IMAX体感が衝撃的だった映画『トロン:アレス』いよいよ配信&媒体リリース

〜唯一無二の世界観『トロン』シリーズの進化〜


本日(2025年12月2日)ついに映画『トロン:アレス(原題:Tron: Ares)』のデジタル配信がスタートされます!
と言っても、日本国外でのことなのですが・・・

また、これも現時点では海外のみでの発表ですが、DVD/Blu-rayの販売は来年の1月6日からとのこと。
ここ日本では、本日時点ではまだ配信も媒体のリリースもいつになるのか公式発表されていないのですが、きっと間も無くでしょう♪
(日本での配信や媒体販売の日程が分かったら追記しますね)

さて『トロン:アレス』の劇場での公開は、およそ2ヶ月前の10月10日より日米同時に始まりました。

映画トロン:アレス公式ホームページ:https://www.disney.co.jp/movie/tron-ares

『トロン』シリーズファンとして、また主演を演じたジャレッド・レト(Jared Leto)を彼のバンド「サーティー・セカンズ・トゥ・マーズ(30 Seconds to Mars)」活動時代から応援しているファンとしても、IMAXで観られることを心待ちにしていた私は、もちろんその公開直後に観に行きましたよ。

ですが、その感動をすぐにブログに残せないでしまったので、本日の海外での配信スタートを機に、遅ればせながらも熱く語らせていただきたいと思います。

映画『トロン:アレス』予告編

もう、この予告編を観るだけで興奮しませんか?
これをIMAXという巨大なスクリーンと音響で体感した衝撃と言ったら・・・!!

もう素晴らしくて。
「すごい、すごい、面白すぎる」「さすがディズニー、まさに映像改革」などと一人で呟きながら観ていました。

映画『トロン:アレス』チラシ(表)(画像クリックでPDF画面が開きます)
トロンの世界観 〜シリーズの歴史〜

トロン』の魅力は、何と言ってもその唯一無二の世界観にあります。
さて、『トロン』オリジナル作品である第1作目は1982年公開。
なんと40年以上前の作品です。
当時は幼少であった私自身も、第2作目の『トロン:レガシー』から知った世代。
全てをご存じない方もいらっしゃるかと思うので、これまでの流れを簡単にご紹介しますね。

1982年公開『トロン(原題:Tron)』
全ての始まりー

「もし、コンピューターの中に自分自身が吸い込まれたら?」
プログラマーであるケヴィン・フリンジェフ・ブリッジス:3部シリーズ全てに登場)が、自らが作り上げたデジタル世界(2作目からグリッドと表現)に送り込まれるという、当時としては革命的なSF作品でした。
シンプルな光のラインと、レトロフューチャーなデザインは、今見ても色褪せないサイバーパンクの原点です。

映画『トロン(オリジナル)』予告編(字幕なしです)

2010年公開『トロン:レガシー(原題:Tron: Legacy)』
映像美の覚醒

前作から28年後、フリンの息子サムがグリッドに迷い込みます。
フリンがデジタル世界で生き続けていたという設定と共に、映像技術の進化によって、グリッドの美しさはネオン輝く別次元へと昇華しました。
父と子の再会と、デジタル生命体の哲学的なテーマが深まった作品です。

映画『トロン:レガシー』予告編

なおこの他に、アニメシリーズで『トロン:ライジング(原題:Tron: Uprising)』というスピンオフ作品があります。
1982年の映画『トロン』と、2010年の続編映画『トロン: レガシー』の間の物語を描いたもので、2012年にアメリカのディズニーXDで放送開始し、日本では2013年に放送されました。
こちらについては私は観ていないので割愛しますが、ディズニープラスで日本語吹き替え版などでも配信されているようです。
むしろこちらの方がお好みという方もいらっしゃると思いますので、興味あればご覧になってみてはいかがでしょう。

それではいよいよ、これらの続編となる『トロン:アレス』について。

映画『トロン:アレス』チラシ(裏)(画像クリックでPDF画面が開きます)
圧倒的な光と音の饗宴 〜IMAX体験の衝撃〜

『トロン:アレス』が描くグリッドの世界は、ただのサイバー空間ではありません。
それは、光とネオンが秩序をもってデザインされた、神聖な美の世界とでも言えるでしょうか。

IMAXの大画面、特に床から天井までを覆う映像は、まるで自分がプログラムになったかのように、その世界に文字通り「没入」させてくれました。
(私はIMAXでは必ず席を横並び中心に予約して、迫力の映像と音響を堪能します)

映像美の進化
過去作のクラシックな光のラインは継承しつつも、アレスの鎧や環境はより複雑で有機的、そして生命感を感じさせるデザインへと進化していました。
光と影のコントラストが際立ち、デジタルアートとしての完成度は群を抜いています。

音響の迫力
ライトサイクルが走り出すときの重低音、そしてディスクバトルで光の円盤が交差するたびに響く高周波の電子音・・・
IMAXの緻密な音響設計によって、全身でデジタル世界の振動を感じる体験は、自宅での視聴では決して得られないであろう体感でした。

この圧倒的な映像と音響こそが、『トロン:アレス』を単なるSFアクション映画で終わらせない、唯一無二の芸術作品に押し上げています。

Wミュージシャン俳優の存在感 〜創造主とAIの対話〜

トロン』シリーズの魅力の一つは、創造主である人間側も、被創造物であるプログラム側も、演じる俳優が深い芸術的才能を持っている点です。

シリーズの核となるケヴィン・フリンを演じ続けたジェフ・ブリッジスJeff Bridgesは、彼もミュージシャンとして活躍した俳優であり、このデジタル世界を創り出した「ユーザー」の象徴でした。
彼の持つ独特の温かみと哲学的な存在感が、デジタル世界の深みにリアリティを与えてきました。

そして本作のジャレッド・レトが演じるアレスは、フリンが創った世界、そして人間が持つ創造性を模倣し、時に超越しようとするAIです。

創造主(ユーザーフリン)を演じたブリッジス氏と、究極の被創造物(AIアレス)を演じたレト氏。
二人のミュージシャン俳優が、シリーズの根幹である「創造と進化」というテーマを、それぞれの表現力で支えている構造こそ、『トロン』シリーズの芸術性の高さを物語っていると感じます。

映画『トロン:アレス』のパンフレットとチラシ、そして30 Seconds to Marsの初期のアルバム
ジャレッド・レトの才能とアレスや創造主への深い思い

彼のバンド活動(30 Seconds to Mars)時代から才能を追ってきたファンとして、ジャレッド・レトが持つアーティストとしての深い感性が、主人公アレスにどう投影されたのかは、私にとって本作最大の注目点でした。

単なる俳優に留まらず、自身のバンドで楽曲制作、ビジュアルアート、そしてコンサートでの壮大な演出を手掛けてきた彼は、まさに「創造主(ユーザー)」の才能を持ったアーティストです。

芸術的深み
AIであるアレスの「人間性への探求」や「存在意義」といった複雑なテーマは、レト氏の持つ繊細かつ壮大なアーティストとしての感受性によって、深遠なキャラクターとして成立しています。

デザインとパフォーマンス
アレスの持つ革新的なコスチュームや、グリッド内で見せる一挙手一投足の様式美には、レト氏がビジュアル表現者として培ってきた美学が息づいているように感じました。

彼のアーティスト魂が、最新作の持つ哲学的な問いを、視覚的・感情的に深く掘り下げてくれたのです。

次の動画は、「主演ジャレッド・レトが語る制作の裏話」です。
自身も『トロン』が大好きだというレト氏が語る映画『トロン:アレス』の魅力を知ることができます。

映画『トロン:アレス』特別映像「主演ジャレッド・レトが語る制作の裏話」

ああ、それにしてもジャレッド・レト素敵すぎる!
きっと、彼が語った「夢は叶う(Dream It Possible)」って言葉が印象に残ったのは私だけではないはず・・・

映画トロン:アレス公式ホームページ:https://www.disney.co.jp/movie/tron-ares

劇場でご覧にならなかった方々には、本来であれば、この壮大な映像美と音響はIMAXという巨大なスクリーンで体験していただきたかったのが本音です。
私自身も、何度でもあの空間で観たい!!!と思っていて、既にIMAXでのリバイバル上映を望んでいます。
そしてできることなら3Dか4DXで観たい!(しかし吹き替え版となると観ない人です)

ですが、配信や媒体による鑑賞という形でも、人間(ユーザー)と、人間によって生み出されたプログラムやAIアレス)との間の創造と進化、そして感情をめぐる物語は、今まさに話題となっているAIについて考えさせられるホットなテーマですし、より多くの人がこの「グリッド(デジタル世界)」の世界観に触れられ、少しでも感動を共有できたら嬉しいです。


あなたは
自分の「存在意義」を
考えたことがありますか?

映画「落下の王国(The Fall)」デジタル4Kリマスター, 映画レビュー

念願成就!映画『落下の王国』4Kリマスター版を映画館にて!

〜およそ20年越し、大好きな映画を美しく蘇った映像で大画面で観る感動〜


数年前、大好きな映画『落下の王国(原題:The Fall)』について、ロケ地となった世界遺産とともに紹介する記事をしたためた私。

↑当時の記事については、リンク切れを起こしていた箇所など修正し更新しました

なんとこの映画が4Kデジタルリマスター版として蘇り、今年、日本全国の映画館で上映されると知った時はどれだけ心が躍ったことか。

映画落下の王国 4Kデジタルリマスター2025年11月21日(金)より全国公開。
しかも、”オリジナルの劇場公開版でカットされたシーンが新たに追加され、より濃密な没入体験を実現”された”完全版”とのこと。

映画落下の王国 4Kデジタルリマスター公式ホームページ:https://rakkanooukoku4k.jp/


長年のファンとして、この上映日をどれだけ待ち望んだことでしょう・・・

というわけで、その公開初日、ついに映画『落下の王国(The Fall)』の4Kデジタルリマスター版を映画館で鑑賞してきました。
仙台市在住の私が訪れた劇場はフォーラム仙台でしたが、平日の昼間にもかかわらず、劇場は満席。
(上映されている劇場一覧はこちら→https://theaterlist.jp/?dir=rakka4k
制作されてからおよそ20年(2026年制作、2028年日本公開)が経った今でも、この映画が持つ力の大きさを改めて感じ、胸が熱くなりました。

私自身、世界遺産やアート、そして映画をこよなく愛する者として、この作品は特別な意味を持っています。
なぜなら、これは単なるファンタジー映画ではなく、まさに「動く美術書」!!
そして「世界を巡る壮大な旅」!!だから。

映画『落下の王国 4Kデジタルリマスター』予告編


さて、ここから先は少しネタバレ的なことも述べていこうかと思いますので、まだ一度も映画『落下の王国(The Fall)』を観たことがなく、これから観るのだという方は、ご留意くださいね。



まず、『落下の王国(The Fall)』を語る上で欠かせないのは、その息をのむような映像美です。

ターセム・シンTarsem Singh監督は、インド、ナミビア、中国、イタリアなど、20カ国以上でロケを敢行されたとのこと。
4Kリマスターによって大スクリーンに映し出されたその光景は、もはや現実のものとは思えないほどの色彩と質感でした。

誰もが感動するのは、CGに頼らず、世界遺産を含む実在のロケ地を最大限に活かして創り上げられた映像の迫力です。

壮大な万里の長城や、タージ・マハルの前に建つ赤い砦。

砂漠(ナミビア)の絵画的な構図。

インドのジャンタル・マンタル(ジャイプル)の巨大な建造物が、物語の登場人物の背景として機能する瞬間。

一つ一つのショットが、まるで緻密に計算された絵画のようでもあり、劇場で鑑賞することは、世界の美術館を巡るような素敵な体験でした。
これまで小さな画面でしか観たことがなかった方も、ぜひこの機会に劇場の暗闇で、監督が追い求めた「本物の美」に触れ、私が味わったような感覚を得られたなら嬉しいです。

映画『落下の王国 4Kデジタルリマスター』チラシ(表)(画像クリックでPDF画面が開きます)

この映画が、私のような世界遺産好きの心を掴んで離さないのは、ファンタジーの物語が、地球上に実在する最も美しい場所の数々によって支えられている点ではないでしょうか。

病室で語られる物語は、病気の少女アレクサンドリアの無垢な視点と、語り手ロイの絶望や希望が混ざり合いながら進んでいきます。
そのストーリーテリングの中で、世界遺産世界各地の絶景は、単なる背景ではなく、物語の感情を表現する重要な役割を果たしています。

例えば、美しい砂漠(ナミビア ナミブ砂漠)や、青い街(インド ジョードプル)の風景は、旅のキャラクターたちが感じる孤独や、自由への渇望を象徴しているようにも感じられます。

そして、それは私たちが世界遺産に感じる「人類の残すべき遺産」という価値観と深く響き合うのです。

映画『落下の王国 4Kデジタルリマスター』チラシ(裏)(画像クリックでPDF画面が開きます)

最後に、タイトル『落下の王国(The Fall)』に隠された多層的な意味について考えてみたいと思います。

映画の原題である『The Fall』は、邦題として『落下の王国』とされました。
これには様々な解釈が込められているのだと感じます。
この言葉が指し示すものは、現実と物語の世界で、登場人物たちに起こる複数の「落ちる」または「落ち込む」という状態ではないでしょうか。

1. Royの現実:絶望への「転落」

主人公であるスタントマンのロイは、撮影中の事故により再起不能の怪我を負い、恋人にも裏切られ、精神的に深い絶望へと「落ち込んで」います。

物理的な落下として、彼がスタントマンとして経験した「落下」(事故)そのもの。

精神的な崩壊として、絶望から自死を考えるほど、人生のどん底へと「転落」した状態。

物語の終焉において、彼は物語の中で、キャラクターたちを次々と死(あるいは絶望)へと「落とす」ことで、自身の苦しみを表現しようとします。

2. Alexandriaの成長:無邪気な時代からの「脱却」

一方、少女アレクサンドリアは、純粋で無垢な視点を持っていますが、ロイの物語を聞くことで、死や裏切り、悲劇といった現実世界の暗い部分に直面していきます。

アレクサンドリア自身も、オレンジの収穫中に木から「落ちて」腕を骨折して入院しロイに出会った。

ロイを救おうとして病院内で再び「落下」して大怪我を負ってしまう。

わずか5歳の少女アレクサンドリアの無垢からの脱却
→人間が成長する過程で経験する、無邪気な世界から現実の世界へと「落ちていく」過程を象徴

3. 神話的な解釈:「失楽園」のテーマ

The Fall」という言葉は、キリスト教の神話において、アダムとイブがエデンの園を追放された「堕罪(Fall of Man)」を連想させます。

ロイが語る物語は、復讐と裏切りに満ちたダークファンタジーです。
これは、かつて美しい世界(楽園)があったにもかかわらず、人間が悪意や過ちによってそこから「失墜」した状態を描いていると考えられるのではないでしょうか。

映画『落下の王国 4Kデジタルリマスター』の初回限定パンフレットと鑑賞先着プレゼントの復刻版B5チラシ

落下の王国(The Fall)』という、絶望、成長、そして神話的な失墜を表現するタイトル。
こうして考えてみると、笑える部分も大いにある作品でありながら、結構なダークな部分を示唆し、私たちに改めて人生の問いかけをしてくれるような物語だなと感じました。
だからこそ、この映画は単なる映像美だけでなく、深い悲哀と、そこから立ち上がろうとする人間の強さという感動を、観る者に与えるのかもしれません。

長年のファンの方も、今回初めて観る方も、この4Kデジタルリマスター版により、きっと新たな感動と発見を得られると思います。
スクリーンに広がる夢のような世界で、あなた自身の「落下の王国」を見つけてくださいね。

映画落下の王国 4Kデジタルリマスター公式ホームページ:https://rakkanooukoku4k.jp/


映画『落下の王国(The Fall)』ロケ地となった世界遺産について知りたい方はこちら(映画「ザ・フォール 落下の王国」に見る世界遺産)をご覧くださいませ✨


あなたにとって
心に残るシーンは
どこですか?


現実を突きつけられたかのような衝撃作 映画『ハウス・オブ・ダイナマイト』

〜予告編にしてやられるも、深い作品〜


毎回映画を見る時は、ワクワク・ドキドキ感を楽しみたいので、なるべく予備知識は少ない状態で映画を観に行く私です。
今回も、予備知識はほぼゼロで映画『ハウス・オブ・ダイナマイト(原題:A House of Dynamite)』を観てきました。
というか、そもそも公式HPもあっさりしたもので。

映画『ハウス・オブ・ダイナマイト』公式ホームページ:https://www.cinemalineup2025.jp/ahouseofdynamitefilm/

意味ありげで緊迫感あふれる予告編を一度観たきりで「テロリストによる破壊工作を描いたサスペンスかな?」と勝手に思い込んでいたんです。

しかし、ストーリーが進むにつれて、私の予想は見事に裏切られたと気がつきました。

これは単なるテロとの戦いではない。
もっと深く、私たちの生きる世界そのものの危うさを描いている。

そんな作品でありながら、パンフレットは制作されていないこともあり、記録しておきたいと思いました。

映画『ハウス・オブ・ダイナマイト』予告編

この映画で印象深いのは、その「リアル」な描写です。
フィクションでありながら、画面で繰り広げられる政府、軍、専門家たちの混乱と決断のプロセスは、まるで本当に今、この瞬間、世界のどこかで起こっている危機を覗き見ているようでした。

予告編の言葉が示唆していたのは、特定の「敵」の存在ではなく、システム人間の本質が抱える恐ろしさだったのかもしれません。
ストーリーが進むにつれ、「テロ」という外側の脅威ではなく、極限状態での「人間」の選択や、現代社会が抱える構造的な問題に焦点が移っていくことに気づき、背筋が凍るような思いがしました。

「こんなことがあってほしくない」という願いと同時に、「これは本当に現実の隣にある話だ」と突きつけられる感覚。
映画館を出た後も、その重みがずっしりと心に残っています。

映画『ハウス・オブ・ダイナマイト』チラシ(表・裏)(画像クリックでPDF画面が開きます)

そして今回、パンフレットが制作されていないという点について、私なりに考えてみました。
映画好きにとって、パンフレットがないのは残念ではありますが、これはもしかすると、「思考を停止するな」という制作者からのメッセージではないかと感じたりもしています。

通常、パンフレットは映画の答え合わせや解説、情報の整理をしてくれるものですが、それがないことで、観客一人ひとりが「あのシーンの意味は?」「彼らの選択は正しかったのか?」と、頭の中で深く考え、他者と語り合うことを強要されている気がするのです。

この映画の「深い意味」は、提供された情報ではなく、私たちが個々で考え、感じることの中にこそある。
そう訴えかけられているような気がします。

これはエンターテイメントとして楽しめる緊迫感がある一方で、私たちが住む世界、そして平和というものが、いかに危ういバランスの上に成り立っているのかを、静かに、しかし強烈に訴えかけてきます。

映画『ハウス・オブ・ダイナマイト』公式ホームページ:https://www.cinemalineup2025.jp/ahouseofdynamitefilm/

さて、この映画では、最終的な結末は描かれませんでした。
単なるエンターテイメント的な映画を期待していた人にはモヤッとするかもしれません。
しかし、それは要するに、「想像しろ」ということだろうと思うので、私の考える結末はというと…

シカゴは壊滅、そして米国大統領はどうすべもなく(どこが起こした攻撃なのかわからないのに核爆弾なんて本当は落としたくないと思いつつも)報復として核爆弾を発射することを選択、そしてその報復行為は副補佐官が語っていた通り自殺行為となり、米国どころか全世界が滅ぶ道を辿ることになるのだろう。

というところです。
これを映画館を出た帰りの道中で考えていたら泣けてきてしまったのですが、だからこそ、予告編の言葉にあった通り、”我々(自分)を救えるのは我々(自分)だけである”ということを胸に刻み、故郷や大切な人に感謝し、人生に後悔のないように今を生きなければと、改めて思った次第です。

なお、映画『ハウス・オブ・ダイナマイト(原題:A House of Dynamite)』が、私が生まれた故郷閖上のある宮城県で上映されている映画館は、フォーラム仙台イオンシネマ名取イオンシネマ新利府イオンシネマ石巻です。
劇場での上映は2025年10月23日(木)までで、24日(金)からはNETFLIXで配信がスタートするとのことです。



あなたが
深く考えさせられた
映画はなんですか?

いろんな意味で新感覚!映画『ラスト・ブレス』

〜地球上で最も危険な仕事の一つとされる職業の驚くべき実話〜


やっぱり、映画って素晴らしい・・・!
映画を観るたびに、新しい感動、いわゆる”新感覚”というものを感じることができますが、先日またこれまでとは異なる、まさに新感覚を得た作品を観てきたので、記録しておこうと思います。

それは『ラスト・ブレス(原題:Last Breath)』。
(宮城県内ではフォーラム仙台のみでの上映。上映期間は2025年9月26日〜10月16日)

映画『ラスト・ブレス』チラシ(表)
映画『ラスト・ブレス』チラシ(裏)

チラシに記載の通り、”驚愕の実話に基づくサバイバル・スリラー”なる映画というわけで。
(チラシ画像をクリックでPDF画面が開き、拡大できます)

SF系の映画が好きな私。
このチラシを見た時点で、宇宙を舞台にした『ゼロ・グラビティ(原題:Gravity)』の深海版ぽいイメージ?!なるものを想像して、是非観てみたいと思った訳なのです。

映画『ゼロ・グラビティ』予告編

ゼロ・グラビティ』は完全フィクションと言えども、ごく一般人には未知の宇宙世界を知ることができる素晴らしい映画ですよね。
で、その深海版的な映画を観られるのかなーくらいの感覚でいたのですが・・・

映画『ラスト・ブレス』を観終わった後、全身の力が抜けるほどの緊張感と、深海の異様な世界観に心を奪われました。
今回は、この新感覚な作品の魅力を深掘りしていきます。

…と、だいぶネタバレ的なことを書いてしまうかもしれないのですが、その前に。

この作品を見る前に手にしたパンフレットと、チラシ代わりの団扇(うちわ)のアイディアについてをまずは面白いと感じたので、その件について触れておきます。

映画レビュー, ラスト・ブレス

パンフレットは、潜水艦の出入り口や窓のように、丸く切り抜いてデザインされたクリアファイルに収められていて。

映画『ラスト・ブレス』のパンフレット

そして、団扇はこの映画の公開日より前のかなり暑い時期に映画館に置かれてあったもので、「あ!うちわだ!助かる〜」という軽めな気持ちで手にしたものだったのですが、裏面には”涼感音響 イヤホン・ヘッドホンをつけて深海の世界をご体験ください”とのテキストとともにQRコードの記載が…

映画『ラスト・ブレス』のパンフレットと団扇状のチラシ(裏側)

QRコードのリンク先となっている動画はこちら↓です。

(イヤホン推奨の)映画『ラスト・ブレス』予告編

本当にこれ、イヤホンで聴きながらだと・・・!!

さて。
まずこの映画の冒頭時点で引き込まれた点があります。

それは、よく実話ベースの映画では「Based on a true story(実話に基づく)」という表現が使われますが、『ラスト・ブレス』はきっぱりと「This is a true story.(これは実話である)」と言い切ったところ。

実際には、俳優さんたちが演じる映画作品ですので、全てがリアルというわけではないにせよ、20分以上の無酸素状態にあった人が脳に損傷を負うこともなく生還できたという、一番信じられないところが、事実だという点を強調するためにあえてそのように表現したのかもしれません。

そして、この映画の次なる衝撃は、「飽和潜水士(Saturation diver)」という職業の存在を知ったことです。
彼らは深海の高い水圧下で作業するため、体内のガスを人工的にコントロールし、数週間を高圧の閉鎖空間(チャンバー)で過ごします。

その仕事の過酷さ、プロフェッショナルとしての誇り、そして何よりも危険と隣り合わせの日常が、息苦しいほどの緊迫感で描かれます。

海底で命綱一本
それが切れ、地上との通信が途絶えた時、潜水士に残されるのは、深海の底でたった一人、自らの知恵と経験、そしてわずかな酸素に全てをかけるという途方もない孤独…

そんな状態に置かれた人が、再び海に潜ることなんてできるのだろうか、と思いましたが、映画のエンディングでは、この物語の登場人物たちの実際の映像とともに、この事故の数日後に再び彼らは任務についたと締められ、ため息が出ました。

映画『ラスト・ブレス』公式ホームページ:https://lastbreath.jp/

それからやはり、映画を観ていて感じたのは、宇宙を舞台にした傑作サバイバル映画『ゼロ・グラビティ』を彷彿とさせる、究極の閉鎖環境でのサバイバルです。

ゼロ・グラビティ』が「真空、無重力、宇宙の闇」という極限の”上”の環境だとすれば、『ラスト・ブレス』はまさに「高圧、無呼吸、水の密室」という極限の”下”の環境とでも言えるでしょうか。

飽和潜水士」という職業は、世界的にも非常に特殊であり、日本国内全体では100人程度とも言われる、希少な存在なのだそうです。

日本においては特に、海上自衛隊などが高い技術を保有しており、知床沖や宮古島沖の事故など、深い海底での救助・捜索活動において、彼らの技術と勇気が欠かせないものとなっているのだとか。

私たちが知ることのない場所で、人々の安全や国の海洋インフラを支えているプロフェッショナルがいることに、改めて感動を覚えました。

あなたは
どんなことに新感覚を
感じますか?


チュニジア旅の予習 その2<ロケ地となった映画>

〜スターウォーズ以外にも!〜


前回は、今年(2025年)旅するチュニジアについて、アフリカでは世界遺産を比較的多く保有する国であるとのことで、その辺についてまとめてみました。


しかし!もしかしたら、それ以上に映画『スター・ウォーズ』の聖地であるということで知られているかもしれないんですよね。

ですが映画好きの私といえども、特に『スター・ウォーズ』ファンというわけではないので、そこに特別入れ込んでチュニジアに行きたい!と思ったわけではない…

とはいえ、もちろん『スター・ウォーズ』シリーズは観ていて(しかし多分コンプリートしていない。壮大すぎて…)、あの世界観が体現された場所とあれば興味を持つのは当然ですし、チュニジアはその独特な砂漠や遺跡の景観から、『スター・ウォーズ』以外にも数々の映画のロケ地として使われているとのことで、”映画ロケ地巡り”をテーマとした旅も面白そうじゃない?と思った次第です。


というわけで、本日は、チュニジアで撮影された映画について、いくつかロケ地を取り上げ、まとめてみようと思います。
(なお、各所を示す全体のマップは、後半に記載しています!)

やはり代表作品として、まずは『スター・ウォーズ』から。

チュニジアがロケ地!その1:スター・ウォーズの聖地

1)タタウィン(Tataouine)
 ルークの故郷”タトゥイーン”は、実在するこの街の名前から名付けられました。

2)マトマタ(Matmata)
 穴居住宅がルークの家として登場。
 現在は「ホテル・シディ・イドリス(Hotel Sidi Driss)」として宿泊も可能です。

3)トズール(Tozeur)
 サハラ砂漠のオアシス都市。映画のセットが現存していて、砂漠の奇岩「ラクダの首」や「オング・ジュメル」は、映画の異星の風景そのもの。
 エピソード1の砂漠やポッドレースの舞台があります。

4)ジェルバ島 アジム村(Djerba Ajim)
 「アジム村」はモス・アイズリー宇宙港の酒場シーンなどの撮影地となりました。

次の動画は重要なシーンのほとんどがチュニジアで撮影されたというエピソード4(1978公開)の予告編です。

映画『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』予告編

チュニジアにある各所は、『スター・ウォーズ』ファンなら、一生に一度は巡礼したい場所かもしれませんね。

チュニジアがロケ地!その2:インディ・ジョーンズと古代都市

インディ・ジョーンズ シリーズの第1作目である『レイダース/失われたアーク』(1981年公開)では、”カイロの市場”シーンがあるのですが、実際にはエジプトではなくチュニジアの聖地ケルアンの旧市街などで撮影されたのだそうです。

5)カイルアン(ケルアン Kairouan
 イスラム世界四大聖地のひとつとされる歴史都市で世界遺産にも登録されており、伝統的な旧市街や貯水池などの遺跡が残っています。
 『レイダース』では映画の背景として印象的に使われています。

6)スィディ・ブハリル峡谷(Sidi Bouhlel Canyon)
 先述したトズール近郊の峡谷で、『スター・ウォーズ』でも使われた名所(故に、GoogleマップではStar Wars Canyonとも記載されています)。
 『レイダース』では“砂漠の冒険地”として最終決戦のロケ地となりました。

スター・ウォーズではハン・ソロ役で出演していたハリソン・フォードが、インディ・ジョーンズでは主演を務める『レイダース/失われたアーク』の予告編動画はこちら。

映画『レイダース/失われたアーク』予告編

カイルアンは歴史的観光地としても有名なので、映画+歴史の両方を楽しめそうですね。
世界遺産映画好きな私としては是非とも訪れたい場所です!

チュニジアがロケ地!その3:イングリッシュ・ペイシェントのサハラ

アカデミー賞作品賞に輝いた『イングリッシュ・ペイシェント』(1996年公開)。
サハラ砂漠の壮大なシーンは、チュニジア南部で撮影されたことで有名です。

7)クサール・ギレン(Ksar Guilane)
 『イングリッシュ・ペイシェント』でキャラバンが進む場面や砂丘の美しい景色は『スター・ウォーズ』『レイダース』でもロケ地となったトズールの他、クサール・ギレンなどで撮影されています。

8)シェビカ村(Chebika Village)
 シェビカ村山岳オアシスとして、美しい谷とナツメヤシの林が広がる、映画そのままの風景が見られます。

山岳オアシス:山間の谷や斜面に水源があり、砂漠とは異なる緑豊かなオアシス環境を形成している地域

イングリッシュ・ペイシェント』の予告編動画でここにアップできるものでは、以下のように、画質が良いものが見つからなかったのですが、各種配信やDVDなどではちゃんと綺麗に見られますのでご安心ください。

映画『イングリッシュ・ペイシェント』予告編

(ちなみに、トリビュートとして、高画質でまとめられている方がいらして、予告編とはならずとも素敵な動画ならあります→https://www.youtube.com/watch?v=Tz52Gnh2soI&list=RDTz52Gnh2soI&start_radio=1

イングリッシュ・ペイシェント』では砂漠のシーンがとても印象的でした。
現地の砂漠ツアーに参加すれば、映画の登場人物になった気分になるかもですね(ちょっと怖い砂漠シーンだったけど…)。

チュニジアがロケ地!その4:モンティ・パイソンと地中海の要塞

私自身はチュニジアに行くということとなって知りまして、AmazonでDVDが安かったので思わず購入したという、日本ではあまり知られていなちょっとレアな作品です。

イギリスのコメディ映画『モンティ・パイソン ライフ・オブ・ブライアン』(1979年公開)は、チュニジアモナスティルスースで撮影されたとのことです。

8)モナスティルのリバト要塞(Ribat of Monastir)
 映画の背景として何度も登場しており、歴史的な雰囲気を醸し出しています。

9)スースの旧市街(Medina of Sousse)
 こちらも前回(https://calm-smile-chain.com/tunisia-world-heritage-sites/)述べた通り、世界遺産として登録されています。
 中世の街並みをそのまま残し、『ライフ・オブ・ブライアン』のロケーションに利用されています。

モンティ・パイソンはイギリスを代表するコメディグループで、彼らによる映画『ライフ・オブ・ブライアン』は、ここ日本ではレアでマニアックな作品とされていますが、コメディ映画としての評価は根強く、その風刺や皮肉、ブラックユーモアの強さから熱狂的なファンも多いみたいです。

というわけで、私は以下の動画を見て、気になってしまってDVDを購入しました。
Webサイト上には日本語訳のついてる動画はなかったのでこちらを記載してますが、日本版DVDなら字幕がありますのでご安心ください。

映画『モンティ・パイソン ライフ・オブ・ブライアン』予告編

この映画ではコメディの舞台ではありますが、モナスティルスースは、地中海沿岸の美しいリゾート地として観光客にも人気で、楽しめるとのことです。

そして今回もGoogle My Mapsを活用して地図を作成しました。
地図上でも、ここに書いた番号順、また色分けは映画ごとにしていますので、参考にしてみてください。

(地図上のアイコンをクリックすると説明が表れます。もしくは拡大地図を表示することで一覧として見ることができます。また、前回同様、マイマップシステム上、説明は英語入力してますが、ここに記載したことと同じことを述べてます)


最後に一応の記載ですが、映画『グラディエーター』もチュニジアで撮影されたとの噂もありますけれども、チュニジアの世界遺産であるエル・ジェム(El Jem)(世界遺産について述べた前回記事:https://calm-smile-chain.com/tunisia-world-heritage-sites/)が “ローマ時代の円形闘技場(アンフィテアトルム)” を持つことから、「グラディエーターの闘技場シーンと似ている」ためのようです。
ですが「グラディエーター」は実際にはモロッコで撮影されたようですよ。
(ネット検索したり、AIに聞くと事実ではない情報があることもありますので、注意しなきゃですね)

あなたなら
どんな映画の撮影地を
訪れたいですか?

〜 参考書籍(Amazonにリンク)〜

リバイバル映画『はじまりの歌』で感じる、音楽と人生の輝き

〜そしてあの歌声の正体にも驚き、感動〜


映画好き!と言いながらも、昨年は仕事でぐったりで、気がつけば、なんと一度も映画館へ行くことができませんでした。
しかし、昨年末に仕事を辞め、年明けには基本自由の身となり、今は、少なくとも週に1回以上は映画館へ足を運ぶことができてます(しかも人が少ない平日に行けるから尚のこと幸せ)♪
なので、本当は観てきた映画について全て記録しておきたい気持ちは山々なのですが、今年はこれまで諦めてきたあらゆる学び直しや、やりたかったこと、加えてしっかり自分を労ることに時間を使っているため、およそ半年間、無職ながらも、毎日が充実していてあっという間です。

そんな中でも、先日、フォーラム仙台でリバイバル上映されていた『はじまりの歌』(原題『Begin Again』)を観てきて、これが素敵な映画で、まさに心が震える体験となりまして。

映画『はじまりのうた』のチラシ
(画像をクリックするとPDF画面が開き、拡大できます)

この作品、日本では2015年に公開されて以来、音楽好きの間ではもちろん、多くの方々の心をつかんできた名作とされています。
しかしながら、私、恥ずかしながら今までこの映画を観ずにおりまして、今回10周年記念のリバイバル上映ということで、これは見逃せない!と劇場へ足を運んだのでした。

そして、なぜ今、再びこの映画がスクリーンにかかるのか、観終わった後にその理由がよーく分かった気がしたのです。

・・・大好きな音楽が、人生を変える・・・

音楽にこだわるジョン・カーニー(John Carney監督の作品ですし、これがこの映画のテーマなのだろうと思いますが、音楽に限らず、自分が好きなことをしてこそ幸せな人生を歩めるのだ、ということを体現している作品なのではないかと、私には感じられました。

ところで、映画館では、時々ノベルティーなるものをいただける時がありますが、今回、今ではほとんど見ることがなくなった生写真のような加工が施されたこちらのカードをいただけて、写真好きの私には嬉しいサプライズも。


カードの下部に印字されている英文は、この映画の主人公の一人であるダンが言ったセリフです。

That’s what I love about music.
One of the most banal scenes is suddenly invested with so much meaning, you know?
音楽の魔法だ。
陳腐でつまらない景色が美しく輝く真珠になる。

(直訳したら、「それが俺の音楽の好きなところ。ありきたりなシーンが、突然、こんなにも深い意味を持つようになるんだ。わかる?」てなところを、本映画の日本語字幕ではこのように素敵に翻訳されていました)

映画『はじまりのうた』(原題『Begin Again』)は、一言でまとめると、ニューヨークを舞台に、シンガーソングライターの主人公グレタ(キーラ・ナイトレイ(Keira Christina Knightley))と、落ち目の音楽プロデューサー、ダン(マーク・ラファロ(Mark Alan Ruffalo))が出会い、共に音楽を創り上げていく物語で、登場人物それぞれが抱える葛藤や、人生の転機が、音楽を通じて繊細に、そして力強く描かれていきます。

特に印象的だったのは、ニューヨークの街中でゲリラ的にレコーディングしていくシーン。
街の喧騒や自然の音さえも音楽の一部として取り込み、そこから生まれるサウンドは、まるで魔法のよう。
彼らが音楽に情熱を傾ける姿を見ていると、観ている私たちも「何か新しいことを始めてみようかな」「もっと自由に生きてみようかな」と、そっと背中を押されるような気持ちになります。

そして、音楽をテーマにしているので当然と言えばそうかもしれませんが、何と言っても、音楽が最高!
劇中で生まれる楽曲はどれも心に響き、観終わった後もずっと頭の中でリフレインしています。
私もすっかり魅了されてしまい、思わずサウンドトラックのCDを購入してしまいました(笑)。
ここ最近は音楽をゆったり聴くという時間もほとんどなかったし、あったとしてもストリーミングで聴くくらいだったのですが、この映画をきっかけに、改めてじっくりと音楽と向き合う時間を持てたことが、個人的にはとても嬉しかったです。

映画『はじまりのうた』のパンフレットとサウンドトラックCD

さて、私自身がこの映画で体験した「あの歌声の正体」にまつわる、驚きと感動の再発見についても、是非シェアさせていただきたいと思います。

まず、主人公グレタを演じたキーラ・ナイトレイ
正直なところ、私は彼女が歌を歌うイメージがほとんどありませんでした。
あの『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズでの凛とした演技が印象的だったので、まさかこんなにも心に響く歌声の持ち主だったとは・・・!

ご参考までに、『パイレーツ・オブ・カリビアン』序章の予告編動画をあげておきます。

パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち 予告編
凛として強く美しきキーラ・ナイトレイ(エリザベス・スワン役)をご覧あれ!


映画『はじまりのうた』で彼女が歌い上げる楽曲はどれもが素敵で、透き通るような歌声と、感情のこもった表現にすっかり引き込まれてしまいました。
「え、彼女ってこんな歌声だったの!?」と、良い意味で衝撃を受けたのです。
彼女にとって本格的に歌声を披露したのはこの映画が初めてだったとか。
女優としての才能はもちろんのこと、新たな一面を知ることができて、ますます彼女が好きになりました。
映画のサントラを聴けば、あの感動がいつでも蘇ってきます。

そしてもう一つ、映画を観ていて鳥肌が立ったのが、グレタの彼氏・デイヴ役の歌声です。
彼の歌うシーンで「あれ?この高音が成せる歌声、どこかで聴いたことがあるような…?でも、誰だっけ?」と感じて。

映画を観終わってパンフレットを開いてみたら…なんと!
デイヴ役を演じていたのは、あの世界的ロックバンドMaroon 5(マルーン5)のリードボーカル、アダム・レヴィーン(Adam Levine)だったのです!
これには驚きました。
以下の予告編動画には明記されていますが、私自身はこれを事前に見ておらず、彼が映画に出演していること自体知らなかったもので・・・
(チラシにもよくよく読めば書いてあるのですが、こちらも事前にはしっかり読まず。そして情報過多の現代ですが、あまり多くを知らずのまま映画を観に行くのも楽しみの一つだから。結果そうして良かったです😆)

はじまりのうた 予告編
先に記述したダンのThat’s what〜のセリフもこの動画内で聞くことができます☆


実のところ、私、この映画で使われている曲も収録されているマルーン5のアルバム『V』をリリース時(2014年)に購入していたんです。
しばらく聴いていなかったので忘れてしまっていましたが、彼の歌声に聞き覚えがあったのは当然のことでした。
映画を観て自宅へ帰ってから、持っているCDの中から探し出し、改めて『V』を聴き直してみると、映画で感じた彼の歌声の魅力がより深く、そして鮮明に胸に響いてきました。
点と点が線で繋がるような、不思議で感動的な体験でした。


これは、音楽が繋ぐ、新たな発見と喜びとでも言えるでしょうか。
キーラ・ナイトレイアダム・レヴィーン、二人の歌声が織りなす音楽は、この映画の大きな魅力の一つです。
彼らの歌声が、物語の感情を一層豊かにし、観る者の心に深く刻まれます。

私のように「今まで知らなかったけれど、観てみたらとんでもなく素晴らしい出会いがあった!」という方はきっと少なくないはずです。
今回のリバイバル上映は、まさにそんな音楽と人との新たな繋がりを再確認させてくれる、貴重な機会だと感じました。

もしこれから『はじまりの歌』をご覧になる方がいらっしゃったら、ぜひキーラ・ナイトレイアダム・レヴィーンの歌声にも注目してみてください。
あなただけの特別な「発見」があるかもしれません。

そして、
もし、あなたが「最近、何か感動する作品に出会っていないな」と感じているなら。
もし、「音楽の力って、すごいな」と改めて感じたいなら。
そして、「新しい一歩を踏み出す勇気がほしい」と思っているなら。

この『はじまりの歌』は、あなたの心に温かい光を灯してくれるでしょう。
音楽が持つ力、人との出会いがもたらす奇跡、そして人生の再生。
観終わった後には、前向きな気持ちになれるのではないでしょうか。

残念ながら、フォーラム仙台での上映は6月26日(木)までですが、機会があればぜひ、DVDや配信などでご覧になってみてください。

私もこの感動を胸に、これからも音楽のある生活そして自分を生きる人生を大切にしていきたいと思います。



あなたが考える
あなたを生きる人生とは
どんなものですか?

映画「ミッドナイト・イン・パリ」で巡る名所旧跡

名作映画で知るパリの名所 ーそれは世界遺産やアートの学び


アート好き、そして、SF映画(特にタイムトラベル系)が好きな私にとって、愛してやまない名作映画「ミッドナイト・イン・パリ(Midnight in Paris)」。

2回にわたってその概要と登場する偉大なアーティスト達についてレポートしてきましたが、念願だったフランスへの一人旅を目前に、最後は、主人公ギルが立ち寄った名所について、ほんの少しの雑学を交えつつ記述しておきたいと思います。

モネの家と庭園(Maison et jardins Claude Monet)

フランスのノルマンディー地方、パリから西へ70kmほどのジヴェルニー(Giverny)という小さな村にモネの家と庭園があります。
印象派の巨匠クロード・モネ(Claude Monet、1840-1926)はここで43歳から86歳で亡くなる時までを過ごし、大作「睡蓮(Les Nymphéas)」を生み出しました。
映画「ミッドナイト・イン・パリ」は、舞台のほとんどがフランスの首都パリですが、パリ郊外も一部登場します。
先のブログ(https://calm-smile-chain.com/midnight-in-paris/)で概要を記述した通り、映画はジャズ名曲「Si Tu Vois Ma Mère」に乗せて流れる現代の何気ないパリの日常の映像というオープニングで始まるのですが、曲の終了と同時に、物語はこの美しいモネの庭を舞台に幕を開けます。

エッフェル塔(Tour Eiffel)

パリといえばコレ、ですね。
行ったことがなくても、興味がなくても、知らない人はほとんどいないでしょう。
世界遺産「パリのセーヌ河岸(Paris, Banks of the Seine)」の構成資産の一つでもあります。
324mもの高さを誇るこの巨大で芸術的な鉄の塔が、パリの象徴として映画に幾度も現れます。

シャンゼリゼ通り(Champs-Élysées)

シャンゼリゼ通りもまた世界遺産「パリのセーヌ河岸」の構成資産の一つで、その名称は誰もが知るであろう有名な大通り。
エトワール凱旋門(Arc de triomphe de l’Étoile)からコンコルド広場(Place de la Concorde)まで全長約2.5kmに渡る緩やかな坂道の美しいマロニエ並木からなる通りで、老舗ブティックやレストラン、カフェなどで賑わっています。
なお、コンコルド広場は世界遺産「パリのセーヌ河岸」の構成資産であるものの、エトワール凱旋門は構成資産となっていません。
凱旋門”といえば、エトワール凱旋門からコンコルド広場を挟んで対極に位置するカルーゼル凱旋門(Arc de triomphe du Carrousel)が「パリのセーヌ河岸」の構成資産となっています。

ヴェルサイユ宮殿(Château de Versailles)

パリから約20km南西に位置するフランス北部のイル=ド=フランス地域圏(Île-de-France)のコミューン(基礎自治体)であるヴェルサイユにある壮麗な宮殿で、世界遺産「ヴェルサイユの宮殿と庭園(Palace and Park of Versailles)」として登録されています。
映画の前半で、主人公のギルとフィアンセのイネズ、そしてたまたまパリで会った友人夫婦が、4人で連れ立ってヴェルサイユ宮殿の庭園を歩くシーンがあり、その広大さと美しさを見て取ることができます。

ロダン美術館 (Musée Rodin)

その名の通り、かの有名な彫刻家オーギュスト・ロダン(Auguste Rodin、1840-1917)の作品を一堂に展示している美術館で、ロダンが1908年から亡くなる1917年までを過ごしたという館でもあります。
誰もが知る名作のブロンズ像「考える人(Le Penseur)」が置かれた庭園はバラの名所としても知られており、映画ではギルたちがその美しい庭園を散策するシーンなどが撮影されています。

サンテティエンヌ・デュ・モン教会(Église Saint-Étienne-du-Mont)

セーヌ川を背にパリ5区に位置する聖ジュヌヴィエーヴの丘(Montagne Sainte-Geneviève)に建つ、ゴシック様式とルネサンス様式の要素が組み合った教会。
特に美しい装飾が施されたファサードが印象的で、パリのランドマークであるとともに、静寂で神聖な雰囲気に包まれた内部は、訪れる人々に穏やかな安らぎをもたらします。
映画ではこの場所がギルがタイムスリップするための起点となっているのですが、聖ジュヌヴィエーヴパリの守護聖女だそうで、彼女の墓を収めたのがこの教会とのことで、なんだか優しく守ってくれそうな気配が、物語も映画の観客である私たちも幸せになれそうな予感がしますね。

ポリドール (Polidor)

1845年にオープンした歴史のあるレストランで、作家アーネスト・ヘミングウェイ(Ernest Hemingway、1899-1961)が通った店としても知られています。
映画の中では、ギルが過去にタイムスリップしてヘミングウェイと出会う場所で、ギルが現代に戻るとコインランドリーになってしまいます。
しかし実際(映画ではない私たちの現実世界)は、今も昔から変わらぬ所で、ヘミングウェイに愛された時と同様、19世紀半ばの世界を思わせる雰囲気のままに営業している人気のレストランで、フランスの家庭料理を味わうことができるのだそうですよ。

サン・トゥアンの蚤の市(Marché aux Puces de Saint-Ouen クリニャンクールの蚤の市)

100年以上の歴史を持つパリ最大級のアンティークマーケットで、掘り出し物の宝庫と言われ、世界各地からスタイリストやデザイナーなど、インテリアの業界人が大勢訪れています。
映画では、広大なマーケットの敷地を散策していたギルが、聴こえてきたコール・ポーター(Cole Porter、1891-1964)の音楽に魅かれて入った骨董品店で、物語の鍵の一人である女性ガブリエルと出会うことになります。

オランジュリー美術館 (Musée de l’Orangerie)

モネセザンヌルノワールマティスピカソモディリアーニなどの、印象派やポスト印象派の作品で知らる美術館。
「オランジュリー」とは、フランス語で「オレンジ畑」「オレンジ温室」の意味で、もともとはチュイルリー宮殿(かつてルーヴルの西側にあった宮殿で、その庭が現在は「チュイルリー公園(Jardin des Tuileries)」として人々の憩いの場となっている)のオレンジ温室だったことから名付けられました。
モネの名作「睡蓮」が所蔵されていることでも有名で別名として「モネ美術館」とも呼ばれています。
映画の中では、ギルとイネズその友人夫婦が一緒に、その大作が掲げられている大きな円形の展示室を訪れる場面が描かれています。
なお、ここも世界遺産「パリのセーヌ河岸」の構成資産です。

縁日博物館(Musée des Arts Forains

19世紀の当初はワインの貯蔵庫として使用されていましたが、その後、所有者のジャン=ポール・ファヴァン(Jean-Paul Favand)氏によってコレクションされたメリーゴーランドの乗り物やアーケードゲームなど、遊園地のオブジェを集めた私立博物館としてオープンしました。
映画ではギルが過去の時代へと3度目にタイムスリップする場所で、F・スコット・フィッツジェラルド(F. Scott Fitzgerald、1896-1940)が主催するパーティー会場として描かれていますが、今も見学可能で100年以上前の遊具を体験することができるという大人も遊んで楽しめる博物館です。

サクレ・クール寺院(Sacré-Cœur Basilica)

モンマルトルの丘の頂上に位置し、パリの美しい景色を一望することができるロマネスク様式とビサンチン様式が融合した白亜の美しい教会です。
映画では、この寺院の裏手の階段を、ギルが過去の世界で一目惚れしたアドリアナと語り合いながら降りるシーンがあります。

セーヌ川(La Seine)

フランスを代表する美しい川で、全長777キロメートルに及び首都パリを流れます。
セーヌ川の河岸のうち、シュリー橋(Pont de Sully)からイエナ橋(Pont d’Iéna)までのおよそ8kmほどが、すでに述べている通りの世界遺産「パリのセーヌ河岸(Paris, Banks of the Seine)」として登録対象とされています。
映画には何度も登場するのですが、パリの美しい街並みを反映する鏡のような存在であるこの河岸が、映画の終盤で夜にライトアップされて映し出された景色が特に幻想的です。

ラ・トゥルネル通り(Quai de la Tournelle)

セーヌ川の南岸に位置し、パリ5区と12区の境界に沿った通り。
映画ではこの河岸のブキニスト(セーヌ河岸に沿って屋台のスタイルで営業する古本屋)で、ギルがアドリアナが書いた日記を購入します。

ノートルダム寺院(Cathédrale Notre-Dame de Paris)

“パリ発祥の地”とも称されるシテ島(Île de la Cité)に建つゴシック様式の大聖堂で、その美しい建築や彫刻、ステンドグラスなどから美術史上でも重要な位置付けとされています。
世界遺産「パリのセーヌ河岸(Paris, Banks of the Seine)」の構成資産の一つでもありますが、2019年の4月に火災が発生し尖塔が焼け落ちた事件は記憶に新しく、今も修復が続けられています。
映画「ミッドナイト・イン・パリ」が制作されたのは2011年のこと。当時の姿を拝見してみたかったものです。

ジャン23世公園(Square Jean XXIII)

その名称は、教皇ヨハネ23世Jean XXIII)の名にちなんでつけられ、シテ島の上流部分、ノートルダム大聖堂裏手にある公園で、訪れる人々に癒しとくつろぎを与える空間です。
映画では、ギルがロダン美術館で出会ったガイドとこの公園のベンチで腰掛け、アドリアナがフランス語で書いた日記を英語へ翻訳して聞かせてもらいます。

デロール(Deyrolle)

1831年に創業し、昆虫や貝殻、あらゆる種類の動物の立派な標本や剥製が並ぶ専門店で、今も多くの人が訪れる場所。
映画では、1920年代のパリのこの場所でパーティが行われており、ギルがアドリアナと再会し連れ出します。

ムーラン・ルージュ(Moulin Rouge)

ムーラン・ルージュはフランス語で「赤い風車」という意味で、パリ北部のモンマルトルにある世界的に有名なカバレット劇場(キャバレー)です。
1889年に開業し、特にモダンなカンカンダンスのショーで知られ、見事なエンターテイメントで多くの人々を魅了してきました。
映画では、ギルがアドリアナと一緒に1920年代からさらにさかのぼってベル・エッポクの時代へとタイムスリップすることとなり、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(Henri de Toulouse-Lautrec、1864-1901)とここで出会います。

シェイクスピア・アンド・カンパニー書店(Shakespeare and Company)

1919年に創設され、パリにおける英米文学とモダニズム文学の殿堂として由緒ある書店。
映画にも登場したアーネスト・ヘミングウェイスコット・フィッツジェラルドガートルード・スタインマン・レイなどもこの書店で多くの時を過ごしたといいます。
映画の終盤で、主人公のギルがこの書店から出るシーンがあります。

アレクサンドル3世橋(Pont Alexandre III)

1900年のパリ万国博覧会に際して建設されたセーヌ川に架かる橋で、世界遺産「パリのセーヌ河岸(Paris, Banks of the Seine)」の構成資産の一つです。
映画のラストシーンで登場するのがこの橋で、ギルがとある女性と再会します。
雨が滴りキラキラと輝く情緒あるパリの風景、物語の流れにも思わず頷いてしまうシチュエーションで、ホッと和むエンディングに静かで穏やかな感動を覚えます。

ここまでざっと挙げてみましたが、正確には、映画「ミッドナイト・イン・パリ(Midnight in Paris)」ロケーションとなった場所は他にもあるんですよね・・・


そして、私にとっては初のフランスへの一人旅、念願のパリ滞在、といってもほんの短時間。
ここに挙げたどれだけを訪れることができるのか。

次は、自分で撮影する写真とともに、さらに楽しんでレポートしたいと思っています。

サラリーウーマンでありながら、自由とは言い切れないこのご時世に、ほんの数日とはいえ日本から海外へ旅に出られることに心から感謝して・・・
本当に、ありがとうございます。
行ってまいります。


あなたが愛する
パリのスポットは
どこですか?

映画「ミッドナイト・イン・パリ」に登場する偉大なアーティスト

名作映画で知る歴史に名を残した芸術家たち


前回は、大大大好きな映画「ミッドナイト・イン・パリMidnight in Paris)」について簡単にご紹介させていただきました。

この映画は、主人公であるハリウッドの売れっ子脚本家ギルが、2010年の夏、婚約者と訪れた憧れの街パリで、現代から黄金時代(ゴールデンエイジ)の1920年代へとタイムスリップし、当時のアーティスト達と夢のような時間を過ごして…という言わば大人のためのおとぎ話です。

尊敬する歴史上の偉大なアーティストに会えることができたら。。。

そんなことを夢見るのは、この映画の主人公ギルに限ったことではなく、私もそうですし、このブログを読んでくださっているあなたもそうかもしれませんね。


真夜中のパリ、午前0時を知らせる鐘の音とともに現れたクラシックカーに乗り込み、過去へとタイムスリップしてしまったギルでしたが、さまよいこんだのは芸術や文化が開花し、活気にあふれた1920年代のパリの社交場。
続々と登場する当時のアーティスト。
初めは困惑するも、脚本家から本格的な小説家への転身を願っていたギルにとって、敬愛してやまないアーティスト達との夢のような時間なわけで。
興奮しつつその幸せに素直に身を任せる彼の姿には共感できます。


さて、映画「ミッドナイト・イン・パリ」にはいかなる歴史的アーティストが登場するのか。
その人物達を登場順にご紹介します。
(なお、ポートレイトは全てWikipediaから転載させていただいています。写真をクリックするとWikipediaのページにリンクしますので、ご活用くださいませ)


コール・ポーター(Cole Porter、1891-1964)

アメリカの作曲家・作詞家で、1910年代後半から1920年代後半にかけてパリに在住していました。彼の曲は数多くのミュージカルや映画で使われ、ジャズのスタンダードとしても愛されています。
映画では、主人公ギルがタイムスリップしたばかりの場面で訪れたパーティー会場で、コール・ポーターがピアノを弾きながら名曲「Let’s Do it, Let’s Fall in Love」披露しています。

Cole Porter – Let’s Do It.(by renato reyes

ゼルダ・フィッツジェラルド(Zelda Fitzgerald、1900-1948)

アメリカアラバマ州生まれで、ハイスクールを卒業後、スコット・フィッツジェラルドと1920年に結婚。彼の作品に影響を与えたことで知られています。彼女自身も小説やエッセイを書いており、独自の創作活動を行い、自由奔放ながらも壮絶な人生を送りました。
映画では、ゼルダが困惑した表情のギルに「迷子みたいね」と声をかけます。英語で話しかけられたギルは同じアメリカ人かと安心し、自己紹介し作家であることを伝えたところで、夫のスコット・フィッツジェラルドに紹介されます。

F・スコット・フィッツジェラルド(F. Scott Fitzgerald、1896-1940)

アメリカ文学の象徴的な作家で、ゼルダと結婚した同年の1920年に処女長編「楽園のこちら側」が全米ベストセラーになったことや、1974年にロバート・レッドフォード主演、2013年にはレオナルド・ディカプリオが主演で映画化された「華麗なるギャツビー」などの作品で知られています。1924年から1930年まで、ゼルダと娘とともにフランスに移住しました。
映画では、過去にタイムスリップしてしまったことにまだ気がつけていないギルが、F・スコット・フィッツジェラルドから「このパーティーのホストはジャンコ・クトーだ」と聞き、「冗談がきつい」と返すのですが、フィッツジェラルド夫妻はギルがつまらながっていると勘違いし、他の場所へと連れ出します。


ちなみに、ジャン・コクトーJean Cocteau、1889-1963)は映画監督、劇作家、詩人、小説家、画家として、フランスの多才な芸術家でした。
この映画ではここで名前が出てくるのみですが、彼が20世紀の芸術界で偉大な存在であるがゆえ、ギルが冗談かと思うのも頷けます。

ジョセフィン・ベイカー(Josephine Baker、1906-1975)

アメリカ出身のダンサー、歌手、女優で、パリのミュージックホール「フォリー・ベルジュール」の看板スターとなり、フランスで人気を博した黒人アーティスト。
映画では、ギルがフィッツジェラルド夫妻らとともに訪れたバーで、ジョセフィン・ベイカーによるルンバ曲「La Conga Blicoti」のパフォーマンスを前に、初め驚きつつも次第に表情が和み、過去の時代に来てしまったということを徐々に受け入れていくさまが見て取れます。

Josephine Baker – La Conga Blicoti(by Roman Nep /Scene from “Midnight in Paris”)


アーネスト・ヘミングウェイ(Ernest Hemingway、1899-1961)

20世紀のアメリカ文学の巨星とも言われるほどの小説家で、1954年にノーベル文学賞を受賞しました。
1921年から1928年までパリに住み、文学的なサークルで多くの作家や芸術家と交流し、その体験が彼の創作に大きな影響を与えたとのことです。代表作としては「老人と海」「日はまた昇る」「武器よさらば」「誰がために鐘は鳴る」など。
映画では、ジョセフィン・ベイカーが歌い踊るバーを出た後、フィッツジェラルド夫妻はギルをレストラン「ポリドール」に連れて行き、ヘミングウェイに紹介します。ギルは彼に大ファンだと言い、自分の作品を評価してもらうことを熱望します。


ファン・ベルモンテ(Juan Belmonte、1892−1962)

スペイン生まれの闘牛士で、20世紀初頭のスペインで最も偉大な闘牛士の一人とされています。闘牛技術の革新者であり、伝統的な闘牛のスタイルを大きく変えたことで有名です。ヘミングウェイとは親友で、「日はまた昇る」に実名で登場しています。
映画では、フィッツジェラルド夫妻ヘミングウェイとパリで楽しむ様子が描かれていますが、実際はパリに住んでいたことはなかったようです(この映画のように、旅行など短期滞在していた可能性はあるかもですね!)。

ガートルード・スタイン(Gertrude Stein1874-1946)

アメリカの作家であり詩人で、パリの文学界に影響を与えた女性。パリでサロンを主宰し、多くの芸術家や作家と交流した、近代芸術の擁護者的存在でした。ヘミングウェイにも文章指導をしており「言葉の料理人」と言われた人物です。
映画では、ギルから小説の評価を頼まれたヘミングウェイが作家はライバル同士だからとガートルード・スタインを紹介します。

パブロ・ピカソ(Pablo Picasso、1881-1973)

スペイン出身の画家でフランスに定住しました。フランスの画家ジョルジュ・ブラックらとキュビスムを創始し、その後もシュルレアリスム、抽象表現主義など、さまざまな芸術運動に影響を与えました。代表作には「ゲルニカ」や「アヴィニョンの娘たち」「海辺を走る二人の女」があります。
映画では、ヘミングウェイがギルを連れて行ったガートルード・スタインのサロンで登場します。ギルは美術的な視点からもインスピレーションを受けることになります。

ジューナ・バーンズ(Djuna Barnes、1892-1982)

アメリカの作家で、モダニズム文学の一翼を担った女性。彼女の代表作「夜の森」の出版にあたっては詩人のT.S.エリオットが多大な尽力をしたといいます。
映画では、遊園地で開かれたパーティーでギルとジューナ・バーンズが一緒にダンスしている様子が描かれています。


サルバドール・ダリ(Salvador Dalí、1904-1989)

スペインのシュルレアリスムを代表する画家で映画制作者。常識を破壊し新しいアートを創造した芸術家で、「偏執狂的批判的方法(ダブルイメージ、二重影像)」という技法でだまし絵的幻想画を描きました。パリでの滞在では多彩なアーティスト達と活動を共にしています。
映画では、ギルが3度目に訪れた1920年代のパリのレストランで、サルバドール・ダリに声をかけられ、ダリの作品のモチーフの一つでもあるサイについてやたらと語られるのが笑えます。

ルイス・ブニュエル(Luis Buñuel、1900-1983)

スペイン出身の映画監督で、シュルレアリスム運動の一員として知られています。ダリと共同でパリで制作した映画「アンダルシアの犬(Un Chien Andalou)」で注目されるようになりました。
映画では、ダリとギルが話しているところににルイス・ブニュエルと写真家のマン・レイが連れ立って現れます。脚本家であるギルが彼らとの出会いを喜ぶのは当然ですね。

マン・レイ(Man Ray、1890-1976)

アメリカの写真家で、画家や彫刻家としても活動している、シュルレアリストを代表する芸術家。フランスを代表するダダイストであるマルセル・デュシャンに感化されパリに渡り、ニューヨーク・ダダとヨーロッパのダダを同時並行的に進めました。
映画では、サルバドール・ダリルイス・ブニュエルそしてマン・レイという奇抜なアーティスト達を前に思わずギルが「自分は未来から来た」と打ち明けるのですが、マン・レイは「理にかなっている。君は2つの世界の住人。何ら不思議はない。」と疑問を抱かずで、ギルは「あなたはシュルレアリストだから」と納得しつつ身の上を話します。

T.S.エリオット(T.S. Eliot、1888-1965)

アメリカ生まれのイギリスの詩人で、モダニズム運動の代表的な人物の一人。ハーバード大学進学後、パリに留学しました。詩集「荒地」などが有名で、詩の中で精緻な言葉遊びを展開し、1948年にノーベル文学賞を受賞しました。また、子供向けの詩集である「キャッツ – ポッサムおじさんの猫とつき合う法」はミュージカル「キャッツ」の原作となっています。
映画では、ギルが4度目の過去へのトリップを図った際に現れた車に搭乗していたのがT.S.エリオットで、ギルはそこでエリオットの処女詩集「プルーフロックその他の観察」は自分の経典だと本人に伝えます。


アンリ・マティス(Henri Matisse、1869-1954)

フランスの画家で、印象派とフォーヴィズムの要素を取り入れた画風で知られています。色彩感覚と抽象的なアプローチが際立っており「色彩の魔術師」と言われました。
映画では、ガートルード・スタインのサロンを再訪したギルが、マティスの新作をスタインが500フランで買い取ろうとしているところに遭遇。現在500フランはおよそ82,000円。それは普通に考えれば一般人にとって大金ですが、マティスの本物の作品を現代で買うには安すぎなのでギルは自分も欲しいと言い放ちます。


さてここまでが、1920年代の場面でギルが出会ったアーティスト達ですが、物語ではさらなる展開があり、時代をさらに遡り、ギルは1890年代のパリまで旅することになります。
そこで出会うのが以下のアーティスト。

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(Henri de Toulouse-Lautrec、1864-1901)

フランスの画家で、ポスターアートの先駆者として知られ、モンマルトルのナイトライフやキャバレーのシーンを描きました。
映画では、ギルが1920年代のパリで出会った美しい女性アドリアナとともに、さらに過去のベル・エポック(良き時代、美しき時代)と言われる1890年代へとトリップし、訪れたモンマルトルのダンスホール「ムーラン・ルージュ」で2人はロートレックに出会い、声をかけます。
ちなみに、アドリアナはこの映画のヒロインの一人で架空の人物です。

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックムーラン・ルージュの舞踏会Bal au Moulin Rouge 1890年)」

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ポスター「ムーラン・ルージュのラ・グリュMoulin Rouge – La Goulue 1891年)」

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックフィンセント・ファン・ゴッホVincent van Gogh 1887年)」

(引用元:Wikipedia


ポール・ゴーギャン(Paul Gauguin、1848-1903)

フランスの後期印象派で象徴主義の画家。南太平洋での滞在中に独自のスタイルを開発しました。彼の作品にはタヒチの風景やポリネシアの文化が描かれています。
映画では、ギルとアドリアナがロートレックと話している席にゴーギャンドガが共に現れます。ゴーギャンは、オートクチュールを職業にしているというアドリアナに、ドガの友人が新作バレエの衣装係を探していることを教えます。

ポール・ゴーギャンブルターニュの羊飼いLa bergère bretonne 1886年)」

ポール・ゴーギャン「タヒチの女(浜辺にて)(Femmes de Tahiti 1891年)」

ゴッホが描いた「ポール・ゴーギャン(赤いベレー帽の男)portrait of Paul Gauguin (Man in a Red Beret) 1888年)」

(引用元:Wikipedia

エドガー・ドガ(Edgar Degas、1834-1917)

フランスの印象派の画家で、特にバレエやダンサーをテーマにした作品で知られています。彼の描写は動きや瞬間を捉えたもので、美術史に重要な存在とされており、彫刻作品も秀逸です。
映画では、このベル・エポック期こそ黄金時代だと言うアドリアナに対し、ゴーギャンとともに「今よりルネサンス期こそが良い時代だ」と主張します。

エドガー・ドガ踊りの花形(エトワール、あるいは舞台の踊り子とも呼ばれる)(L’étoile de la danse (L’étoile ou danseuse sur scène) 1878年頃)」

エドガー・ドガ14歳の小さな踊り子(La Petite Danseuse de Quatorze Ans 1881年)」

エドガー・ドガオペラ座のオーケストラ(L’Orchestre de l’Opéra 1870年)」

(引用元:Wikipedia


以上が、映画「ミッドナイト・イン・パリ」で主人公のギル・ペンダーが出会ってきた歴史に名を残す偉大なアーティストたちです。

ここでは書ききれませんが、映画に登場したアーティスト達について、現実の世界でも実際に語られている姿が、本作内でも外見や言動からよく表現されていて、本当に面白い。
名優揃いの配役とはいえ、いかに俳優さんたちが努力をされたかということがうかがい知れます。
(是非このページに記載した実在したアーティスト達のポートレイトと、映画で演じる俳優さんたちの姿を見比べてみてください!!)


なお、この映画のDVDやチラシ等にはゴッホの名作「星月夜」が使われていますが、ゴッホは映画には登場しません。
パリを愛したアーティストとしてゴッホを外すわけにはいきませんよね。
しかしながら、フィンセント・ファン・ゴッホVincent van Goghがこの現実世界に生きたのは1853年から1890年で、「星月夜」が描かれたのは1889年、フランスのサン・レミ・ド・プロヴァンスにあるサン・ポール・ド・モゾル修道院病院で精神科治療を受けていたときのこと。
というわけで、この映画がフィクションであるものの、ギルが訪れた時代設定を考えるとゴッホ自身を登場させるのは難しかったからゆえと思いますが、名画だけでも登場させるというのが、また素敵です。

ゴッホ「星月夜」(引用元:Wikipedia


さて、ここまでだいぶネタバレ的なことを書いてしまいましたが、ウディ・アレンの脚本はさすがで、BGMは始終ゆったりしているものの、展開からは目を離せず、中身の濃いあっという間な鑑賞時間に充実感を覚えます。


というわけで、登場人物だけでまた長くなってしまいましたので、映画「ミッドナイト・イン・パリ」で主人公ギルが訪れたパリの名所については次回に。


あなたが尊敬する
歴史上の人物は
誰ですか?

アート好きにはたまらないラブコメ「ミッドナイト・イン・パリ」

2012年アカデミー賞&ゴールデン・グローブ賞 最優秀脚本賞W受賞の名作


本日取り上げますのは映画「ミッドナイト・イン・パリ(原題:Midnight in Paris)」。
映画界の巨匠ウディ・アレンが脚本と監督を務め、2011年に全編パリで撮影されました。
2012年のアカデミー賞ゴールデングローブ賞でどちらも最優秀脚本賞を受賞し、その他の数々の賞にもノミネートし受賞しています。

もう、私も大大大好きな映画です!
2012年に日本で公開された当初は映画館で観て、期待していた以上の面白さに感動し、DVDも即買いしました。

映画「ミッドナイト・イン・パリ」のパフレットとDVD


ブログを綴り始めた頃はこの映画について必ず書こうと思っていたのですが、大大大好きだと言いながらも、そのうちすっかり失念。
しかし、初めてのフランス旅を目前に、今こそ綴っておかなければと思い出しました。

ミッドナイト・イン・パリ」のDVDのジャケットおよびチラシのイメージを見て、アート好きならもちろん、そうでなくとも多くの人がアートに関わる映画なのかな?と察しがつくかと思います。

そう、このイメージに使われているのは、天才画家ゴッホによって描かれた名画「星月夜」。
アーティスティックな映画であることを予感できますよね。

映画「ミッドナイト・イン・パリ」のチラシ(表)
(画像をクリックするとPDF画面が開き、拡大できます)

映画「ミッドナイト・イン・パリ」のチラシ(裏)

更には、この映画のキャッチフレーズに

天才ウディ・アレンが真夜中のパリに魔法をかけた!
誰しもをめくるめくおとぎ話の世界へトリップさせる至福のロマンティック・コメディ

とあるように、ラブコメ要素あり、SFファンタジー要素もありで、見応え抜群です。

映画『ミッドナイト・イン・パリ』予告編(by 映画配給会社ロングライド


この映画の内容について私流に一文でまとめると、
あまたのアーティストたちが愛し、誰もが憧れてやまない魅惑の都市パリへ、お嬢様育ちの婚約者との婚前旅行にやってきた、ハリウッドの売れっ子脚本家から本格的な小説家への転身を夢見る主人公ギル・ペンダー(オーウェル・ウィルソン)が、パリの黄金時代へとタイムスリップし、当時のアーティストたちと出会い夢のような時間を過ごす中で、自分の内面に気がつき、言い換えれば、現実と向き合い本当の自分に戻り、そして最終的に自分にとって本当に必要な人に巡り会う物語、
という感じでしょうか。

私事ですが、この映画を観た前年は2011年、東日本大震災で私自身も大きなダメージを受けた年です。
震災後という点で初めて映画館で観たのがこの「ミッドナイト・イン・パリ」でした。

過去のブログにも書きましたが、私は震災のおかげで、命のありがたさを感じ、それまで忘れかけていたアートへの想いが復活したので、そのタイミングでこの素晴らしい映画を観ることができたのには因縁のようなものを感じましたし、映画館で映画を観ることができる幸せを噛みしめ、大好きなアートに関連する物語で楽しく現実逃避しつつも、命ある現実に感謝する気持ちになれたこの映画は私の宝物の一つです。

さて話がそれましたが、映画「ミッドナイト・イン・パリ」はオープニングがまた良いのです。
シドニー・ベシェのジャズ名曲「Si Tu Vois Ma Mère」をBGMに、現代の何気ないパリの日常の映像が映し出されます。
何気ないといっても、そこはパリ。
美しい名所の数々をおよそ3分の曲分いっぱい堪能することができます。

この部分では全く俳優さんたちは出てきませんし、なんの装飾もされていないパリの日常風景の記録動画という感じですので、何も知らないでこれだけを見ると、まさかロマンティック・コメディ映画の一部とは気がつかないかもしれません。
けど、そんなオープニングで始まる映画だからこそ、むしろこのシンプルさが、パリというそれだけで素晴らしい空間で、素敵な物語が展開されるのかもと胸が高鳴るのです。

なんと!その、映画「ミッドナイト・イン・パリ」のオープニングだけを切り取られた動画がYouTubeで観ることができますので、こちらも是非♪

Si Tu Vois Ma Mère – Midnight in Paris (2011)(by Alex Wang


ちなみに、このゆったりした曲を奏でるシドニー・ベシェ(Sidney Bechet、1897年5月14日 – 1959年5月14日)は、アメリカ・ルイジアナ州ニューオーリンズ出身のクラリネットおよびソプラノ・サックスのジャズ・ミュージシャンで、フランスへは1949年に移住したそうです。

曲名の「Si Tu Vois Ma Mère」はフランス語で、「もしもあなたが私の母を見たら」という意味で、1930年代にフランスの歌手Lucienne Delyleによって歌われ、その後も多くのアーティストによってカバーされてきました。

この曲が映画「ミッドナイト・イン・パリ」にピッタリなのも納得ですね。
他にも、古き良き時代の名曲によって心地よく物語が展開されます。

以上、ここまで簡単にまとめましたが、フランス・パリへの一人旅を控えている私なので、本当は、この映画に登場する歴史上のアーティストや舞台になった観光スポットも述べたかったのです。
しかしながら、それでは長くなってしまいそうですので、それらについてはまたの機会に投稿しようと思います。


あなたの好きな
アカデミー賞受賞作といえば
なんですか?

様々な想いが蘇る THE FIRST SLAM DUNK

自分の原点さえも思い出して涙


2023年も明けて、早1週間が経つところですが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか?
私は、年末年始の6連休はあっという間すぎましたが、それなりに充電もできたので、4日から始まった仕事は早速盛りだくさんなものの、集中して業務をこなすことができていて、良いスタートを切れているなと感じています。

昨年の最後は映画について投稿しましたが、気がつけば、かなり久々の映画関連投稿でした。
2022年の始まり当初の想像以上に、怒涛に過ぎた1年だったのだな、としみじみ。

エッセンシャルワーカーという地味な職種に就いている私のような者こそ、日々の生活にインスピレーションが与えられる機会が必要だとつくづく思うので、たかが映画されど映画。
2022年は映画に終わり、映画に始まった2023年ですが、大好きな映画のお蔭で自分と向き合うことができました。

さて、2023年一番初めに観た映画は何かというと「THE FIRST SLAM DUNK」です。

中・高・短大とバスケ部マネージャーだった私は丁度、漫画「スラムダンク」世代で、漫画本は24巻全部持っていたし、スラムダンク大好きだったからこそ当時TVで公開されていたアニメもリアルタイムで楽しんではいたのですが、あの頃の日本のアニメーション技術、バスケ試合の臨場感が出し切れない映像を思い出したりして、正直言うと、映画館行ってまで見ることないかなって思ってたんです。

が、同じくバスケ部出身でスラムダンク世代だった友人が、あの頃のアニメとは全然違うし、バスケに関わった人は観た方が良いって豪語するもので。
というわけで、年始休暇に早速行ってきたわけですが、結論、感動・・・良かった・・・


漫画スラムダンク読者なら知っての通り、湘北高校山王高校の試合が漫画の山場ですが、映画THE FIRST SLAM DUNKは、この試合を中心に展開されます。

試合の内容は漫画に忠実。
井上雄彦氏によって描かれた漫画が、現代のCG技術によって、リアルに動いて、見応え抜群。
ですが一方、漫画は桜木花道が主人公でしたが、今回の映画は宮城リョータが主人公で、宮城の生い立ちや想いにスポットがあてられます。これは漫画にはなかった部分。
新鮮さもあり懐かしさもありで楽しめ、映画終了後はしばらく余韻に浸っていたいくらい、感動しました。

泣けるストーリー仕立てになってはいるのですが、バスケットボール部だった人は山王戦だけで十分泣けるかもしれません。
私なんかは、ボールがゴールの網を抜けるシーンや、タイムアウト中に戦略ボードを使われている場面だけでジーンときてしまうくらい。
現実のバスケットボール部としての活動や試合にも、漫画に負けないくらいの感動ってありますよね。
私にも素晴らしい思い出がたくさんあるし、スラムダンクファンの皆さまにもそんな人がたくさんいらっしゃることと思います。

私自身は、中学時代に画家になりたいからと思って入った美術部を辞めてバスケ部に転部したのですが、それにはそれなりの理由があってのことでしたし、高校・短大ともバスケ部のマネージャーを選びました。
チームワークの素晴らしさを感じることができるバスケットボールという観るだけでも面白いスポーツに身を注ぐプレイヤー達を支える幸せ。
そこに私の原点があります。

バスケットボールに出会ったことで、画家への道を閉ざしてしまったけれど、人を支えることで得られる感動と喜びを知ることができ、今の私がある。また明日からも頑張ろう!

THE FIRST SLAM DUNK」を観たことで、様々なことを鮮明に思い出すと共に、今の自分がある理由も再認識し、新年のスタートというベストタイミングで、これからの人生への活力を得ることができました。

THE FIRST SLAM DUNK」のパンフレットと配布数限定の映画鑑賞特典。

最後に、今回の映画鑑賞特典について。
上記画像の右上が、安西先生のタプタプシールで、右下のコースターのようなものが、実はARを楽しめるビジュアルカード。裏面にAR画像用のQRコードが付いていまして。
安西先生シールはどう使えるかわからないけれど(笑)、ARを活用した特典は初めてで、ちょっと面白い。
新技術のARも楽しめた上に、可愛くて癒されました♪


あなたは
漫画「スラムダンク」を
ご存知ですか?