夢は叶えるもの ターシャ・テューダー 人生の軌跡展

“夢は叶えるもの”ターシャ・テューダー展 @仙台藤崎

〜ターシャが教えてくれる「人生を豊かにする方法」〜


11月26日(水)より仙台藤崎本館で開催されている「夢は叶えるもの ターシャ・テューダー 人生の軌跡展」に行ってきました。

ターシャ・テューダーの”夢は叶えるもの“という言葉は、何度聞いても胸に響きます。

彼女は他にも素敵な名言をたくさん残しています。
ターシャの言葉と生き方は、歳を重ねることを恐れず、自分らしく輝き続けたいと願う私にとって、まさに心の栄養です。



ターシャ・テューダーってどんな人?

彼女については、知る人ぞ知る魅力の深さを持った人ですが、「ターシャ・テューダー」という名前を初めて知る人もいるかもしれませんので、簡単に記述しますね。

ターシャ・テューダーTasha Tudorは、1915年8月28日にマサチューセッツ州ボストンで生まれ、57歳の時にバーモント州南部のマールボロという田舎に移り住み自給自足の生活を営みました。
思う存分庭造りや自分の愛する時間を楽しみ、その自宅で2008年6月18日に92歳で亡くなった女性です。

彼女は、アメリカを代表する絵本作家でありながら、同時に「究極のスローライフ」を実践したライフスタイルの先駆者です。

彼女が田舎に移り住んだのは1972年、今から50年程度前のことですから、現代ほどのIT技術はなかったものの既に開発されていた時代。
そんな中で、あえてアメリカ・バーモント州の山奥で、電気も水道もないような18世紀風の暮らしを送り、広大な庭で花や野菜を育て、動物たちと暮らしながら創作を続けました。
彼女の絵本に描かれる世界は、まさに彼女自身の生活そのものなのです。

今回の展覧会は、そんなターシャの約90年にも及ぶ人生を辿る、素敵な機会でした。

夢は叶えるもの ターシャ・テューダー 人生の軌跡展(会場:仙台藤崎本館)チラシ(画像クリックでPDF画面が開きます)
展覧会レポート 〜なぜ、この小さな展示に心を奪われたのか〜

大きな美術展ではありませんでしたが、ターシャの「心の充足」に満ちた世界を、じっくりと感じることができたように思います。

ー 絶筆の絵本原画から伝わる魂 ー

ターシャは92歳で亡くなるまで、生涯現役で絵を描き続けました。
展示されていた絶筆の原画には、年齢を感じさせない力強さと、創作への純粋な情熱が溢れていました。

実は、私自身、子供の頃は絵を描くのが好きであるとともに、画家だった祖父が大好きだったこともあり、自分も画家になりたいという夢を持っていました。
しかし、成長するとともにその想いは薄れ、気がつくとつまらないサラリーマンに・・・
(この辺のことは過去ブログにも記述してます)

そんな「画家になる夢を追わなかった」と虚しく立ち止まる私に、ターシャから、「形は変わったとしても、あなたの情熱が向かう先があるんじゃない?」と問いかけ、そして励まされているように感じたのです。

ー 暮らしの道具とアンティークドレス

展覧会では、彼女が日々の生活で愛用していたアンティークのドレスや、手作りの道具、食器などが数多く展示されていました。
どの品も丁寧に使い込まれ、愛着に満ちています。

私にとってこれらは、日本画家だった祖父の絵筆や、または美容師を生業とし裁縫なども堪能だった祖母のハサミから伝わる手仕事の温もりと同じ。
ターシャにとって、絵を描くことと、家事をすること、庭仕事はすべて、人生を創る手仕事として繋がっていたのだと感じました。

鑑賞アドバイス…? 〜平日だから良かったのかはわからないけど〜

私が行ったのは平日だったこともあるかと思のですが、会場は混雑しておらず、非常に静かでした。
男性の来場者は全く見当たらず、数人の女性のみ。

大きな企画展のような賑わいはありませんでしたが、それが逆に私にとっては、ターシャの穏やかな世界観に浸るには心地よくありがたい環境でした。

「混雑が苦手だけど、ターシャの世界をじっくり味わいたい」という方には、穴場と言えるかもしれません。
また、女性に限らず忙しい日々を送る男性の方にも、彼女の生きる哲学や美しい手仕事に触れると、何か気がつくことがあるかもしれないです。
ご興味があれば、この機会に是非。

ターシャの名言 〜夢を追う私やあなたへのエール〜

この展覧会で再認識したのは、彼女の言葉の強さです。
改めて、ターシャ・テューダーについてのこれまで読んだ本や映画などで知った言葉も含め、彼女の名言に励まされました。

特に、今の私に響いた名言を、英語原文とともに紹介させていただきますね。

「夢は叶えるものよ。語るものではないわ」
“Dreams are what you make them, not what you talk about.”

「今は、人生でいちばんいい時よ」
“Now is the best time.”

「人生は短いから、不幸になってる暇なんてないのよ」
“Life is short, no time to waste on unhappiness.”

年齢や環境を言い訳にせず、この瞬間を楽しみ、自ら喜びを創り出していく。
彼女はそうして、私たちに生き方という最高のアートを見せてくれたのだと思います。

今回の展覧会は、私にとって単なる美術鑑賞ではなく、人生の設計図を見直す時間となりました。

画家になる夢を追わないでしまったという過去を悔やむのではなく、ターシャの言葉を胸に、今、グラフィックデザイナーとして、私なりの「心の充足」を追求した作品を創り、夢を叶えていきます。

私の尊敬してやまない、画家だった祖父と美容師だった祖母のように、「手仕事」や「生き方」を大切にする人でありたい。
この展覧会は、私のそんなルーツと現在の夢を繋ぎ直してくれる、貴重な時間となりました。

「夢は叶えるもの ターシャ・テューダー 人生の軌跡展」日程など

さて、この「夢は叶えるもの ターシャ・テューダー 人生の軌跡展」、仙台での開催は12月9日(火)までと、残りわずかです!

場所:藤崎 本館7階 催事場 (仙台市青葉区一番町)

会期:2025年11月26日(水)〜 12月9日(火)

入場時間:10:00〜閉場時間の30分前まで
(金曜・土曜日は午後7時30分閉場、最終日は午後5時まで)

入場料:一般(大学生含む)当日券税込1,200円
※高校生以下無料
※「障がい者手帳」をお持ちの方は、本人様と同伴者1名に限り入場無料
※Fカード会員特典本人限り当日券を100円引き(会場受付にてFカード提示。オンライン会員は、スマホからマイページを提示)



ターシャの世界に触れるその他の方法

残念ながら展覧会に行けなかった方でも、ターシャの世界に触れる手段はあります。

彼女の晩年の暮らしを記録したドキュメンタリー映画『ターシャ・テューダー 静かな水の物語』(2017年公開)は、彼女の言葉と美しい四季が映像で描かれており、展覧会で感じた感動をより深くしてくれる内容です。

DVD/Blu-rayや、各種動画配信サービスでも視聴可能です。

映画『ターシャ・テューダー 静かな水の物語』予告編

「自分らしく生きたい」「夢への一歩を踏み出したい」と願うすべての人に、ターシャ・テューダーの世界は深く響くことと思います。

一度きりの人生、心豊かに生きていきましょうね。


あなたにとって
豊かな人生とは
どんな感じですか?


華麗なるフランスの世界遺産 ヴェルサイユ宮殿と庭園

〜黄金の時代を刻んだ、芸術の殿堂へ〜


ブルゴーニュでの3日間を経てからのパリ滞在もいよいよ3日目。
(前回までのパリ滞在記録はこちら↓)


翌日の朝には帰路に就くことになるので、実質フランスでの滞在最終日となる日です。
この日の目的地はヴェルサイユ宮殿(Palais de Versailles)ルーヴル美術館(Musée du Louvre)
そしてその移動経路として、エッフェル塔(La tour Eiffel)界隈を歩くことを決めていました。


1日でヴェルサイユルーヴル美術館とは少々無謀ではと思われるかもしれませんが、パリ滞在の最終日であると共に、ちょうどこの日は金曜日で、ルーヴル美術館の開館時間が21時45分まで延長される日だったため(2023年10月時点)、多少疲れるのも覚悟の上でそのような予定を組んだのです。

さてまずは、ホテルを出てヴェルサイユ宮殿へと直行します。
まだほの暗い朝8時、宿泊先ホテル最寄りの地下鉄へ。


宿泊先最寄りの地下鉄駅であるグラン・ブールヴァール(Grands Boulevards)駅から10分内の場所に位置する、複数の路線が乗り入れるアンヴァリッド(Invalides)駅にて下車。


同じくアンヴァリッド(Invalides)駅よりRER(エール・ウー・エール/高速郊外鉄道)C5線ヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュ(Versailles Château Rive Gauche)行きに乗り換えて30分強で、ヴェルサイユ宮殿の最寄駅であるヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュに到着します。


ちなみに、ヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュRERC5線の終点駅となるので、行き先さえ間違わずに乗れば、乗り過ごしてしまう心配がありません。

*フランス国鉄(SNCF) Transilien公式サイトによるRER C線の詳細→https://www.transilien.com/fr/page-lignes/ligne-c

なのですが、ここでもまた自分の思い込みによるプチハプニングがありました。
地下鉄からRERに乗り換えて向かう場合、地下鉄のみの駅でもヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュ行きの切符を選択することが可能なのですが、私はこの時、アンヴァリッド(Invalides)駅で地下鉄を降りたら、改めてRERの切符を買わなければならない、要するに、ヴェルサイユ行きの切符は地下鉄駅では買えないと思い込んでいました。
パリのメトロとRERの運行会社は異なるので、日本では例えば、JRから地下鉄に乗り換える場合には切符を地下鉄改札前で買い直さなければならないから、そのイメージでいたのです。

ところが、アンヴァリッド駅の改札内には切符販売機が見当たりません。
駅員さんに、「この切符ではヴェルサイユまでは行けませんよね?どうしたら良いですか?」と尋ねると、「あの階段を登った先の改札を出た所に自動券売機があるから、一旦改札を出てヴェルサイユ行きの切符を買って」と(英語で)教えてもらいました。


販売機の画面は地下鉄に乗る時と一緒で、(フランス語はわからないため英語画面に切り替えて)よくよく見たら「Ticket for Paris region(パリ地域(郊外)行きチケット)」という選択肢があり、そこをタッチして操作を進めることでヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュ行きの往復券を買うことができました。

せっかく地下鉄でRERC5線も通っているアンヴァリッド駅で乗り換えをすることにしていたのに、広いアンヴァリッド駅内でわざわざ一旦改札を出て改めてRERC5線ヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュ行きの切符を買うこととなり、オロオロしつつでまた無駄な時間がかかってしまいました・・・

それでも、なんとか無事にヴェルサイユへ到着。


なお、私は「パリミュージアムパス」を利用してヴェルサイユ宮殿を訪れることにしていたので切符の購入を選択しましたが、交通機関の乗り換えがスムーズにできるパスも数種類あるので、そちらを利用するのも一つです。

ヴェルサイユ宮殿の所在地はヴェルサイユであり、パリではありませんが、「パリミュージアムパス」が活用できます↓


さて、ヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュから徒歩でおよそ10分、並木道の先に宮殿の姿が見えてきました。


フランスに行ったら絶対に訪れたいと思っていた世界遺産「ヴェルサイユ宮殿と庭園(Palace and Park of Versailles/Palais et parc de Versailles)」を目の前に、ワクワク感が高まります。

宮殿前の広場にて、堂々と佇むのはルイ14世の騎馬像です。
到着したばかりの時はあいにくの曇り空で、イマイチの写真ですが、訪れる人々を最初に出迎え、宮殿の顔として、来訪者に強い印象を与えます。


ルイ14世(Louis XIV、1638-1715)はフランス絶対王政の頂点に君臨し、「太陽王(Sun King/le Roi Soleil)」と呼ばれました。
ヴェルサイユ宮殿(Palais de Versailles)を建設し、まさにたくさんの客人を招き入れ、フランス文化を世界に広めたのです。

ルイ14世の騎馬像の後方にある、入り口の1箇所目となる簡単なセキュリティを通過し、いよいよ宮殿の敷地内へ。


ヴェルサイユ宮殿は9時開館です。
私は10時の入館をネット予約しており(ヴェルサイユ宮殿は事前予約が必須)、9時30分頃到着しましたが、既にすごい人の群れ。

人の多さに圧倒されつつ、まず目が釘付けになったのは、宮殿を取り囲む黄金に輝く柵でした。


この黄金に輝く柵はヴェルサイユ宮殿正門で17世紀後半に建設されたものではなく、2008年に復元されたもの。
当初は純粋な金で作られていたけれど、フランス革命時に取り壊され、復元された門は本物の金に代わり、10万枚の金箔で装飾されているそうです。

復元製かつ純粋な金ではないとはいえ、ヴェルサイユ宮殿の華やかさと豪華さを象徴する存在となっていて、写真スポットとして記念撮影する人が絶えません。


で、私どもは、この黄金の門からは入場できません。
門に向かって左手がエントランスAで、右手側がエントランスBとなっています。


Aが一般入場門で、Bが団体入場門、というわけで、私はAに並びます。


長い列でしたが、割と時間通り入場することができました。
荷物検査などもあるセキュリティを通過し、遂に宮殿内へ。

まずは、黄金の柵の奥に広がっていた「王の中庭」へと足を踏み入れます。


私、写真を撮り損なってしまったのですが、下図の写真のずっと奥の床が大理石となっていて、ここは「大理石の内庭」とも呼ばれています(この写真の見えている部分は石畳です)。


次の写真で写っていない真下部分が大理石の敷き詰められた床となっています。
白と黒の幾何学的なデザインが素敵だったのですが、人が多すぎたこともあり、良いアングルが捉えられず撮影を諦めてしまったことを悔やみます・・・


建物の中へと進んでみると、意外とシンプルな装飾箇所もありました。
私には、こういう雰囲気の方が落ち着くような気がします。


こちらはシンプルと豪華さが融合した空間となっている「王室礼拝堂」です。


この礼拝堂内部には入れず、狭い戸口からしか拝観することができずだっため、私のような見学者がたくさんいるところを必死の思いで撮影しました。

お次もご覧いただいての通り、すごい人。
王の小居殿や内殿である「王の正殿」の中でも、最も見どころと言われる「ヘラクレスの間」です。


そこはまさに、王の権威と富を象徴する一室。
天井には、フランスの宮廷画家として活躍し、ロココ美術を代表する画家として知られるフランソワ・ルモワーヌ(François Lemoyne、1688-1737)による神話絵画「ヘラクレスの神格化(The Apotheosis of Hercules)」が描かれ、壁には、ティツィアーノやティントレットと並んで、ルネサンス後期のヴェネツィアを代表する画家として評価されるパオロ・ヴェロネーゼ(Paolo Veronese、1528-1588)作の「パリサイ人シモン家の晩餐(The Feast in the House of Simon the Pharisee)」が飾られています。

そしてやはり、いろんな意味で一番圧倒されたのが、ヴェルサイユ宮殿の最も有名な空間の一つである「鏡の間」です。


一面に鏡が張られ、太陽の光を反射して輝く唯一無二の回廊は、王の絶対的な権力を象徴しています。

ご多聞に洩れず、私もここを特に楽しみにしていた一人ですが、宮殿内一番の混雑場所で、大勢の人にも装飾の凄さにも大いに圧倒されたのでした。


それから、ドイツと連合国との戦争状態を終わらせて第一次世界大戦を終結に導いた重要な平和条約である「ヴェルサイユ条約」が、1919年6月28日にこの「鏡の間」で調印されたことは、日本人としても覚えておきたいことですね。

鏡の間」に続いて宮廷内の大きな回廊である「戦史の回廊」も、歴史や絵画好きには必見です。


人出は「鏡の間」に比べてだいぶ少なかったですが、「戦史の回廊」には、フランスの歴史的な出来事を描いた絵画がずらりと並び、勝利をテーマにした絵画や、英雄たちの胸像が飾られ、フランスの武勇を称える壮大な空間となっています。

宮殿の内部は、ここに挙げられないほどたくさんの見どころがあり、煌びやかな箇所に人が集まっている印象でしたが、個人的にはやはり静かな場所が好きでして・・・


探索していると、人っこ一人いないような場所にも稀に出くわすのですが、それはそれで、その美しさに感動する反面、ちょっと怖くも感じてしまうのでした。


さて、改めまして、世界遺産の名称は「ヴェルサイユ宮殿と庭園(Palace and Park of Versailles/Palais et parc de Versailles)」です。

しかしながら、通常無料であるヴェルサイユ宮殿の庭園は、訪れるタイミングによっては別料金となってしまうのです。
私はそれをつゆ知らず、私自身が訪れたのは「音楽の庭園」というイベントが開催される日だったため、10ユーロ程度(状況によって異なるようですが、私の場合€9.9)が別途必要でした。
残念ながらミュージアムパスも使うことはできないとのこと。
しかし、ここでケチるわけにはいきません。


レーンに並び(それほど混雑していませんでした)、支払いを済ませ、いざ庭園へ。


それは、やはり価値ある光景でした。

敷地の南側に、宮殿より低い位置にあり、緑のデザインが美しい「オランジュリーとスイス人の池」は、広大な庭園の中でも、私が最も惹かれた場所です。


ヴェルサイユ宮殿の「オランジュリー(オレンジなどの柑橘類のための温室)」は、地下に埋め込まれた特殊な構造になっているのですが、南向きで二重窓のおかげで冬でも5〜8℃と気温が安定しているのだそうです。


ここはまた、ブルゴーニュ観光の記録(2023 フランスブルゴーニュ 1日目 その2)でも触れた建築家のジュール・アルドゥアン=マンサール(Jules Hardouin-Mansart、1646-1708)が才能を発揮した場所の一つとされています。


マンサールルイ14世の首席建築家として、ヴェルサイユ宮殿の拡張計画の中心人物でした。
彼の貢献により、ヴェルサイユ宮殿は単なる王の居城から、フランスの絶対王政の象徴となる壮大な宮殿へと生まれ変わったとされています。
彼の洗練されたスタイルは、フランス後期のバロック建築に大きな影響を与え、その名声はヨーロッパ中に広まったということです。

一方、造園家としてヴェルサイユ宮殿の庭園全体の設計を任されたのは、フランス式庭園の様式を完成させたと言われるアンドレ・ル・ノートル(André Le Nôtre、1613-1700)です。
ル・ノートルは、パリの1日目の記録(パリの美術館巡り1 翌朝も再びセーヌ川へと向かって)でも記述した通りチュイルリー庭園(Jardin des Tuileries)も手がけた人物です。


次の写真は庭園の西側で、手前が「ラトナの泉水」で、奥に小さく見えるのが「アポロンの泉水」、さらに「大運河」が広がっています。


この日のイベントは「音楽の庭園」ということで、バロック音楽が流れる中で広大な庭園内を散策、というわけなのですが、オーケストラで生演奏しているわけでもなくスピーカーから流れ出ている音楽(大音響で広大な広場に流しているので音質が微妙)なので、音楽好きな私ですが、個人的には静かな中で散策したかったところ。


しかし、これらのイベント時には、普段は一般公開されていない樹木庭園に入ることができるとのことで、その点は良かったです。


とはいえ広い敷地内、一人で鬱蒼とした木立ちに入るには迷いそうだしちょっと怖かったので、あまり深くは入り込みませんでしたが・・・


それにしても、想像を絶する圧倒的スケールでした。
太陽王ルイ14世の野望がいかに凄いものだったかを目の当たりにしました。

芸術的と言えば聞こえは良いけれど、華麗すぎる絶対王政時代の宮廷世界。
貴族の贅沢が最終的に市民の反感を買うことになったのは致し方ないと思います。

でも、フランス革命(マリー・アントワネットを妻にしたルイ16世の時代に市民の怒りが爆発して起きた)の後、王政が崩壊して、一時的に荒廃したこのヴェルサイユ宮殿が、その後、国家の象徴として再建されて、こうして残されているのは素晴らしいことですね。

建築であれ、絵画や彫刻であれ、庭園であれ、芸術として価値あるものに触れ、そして我々の祖先が生きた時代の歴史を学ぶことは、教養を養うとともに心を豊かにしてくれます。


この広大かつ壮大なヴェルサイユ宮殿をくまなく巡るには、やはり一日でも足りないくらいですが、時間が限られている私、午後にはパリへと戻ります。


再びヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュ(Versailles Château Rive Gauche)へ。
先述しました通り、この駅はRER(エール・ウー・エール/高速郊外鉄道)C5線の終着駅なので、ここからパリへ戻るのは難しくありません。


往路と同様にアンヴァリッド(Invalides)駅にて下車します。
ただ、往路と異なり、ここで乗り換えはしません。


ここからの予定はエッフェル塔界隈の散策とルーブル美術館見学ですので、駅の外へと出ます。

約半日ぶりのパリ市内の地上。
いざ、エッフェル塔を目指して歩きます。




ヴェルサイユ宮殿
Château de Versailles

住所:Place d’Armes, 78000 Versailles, France
Webサイト:https://www.chateauversailles.fr/




あなたは
宮廷の世界について
どう考えますか?

パリの美術館巡り3 元駅舎のオルセー美術館

〜建築物の美しさにも酔いしれるパリ3大美術館の一つ〜


海外女一人旅、地元の仙台空港から出国し台湾経由でたどり着いたフランス、パリ美術館巡りの初日、印象派の巨匠クロード・モネの「睡蓮」シリーズが展示されていることで有名なオランジュリー美術館(Musée de l’Orangerie)の次に向かうのは、オルセー美術館(Musée d’Orsay)です。

セーヌ川の右岸に位置するオランジュリー美術館に対し、オルセー美術館はセーヌ川の左岸に位置します。
オランジュリー美術館の正面玄関前に広がるコンコルド広場(Place de la Concorde)から対岸へと架けられた、コンコルド橋(Pont de la Concorde)を渡って向かうこととしました。

コンコルド橋
Pont de la Concorde

住所:Pont de la Concorde, 75007 Paris, France


コンコルド橋から眺めるエッフェル塔も風情あり。


コンコルド橋を渡った先に幽玄と佇み、まるでギリシャ神殿を思わせる建物は、ブルボン宮殿(Assemblée nationale – Palais Bourbon)


ブルボン宮殿は、フランス国民議会(Assemblée nationale)の議事堂として使用されている歴史的な建物です。


1722年にルイ14世の孫娘であるルイーズ・フランソワーズ・ド・ブルボンによって建設され、フランス革命後、1795年にフランス政府に接収されて、1798年から国民議会の議事堂として使用されるようになりました。

ブルボン宮殿
Assemblée nationale – Palais Bourbon

住所:126 Rue de l’Université, 75007 Paris, France
Webサイト:https://www.assemblee-nationale.fr/


コンコルド橋を渡り、ブルボン宮殿に向かって左折した先に見えてくるのが、私にとってこの日2番目のメイン目的地であるオルセー美術館(Musée d’Orsay)


パリの3大美術館の一つとされているオルセー美術館は、建物自体がアートの一部です。
その素晴らしい建築物のシンボルである大時計が見えてきて、胸が高鳴ります。


オルセー美術館の建物が、元々1900年のパリ万博のために建てられた駅舎(旧オルセー駅/Gare du Quai d’Orsay)だったことは、この美術館を語る上では外せない重要な話。

かつての駅の時代に旅人に正確な時間を知らせるために機能していたこの時計塔は、現在では、美術館の歴史と現代の文化的役割を象徴しています。
クラシックなデザインは時代を超えた優美さを保ち、その存在はまるで、時間の流れとともに変化してきたオルセー美術館のストーリーを語っているかのよう。


と、建物の外観を眺めるだけでもうっとりし夢見心地な気分になりますが、一旦現実に戻って、入場を待つ人の列に並びます。

時間が限られている旅行で、パリの主要美術館を訪れるなら、チケットの事前購入は必須です。
時間が読めなかったことと、少し割高になるので入館時間の予約まではしていなかったのですが、ミュージアムパスを利用したことで、比較的すんなり入場できました。


今回の旅で重宝したパリミュージアムパスについてはこちら↓に記述しています。


さて、入館セキュリティーを通過し、さらに次の扉へと進みます。


扉を抜けて、目の前に広がる景色に圧倒されました。
まさに駅舎であったことを窺い知ることができるその風貌。


旧オルセー駅は、1900年5月に運行を開始しましたが、1939年に長距離列車の運行を停止しました。
これは、ホームの長さが新しく登場した列車の長大化には不足していたためなのだそう。
以降、オルセー駅は主にパリ近郊の列車用の駅として使用されましたが、次第にその役割も縮小し、駅としての機能を徐々に失っていきました。

その後、駅は様々な用途に利用されましたが、次第に放置されるようになり、1970年代には取り壊しの計画もあったとのこと。
しかし、歴史的建造物としての価値が見直され、最終的に美術館として生まれ変わることが決定されました。
そして、1986年にオルセー美術館として正式に開館したのです。

かつてのプラットフォームだったメインホールは、その広がりと空間の高さが際立ち、ガラス屋根からの自然光が内部に満ちています。
鉄骨のフレームやガラス張りの屋根が印象的な建物のデザインは、この時代特有のアール・ヌーヴォーの影響によるもの。
線路が敷かれていた場所が現在では彫刻ギャラリーとなり、その両脇のプラットフォームであった場所は絵画などの展示スペースとなっています。


このメインホールにも、駅の名残を思わせる大時計が輝いています。
建物の外壁の時計も内部にあるこちらの時計も、修繕や整備はされてきましたが、旧オルセー駅当時からのものなのだそうです。


素晴らしい装飾が施された時計に釘付けになる私の頭の中に「おーおーきなのっぽの古時計〜♪」の歌がよぎりました。
しかし、この歌詞にある100年休まず動いてきた古時計は最後には動かなくなってしまうわけですが、オルセー美術館のシンボルであるこれらの大時計はゆうに100年を超え、今もなお時を刻み続けているのです。

金色に輝く時計の圧倒的な存在感と美しさに見惚れつつ、嬉しいことも悲しいことも、いろいろ見てきたんだろうなぁ、と感慨にふけってしまいました。

この歴史的建造物として価値あるオルセー美術館の建物自体は6階建ですが、作品が展示されているスペースは地上階(0階)、中階(2階)、最上階(5階)の3フロアで構成されています。
建物の両端にはエスカレーターが設置されていて、好きな所どこからでも見て回れるようになっています。

私はまず最上階まで行ってから降りてゆく形で美術作品を見ることにしました。

エスカレーターを上り切った所の通路は静かなものだったのですが・・・


通路を出た先にあるカフェのなんと賑やかなこと!

最上階(5階)にあるカフェ カンパナ(Café Campana)は外壁に設置された大時計の場所に位置していることもあり、私が通りかかった時間がお昼時ということもあったのかも分かりませんが、とても人気のようです。


このカフェの先に続くのが、マネモネルノワールシスレースーラなどなどの、主に印象派の作品の展示。
相変わらず人は多い中ですが、素晴らしい作品の数々に感動のため息が出ます。


さぁ、このまま進んで辿り着いたこの建物の逆サイド。
こちら側にはカフェはなく、大時計だけを堪能できる素敵スポットがあります。

とはいえ、現代のSNS社会において、そこは要するにまさに”映える”場所。
ここはここで、人が絶えない・・・


それでも私もなんとか少しでも絵になる写真を撮りたい!

人のいない静かな情景を撮影することが願望でしたが、この状況では致し方なく、これで我慢。


人混みが苦手な私は、相変わらず増え続ける人の波に押され、中階(2階)へと移動しました。

さてこちらは、オルセー美術館の建築様式にも影響を与えたアール・ヌーヴォーをテーマとした展示室。


先ほどまでの状況から一転し、怖くなるほど人がいない静かな場所でしたが、おかげで素晴らしい展示品を静寂の中で堪能することができました。

と、私はここで喧騒に逃れたことは嬉しかったものの、反面、ここはこの美術館の歴史的な建築要素が見られる場所であるのにこの静けさ、やはりほとんどの人は流行りだとかSNSによる情報に流されやすいということなのだろうか・・・となんだか寂しくも感じたりした瞬間でもありました。

…が、そんなことを想いつつもこの中階(2階)のテラスに出れば、光がさんさんと降り注ぐ魅惑的な空間に、大勢の人々の姿に圧倒されつつも、厳かな情景に感動を覚えます。


パリ3大美術館の一つオルセー美術館は、その壮大な建築と豊富なコレクションにより、パリを訪れる芸術愛好家にとって必見のスポットであることに違いありません。

歴史と芸術が融合したこの素晴らしい空間で、19世紀から20世紀の美術の変遷を感じながら、優雅な時間を過ごすことができるものと思います。

オルセー美術館
Musée d’Orsay

住所:1Esplanade Valéry Giscard d’Estaing, 75007 Paris, France
Webサイト:https://www.musee-orsay.fr/fr


あなたは
建築物の役目の返還について
考えたことがありますか?

オランジュリー美術館(Orangerie Museum/Musée de l'Orangerie)

パリの美術館巡り2 オランジュリー美術館

〜元オレンジ温室で堪能するモネの大作『睡蓮』〜


アート好き女子一人旅で訪れた、初めてのパリ滞在での美術館巡りの初日は、オランジュリー美術館(Orangerie Museum/Musée de l’Orangerie)からスタートしました。


こちらがオランジュリー美術館の正面玄関です。
この角度から見た限りでは、中世のお城をイメージするかもしれませんが・・・


次の視点から見た感じ、お城にしてはちょっと地味な感じがしませんか?


オレンジはフランス語でオランジュ、そしてオランジュリーとはオレンジ畑オレンジ温室を意味するのですが、オランジュリー美術館はその名の通り、オレンジの木を保護するための温室だったのだそうです。


次の視点からだと、確かに温室っぽい!と感じていただけるのではないでしょうか?


19世紀にナポレオン3世によって造られた大きなオレンジ温室は、その後、資材置き場や試験会場、召集兵士宿舎などとして使われたり、スポーツや音楽、国家行事などの多目的施設としての経緯を経て、1921年に美術行政に割当てられ、政治家でクロード・モネの友人でもあったジュルジュ・クレマンソーの提案によってモネの作品『睡蓮』が収められることとなり、改修工事ののち、1927年オランジュリー美術館としてオープンしたとのこと。

更にその後、6年間にも及ぶ改修工事を経て2006年にリニューアル・オープンし、モダンな美術館へと変貌しました。


天井から自然光がさんさんと降り注ぐ楕円形の白い空間の2室は、いずれもモネの大作『睡蓮』のための展示室となっていて、これを見るために訪れる人が絶えません。
もちろん私も、この部屋に足を踏み入れることをずっと切望していました。


壁いっぱいに広がる幻想的な絵画によって得られる没入感。


そして、モネのタッチによるマチエールに魅了され。

素晴らしいアートにうっとりするこの感覚。
いつもブログを見てくださる皆さまに少しでも伝えられたらな、という思いで撮影してはいるのですが、私めなどの写真による画像では伝えきれないのがもどかしい・・・
アートは、やはり実物を体感するのが一番ですね。


ちょうど私が訪れた時は「Modigliani : un peintre et son marchand(モディリアーニ:画家とそのディーラー)」と題してモディリアーニ展が開催されていたのも嬉しいポイントでした。


オランジュリー美術館ではモディリアーニの作品は、下図の『ポール・ギヨームの肖像』など5点所蔵していますが、それ以外の絵画に加え素描や彫刻なども展示されており、見応えがありました。

オランジュリー美術館所蔵品:アメデオ・モディリアーニポール・ギヨームの肖像』(Amedeo ModiglianiPaul Guillaume.Nova Pilota

最後に、オランジュリー美術館の場所について、世界遺産情報と共に補足します。
前回の記事(https://calm-smile-chain.com/paris-museum-1/)にも記した通り、オランジュリー美術館ルーブル宮殿(Palais du Louvre)の敷地西側に広がるチュイルリー庭園(Jardin des Tuileries)の西端にあります。

オランジュリー美術館
Musée de l’Orangerie

住所:Jardin des Tuileries, 75001 Paris, France
Webサイト:https://www.musee-orangerie.fr/


そのすぐ西隣にある広場がコンコルド広場(Place de la Concorde)
こちらも世界遺産パリのセーヌ河岸(Paris, Banks of the Seine)」の構成資産の一つです。

フランス語でコンコルド(Concorde)協調共和という意味ですが、フランス革命時代(1789〜1799年)には「革命広場」と呼ばれたこの場所で、ルイ16世やマリー・アントワネットなど貴族や一般庶民たちがギロチン台で処刑されたという、暗い過去を持つ場所。
そんな陰惨な記憶を払拭するため、後にコンコルド広場との名称がついたのだそうです。

コンコルド広場の中心部には、1836年にエジプト政府からフランスへの親善の証として寄贈されたルクソール神殿(エジプトの世界遺産「古代都市テーベとその墓地遺跡」)のオベリスク(四角柱)が堂々とそびえ立っているのですが、この周辺は開催が迫っている2024年パリオリンピックの会場の一つとなるため、私が訪れた時にはその準備が進められていました。

中央に見える塔がルクソール神殿のオベリスク

厳かな歴史を持つこの場所が、なんだかゴタゴタした様子になりつつあるのが個人的にはちょっと残念な感じもしましたが、オリンピックで盛り上がるのも、世界人類共通の楽しみの一つですものね。
このために尽力してる方々がいるんだなと思うと、頭が下がります。

コンコルド広場
Place de la Concorde

住所:〒75008 Paris, France
Webサイト:https://parisjetaime.com/transport/place-de-la-concorde-p1981


そしてこの場所からだと、こちらもまた世界遺産パリのセーヌ河岸」の構成資産であるエッフェル塔もこのくらい見えて、改めて、パリにいるんだなぁー、と感慨深い気持ちになりました。


私にとって初めての貴重なパリ滞在。
このままここで感慨に浸っていたかったものの、残された時間はわずかなので、次の目的地であるオルセー美術館へと足早に向かいます。


あなたは
美術館における建築の歴史に
興味はありますか?


画家としての一面を持つフジコ・ヘミング

奇跡のピアニストが描く優しい絵画


前回、世界的ピアニストであるフジコ・ヘミング氏のコンサートについて記述したのですが、彼女の画家としての側面を持っていることについては、ファンなら知ることであれど、一般的にはあまり知られていないことのようですね。

そこで、今回は改めて、フジコ・ヘミングさんの画家としての一面についてを投稿しようと思います。

さてこちら、前回アップした写真ですが、ご存知ない方にはピンとこないようだったので、再掲します。


先月(2023年6月)仙台で開催された、フジコ・ヘミング ピアノソロ コンサートの会場で購入した物品ですが、これらCDやDVDの挿絵も含めイラストは全てフジコ・ヘミングさんによるものなのです。

フジコ・ヘミングさんのご両親は彼女が幼い頃に離婚していますが、ピアニストであった母親(日本人)と、画家で建築家だった父親(スウェーデン人)の元に生まれ、正に受け継がれた才能は類い稀なもの。
幼少期からピアノの技術を研鑽するとともに、絵を描くのが好きで、これまでたくさん描きためてこられ、それらの絵画作品がCDなどのジャケットにも使われているのです。
デザインや装丁もご本人のこだわりによることも多いそうです。

フジコ・ヘミング ピアノコンサートで購入した絵はがきのセット

絵本の挿絵も手がけられています。
素晴らしい作家さんとのコラボレーションによる作品は、子どもにはもちろん大人の心潤す逸品としても本当に素敵です。

フジコ・ヘミング氏の挿絵による絵本「ねことワルツを」と「青い玉」
フジコ・ヘミングさんの挿絵による絵本「ねことワルツを」と「青い玉」

ところで、描かれている絵には猫が多いことにお気づきでしょうか?
これもファンなら知ることですが、フジコ・ヘミングさんは大の猫好きで、たくさんの保護猫と暮らしています。
収入を得るのは、猫ちゃんたちのためでもあるそうです。
この2冊の絵本も猫との暮らしがテーマになっています。猫好きさんへのプレゼントとしても喜ばれそう。

ねことワルツを」(出版:福音館書店)の文を手がけるのは詩人石津ちひろさん。

韻を踏んだ軽快な表現の文章が楽しく、中には早口言葉のようなものもあり、子どもと一緒に楽しみながら読めることうけあいです。

このタイトルにもなっている「ねことワルツを」は、フジコさんの幼い頃の体験に基づいていて、お父さんと踊る別れのワルツを楽しくも儚い詩として綴られていて、グッときます。

青い玉」(出版:文化出版局)の文は沓沢小波(クツザワサナミ)さんによるもので、一人暮らしのおばあさんと一匹の猫の幻想的な物語です。

日英対訳版として発行されていて、海外の方にも読まれており、この収益金は、フジコさん沓沢さんのお二人によって、動物愛護団体に寄付されるそうです。


私、先日のコンサートでこの「青い玉」を購入して初めて知ったのですが、沓沢小波さんは、ここ宮城県ご出身の元幼稚園教諭でいらして、柴田町にて工芸家としてご活動されてきたそうです。

共に猫好きというご縁らしいですが、古布工芸家としてフジコ・ヘミングさんの舞台衣装も手がけてもいらっしゃるそうで、単なるいちファンながら、お二人の相性が良いであろうことは想像に難くなく、そのお二人による絵本が素敵なのも、頷けます。

それにしても、自分の地元である宮城県にこんな素晴らしい方がいらしたなんて。
知るのが遅かったのは悔やまれますが、同じ県内に住む誇れる方の存在を知り、とても嬉しく、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

それでは、最後にフジコ・ヘミングさんの公式HP及びYouTubeチャンネルより、心が安らぐ動画を。
飾らないフジコさんの短い語りと、素晴らしい演奏がギュッと詰まった価値ある5分間です。
曲はショパンの『エオリアンハープ』。猫にも癒されます。

2020年6月、コロナ禍の中、ご自宅からフジコ・ヘミングさんが送られたメッセージ

この動画は、東京のご自宅で撮影されたそうですが、パリにもお住まいがあるフジコさん。
そうそうたる画家やピアニストが過ごしたパリにご自身も住めるのがとても幸せなのだそうです。
そして今年、いよいよ私もようやくパリ・フランスへ旅ができます。
私の場合、滞在期間はほんの数日だけど、航空券は取得済み、コロナ禍があけたらまずはフランスへ行くんだという願いの現実も目前です。
パリのフジコさんのお気に入りの場所に行ってみたいな、など、もはや現実可能な想像をするだけでもハッピーです。
私の幸せ感度を上げてくれるアーティストの皆さんの存在に感謝します。




あなたが
優しさで満たされる
絵本はなんですか?


挿絵画家としての佐藤忠良

宮城県美術館で開催中の「生誕110年 傑作誕生・佐藤忠良」展も終盤につき


丸一ヶ月ぶりのブログ更新なので、まずは私事ですが近況報告。
2023年も明けたと思ったらもう3月後半に差し掛かりました。
2022年度も終盤を迎え、私が勤める保育園も卒園と入園(保育園は卒園式後も卒園児が通います)、新たな職員体制、そして法人における予算決めやら役員の入れ替わりなどで、とーってもバタバタしております。
現在の職につくまでは毎年必ず行っていた地元の東日本大震災追悼も、昨年同様、今年も仕事のため行けずで(涙)。
各SNSもログアウト状態にし、仕事に集中しておりました。
貴重な自分の時間はというと、我が家をリノベーション購入したことで確定申告して節税せねばと必要書類の収集やら申告手続きなどで時間を割かねばならず。

ブログ更新されてない、SNSログインもされてない、で、気にかけていただいた皆さま、ご心配おかけし申し訳ありませんでした。
ちゃんと生きてます。

さて、前回記録したのは、ここ宮城県の出身で、日本を代表する彫刻家の一人である佐藤忠良氏の展覧会についてでした。

後期展覧も行くと述べていたのですが、あっという間に終了日(2023年3月26日)近付いてきてしまい、行けるかどうかの瀬戸際に・・・
皆さまはもう行かれましたでしょうか?

本当は後期展覧には3月上旬には行こうと思っていて、そうしたら改めて記事にしようと思っていたのですが、未だ行けておりませんので取り急ぎ、インスグラムへのポストをアーカイブしておくとともに、佐藤忠良氏の絵本挿絵画家としての側面と、同氏が挿し絵された、知る人ぞ知るかもしれないおすすめ文庫をご紹介したいと思います。

佐藤忠良氏の彫刻作品は、アート好きでも特別そうでなくとも、宮城県民の方は何気に目にしてご存知と思うのですが、しかし、その彫刻家さんが、日本人ならほとんどの方が知る絵本の名作「おおきなかぶ」の挿絵をされていたということについては、まだまだ知らない方もいらっしゃるようなので、ここでしっかり言及しておきたいと思いました。

インスタへもポストした通り「おおきなかぶ 」の挿絵原画は、今回の特別展で公開されていますので、是非多くの方々に、素晴らしい佐藤忠良氏の彫刻作品とともに楽しんでいただけたらなと思います。

その想いを込めまして、次にポストしたのがこちら。

小さな町の風景」は、主に児童図書の出版を手がける「偕成社」による文庫で、佐藤忠良氏が挿絵されている一冊なのですが、今回の美術展では取り上げられていませんし、杉みきこ氏による美しい文章の一部は多くの方が知るであろうものの、この文庫本に佐藤忠良氏が挿絵されていることはあまり知られていないだろうと思い、インスタグラムへポストさせていただきました。

それでは最後に、杉みきこ氏による美しい文章の一部を振り返ってみましょう。

「小さな町の風景」ー 第1章「坂のある風景」より
『あの坂をのぼれば』

—あの坂をのぼれば、海が見える。
少年は、朝から歩いていた。草いきれがむっとたちこめる山道である。
顔も背すじも汗にまみれ、休まず歩く息づかいがあらい。

中略

—あの坂をのぼれば、海が見える。
のぼりきるまで、あと数歩。なかばかけだすようにして、少年はその頂に立つ。
しかし、見下ろすゆくては、またも波のように、くだってのぼって、そのさきの見えない、長い長い山道だった。

少年は、がくがくする足をふみしめて、もういちど気力を奮い起こす。

中略

—あの坂をのぼれば、海が見える。
少年はもういちど、力をこめてつぶやく。
しかし、そうでなくともよかった。
いまはたとえ、このあと三つの坂、四つの坂をこえることになろうとも、かならず海に行き着くことができる、行きついてみせる。
白い小さな羽根をてのひらにしっかりとくるんで、ゆっくりと坂をのぼってゆく少年の耳に —あるいは心の奥にか— かすかなしおざいのひびきが聞こえはじめていた。

「小さな町の風景」(偕成社出版/杉みき子著)p.18-21より


「おおきなかぶ」で内田莉莎子さんが表現された「うんとこしょ、どっこいしょ」のリズムの心地よさ同様に、反復される「あの坂をのぼれば、海が見える」の響き、記憶のある方は少なくないと思います。

私は、佐藤忠良さんを深掘りしている時に、杉みきこさんのこの文庫本の存在を知り、さらに懐かしくも美しい文章に触れ、喜びを感じました。
イメージをきっかけに素敵なテキストに出会うという感覚が私は好きです。
アートや文学を楽しむメソッドのひとつとしてもオススメです。


あなたは
絵本についての
記憶がありますか?

「生誕110年 傑作誕生・佐藤忠良」展

宮城県美術館にて待望の開催


先日訪れた今年初の宮城県美術館


待ちわびていた「生誕110年 傑作誕生・佐藤忠良」展が開催中です。
”待ちわびていた”ことにはいつもより特別な理由があります。
なぜなら、この特別展は、本来は昨年(2022年)の春に開催されるはずだったから。
昨年3月16日に起きた震度6強の福島県沖地震によって、宮城県での開催は延期となり、ようやく今年(2023年)2月4日(土)より開催されています。

それにしてもね。
昨年の秋に宮城県美術館で開催された「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」の混み具合とは打って変わっての静けさ・・・

アート好きとしては、人けのないギャラリーでゆったりじっくりと作品を見ることができるのは嬉しいことではあるのですが、日本を代表する彫刻家の一人であり、宮城県出身の誇れるアーティストの一人である佐藤忠良氏の特別展、宮城県民の皆さんには是非見て欲しいなぁとしみじみ思います。

宮城県美術館生誕110年 傑作誕生・佐藤忠良」展 チラシ(表)

例えば前述の激混みだった「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」の場合、その話題性に飛びついて見に行った人が多かったようで、”フェルメールと聞いて見に行ったけどよく知らない作家の作品が多くて微妙だった”という声も聞きました。
アートに深い興味がない方の意見かと思いますが、そんな人にこそ、現在開催中の「生誕110年 傑作誕生・佐藤忠良」展を是非見てみて欲しい!

(「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」はもちろん私も見に行ったし、実際大変興味深かったけれども、あまりの人気ぶりで、レアなものに価値を感じてしまう私は、これはブログには綴らなくてもいいかなという気持ちになり、記録せずでした。。。)

宮城県美術館生誕110年 傑作誕生・佐藤忠良」展 チラシ(裏)

佐藤忠良氏の彫刻作品は馴染みがあるからこそ、見れば見るほど彫刻の面白さを感じやすいのではないかと思うし、絵本挿絵画家としての佐藤忠良氏については有名なことだけど、意外と知らない人もいらっしゃるかと思うので、この機会に誰もが知る絵本の名作「おおきなかぶ」の原画の美しさに触れてほしい。

おおきなかぶ」と言えば、私は今回初めてそのレリーフを拝見し、感銘を受けました。
”レリーフ”とは浮き彫り細工のことで、絵本「おおきなかぶ」の名場面がブロンズ彫刻として制作されたもので、普段は佐川美術館に所蔵されている貴重な作品、大変見応えがありました。


特別展のチケットで、宮城県美術館併設の佐藤忠良記念館も観覧できるので、普段はそちらまで周らない方もこれを機にハシゴして、佐藤忠良の世界に浸るのはいかがでしょう。
記念館の方には動物の彫刻などもあり、親子で楽しめるギャラリーであることも知る人ぞ知るポイントだったりします。

また、美術館屋外にも佐藤忠良氏の作品はいくつかあるので、少しずつ春の訪れも感じる今日この頃、ゆっくりと散歩してみるのも良きです。
屋外だと、彫刻作品と、自然の光によって映し出される影とのコントラストを楽しむことができるのでオススメです♪

最後に、以下の写真は宮城県美術館の敷地内屋外で私もお気に入りな場所の一つ。
佐藤忠良氏と切磋琢磨の友であったと言われる舟越保武氏「りんごを持つ少年」が佇む一角です。


奥深い彫刻、美術の世界に浸る時間。
私にとっては、静かに心豊かになれるひととき。
混沌とした現世でも、生かしていただき、平和な時間を持つことができることに、深く、感謝します。


あなたは
カタチの面白さに
触れたことがありますか?


”版画を買って、お家に飾ろう!”展

晩翠画廊に東北にゆかりある版画作家さんが集結


2023年、私にとって今年最初の晩翠画廊


仙台晩翠通りにあるギャラリー「晩翠画廊」では、毎年様々な企画展がされていて、今年もすでに4件目ということですが、私がこちらで今年初めて拝見したのが、本日まで開催の「版画を買って、お家に飾ろう!」展。
ギリギリセーフで行くことができました。


版画を買って、お家に飾ろう!」展は、晩翠画廊さんで2020年から定期的に開催されている、仙台・東北にゆかりある版画作家さんによる作品展で、様々な作家さんによる作品を見ることができ、個展とはまた違った楽しさを感じられる展示会です。


私が大好きな岡沢幸さんの作品は、ギャラリー入り口を入ってすぐのところに。


総勢30名による素敵な作品がずらり。


版画と一口で言っても、技法も様々、作家さんの個性も様々で、見ていて楽しい。


MYOSAI明才)さんは、宮城県名取市のご出身、同郷にて、私にとって地元の誇りである存在のお一人。


あるがあくさんのご作品、写真ではその素敵さが伝えられないのが残念。


斎藤正和さんの幻想的な世界観、素敵。やはり皆様に実物を見てほしい・・・


個人的には、抽象的な表現に惹かれる今日この頃かな。


アートのある暮らし、やっぱり癒されます。


今回は見るだけにとどまりましたが、次回の「版画を買って、お家に飾ろう!」展より、ぜひ我がアートスペースにお迎えできるように準備しておきたいと思います♪


あなたは
どんなアート作品に
癒されますか?


古灯蝋燭店さんに癒されるひと時

それは独創的な感性と叙情漂う蝋燭


昨年(2022年)8月に、北仙台にある眞野屋さんで行われた「福ノヒカリキャンドルナイト」でのディナータイムを過ごさせていただいた際のこと。

レストランの隣に併設するGallery The attitudeにて開催されていた「福ノヒカリ」に展示されている全国各地から集まったキャンドルから好きな一品を持ってきて、テーブルの上で灯して食事を楽しみましょうという、素敵な企画でして、そこで私がファーストインプレッションで惹かれ、手に取ったのが古灯蝋燭店さんによるご作品でした。

大きめのまあるい形で、色は紫系のグラデーション、既に何度か灯されていたものだったので、蝋が溶けて自然にできた窪み、歪さがなんだか愛おしくて、選ばせていただいたものでした。


この時点では古灯蝋燭店さんのことは知らなかったのですが、「福ノヒカリ」主催者の草野和さんから仙台在住の作家さんですよと教えていただき、同じ仙台にいらっしゃる方ならお会いできる機会があるかな、是非あればいいな、他にも作品見てみたいなとその時思ったのでした。

そしてその願いが叶ったのが、先日のこと。
仙台五橋にあるギャラリー「little home」さんにて期間限定で展示販売されるとのことで、その初日(2023年1月14日)に行ってまいりました。

次はその翌日にインスタグラムに投稿したもの。
「いいね」わずかながらも、再生数はこれまであげた動画投稿の中でも既に2番目に多くなり、たくさんの方が見てくださったようで、アーティスト応援者冥利に尽きます。


上述した通り、古灯蝋燭店さんの作品をたくさん見ることができた上、ご本人ともお会いすることができ、充実の時間を持つことができました。

そして、私が購入させていただいたご作品。
私のインスタ投稿では暗がりの中でしたので、購入前に古灯蝋燭店さんが撮影し、ご本人によってポストされていた写真をこちらでシェアさせていただきます。
以下の1枚目の写真が、今回お迎えさせていただいたものの一つです。
色彩は海や緑、地球のようにも感じるけど、形は円盤型なので、火を灯すと月のように欠けてゆく。
とっても癒されるお品。

お母様のご実家が福島県で、小さな頃から会津名産である「絵ろうそく」に親しんできたこともあり、蝋燭が身近にあったという古灯蝋燭店さんは、学生時に蝋燭作りをするも、その後ごく一般的なサラリーマンとなり、しばらく蝋燭の世界からは離れたそうですが、2年ほど前から再び蝋燭を作り始め、今では人気の蝋燭職人さんになられました。

色や形というものに個性があるように、人間もそう。
そんな人それぞれに異なる素敵な個性、自分らしさみたいなものを感じてくれたらいいな。

そのようなことを想いながら蝋燭製作をされているそうです。

お人柄がとっても穏やかで、その優しさや想いが作品に表れていますが、一方で力強さと叙情的なものを感じるのは男性作家さんならではの感性でしょうか。
その独創性に惹かれます。

最後にもう一つ、インスタグラムのポストからシェア。
こちらは、この度のご縁で繋がることができた「SALTHOUSE 塩屋」さんのご投稿。
古灯蝋燭店さんの蝋燭がまるでアイスクリームのようで可愛い❤︎

世界各地の天然塩を販売する仙台のお塩専門店ですが、古灯蝋燭店さんのお品も常時取り扱われてる、とっても素敵なお店。
SALTHOUSE 塩屋さんについては、また後日、改めて記事にさせていただきたいと思っています。

蝋燭から繋がったお塩へのご縁。
まさに神秘のパワー繋がり。ご塩・・・笑

笑えそうなお話ですが、蝋燭にも塩にもパワーがあるのは本当のこと。
始まったばかりの2023年も、やりたいことも課題もたくさん。
癒しとパワーをくださる方々の存在が心強いです。
幸せなご縁をありがとうございます✧˙⁎⋆


あなたの
癒しは
何ですか?

草野和さんの蝋燭に癒される聖夜

それは癒されると共にイマジネーションを高めるひと時


2022年もクリスマスがやって来ました。
特別なことはしないけれど、今年は、アートスペースのある我が家1年目。
クリスマス装飾を楽しみました。

自分で作ったクリスマスリース。
叔母が送ってくれたバラの花。
そして、是非ここに迎えたいと思っていた、草野和くさのなごみ)さんの蝋燭作品。
シンプルながらもクリスマスを感じられる空間ができました。


今年ご縁に恵まれた、キャンドルアーティストの草野和さんに関しての記事は以下の通り。

キャンドルアーティスト草野なごみさんの爽やかジェルキャンドル/初参加した眞野屋カルチャルライフ by Gallery The attitude
幸せの 福ノヒカリ キャンドルナイト/キャンドルナイトディナー by 眞野屋×福ノヒカリプロジェクト

先ほどの写真のテーブル上の蝋燭は、すべてさんによるものです。
クローズアップした画像は、インスタグラムポストにて。


その後、この美しい蝋燭たちに炎を灯した様子を動画でも投稿しまして、今回もさんがリポスト してくださいましたので、そちらを更にここでシェアさせていただきます。


お蔭さまで、またまた沢山の方が見てくださって、その素敵さを感じていただけたみたいで、嬉しいです。

さて、次の画像は、さんのアトリエ「なごみの森工房」パンフレットの一部です。
この他、キャンドルの扱い方や、講座の案内なども記載されているので、ご興味が湧いた方は是非いただいてご覧になってみてはと思います。

最後に、このパンフレットにも記載されているさんのメッセージを以下に。

〜心にアカリを灯すキャンドル〜
まるで星のまたたきのようなリズムでゆらぐキャンドルの炎は、不思議と癒しの効果があります。キャンドルには、自然と心豊かに、やさしい気持ちにさせてくれる力があります。不安な夜を、優しさに包まれる夜に変えてくれる、そんなキャンドルのマジックに出会ってほしい。それが私の願いです。


さんの想いに共感。
クリスマスにぴったりのキャンドルですが、いつでもいつまでも、眺めていたいし、癒されたい。
クリスマスや特別な時に限らず、日々の生活で積極的に取り入れていきたいです。
さんによるキャンドルワークショップも、是非また参加させていただいて。
いずれは、我がアートスペースでも開催していただいて。
この幸せを広げてゆきたいな。

そんなことを考えていると、幸福ホルモンが湧いてくるのを感じます。
相変わらずスローペースですが、イマジネーションを高めつつ、実現に向かっていこうと思います。


あなたは
どんなクリスマスを
過ごしましたか?