葛飾北斎《冨嶽三十六景 凱風快晴》Public domain, via Wikimedia Commons

TBS世界遺産復習と記録:富士山「北斎・広重を魅了した四季折々の絶景」

〜 世界の芸術家たちの心を奪う美しく偉大な日本の誇り 〜


『富士山「北斎・広重を魅了した四季折々の絶景」』とのタイトルで2026年5月3日に放映されたTBS世界遺産
カメラはCanonを愛用し、するときには、その愛機を手に、アートをテーマに美術館世界遺産巡りをする私には外せないトピックでした。

わずか30分の番組ですが、今回も見応えあり。
TBS世界遺産の公式サイトにはアーカイブが残されていますが、私なりに復習をしてみました。

✔️TBS世界遺産公式サイトアーカイブ(放送内容)はこちら
https://www.tbs.co.jp/heritage/archive/20260503

富士山は「自然遺産」ではなく「文化遺産」

まず改めて驚かされるのが、富士山ユネスコ世界遺産に登録された際、「自然遺産」ではなく「文化遺産」として登録されたことです。

その正式名称は、

富士山-信仰の対象と芸術の源泉
(Fujisan, sacred place and source of artistic inspiration)

標高3776m日本最高峰

日本列島のほぼ中央に位置し、どこから見ても美しいその姿は、古来より人々の信仰対象であり、同時に数多くの芸術家たちを魅了してきました。

番組では、いつもながら、撮影クルー陣による映像美も印象的でした。
富士山の上空に現れる「かさ雲」や「つるし雲」。

✔️TBS世界遺産公式サイトアーカイブ(ギャラリー)はこちら
https://www.tbs.co.jp/heritage/archive/20260503/gallery.html

刻々と表情を変える自然現象は、まるで富士山そのものが生きているかのようで、芸術家たちがこの山に心を奪われた理由がよく分かります。

広重と北斎が描いた富士山

番組では、浮世絵の巨匠たちによる富士山作品も数多く紹介されました。

<歌川広重が描いた富士山>

  • 《東海道五拾三次之内 由井 薩埵嶺》
  • 《東都名所 日本橋之白雨》
  • 《名所江戸百景 浅草田甫 酉の町詣》
歌川広重《東海道五拾三次之内 由井 薩埵嶺》Public domain, via Wikimedia Commons
歌川広重《東海道五拾三次之内 由井 薩埵嶺》Public domain, via Wikimedia Commons
歌川広重《東都名所 日本橋之白雨》Public domain, via Wikimedia Commons
歌川広重《東都名所 日本橋之白雨》Public domain, via Wikimedia Commons
歌川広重《名所江戸百景 浅草田甫 酉の町詣》Public domain, via Wikimedia Commons
歌川広重《名所江戸百景 浅草田甫 酉の町詣》Public domain, via Wikimedia Commons

広重の作品は、人々の暮らしや旅の風景の中に富士山を溶け込ませるような魅力があります。
遠景として描かれていても、確かにそこに存在感を放つ富士山
“人々と共にある山”として描かれているように感じました。

<北斎が描いた富士山>

一方で、広重のライバルと言われる葛飾北斎
《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》はあまりにも有名ですが、番組では特に「赤富士」として知られる、《冨嶽三十六景 凱風快晴》が印象的でした。

葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《冨嶽三十六景 凱風快晴》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《冨嶽三十六景 凱風快晴》Public domain, via Wikimedia Commons

大胆な色彩表現にも思えますが、実際に条件が揃うと、富士山は本当に赤く染まるのだそうです。

  • 雪のない季節
  • 雨上がり
  • 空気の澄んだ快晴の早朝

その極めて限られた条件下で現れる奇跡の瞬間。

番組では撮影隊が山中湖からその赤富士を捉える撮影に挑戦していました。
午前5時。朝日を浴びて赤く染まる富士山
しかし、その光景はわずか2分ほどで終わってしまったとのこと。

まさに、一瞬の自然現象を永遠の芸術へと変えた北斎の眼差しに驚かされます。

富士山と「水」が生み出す絶景

富士山は、水との組み合わせによっても数々の芸術を生み出してきました。

<白糸の滝>

世界遺産の構成資産の一つである「白糸の滝」。
その幻想的な景観は、平井顕斎《白糸瀑布真景図》にも描かれています。

真景図”とは、実景をもとにしながら、作者の心象風景も重ね合わせて描く山水画
単なる写生ではなく、「心に映った風景」なのだと思うと、とても日本的な美意識を感じます。

なお、平井顕斎《白糸瀑布真景図》の画像は著作権上の都合により掲載を控えますが、参考として白糸の滝の風景写真を掲載します。

《白糸の滝》Photo by 静岡市在住の方, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
《富士宮市白糸の滝》Photo by 静岡市在住の方, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

<逆さ富士>

豊かな水景が生み出す「逆さ富士」。
北斎《冨嶽三十六景 甲州三坂水面》では、水面に映る富士山を大胆な構図で描いていました。

葛飾北斎《冨嶽三十六景 甲州三坂水面》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《冨嶽三十六景 甲州三坂水面》Public domain, via Wikimedia Commons

また、番組では、

  • 田貫湖で年2回だけ見られる「ダブルダイヤモンド富士
  • 水田に映り込む鏡のような逆さ富士

なども紹介されており、自然そのものが一枚の絵画のようでした。

富士山は古来より「言葉」でも描かれてきた

富士山は、絵画だけではなく、古くから和歌の世界でも人々を魅了してきました。
番組では、奈良時代の歌人 山部赤人による『万葉集』の歌も紹介されていました。

田子の浦ゆ うち出でて見れば
真白にそ 富士の高嶺に 雪は降りける

(たごのうらゆ うちいでてみれば
ましろにそ ふじのたかねに ゆきはふりける)

これを現代語訳すると、
「田子の浦を通って外へ出てみると、富士山の高い峰には真っ白な雪が降り積もっていたことだ」
という意味になります。

およそ1300年前の人もまた、雪をまとった富士山の神々しい姿に心を震わせていたのです。
写真も映像もない時代。
だからこそ、人々はその感動を「言葉」で残そうとしたのでしょう。
その想いはやがて浮世絵へと繋がり、さらに海を越えて世界の芸術家たちへと受け継がれていったのかもしれません。

三保松原と芸術

富士山を語る上で欠かせないのが、三保松原です。
世界遺産の構成資産の一つでもあるこの場所は、実は富士山から約45km離れているにも関わらず、「芸術の源泉」として登録されました。

番組では、

  • 《東海道五拾三次之内 江尻 三保遠望》
  • 《冨士三十六景 駿河三保之松原》
  • 《六十余州名所図会 駿河 三保のまつ原》

など、歌川広重による作品が紹介されていました。

歌川広重《名東海道五拾三次之内 江尻 三保遠望》Public domain, via Wikimedia Commons
歌川広重《名東海道五拾三次之内 江尻 三保遠望》Public domain, via Wikimedia Commons
歌川広重《冨士三十六景 駿河三保之松原》Public domain, via Wikimedia Commons
歌川広重《冨士三十六景 駿河三保之松原》Public domain, via Wikimedia Commons
歌川広重《六十余州名所図会 駿河 三保のまつ原》Public domain, via Wikimedia
歌川広重《六十余州名所図会 駿河 三保のまつ原》Public domain, via Wikimedia Commons

は古来、神が宿る木とされ、松原そのものが神聖な場所。
三保松原は、の名作『羽衣』の舞台としても知られています。
『羽衣』の伝説とは、天女が松の枝に衣をかけ、漁師とのやり取りの末に舞を舞いながら富士山の方へと空へ帰っていく物語で、三保松原という場所を単なる風景から「物語のある聖地」へと昇華させました。

月岡耕漁《能楽図絵 羽衣》Public domain, via Wikimedia Commons
月岡耕漁《能楽図絵 羽衣》Public domain, via Wikimedia Commons

三保松原は、天界(富士山)と人間界が交わる聖地であり、その絶景は富士山を神聖な「信仰の対象」、かつ比類なき「芸術の源泉」として象徴する場所です。

富士山は世界の芸術家たちを魅了した

19世紀後半、パリ万博をきっかけに起きた「ジャポニスム」。
日本の浮世絵は、西洋の芸術家たちに衝撃を与えました。

北斎の、

  • 《東海道品川御殿山ノ不二》
  • 《尾州不二見原
  • 《甲州三島越》
  • 《甲州石班沢》

などの作品は、西洋の画家たちにも大きな影響を与えます。

葛飾北斎《東海道品川御殿山ノ不二》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《東海道品川御殿山ノ不二》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《尾州不二見原》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《尾州不二見原》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《甲州三島越》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《甲州三島越》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《甲州石班沢》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《甲州石班沢》Public domain, via Wikimedia Commons

フィンセント・ファン・ゴッホもその一人。
ゴッホは日本の浮世絵に強く魅了され、その影響は作品にも表れています。
例えば、《タンギー爺さん》の背景には、富士山を含む浮世絵が描かれています。

Vincent van Gogh《Self-Portrait(自画像)》Public domain, via Wikimedia Commons
Vincent van Gogh《Self-Portrait(自画像)》Public domain, via Wikimedia Commons
Vincent van Gogh《Portrait of Père Tanguy(タンギー爺さん)》Public domain, via Wikimedia Commons
Vincent van Gogh《Portrait of Père Tanguy(タンギー爺さん)》Public domain, via Wikimedia Commons
エッフェル塔と「もう一つの富嶽三十六景」

今回特に興味深かったのが、アンリ・リヴィエールによる《エッフェル塔三十六景》

Henri Rivière《Les Trente-Six Vues de la Tour Eiffel》_couverture(エッフェル塔三十六景_カバー)》Public domain, via Wikimedia Commons
Henri Rivière《Les Trente-Six Vues de la Tour Eiffel_couverture(エッフェル塔三十六景_カバー)》Public domain, via Wikimedia Commons

パリの浮世絵師とも呼ばれた彼は、北斎《冨嶽三十六景》へのオマージュとして、エッフェル塔(世界遺産)をテーマに36枚の連作を制作しました。
作品の構図や視線誘導には、明確に北斎からの影響が見られます。

リヴィエール《パッシー河岸より 雨》
北斎《遠江山中》

Henri Rivière《De la Quai de Passy, sous la pluie》(パッシー河岸より 雨)》Public domain, via Wikimedia Commons
Henri Rivière《De la Quai de Passy, sous la pluie(パッシー河岸より 雨)》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《遠江山中》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《遠江山中》Public domain, via Wikimedia Commons

リヴィエール《コンコルド広場より》
北斎《駿州江尻》

Henri Rivière《De la place de la Concorde》(コンコルド広場より)》Public domain, via Wikimedia Commons
Henri Rivière《De la place de la Concorde(コンコルド広場より)》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《駿州江尻》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《駿州江尻》Public domain, via Wikimedia Commons

リヴィエール《バ・ムードンの駅より》
北斎《御厩川岸より両国橋夕陽見》

Henri Rivière《La gare de Bas-Meudon》(バ・ムードンの駅より)》Public domain, via Wikimedia Commons
Henri Rivière《La gare de Bas-Meudon(バ・ムードンの駅より)》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《御厩川岸より両国橋夕陽見》Public domain, via Wikimedia Commons
葛飾北斎《御厩川岸より両国橋夕陽見》Public domain, via Wikimedia Commons

富士山が、海を越えてエッフェル塔へと受け継がれていく。
その芸術の連鎖に、とても胸を打たれました。

おわりに

雄大で、神秘的で、時に儚い。
北斎広重が見つめたそんな富士山は、現代に生きる私たちにとっても、まだ尽きることのない芸術の源泉なのかもしれません。

富士山は単なる「美しい山」ではなく、人々の祈りや感性、そして創作意欲を何百年にもわたって刺激し続けてきた存在なのだと、改めて感じた30分でした。

いつも過酷な撮影現場から、美しく感動の映像とストーリーを届けてくださるスタッフ皆さん、そしてCanonのカメラにも感謝です。

ちなみに…

次回(2026年5月10日(日) 18:00〜)のTBS世界遺産は、『名作映画で巡る世界遺産』という特別編とのこと。
これもまた、映画好きの私には外せないテーマなので、楽しみです。

TBS世界遺産 名作映画で巡る世界遺産(2026年5月10日放送)予告動画

あなたの心に残る
富士山の風景は
ありますか?

世界遺産 富士山 Mount Fuji, a World Heritage Site

映画「HOKUSAI」に見るアート魂

北斎の生き様に学ぶ


世界で最も有名な日本人アーティスト葛飾北斎
昨年(2020年)のブログでも書きましたが、2020年は、北斎の生誕260周年、そしてオリンピックも予定されていたので、北斎にちなんだ様々なイベントが企画されていました。
しかしながら、COVID-19によってそのほとんどが中止や延期に。虚しかったですね。

昨年の記事:葛飾北斎 生誕260周年

でもようやくこの度、1年間公開延期となっていた映画「HOKUSAI」を、観ることができました。

映画「HOKUSAI」チラシ(表紙)

絵師としての腕はいいのに、食べることすらままならない生活を送っていた北斎が、もがき苦しみながらも、その才能を真の意味で開花させ、晩年を迎えるまでの、北斎の人生およそ90年間を描いたストーリーとなっています。

(チラシ画像はクリックするとPDF画面が開き拡大できます)

映画「HOKUSAI」チラシ(見開き)

若かりし頃の北斎、なぜ腕はいいのに食えることができなかったのか。
まだ北斎と名乗る前、勝川春朗(カツカワシュンロウ)として活動していた頃に、人気浮世絵の版元(出版人)、今で言う敏腕プロデューサーとして知られた蔦屋重三郎(ツタヤジュウザブロウ)に見出されたものの、叱咤されてばかりの北斎。
お前、なんで絵を描いてる」と重三郎に問われ、北斎は「絵なら下っぱから這い上がれると思ったからだ」と応えます。
まさに競争の現代を生きる我々としてみれば、その気持ち、わからないでもない。
でも、重三郎は、そんなんだからダメなんだと。
ライバル喜多川歌麿からも「お前の絵(女)には色気がない」と切り捨てられます。
なぜか。
それは、勝ち負けに固執して描く絵中身がなく上っ面の絵、要するに、描きたいのではなく描かされている絵だから。
放浪した北斎は、大自然の中でそのことに気がつき、本当の自分を見出します。
ただ描きたいと思ったものを、好きに描く
そうして北斎は、美人画や役者絵が流行っていた当時に、風景画というジャンルを切り開いたのです。

もちろん、今紹介した重三郎や歌麿たちとのやりとりは、この映画の、あくまでも作られた物語です。
でも、北斎が重三郎や歌麿たちと共に生きた江戸時代、それは描くことや出版にいたるまで自由な表現が規制されていた時代で、その中で風景画のパイオニアとして時代を切り開いたことや、この映画でも描かれていたように、脳卒中に倒れても自力で治し80歳を過ぎても旅に出て、何キロも歩いたというのは史実です。

平均寿命40歳という時代に90歳近くまで生きた、北斎の生命力。
人が見失いがちなものを決して失わず、時代とそして自分自身の人生と勝負し続けた、アート魂ともいえるブレない信念の持ち主だったからこそなのだろうと思います。

映画「HOKUSAI」チラシ(裏表紙)

ところで、北斎といえば、やはり波の絵。
最も有名なのは「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」ですね。
映画「HOKUSAI」のパンフレットもこの作品が採用されています。

映画では史実に基づいた架空の物語が展開されますが、こちらのパンフレットには様々な北斎にまつわる豆知識が掲載されていて、アートファンには嬉しい一冊です。

映画「HOKUSAI」パンフレット

繰り返しますが、北斎といえば、波の絵。
そして、なくてはならないその色「ベロ藍」。
美術ファンなら多くが知ることですが、1700年代にドイツ・ベルリン(当時はプロシア、ドイツ語でプロイセンと呼ばれた地)で発見された人口の青色顔料「プルシアン・ブルー」が1800年代に日本にもたらされ、「ベロ藍」と呼ばれ北斎が多用し、今では「北斎ブルー」、愛用者としては歌川広重も有名なので「広重ブルー」などと言われます。

映画の印象的なワンシーンに、北斎が業者から「ベロ藍」を受け取り、感動のあまり雨の中で自分にぶちまけるシーンがありますが、こういった美術知識を持っていると面白さは倍増しますね。

そういった雑学もパンフレットに掲載されているので、あわせて楽しむのも一つかなと思います。


実際に北斎がどんな性格だったのかは、その時代にでも行ってみないとわかりませんが、この映画では、北斎はプライドが高いだけではなく、自分が描きたいものを好きに描きつつも、人に喜んでもらうにはどうしたら良いか思慮し、孤高ながらもあたたかい心、人への厚い情を持った人物として描かれていたところが、私自身も生きる上での学びになりました。

アートに関心のある方、または自分の生き方に疑問を感じている方には是非ともお勧めしたい映画です。

なお、映画「HOKUSAI」は、仙台では現在(2021年6月26日)、フォーラム仙台にて上映中です。

あなたは
風景画の北斎派?
それとも
美人画の歌麿派?





世界に誇れる日本のアート GIGA・MANGA@東北歴史博物館

江戸戯画(GIGA)から近代漫画(MANGA)までをたどる漫画の歴史展覧会


ただ今(2020年7月11日現在)、東北歴史博物館にて「GIGA・MANGA 江戸戯画から近代漫画へ 」が展覧されています。
開催期間は、2020年7月4日(土)~9月6日(日)です。

展覧会のチラシ
東北歴史博物館の後は、北九州市立美術館すみだ北斎美術館神戸ゆかりの美術館と巡回予定とのこと


私も早速、行ってきました。

東北歴史博物館
東北歴史博物館の南側入口

MANGAは周知の通り、いまや世界共通言語となった日本の漫画のことですね。
そして、GIGAとは江戸戯画(えどぎが)を指しています。

東北歴史博物館
東北歴史博物館内

この展覧会は、葛飾北斎や歌川国芳などの浮世絵といった江戸戯画から、明治・大正期の「滑稽新聞」「東京パック」などの諷刺漫画雑誌、昭和戦中期の子ども漫画「のらくろ」「冒険ダン吉」など、日本の漫画の変遷が展示されています。

GIGA・MANGA 江戸戯画から近代漫画へ 図録
展覧会図録とチケット半券
この半券提示で宮城県美術館の「ヨーロッパの宝石箱 リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展」と石ノ森萬画館の観覧券が割引される

第1章は「商品としての量産漫画の誕生」と題され、漫画のはじまりとして、江戸中期から幕末までの錦絵や版本などから、江戸時代の大衆メディア「江戸戯画」が紹介されていました。

江戸時代の「文字絵」ひらがな、カタカナ、漢字を用いた戯画
面白さにデザイン性も感じられ、ユーモアでありながらもなんだかおしゃれ


世界で最もその名を知られた日本人、葛飾北斎。
浮世絵の展示となれば、出ないはずがありませんね。
この展示でも、「北斎漫画」が日本の漫画の源流として、取り上げられていました。
そして他にも、浮世絵師の人気者といえば、歌川広重など。

葛飾北斎の「北斎漫画」と歌川広重の「名所江戸百景」シリーズ


第2章は「職業漫画の誕生」、第3章は「ストーリー漫画の台頭」と題され、幕末以降から昭和初期の流行について紹介されていました。

「東京漫画新聞社」や「読売新聞社」などの雑誌や新聞付録


浮世絵も、近・現代の日本漫画も、今や世界中で人気です。
本展覧会は、普段は芸術・アートなんて敷居が高いと感じているようなかたも含め、誰もが気軽に楽しめる内容ではないかと思います。

東北歴史博物館の屋外の水辺で寛ぐ人々

普段、漫画はほとんど見ないような私にとっても、日本の漫画の歴史についてを浮世絵から辿られたこの展覧会はとても興味深く、日本古来からのアートレベルの高さを再認識し、世界に誇れる我が国の文化、やはり大事にしていかなければいけないなと感じました。

 

東北歴史博物館は、仙台市の隣で、日本三景松島との中間地点に位置し、歴史のあるまちとして知られる多賀城市にあります。

博物館の屋外には、水辺があって、山に面しており、庭園も楽しめます。

東北歴史博物館
住所:宮城県多賀城市高崎1-1
電話:022-368-0106
営業:9:30~17:00、毎週月曜日定休
Webサイト:https://www.thm.pref.miyagi.jp/

 

東北歴史博物館周辺は散歩も楽しめる

なお、東北歴史博物館における次の特別展示は「伝わるかたち/伝えるわざ-伝達と変容の日本建築-」と題して、2020年9月26日(土)から予定されています。
新型コロナによって海外旅行にも行けませんが、そんな今こそ日本文化を見直すべきなのではないかと思います。
世界に誇れる日本建築の展覧会、次回もとても楽しみです。

東北歴史博物館(北側入口)は、JR東北本線「国府多賀城駅」のすぐそば


ちなみに、今年は葛飾北斎生誕260周年です。
ご興味のあるかたは、こちらの記事「葛飾北斎 生誕260周年/日本を誇る浮世絵師 北斎を楽しもう♪」も併せてどうぞ。

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あなたにとって
“日本文化 ”といえば
なんですか?

葛飾北斎 生誕260周年

日本を誇る浮世絵師 北斎を楽しもう♪


今年、2020年は、日本の誇りである浮世絵師、葛飾北斎の生誕260周年ということで、関連するイベントや映画など、北斎ファン、美術ファンはのみならず、普段は美術に馴染みがないという人にとっても、楽しめる企画が色々と計画されています。

実は、本来は、今年はオリンピックで日本に世界中の人々が集まるはずだったため、北斎の生誕260周年記念の年だからということだけではなくて、海外での浮世絵人気は絶大ですので、今年の日本は、史上最大の浮世絵イヤーとなるとも、ちまたでは言われていたんですね。
残念ながら、新型コロナウィルスによって、それもお預けとなってしまいましたが・・・

こちらは、2017年にロンドン観光した時のもので、大英博物館の写真です。
世界最大レベルの博物館で北斎の展覧会が開催されていたので、日本人として誇らしげな気持ちになりました。

上が大英博物館の正面入口、下が建物内部の中心部
ちょっと小さくてわかりずらいかもしれませんが、看板には、北斎の最も有名な作品「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」と、展覧会タイトル「Hokusai beyond the Great Wave」と印されています

※富嶽三十六景 神奈川沖浪裏(ふがくさんじゅうろっけい かながわおきなみうら)
※Hokusai beyond the Great Wave(ホクサイ ビヨンド ザ グレート ウェーブ/北斎 大波を超えて)

参考関連記事:大英博物館の北斎展「Hokusai: beyond the Great Wave」(英国ニュースダイジェスト)


さて、下記のキャッチコピーは、私が愛読している雑誌和樂(わらく)」のホームページ記事から。

「葛飾北斎、生誕260周年!

2020年はHOKUSAIムーヴメント!

あらゆるジャンルで目撃せよ」

こちらにも記載されているのですが、本来でしたら、今月(2020年5月)末から、葛飾北斎を題材にした映画「HOKUSAI」が公開されるはずだったんです。
北斎の知られざる人生を、数々の作品と共に映画化されるとのことで、とても楽しみにしていたのですが、こちらもコロナの影響で、公開は来年に持ち越されることとなりました。
キャスティングも演出もとても良さそうで、きっと面白いと思います。

映画「HOKUSAI」
公式サイト:https://www.hokusai2020.com/index_ja.html


ところで、そもそも、浮世絵ってなんなの?という話ですが、こちらも、和樂の記事にわかりやすい解説がありましたので、一部抜粋します。

日本を代表するアート・浮世絵

浮世絵は、江戸時代に成立した絵画様式のひとつです。江戸時代の幕開けと共にその歴史は始まり、生活流行遊女役者などをテーマにした絵画で、庶民層を中心に盛り上がりをみせました。ちなみに浮世絵の「浮世」とは「憂世」に由来し、江戸の世を謳歌(おうか)しようとする風潮の中で、浮かれて暮らすことを好んだ人々が「浮世」の字を当てたとされています。

浮世絵の表現技法は、大きく肉筆画木版画のふたつがあります。浮世絵菱川師宣(ひしかわ もろのぶ)の肉筆画に始まり、鈴木春信(すずき はるのぶ)らによる「錦絵(にしきえ)※」と呼ばれる技法によって、大きく発展しました。

錦絵・・・浮世絵といえばまず思い浮かべるであろう、木板を用いた鮮やかな多色摺りの版画

浮世絵とは?代表作品と絵師たちをまとめて解説【初心者必読】(和樂web)

また、江戸幕府が初めて参加した万博が、1867年(慶応3年)のパリ万博で、それ以降、マネドガモネらの画家が浮世絵をはじめとする日本美術の魅力に気づき、主題やモチーフのみならず、造形原理のレベルにまで自らの作品に取り入れていったと言われています。特に、オランダ人画家のゴッホが、浮世絵に魅せられていたというのは有名な話です。この、19世紀、ヨーロッパの画家や文学者を中心に広まった日本愛好・日本趣味をジャポニスムといいます。

※フランス語ではJaponisme(ジャポニム)、英語ではJaponism(ジャポニム)となります。

映画「HOKUSAI」、公開が待ち遠しいですが、コロナも落ち着いてくれば、各地で、北斎生誕260周年にちなんだ展覧会なども開催されるはずですので、まずはそちらから楽しんでいきたいと思います♪


2020年7月11日追記
浮世絵がお好きなかたは、こちらの記事「世界に誇れる日本のアート GIGA・MANGA@東北歴史博物館/江戸戯画(GIGA)から近代漫画(MANGA)までをたどる漫画の歴史展覧会」も併せてどうぞ。


あなたも、この機会に
浮世絵、楽しんでみませんか?