映画で知る「マザー・テレサ」

オリビア・ハッセー主演による2003年公開の映画


こんな不安な時代だからこそ改めて知っていただきたいマザー・テレサについて、これまでは報道写真家の沖守弘氏による本(マザー・テレサ あふれる愛)を中心に述べてきましたが、今回はマザーのことを知るのにオススメの映画をご紹介させていただきたいと思います。

マザー・テレサに関しての映画はいくつかありますが、まずご覧いただきたいと思うのがこちらです。

映画「マザー・テレサ」DVD(表面)


日本の歌手 布施明と結婚していたことでも知られるイギリス女優 オリビア・ハッセーOlivia Hussey)がマザー・テレサ役を演じた伝記ドラマ「マザー・テレサ(Madre Teresa/Mother Teresa)」。
2003年にイタリア・イギリスで製作され、2005年に日本で公開されました。

映画「マザー・テレサ」DVD(裏面)


マザー・テレサが87歳で生涯に幕を閉じたのは1997年ですので、その6年後に作られたということになります。

マザーを演じたオリビア・ハッセーは、マザーと活動を共にしていたシスターにこの映画の感想を尋ねたところ、「まるでマザーを見ている様だった」っと好評だったそうですよ。

このことは、以下の映画の予告編の後半で見ることができるオリビア・ハッセーのインタビューでも言われていて、興味深く感じていただけるかと思いますので、よろしければご覧になってみてください。


私も、マザー・テレサのニュースやドキュメンタリーの映像で見ていた生前の姿、また沖守弘氏をはじめとする方々の記事などで読んでいるイメージにも、かなり近いと感じました。

1時間50分でマザーの50年間を語る映画ですので、かなりギュッっとまとめられてしまってますが、多くの困難の中でも自分の使命を果たすためだけに、上手に周りを巻き込みつつも信念を貫いた、強くあたたかな女性としてのマザー・テレサがわかりやすく描かれていると思います。


また、現代社会のあり方にも訴えるようなシーンもありました。
「組織」は持ちたくないというマザーでしたが、支援を集めるためには戦略も必要だと言う神父の進めで協会が設立されます。もちろん、人助けに戦略なんていらないと言うマザーでしたが・・・
そして、この映画の終盤で、ニューヨークで行われている協会の経営会議、いわゆる現代の会社でよく見かける場面ではあるのですが、そこで会議の進行者が「来年の予算は増額が必要だが歳入の見込みがない」と話しているところ、マザーはテーブルに並べれらているミネラルウォーターの値段を給仕に尋ね「3ドルもあれば子どもが1年学校に通える」と呟き、そして「今日からこの協会は存在しません」と言って席をたってしまいます。

組織であれば当然といえば当然のよくあるギスギスした経営会議。
計画だ戦略だ、効率的な運営うんぬん言って突き進むことだけを考えていると、本来の大事なことを見失ってしまうこともある。
マザーが組織を持ちたくないと言っていたのはこういうことなんだなと、私もお金を得るために働いてはいるけれど、それが人の喜びに繋がってこそ幸せなんだという心を忘れないようにしようと、改めて考えさせられました。

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愛の人 マザー・テレサ その2/マザー・テレサを取り巻く人々
忠実さと、人間のふれあいを忘れない心を/不安な現代にこそ多くの人に知ってほしいマザー・テレサの言葉


あなたの
使命は
なんですか?

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音楽のみならず『音』そのものにスポットをあてた映画!

ドキュメンタリー「ようこそ映画音響の世界へ」


全くノーマークでいたのですが、先日「海の上のピアニスト イタリア完全版」を観に行った際に、「ようこそ映画音響の世界へ」というドキュメンタリー映画が上映されていることを知りました。

先月(2020年8月)、映画『音楽』にスポットをあてた「すばらしき映画音楽たち」というドキュメンタリー映画が再上映(初公開は2017年)されていましたが、今度は、映画に使われる『音』そのものに焦点をあてるという、今まで取り上げられたことのないテーマ、是非とも観たい!と思い、早速観て参りました。

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映画や音楽好き必見 ‘映画音楽 ’にスポットをあてた貴重な映画/これまでにないドキュメンタリー「すばらしき映画音楽たち」
名作復活上映「海の上のピアニスト」/20年の時を経て上映される完全版

映画「ようこそ映画音響の世界へ」チラシ(表)

こちらのチラシに並ぶ数々の名作映画のタイトル。
それらの名作たる所以には“音”の効果が計り知れなく、その“音”を作り出すためには、職人さん達による、知られざる創意工夫と労力が注がれているのだということを知ることができる映画です。

この映画では、同じ映像でも、音がない場合とある場合とを対比して見せてくれる場面があったり、映画を表現する上での音には声、効果音、音楽という種類があり、それぞれがどのような手法で取り込まれ、そしてどんな効果を生み出しているのか、名作のワンシーンと共に、巨匠や職人さん達の貴重なインタビューを交えながら、とても興味深い映画音響の世界を紹介してくれます。

映画「ようこそ映画音響の世界へ」チラシ(裏)

日本における『映画』という言葉、映画の『映』は『映像』と『画像』で表すように、私たちは一般に、映画は、映し出された動画を通して楽しむものだと思っていますが、実は、そこには音という聴覚的な効果が絶大だったんですね。
ともすると、音の方が映像以上に効果を発揮していることもある・・・

この映画、音響楽しめる映画館で観て大正解でした。
音をあちこちに移動させる「5.1chサラウンドシステム」について具体的に紹介してくれる場面もあって、その説明映像と映画館のそれぞれに配置されたスピーカーからの音で、改めてその効果を実感できるのは特に面白かったです。

ちなみに、この映画の原題は「Making Waves(メイキングウェーブス)」。
映画館ではまさに、この音のウェーブ(波・波長)を感じることができます。

また、例えば、誰もが知る「スターウォーズ」が公開された時のエピソードでは、オープニングで宇宙船が大画面に迫力の登場をするシーン、その圧巻の映像と音響で、観客達が驚き興奮しますが、私も改めてその感覚を得ました。

携帯電話やタブレット、パソコンなどで、手軽に配信映画を視聴できる現代ではありますが、これを観て、映画はやはりまずは映画館で観るべきだなと思いました。


そしてつくづく、視覚・聴覚を通して映画を楽しめる五体満足な体を持つ自分は幸せだなーと感じました。
素晴らしい映画クリエイターの方々へと、与えられた体で映画を十分に楽しめることに感謝して、今後も少しでも多くの映画を観て、たくさんの感動を得させていただき、感性豊かになる時間を送っていきたいと思います。

「ようこそ映画音響の世界へ」公式サイト
フォーラム仙台・チネ・ラヴィータのHP


あなたの
聴覚に訴える映画は
なんですか?

名作復活上映「海の上のピアニスト」

20年の時を経て上映される完全版


8月半ばから開催されていた、映画館フォーラム仙台における「エンニオ・モリコーネ追悼特集」。
以前書きました時には、この特集、9月24日までということで、「海の上のピアニスト」の上映も同じく24日までということだったのですが、10月1日(金)にまで伸びたようです。
実は私、24日までの都合がつかないでいたので諦めていた所でしたが、おかげで、観に行くことが出来ました♪

関連記事:
映画や音楽好き必見 ‘映画音楽 ’にスポットをあてた貴重な映画/これまでにないドキュメンタリー「すばらしき映画音楽たち

当初チラシでは9/24までだったが「海の上のピアニスト イタリア完全版」は10/1(金)までに延長♪

海の上のピアニスト」は、全編に渡って、映画音楽の巨匠モリコーネの美しい音楽が堪能できる名作で、日本で初公開されたのは1999年、それから20年ほどぶりで、4Kデジタル修復版およびイタリア完全版として復活上映中です(2020年9月26日現在)。

「海の上のピアニスト 4Kデジタル修復版&イタリア完全版」チラシ(表)

1900年に豪華客船の中で生まれ、“ナインティーン・ハンドレッド(1900)” と名付けられた男の子が凄腕のピアニストとして成長しつつも、生涯船を降りることなく数奇な人生を歩んだことで伝説となったというファンタジー映画(フィクション)です。

映画の中で、副主演であるトランペッターの男性(役名:マックス)が「本当の話」と言って物語が進められていることもあり、実話かと勘違いもされてしまう映画ですが、フィクションです。

また、実際に存在し、ジャズを作った人とも言われているジェリー・ロール・モートンを、物語の中でナインティーン・ハンドレッド(主人公)のピアノ対決相手として登場させていることもあって、よりリアルっぽく感じさせられちゃうわけなのですが、そこがこの映画の見所でもあります。

ジェリー・ロール・モートン
(Ferdinand “Jelly Roll” Morton)
1890〜1941年。
米国ルイジアナ州ニューオーリンズ出身のピアニスト、バンドリーダー、作曲家。
(wikipediaより)

この、ジェリーとナインティーン・ハンドレッドの、それぞれのピアノ演奏による対決シーンは圧巻です。
ピアノ曲が好きな人はもちろん、そうでない人も、時を忘れて見入ってしまうこと請け合いです。

でもふと現実に帰ると、映画の中では二人とも誰もが息を止めてしまうような演奏をするわけだけど、そもそもこれは、演技。本当に演奏している人がすごすぎる!そして、これほどのピアノ弾きの演技をする俳優もすごい!って、そっちの感動が最終的に増します・・・

「海の上のピアニスト 4Kデジタル修復版&イタリア完全版」チラシ(裏)

今回公開されたイタリア完全版は、当初のものより50分ほども長い映画ですが、物語の展開が軽快で、笑えるところもたくさんあり、そしてちょっと悲しくもあるお話なのですが、見所がたくさんあって、3時間も長くは感じません。

個人的には、ピアノの演奏を心から楽しんでいるナインティーン・ハンドレッドを見ていると気持ちがいいのと、悪い人が出てこなくて(一瞬意地悪そうな人も最終的に良い人)、みんな心温かく、人間味あふれる感じが、好きだなーと感じる映画です。


そして、私にとってお気に入りの一つである、この映画のサントラCDはこちらです。
ピアノソロ、オーケストラ、バンド調ありとバラエティーに富み、中にはノリのいい曲もあって楽しめつつも、穏やかな気持ちになりたいときには最適なアルバムです。

「海の上のピアニスト」オリジナル・サウンドトラックCDの表と裏面

このCDに付属のブックレットには、エンニオ・モリコーネ(訳:ジャパンタイムズ)による以下のメッセージが添えられています。

私が、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の映画「海の上のピアニスト」のために作曲したこの音楽は、これまでに私が手がけたどの映画音楽にも見ることのできない特質を備えていると信じています。

この映画は真のミュージカル映画であり、そのために私は心理学、歴史、言語学から音楽的技巧や名人技(この映画が一人の音楽家、独学の偉大なピアニストについての物語だからなのですが)といったモチーフや、壮大で情緒的な音楽シーンあるいは親密で安らぎのあるシーン、またあるいはエンターテインメントに満ち溢れた楽しいシーンやそうかと言えば徹底したリアリズムのシーンといったさまざまなテーマの音楽シーンを相手に奮闘しなければなりませんでした。

これら全てのモチーフが見事に溶け合い、その結果この映画の特質を観客の皆様に十分に楽しんでもらうためになくてはならない表現力が生み出されているのだと思います。

私は、この映画とその音楽がそれらにふさわしい成功を収めることを願ってやみません。

この映画音楽は、扱われているテーマの多様性からいっても、私のこれまでの作品の中で最も成功を収めた作品の一つに数えられることでしょう。

ご本人がそう述べられている通りの、素晴らしい音楽そして映画の名作です。
是非、観て、聴いて、その素晴らしさを感じてください♪


あなたの
お気に入りの映画音楽
はなんですか?

「海の上のピアニスト」オリジナル・サウンドトラック

映画や音楽好き必見 ‘映画音楽 ’にスポットをあてた貴重な映画

これまでにないドキュメンタリー「すばらしき映画音楽たち」


今年(2020年)7月6日、映画音楽の巨匠として知られるイタリアの作曲家エンニオ・モリコーネ氏が91年の生涯に幕を閉じたことに因んで、ただ今、映画館フォーラム仙台では、「エンニオ・モリコーネ追悼特集」として、同氏に関係する映画が再上映されています。

エンニオ・モリコーネ氏は、約50年間で500本以上の長編映画の音楽を手がけたとされ、多くの映画音楽ファンの支持を集める作曲家です。
映画音楽作曲家としては史上2人目となる「アカデミー名誉賞」を獲得したことでも知られています。

ピンと来ないかたには、以下の音楽をお聴きいただければ「あー、これか」とお分りいただけると思います。

フォーラム仙台では、元々「海の上のピアニスト 4Kデジタル修復版」の上映を予定していたところ、エンニオ・モリコーネ氏の訃報に接し、急遽、この追悼特集を企画したのだそうです。

フォラーラム仙台における「エンニオ・モリコーネ追悼特集」は2020年7/31(金)〜9/24(木)

さて、この度、私が観て参りました「すばらしき映画音楽たち」は、映画音楽の巨匠たちの仕事にスポットをあてたドキュメンタリー映画で、「エンニオ・モリコーネ追悼特集」の『番外編』として、フォーラム仙台で上映されています。

原題は「Score: A Film Music Documentary」で、2016年に公開されました。
フォーラム仙台におけるこの度の上映は、8月20日までです。

「すばらしき映画音楽たち」のパンフレット(表紙)

映画の名シーンって、映像と共にその背景に流れる音楽も一緒に思い出されますよね。
そんな、私たちがよく知る映画音楽たちがどのようにして生まれるのかといったことや、作曲家たちの意外な想いなど、知られざる舞台裏を垣間見ることができる、これまでにはなかったドキュメンタリーです。

「すばらしき映画音楽たち」のパンフレット(裏表紙)

映画の冒頭部分では、映画にまだ音がなかった時代、映画の上映と共に演奏されるオルガンの映像が出てきたりして、そんな時代を知らない私たち世代にはもちろん、その頃を知る先輩方にとっても、大変貴重な映画だと思います。

映画音楽の、昔からのクラシカルな制作過程から、現代のデジタルテクノロジーを駆使した制作まで、余すことなく語られていて、誰もが関心を持って観ることができます。

様々な有名映画の映像&音楽と共にお話は進むので、映画ファンにはたまらないです。

また、人間の五感に訴える音楽の効果について科学的に示される場面などもちょっとあって、様々な観点から興味深く観られる映画でした。

フォラーラム仙台「エンニオ・モリコーネ追悼特集」のチラシ(裏)

ところで、今回の「エンニオ・モリコーネ追悼特集」後半に上映される「海の上のピアニスト」は、「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督とエンニオ・モリコーネがタッグを組んだ、豪華客船で生活するピアニストの物語で、全編に渡って美しい音楽が堪能できる、感動の名作です。

「海の上のピアニスト 4Kデジタル修復版&イタリア完全版」チラシ

「海の上のピアニスト」日本版は1999年に公開されたのですが、まもなく上映されるイタリア完全版は50分あまりもシーンが増えているのだそうです。

ちなみに私は、日本初上映当時は映画館では観なかったのですが、およそ1年後に父が借りてきてくれたビデオで観て、音楽に感動し、その後すぐにサントラCDを購入し、そのアルバムは今でもお気に入りの一つとなっています。

「海の上のピアニスト イタリア完全版」、フォーラム仙台での上映は、2020年9月18日〜24日を予定されています。→10月1日までに延長されました(9/25追記)
映画館の大きな画面での映像と、大音量で聴ける映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネによる音楽、楽しみです。


あなたは
映画音楽制作の裏話
ご存知でしたか?

すばらしき映画音楽たち [Blu-ray]

被爆ピアノを通して考える“平和 ”

広島在住のピアノ調律師さんがモデルの映画「おかあさんの被爆ピアノ」


本日、2020年8月15日は、戦後75年の「終戦の日」です。
平和が当たり前の日本に生きている現代の私たちですが、わずか75年前は、それが当たり前のことではなかったわけですよね。
戦後に生まれた私たちには知り得ようのない思いをされている方々が、今も生きていらっしゃる。
また、世界を見渡せば、いまだに、戦時同様の苦しい毎日を送る人もいる・・・

映画「おかあさんの被爆ピアノ」チラシ(表)

今、平和なこの国で過ごせる日本国民として、忘れてはならないことがある。
そういったことを考えさせてくれる映画「おかあさんの被爆ピアノ」が、現在公開されています。

被爆ピアノという存在、あなたはご存知でしたか?
私は、この映画によって初めて知りました。

原爆の爆心地から3キロ以内で被爆したピアノは被爆ピアノと呼ばれているのだそうです。
そして、持ち主から被爆ピアノを託され、修理・調律して、それらを自ら運転する4トントラックに載せて全国を回り、被爆ピアノの音色で、忘れてはならない原爆の記憶を伝える活動をしているかたがいらしたんですね。

広島市で「矢川ピアノ工房」を営む矢川光則さんが、被爆者団体から広島で被爆したピアノを託され、核兵器廃絶と恒久平和を願って、自らも被爆二世としてご自身のできる平和運動として、全国を回っているのだそうです。

株式会社矢川ピアノ工房HP「被爆ピアノへの取り組み

その矢川さんの活動に着想を得て、映画「おかあさんの被爆ピアノ」は作られました。

映画の中でおりがみのピアノが出てきて、懐かしくなり、私も折ってみました。パステルで描いた鍵盤がヘンですが…

主人公は東京で生まれた大学生の女性。母親は広島で生まれ、暗い過去のある広島に娘を近づけたがらず、実家にあった被爆ピアノも寄贈してしまう。しかし、主人公は、調律師との出会いをきっかけに、亡くなった祖母のこと、そして自分のルーツを探るため広島へとおもむく・・

映画「おかあさんの被爆ピアノ」チラシ(裏)

映画の内容はフィクションですが、平和な現代を生きる、とある普通の家族の物語で、特に過剰な演出もなく、淡々とした流れがかえって、親近感もあり、自分の心の中に静かにさざなみが立っていくのを感じました。

昭和20年8月6日に広島に投下された原子爆弾。
犠牲になった広島の街と多くの命。
原爆を乗り越えた生々しい傷跡の残るピアノから発せられる音色は、温もりと重みがあるように感じ、その旋律の美しさは私たちの胸に確かにメッセージを伝えてくれている気がしました。

映画「おかあさんの被爆ピアノ」パンフレット。
映画製作者の方々の思いと、矢川さんご本人や、広島の原爆に関わる人々によるメッセージが胸を打ちます。

おかあさんの被爆ピアノ」公式サイト

ところで、実際の矢川さんによる被爆ピアノの平和コンサートについて、調べましたら、今年、ここ仙台にもいらしてくださる予定があるようです。
現時点では10月27・28日が予定のようですので(場所など詳細は不明)、コロナの影響などで中止にならないことを願いつつ、今後もチェックしていこうと思います。

世界遺産広島平和記念碑(原爆ドーム)
世界遺産登録基準は『人類初の原子爆弾がもたらした悲劇を伝える価値

なお、映画「おかあさんの被爆ピアノ」は、宮城県では、フォーラム仙台でのみ、8月20日まで公開されています。

フォーラム仙台/チネ・ラヴィータWebサイト


あなたにとって
平和は
当たり前ですか?

映画「エジソンズ・ゲーム」未来を照らすのは、誰だ

今の電気の原点を決めることになった「電流戦争」


世界で最も有名な歴史的人物の一人、エジソンの、知られざる史実に基づく映画「エジソンズ・ゲーム」を観てきました。

エジソンズ・ゲーム チラシ(表)

私は小学低学年の頃、エジソンの伝記漫画を、とても面白く感じて、繰り返し読んだことを覚えています。
特に、小学校の先生に質問ばかりして先生を困らせていたとか、自分(人間の体温)で鳥の卵を孵化させようと小屋にこもったりした少年が、のちに電球を発明したという点で、やっぱりちょっとおかしいくらいの普通じゃない人が、すごい発明をするんだな、と子供ながらに感心したものでした。

さて、映画「エジソンズ・ゲーム」について。
原題は「The Current War」、直訳すると「電流戦争」です。

物語の中心となる人物は、実在した以下の4人です。

1880年〜90年代、アメリカにおいて、電力の普及を巡って、壮絶な争いがあったのだそうです。
直流方式を押す<頭脳で世界のトップにたつクリエイタートーマス・エジソンと、交流方式を推進する<戦略で支配を広げるカリスマ実業家ジョージ・ウェスティングハウスの戦いで、どちらの送電システムが選ばれるかでバトルした「電流戦争」です。

孤高の存在へと自らを追い詰めるエジソンと、周囲の人間の才能を伸ばしながら天下を取ろうとするウェスティングハウス、そして、この二人の対決の鍵を握る天才科学者ニコラ・テスラと、エジソンを支える腹心の秘書サミュエル・インサルたちの、知られざるビジネスバトル。

エジソンズ・ゲーム チラシ(裏)

中学の理科で習った、電流の「直流」と「交流」。懐かしいですね。
現代に生きる私たちが科学の知識として学び、そして、当たり前として使っている電気ですが、実は、およそ130年前のこんな物語が背景にあって、その恩恵を受けることができていたのかと、胸を打たれました。

また、あらゆる歴史の裏ではよくあることですが、プライドと情熱、エゴと野望にかられた天才たちの運命には悲壮感さえ漂い、いろいろ考えさせられる映画でした。

天才発明家  VS カリスマ実業家

直流  VS  交流

頭脳 VS 資金

ところで、エジソンの発明品といえば、撮った映像を観ることができる機械「キネトスコープKinetoscope)」があります。
これによって、映画が誕生しました。
この物語の一番最後、電流戦争を終えた後のエジソンが、映画館の席に腰掛けて、スクリーンを眺めているシーンがあるのですが、それが、「エジソンズ・ゲーム」を観ている私たちの方に視線が向かっているようにも見え、エジソンのダークな部分も描かれた物語でしたが、最後には感謝の念が湧いてきて、感慨深い気持ちになりました。

映画『エジソンズ・ゲーム』公式サイト

ちなみにこの映画、映画館で観て正解だと思いました。
なぜなら、予告編を観てお気づきの通り、電気が一般に普及する前の物語ですので、始終、画面は暗めなのです。
でも、その灯りが際立つ映像が美しかったですし、カメラワークもアーティスティックで幻想的な場面もあったりして見応えがあり、映画館のスクリーンで観ることをオススメしますが、私が行った映画館「フォーラム仙台」での上映は明日(2020年8月13日)まで・・・
ご自宅であれば、少しでも大きめの画面で観られるのが良いかと思います。
携帯画面はもってのほかで、できれば、プロジェクターなんかで観るのがベストかと。

iCODIS RD-813
私も愛用しているプロジェクター。小型で持ち運びにも便利、映像も結構綺麗で、コストパフォーマンス良いと思います。ご参考まで。

最後に、今回も購入したパンフレットについて、簡単にご紹介しますね。

エジソンズ・ゲーム パンフレット(表紙)

エジソンとステラのトリビアと語録のページもあったりして、楽しめます。

エジソンの著名な言葉といえば、
天才とは、1%のひらめきと99%の努力である
がよく知られていますが、
人はお金がいくらあっても幸せにはなれない
とも言ったそうです。
映画でも、お金よりも名誉を得るために必死だった部分がよく描かれていました。

対して、ステラは
あなたの憎しみを電気に変換してしまいなさい。そうすれば世界全体が明るくなる
という言葉を残しています。
また、このパンフレットには記されていませんでしたが、
愛とは与えるものです
とも述べたことで知られています。

電流戦争」という勝負の勝敗には、この辺の気の持ちようもだいぶ影響したのだろうなと感じ、自分自身の日頃の心のあり方についても改めて考えさせられました。


あなたは
電力の歴史
ご存知でしたか?

感動のドキュメンタリー「花のあとさき ムツばあさんの歩いた道」

日本の素晴らしい四季の移ろいをムツおばあちゃんと共に


只今(2020年7月21日現在)、映画館フォーラム仙台/チネ・ラヴィータ では、「『今、特に観てほしいドキュメンタリー』連続公開」というフェスタが開催されています。

この中から、7/17~7/23公開の花のあとさき ムツばあさんの歩いた道」を観て参りました。
とっても素敵な映画でしたので、ご紹介させていただきたいと思います。

2020年6月12日(金)~7月30日(木):フォーラム仙台/チネ・ラヴィータ の「今、特に観てほしいドキュメンタリー」連続公開

花のあとさき ムツばあさんの歩いた道」は、2002年から放送されたNHKのドキュメンタリーシリーズ「秩父山中 花のあとさき」が映画化されたもので、 秩父の山深い村に暮らす小林ムツさんとご主人の公一さん、そして同じ集落に住むわずかな村民と家族の方々の18年間に及ぶなんの飾り気もない、そのまんまの物語です。

この映画に寄せられた瀬戸内寂聴さんのコメント
「涙があふれて、私はゲクゲク泣き続けました。
丸顔のあどけない顔つきが年と共に美しくいきいきしてきたのは、彼女の暮らしが、花のいのちと共にあったからでしょう」

に、私も心から同感しました。

ムツさんも、ムツさんを取り巻く人々も、なんて優しく愛情深い、素敵なお顔立ちなんだろう。
花や自然を愛し、そして村を訪れる人への思いやりの心を持ち、なんの贅沢もなく、毎日を大切に生きている、きっとその生き様が、お顔に現れているんだろうなと思いました。

映画のチラシ

畑仕事に毎日休みなく生きるムツおばあちゃん。
80前後の年齢で、山の急斜面でも作業し、重い荷物も運び、時には家の屋根にも登ったり、そのたくましい姿に、「かわいいのに、かっこいい!私も頑張らねば!」と力をもらえました。

ちなみに私は、映画を観ると同時にパンフレットも必ず購入します。
映画には出てこなかった写真や、ムツおばあちゃん達の詳しいプロフィールなんかも掲載されていて、とても貴重な冊子です。

映画のパンフレット

ムツおばあちゃん達からは数々の素敵な言葉が発せられていたので、映画を見ている最中、「忘れちゃう前に書き留めておきたい!」と思ったのですが、パンフレットには語録のページがあったので、ありがたかったです。

パンフレットにも掲載されていますし、予告編でも出てくるのですが、ムツおばあちゃんのこの語らいがとっても素敵で、心が温まりました。

花が咲くと何にも忘れるがね
かわいいなぁと思って
花って

香りがそれぞれ違うし
色も違うし
みんなが器量一杯に咲いてくれるから
かわいいよ〜

そう語るムツおばあちゃんの話し方がすごく可愛らしくて、『花のことをかわいいよーて愛(め)でるそんなあなたがかわいいです!』と突っ込みたくなるほどです(笑)

映画を観る前は、単に「かわいいおばあちゃんだなー」程度だった想いが、映画を観ると親近感が湧いてしまって、その後はこの予告編を見る度に「ムツおばあちゃーん」と泣けてきてしまいます。

NHK(カメラマン百崎満晴氏)がこの村で映像を取り始めたのは2002年、その時点で村に住む人々の平均年齢は73歳、撮り続けた18年でどうなるかは、想像がつきますよね・・・

以下は、後半ご主人がなくなった後の、ムツおばあちゃんの言葉です。

(おじいさん)どこに行ってしまったんだか。
なんとなくなあ

寂しくも恐ろしくもないんだけど
つい涙もろくなっちゃった。
人生なんてほんとにあっけねぇもんだが。
83歳になったけども

ほんと、あっという間で過ぎたよ〜

たくましく生きたムツおばあちゃんから出たこの言葉は、なんだか深くて重いです。

日本の山の美しい季節の移ろいにも、心が洗われます。
自然に感謝して、自分のいのちも大切に生きよう・・・
そんな穏やかな気持ちになれる本当に素敵なドキュメンタリー映画でした。


あなたの
故郷の様子は
いかがですか?

父の日にもオススメの映画

アバウト・タイム ~愛おしい時間について~


今日は、2020年6月21日、第3日曜日、父の日ですね。
とういうわけで、本日は、父の日におすすめする映画、「アバウト・タイム~愛おしい時間について~」を、ご紹介したいと思います。

「アバウト・タイム~愛おしい時間について~」は2013年のイギリス映画で、日本では2014年に公開されたSF恋愛映画です。

“SF(サイエンス・フィクション;科学的な空想にもとづいたフィクション)”とされる所以は、主人公である青年ティムがタイムトラベル能力を有していることによります。

私は、映画のジャンルでは、VFX(ビジュアル・エフェクツ;視覚効果、特撮)の効いた近未来モノやファンタジー、冒険モノといった類が好きなので、この映画も、初めは、そういう面白さがあるのかと勝手に思って観たんです。

しかし、その期待には反し、VFXの部分にお金はかかっていない映画でした。

ですが、この映画は、これで良いんです☆

「時間」について考えさせるための材料として「タイムトラベラー」の家系に生まれた主人公という設定を取られたのだと思うのです。なので、そこに特殊効果とかいった映像の面白さは必要ないんですね。

また、時空を超える映画の設定にありがちな、ちょっと無理がある部分も感じますが、そこは映画、ファンタジーならではですから、ご愛嬌。

人生の宝物は
生きてきた日々そのもの!
なにげない一日が、
かけがえのない時間だったと気づく

(DVDのジャケット裏のキャッチコピー)

そして、この映画は「恋愛映画」の部類に入りますが、家族愛についても素敵に描かれています。

主人公ティムの家族がとっても仲良しで、ほのぼのとしていて、羨ましい。
コメディータッチな部分もあり、観ていて笑顔になれるシーンがたくさんあります。
一方、意外とシリアスなシーンもあったりして、ちょっとドキドキしたり、悲しくなっちゃう部分もあるのですが、感情の緩急が心地よい映画です。

ティムの、恋人も家族もとても大切にする気持ちには、心が温まります。

ほんのちょとネタバレですが、最後、父と息子(ティム)が一緒にタイムトラベリングして、浜辺で時間を共にするシーンは、微笑ましくも感動します。
多分、息子さんを持つパパなんかは、泣けてきちゃうと思うな・・・

「Son(息子よ)」「My dad(父さん)」呼びかけるシーン、それだけで泣けてくる・・・

私は、時々この映画(DVD)を見て、かけがえのない時間について改めて考え、感謝するのですが、この短い予告編を見るだけでも、ちょっと泣けてきてしまいます。

about Time」直訳したら「時間について」ですが、邦題として「愛おしい時間について」とされたのは、とっても素敵だと思います♪


あなたとお父さんとの
時間について
想いを馳せてみませんか?

アバウト・タイム~愛おしい時間について~[AmazonDVDコレクション]

スポーツ的♪音楽

スカッとする映画 ドラムライン


明後日(2020年6月21日)は、父の日ですね。
DVDを整理してましたら、ふと目にとまった、「ドラムライン」。
これには、ちょっとした父との思い出があります。

ドラムライン」は2002年のアメリカ映画で、大学のマーチング・バンドの天才ドラマーを主人公にした、青春ものです。

これは、私から、生前の父に勧めた最後の映画です。
若い頃バンドマンだった私の父は、ギターが趣味でしたが、時々お箸をドラムのスティック代わりにカチカチやっている時もあるような音楽好きな人でした。
このDVDを観た父から、「これ、すごく良かったよ。スカッとした。久々にいい青春映画観たよ」と笑顔で言われ、とても嬉しかったのを覚えています。

私も、久々に、スカッとしてみるか、と思い、数年ぶりでこの映画を観てみました。

この映画は、主人公のデヴォンが、高校の卒業式で、ドラムを先生の指揮に従わずに演奏するところから始まります。
型にはまった演奏ではなく、ノリノリな雰囲気は、映画の中の生徒たちだけではなく、映画を見ている私達をも楽しませてくれます。
でも、実はこれが、これからの大学生活において、自らを陥れることになるデヴォンの自意識過剰さを表す布石なんですね。

さて、この映画のキャッチコピーは、

五感を震わす興奮と感動!

予告編はこちらです。
Youtubeにアップされている、公開当時の日本版は、画像がよろしくないので、海外版にて。
ファンのかたが製作したもので、英語がわからなくても、しっかり雰囲気は感じられるように作られています。

この映画は、親子の愛情に始まり、友達や先輩との友情、人生を歩む上で大切なきっかけになる恋愛や、教師との師弟愛といった、様々な愛をテーマにしています。

人間にとって最も重要な愛を物語るための題材として、大学のマーチングバンドを取り上げられており、さらに、人間の原始的な五感を最も刺激するドラムというリズム音楽に視点をあてた、とても見応えのある映画となっています。

最後には、ライバル校とのドラムライン対決があるのですが、これぞクライマックス!
何度でも繰り返して見たくなるシーンです。

日本映画では「ウォーターボーイズ」や「スウィングガールズ」にコンセプトが近いものとして、人気を博しています。

スウィングガールズ」個人的には東北の地・山形を舞台とされているので、愛着があります。


ところで、これらの映画では、音楽を奏でる上では、センスある音感に加え、スポーツ選手並みの体力と運動神経を必要とされるようなことが描かれていますが、運動と音楽って何かしらの相互関係があるのかな?
そう思ってネットで記事を検索してみましたら、アシックスのwebサイトの記事が目にとまりました。

音楽は運動に効果的? 「脳科学からみる運動と音楽の関係」

https://www.asics.com/

こちらの記事の、ラジオ体操の例が分かりやすいと思いました。
音楽なしでいきなり3番目の動きは?と言われると難しいですが、ラジオ体操の音楽を聞くと、自然と動きを思い出しますよね。
脳研究者である東京大学薬学部教授・池谷裕二先生によると、
「音楽は動きを暗記したり、いつもと同じことを繰り返すためにはすごく良いツールになる」
のだそうですよ。

また、音楽によって、
「報酬系・快楽系の神経が活動することで、本来であれば辛いランニングや腕立て伏せを楽に行うことができる。負担の軽減という意味でも、運動における音楽は有効に作用し、長続きさせる効果をもたらしてくれる」
ということです。

五感を震わす音楽と体験、積極的に日常生活に取り入れていきたいと思います。


あなたは
五感を震わす体験
していますか?

 

障害者とボランティアの実話を元にした映画

こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話


友達から勧められた映画「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」を観ました。

札幌の鹿野靖明(しかのやすあき)さんという、筋ジストロフィーを患い、自ら多くのボランティアを集って、自立生活を送った、実在の人のお話で、2018年に公開された映画です。

この鹿野さんという人の、体は不自由であるにも関わらず、心が自由という生き方を描いたこの映画に、あまりにも身勝手過ぎると不快感を感じるかたもいらっしゃるようです。

でも、この人、余命宣告されてる人なんですよ。
そして、脳はしっかりまともなのに、自分では体が効かないから、人に全てをさらけ出す必要もあるわけです。

もし、自分がそんな立場だったら・・・?

「俺は一日一日が勝負なんだよ。」

「人はできることより、できないことの方が多いんだぞ。」

五体不満足であることを受け入れ、自分らしく生きるために短い生涯を全うした、鹿野さんと、彼を支えた心あるボランティアの方々の物語には、五体満足である私たちにこそ、考えさせられることがあると思いました。

筋ジストロフィー:筋肉の機能に関与している遺伝子の異常によって発生する難病で、筋力低下、筋萎縮が生じ、運動機能障害をもたらす。

正直なところ、私には、鹿野さん役を演じた大泉洋さんは「大泉洋さん」と感じてしまう部分があり、感情移入し切ることができなかったのですが、とても難しい役を演じきった大泉さん、本当にすごいと思います。

また、この映画の公開後、鹿野さんご本人とこの原作者である渡辺一史(わたなべかずふみ)さんらについて、ニュースで取り上げられたものがYouTubeにアップされていますので、こちらも併せてご覧いただけると良いかと思います。

なぜ人は支え合うのか。
渡辺一史さんの視点には非常に興味があるので、出された本も是非読んでみたいと思っています。


<渡辺一史さんが書かれた、この映画に関連する2冊>

こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち (文春文庫 わ)

なぜ人と人は支え合うのか (ちくまプリマー新書)


あなたにとって
自分らしく生きるとは
なんですか?

 

こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話 [DVD]