めます。

この絵本の素敵な言葉の一部を、以下に抜粋させていただきます。

”おおきくなったら、なにになりたい?”
モグラにきかれたので、ぼくはこたえた。
”やさしくなりたい”

“What do you want to be when you grow up?”
“Kind” said the boy.

”成功するって、どういうことかな?”
ぼくがたずねると、モグラはこたえた。
“そりゃあ、だれかをすきになることだよ”

“What do you think success is?” asked the boy.
“To love” said the mole.

”いちばんの時間のむだって、なんだとおもう?”
ぼくがたずねると、モグラはこたえる。
”じぶんをだれかとくらべることだね”

“What do you think is the biggest waste of time?
“Comparing yourself to others.” said the mole.

”とてもきれいなものを、みのがすな”

“So much beauty we need to look after.”

”やさしさに勝るものはない”馬がいった。
”すべてのうえに、しずかに存在している”

“Nothing beats kindness”, said the horse.
“It sits quietly beyond all things.”

ぼく モグラ キツネ 馬」ならびに‘The Boy, The Mole, The Fox and The Horse’より引用


そしてお次は、イギリスのボイスアーティスト※であるTim Uffindellティム・ウフィンデル)さんによって製作された‘The Boy, The Mole, The Fox and The Horse’の読み聞かせYouTube動画です。

※ボイスアーティスト(voice artist):ボイスオーバータレント(voice over talent)ともいい、ナレーターや声優を生業とする人

絵本なら、子どもから大人まで、英語学習ツールとしても良いですよね。


最後に、下図はインスタグラムへのマッケジーさんによる最近の投稿で、絵本には挿入されていないものです。
ペンで描かれたイラストと味のある文字、素敵ですよね。

少年と動物たちのアナザーストーリーは続いています。。。

自分は自分のままでいい、愛の溢れる世界に感謝して、シンプルに生きていこう、そう思えるとともに、誰かにやさしくしたくなる、そんな気持ちになれるアート作品のご紹介でした。



あなたにとって
”成功する”とは
どういうことですか?





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ぼく モグラ キツネ 馬 [ チャーリー・マッケジー ]
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親切なサービスに感動

コセキカメラさんの心意気


東日本大震災が起こる数年前に、私の父は癌でこの世を去りました。
父は、電機会社に勤める営業マンだったにも関わらず、プロのカメラマンかと勘違いされるくらい、趣味でいつも一眼レフカメラを手にしていました。
父が亡くなった後、カメラを確認したらフィルムが入っていたのですが、その頃はどうにも辛くて、現像する気になれず、放置してしまっていました。
そして起きてしまったあの未曾有の大震災。
閖上の実家ごとカメラも失い、ひどく後悔し、それからというもの、私も一眼レフカメラを持つようになりました。

父は何台もカメラを持っていましたが、最終的に落ち着いたのはCanonだったので、私も同じく。

さて、2ヶ月ほど前の、2月13日に起きた福島県沖地震。
震度5強という大きな揺れがおさまった後、真っ先に確認したのは、カメラでした。
家にあるものの中で最も高価なものでもありますしね・・・

私はいつでも思いついた時(特に美しい朝焼け)にシャッターが切れるように、テーブルの上にカメラを置いているんです。
それがあの地震で吹っ飛んでいたのですが、無事、電源ON、シャッターも切れて、画像が確認でき、ホッと胸を撫で下ろしました。

しかし、数日後、よくよく見たら、撮った画像に微かに線が写り込んでいる・・・

中央上部から斜めに線が写り込んでいるのが分りますでしょうか?

またもやドキドキしながらレンズを確認したら、カメラのレンズではなく、レンズを覆っているフィルターにヒビが入っていることが分りました。

ガーン・・・でも、フィルター付けといて良かった!!フィルター付けてなかったらレンズがやられちゃってたかもだよー!
フィルターに感謝しつつ、外して新しいのに付け替えようと、手をかけました。
が、しかし、全く回らず・・・

素手では絶対無理だと思い、ネットで調べると、フィルタールーズという道具があることを知り、購入し、試してみたのですが、それでも全く回らず、外れません。

お店に持っていって依頼とかしたらお金かかるんだろうな、そう思って購入した安価なフィルタールーズでしたが、どうしようもないので、諦め、カメラ屋さんに持っていくことにしました。

ちょうど昨年の夏に、自宅から歩いて20分くらいのところに、コセキカメラさん(1946年仙台に創業)がオープンしていたので、そちらへ持参することに。

出典:まちくる仙台(画像をクリックするとまちくる仙台のコセキカメラさん紹介ページへリンクします)

「フィルターが衝撃とかで噛んじゃって取れなくなることはよくありますよ。こうなっちゃうと、もう破壊するしかないね」と店長さん。
そうでしょうねと思っていたし、自分ではどうしようもないので、ああ、お金いくら取られるのかしら、と不安を抱きつつ、お願いしました。

こういうカメラお父さん持ってたなーと店内に並ぶ様々な中古カメラを眺めながら、待つこと数十分・・・
かなり苦戦していらっしゃいましたが、なんとか外していただくことができました。

ペンチなどでフィルターの破壊作業をしていただいたので多少枠に傷はついたけど、撮影には問題なし☆

「おいくらですか?」とお尋ねしたところ、「サービス(無料)です」とのこと!
時間と労力をかけていただいたのに、無料とは、なんて素敵な心意気なんでしょう!
「何かあったらまた来てね」とのお声がけもいただけ、もう、心から感謝いたしました!!

ちなみに、ついでに雑貨を購入させていただいたのですが、たまたま私が欲しかったフォトフレームが店頭展示品のみだったとのことで、値引きもしてくださいました。
コセキカメラさん、本当にありがとうございました。

写真・カメラ好きに寄り添ってくれる、素敵なお店。
マステや、カードが豊富で、おしゃれ、おもしろ雑貨も取り扱われているので、写真趣味さんのみならず、誰でも気軽に立ち寄ることのできるお店です。

地元のカメラ屋さんていいな。また来ます!って思えるお店って、こういう所よね♪
と、喜びと感謝で、あたたかな気持ちになれた日でした。



コセキカメラ
住所:〒980-0014 宮城県仙台市青葉区本町2丁目3-10
電話:022-222-3560
営業:10:00〜19:00
定休日:火曜
Webサイト:https://www.koseki.co.jp/works/shop.html
(ブログ:https://inctec.exblog.jp/

場所は、広瀬通と東二番丁通りの交差点にある、仙台広瀬通郵便局の入ったビルなので、わかりやすいです。
時々ギャラリースペースで展示などもされているので、フラッと立ち寄って、気分転換にも♪


あなたの
心があたたまるお店は
どこですか?

春の訪れと共に届いた贈り物

親友の気だてに涙


20201年3月31日、こちら仙台で、観測史上一番早い桜の満開宣言がなされました。
職場までの道すがらには桜の見所が何箇所かあり、ここ最近は良いお天気も続いているので、徒歩での通勤もとても気持ちがいいです。

花京院橋の上からは仙台市立東六番丁小学校の大きな桜を眺めることができる
仙台管区気象台へ続く道
観測史上初を受けて、仙台管区気象台前の桜の木は全国放映された
仙台管区気象台敷地内に咲く美しい桜の木

新年度が始まって慌ただしさは増す一方ですが、こんな風景には心も癒され、なんだかいい予感さえしてきます。
そんな気分の昨日、宅急便が届きました。

平らで幅50×40cmほどの包み。
送り主は親友です。
そこで、ふと「もしや・・・」との思いがよぎりました。

開封してみると、やっぱり!
2004年に製作された、画家だった祖父の作品集代わりとも言えるカレンダーです。

なんとまあ、15年以上も前のものをこんなに綺麗に取っておいてくれたのでしょう!!
このカレンダーは祖父が亡くなってから数年後に、懇意にしてくださっていた地元閖上の森内科クリニック・森精一先生が製作してくださったものです。

先日、私が祖父のことについて書いたブログを見て、このカレンダーを持っていた友人が送ってくれたのです。

前回の記事:祖父の絵を探しに/孫としてできること

内心、せめてこのカレンダーが残っていたら・・・という思いはあったものの、15年以上も前の、有名でもない画家の、しかも単なるカレンダーなどでは、わざわざ取っておいてくれている人もいないだろうと思っていたので、親友のこの気だてには泣けてしまいました。

このカレンダー表紙の作品は「弥生の頃」というタイトルで、大きさは100号くらい、閖上にあった実家の玄関に飾られていたものです。
祖父亡き後も、実家に帰るとこの絵に出迎えられ、しばし祖父に想いを馳せたものでした。

春の訪れと共に、祖父が描いた桜にも会えるとは・・・
本物の絵ではなくとも、失われてしまった祖父の絵、こんな形でも本当に嬉しく、感謝しかありません。

良い友達に恵まれ、本当に幸せです。ありがとう。


あなたの心に
春は
訪れましたか?

祖父の絵を探しに

孫としてできること


先日、心待ちにしていた一冊の本が届きました。
古本屋さんから送っていただいたのですが、かなり丁寧に梱包してくださっていて、添え状も決まり文句ではなく、気遣いの感じられる文章で、心が温まりました。

雑草文庫の池田洋一様には、この場を借りて御礼申し上げます。
とても綺麗な状態で届きました。ご丁寧に、本当にありがとうございました。

さて、注文したのは、昭和55(1980)年に初版発行された「話の散歩道」というもので、著書様には申し訳ないのですが、目的は、本の中身ではなく、この本の『表紙』です。

表紙になっている絵のタイトルは「宮城県名取市閖上 広浦」。
広浦(ひろうら)は、宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)地区と下増田(しもますだ)地区にまたがる潟湖で、市内を流れる増田川の河口潟でもあります。
10年前の津波に飲み込まれましたが、現在も以前のような穏やかで静かな情景が広がっています。

この地を故郷として愛し、テーマの一つとして絵を描き続けた画家が、このカバー絵の作家であり、雅号を「紫露(しろ)」と言います。
本名は四郎。
仙台に生まれ、美容師で絵が好きだった女性と出会い、お婿さんとなった、私の祖父です。
美容師の女性というのはもちろん、私の祖母です。
また改めて書きたいと思っていますが、私の祖父母は、現在でさえ珍しい「遠距離結婚(会社都合による単身赴任とは違い互いの意思によるもの)」です。

ところで、広浦湾はありのままの自然環境なので、鴨、川鵜、白鷺などのバードウォッチングも楽しめる場所です。
そして、この絵にもあるように、私の祖父は、白鷺をよくモチーフにしていました。

日本画家だった祖父は、20年程前に亡くなりました。
逝去年齢的には平均的なものですが、長い間パーキンソン病と戦っていました。
パーキンソン病さえ抱えていなければ、亡くなるまで絵を描き続けることも可能だったかもしれないし、確実にもっとたくさんの作品を残せたはずです。
画家でありながら、右半身の手足の震え、麻痺により、絵が描けなくなってゆく自分がどれだけ悔しかったかことか・・・

東京で単身生活していた祖父でしたが、亡くなる少し前には宮城県の病院に入院し、東京を引き払いましたので、譲ったり処分したものがほとんどですが、一部の私物や作品などは実家に保管されていました。
この本も、実家の祖母の本棚にあったと思います。
大きな本棚には、祖父が持っていた美術関係の本もたくさんあって、祖母の亡き後には、作品まではもらえなくとも、これらは私がもらうと、祖母から了解を得ていました。
しかし、あの未曾有の大地震によって、全てが失われました・・・

実は、祖父が亡くなってからほどない頃に、地元名取での個展をしてはどうかとお話をいただいたことがあります。
私の父と母は乗り気でしたが、祖父を巡っての血縁者間によるつまらないいざこざが続いていたので、私は反対し、お断りしたのです。
当時なら、個展でもやっていれば、データにでも残しておくことができたかもしれないのにと、悔やまれてなりません。

祖父を心から尊敬し、画家になりたいと考えていたことのある私ですが、その願望は高校時代に失ってしまったため、祖父の作品にはそれほど触れていないのです。
私は、これまで、人には流されず、自分のやりたいことをやってきた人間なので、ほとんど後悔はない人生を歩んできたと思っていますが、祖父に関してのことだけは、深く悔やんでいます。

東日本大地震が起きて10年過ぎてしまった今さらですが、だからこそなのでしょう。
祖父の絵を探すことを私自身のライフワークに加えたいと思いました。
正直なところ、この数年、ずっと考えていたことではあるのですが、取り組めないでいたことの一つです。

天国にいる祖父母を喜ばせたいし、私も後悔したくないから・・・


あなたには
悔やまれることは
ありませんか?