葛飾北斎《冨嶽三十六景 凱風快晴》Public domain, via Wikimedia Commons

TBS世界遺産復習と記録:富士山「北斎・広重を魅了した四季折々の絶景」

〜 世界の芸術家たちの心を奪う美しく偉大な日本の誇り 〜


『富士山「北斎・広重を魅了した四季折々の絶景」』とのタイトルで2026年5月3日に放映されたTBS世界遺産
カメラはCanonを愛用し、するときには、その愛機を手に、アートをテーマに美術館世界遺産巡りをする私には外せないトピックでした。

わずか30分の番組ですが、今回も見応えあり。
TBS世界遺産の公式サイトにはアーカイブが残されていますが、私なりに復習をしてみました。

✔️TBS世界遺産公式サイトアーカイブ(放送内容)はこちら
https://www.tbs.co.jp/heritage/archive/20260503

富士山は「自然遺産」ではなく「文化遺産」

まず改めて驚かされるのが、富士山ユネスコ世界遺産に登録された際、「自然遺産」ではなく「文化遺産」として登録されたことです。

その正式名称は、

富士山-信仰の対象と芸術の源泉
(Fujisan, sacred place and source of artistic inspiration)

標高3776m日本最高峰

日本列島のほぼ中央に位置し、どこから見ても美しいその姿は、古来より人々の信仰対象であり、同時に数多くの芸術家たちを魅了してきました。

番組では、いつもながら、撮影クルー陣による映像美も印象的でした。
富士山の上空に現れる「かさ雲」や「つるし雲」。

✔️TBS世界遺産公式サイトアーカイブ(ギャラリー)はこちら
https://www.tbs.co.jp/heritage/archive/20260503/gallery.html

刻々と表情を変える自然現象は、まるで富士山そのものが生きているかのようで、芸術家たちがこの山に心を奪われた理由がよく分かります。

広重と北斎が描いた富士山

番組では、浮世絵の巨匠たちによる富士山作品も数多く紹介されました。

<歌川広重が描いた富士山>

  • 《東海道五拾三次之内 由井 薩埵嶺》
  • 《東都名所 日本橋之白雨》
  • 《名所江戸百景 浅草田甫 酉の町詣》
歌川広重《東海道五拾三次之内 由井 薩埵嶺》Public domain, via Wikimedia Commons
歌川広重《東海道五拾三次之内 由井 薩埵嶺》Public domain, via Wikimedia Commons
歌川広重《東都名所 日本橋之白雨》Public domain, via Wikimedia Commons
歌川広重《東都名所 日本橋之白雨》Public domain, via Wikimedia Commons
歌川広重《名所江戸百景 浅草田甫 酉の町詣》Public domain, via Wikimedia Commons
歌川広重《名所江戸百景 浅草田甫 酉の町詣》Public domain, via Wikimedia Commons

広重の作品は、人々の暮らしや旅の風景の中に富士山を溶け込ませるような魅力があります。
遠景として描かれていても、確かにそこに存在感を放つ富士山
“人々と共にある山”として描かれているように感じました。

<北斎が描いた富士山>

一方で、広重のライバルと言われる葛飾北斎
《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》はあまりにも有名ですが、番組では特に「赤富士」として知られる、《冨嶽三十六景 凱風快晴》が印象的でした。

葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《冨嶽三十六景 凱風快晴》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《冨嶽三十六景 凱風快晴》Public domain, via Wikimedia Commons

大胆な色彩表現にも思えますが、実際に条件が揃うと、富士山は本当に赤く染まるのだそうです。

  • 雪のない季節
  • 雨上がり
  • 空気の澄んだ快晴の早朝

その極めて限られた条件下で現れる奇跡の瞬間。

番組では撮影隊が山中湖からその赤富士を捉える撮影に挑戦していました。
午前5時。朝日を浴びて赤く染まる富士山
しかし、その光景はわずか2分ほどで終わってしまったとのこと。

まさに、一瞬の自然現象を永遠の芸術へと変えた北斎の眼差しに驚かされます。

富士山と「水」が生み出す絶景

富士山は、水との組み合わせによっても数々の芸術を生み出してきました。

<白糸の滝>

世界遺産の構成資産の一つである「白糸の滝」。
その幻想的な景観は、平井顕斎《白糸瀑布真景図》にも描かれています。

真景図”とは、実景をもとにしながら、作者の心象風景も重ね合わせて描く山水画
単なる写生ではなく、「心に映った風景」なのだと思うと、とても日本的な美意識を感じます。

なお、平井顕斎《白糸瀑布真景図》の画像は著作権上の都合により掲載を控えますが、参考として白糸の滝の風景写真を掲載します。

《白糸の滝》Photo by 静岡市在住の方, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
《富士宮市白糸の滝》Photo by 静岡市在住の方, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

<逆さ富士>

豊かな水景が生み出す「逆さ富士」。
北斎《冨嶽三十六景 甲州三坂水面》では、水面に映る富士山を大胆な構図で描いていました。

葛飾北斎《冨嶽三十六景 甲州三坂水面》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《冨嶽三十六景 甲州三坂水面》Public domain, via Wikimedia Commons

また、番組では、

  • 田貫湖で年2回だけ見られる「ダブルダイヤモンド富士
  • 水田に映り込む鏡のような逆さ富士

なども紹介されており、自然そのものが一枚の絵画のようでした。

富士山は古来より「言葉」でも描かれてきた

富士山は、絵画だけではなく、古くから和歌の世界でも人々を魅了してきました。
番組では、奈良時代の歌人 山部赤人による『万葉集』の歌も紹介されていました。

田子の浦ゆ うち出でて見れば
真白にそ 富士の高嶺に 雪は降りける

(たごのうらゆ うちいでてみれば
ましろにそ ふじのたかねに ゆきはふりける)

これを現代語訳すると、
「田子の浦を通って外へ出てみると、富士山の高い峰には真っ白な雪が降り積もっていたことだ」
という意味になります。

およそ1300年前の人もまた、雪をまとった富士山の神々しい姿に心を震わせていたのです。
写真も映像もない時代。
だからこそ、人々はその感動を「言葉」で残そうとしたのでしょう。
その想いはやがて浮世絵へと繋がり、さらに海を越えて世界の芸術家たちへと受け継がれていったのかもしれません。

三保松原と芸術

富士山を語る上で欠かせないのが、三保松原です。
世界遺産の構成資産の一つでもあるこの場所は、実は富士山から約45km離れているにも関わらず、「芸術の源泉」として登録されました。

番組では、

  • 《東海道五拾三次之内 江尻 三保遠望》
  • 《冨士三十六景 駿河三保之松原》
  • 《六十余州名所図会 駿河 三保のまつ原》

など、歌川広重による作品が紹介されていました。

歌川広重《名東海道五拾三次之内 江尻 三保遠望》Public domain, via Wikimedia Commons
歌川広重《名東海道五拾三次之内 江尻 三保遠望》Public domain, via Wikimedia Commons
歌川広重《冨士三十六景 駿河三保之松原》Public domain, via Wikimedia Commons
歌川広重《冨士三十六景 駿河三保之松原》Public domain, via Wikimedia Commons
歌川広重《六十余州名所図会 駿河 三保のまつ原》Public domain, via Wikimedia
歌川広重《六十余州名所図会 駿河 三保のまつ原》Public domain, via Wikimedia Commons

は古来、神が宿る木とされ、松原そのものが神聖な場所。
三保松原は、の名作『羽衣』の舞台としても知られています。
『羽衣』の伝説とは、天女が松の枝に衣をかけ、漁師とのやり取りの末に舞を舞いながら富士山の方へと空へ帰っていく物語で、三保松原という場所を単なる風景から「物語のある聖地」へと昇華させました。

月岡耕漁《能楽図絵 羽衣》Public domain, via Wikimedia Commons
月岡耕漁《能楽図絵 羽衣》Public domain, via Wikimedia Commons

三保松原は、天界(富士山)と人間界が交わる聖地であり、その絶景は富士山を神聖な「信仰の対象」、かつ比類なき「芸術の源泉」として象徴する場所です。

富士山は世界の芸術家たちを魅了した

19世紀後半、パリ万博をきっかけに起きた「ジャポニスム」。
日本の浮世絵は、西洋の芸術家たちに衝撃を与えました。

北斎の、

  • 《東海道品川御殿山ノ不二》
  • 《尾州不二見原
  • 《甲州三島越》
  • 《甲州石班沢》

などの作品は、西洋の画家たちにも大きな影響を与えます。

葛飾北斎《東海道品川御殿山ノ不二》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《東海道品川御殿山ノ不二》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《尾州不二見原》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《尾州不二見原》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《甲州三島越》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《甲州三島越》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《甲州石班沢》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《甲州石班沢》Public domain, via Wikimedia Commons

フィンセント・ファン・ゴッホもその一人。
ゴッホは日本の浮世絵に強く魅了され、その影響は作品にも表れています。
例えば、《タンギー爺さん》の背景には、富士山を含む浮世絵が描かれています。

Vincent van Gogh《Self-Portrait(自画像)》Public domain, via Wikimedia Commons
Vincent van Gogh《Self-Portrait(自画像)》Public domain, via Wikimedia Commons
Vincent van Gogh《Portrait of Père Tanguy(タンギー爺さん)》Public domain, via Wikimedia Commons
Vincent van Gogh《Portrait of Père Tanguy(タンギー爺さん)》Public domain, via Wikimedia Commons
エッフェル塔と「もう一つの富嶽三十六景」

今回特に興味深かったのが、アンリ・リヴィエールによる《エッフェル塔三十六景》

Henri Rivière《Les Trente-Six Vues de la Tour Eiffel》_couverture(エッフェル塔三十六景_カバー)》Public domain, via Wikimedia Commons
Henri Rivière《Les Trente-Six Vues de la Tour Eiffel_couverture(エッフェル塔三十六景_カバー)》Public domain, via Wikimedia Commons

パリの浮世絵師とも呼ばれた彼は、北斎《冨嶽三十六景》へのオマージュとして、エッフェル塔(世界遺産)をテーマに36枚の連作を制作しました。
作品の構図や視線誘導には、明確に北斎からの影響が見られます。

リヴィエール《パッシー河岸より 雨》
北斎《遠江山中》

Henri Rivière《De la Quai de Passy, sous la pluie》(パッシー河岸より 雨)》Public domain, via Wikimedia Commons
Henri Rivière《De la Quai de Passy, sous la pluie(パッシー河岸より 雨)》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《遠江山中》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《遠江山中》Public domain, via Wikimedia Commons

リヴィエール《コンコルド広場より》
北斎《駿州江尻》

Henri Rivière《De la place de la Concorde》(コンコルド広場より)》Public domain, via Wikimedia Commons
Henri Rivière《De la place de la Concorde(コンコルド広場より)》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《駿州江尻》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《駿州江尻》Public domain, via Wikimedia Commons

リヴィエール《バ・ムードンの駅より》
北斎《御厩川岸より両国橋夕陽見》

Henri Rivière《La gare de Bas-Meudon》(バ・ムードンの駅より)》Public domain, via Wikimedia Commons
Henri Rivière《La gare de Bas-Meudon(バ・ムードンの駅より)》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《御厩川岸より両国橋夕陽見》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《御厩川岸より両国橋夕陽見》Public domain, via Wikimedia Commons

富士山が、海を越えてエッフェル塔へと受け継がれていく。
その芸術の連鎖に、とても胸を打たれました。

おわりに

雄大で、神秘的で、時に儚い。
北斎広重が見つめたそんな富士山は、現代に生きる私たちにとっても、まだ尽きることのない芸術の源泉なのかもしれません。

富士山は単なる「美しい山」ではなく、人々の祈りや感性、そして創作意欲を何百年にもわたって刺激し続けてきた存在なのだと、改めて感じた30分でした。

いつも過酷な撮影現場から、美しく感動の映像とストーリーを届けてくださるスタッフ皆さん、そしてCanonのカメラにも感謝です。

ちなみに…

次回(2026年5月10日(日) 18:00〜)のTBS世界遺産は、『名作映画で巡る世界遺産』という特別編とのこと。
これもまた、映画好きの私には外せないテーマなので、楽しみです。

TBS世界遺産 名作映画で巡る世界遺産(2026年5月10日放送)予告動画

あなたの心に残る
富士山の風景は
ありますか?

世界遺産 富士山 Mount Fuji, a World Heritage Site

ハムレット舞台で世界遺産クロンボー城への一人旅

〜 今でも心に残る旅の回顧録 〜


先日、映画『ハムネット』について記事を書きながら、私はある場所のことを思い出していました。
ウィリアム・シェイクスピアが描いた「ハムレット」の舞台として知られるデンマーク・エルシノア(Elsinore, Denmark)。

シェイクスピアの時代には「エルシノア」と呼ばれていたこの町、現在のヘルシンオアまたはヘルシンゲルに、実在するお城で、世界遺産として登録されているクロンボー城(Kronborg Castle)があります。
この地を私は数年前に一人旅にて訪れました。

*デンマークの都市、ヘルシンゲル(Helsingør)について
Wikipediaによる説明「ヘルシンゲル」

当時はただ「いつか行ってみたかった場所」として足を運んだその城が、今になって、まったく違う輪郭を帯びて思い出されてきました。


その地を訪れたのはこのブログサイトを開設する前のことでもあったので、今回は、そんなクロンボー城での記憶を、撮りためた写真とともに思い出巡りしてみたいと思います。



その日、私は滞在していたコペンハーゲン中央駅そばのホテルを朝早く出発し、電車にてヘルシンゲルへと向かいました。

コペンハーゲン中央駅(正面入口)
コペンハーゲン中央駅(プラットホーム)

Googleマップでの日本語表記はヘルシングボリとされる場所がここでいうヘルシンゲルです。

コペンハーゲン中央駅から電車に揺られ、およそ50分ほどでヘルシンゲルへ到着。

ヘルシンゲル駅(駅舎内)
ヘルシンゲル駅(正面入口)

ここは、デンマークの首都コペンハーゲンの北に約44km先のところにある港町。
ヘルシンゲル駅を出ると静かで美しい景色が広がります。

ヘルシンゲル駅前のフェリー乗り場スンドブスン・ターミナル(Sundbusserne Terminal)
町の中心にそびえる大聖堂聖オーライ教会(St. Olaf’s Church)
中世の修道院に付属していた、落ち着いた佇まいの聖マリア教会(St. Mary’s Church)
閑静な住宅街の間から見えるのがクロンボー城

クロンボー城手前の波止場には、一際目を引く海のゴミで作られた魚のオブジェが設置されていました。

公共アート作品:Garbage Fish(ガーベッジ・フィッシュ)

海洋プラスチックごみ問題への関心を喚起するために制作された巨大な魚型の彫刻作品で、訪れた時はただ印象的な作品だと感じただけでしたが、帰国してから調べて、日本のアーティスト「淀川テクニック」によるものだと知り驚きました。

遠く離れたデンマークの港で、思いがけず日本とつながった瞬間があったのだなと、不思議な感覚を得たのを今でも覚えています。

そんな印象深いオブジェの前にどっしりと佇む建物もまた奇抜でした。

Kulturværftet(カルチャーヴァーフテ/文化施設)

旧造船所(værftet:ヴァーフト)をリノベーションして建てられた、図書館+文化施設+展示スペースが一体化した施設です。

さらに進むと、旧造船所のドックをそのまま活かし、地中に潜るようにして造られたデンマーク海事博物館(M/S Maritime Museum of Denmark)があります。

海事博物館は地下なのでその建物は地上にありませんが、その先に、クロンボー城が姿を現します。

デンマーク海事博物館(手前に見える階段を下って入館)とクロンボー城

さて、いよいよクロンボー城の敷地内へ。
(工事中でしたが)まるでおとぎ話の世界にでも入り込むような入り口でした。

クロンボー城敷地内への入り口
クロンボー城は海に囲まれているため橋を渡らなければならない
さらに堀に囲まれた城壁
敷地内にはゲートがいくつもある

ここまでは無料ですが、お城の内部に入るためには入場料を払う必要があります。

城内部へと繋がる重厚な門(ここで入場料を支払う)

なお、デンマーク観光者には便利なコペンハーゲンカード(Copenhagen Card)というものがあります。
コペンハーゲンカードは、コペンハーゲン市内および周辺の80以上の観光名所への無料入場と、公共交通機関の乗り放題がセットになったもので、24時間〜120時間の有効期間から選べ、観光スポットを効率よく巡る際に便利なパスです。

私が行った年は2019年だったので、現地の旅行会社等でコペンハーゲンカードを購入する必要がありましたが、今はスマホのアプリになっているので、現地行かずとも準備可能です。
本当に海外旅行するにも便利な時代になりました…


クロンボー城への入場料金については、2026年4月現在で、大人150DKK*ほどで、季節によって変動があったり、オンライン購入の場合の割引があったりもするようです。
コペンハーゲンカード利用可能状態であれば、無料になります。

*DKK:デンマーク通貨クローネ。2026年4月18日現在で1クローネ24.97 円です。私が行った時より1.5倍くらいになっちゃってます…

さあ、それでは城内へと向かいましょう。

中庭へと繋がるアーチから見上げた景色
中庭

建物の中の部屋はたくさんあって、限られた時間内ではとても見切れませんが、どこを巡っても「宮廷と言えば豪華絢爛」というイメージが覆されるものでした。

居住部屋
大広間(ボールルーム)

屋上に登ることもできました。

屋上に出るための螺旋状の階段

屋上に登ると、360度パノラマの素晴らしい景色が一望できます。

エーレスンド海峡(Oresund)の向こうは、もうスウェーデンです。
この城がただの宮殿ではなく、“境界を見張る場所”だったことを実感します。

屋上からの眺め(向こう岸に見えるのがスウェーデン

一方で、視線をずらすと、城の向こうに広がるのは、小さな港町の穏やかな日常。
尖塔を伸ばす聖オーライ教会が、この街の時間を静かに見守っています。

屋上からの眺め(ヘルシンゲルの街並み、フェリースウェーデン行き)

クロンボー城は宮殿であると同時に要塞でもあり、華やかさよりも防御や機能が重視された場所でした。

対岸に向かって設置されている大砲

そして、その大砲が向けられていた先に目を向けると──

クロンボー城前に広がる海(エーレスンド海峡

そこには静かな海が広がっていました。
けれどこの場所は、かつて“境界”だったのです。

見張るために築かれた城と、その向こうにある、もうひとつの国。
その距離の近さが、この場所に独特の緊張と静けさを与えているのかもしれません。

そしてこの風景は、やはりハムレットの世界とも重なって見えるのです。

境界に立つということ、その内側と外側で揺れる心。
けれど今、この海は人を隔てるものではなく、行き来するための穏やかな道になっている。

かつての緊張を知っているからこそ、この静けさを、尊く感じられるのでしょうか・・・

デンマークスウェーデンを繋ぐ、国境の船が絶え間なく行き交う海の玄関口

ところで、イギリス人であるシェイクスピア自身が、デンマークの「エルシノア(現在のヘルシンオアまたはヘルシンゲル)」を訪れたという確かな記録はないということです。

当時、イングランドとデンマークは交流があり、宮廷や商人を通じて情報が入っていた可能性が高く、シェイクスピアにとってエルシノアは、単なる観光地ではなく「王権」「監視」「閉ざされた空間」「疑念と孤独」といったテーマを象徴する場所だったと考えられます。

シェイクスピアは、この地を訪れてはいない。
しかし、なぜ彼がこの地を自分の大切な作品の舞台に選んだか。

ここに立つと、少しわかる気がすると思います。

デンマークの世界遺産クロンボー城

この度、映画『ハムネット』を観たことをきっかけに、尊い記憶を呼び起こすことができ、豊かな気持ちに浸っています。
デンマークで訪れた他の場所についても、いずれまた記録として残せればいいなと考えています。



ちなみに、アート好きな私は旅をするときは、美術館や世界遺産など芸術を巡ることをテーマとしておりまして、世界遺産検定公式HPをよく参考にさせていただいております。

世界遺産であるクロンボー城については、世界遺産検定公式YouTnbeチャンネルのこちらの動画が参考になるかと思いますので、ご興味のある方はご覧になってみてください。



海の向こうに
あなたは
何を思い浮かべますか

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映画 落下の王国 円盤 待ち続けた作品が、ついに。

『落下の王国』4Kデジタルリマスター ついに UHD & Blu-ray 発売決定!

〜 その日が待ち遠しい!2026年7月15日(水)〜


ついにこの日が来ました。
『落下の王国』4Kデジタルリマスター版UHD&Blu-ray発売が公式発表されました。
待ちに待った、名作の円盤化です!
(配信については後半で述べてます)

昨年11月、日本でのリバイバル上映から続いていたあの熱狂。
ロングラン上映、パンフレットの重版 ──
「この作品、やっぱり特別なんだ」と改めて感じていた中での今回の発表。

正直、ずっと待っていました。



なぜここまで待ち望まれていたのか

私の過去記事でも書いていますが、『落下の王国(原題:The Fall)』は長い間、

  • 配信がほとんどない
  • 円盤(DVDやBlu-rayなど)も入手困難
  • というところから「観たくても観られない映画」

という状態が続いていました。

<落下の王国に関する私の過去記事>
映画「ザ・フォール 落下の王国」に見る世界遺産
念願成就!映画『落下の王国』4Kリマスター版を映画館にて!

それでもこの作品は忘れられることはなく、むしろ「一度観た人の中に残り続ける映画」として、静かに語り継がれてきた存在です。

だからこそ今回の4Kリマスター、そして円盤化は、単なる再発売ではなく、“ようやく正しく再会できる機会”だと感じています。

映画 落下の王国 円盤 待ち続けた作品が、ついに。


なぜ日本ではここまで刺さったのか

今回のリバイバル上映がここまで広がった理由、個人的にはこう考えています。

・美しさそのものを楽しむ文化
ストーリーの明快さよりも「映像体験」「美術」「ロケーション」を重視できる土壌がある

・パンフレット文化
映画を観て終わりではなく、“読み解く・深める”ことを楽しむ習慣がある

・余白を受け入れる感性
すべてが説明されなくても、感覚的に受け取れる作品に強い

日本では映画を「観て終わり」ではなく、「読み解く・持ち帰る」文化があります。
パンフレットや考察を通して作品を深めるスタイルは海外にはあまり見られない特徴であり、『落下の王国』のように余白の多い作品と非常に相性が良かったのだと思います。

『落下の王国』はまさに

  • アート
  • 世界遺産ロケーション
  • ファンタジー

この3つが融合した作品なので、日本の観客との相性はかなり良かったのだと思います。

海外との違い

海外でもこの作品は評価されていましたが、その広がり方は少し違うようです。

  • 長年「幻の映画」としてカルト的に支持
  • 4K修復をきっかけに再評価
  • 配信や限定上映で徐々に拡大

一方日本では、劇場体験から一気に広がったというのが大きな特徴です。

つまり

  • 海外 → コア層からじわじわ拡大
  • 日本 → 劇場体験で一気に共有

この違いはかなり面白いポイントだと思います。

どの形で買うべきか(正直に悩んだ話)

今回の円盤販売には、いくつか種類があります。

  • BD単品
  • UHD+BD(ブックレット付き)
  • 公式サイト限定特典付き(オリジナルアクリルスタンド6体セット)

どれにすべきか、悩みました。

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一瞬アクリルスタンドも気になったのですが、冷静に考えると自分が求めているのはそこではなくて、映画そのものと、その背景なんですよね。

私は

  • グッズよりも作品そのもの
  • さらに言えば撮影秘話や制作背景

に価値を感じるタイプなので、最終的にはUHD+BD(ブックレット付き←私にはこれが重要!)を選ぶのがベストかなと考えました。

正直に言うと、特典映像はBDに収録されているということのなので、円盤はBDのみでもいいのですが、それだとブックレットが付かないので・・・

こういうところ、うまく設計されているなとも思いますが、この作品に関しては、私にとって“知ることで体験が深くなる”映画なので、納得して選べる範囲かなと思っています。

ちなみに、UHDと通常のBD=Blu-rayの違いについて。
ざっくり言うと、

  • UHD(Ultra HD Blu-ray):いわゆる4K。より高精細で色の表現も豊か
  • Blu-ray:一般的な高画質で十分きれい

という違いがあります。

ただ『落下の王国』に関しては、

  • 色彩の美しさ
  • 衣装やロケーションの細かさ

が作品の魅力そのものなので、“より本来の映像に近い形で観たいならUHD”という選び方になるのかなと思います。
ただし、UHDを楽しむには4K対応のテレビや再生機器が必要なのでその辺の兼ね合いでご判断を。

一方で、Blu-rayでも十分に美しい作品であることは間違いないと思っています。

4Kで観る意味

この作品は

  • 実在する世界遺産ロケーション
  • CGに頼らない映像
  • 圧倒的な色彩設計

によって成り立っています。

つまり解像度が上がるほど価値が増す作品です。

配信でも観られる時代ですが、この作品に関してはやはり円盤で“所有する体験”には、それなりに意味があるかもしれません。

映画『落下の王国 4Kデジタルリマスター』30秒予告
配信はある?現時点の状況

なお、現時点(2026年4月1日)では、日本国内での配信については正式な発表はありません。
海外では4Kリマスター版が配信サービスで公開されているものの、日本では

  • 劇場でのリバイバル上映
  • UHD&Blu-rayの販売

が先行している状況です。

そのため、「とりあえず観てみたい」という方にとっては、少しハードルが高い状態が続いているのが現状かもしれません。

ただ、この流れから考えると、今後配信が解禁される可能性は十分にありそうです。
私自身は、この映画については手元に置いておきたいので円盤購入を選びますが、この作品がより多くの人に届くきっかけとして、配信の展開にも期待したいところです。

最後に(まとめ)

『落下の王国』

  • 分かりやすい映画ではないかもしれない
  • でも確実に「記憶に残る映画」

です。

今回の円盤化は、ずっと好きだった人にとってはもちろん、少し気になっていた人にとってもようやくちゃんと触れられる機会になるはずです。

そしてアート好きで世界遺産好きな個人的には、この作品は一度観て終わりではなく、何度も向き合う映画だと思っています。
だからこそ今回の発売、本当に嬉しいです。

…ええ、もちろんもう予約しましたよ。
海外での販売でも大人気で程なくして売り切れたというし、過去の後悔を繰り返したくはないので。

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この物語
あなたの中では
どう残りましたか?

映画「落下の王国(The Fall)」デジタル4Kリマスター, 映画レビュー

念願成就!映画『落下の王国』4Kリマスター版を映画館にて!

〜およそ20年越し、大好きな映画を美しく蘇った映像で大画面で観る感動〜


数年前、大好きな映画『落下の王国(原題:The Fall)』について、ロケ地となった世界遺産とともに紹介する記事をしたためた私。

↑当時の記事については、リンク切れを起こしていた箇所など修正し更新しました

なんとこの映画が4Kデジタルリマスター版として蘇り、今年、日本全国の映画館で上映されると知った時はどれだけ心が躍ったことか。

映画落下の王国 4Kデジタルリマスター2025年11月21日(金)より全国公開。
しかも、”オリジナルの劇場公開版でカットされたシーンが新たに追加され、より濃密な没入体験を実現”された”完全版”とのこと。

映画落下の王国 4Kデジタルリマスター公式ホームページ:https://rakkanooukoku4k.jp/


長年のファンとして、この上映日をどれだけ待ち望んだことでしょう・・・

というわけで、その公開初日、ついに映画『落下の王国(The Fall)』の4Kデジタルリマスター版を映画館で鑑賞してきました。
仙台市在住の私が訪れた劇場はフォーラム仙台でしたが、平日の昼間にもかかわらず、劇場は満席。
(上映されている劇場一覧はこちら→https://theaterlist.jp/?dir=rakka4k
制作されてからおよそ20年(2026年制作、2028年日本公開)が経った今でも、この映画が持つ力の大きさを改めて感じ、胸が熱くなりました。

私自身、世界遺産やアート、そして映画をこよなく愛する者として、この作品は特別な意味を持っています。
なぜなら、これは単なるファンタジー映画ではなく、まさに「動く美術書」!!
そして「世界を巡る壮大な旅」!!だから。

映画『落下の王国 4Kデジタルリマスター』予告編


さて、ここから先は少しネタバレ的なことも述べていこうかと思いますので、まだ一度も映画『落下の王国(The Fall)』を観たことがなく、これから観るのだという方は、ご留意くださいね。



まず、『落下の王国(The Fall)』を語る上で欠かせないのは、その息をのむような映像美です。

ターセム・シンTarsem Singh監督は、インド、ナミビア、中国、イタリアなど、20カ国以上でロケを敢行されたとのこと。
4Kリマスターによって大スクリーンに映し出されたその光景は、もはや現実のものとは思えないほどの色彩と質感でした。

誰もが感動するのは、CGに頼らず、世界遺産を含む実在のロケ地を最大限に活かして創り上げられた映像の迫力です。

壮大な万里の長城や、タージ・マハルの前に建つ赤い砦。

砂漠(ナミビア)の絵画的な構図。

インドのジャンタル・マンタル(ジャイプル)の巨大な建造物が、物語の登場人物の背景として機能する瞬間。

一つ一つのショットが、まるで緻密に計算された絵画のようでもあり、劇場で鑑賞することは、世界の美術館を巡るような素敵な体験でした。
これまで小さな画面でしか観たことがなかった方も、ぜひこの機会に劇場の暗闇で、監督が追い求めた「本物の美」に触れ、私が味わったような感覚を得られたなら嬉しいです。

映画『落下の王国 4Kデジタルリマスター』チラシ(表)(画像クリックでPDF画面が開きます)

この映画が、私のような世界遺産好きの心を掴んで離さないのは、ファンタジーの物語が、地球上に実在する最も美しい場所の数々によって支えられている点ではないでしょうか。

病室で語られる物語は、病気の少女アレクサンドリアの無垢な視点と、語り手ロイの絶望や希望が混ざり合いながら進んでいきます。
そのストーリーテリングの中で、世界遺産世界各地の絶景は、単なる背景ではなく、物語の感情を表現する重要な役割を果たしています。

例えば、美しい砂漠(ナミビア ナミブ砂漠)や、青い街(インド ジョードプル)の風景は、旅のキャラクターたちが感じる孤独や、自由への渇望を象徴しているようにも感じられます。

そして、それは私たちが世界遺産に感じる「人類の残すべき遺産」という価値観と深く響き合うのです。

映画『落下の王国 4Kデジタルリマスター』チラシ(裏)(画像クリックでPDF画面が開きます)

最後に、タイトル『落下の王国(The Fall)』に隠された多層的な意味について考えてみたいと思います。

映画の原題である『The Fall』は、邦題として『落下の王国』とされました。
これには様々な解釈が込められているのだと感じます。
この言葉が指し示すものは、現実と物語の世界で、登場人物たちに起こる複数の「落ちる」または「落ち込む」という状態ではないでしょうか。

1. Royの現実:絶望への「転落」

主人公であるスタントマンのロイは、撮影中の事故により再起不能の怪我を負い、恋人にも裏切られ、精神的に深い絶望へと「落ち込んで」います。

物理的な落下として、彼がスタントマンとして経験した「落下」(事故)そのもの。

精神的な崩壊として、絶望から自死を考えるほど、人生のどん底へと「転落」した状態。

物語の終焉において、彼は物語の中で、キャラクターたちを次々と死(あるいは絶望)へと「落とす」ことで、自身の苦しみを表現しようとします。

2. Alexandriaの成長:無邪気な時代からの「脱却」

一方、少女アレクサンドリアは、純粋で無垢な視点を持っていますが、ロイの物語を聞くことで、死や裏切り、悲劇といった現実世界の暗い部分に直面していきます。

アレクサンドリア自身も、オレンジの収穫中に木から「落ちて」腕を骨折して入院しロイに出会った。

ロイを救おうとして病院内で再び「落下」して大怪我を負ってしまう。

わずか5歳の少女アレクサンドリアの無垢からの脱却
→人間が成長する過程で経験する、無邪気な世界から現実の世界へと「落ちていく」過程を象徴

3. 神話的な解釈:「失楽園」のテーマ

The Fall」という言葉は、キリスト教の神話において、アダムとイブがエデンの園を追放された「堕罪(Fall of Man)」を連想させます。

ロイが語る物語は、復讐と裏切りに満ちたダークファンタジーです。
これは、かつて美しい世界(楽園)があったにもかかわらず、人間が悪意や過ちによってそこから「失墜」した状態を描いていると考えられるのではないでしょうか。

映画『落下の王国 4Kデジタルリマスター』の初回限定パンフレットと鑑賞先着プレゼントの復刻版B5チラシ

落下の王国(The Fall)』という、絶望、成長、そして神話的な失墜を表現するタイトル。
こうして考えてみると、笑える部分も大いにある作品でありながら、結構なダークな部分を示唆し、私たちに改めて人生の問いかけをしてくれるような物語だなと感じました。
だからこそ、この映画は単なる映像美だけでなく、深い悲哀と、そこから立ち上がろうとする人間の強さという感動を、観る者に与えるのかもしれません。

長年のファンの方も、今回初めて観る方も、この4Kデジタルリマスター版により、きっと新たな感動と発見を得られると思います。
スクリーンに広がる夢のような世界で、あなた自身の「落下の王国」を見つけてくださいね。

映画落下の王国 4Kデジタルリマスター公式ホームページ:https://rakkanooukoku4k.jp/


映画『落下の王国(The Fall)』ロケ地となった世界遺産について知りたい方はこちら(映画「ザ・フォール 落下の王国」に見る世界遺産)をご覧くださいませ✨


2026年4月2日追記:待ちに待った、この4Kリマスター版の円盤(UHDとBlu-ray)が販売されることとなりましたので、綴りました↓

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あなたにとって
心に残るシーンは
どこですか?


チュニジア旅の予習 その2<ロケ地となった映画>

〜スターウォーズ以外にも!〜


前回は、今年(2025年)旅するチュニジアについて、アフリカでは世界遺産を比較的多く保有する国であるとのことで、その辺についてまとめてみました。


しかし!もしかしたら、それ以上に映画『スター・ウォーズ』の聖地であるということで知られているかもしれないんですよね。

ですが映画好きの私といえども、特に『スター・ウォーズ』ファンというわけではないので、そこに特別入れ込んでチュニジアに行きたい!と思ったわけではない…

とはいえ、もちろん『スター・ウォーズ』シリーズは観ていて(しかし多分コンプリートしていない。壮大すぎて…)、あの世界観が体現された場所とあれば興味を持つのは当然ですし、チュニジアはその独特な砂漠や遺跡の景観から、『スター・ウォーズ』以外にも数々の映画のロケ地として使われているとのことで、”映画ロケ地巡り”をテーマとした旅も面白そうじゃない?と思った次第です。


というわけで、本日は、チュニジアで撮影された映画について、いくつかロケ地を取り上げ、まとめてみようと思います。
(なお、各所を示す全体のマップは、後半に記載しています!)

やはり代表作品として、まずは『スター・ウォーズ』から。

チュニジアがロケ地!その1:スター・ウォーズの聖地

1)タタウィン(Tataouine)
 ルークの故郷”タトゥイーン”は、実在するこの街の名前から名付けられました。

2)マトマタ(Matmata)
 穴居住宅がルークの家として登場。
 現在は「ホテル・シディ・イドリス(Hotel Sidi Driss)」として宿泊も可能です。

3)トズール(Tozeur)
 サハラ砂漠のオアシス都市。映画のセットが現存していて、砂漠の奇岩「ラクダの首」や「オング・ジュメル」は、映画の異星の風景そのもの。
 エピソード1の砂漠やポッドレースの舞台があります。

4)ジェルバ島 アジム村(Djerba Ajim)
 「アジム村」はモス・アイズリー宇宙港の酒場シーンなどの撮影地となりました。

次の動画は重要なシーンのほとんどがチュニジアで撮影されたというエピソード4(1978公開)の予告編です。

映画『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』予告編

チュニジアにある各所は、『スター・ウォーズ』ファンなら、一生に一度は巡礼したい場所かもしれませんね。

チュニジアがロケ地!その2:インディ・ジョーンズと古代都市

インディ・ジョーンズ シリーズの第1作目である『レイダース/失われたアーク』(1981年公開)では、”カイロの市場”シーンがあるのですが、実際にはエジプトではなくチュニジアの聖地ケルアンの旧市街などで撮影されたのだそうです。

5)カイルアン(ケルアン Kairouan
 イスラム世界四大聖地のひとつとされる歴史都市で世界遺産にも登録されており、伝統的な旧市街や貯水池などの遺跡が残っています。
 『レイダース』では映画の背景として印象的に使われています。

6)スィディ・ブハリル峡谷(Sidi Bouhlel Canyon)
 先述したトズール近郊の峡谷で、『スター・ウォーズ』でも使われた名所(故に、GoogleマップではStar Wars Canyonとも記載されています)。
 『レイダース』では“砂漠の冒険地”として最終決戦のロケ地となりました。

スター・ウォーズではハン・ソロ役で出演していたハリソン・フォードが、インディ・ジョーンズでは主演を務める『レイダース/失われたアーク』の予告編動画はこちら。

映画『レイダース/失われたアーク』予告編

カイルアンは歴史的観光地としても有名なので、映画+歴史の両方を楽しめそうですね。
世界遺産映画好きな私としては是非とも訪れたい場所です!

チュニジアがロケ地!その3:イングリッシュ・ペイシェントのサハラ

アカデミー賞作品賞に輝いた『イングリッシュ・ペイシェント』(1996年公開)。
サハラ砂漠の壮大なシーンは、チュニジア南部で撮影されたことで有名です。

7)クサール・ギレン(Ksar Guilane)
 『イングリッシュ・ペイシェント』でキャラバンが進む場面や砂丘の美しい景色は『スター・ウォーズ』『レイダース』でもロケ地となったトズールの他、クサール・ギレンなどで撮影されています。

8)シェビカ村(Chebika Village)
 シェビカ村山岳オアシスとして、美しい谷とナツメヤシの林が広がる、映画そのままの風景が見られます。

山岳オアシス:山間の谷や斜面に水源があり、砂漠とは異なる緑豊かなオアシス環境を形成している地域

イングリッシュ・ペイシェント』の予告編動画でここにアップできるものでは、以下のように、画質が良いものが見つからなかったのですが、各種配信やDVDなどではちゃんと綺麗に見られますのでご安心ください。

映画『イングリッシュ・ペイシェント』予告編

(ちなみに、トリビュートとして、高画質でまとめられている方がいらして、予告編とはならずとも素敵な動画ならあります→https://www.youtube.com/watch?v=Tz52Gnh2soI&list=RDTz52Gnh2soI&start_radio=1

イングリッシュ・ペイシェント』では砂漠のシーンがとても印象的でした。
現地の砂漠ツアーに参加すれば、映画の登場人物になった気分になるかもですね(ちょっと怖い砂漠シーンだったけど…)。

チュニジアがロケ地!その4:モンティ・パイソンと地中海の要塞

私自身はチュニジアに行くということとなって知りまして、AmazonでDVDが安かったので思わず購入したという、日本ではあまり知られていなちょっとレアな作品です。

イギリスのコメディ映画『モンティ・パイソン ライフ・オブ・ブライアン』(1979年公開)は、チュニジアモナスティルスースで撮影されたとのことです。

8)モナスティルのリバト要塞(Ribat of Monastir)
 映画の背景として何度も登場しており、歴史的な雰囲気を醸し出しています。

9)スースの旧市街(Medina of Sousse)
 こちらも前回(https://calm-smile-chain.com/tunisia-world-heritage-sites/)述べた通り、世界遺産として登録されています。
 中世の街並みをそのまま残し、『ライフ・オブ・ブライアン』のロケーションに利用されています。

モンティ・パイソンはイギリスを代表するコメディグループで、彼らによる映画『ライフ・オブ・ブライアン』は、ここ日本ではレアでマニアックな作品とされていますが、コメディ映画としての評価は根強く、その風刺や皮肉、ブラックユーモアの強さから熱狂的なファンも多いみたいです。

というわけで、私は以下の動画を見て、気になってしまってDVDを購入しました。
Webサイト上には日本語訳のついてる動画はなかったのでこちらを記載してますが、日本版DVDなら字幕がありますのでご安心ください。

映画『モンティ・パイソン ライフ・オブ・ブライアン』予告編

この映画ではコメディの舞台ではありますが、モナスティルスースは、地中海沿岸の美しいリゾート地として観光客にも人気で、楽しめるとのことです。

そして今回もGoogle My Mapsを活用して地図を作成しました。
地図上でも、ここに書いた番号順、また色分けは映画ごとにしていますので、参考にしてみてください。

(地図上のアイコンをクリックすると説明が表れます。もしくは拡大地図を表示することで一覧として見ることができます。また、前回同様、マイマップシステム上、説明は英語入力してますが、ここに記載したことと同じことを述べてます)


最後に一応の記載ですが、映画『グラディエーター』もチュニジアで撮影されたとの噂もありますけれども、チュニジアの世界遺産であるエル・ジェム(El Jem)(世界遺産について述べた前回記事:https://calm-smile-chain.com/tunisia-world-heritage-sites/)が “ローマ時代の円形闘技場(アンフィテアトルム)” を持つことから、「グラディエーターの闘技場シーンと似ている」ためのようです。
ですが「グラディエーター」は実際にはモロッコで撮影されたようですよ。
(ネット検索したり、AIに聞くと事実ではない情報があることもありますので、注意しなきゃですね)

あなたなら
どんな映画の撮影地を
訪れたいですか?

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チュニジア旅の予習 その1<9つの世界遺産>

〜歴史と芸術のタイムトラベルの旅〜


前回のブログに記述した通り、今秋、北アフリカの国、チュニジアへ旅します。


というわけで、先日(2025年8月17日)チュニジアについて放映されたTBS『世界遺産』もしっかりチェック!
TBS『世界遺産』によるアーカイブはこちら→https://www.tbs.co.jp/heritage/archive/20250817/


今回この番組で取り上げられたチュニジアの世界遺産は「カルタゴの考古遺跡」と「エルジェムの円形闘技場」の二つでしたが、2025年8月現在、チュニジアが有する世界遺産は、文化遺産が8つ、自然遺産が1つで、合計9つとなっています。
(世界遺産委員会は年に一回開催されます。本2025年は7月6日から16日、第47回世界遺産委員会がパリのユネスコ本部で開催されました)

チュニジア世界遺産について基本を押さえて、そしてこれから旅の予定も具体的に立てたいので、まずは、Google My Mapsでチュニジア世界遺産マップを作るべく各プロパティの個所にピン立てし、情報をまとめてみました。

*プロパティ:登録されている遺産の範囲のこと。文化遺産であれば記念物、建造物群、遺跡などで、自然遺産であれば地形、地質、生態系など。


ちなみに、このGoogle My Maps内にもそれぞれのプロパティについて簡単な説明を記述しているのですが、日本語での書き込みがイマイチなので英語で入力しています。
(日本語での入力自体はできるのですが、Google My Mapsでは日本語サポートが完全ではないので、日本語入力後、改めてGoogle My Mapsで日本語訳設定で表記すると意図しない文章となって変換されてしまったり少々問題ありなのです)
日本語でご覧になりたい皆さまには、Google My Mapsのブラウザを日本語に翻訳設定していただければと思うのですが、それでも若干おかしな日本語表記になる場合ありなので、Google My Mapsに付記した番号と連携させた上、以下にも、2025年8月現在の、チュニジアの9つの世界遺産について、文化遺産と自然遺産に分けた上、登録順で説明を記述しておきます。
(なおここから以降の地図は通常のGoogleマップです)

チュニジアの世界遺産(2025年8月現在、全部で9つのプロパティ)

<文化遺産 8件>

1)チュニス旧市街(Medina of Tunis)
1979年登録
登録基準 (ii)(iii)(v)
イスラム建築の宝庫で、モスク、宮殿、市場が密集。都市構造も高い保存性を持つ。
UNESCO Webサイト:https://whc.unesco.org/en/list/36

2)カルタゴ遺跡(Archaeological Site of Carthage)
1979年登録
登録基準 (ii)(iii)(vi)
フェニキア、ローマ、ビザンツなど複数の文明が重なる歴史的都市跡。円形劇場や浴場跡が見られる。
UNESCO Webサイト:https://whc.unesco.org/en/list/37/

(先日のTBS『世界遺産』で取り上げられた所)

3)エル・ジェムの円形闘技場(Amphitheatre of El Jem)
1979年登録
登録基準 (iv)(vi)
ローマ時代の巨大円形闘技場。35,000人を収容でき、北アフリカでも屈指の保存状態を誇る。
UNESCO Webサイト:https://whc.unesco.org/en/list/38

(先日のTBS『世界遺産』で取り上げられた所)

4)ケルクアンの古代カルタゴの町とその墓地遺跡(Punic Town of Kerkuane and its Necropolis)
1985年登録
登録基準 (iii)
ローマ化の影響を受けずに残ったフェニキア人の都市遺跡。街並みと墓地の保存状態が稀有である。
UNESCO Webサイト:https://whc.unesco.org/en/list/332

5)スース旧市街(Medina of Sousse)
1988年登録
登録基準 (iii)(iv)(v)
防衛都市としての特徴を持ち、要塞だったリバト(Ribat)やカスバ(kasbah)、イスラム教礼拝堂のグレートモスクなどを含む商業・宗教の中心地。
UNESCO Webサイト:https://whc.unesco.org/en/list/498

6)カイルアンケルアン Kairouan)
1988年登録
登録基準 (i)(ii)(iii)(v)(vi)
北アフリカにおける初期イスラム都市。ウクバ・モスク(Mosque of Uqba)の名称で知られる北アフリカ最古のグランド・モスクなど、宗教・建築両面で重要な役割を担ってきた。
UNESCO Webサイト:https://whc.unesco.org/en/list/499

7)ドゥッガ/トゥッガ(Dougga / Thugga)
1997年登録
登録基準 (ii)(iii)
北アフリカで最も保存状態の良いローマ都市。神殿、劇場、浴場、公衆施設が高い完全性を誇る。
UNESCO Webサイト:https://whc.unesco.org/en/list/794

8)ジェルバ:島嶼域の入植様式を伝える遺産(Djerba: Testimony to a settlement pattern in an island territory)
2023年登録(最新)
登録基準 (v)
教会、シナゴーグ(ユダヤ教の会堂)、イバード派(イスラム教の一宗派)の要塞化されたモスクなど、多宗教・多文化が共存する島の歴史的パターンを保存。
UNESCO Webサイト:https://whc.unesco.org/en/list/1640

<自然遺産 1件>

9)イシュケル国立公園(Ichkeul National Park)
1980年登録
登録基準 (x)
湿地と湖の自然景観が育む豊かな生態系。渡り鳥の重要な休息地としても知られている。
UNESCO Webサイト:https://whc.unesco.org/en/list/8

チュニジア世界遺産は、古代文明からイスラム文化、そして自然遺産まで、幅広い魅力にあふれていそうです!
これら9つすべてを巡る旅はまさに「歴史と芸術のタイムトラベル」と言えるのではないでしょうか?

と言いつつ、私自身は今回のチュニジア訪問では1週間程度の滞在期間で、せっかくチュニジアに行くからには砂漠体験もしてみたいので、残念ながら、9つすべての世界遺産を巡ることは難しいのですが、美術世界遺産といった芸術好きの私にとっては、きっと素晴らしい旅となるはず。

特に私、アート好きとしては、先日のTBS『世界遺産』でも言及されていた、チュニジアモザイクアートがとても楽しみです♪
(前出のYouTube映像ではその部分はありませんが、TBS『世界遺産』HPにアーカイブとして画像があります→https://www.tbs.co.jp/heritage/archive/20250817/gallery.html


そしてチュニジア砂漠だったり、古代の遺跡が良い状態で保存されていることもあって、多くの映画ロケ地となっています。
スターウォーズはその代表としてよく知られていますが、それ以外にもありますので、次はチュニジアで撮影された映画をテーマに予習してみようと思います♪



〜 参考書籍(Amazonにリンク)〜


あなたは
巨大な古代遺跡を
実見したことがありますか?

今年の海外旅先チュニジア

〜北アフリカで世界遺産を多数保有する国へ!〜


今年、友人が北アフリカのチュニジアへ赴任しました。
実は、その友人からチュニジアで働くかも、という話を聞いたのは昨年のこと・・・

これまでのブログでも綴っていますが、私、昨年は仕事による心労からプライベートで人に会うのもしんどく、唯一会った友達はというと、フランスで生活する友人が一時帰国した時と、宮城県内に住む一組の友人夫婦のみでして。


そう、私は、フランスで生活していた友人が昨年の9月に一時帰国した時点で、「翌年はこれまでとは違う生活になるかもしれない、チュニジアに行くかも」という話を聞いて、「親友の新しい人生は応援したいし、彼女がチュニジアにいるうちに私も絶対に行く!」と心に決めたのでした。

ただ、その時点ではまだ2024年の9月。
私自身は仕事に苦しんでいたさなかです。
でも、親友との再会で励まされたし、今思えば、彼女からの話を聞いたから故の「私もチュニジアに行ってみたい!」という思いも、「いくら仕事のストレスによる適応障害との診断を受けたところで、辞めるわけにはいかないのでは」という気持ちを抱えていた私だったのに、「自分が望んでやりたいことや幸せだと思えることをできない人生なんて、生きている意味ある?!」と改めて思い出すことができ、仕事を辞める決断をする原動力となった理由の一つだったのかもしれません。

だって、彼女からの話を受けるまで、チュニジアへの旅を思いつくこともなかったですし、あのまま仕事を続けていたら、今年中に海外旅行するための長期休暇なんて確保できなかったでしょうから。
(同じ職場でも一昨年にフランスに行けたのは、コロナ明けは絶対にフランス行きは実行すると決めていたことと当時の職場の体制が異なっていたこともあり、半ば強引に休暇を取ったためで、退職時の体制ではそれは無理であったろうと思われます)


というわけで、東京からドバイ経由でのチュニス行き航空チケットを購入いたしました!!
今年(2025年)の秋にチュニジア旅を決行します!!


ところで、北アフリカの国、チュニジア🇹🇳
この国について詳しい方はいらっしゃいますでしょうか?


私はといいますと、ごめんなさい・・・
白状しますが、友人から聞くまでは意識することなどなかった国です。

しかし、これを機に行くとなれば、当然、よく知りたいわけで。
インターネット上にいくらか情報はあるとはいえど(それら全てが正しくは無いのがネット社会)、まずは信頼する「地球の歩き方」で情報を得たいところでしたが、チュニジアについては2020-21年版が最新、その後の刊行予定は現在なしとのこと。涙
私自身は流行とか人気の場所などには興味ない人間なので、むしろ、チュニジアはそれだけレアな国なのだろうと、それはそれで訪問する意欲は増すので良いのですけどね。苦笑


なので、チュニジアへの旅経験のある方、知っておくべき知識などありましたら是非ともお教えいただきたいです。

そうそう、ちょうど次の日曜(2025年8月17日)に放映されるTBSの『世界遺産では、チュニジアの「カルタゴの考古遺跡」と「エルジェムの円形闘技場」が取り上げられるとのことです!
ナイスタイミング!絶対見なきゃ。





さて、本日は8月15日。明日までがお盆です。
あなたはご先祖様へのお参り済ませましたか?

私の亡くなった家族たちには、芸術に縁のある人たちが多いです。
故に私も、その影響を受けているのかなと感じ、それを嬉しく想っています。
そして私は、彼らから受け継いだ命を大切に、生きているうちに美術や世界遺産という芸術に少しでも多く触れたい。
自分の命に感謝すると共に、そんなことを、ご先祖へお伝えしてきたところです。

今年決行するチュニジアへの旅。
北アフリカでも世界遺産を多数保有する国ということなので、これから予習します。


あなたは
どんな旅の予習が
楽しいですか?

フランスディジョン名産マスタードを使った料理

〜マスタードの美味しさに目覚め、料理の幅も広がる〜


フランス世界遺産の歴史地区の一つとして登録されているディジョン(Dijon)については以前触れましたが、ブルゴーニュ(Bourgogne)地方の名産として知られ、日本でも百貨店や輸入食品店などでも目にすることがあるディジョンマスタードについては、是非記しておきたいと思いつつまだ未記載でしたので、ようやくアップします。

ディジョンに関する過去の記事はこちら↓


さて、料理の調味料の一つであるマスタード、あなたは日常的に利用されていますか?
私はというと、正直なところ、フランス旅を決行するまで、マスタードにはほとんど興味がありませんでした。

一応それなりに料理はするし、一通りの調味料にはそれなりの品質を求めて揃えているつもりなのですが、お恥ずかしながら、マスタードに関しては、一人暮らしで日本人だしソーセージばっかり食べるわけじゃないし使いきれない、と勝手に思い込んでいたのです。

ですが、人生初のフランス旅行の際に、ブルゴーニュで生活する友人から名産であるディジョンマスタードの話を受け、マスタードにスポットって当たるものなんだ?と、今思えば、大変失礼なことですが、そこで私もマスタードへの興味を抱くことになったのです。

というわけで、私の初フランス旅で購入したディジョンマスタードがこちら↓

エドモンド・ファロ(Edmond Fallot社製


ちょうどお土産には良いサイズ感で、街中や空港等のお店でも販売されているものと同じですが、友人からスーパーで買う方が安いと教えられ、確かにその通りでして。
私は友人が連れて行ってくれた「オーシャンAuchan)」という大型スーパーで購入しました。

オーシャンに関する記事はこちら↓


そしてフランス旅の帰国後、お世話になっている食通の方にお土産としてお渡ししましたら、「すごい美味しかった、なんていうか上品というかハーブが効いているのかな、あんなマスタード食べたことない!」という感想をいただきまして。
マスタードは日持ちするからと、一応自分の分もキープしていたものの、味わうことなく放置していたのですが、そこまで言われることに驚いた私、それを聞いて初めて口にしみたら、本当にその通りで感動したのです。

そう、ディジョンマスタードには、私たちが近所のスーパーなどで購入するマスタードとはちょっと違った独特の風味と、料理を引き締める鮮やかな辛味があります。

実はこのディジョンマスタードフランスブルゴーニュ地方の中心都市であるディジョンで生まれ、大変由緒ある調味料なのだそうです。
その歴史は古く、14世紀という中世の時代から、ディジョンマスタードの産地として名を馳せてきました。
肥沃な大地と伝統的な製法が、他とは一線を画す風味豊かなマスタードを育んできたのです。

ディジョンマスタードの主な原料は、ブラウンマスタードシードという種類のカラシナの種。
これを砕いて粉末にし、白ワインビネガーや水、塩などと混ぜ合わせて作られます。
ここで重要なのが、白ワインビネガーを使うことであり、ディジョンマスタード独特の風味と、まろやかな酸味を生み出す秘密なのだそうです。

なるほど確かに、日本のカラシは、なんというかシンプルでツンとくるあの辛みが主体ですが、ディジョンマスタードにはフルーティーでまろやかさを感じると思えたのは、それが理由なのでしょう。

変な表現ですが、日本のカラシはそれだけを舐めていたいとは思えないけど、ディジョンマスタードはそれだけを舐めていられるんですよね(あくまでも私の場合ですが。日本のカラシを舐めていたい人もいらっしゃるかもしれないし、ディジョンマスタードを舐めてられない人もいらっしゃるでしょうから・・・笑)。

とにかく、ディジョンマスタード未経験の方には、是非ご賞味いただきたいと思える食品です。
(料理好きな方であれば、絶対におすすめ!)

さて、以下に続く画像は、友人が日本への一時帰国の際に、フランス旅を経てマスタードにハマった私のためにプレゼントしくれたディジョンマスタードの数々です。

完全オーガニックなレーヌ・ド・ディジョン(Reine de Dijon)社製にて日本では入手困難


Edmond Fallot社製、バニラまたはポルチーニのマスタードにて日本では入手困難

ちなみに、こちらのお品、瓶ラベルの上部にBernard Loiseau(ベルナール・ロワゾー)との記載がありますが、フランスブルゴーニュの友人宅近くのSaulieu(ソーリュー)という町にある2つ星レストランのものなのだそうで。
レストランのブティックでもこのマスタードが売られているということから、Edmond Fallot(エドモンド・ファロ)社がBernard Loiseauとのコラボで作っているマスタードなのかもしれません。
しかもなんとこのお店、日本にも進出し、去年の2月からオープンしているようです・・・!
(友人が調べて教えてくれました。感謝🙏)

Loiseau De France(ロワゾー・ドゥ・フランス) Webサイト:
https://ldf-tokyo.jp/

Loiseau de France
ロワゾー・ドゥ・フランス

住所:〒162-0826 東京都新宿区市谷船河原町15
営業:水曜~日曜 11時30分~21時00分
定休:月曜・火曜


というわけで、入手困難とは書きましたが、もしかしたら、東京(新宿)のこのレストランに行けば出会える可能性も否めません。
私は行ったことがないので確信的なことは言えませんが、機会があれば行ってみたいですし、もし何かご存じの方いらっしゃいましたら、教えていただけましたら幸いです。



Edmond Fallot社製、日本(仙台)でも購入可能(私が見たことがあるのは3個セットではなく1個売り)


ディジョンマスタード、どれもこれも、それぞれの個性があって、いずれも本当に美味!!


それでは、実際にディジョンマスタードを活用して作った料理をご紹介します。
まずは、こちら。

マスタードマリネした豚フィレ肉のオーブン焼き

(1)豚フィレ肉は丸ごと、マスタードはちみつ醤油ニンニクすりおろしの漬けだれを作り、一緒に保存袋に入れて冷蔵庫で1時間以上漬け込む。(その間オーブンを熱する)
(2)(1)を袋から取り出し、180度に予熱したオーブンで30分程度焼く(焼き時間は肉の分量により調節)。
というシンプルなレシピ。

このレシピは、バニラマスタードなんてハードルが高いかも、でもはちみつや砂糖といった甘い味付けに合うだろうから、と友人が気を利かせて教えてくれたものです。
ですが、もちろん、バニラ風味以外のマスタードでもOK♪
そして、マリネ液のはちみつはメープルやミリンに変えても美味しくいただけますよ。
また、記載した写真では、焼き上がったお肉を切り分けて皿に盛った後に、余った漬けだれに刻んだバジルを加えたソースをかけていますが、その辺もお好みで。

さて次は、マスタードを使った料理として最もオーソドックスと言えるかもしれません。

はちみつとマスタードの甘辛ジャーマンポテト長芋バージョン)」

(1)ニンニク玉ねぎは薄切りに、ソーセージ長芋は食べやすい大きさに切っておく。
(2)はちみつマスタードをみじん切りしたバジル(またはパセリもしくは無くても。お好みで)と混ぜ合わせておく。
(3)フライパンにオリーブオイルを熱し、ニンニクを炒めて香りが立ったら玉ねぎを炒め、続けて長芋ソーセージを焼き色がつくまで炒め、(2)を加えて炒め合わせ、胡椒で味を調える。

なお、一般的にはジャーマンポテトといえばじゃがいもですが、同じ分量なら長芋の方が太りにくく、じゃがいもよりも早く炒め上がるし、炒めた時のシャキシャキホクホクした食感がじゃがいもと違った美味しさを楽しめるので、長芋にしてみました。
じゃがいもで作っても当然美味しいので(予めレンチンするなど炒め時間を考慮の上)、この辺もお好みでどうぞ。
(それから、写真のツブツブが赤色なのは、カシスマスタードを使ったためです。この点も好みによりますし、他のマスタードでも全然OKです!)

お次は、季節野菜を使ったヘルシーなレシピです。

焼きカブのツナマスタードあえ

(1)カブの茎は少し残して切り落とし、果肉の皮をむき、くし切りする。
(2)ツナマスタード砂糖マヨネーズを混ぜ合わせてソースを作っておく。
(3)フライパンにカブを並べてをふり、焼き色がつくまで焼く。
(4)(2)と(3)を混ぜ合わせ、好みにより胡椒で味を調える。

カブを焼いて食べるという発想はあまりないかもしれませんが、このソース(2)で合えると、濃厚で食べ応えあるサラダになります。
なお、カブは3月~5月、10月~12月が旬。カブの美味しい時期に、是非お試しください。

マスタードのレシピはまだまだあるのですが、今がギリギリ旬であるカブのレシピを、取り急ぎ、もう一つご紹介しておきましょう。

カブと豚肉のマスタードミルクスープ

(1)カブの茎は少し残して切り落とし、果肉の皮をむき、くし切りして(前出のレシピと同様)、残りの葉は切り刻む。
(2)豚薄切り肉は食べやすい大きさに切っておく。
(3)ミルクマスタードを混ぜ合わせておく。
(4)フライパンにオリーブオイルを熱し、みじん切りにしたニンニク玉ねぎを炒め、続けて(2)の豚肉を軽く炒めたら、(1)を加えさっと炒める。
(5)(4)に洋風だしコンソメまたはマギーブイヨン)と水を適量加え、煮立ったら(3)を加えて一煮立ちさせる。
(あとはお好みで、塩胡椒)

最後に、緑鮮やかでどんな料理にも添えられるサラダをピックアップします。

パセリとハムのマスタードドレッシングサラダ

(1)赤玉ねぎ(普通の玉ねぎでもOK)をみじん切りにして水にさらしておく。
(2)粗く刻んだパセリと1、2cm角に切ったハムをボウルに入れ、(1)の水気をよく切って加える。
(3)マスタード白ワインビネガー(他の酢でもOK)・オリーブオイル胡椒をよく混ぜ合わせ、(2)に回しかけて和える。

旬としては3~5月または9~11月とされるパセリですが、割といつでもスーパーにはあるし、でもその割には一般的には主役になりにくい食材ではないかと思います。
でも実は、パセリは手に入りやすいハーブであり、鉄分やカリウムなどのミネラルが豊富で、老化や生活習慣病、ストレスの予防やダイエットにも効果的なのだそうです。
よくレストランの料理に添えられているものの、単なる飾り物と思われているのか残している人が多いように感じますが、それはなんともったいないことか・・・!(私はむしゃむしゃ食べますよ)
是非、積極的に取り入れ入れていきたいですね🎶



いかがでしたでしょうか、ディジョンマスタードの詳細と、マスタードを使った料理について。
今回はすでに長くなってしまったので挙げませんでしたが、ディジョンマスタードは和食にも合います。
マスタードに含まれる栄養や効能についても記述しておきたいところなので、それはまたの機会に。

ここまでご覧いただきまして、どうもありがとうございました (^_−)−☆


マスタードやハーブ
あなたは日常的に
取り入れていますか?

建立900年 黄金に輝く平泉の世界遺産 中尊寺金色堂

〜そして 岩手の絶品ハンバーグの記録〜


昨年訪れたフランスの旅行記、なんとか今年中に記録し終えたいと思っているところではあるのですが、今月初旬の週末、親愛なる友人夫婦が、岩手県平泉の中尊寺までドライブに連れ出してくれたので、前回記事のヴェルサイユ宮殿に続き、そしてまた今年は金華山も訪れており、たまたまながらも黄金つながりということで、タイミングも良いところですから、写真にて残しておこうと思います。


土曜日の午前9時半、友人夫婦の住む最寄りの駅である塩釜駅にて待ち合わせし、友人旦那くんの運転する車に同乗。
いざ初冬の中尊寺へ・・・の前に、まずは腹ごしらえ。

この日の私たちには、中尊寺を訪れること以外に、岩手県一関市で美味しいハンバーグを食べよう!というもう一つの目的がありました。

ドライブのスタート地点である塩釜駅から、東北自動車道を経由しておよそ1時間30分、訪れたのは「ミートレストラン 格之進」です。


11時オープンきっかりに入店し、メニューを物色。
(パンダがいるのは、友人奥さんが無類のパンダ好きのため。本件とは関係ないので気にしないでください(苦笑))


“お肉のテーマパーク”と謳う「ミートレストラン 格之進」さん、絶品と言われるハンバーグ目的で来ましたが、メンチカツなどなどもどうしても気になって。


最終的に、私は、トリプルハンバーグ定食と単品のメンチカツ(+グラスビール)を注文。
およそ5,000円の御褒美ランチとなりましたが、それはまさに、お値段納得の絶品ハンバーグでした。


「トリプルハンバーグ定食」は、「ミートレストラン格之進」さんの主力商品である3種類のハンバーグ「金格」、「白格」、「黒格」を一つのセットにされた定食メニューで、食べ比べを楽しむことができます。

「金格」、「白格」、「黒格」の、三つの違いは何か、というのは一言でまとめるとそれぞれ以下の通り。
金格:岩手県花巻市が誇る幻のブランド豚「白金豚」の合挽ハンバーグ
白格:厳選された上質な黒毛和牛と「白金豚」の合挽ハンバーグ
黒格:厳選された上質な黒毛和牛100%の最高峰ハンバーグ

ご覧ください、この迫力!(左から金格→白格→黒格ですが、見た目には比べようないですよね。その違いは食べてみないと分からない…)


まんまるボリューミーなハンバーグにナイフを入れた時の、溢れる肉汁は感動ものだったのですが、食べたい情動に駆られ、その情景を写真に収めるのをすっかり忘れていました(涙笑)

どうしても気になって仕方がなかったメンチカツも、オーダーして正解でした。
かりっふわっほくっの食感に続けてジューシーな旨味、ハンバーグ同様に初めて体験する美味しさでした。

そして、日本人が愛するお米にもこだわりを持たれているようで、ご飯も美味。
(格之進さんのWEBサイトに詳細が記載されています→https://kakunosh.in/kanzaki-aging-beef/cat-foodstuff/iwate-rice/

どれもが本当に、絶品!!
だったのですが、実を言うと、流石に分量的な点で私には厳しく、友人旦那くんに食べきれない分を消費していただいたということを、念の為申し添えます(それくらいしっかりボリューミー。ご飯も大盛りやおかわりが無料です)。

ミートレストラン 格之進
住所:〒021-0063 岩手県一関市山目大槻67−1Webサイト:kakunosh.in


お腹が満腹になったところで、ミートレストラン格之進から車でおよそ15分程度の場所にある中尊寺へと向かいます。

紅葉の見頃も終わり、オフシーズンの土曜ではありましたが、到着した中尊寺の駐車場にはそれなりに車が停まっていました。


しっかり寒さ対策した身支度に整え、車を降りて、中尊寺の境内へ。
表参道である「月見坂」入り口は紅葉の名残がありました。


程なくして険しい坂を登ることになりますが、お腹が満たされた後のちょうど良い運動となり、冷たくもグリーンの香りに癒されます。


うっすら雪化粧という風景も美しく。



文政10年(1827)に建立され、義経・弁慶の木像が安置されいるという「弁慶堂」。


弁慶堂」の展望台から見える景色。
写真の手前の広場のようなところは「東物見台」と名付けられています。


2022年に改築されている「薬師堂」は他と比べ真新しさを感じます。


甘味処である「積善院 奥の細道展」の庭の雰囲気はいつ見ても素敵。



本堂の正面に建つ「本坊表門」。


岩手県指定文化財にされているだけあって、厳かな風情の門です。


そして、日本の天台宗の開祖である最澄が1200年前に灯した「不滅の法灯」が護持されている「本堂」。


現在の本尊は、東日本大震災後である平成25(2013)年に新たに安置された釈迦如来坐像で、高さ5mほどのもの。


本堂の隣に位置する「峯薬師堂」の風景は、紅葉の落ち葉がとても美しいコントラストを描いていました。


こちらも岩手県指定文化財に登録されている「旧鐘楼」。
今ではほとんど鳴らされることはないということですが、茅葺き屋根の建物の中に康永2(1343)年に鋳造された梵鐘が配されており、大変貴重。


奥州藤原氏の残した文化財3000点あまりを収蔵する宝物館である「讃衡蔵」。


こちらの建物のチケット売り場にて「讃衡蔵」及び「金色堂」の拝観券(大人1,000円)を購入することができます。


讃衡蔵」の収蔵物も、「金色堂」も撮影はできませんので、「讃衡蔵」の最後に設置されていたフォトスポットのみをせっかくだから撮影・・・
ちょっと切ない・・・
のですが、こちらの写真にある通り、今年は金色堂建立900年の節目だったのだそうで。
私たち、それをつゆ知らずに行ったものですから、年内に滑り込めて、なんだか縁起良く感じました。


(パンダ好きで)実は御朱印集めも趣味だったという友人による今回の御朱印の写真。
ご覧の通り「金色堂建立九百年」と明記され、特別の切り絵が施されています。


さあ、いよいよ「金色堂」へ。
ちなみに、「金色堂」を保存している建物は「覆堂」と言って、その名の通り金で作られた金色堂を覆い守っているのです。


簡単に入ることは許されない場所なので、ぐるりと柵が施されています。
金色堂入口」で、「讃衡蔵」チケット売り場で購入したチケットを提示して入場します。


いよいよ「金色堂覆堂」に近づいた時の不思議な輝き。


この中で守られている「金色堂」そのものは撮影できませんが、やはり実物を見てこそ。
堂の内外いっぱいに金箔を押した「皆金色」の阿弥陀堂に、美しく輝く夜光貝の螺鈿の装飾。
私は東北人なので数回拝見してますが、何度見ても、見惚れます。

金色堂」の外には、松尾芭蕉の句碑があります。


五月雨の降り残してや光堂

芭蕉が詠んだこの意味は、岩手大学平泉文化研究センターによりますと、下記の通りです。
“「五月雨が降り続き(五百年間)、全てのものを腐らせてきたが、
ここだけは降り残したのだろうか。戦なき世を願った藤原氏や
ここに住み続けた人々の祈る心をともし続けるこの光堂を」
平泉中尊寺の多くの建物は奥州藤原氏滅亡後、火災等でほとんどがなくなり、あるいは朽ち果ててしまっていました。しかし戦争をなくし平和を大切にしたいと願う人々の祈りや願いは消えていません。光堂、つまり金色堂は今も大切に守られ、光を放ち続けています。”
(引用元:https://chs.iwate-u.ac.jp/heritage/html/literature-sub-samidare.html

この芭蕉の見解はなんとも閑寂さを感じますが、前回記事にしたフランスのヴェルサイユ宮殿の黄金とは全く異質ですね・・・
(フランス一人旅の記録:華麗なるフランスの世界遺産 ヴェルサイユ宮殿と庭園

そして、芭蕉の像の先にある建物は、重要文化財に指定されている「旧覆堂」です。


古い記録には「鞘堂(さやどう)」とも記されているとのことで、「鞘」も読んだ字のごとく「大切なものを保護するためにかぶせたり、覆ったりするもの」という意味があるわけです。
芭蕉や伊達政宗、明治天皇といった歴史上の人物は、薄暗いこの堂内で金色堂を参拝したのだそうです。

さて、中尊寺の広い境内には「白山神社」が鎮守しています。


850年に中尊寺を開いた慈覚大師円仁(じかくだいしえんにん)が、この地に勧請(かんじょう:神仏の来臨を願うこと)したと伝えられているそうです。


茅葺き屋根が美しくも立派な建物である「白山神社能堂」は、こちらもまた重要文化財で、現在も神事能(神社の祭礼に奉納される能楽)が実施されています。


白山神社」ではくぐってお参りすると願いが叶うと言われる茅の輪(ちのわ)があることでも知られています。
私も、間も無く新年を迎えるこのタイミングで、これまで生きてこられたお礼と共に、新しい自分そして人生へ向けて希望をお祈りしました。


このすぐ近くに「かんざん亭」という食事処があります。


何度か中尊寺は訪れているものの、私はいまだ未体験なので詳しくは語れませんが、広い境内にレストランがあるのは嬉しいですね。
食べログの口コミ(https://tabelog.com/iwate/A0303/A030303/3004624/)を見た限りでも悪くなさそうです。

境内にある建物全てを撮影し切れてはいませんが、ぐるりと一周したところで、そろそろお暇。


先にも述べた通り、これまで何度か訪れている場所でしたが、うっすら雪化粧された中尊寺は初めてでした。
ただ立っているだけなら寒いですが、境内を歩いて運動するには程よい時期でもあり、美しい初冬の世界遺産の地で、人けも多くなく心身ゆったりでき、友人夫婦に誘われての思いがけない日帰り旅でしたが、本当に癒されました。感謝。

中尊寺
住所:〒029-4195 岩手県西磐井郡平泉町平泉衣関202
Webサイト:http://www.chusonji.or.jp/


あなたは
黄金といえば
何を思いますか?

華麗なるフランスの世界遺産 ヴェルサイユ宮殿と庭園

〜黄金の時代を刻んだ、芸術の殿堂へ〜


ブルゴーニュでの3日間を経てからのパリ滞在もいよいよ3日目。
(前回までのパリ滞在記録はこちら↓)


翌日の朝には帰路に就くことになるので、実質フランスでの滞在最終日となる日です。
この日の目的地はヴェルサイユ宮殿(Palais de Versailles)ルーヴル美術館(Musée du Louvre)
そしてその移動経路として、エッフェル塔(La tour Eiffel)界隈を歩くことを決めていました。


1日でヴェルサイユルーヴル美術館とは少々無謀ではと思われるかもしれませんが、パリ滞在の最終日であると共に、ちょうどこの日は金曜日で、ルーヴル美術館の開館時間が21時45分まで延長される日だったため(2023年10月時点)、多少疲れるのも覚悟の上でそのような予定を組んだのです。

さてまずは、ホテルを出てヴェルサイユ宮殿へと直行します。
まだほの暗い朝8時、宿泊先ホテル最寄りの地下鉄へ。


宿泊先最寄りの地下鉄駅であるグラン・ブールヴァール(Grands Boulevards)駅から10分内の場所に位置する、複数の路線が乗り入れるアンヴァリッド(Invalides)駅にて下車。


同じくアンヴァリッド(Invalides)駅よりRER(エール・ウー・エール/高速郊外鉄道)C5線ヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュ(Versailles Château Rive Gauche)行きに乗り換えて30分強で、ヴェルサイユ宮殿の最寄駅であるヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュに到着します。


ちなみに、ヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュRERC5線の終点駅となるので、行き先さえ間違わずに乗れば、乗り過ごしてしまう心配がありません。

*フランス国鉄(SNCF) Transilien公式サイトによるRER C線の詳細→https://www.transilien.com/fr/page-lignes/ligne-c

なのですが、ここでもまた自分の思い込みによるプチハプニングがありました。
地下鉄からRERに乗り換えて向かう場合、地下鉄のみの駅でもヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュ行きの切符を選択することが可能なのですが、私はこの時、アンヴァリッド(Invalides)駅で地下鉄を降りたら、改めてRERの切符を買わなければならない、要するに、ヴェルサイユ行きの切符は地下鉄駅では買えないと思い込んでいました。
パリのメトロとRERの運行会社は異なるので、日本では例えば、JRから地下鉄に乗り換える場合には切符を地下鉄改札前で買い直さなければならないから、そのイメージでいたのです。

ところが、アンヴァリッド駅の改札内には切符販売機が見当たりません。
駅員さんに、「この切符ではヴェルサイユまでは行けませんよね?どうしたら良いですか?」と尋ねると、「あの階段を登った先の改札を出た所に自動券売機があるから、一旦改札を出てヴェルサイユ行きの切符を買って」と(英語で)教えてもらいました。


販売機の画面は地下鉄に乗る時と一緒で、(フランス語はわからないため英語画面に切り替えて)よくよく見たら「Ticket for Paris region(パリ地域(郊外)行きチケット)」という選択肢があり、そこをタッチして操作を進めることでヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュ行きの往復券を買うことができました。

せっかく地下鉄でRERC5線も通っているアンヴァリッド駅で乗り換えをすることにしていたのに、広いアンヴァリッド駅内でわざわざ一旦改札を出て改めてRERC5線ヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュ行きの切符を買うこととなり、オロオロしつつでまた無駄な時間がかかってしまいました・・・

それでも、なんとか無事にヴェルサイユへ到着。


なお、私は「パリミュージアムパス」を利用してヴェルサイユ宮殿を訪れることにしていたので切符の購入を選択しましたが、交通機関の乗り換えがスムーズにできるパスも数種類あるので、そちらを利用するのも一つです。

ヴェルサイユ宮殿の所在地はヴェルサイユであり、パリではありませんが、「パリミュージアムパス」が活用できます↓


さて、ヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュから徒歩でおよそ10分、並木道の先に宮殿の姿が見えてきました。


フランスに行ったら絶対に訪れたいと思っていた世界遺産「ヴェルサイユ宮殿と庭園(Palace and Park of Versailles/Palais et parc de Versailles)」を目の前に、ワクワク感が高まります。

宮殿前の広場にて、堂々と佇むのはルイ14世の騎馬像です。
到着したばかりの時はあいにくの曇り空で、イマイチの写真ですが、訪れる人々を最初に出迎え、宮殿の顔として、来訪者に強い印象を与えます。


ルイ14世(Louis XIV、1638-1715)はフランス絶対王政の頂点に君臨し、「太陽王(Sun King/le Roi Soleil)」と呼ばれました。
ヴェルサイユ宮殿(Palais de Versailles)を建設し、まさにたくさんの客人を招き入れ、フランス文化を世界に広めたのです。

ルイ14世の騎馬像の後方にある、入り口の1箇所目となる簡単なセキュリティを通過し、いよいよ宮殿の敷地内へ。


ヴェルサイユ宮殿は9時開館です。
私は10時の入館をネット予約しており(ヴェルサイユ宮殿は事前予約が必須)、9時30分頃到着しましたが、既にすごい人の群れ。

人の多さに圧倒されつつ、まず目が釘付けになったのは、宮殿を取り囲む黄金に輝く柵でした。


この黄金に輝く柵はヴェルサイユ宮殿正門で17世紀後半に建設されたものではなく、2008年に復元されたもの。
当初は純粋な金で作られていたけれど、フランス革命時に取り壊され、復元された門は本物の金に代わり、10万枚の金箔で装飾されているそうです。

復元製かつ純粋な金ではないとはいえ、ヴェルサイユ宮殿の華やかさと豪華さを象徴する存在となっていて、写真スポットとして記念撮影する人が絶えません。


で、私どもは、この黄金の門からは入場できません。
門に向かって左手がエントランスAで、右手側がエントランスBとなっています。


Aが一般入場門で、Bが団体入場門、というわけで、私はAに並びます。


長い列でしたが、割と時間通り入場することができました。
荷物検査などもあるセキュリティを通過し、遂に宮殿内へ。

まずは、黄金の柵の奥に広がっていた「王の中庭」へと足を踏み入れます。


私、写真を撮り損なってしまったのですが、下図の写真のずっと奥の床が大理石となっていて、ここは「大理石の内庭」とも呼ばれています(この写真の見えている部分は石畳です)。


次の写真で写っていない真下部分が大理石の敷き詰められた床となっています。
白と黒の幾何学的なデザインが素敵だったのですが、人が多すぎたこともあり、良いアングルが捉えられず撮影を諦めてしまったことを悔やみます・・・


建物の中へと進んでみると、意外とシンプルな装飾箇所もありました。
私には、こういう雰囲気の方が落ち着くような気がします。


こちらはシンプルと豪華さが融合した空間となっている「王室礼拝堂」です。


この礼拝堂内部には入れず、狭い戸口からしか拝観することができずだっため、私のような見学者がたくさんいるところを必死の思いで撮影しました。

お次もご覧いただいての通り、すごい人。
王の小居殿や内殿である「王の正殿」の中でも、最も見どころと言われる「ヘラクレスの間」です。


そこはまさに、王の権威と富を象徴する一室。
天井には、フランスの宮廷画家として活躍し、ロココ美術を代表する画家として知られるフランソワ・ルモワーヌ(François Lemoyne、1688-1737)による神話絵画「ヘラクレスの神格化(The Apotheosis of Hercules)」が描かれ、壁には、ティツィアーノやティントレットと並んで、ルネサンス後期のヴェネツィアを代表する画家として評価されるパオロ・ヴェロネーゼ(Paolo Veronese、1528-1588)作の「パリサイ人シモン家の晩餐(The Feast in the House of Simon the Pharisee)」が飾られています。

そしてやはり、いろんな意味で一番圧倒されたのが、ヴェルサイユ宮殿の最も有名な空間の一つである「鏡の間」です。


一面に鏡が張られ、太陽の光を反射して輝く唯一無二の回廊は、王の絶対的な権力を象徴しています。

ご多聞に洩れず、私もここを特に楽しみにしていた一人ですが、宮殿内一番の混雑場所で、大勢の人にも装飾の凄さにも大いに圧倒されたのでした。


それから、ドイツと連合国との戦争状態を終わらせて第一次世界大戦を終結に導いた重要な平和条約である「ヴェルサイユ条約」が、1919年6月28日にこの「鏡の間」で調印されたことは、日本人としても覚えておきたいことですね。

鏡の間」に続いて宮廷内の大きな回廊である「戦史の回廊」も、歴史や絵画好きには必見です。


人出は「鏡の間」に比べてだいぶ少なかったですが、「戦史の回廊」には、フランスの歴史的な出来事を描いた絵画がずらりと並び、勝利をテーマにした絵画や、英雄たちの胸像が飾られ、フランスの武勇を称える壮大な空間となっています。

宮殿の内部は、ここに挙げられないほどたくさんの見どころがあり、煌びやかな箇所に人が集まっている印象でしたが、個人的にはやはり静かな場所が好きでして・・・


探索していると、人っこ一人いないような場所にも稀に出くわすのですが、それはそれで、その美しさに感動する反面、ちょっと怖くも感じてしまうのでした。


さて、改めまして、世界遺産の名称は「ヴェルサイユ宮殿と庭園(Palace and Park of Versailles/Palais et parc de Versailles)」です。

しかしながら、通常無料であるヴェルサイユ宮殿の庭園は、訪れるタイミングによっては別料金となってしまうのです。
私はそれをつゆ知らず、私自身が訪れたのは「音楽の庭園」というイベントが開催される日だったため、10ユーロ程度(状況によって異なるようですが、私の場合€9.9)が別途必要でした。
残念ながらミュージアムパスも使うことはできないとのこと。
しかし、ここでケチるわけにはいきません。


レーンに並び(それほど混雑していませんでした)、支払いを済ませ、いざ庭園へ。


それは、やはり価値ある光景でした。

敷地の南側に、宮殿より低い位置にあり、緑のデザインが美しい「オランジュリーとスイス人の池」は、広大な庭園の中でも、私が最も惹かれた場所です。


ヴェルサイユ宮殿の「オランジュリー(オレンジなどの柑橘類のための温室)」は、地下に埋め込まれた特殊な構造になっているのですが、南向きで二重窓のおかげで冬でも5〜8℃と気温が安定しているのだそうです。


ここはまた、ブルゴーニュ観光の記録(2023 フランスブルゴーニュ 1日目 その2)でも触れた建築家のジュール・アルドゥアン=マンサール(Jules Hardouin-Mansart、1646-1708)が才能を発揮した場所の一つとされています。


マンサールルイ14世の首席建築家として、ヴェルサイユ宮殿の拡張計画の中心人物でした。
彼の貢献により、ヴェルサイユ宮殿は単なる王の居城から、フランスの絶対王政の象徴となる壮大な宮殿へと生まれ変わったとされています。
彼の洗練されたスタイルは、フランス後期のバロック建築に大きな影響を与え、その名声はヨーロッパ中に広まったということです。

一方、造園家としてヴェルサイユ宮殿の庭園全体の設計を任されたのは、フランス式庭園の様式を完成させたと言われるアンドレ・ル・ノートル(André Le Nôtre、1613-1700)です。
ル・ノートルは、パリの1日目の記録(パリの美術館巡り1 翌朝も再びセーヌ川へと向かって)でも記述した通りチュイルリー庭園(Jardin des Tuileries)も手がけた人物です。


次の写真は庭園の西側で、手前が「ラトナの泉水」で、奥に小さく見えるのが「アポロンの泉水」、さらに「大運河」が広がっています。


この日のイベントは「音楽の庭園」ということで、バロック音楽が流れる中で広大な庭園内を散策、というわけなのですが、オーケストラで生演奏しているわけでもなくスピーカーから流れ出ている音楽(大音響で広大な広場に流しているので音質が微妙)なので、音楽好きな私ですが、個人的には静かな中で散策したかったところ。


しかし、これらのイベント時には、普段は一般公開されていない樹木庭園に入ることができるとのことで、その点は良かったです。


とはいえ広い敷地内、一人で鬱蒼とした木立ちに入るには迷いそうだしちょっと怖かったので、あまり深くは入り込みませんでしたが・・・


それにしても、想像を絶する圧倒的スケールでした。
太陽王ルイ14世の野望がいかに凄いものだったかを目の当たりにしました。

芸術的と言えば聞こえは良いけれど、華麗すぎる絶対王政時代の宮廷世界。
貴族の贅沢が最終的に市民の反感を買うことになったのは致し方ないと思います。

でも、フランス革命(マリー・アントワネットを妻にしたルイ16世の時代に市民の怒りが爆発して起きた)の後、王政が崩壊して、一時的に荒廃したこのヴェルサイユ宮殿が、その後、国家の象徴として再建されて、こうして残されているのは素晴らしいことですね。

建築であれ、絵画や彫刻であれ、庭園であれ、芸術として価値あるものに触れ、そして我々の祖先が生きた時代の歴史を学ぶことは、教養を養うとともに心を豊かにしてくれます。


この広大かつ壮大なヴェルサイユ宮殿をくまなく巡るには、やはり一日でも足りないくらいですが、時間が限られている私、午後にはパリへと戻ります。


再びヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュ(Versailles Château Rive Gauche)へ。
先述しました通り、この駅はRER(エール・ウー・エール/高速郊外鉄道)C5線の終着駅なので、ここからパリへ戻るのは難しくありません。


往路と同様にアンヴァリッド(Invalides)駅にて下車します。
ただ、往路と異なり、ここで乗り換えはしません。


ここからの予定はエッフェル塔界隈の散策とルーブル美術館見学ですので、駅の外へと出ます。

約半日ぶりのパリ市内の地上。
いざ、エッフェル塔を目指して歩きます。




ヴェルサイユ宮殿
Château de Versailles

住所:Place d’Armes, 78000 Versailles, France
Webサイト:https://www.chateauversailles.fr/




あなたは
宮廷の世界について
どう考えますか?