臨床美術で楽しむマチエール

誰にでも表現できるアートな絵肌


緊急事態宣言も発令中で外出も気軽にできない中、日頃の疲れも少したまり気味の週末・・・
だけれども。こんな時こそ取り組みたい、臨床美術

臨床美術
(画像クリックで拡大)

(私にとってライフワークの一つである「臨床美術」については、当サイトのカテゴリー「臨床美術 Clinical Art」に記事をまとめていますので、ご興味のある方はこちらをご参照くださいませ)

今日は、臨床美術プログラムの中でもとってもシンプルなアート制作をやってみることにしました。

プログラム名は「色面とマチエール」。
使う画材など、準備するものも少なくて、気軽に取り組むことができるアートプログラムです。

ちなみに、マチエールとは、先日のブログでもちょっと書きましたとおり、美術用語としては、作品の素材感を指すために使われます。

情動感じる造形 香月泰男のマチエール/生誕110年 香月泰男展 @宮城県美術館

下準備として4辺をマスキングした用紙に、オイルパステルの中から好きな色をまず1色選んで、一面を塗っていきます。
私は、なんとなく爽やかな気分になりたかったので、ペイルグリーンを選びました。

予め折って短くしたオイルパステルを寝かせて持って、強弱かけて塗っていき、時々指やティッシュでこすったりして、たった一色でも、濃淡や明暗といったコントラストのある、様々な表情を作ることを楽しみます。

次に、他に組み合わせてみたい色を選んでみます。
オイルパステルを寝かせて、立てて、塗り込んでいくと、ところどころで感触が違うのがわかります。

ここにパウダーをかけてなじませて、パステルを全面に定着させます。

そしてさらに重ねてみたい色を選んで塗りこんでいき、またパウダーをかけてなじませ、同様に色を選んで塗りこんでいくという作業を繰り返します。

最後に、マスキングテープをはがして・・・


自分では全く予想していなかった色彩と、ボコボコとした絵肌が面白い、深みのある立派なアート作品が出来上がります。

そうだなー、これにタイトルつけるとしたら、グリーンアイライド(緑の島)? それともフォレストエアー(森の空気)とか・・・?
などと考えてみたりして。

そして、ボコボコ感や、パウダーでツヤも出て、この触った感触の気持ちいいこと。
これを画像だけでは十分にお伝えできないのがもどかしいです。
というわけで、動画だとどうかなあ?と思って撮ってみたのですが・・・

私の撮り方が上手じゃないせいもあり、イマイチですね(苦笑)
やっぱり、実際に体験いただくに限ります。
(ご興味のある方は、当サイトのコンタクトよりご連絡くださいませ)

何かに触れた感触を楽しむって、人間の特権ですよね。
実は、この臨床美術プログラム「色面とマチエール」は子ども向けに作られました。
幼児期において、物の感触を確かめて指先の感覚を養うことや、目にしたものについて、その感触がどんなものか想像を膨らましたりすることで思考力を高める効果があるとも言われています。
でも、物の感触を感じたり、想像したりして感性を高めることができるのは、もちろん子どもに限ったことではありません。
当たり前のことさえも十分に感じたり、ふとしたことに感動できなくなってしまうストレス社会の現代では、大人こそが感性を高めることができる機会を持つことが大切なように思います。

さて、できた作品はというと、マスキングテープによって綺麗に枠ができているため、額装せずそのまま飾っても絵になります。


額装してみるとこんな感じ(百均で購入した額縁)。
マチエールを感じたい作品なので、あえてカバーで覆わないようにするのが良いですね。

自分が生み出した絵肌(マチエール)に、なんだか現代アートの抽象表現主義者にでもなった気分です。

何を描くでもなく、ただただ色を重ねることや感触を楽しむ。
そこには何の悩みもなくて、シンプルな色遊びなのに、自己肯定感も高められる気がします。

幸福ホルモンも分泌されて、幸せって自分で作ることができるんだなって感じます。
おだやかで豊かなひとときに、今日もありがとう。


あなたは
どんな感触が
お好きですか?



情動感じる造形 香月泰男のマチエール

生誕110年 香月泰男展 @宮城県美術館


前回(2021年8月15日)投稿した「るーぷる仙台で2大ミュージアムを巡る!まずは『古代エジプト展』」に続き、仙台市博物館の次に訪れた宮城県美術館で開催中の特別展についてを、本日は紹介させていただきます。

その日、仙台の観光バスるーぷる仙台にて巡ったのは、「ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展」が開催されている仙台市博物館、そして「生誕110年 香月泰男展」が開催中の宮城県美術館です。

るーぷる仙台宮城県美術館を訪れる際に降車する停留所は「国際センター駅・宮城県美術館前」。
ここから歩いて2分ほどで宮城県美術館に到着します。

しかしながら、再び、ここ宮城も独自の緊急事態宣言が発令されました。期間は8月20日(金)より9月12日(日)まで。
「混雑した場所への外出半減、不要不急の外出を自粛するように」とのことで、飲食店や施設等の時短要請などは出ていますが、るーぷる仙台は運行を停止しておらず、展覧会も中止はされていません。

今回私が訪れたのは平日で宣言前でしたが、仙台市博物館は、平日にもかかわらず、多くの人が訪れていました。
「エジプト展」というテーマ、夏休みということもありお子さん連れが多く、土日祝日なら完全に密な状態になるかもしれないと想像します。
宣言が出された今は、入場はある程度制限されているかもしれません。

さてしかし、私が博物館を訪れた日と同日、宮城県美術館の方はといえば、とっても静かでした・・・

夏は緑が生い茂り、空気がみずみずしく感じて、お天気の日は美術館付近を散歩するのもとても気持ちが良いのですが・・・

話題の展覧会が開催されると、宮城県美術館のカフェはいつも人がいるのですが、この日は人けもなく・・・

私にとっては絶対に見たいと思っていた特別展だったので、ゆったりじっくり観覧することができそうだと、嬉しくはあるのですけれども。

2021年7月3日(土)から9月5日(日)まで、宮城県美術館で開催されいるのは生誕110年 香月泰男展」です。
この静けさ、香月泰男(かづきやすお)の名を知る人は多くはないということなのかもしれませんね。

香月泰男(かづきやすお)は、1911年10月25日、山口県大津郡三隅村(現在の山口県長門市三隅)に生まれ、62歳でその故郷において生涯を閉じるまで、独自の創作活動を貫き、20世紀中頃の美術界に大きな足跡を残した画家です。
今年、生誕110年を記念して、ここ仙台を皮切りに、大規模な巡回展が始まりました。
(宮城県での本展覧終了後は、神奈川県立近代美術館新潟市美術館練馬区立美術館足利市立美術館と巡回する予定とのことです)

香月泰男は幼少の頃から紙さえあれば何かを描き、無口でおとなしく、友だちと遊ぶよりひとりで裏山に登って風景を描く方が楽しいという人物だったそうです。
幼くして両親と離別し兄弟もいないという寂しい過去を持つ香月泰男にとって、絵を描くことは自分だけの世界を創ることであり生きる喜びであったのかもしれません。

1936年に東京美術学校(現在の東京藝大)を卒業したのちは、美術教師として教鞭をとる傍ら、独自の制作にも意欲的で、文部省美術展覧会で特選となるなど、名が知られるようになります。
しかし戦時のこと、1939年には第二次世界大戦が勃発し、1942年に香月も召集令状を受け、4年半の戦争とシベリア抑留により画業を中断することとなります。

死をも覚悟した画家が生み出す作品には、静かながらも情動がみなぎっており、見る者の心を捉えます。

宮城県美術館で開催の「生誕110年 香月泰男展」のチラシ
(画像をクリックするとPDF画面が開き拡大できます)

生誕110年 香月泰男展」のキャッチフレーズのようにもなっている香月泰男による名言、

生きることは、私には絵を描くことでしかない。

香月は他にも数々の含蓄ある言葉を残しており、今回の展示会でも、それらの言葉が造形作品とともに掲示されています。

展覧会では、主要な展示物には説明書きが付けられるものですが、作品を生み出した作家本人の言葉というものが添えられるのは、他人がつけた解説よりもずっと興味深く、味わいが増します。
今回の展示会の面白さは、そこにもあると思います。

次の画像は、1998年に出版された香月泰男の画文集の表紙です。

「画文集」とされている通り、造形物の写真の他、香月泰男による言葉がたくさん掲載されています。
香月婦美子婦人によって語られた「夫・香月泰男の思い出」というページもあり、現在では絶版の貴重な冊子で、私はこれがどうしても欲しくてしばらく前に中古で購入したものです。いかにも古本という匂いが漂うのですが(苦笑)、この中身はちょと他にはない逸品で、私の宝物の一つとなっています。

この本の表紙を開くと、カバーのそでに書かれている一文。
これには誰もが惹きつけられるのではないかと思います。

“ 生きることも捨て身でかからなければならぬ。
 愛することも捨て身でかからなければならぬ。
 芸術を生むことも。
 恋人を愛することも。”

彼が造形した作品の数々は当然のこと、寂しい幼少期やシベリア抑留という辛い過去とともに、だからこそ得られたであろう描く喜びや愛を知った香月泰男が残した言葉に、深い感動を覚えます。

最後に、今回の展示会生誕110年 香月泰男展」の図録は、こちらです。
表紙の作品は「公園雪」というタイトル。

展覧会では、私以外に来ていた二人組の女の子が、この作品(公園雪)を見て「わーっ」と声をあげていて、私も横で「わかる、その感動」と心の中で呟いていました(笑)
静かな冬の公園に表現された人の足跡、まるで、雪の上をサクサクと歩く足音が聞こえてきそうなこのマチエールは、是非とも実物を見ていただきたいです。

ところで、マチエールとは、matière、フランス語で材料や材質、素材を意味し、英語だとマテリアル(material )の意ですが、美術用語として、作品の素材感を指すために使われます。

様々な画材を混ぜるなどして技法の研究に熱心だった香月泰男の独特な表現、そのマチエールを感じるには、間近で、時には離れて、実物を鑑賞するに限ります。

なお、香月泰男は石、木、紙、缶などで創ったおもちゃや彫刻作品も残しており、今回の展覧会では少しですがそれらの立体物も展示されています。
人間愛と平和をテーマに創作を続けた香月泰男の貴重な作品の数々と出会える機会、感染予防をしっかりとして、足をお運びくださいませ。


あなたは
どんなマチエールが
お好きですか?

一見の価値ある作品集結!足立美術館展@仙台

日本一の庭園美術館が誇る名品をこの目で


2019年に挙がった宮城県美術館の移転案。
宮城県の最も貴重な建築物の一つである宮城県美術館を失うという意味の発案に、開いた口が塞がらない思いでしたが、県の決定に反対し、存続を求める市民団体の方々の努力が実り、昨年(2020年)11月、移転はせず、現地改修を行うということに最終決定しました。
私は撤回を求める署名をしたくらいでしたが、そのような活動を率先してくださった方々には、心から感謝です。本当に良かった。

さて、その宮城県美術館では、2021年4月24日(土)から6月6日(日)まで、「足立美術館展 〜横山大観、竹内栖鳳、華やかなる名品たち〜」が開催されています。
コロナ禍で未だ気軽に外出できない中ですが、気がつけば、もうすぐせっかくの企画展が終わってしまう!
というわけで、慌てて行ってきました。

宮城県美術館にて開催の「足立美術館展」のチラシ(表)
宮城県美術館にて開催の「足立美術館展」のチラシ(裏)
クリックするとPDF画面が開きます

実は正直なところ、行かなくてもいいかなあという気持ちも少なからずあって、出遅れたということもあるんです。
なぜなら、足立美術館(島根県安来市)は庭園ランキング1位を18年連続で獲得している美術館!(アメリカの日本庭園専門誌「数寄屋リビングマガジン/ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング(Sukiya Living Magazine: The Journal of Japanese Gardening)」による)
なのに、ずっと行きたくて行けていない美術館の一つで、だからこそ、絶対に近いうちに行く!!と決めているから、どうせ見るなら現地で見るべきでは??なんていう思いがちょっとあったりしたのです。

でも、県外の美術館や博物館に定期的に出かけないと気が済まなかった私、コロナ禍になってから全くそれができていないわけで、芸術品に触れる機会も激減して、フラストレーションが溜まっているので、やはり地元でも貴重な展覧会、行かないわけにはいきません。

実際のところ、今回の展覧会、行って大正解でした。
会場では、もう何度、心の中で、「美しい・・・欲しい・・・」と呟いたことか。
日本を誇るそうそうたる名画の作品の集結。
近代日本画の巨匠横山大観をはじめとした、東西の日本画壇で活躍した35人の画家による66点の作品は、バラエティーに富んでいて、とても楽しめました。
やはり、本物をナマで間近で見るに越したことはないですね。
どれもこれも素晴らしいものばかりで、大満足。

ただ、今回は、この展覧会に特化した図録は作られていなかったのが残念。
図録がない分、ハガキをたくさん購入してしまいました(笑)

私の祖父が師事した川端龍子の「春雪譜」(展示会案内チラシの裏面に掲載あり)のハガキはなくて残念…

足立美術館についての冊子は販売されていましたが、その本には今回の展示作品が網羅されていないので、そういう意味でも、この企画展に足を運ぶことはとても貴重だと思います。
足利美術館に行けたとしても、その時に展示されてないであろう作品もあるわけですしね。

販売されていた冊子
(今回の特別展に特化したものではない)

足立美術館の館長 足立隆則氏が河北新報のインタビューで述べられているように、是非とも多くの方に“自分の感性で作品見て”ほしい、そんな素晴らしい日本の名品の数々、この機会に堪能することができ、とても良い時間を過ごせました。

「足立美術館展」のチケットと会場で無料配布されている河北新報による案内

なお、今回の「足立美術館展」、宮城県美術館での会期終了後は、6月26日(土)から8月1日(日)まで岩手県立美術館で開催されるのだそうです。
足立美術館の移動展は各地で行われていますが、東北での巡回は今回が初めてとのことですよ
東北人にとって、嬉しいことですね。


きっとそう遠くない日に、日本一の庭園と称される足立美術館へも行くことができますように⛧彡
ますます思いは募るけれど、いつかは叶えたいことがあること、楽しみがあることって、幸せなことだなって思います♪



あなたの
お気に入りの庭園は
どこですか?





インスタ発で異例のベストセラー!アート絵本

やさしい気持ちになれる「ぼく モグラ キツネ 馬」


ここ日本では、先月(2021年3月17日)発売され、ちまたで話題となっている絵本「ぼく モグラ キツネ 馬(飛鳥新社出版)」は、もうご覧になりましたか?

作者はCharlie Mackesyチャーリー・マッケジー)氏、和訳は川村元気かわむらげんき)氏によるもの。

作者のチャーリー・マッケジーさんはイギリスのイラストレーターで、2018年からこの本に出てくる少年と動物たちをインスタグラムにアップしていったところ、それが大人気となり、2019年10月22日に’The Boy, The Mole, The Fox and The Horse‘という一冊の本として出版され、2020年イギリスで最も売れた本となったばかりでなく、アメリカでも販売冊数は100万部を超え、数々のランキングを総なめにし、世界各国でベストセラーとなっている話題のアート絵本です。

この本の前書きでマッケジーさん自身が「この本はだれでも楽しめる。あなたが8歳でも80歳でも。」と述べているように、老若男女、誰もが親しめる内容となっています。

一人の男の子と、ケーキが大好物のモグラ、無口なキツネ、ちょっとした秘密を持つ馬との出会いと冒険の物語を通して、読者は、友情や愛、人生について考えさせられますが、それは、なにか難しいことではなくて、ただとてもやさしい気持ちになれる、そんな一冊です。

ちなみにこちらの作品、「絵本」ではありますが、結構分厚い(B5サイズ、128ページ)です。
でも、やはり絵本ですから、文章はシンプルで、大人であれば、本好きじゃなくとも、あっという間に読めます。

この絵本の素敵な言葉の一部を、以下に抜粋させていただきます。

”おおきくなったら、なにになりたい?”
モグラにきかれたので、ぼくはこたえた。
”やさしくなりたい”

“What do you want to be when you grow up?”
“Kind” said the boy.

”成功するって、どういうことかな?”
ぼくがたずねると、モグラはこたえた。
“そりゃあ、だれかをすきになることだよ”

“What do you think success is?” asked the boy.
“To love” said the mole.

”いちばんの時間のむだって、なんだとおもう?”
ぼくがたずねると、モグラはこたえる。
”じぶんをだれかとくらべることだね”

“What do you think is the biggest waste of time?
“Comparing yourself to others.” said the mole.

”とてもきれいなものを、みのがすな”

“So much beauty we need to look after.”

”やさしさに勝るものはない”馬がいった。
”すべてのうえに、しずかに存在している”

“Nothing beats kindness”, said the horse.
“It sits quietly beyond all things.”

ぼく モグラ キツネ 馬」ならびに‘The Boy, The Mole, The Fox and The Horse’より引用


そしてお次は、イギリスのボイスアーティスト※であるTim Uffindellティム・ウフィンデル)さんによって製作された‘The Boy, The Mole, The Fox and The Horse’の読み聞かせYouTube動画です。

※ボイスアーティスト(voice artist):ボイスオーバータレント(voice over talent)ともいい、ナレーターや声優を生業とする人

絵本なら、子どもから大人まで、英語学習ツールとしても良いですよね。


最後に、下図はインスタグラムへのマッケジーさんによる最近の投稿で、絵本には挿入されていないものです。
ペンで描かれたイラストと味のある文字、素敵ですよね。

少年と動物たちのアナザーストーリーは続いています。。。

自分は自分のままでいい、愛の溢れる世界に感謝して、シンプルに生きていこう、そう思えるとともに、誰かにやさしくしたくなる、そんな気持ちになれるアート作品のご紹介でした。



あなたにとって
”成功する”とは
どういうことですか?





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春の訪れと共に届いた贈り物

親友の気だてに涙


20201年3月31日、こちら仙台で、観測史上一番早い桜の満開宣言がなされました。
職場までの道すがらには桜の見所が何箇所かあり、ここ最近は良いお天気も続いているので、徒歩での通勤もとても気持ちがいいです。

花京院橋の上からは仙台市立東六番丁小学校の大きな桜を眺めることができる
仙台管区気象台へ続く道
観測史上初を受けて、仙台管区気象台前の桜の木は全国放映された
仙台管区気象台敷地内に咲く美しい桜の木

新年度が始まって慌ただしさは増す一方ですが、こんな風景には心も癒され、なんだかいい予感さえしてきます。
そんな気分の昨日、宅急便が届きました。

平らで幅50×40cmほどの包み。
送り主は親友です。
そこで、ふと「もしや・・・」との思いがよぎりました。

開封してみると、やっぱり!
2004年に製作された、画家だった祖父の作品集代わりとも言えるカレンダーです。

なんとまあ、15年以上も前のものをこんなに綺麗に取っておいてくれたのでしょう!!
このカレンダーは祖父が亡くなってから数年後に、懇意にしてくださっていた地元閖上の森内科クリニック・森精一先生が製作してくださったものです。

先日、私が祖父のことについて書いたブログを見て、このカレンダーを持っていた友人が送ってくれたのです。

前回の記事:祖父の絵を探しに/孫としてできること

内心、せめてこのカレンダーが残っていたら・・・という思いはあったものの、15年以上も前の、有名でもない画家の、しかも単なるカレンダーなどでは、わざわざ取っておいてくれている人もいないだろうと思っていたので、親友のこの気だてには泣けてしまいました。

このカレンダー表紙の作品は「弥生の頃」というタイトルで、大きさは100号くらい、閖上にあった実家の玄関に飾られていたものです。
祖父亡き後も、実家に帰るとこの絵に出迎えられ、しばし祖父に想いを馳せたものでした。

春の訪れと共に、祖父が描いた桜にも会えるとは・・・
本物の絵ではなくとも、失われてしまった祖父の絵、こんな形でも本当に嬉しく、感謝しかありません。

良い友達に恵まれ、本当に幸せです。ありがとう。


あなたの心に
春は
訪れましたか?

祖父の絵を探しに

孫としてできること


先日、心待ちにしていた一冊の本が届きました。
古本屋さんから送っていただいたのですが、かなり丁寧に梱包してくださっていて、添え状も決まり文句ではなく、気遣いの感じられる文章で、心が温まりました。

雑草文庫の池田洋一様には、この場を借りて御礼申し上げます。
とても綺麗な状態で届きました。ご丁寧に、本当にありがとうございました。

さて、注文したのは、昭和55(1980)年に初版発行された「話の散歩道」というもので、著書様には申し訳ないのですが、目的は、本の中身ではなく、この本の『表紙』です。

表紙になっている絵のタイトルは「宮城県名取市閖上 広浦」。
広浦(ひろうら)は、宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)地区と下増田(しもますだ)地区にまたがる潟湖で、市内を流れる増田川の河口潟でもあります。
10年前の津波に飲み込まれましたが、現在も以前のような穏やかで静かな情景が広がっています。

この地を故郷として愛し、テーマの一つとして絵を描き続けた画家が、このカバー絵の作家であり、雅号を「紫露(しろ)」と言います。
本名は四郎。
仙台に生まれ、美容師で絵が好きだった女性と出会い、お婿さんとなった、私の祖父です。
美容師の女性というのはもちろん、私の祖母です。
また改めて書きたいと思っていますが、私の祖父母は、現在でさえ珍しい「遠距離結婚(会社都合による単身赴任とは違い互いの意思によるもの)」です。

ところで、広浦湾はありのままの自然環境なので、鴨、川鵜、白鷺などのバードウォッチングも楽しめる場所です。
そして、この絵にもあるように、私の祖父は、白鷺をよくモチーフにしていました。

日本画家だった祖父は、20年程前に亡くなりました。
逝去年齢的には平均的なものですが、長い間パーキンソン病と戦っていました。
パーキンソン病さえ抱えていなければ、亡くなるまで絵を描き続けることも可能だったかもしれないし、確実にもっとたくさんの作品を残せたはずです。
画家でありながら、右半身の手足の震え、麻痺により、絵が描けなくなってゆく自分がどれだけ悔しかったかことか・・・

東京で単身生活していた祖父でしたが、亡くなる少し前には宮城県の病院に入院し、東京を引き払いましたので、譲ったり処分したものがほとんどですが、一部の私物や作品などは実家に保管されていました。
この本も、実家の祖母の本棚にあったと思います。
大きな本棚には、祖父が持っていた美術関係の本もたくさんあって、祖母の亡き後には、作品まではもらえなくとも、これらは私がもらうと、祖母から了解を得ていました。
しかし、あの未曾有の大地震によって、全てが失われました・・・

実は、祖父が亡くなってからほどない頃に、地元名取での個展をしてはどうかとお話をいただいたことがあります。
私の父と母は乗り気でしたが、祖父を巡っての血縁者間によるつまらないいざこざが続いていたので、私は反対し、お断りしたのです。
当時なら、個展でもやっていれば、データにでも残しておくことができたかもしれないのにと、悔やまれてなりません。

祖父を心から尊敬し、画家になりたいと考えていたことのある私ですが、その願望は高校時代に失ってしまったため、祖父の作品にはそれほど触れていないのです。
私は、これまで、人には流されず、自分のやりたいことをやってきた人間なので、ほとんど後悔はない人生を歩んできたと思っていますが、祖父に関してのことだけは、深く悔やんでいます。

東日本大地震が起きて10年過ぎてしまった今さらですが、だからこそなのでしょう。
祖父の絵を探すことを私自身のライフワークに加えたいと思いました。
正直なところ、この数年、ずっと考えていたことではあるのですが、取り組めないでいたことの一つです。

天国にいる祖父母を喜ばせたいし、私も後悔したくないから・・・


あなたには
悔やまれることは
ありませんか?

大人のための画家と詩人のコラボ絵本

パウル・クレー X 谷川俊太郎


社会人になってからというもの、読書と言えば、ビジネス書や自己啓発系のものが多かったのですが、気がつくと、似たり寄ったりのものも結構あって、もうそろそろ、子どもの頃や学生時代によく読んでいたような、物語や小説、詩集なんかをゆっくりと読みたいなぁという気持ちになってきました。

そこで見つけたのが、美術好きには嬉しい、絵画と詩がコラボレーションした素敵な一冊。

クレーの絵本 」(講談社出版)は、抽象画で有名なパウル・クレーの絵画に、日本の現代詩人を代表する谷川俊太郎の詩が添えられた、とても美しい本です。

パウル・クレー(Paul Klee)は、1879年のスイスで、音楽教師の父と声楽家の母との間に生まれました。4歳で祖母から絵を習い、7歳でバイオリンを始め、小さな頃から芸術の世界にあったクレーの生涯は、絵と音楽と詩にあふれたものだったのだそうです。

そんなクレーからインスピレーションを受けて、谷川俊太郎が詩を綴っています。

表紙にもなっている絵は「黄金の魚/The Goldfish」(1925年制作/ハンブルク美術館収蔵)で、添えられた詩の「どんなよろこびのふかいうみにも ひとつぶのなみだが とけていないということはない」という最後の部分が、心にズシンときます。

どの絵も、詩も、静かな中にも深さと、情緒的な美しさを感じるものばかりで、贅沢な一冊です。
インテリアとしても飾っておけるシンプルな装丁も素敵です。

この本の最後に、谷川氏による解説が載っていますので、一部抜粋させていただきます。
(ちなみに、背景の絵はクレーの「赤い気球/Red Ballon」(1922年/グッゲンハイム美術館)で、この本にも載っています)


魂の住む絵


クレーの絵に現れているものは、私たちがふだん目にしているものとは違う。
たしかにそこには文字や人のかたちや植物らしきものが描かれてはいるが、それを言葉にしようとすると私たちはためらう。
言葉で彼の絵をなぞることは出来ないと私たちは思う。
クレーは言葉よりもっと奥深くをみつめている。
それらは言葉になる以前のイメージ、あるいは言葉によってではなく、イメージによって秩序を与えられた世界である。
そのような世界に住むことが出来るのは肉体ではない、精神でもない、魂だ。

クレーの絵は抽象ではない。
抽象画には精神は住めても魂は住めない。
言葉でなぞることは出来ないのに、クレーの絵は私たちから具体的な言葉を引き出す力をもっている。
若いころから私は彼の絵にうながされて詩を書いてきた。
ちょうどモーツァルトの音楽にうながされてそうしてきたように。
「詩」は言葉のうちにあるよりももっと明瞭に、ある種の音楽、ある種の絵のうちにひそんでいる。
そう私たちに感じさせるものはいったい何か、それは解くことの出来ない謎だ。

(「クレーの絵本」最終頁 谷川俊太郎氏による文の一部)


抽象画はなんだか難しいと思っていた私にも、クレーの絵には引き寄せられてやまないものがあり、今では好きな画家の一人です。
谷川氏が述べているように、クレーの絵は単なる抽象画ではなく、見るものに魂を感じさせるものだからなのだろうと思います。

以下の動画は、パウル・クレーの作品「島/Island」(1932年/アーティゾン美術館)について紹介されているものです。
「クレーの絵本」では取り上げられていない作品ではありますが、クレーの作風についての参考になると思います。
2分ほどで短くまとめられていて、静かで穏やかなナレーションも心地よい、良質な動画です。

BGMは無いのに、なんだか音楽が聞こえてきそうな気がしませんか?
そして、この不思議な感覚の余韻にしばらく浸っていたい、そんな気持ちにさせられます。

穏やかな気持ちになれる芸術との対話、そんなひと時を、普段の生活の中でも大切にしていきたいです。



あなたは
抽象画を
どう感じますか?




クレーの絵本

レトロかわいいオールド&プレミアノリタケ

戦前戦後の芸術的里帰陶磁器


ポストを開けると、A4サイズで、厚めな本でも封入されていそうな郵便物が入っていました。
でも、封筒に記されている会社名には覚えはあるのだけど、ここ数日では何の購入の記憶はなく・・・
しかしながら、書店はもちろん、ネットでも本を買うことが多い私。
何かネット検索でもしている時に間違ってポチッちゃったのかな・・・?
と不安に思いつつ、恐る恐る封を開けたら、1冊の図録が。

図録に加え、2021年の卓上カレンダーのプレゼント

これ、なんか知ってる・・・
てか、持ってる・・・?

送り主は「敬誠アート」さん。
薩摩焼瀬戸焼隅田焼横浜焼オールドノリタケ等の『和骨董』とゲーベルローゼンタールフッチェンロイターマイセンKPM等の『西洋陶磁器磁器人形』を取り扱う古美術商さんです。

薩摩焼

瀬戸焼

隅田焼

横浜焼

過日のある日、仙台三越に行った時に、たまたま催事として1階フロアで敬誠アートさんが出店されていまして。

芸術的な骨董品がずらりと並んでいたので、思わず足を止めました。
艶やかな陶磁器の数々。美しいだけでなく、デザイン的にも面白いものがたくさんあり、見ているだけで楽しいものでした。

ゲーベル

ローゼンタール

フッチェンロイター

マイセン

私は特にブランド好きというわけではないのですが、ノリタケは日本を誇るブランドとして、今では高級なものから庶民的なものまで製品が取り揃えられていて、身近に感じられるブランドとして、もともと好感を持っていました。
そして数年前に仕事で名古屋に行った際に、ノリタケミュージアムに立ち寄ったのですが、そこで興味深い制作過程や歴史を知り、たくさんの美しい製品を見たらファンになりまして。

そんなノリタケの、今から100年程前の明治・大正時代に主にアメリカに輸出され、里帰りしたという陶器『オールドノリタケと、戦後の1945〜1960年頃に製造された『プレミアノリタケの品々も、三越での催事で展示販売されてたんです。

オールドノリタケ

プレミアノリタケ

オールドノリタケ

プレミアノリタケ

芸術的な骨董品といえば、もちろんそれなりのお値段。
購入できたとしても、使うというより、大事に飾るというイメージ。
ですが、中には普段使い出来そうなものもありまして。

オールドノリタケのピンディッシュと、プレミアノリタケのレトロかわいいカップとソーサーのセット、購入しちゃいました。

戦後に欧米に輸出されたこのヴィンテージなカップとソーサーは「スナックセット」と言うのだそう。
絵の具のパレットのような形のソーサーはお菓子なんかも一緒にのせられて、使い勝手も良しなプロダクト。

流行りものよりもレアなものや人と同じではないものに惹かれる私。
これもノリタケなのー?ってところが気に入ってます♪

ちなみに、かぼちゃの器は、「JAPAN」の刻印があるので里帰りした日本製であることは間違い無いのだけど、メーカーは謎というお品だそうで。
熱心な担当者さんが「根拠なくこれもオールドノリタケですと嘘はつけませんので」と教えてくれ、一品もので可愛かったので購入。

そしてその時に、販売されていた図録が、数々の芸術的な陶器が掲載されていて眺めているだけでも面白く、せっかくの機会だからと一緒に購入していたんです。

それが、今回送られてきたものと同じだったというわけでした。
既に買っていたものと同じお品だけど、3,000円する図録、プレゼントとはありがたいことです。
興味のある人にプレゼントしよう♪

敬誠アートさんのギャラリーは千葉県我孫子市にあるとのことで、行ってみたいとは思っていますが、このコロナ禍にあってはそうもいかないので、しばらくはこれ見て楽しみます。
敬誠アートさん、ありがとうございました☆


あなたは
古いもの or 新しいもの
どちらがお好きですか?

3時のおやつ展@ガラス工房尚

楽しくて美味しくなる♪3人のガラスと金属の素敵なコラボレーション


今日(2020年12月6日)が最終日ということで、事前に皆さんにお伝えできないのが残念だったのですが、ユニークで楽しい、心が和む素敵な展示会に行ってきました。

先月の初旬にもお邪魔した、秋保のガラス工房 尚さんからいただいた、今回の特別展のご案内。

ガラス工房 尚さんは、仙台市から秋保に向かって、秋保大滝の手前にあります。

シーダーギャラリー
ガラス工房に併設した、喫茶スペースもあるギャラリーです。

今回の企画は、3人のアーティストによる、「3時のおやつ」をテーマにした楽しい展示。

主催者の鍋田尚男さんのガラス作品は、鮮やかなデザインが施されていますが、これは、熱でガラスをやわらかくし、様々なガラスを溶着させるフュージングという技法で作られているんだそうです。
色も線も全く描いてない、凄技!
どれだけ手間と時間がかかることか・・・

こちらは、金属作家の永井佳奈子さんの、とってもユニークな作品。
思わず笑ってしまう、おもしろさ溢れるものばかり。
金属って聞くと冷たそうなイメージだけど、永井さんの作品には、ほっこりしたあたたかさを感じます。

そして、さらにガラス作家の沖知江子さん。
こちらは、植物を中心とした女性的な絵付けが素敵な、小物入れやお皿などの作品たち。
どれも心が癒されます。


3時ではなかったけれど、せっかくなので、私もおやつタイムにさせていただきました。
沖さんの作品にのった洋梨のコンポート。可愛らしくて、見てるだけでも美味しい。

今回は、秋保の人気のスイーツ屋さん「豆あん」さんのカステラも選ぶことができたので、ラッキーでした♪

自然に囲まれたガラス張りの開放的なギャラリーは、光が差して、とても気持ちが良く、穏やかな時間を過ごすことができます。

最後に、今日のお土産は、透明感が美しい、カトラリーレスト。

べっこう飴みたいで、美味しそう!と、思ってしまうのは私だけではないはず・・・

きらめく透明感が美しくて素敵です。

お箸を置くと、こんな感じ。

スプーンやフォークを置くとこんな感じ。

また大切にしたい宝物が増えました。
今日も、心が豊かになる幸せに、感謝。ありがとうございます☆

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ガラス工房尚/シーダーギャラリー
住所:宮城県仙台市太白区秋保町馬場丸山12−1
電話:022-399-5728
営業:10:00 〜 16:00 or 17:00
定休日:水曜日・木曜日
(特別展中等は変更あり)
Webサイト:
https://www.facebook.com/glasssho/
インスタグラムhttps://www.instagram.com/glassstudiosho/

2020年内の企画展は今回のおやつ展が最後だそうですが、通常営業はされています。
また来年も素敵な企画展示のご案内をいただきましたら、当サイトでもお伝えしたいと思います♪


あなたの
和める場所は
どこですか?

クリスマスって・・・?

喜びと、感謝の気持ちで、心豊かに迎えよう♪


今年も残り1ヶ月を切ってしまいました。
いろいろ切ない思いにかられてしまうこの時期ではありますが、少しでも豊かな日を送るために、これまでは何気なく過ごしていたことについて、ちょっと改まって考えてみるのはいかがでしょう・・・

現在、私は縁あって、可愛くて元気な子どもたちの声が響き渡る、キリスト教系の保育園でお仕事をさせていただいてます。
クリスチャンでなくとも入園できるし、職員も同様なのですが、当園にとってクリスマスはとても大切なイベント。
ということで、園長先生が、クリスマスの意義についてレクチャーしてくださいました。
私なりの解釈も含め、講義の内容を簡単にまとめてみますね。

今から2000年ほど前、ユダヤの国はローマ帝国という大きな国に支配され、人々は貧困や重圧に苦しんでいました。
争いや憎しみにも満ちた国。救いを求める人々。
ある意味では、今の世ともあまりかわりなかったかもしれません・・・

神様はこのような闇の世界をよしとはせず、神の子イエス様を光の子の人間としてこの世に誕生させたのでした。

クリスマスは、神様がその一人子であるイエス・キリストを人間の救い主(メシア=キリスト)としてこの世にプレゼントしてくださった、という神様の愛の出来事への応答として、イエスの生き方にならい愛の生活をすることを約束する時、自分のすべての生きた身と命を神様に捧げる生き方の一つの徴(しるし)、感謝の徴として、献金を捧げたり、プレゼントの交換をして喜びを共にする時なのです。
そこに、権力や野心などは存在しません。

ジョット「東方三博士の礼拝」 出典:wikipedia

美術絵画でもよくテーマとして取り上げられる「東方三博士」の図画からもわかるように、イエス・キリストの居場所は博士たちが援助を求めた王宮ではなく、粗末な馬小屋の飼い葉桶の中でした。
最初のクリスマスは、庶民の代表である羊飼いや宿屋、一般民衆や東方からの世界を代表する人々からお祝いされたということです。
クリスマスは裕福なお金持ちが贅沢するようなことではなく、全くその逆なんですね。
神の愛は、誰にも平等です。

クリスマスは、私たちが神様に愛され祝福されている存在であることを確認する喜びの時、感謝の時。
そう心にとめながらクリスマスまでの期間を過ごすだけでも、いつもよりちょっと豊かでハッピーな日々を送れそうな気がします。


あなたは
クリスマスの意味
考えたことありますか?