心を健やかで穏やかに保つヒント集「上手な心の守り方」

枡野俊明住職による禅的心のセルフケア
「上手な心の守り方: 不安、悩み、怒りをこじらせない、99のヒント」枡野俊明(著) 知的生きかた文庫

先日、尊敬するかたとしてご紹介させていただいた枡野俊明ご住職による本
上手な心の守り方 〜不安、悩み、怒りをこじらせない、99のヒント〜
ですが、既に希少なようですね・・・
これも、ストレス社会と言われる現代のあらわれかと思います。

先日の記事↓
本当の幸せに繋がる枡野俊明住職の教え/まずは「上手な心の守り方」からご紹介




こちらの本は、全章において、右側のページに文言が一言書かれて、左側のページにその解説がなされ、見開き1ページで一つのポイントに絞られているので、活字が苦手なかたでも触れやすく、万人にとても親しみやすいものとして構成されています。
本好きなかたなら、スラスラ、一晩で読み終えてしまうと思います。

私の場合、本を読む時は、感銘を受けた部分や、自分の中で大切にしたいと感じた部分には、線を引いたり、付箋をつけたり、少なくとも端っこを折ったりして、後から見直した時にも印象に残った部分であったことをわかるようにしているのですが、この「上手な心の守り方」はこんな感じで、だいぶ折り目がついてしまっています。
この本を購入した時はまさに心が弱っている時だったので、なおさらだったのだろうと思います。

現在の私は回復しているので、今ならこれほど印はつかないと思いますが、調子がそれなりに良い時こそ、忘れてはならないなと感じる部分もたくさんあったりします。


さて今回は、頑張ってもうまくいかない自分に落ち込む時や、自分以外のできない誰かの言行にイライラしてしまうような時に、思い出したいメッセージからピックアップして、ご紹介させていただきますね。

1章 まず、自分を嫌わない
 〜「心を守る」ための絶対のルール
 より


不完全でよしとする



「完璧」なんて、世の中にない


すぐに「自分の努力不足のせい」にするのをやめよう


上手な心の守り方 p.20-21


禅では「完璧」「完全」という概念を否定する。
西洋では、寸分も狂いなく左右対称、これ以上の入れようがない形を「完全な美」とするのに対し、禅に立脚した美意識を持つ日本では、その完全を一度壊して、自身の思いや人間性などを加えていく。たとえば抹茶茶碗の形のゆがみや色ムラなどのあるものが「不完全の美」として尊重される。

「物事にはすべて完全・完璧はない

「どこまで行っても、その先に努力の世界が開けている」

努力に終わりはないのだから、常に努力が不足していて当たり前。
何かうまくいかないことがあるから「努力不足」なのではなく、うまくいこうがいくまいが、さらに努力する余地がある、ということ。
うまくいかないからと自分の努力不足のせいにして落ち込むことに意味はないと考え、「不完全の完全」を目指すことこそが尊いのだ。

そのように、枡野俊明ご住職は教えてくださっています。
努力に終わりはないのだから、常に努力が不足していて当たり前」という発想、目から鱗ですね。
そして、「不完全の美」から「不完全の完全」とは、深い哲学ですが、この禅的思考は素敵ですし、心の拠り所としたいです。


あなたは
完璧だけを
求めていませんか?


「上手な心の守り方: 不安、悩み、怒りをこじらせない、99のヒント」枡野俊明(著) 知的生きかた文庫
「上手な心の守り方: 不安、悩み、怒りをこじらせない、99のヒント」枡野俊明(著) 知的生きかた文庫

本当の幸せに繋がる枡野俊明住職の教え

まずは「上手な心の守り方」からご紹介


「柔軟心」という言葉をご存知ですか?
柔軟な心?なんだか素敵な響き♪
この言葉、実は禅語で、正しい読み方は「にゅうなんしん」というのだそうです。

“「柔軟心」とはつまり、決まった形のない心のこと。
物事に対する考え方が「こうあるべき」「こうあらねばならない」と一つに固定されておらず、状況や相手に応じて自由自在に変わっていくことを意味します。

心はどんなに「強く」したところで、このストレス社会においては、傷ついてしまうし、折れてしまうからです。

自分の心をどんなに固く分厚い殻で覆ったところで、それがすべてのストレスを跳ね返してくれるシェルターにはなりえないのです。
むしろ不安や悩み、迷い、怒りをこじらせてしまうことになりかねません。

もちろん、ときにはストレスを「跳ね返す」心の強さも必要です。

しかし、ときにはストレスを上手に「受け入れる」ことや、上手に「受け流す」ことも必要になってきます。
たとえるなら、空に浮かぶ雲のような柔軟さで。”

知的生きかた文庫「上手な心の守り方: 不安、悩み、怒りをこじらせない、99のヒント」p.3-4より

このように記された前書きによって始まる、枡野俊明さんのご著書「上手な心の守り方: 不安、悩み、怒りをこじらせない、99のヒント」は、私自身、心が折れかかっている時に読んで、とても励みになった本の一つです。

上手な心の守り方: 不安、悩み、怒りをこじらせない、99のヒント」目次

1章 まず、自分を嫌わない
 「心を守る」ための絶対のルール
2章 絶対、無理をしない
 「自分を大切にする」とはこういうこと
3章 すぐに、人と競わない
 「自分の物差し」でしっかり生きる
4章 ささいなことで、怒らない
 心をすり減らさないためのコツ
5章 いつまでも、クヨクヨしない
 落ち込んでもいい、でも早く立ち直ろう


この本の中で特に私の心に響いたヒントについては、また改めてお伝えさせていただくとして、まずは、枡野俊明さんについてのエピソードを簡単にご紹介させてください。

枡野俊明(ますのしゅんみょう)氏。曹洞宗徳雄山建功寺住職で、作庭家でもいらっしゃいます。
僧侶でありながら作庭家、いわゆる庭のデザイナーとして高い評価を得られ、数々の賞を受賞し、多摩美術大学やブリティッシュコロンビア大学で教鞭を執られるほか、禅の教えをわかりやすくかつ多方面から解いた本を数多く出され、平成18年(2006年)には、ニューズウィーク日本版において『世界が尊敬する日本人 100人』にも選出されました。

ニューズウィーク日本版 Newsweek Japan 2006/10/18号


そんな素晴らしいかたに、数年前、私はお会いする機会に恵まれました。
たまたま仕事で枡野俊明さんの講演会の企画にたずさわることができたのです。

実は私、その講演会の企画が上がる前からすでに枡野俊明さんの本を何冊も読み、大ファンだったので、その企画が現実となる時にはもう天にも登るほどの思いでした。
講演当日にお会いしたご住職は、常に誰に対しても、物腰が柔らかく、穏やかな表情をたたえ、漂うおおらかさに、ファンである私は舞い上がりつつも、大きな安心感を覚えました。

ご講演は当然のことながら、素晴らしい。
僧侶さんですからご発声も良いので、聞き取りやすく、聴講者の様子に気配りされながら進められるお話は、あっという間に感じました。

そして、講演会の後にはこちらからお礼をお送りしたのですが、それに対して、ご丁寧にもご本人からお手紙とお電話とでお礼をくださったのです。
手紙と電話で、ダブルで、ですよ。
講演の依頼をしたのはこちらですし、わざわざお礼のお手紙をくださるだけでもありがたいことなのに、いち担当者の私に直接電話までくださるなんて。こんなスゴイかたがこれほど謙虚とは!と驚くとともに、尊敬の念が増したことは言うまでもありません。


さて、この、私が心から尊敬してやまない枡野俊明さん、結構な勢いで本を書かれていらっしゃいます。
私が持っているだけでも10冊です。
確かに、これだけ本を出されていると、時々購入者レビューにもあるように、かぶる内容もあり、低評価を下すかたもいらっしゃいますが、枡野俊明さんのようなかたがおっしゃるような事柄には、繰り返し触れることで、私たちの心身の豊かさが持続されるのではないでしょうか。

今後、時々、枡野俊明住職の教えをここで記していくことで、心と生活の平穏を保っていきたいと思います。

関連記事
心を健やかで穏やかに保つヒント集「上手な心の守り方」/枡野俊明住職による禅的心のセルフケア


あなたは
心のセルフケア
できていますか?


「上手な心の守り方: 不安、悩み、怒りをこじらせない、99のヒント」枡野俊明(著) 知的生きかた文庫
「上手な心の守り方: 不安、悩み、怒りをこじらせない、99のヒント」枡野俊明(著) 知的生きかた文庫

「さあ、本当の自分に戻り幸せになろう」を読んで軌道修正

人生は、いつからでも、新しいスタートを切ることができる


ここほんの数ヶ月ですが、「なんでそんなにバカなんだ」「イライラする」「気が利かねー奴だな」「役立たず」そんな罵声を浴びせられています・・・

おそらく、そういう言葉がけによる人材教育方法という、その人独特の美学みたいなのがあってなのだと思いますが、こういうやり方で指導されて、モチベーションが上がる人って一体どれだけいるのでしょう?

確かに私に不備があるから言われるわけで、私が完璧になればいいのかもしれないけれど、もうこんなことに耐えられん!と思ってしまうのは、私だけでしょうか・・・?

耐えられんと言いつつも、私の場合、これまでいろいろ辛い厳しい経験はしてきている分、いい意味でも悪い意味でも鍛えられているので、「コンチクショー」的な気持ちでムキになって頑張ることはできなくはないのです。
でもそれは、「モチベーションが上がって」頑張るのとは、全く意味が違う訳で。

こんなの、精神衛生上いいはずがない。
どんな間柄であろうと、相手に罵声を浴びせることを平気でするような人を尊敬することもできない。
そういう人と限られた時間を共ににするのは無駄ではないか?
しかし、そう考える私の方が甘いのか?

そんなことを思って心がすさんでいきつつある矢先、本屋さんでふと目につき、購入して一気に読み終えた本がこちら↓

さあ、本当の自分に戻り幸せになろう」( ディスカヴァー・トゥエンティワン出版)

さあ、本当の自分に戻り幸せになろう」はNYタイムズ・ベストセラーというわけで、著者は、マーク&エンジェル・チャーノフ(Marc Chernoff and Angel Chernoff )さんというアメリカのご夫婦です。
お二人による、毎月200万PVのアクセス数を誇るブログ “Marc & Angel Hack Life” を書籍化されたものが、今年(2020年)7月に日本でも発刊されベストセラーとなっています。

本書より、私の気持ちがとてもラクになったのはこの部分↓

他人のネガティブな感情に振り回されない



人から粗末に扱われても、自分らしさを貫いてください。
他人の恨みに引きづられて、自分を変えてはいけません。
代わりに、その相手を反面教師にして、自分の熱意と集中力を保ってください。

とくに、自分を不十分だと言う相手に好印象を与えるためだけに自分を変えてはなりません。
何をしても、どんなにきちんとやり遂げても、陰口をたたく人はいます。
何かを強く信じているなら、そのために闘うことを恐れてはなりません。

(「さあ、本当の自分に戻り幸せになろう」p.193)

あなたは、1年前、1カ月前、1週間前のあなたと同じではありません。」と、「人生は、いつからでも、新しいスタートを切ることができる」のだと、この本は教えてくれます。
自分の気持ちに正直になることを後押しされ、幸せだと感じるための行動を起こすことに前向きになれました。

私は心のあたたかい人たちと繋がって、穏やかで安らぎのある世界に生きたいんだった。
これだけは、もう絶対ブレさせたくない。

そう、改めて思いました。

そして、捨てる神あれば拾う神ありで、ちょうどこのタイミングで、心が広く愛の活動に勤しんでいらっしゃる尊敬するかたからお声がけされたもので、「尊敬するかたから私が必要だと言われた。私などはあなたにとっては役立たずで申し訳ないので、そのかたに付いて行き、一からやり直したい」と、前出の罵声の主サマへは伝え、再び新たなスタートを切ることになりました。

今の淀んだ環境から抜け出せるとはいえ、再び新しい環境に臨まなくてはならなくなることには、正直、とても大きな不安もあり、悩みましたが、人生には限りがあるわけで、騙しだましで不毛な時間を過ごして、後から後悔するようなことにはなりたくないのです。

どこに行っても試練はつきもの。
その遭遇した壁は乗り越えることに意味があるのかどうか、本当の自分の幸せに繋がるのかどうかを見極め、時には無理に壁を超えようとせず、回避することも必要ではないでしょうか?

より良い人生を送るためにも、軌道修正は早い方が良い。
自分に嘘はつかずに生きて、幸せを取り戻していきたいと思います。


あなたは
本当の自分
を生きていますか?

さあ、本当の自分に戻り幸せになろう 人生をシンプルに正しい軌道に戻す9つの習慣

愛とは、誰かの心に 希望の灯をともすこと

心に留めておきたい、愛の医師 日野原重明先生からのメッセージ


少し前になってしまうのですが、「人間が人間を愛したり尊敬したりするあたりまえの心を狂わせてはならない」と愛を訴える、心あたたかな医師、日野原重明先生の著書「テンダー・ラブ tender love」について、概要のみを紹介させていただきました。

過去の投稿「テンダー・ラブ tender love/日野原重明先生の愛すべき名著


この本について、その後、興味を持たれた方からリクエストをいただきましたので、私がお気に入りの一部を、抜粋にて紹介させていただきたいと思います。

愛には、与える愛と受ける愛とがあり、愛はその二つの思いと行動のバランスのなかに成り立つものです。
コップに水を注ぐことなくしてコップに水を受けることばかりしておれば、容器はだんだんひからびたものになってしまいます。
クリスタル・ガラスのように透明だった心の器も、不透明な重い陶器のようになって、あなた自身にも自分の心が透けて見えなくなります。

あなたが愛に飢えてやるせない気持ちになったとき、もう一度あなた自身、すなわち内なるあなたのなかで会話をしてみてください。

どんな日常の仕事や家庭内の雑事で忙しい思いを持つ方でも、朝、目覚めたひととき、または夜のひととき、床のなかで眼をつむったまま、深い息を数回繰り返してから内なる自分に問いかけてみてください。

自分は本当に愛を相手に注いでいたかと。

自分は、愛の息吹で相手の心を満たすことよりも、受けることばかりを考えてはいなかったかと。 


これは、文庫「テンダー・ラブ tender love」より、第二章「愛とは、誰かの心に希望の灯(ひ)をともすこと」の中の小タイトル「愛を感じられなくなった夫婦へ」の前半部(p42〜43)の内容ですが、夫婦間だけのことではなく、どんな関係性でも大事にすべきことではないかと思います。

夫婦、兄弟、友人、仕事仲間・・・
人は支え合って生きているのだから、相手に求めるような言動ばかりしていては、人は離れ、孤独になっていくばかり。

また、忙しい日々に追われていると、周りのことだけでなく、自分の心さえも見失いがちで、心はどんどん曇ったものになっていってしまいます。
そうならないためにも、「自分に語りかけをする時間をまず持つことが大切」と日野原先生はおっしゃいます。


そして同じく、この第二章の中の小タイトル「テンダー・ラビング」(p54〜58)において、テンダー・ラビング・ケア(tender loving care)について、教えてくださいます。

「テンダー」とは、愛を形容する最高の表現であり、自分に何ができるかをまず考えること
さらに、「テンダー・ラブ(ハート)」というと、それは人間の幸福とは何かということを考えることでもある。ということです。

人間は、だれでも幸福になりたいという気持ちをもっていますが、本当の幸福は求めても得られるものではありません。

メーテルリンク作の『青い鳥』のチルチルとミチルは、青い鳥を探し求めて旅に出ますが、どこにもいません。何日か旅をして帰ってきたら、家のなかにその青い鳥、つまり幸福があったという話ですが、この作品に示唆されているように、幸福は外にあるのではなく、人の心のなかにあるのです。
そして自分が幸福になるだけではなく、希望を失っている人に、小さくてもよいから希望の灯を届けてあげるのが、本当の愛の行為です。
私は何もできないという人がいますが、何もできない人はいません。
悲しみ、悩んでいる人がいたら、そばに行って希望の灯をともしてあげてください。

人間には欲望という厄介なものがあります。
しかし、私たちは誰もが裸で生まれてきたと同じように、地位や財産などの欲望を持って死ぬことはできません。
ささやかなことでも、人の心に希望の灯をともしてあげてこそ、結果として幸福がもたらされるのです。

(「テンダー・ラブ tender love」p56〜57)

実は私もここ最近、仕事に追い立てられてあまり余裕のない日々を送り、ちょっとした壁にもぶち当たっているところでしたが、本日、心あたたかな二人の友人と食事を共にすることができ、癒しと愛を与えてもらえ、まさに、くすみかけていた心に希望の灯がともりました。

まだ、これから乗り越えなくてはならない壁はあるのですが、きっと大丈夫って思えます。

心から、感謝。
本当に、ありがとう。

感謝の心、愛の心、失うことのないように、歩んでいきたいと思います。



あなたの心にも
希望の灯は
ともっていますか?

想像力や創作性がアップする☆大人にもオススメの絵本

大人が見ても楽しい五味太郎さんの仕掛け絵本で感性を育もう


「絵本」という響きに、あなたが思うのはどういったことでしょうか?

子どもの頃に読んだもの、お子さんに読ませてあげるもの、一般的にはそのように考えられていますが、大人の凝り固まった頭と心をほぐすのにも効果を発揮します。
少しでも多くの大人のみなさまに親しんでもらえたら、あたたかくて幸せな世界が広がるのではないかと思っています。

そこでまずご紹介するのは、絵本好きなら誰もが知っている「月刊MOE (モエ) 」という雑誌について。

MOEは絵本のある暮らしを提案する月刊誌で、人気の作家さんや絵本・人気キャラクターをテーマとした特集から、アート・映画・旅・ハンドメイド雑貨・スイーツなど、生活が豊かになる旬の情報が満載です。

月刊MOEのWebサイト

ちなみに、MOEが大人向けであるのに対し、「kodomoe(コドモエ)」という、親子で楽しめる、子どもが喜ぶ付録付きの雑誌(隔月発刊)もあります。
子ども向けとはいえ、こちらも、可愛くて楽しい内容なので、大人だけでも楽しめちゃったりします。

さて、MOE2020年7・8合併号の特集は、「100万冊売れた絵本」でした。
MOEでは、人気の絵本がたくさん紹介されるこういった特集が定期的に組まれます。

売れる絵本特集となると、必ずあがる名作家の一人、五味太郎さん。
今は絵本から遠ざかった人でも、五味太郎さんの絵本は読んだという人は多いかと思います。
今回の特集では、その五味太郎さんのロングインタビューが掲載されていました。

「僕にとって絵本を描くのは仕事じゃない。」
「絵本は『言い切れない』ことの面白さみたいなのがあるんだよ。
文芸は言葉で説明しないと次に話が進まないけど、絵本ていうのは決定事項がないんだ。
僕は、揺れながら進んでいけるメディアとして、絵本を発見したんだよ。」

MOE 2020年7・8合併号 P12、P14より)
そんなことが語られていて、とても興味深く読みました。

表紙のイラストは五味太郎さんの超人気作「きんぎょがにげた
特別付録が素敵だったのもポイント。
クリアファイルは中身が透けて見えるものが使い勝手がよくてgood!
きんぎょがにげたグッズはいろいろ販売されていますが、これは一般販売されていないのです☆

インタビューには、五味太郎さんの代表作である、しかけ絵本シリーズについても取り上げられていました。

五味太郎さんのしかけ絵本は、私も大好きです!
お話の流れに、しかけのデザイン性、それらのアイディアはいったいどうやって生まれてくるのでしょう・・・

私もお気に入り五味太郎さんのしかけ絵本とうさん まいご

「穴からのぞかせたり、しかけを考えていくのは面白いし、僕がつくるのはみんな、基本は自分がほしいと思う絵本。申し訳ないけど、読者は二の次でいいんだよね(笑)」
MOE 2020年7・8合併号 P14より)
そういう思いで作られた絵本は、本当に楽しいです。

ちょっと分かりづらいかもしれませんが、こんな風に部分的に切り抜かれたページを開閉することで前後のページの絵を利用した楽しいお話が展開されます。

面白くて素晴らしいアイディアに、ただただ感心させられるばかりです。
是非、お手に取って見ていただきたいです。

凝り固まった頭と心を柔らかくして、豊かな世界を広げてくれる、絵本。
今後も時々ご紹介していきたいと思います。


あなたの
思い出の絵本は
なんですか?

とうさんまいご (五味太郎・しかけ絵本 (2))

「しあわせ」大切なことに気づける絵本

シンプルな文とイラストで綴られた感動の世界


あなたは「しあわせ」について、考えることがありますか?

本日ご紹介しますのは、スウェーデンの作家 レイフ・クリスチャンソン氏の文による「あなたへ」シリーズより、No.5「しあわせ」という小さな絵本です。

レイフ・クリスチャンソン氏は、元は社会科教師で、こころの問題をテーマにした作品を多数残しています。

挿絵は、ヨーロッパ各地の新聞にユーモア溢れる風刺画を寄稿し、フリーのイラストレーターとして活躍していたディック・ステンベリ氏、日本語訳は、大阪教育大学教授の二文字理明(にもんじまさあき)氏によるものです。

この本のカバー表紙の折り返し部分に記しされた、二文字氏のメッセージは下記の通りです。

この本はスウェーデンで

生まれました。

日々の暮らしの中のささやかな


ちいさなちいさな感動を


見逃すことなく伝えてくれる


そんな本です。


生きることがつらい時


そっと手にとってください。


愛と希望と勇気と夢が


あなたの中に


ふくらんでいきますように。


レイフ氏による文章はとっても短くシンプルなもので、あっという間に読み終えてしまいますが、「しあわせってなに」というフレーズで始まる各ページにおいて、例えば、「欲しい物を手に入れる」/「欲しい物を探し求める」など、相反する概念をかわりばんこに示された表現は秀逸で、ハッと大切なことに気づかされます。

どの対比もこころにジーンとくるのですが、私が最もお気に入りなのはこちらです。

しあわせってなに

人気者になること



それとも

ひとりぼっちで悲しいときに

だれかが気づいて

心配してくれることだろうか


そして、 この本の最終頁で閉じられる文章は本当に素敵です。
5分もしないで読めてしまう、こころあたたまるこの一冊、是非、添えられた可愛らしいイラストともに、味わっていただけましたら幸いです。


あなたにとって
「しあわせ」とは
どんな状態の時ですか?

しあわせ (あなたへ5)

愛が溢れる本「あなたがいてくれて、ありがとう」

たくさんの「ありがとう」が詰まった、心があたたかくなる、異色の詩集


本日は、瞑想家でエッセイストの宝彩有菜さん作、挿絵はとっても優しいイラストを描かれる石村紗貴子さんによる、「あなたがいてくれて、ありがとう」という素敵な一冊の詩集を紹介させていただきます。


さて、こちらのタイトル「あなたがいてくれて、ありがとう」の「あなた」の対象は、普通に考えれば「人」だと思うのですが、宝彩有菜さんの素晴らしいところは、さにあらず、日常におけるあらゆるモノ・コトに対して、感謝を捧げるというところです。

以下は、宝彩さんによる、この本の『あとがき』です。

朝、元気な太陽が昇ってくるのを見たり、夜、涼やかな満点の星を眺めたりしていると、私は、この大きな宇宙に浮かんでいる「地球」と一緒に宇宙を航行しているのだなあと思います。
たしかに「宇宙船地球号」に乗っているんだなあと。

こんな「宇宙船」があるってことがとても奇跡に思えますし、その宇宙船に同時にみんな乗り合わせてるっていうのも、それもまたまたものすごい奇跡だと思うんです。

そして、そのことを「すごいね、すごいね」って喜び合えるって、本当に、涙が出るほど、嬉しいですし、本当にありがたいことだなあと思います。


そうおっしゃる宝彩さんの詩は、どれも、対象とされるモノ・コトの発想が素晴らしく、全てが愛情深くて心があたたかくなるので、どれか一つだけを選び出すのは苦難なのですが、この中から、一編を抜粋にてご紹介させていただきますね。

ちなみに、全てが英訳されていて、英語の学習にも繋がりますし、素敵なフレーズは真似させていただいたりして、とても重宝しています♪


あなたがいてくれて、ありがとう。
あなたの姿は見えないけれど、
いつもそばに感じている。
そして、あなたを通して、
私は世界につながっている。
一人じゃないんだって、ちょっと涙ぐむ。

Wind
Thank you for being there.
Although I can’t see you.
I always feel you nearby
And through you,
I am connected to the world.
I’m not alone, I think
– and my eyes mist a little.


この本を読み進めるうちに、当たり前の日常がとても愛おしくなって、生きていられることへの感謝の気持ちが湧いてきます。


なお、この「あなたがいてくれて、ありがとう」は、残念ながら、現在では絶版となっており、あっても中古のみという、大変レアな本です。
私も中古で手に入れ、手放したくはない貴重な一冊です。
個人的には、石村紗貴子さんによる挿絵がカラーだったらもっと良かったのにと思ったりしています。
カラーイラストで再販されたら、間違いなく購入しますね☆


あなたの日常で
「ありがとう」を伝えたいのは
[何 ]ですか?

↓その後チェックしたところ、2022年3月時点、(中の挿絵はカラーではないとは思いますが)Amazonでの取り扱いがあるようです!

日々の流れのなかで大切にすべきこと

行為の意味〜黎明の季節 より


本日、2020年8月4日。
今年の日本は、冷たい雨の日が続き、このまま夏は来ないのではないかと思うほどでしたが、ようやく梅雨が明け、涼しかった昨日までと一転、今日は東北も30℃超え。
青空も広がり、なんとなく、人々の顔も明るく見えました。
気温の急激な変化は体にこたえますが、やはり四季がある日本では、夏らしい「夏」を過ごせる方が、嬉しいですね。


当たり前の毎日で忘れがちな、ほんとはとってもありがたい、当たり前の幸せ。

そういったことを、慌ただしい日常の中にも、時々思える時間を持つことができたら、世界はもっと平和になる気がします。

そこで今回は、宮澤章二さん著作「行為の意味」、最終章に当たる「黎明の季節」より、日常の中で大切にすべきことを思い出させてもらえる詩を抜粋してご紹介させていただきます。


ことばの風景

子供がどんなに大きくなっても
青年になり 独立しても
その子が家に帰って来たとき
「おかえり」と 親は言ってやりたい

いつまでも 言ってやりたいのだ
ひとこと ただ「おかえり……」と
けれど 通例 父も母も
この世から消え去ってしまうのは
子供たちより ずっと早い
それが この世の決まりだから
「おかえり」と 親が言える時刻の
そして「ただいま」と 子が答えられる時期の
ことば に込められた宇宙の重さ……

秋風に熱した柿の実のように
なにげない重さで光ることばたちが
人間の世界にはあふれていて
取り交わされることをよろこんでいて

親から子へ伝えられる 家という場所は
−−−おかえり のひと言で明るくなる
−−−ただいま のひと言で暖かくなる


宮澤章二さんが少年たちへと作られた詩ではありますが、これは、むしろ大人の胸に深く染み入るのではないでしょうか。
「おかえり」を言ってくれた人がいなくなってしまったから、または、「おかえり」を言う立場になり、そしてそれは永遠に続くものではないのだと知ったからこそ・・・
日常的な何気ない言葉が、実はとてもあたたかいものなのだということに気づきます。


流れのなかで

聞けるときに 聞いておかないと
決して聞けないコトバがある
言えるときに 言っておかないと
再びは言えないコトバがある

つかめるときに つかんでおかないと
死ぬまで無縁の宝がある
みがけるときに みがいておかないと
光らぬまま朽ちて行く宝がある

得たものを失う その数よりも
得られずに失われたものたちの数の多さ
わずかな知恵と わずかな努力が
それらに触れ得たかも知れないのに……

新春の光がなでる新しい日記は
最初の頁から最後の頁まで 純白
しるせるときに しるしておかないと
二度とは記せない記録がある


年を重ねるごとに、「あのとき、こうしておけば・・・」と思うこと、多くなりますよね。
日々、流れて行くなかで、大切なものを逃さない感度は、大人になるほどに、鈍ります。
でもそれも、気持ち次第。
アンテナを研ぎ澄まして、何かを感じたら、自分の気持ちに正直に生きて、悔いのない人生が送れたらと思います。

関連記事
生きる礎を感じられる本「行為の意味」/宮澤章二氏著作の詩集「行為の意味 ―青春前期のきみたちに」
人間の原点とは、生き、歩くこと/行為の意味〜出発の季節 より
自分を信じて進む/行為の意味〜前進の季節 より
強くあたたかく生きる心/行為の意味〜結実の季節 より


あなたが日々の中で
大切にしていることは
なんですか?

行為の意味―青春前期のきみたちに

強くあたたかく生きる心

行為の意味〜結実の季節 より


これまで、宮澤章二さんの本「行為の意味(ごま書房新社出版)」より、心に響く詩を、各章より一部ご紹介させていただいております。

「行為の意味―青春前期のきみたちに」宮澤 章二(著) ごま書房新社


「風と光の詩人」とも呼ばれる詩人、宮澤章二さん。
2010年に出版された本「行為の意味 ―青春前期のきみたちに」は、タイトルにある通り、青春前期の若者=中学生を対象に書かれた詩集ですが、どんよりした現代に生きる大人が美しい心を取り戻すのにも適した一冊ではないかと思います。
老若男女、多くの方々に読んでいただけたら、あたたかい世界が広がる気がします。

今回は、一番初めにご紹介した、「〈こころ〉はだれにも見えないけれど、〈こころづかい〉は見える」の一節で知られる代表作『行為の意味』も収録されている三番目の章「結実の季節」より、抜粋させていただきます。


強く そして あたたかく


強く そして あたたかく生きるために
地球上の人間たちは 生まれて来た
冷たい心 荒れる心 で生まれる人間など
初めから この世には 一人もいない

さまざまな風景を見せる この地球には
貧しさに耐えつつ生きる民族も いる
飢えに苦しみながら暮らす民族も いる

一度でもそれを考えたことはないか
実りの大地に 飢える不安もなく生きる
その幸せを 一度でも思ったことがあるか

光る風のなか 鮮やかな緑にいだかれる夏
一つしかない命 の自分の胸に手を当て
<強くあたたかかく生きる心>を確かめよう
燃えて脈打つ何かが 指に触れはしないか


2020年7月30日現在、ジメジメした毎日が続いてはいますが、梅雨が明けたら、夏の緑を感じられる場所にでも訪れて、こういった一編の詩に思いを馳せてみるのはいかがでしょうか・・・

関連記事
生きる礎を感じられる本「行為の意味」/宮澤章二氏著作の詩集「行為の意味 ―青春前期のきみたちに」
人間の原点とは、生き、歩くこと/行為の意味〜出発の季節 より
自分を信じて進む/行為の意味〜前進の季節 より


あなたの胸にも
脈打つ何かを
感じませんか?


「行為の意味―青春前期のきみたちに」宮澤 章二(著) ごま書房新社
「行為の意味―青春前期のきみたちに」宮澤 章二(著) ごま書房新社

人間の原点とは、生き、歩くこと

行為の意味〜出発の季節 より


ここ最近、憂いなニュースが続きますね。
災害やウィルスなどで望まない死を遂げる人がいる一方、自ら命を絶つことを選ぶ人も絶えなくて、人間の世界って儚いな、と感じます。

生きているのが辛い、という思いを抱えて、必死で生きている人は想像以上にいると思いますし、特別な辛いことがなくとも、生きている意味がわからない・・・そういう思いを抱えている人も、この現代では、たくさんいらっしゃるのではないかと思います。

命ってなんなんだろうか・・・
自分はなんでこの世に生を受けたんだろうか・・・

生きる意義を見出せずにもんもんとしてしまうような、そんな時。
心に静寂がもたらされそうな詩を、先日ご紹介しました宮澤章二さん著作「行為の意味」より、今回は一番初めの章「出発の季節」から、抜粋して紹介させていただきます。


原点について

鳥が鳥である 原点
それは つばさを持ったこと
魚が魚である 原点
それは 水中に生まれたこと

ぼくらは ぼくら人間の原点について
一度でも考えてみたことがあるか……

鳥たちは つばさを持ったから 飛ぶ
魚たちは 水中に生まれたから 泳ぐ

ぼくら人間は 直立する人類として
生き 歩く その意識を初めから持った

−−−歩いていこう 生きていこう
それが 意思する人間の原点であるなら
ぼくらは 常に その原点に立とう


自分の生きる使命を見いだすことができたら幸運でしょうけども、何も、それが全て、というわけではないのかもしれません。
人間は、生き、歩くもの。ただ、それだけ。
そう肩の力を抜いて生きるのも一つなのではないかと考えられれば、だいぶラクになりそうな気がします。

でも、そんな怠慢ダメな気がする、と思ってしまう真面目なかたには、こちらの一編はいかがでしょう。


人間として生きたい

ふと怠けたくなる日があるんだよ
なんにもしたくない日があるんだよ
ぼくらは 生きている人間なのだから
調子の悪いときだって ずいぶんあるんだ

人生を歩き続けるためには 意志が必要で
意志は 鍛えることで強くなるのだから
ぼくらは その努力をしなければならない

努力するのが 人間のつとめで
最初から放棄するわけにはいかない
そんな みっともないことは出来ないよ
ぼくらは人間として生きたいのだから

怠けたい日には ちょっと怠けていい
後ろめたい思いなんか捨てていいんだよ
怠けながら力を蓄えることだってあるんだ


あくせくしすぎて、十分な充電も出来ずに走り続けるよりも、生きるためゆえの休息。
何が本当に大切なのかを考えるための時間を持つこと。
せっかくいただいた命だからこそ・・・

関連記事
生きる礎を感じられる本「行為の意味」/宮澤章二氏著作の詩集「行為の意味 ―青春前期のきみたちに」
自分を信じて進む/行為の意味〜前進の季節 より
強くあたたかく生きる心/行為の意味〜結実の季節 より


あなたは
エネルギーチャージ
できていますか?



「行為の意味―青春前期のきみたちに」宮澤 章二(著) ごま書房新社
「行為の意味―青春前期のきみたちに」宮澤 章二(著) ごま書房新社