「感じる力」EQ とは

How Do You Feel Now ?


EQという言葉をご存知ですか?
そして、
How do you feel now?
あなたは自分の今の気持ちと向き合う時間を取っていますか?


私がEQについて知ったのは、以前研究機関に勤めていた際、皆さん頭のいい人たちばかりだけど、どこか心が荒(すさ)んでいないか、なんだか人としての心が欠けていないだろうか?といったことを感じ、私自身の心も喪失していきそうな危機感を覚え、その時に手に取った本『EQ 「感じる力」の磨き方』(高山直著作、東洋経済新報社出版)を読んだことがきっかけです。


IQ:Intelligence Quotient <知能指数>については一般的ですね。
人の知能の基準を数値化したもので、簡単に言うと、頭の良さのレベルを表す指標とでも言いましょうか。
対して、
EQ:Emotional Intelligence Quotient <心の知能指数=感情能力>
emotionalは、感情のとか情緒のという意味です。頭の良し悪しというよりも、すなわち感情コントロールができるレベルを表すものです。

EQについては比較的新しい概念のため、定義はまだはっきりしていないということですが、EQ理論の開発は、1980年代にアメリカの心理学者ピーター・サロベイ博士とジョン・メイヤー博士の発案に基づくと言われています。

感情に関する理論が、論理や数に関する理論と同じくらいに重要である」というのが、EQ理論の考え方です。

感情は自然に生まれ、職場や家庭の至るところ、人生のあらゆる場面にあふれており、感情は情報の源である。
感情は、人生を豊かにすることができるが、妨げとなることもある。
そして、私たちは感情を無視できるが、感情は存在し続ける。
だから、感情を無視するのではなく、感情を上手に管理し、利用することが大切なのだ。
ということなんですね。


EQ 「感じる力」の磨き方』の著者である高山直氏もピーター・サロベイ博士とジョン・メイヤー博士と研究を共にしたとのことで、EQに関わることとなった時に、彼らEQ理論提唱者たちに会うたびに言われたのが
How do you feel now ?
だったのだそうです。
日常生活で感情を意識し、気持ちを「感じる」ことの大切さを学んでほしくて「今の気持ちは?」と聞かれていたのだろうとのこと。


そういえば、
ご機嫌いかが?とか調子どう?(英語だとHow are you?
とは聞いても、例えば、試合で勝ったとか、賞を受賞した時なんかはよく使いますが、挨拶がわりとして
今の気持ちどう?How do you feel now?
とはそうそう聞きませんよね。

残念なことに、日本人は、流行りや人の気持ちに流されやすいだとか、自分の気持ちにフタをしてしまう人が多いためか、EQレベルも低い(※)と言われています。

※2019年1月に発表された、EQのグローバルネットワーク・シックスセカンズの調査によると、日本のEQスコアは世界最下位、健康水準はメンタルヘルスへのアクセスの低さ、幸福度117か国中54位という背景から、中央値を下回ったとのこと。(参照サイト:日刊工業新聞

日頃から「今の気持ちは?」と自分自身に問いかけ、感情と向き合い、心を鍛える必要があるのかもしれません。


ところで、最近、「エモい」なんて言葉が若者の間で使われますが、これもemotionalから来ていて、感情が高まって強く訴えかける心の動きを表現する言葉とされています。
趣がある、切ない、郷愁を感じるなど、それらも含めた表現で、便利な言葉なので、私も稀に若いフリして使うのですが。

しかし、何でもかんでも「エモ〜い」でまとめてしまい、これだけに頼っていると語彙力が低下するとも言われています。
語彙力が低下するとは、即ち心の豊かさも損なわれていくことに繋がります。
言語を与えられた人間は、言葉で(口に出す出さない関わらず)表現することで心を豊かにすることができる生物だからです。

普段から自分の引き出しに多くの言葉を入れておくようにして、感情表現する時には、なるべく自分で考えて、豊かな表現をするようにしたいですね。


あなたは
感情をマネジメント
できていますか?



「「感じる力」の磨き方」高山 直 (著) 東洋経済新報社
「EQ「感じる力」の磨き方」高山 直 (著) 東洋経済新報社

幸せ指数が高い「与える人」Go-Giver

与えれば与えるほど、その人は多くを得る


あたえる人があたえられる』日本語版ではそうタイトルがつけられた本(海と月社 )。
2008年に米国で出版され、各国でベストセラーとなった『THE GO-GIVER』は、「21世紀のデール・カーネギー」の異名を持つ元トップセールスマンのボブ・バーグ&ベテランライターのジョン・デイビッド・マン(山内あゆ子訳)の共著です。

※デール・カーネギー(Dale Breckenridge Carnegie):1888年アメリカのミズーリ州出身の、話し方(スピーチ)に関する研修講師であり作家で、自己啓発業界の偉人と言われる。著作『人を動かす(How to Win Friends and Influence People)』と『道は開ける』(How to Stop Worrying and Start Living)』が今でもベストセラー。


ところで、これとよく比較されるものに『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 』(アダム・グラント/三笠書房)という本もあります。
こちらの方がここ最近も人気で、書店の話題の本のコーナーに並んでいるのを見かけることもあります。
しかしながら結構分厚く、論理的で細かな描写で綴られているので、読書好きさんじゃないとハードルが高いかもしれません。


その点、『あたえる人があたえられる(THE GO-GIVER)』の方は、『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 』のちょうど半分くらいで、内容も物語形式になっていますので、多くのかたが楽しめる作りではないかと思います。

ちなみに私も、購入した時はゆっくりじっくり読むつもりでいたのですが、文章が平易で読みやすく、物語がよく出来ていて、先が気になってしまって、結局一晩で読み終えました。

常に自分のことで頭がいっぱいだった主人公のジョーが、出会った初日から自分に感謝を示してくれたビンダーという紳士から、数名のお手本となる人物を紹介してもらいながら学びを得て、変わってゆく物語で、全部で14章で構成されています。
各章のタイトルは以下の通りです。


主人公のジョーと読者は、全部で5つの法則を学ぶことになります。


誰だって、「与えられたい」。
でも、いつも「ない」ことを嘆いて「ほしい」とばかり思って生きていても豊かな人生など送れない。
「得る・取る・奪う」ことに躍起になるよりも、「与える」ことに心を尽くせば自ずと人生は豊かになる。

与えることで人に喜ばれれば自分も嬉しく幸せな気分になるし、そればかりか、その利他の心が、やがては他力を得る。
そして、そうやって与えられたものを心を開いて受け取ることで好循環が生まれる。
そんなことを教えてくれる一冊です。


あなたは与えられたい人?
それとも
与えたい人ですか?



忠実さと、人間のふれあいを忘れない心を

不安な現代にこそ多くの人に知ってほしいマザー・テレサの言葉


先日、栃木に行って来ました。
過去に勤めていた職場で自ら命を絶ってしまった人がいて、その人のご実家が栃木のため、それから毎年必ず、お焼香をしに訪れるようにしているためです。

私も、兄であり父のような存在だった叔父が、震災で心を病んで命を絶ってしまったこともあって、元職場で亡くなったかたのご両親とは心が通ずるところもあり、悲しいきっかけではあるのですが、同胞のような良い関係を築いています。

このご夫婦の亡くなった息子さんにしろ、私の叔父にしろ、亡くなってから数年の月日は経っていますが、その悲しみは、消えることはありません。

確かに、時間が癒してくれている部分はあります。
「運命ということなのかもしれない、起きてしまったことは仕方がないし、残された私はその死を無駄にしないような生き方をして行こう」と、嘆いてばかりいられないことを、私たちは悟ることができています。

しかしやはり、「なぜ死んでしまったの、あなたが突然いなくなってしまったことはあまりにも悲しすぎる」という気持ちは、ずっと残っています。
この気持ちが消えることはないでしょう。
平常時は考えないようにしていても、ふと考え始めれば、涙は勝手に溢れてきます。

今、コロナの問題によって、世界で自殺者が急増しているといいます。
特に、この日本ではその数が多く、コロナの感染によって招かれる死亡者数以上であることが、海外からも驚かれているほどとのことですね。
そもそもとして日本は、裕福で平和な国と言われながらも、メンタルヘルスの大きな問題を抱えていることが、この悲しい現実に繋がっているという見方もあります。

自分の心に抱える苦悩を人に言えない重圧な環境、そして、そんな本来であれば違和感のある環境を、当たり前と感じてしまっている人々・・・

このような時代だからこそ、自分たちの感覚がおかしくないか、人としての感情とはどういったものであるかを、思い直す必要があるのではないかと感じています。

そんな中で、一人でも多くのかたに今一度触れてほしいと思うのが、マザー・テレサの言葉です。

マザー・テレサを知らない人の方が少ないでしょうけれども、改まって触れたことがあるという人はあまりいないのではと思いますので、ここで少しご紹介したいと思います。

人間のほほえみ、人間のふれあいを

忘れた人がいます。


これはとても大きな貧困です。


先に述べた日本の抱える「メンタルヘルスの問題」というのは、マザー・テレサの言葉を借りて言えば、「心の貧しさ」ではないでしょうか。

心からの楽しさや嬉しい気持ち、幸せな気持ち、感謝の気持ちで笑顔になれているか、うわべだけでない本当の心の触れ合いを持てているか。

一人ひとりが心から笑える日々を送り、損得なしで人間関係を育くんでいくことで、本当の豊かな社会に繋がっていくのではないかと思います。

神が私に望んでいらっしゃるのは、
事業を成功させることではなく、
忠実に生きることなのです。

神と相対して生きているとき、
大切なのは結果ではなく、
忠実さなのです


小さな事に忠実でありなさい。

小さな事の中に

あなたの強さが宿るのですから


ここでマザーの言う『忠実でいる』ってどういうことでしょう?
私は、正直に生きるとか、自分の信念をブレさせないこと、等身大の自分を大切にする、心を込めて物事に取り組むとか、そういうことかなと思っています。

小さなことにも忠実に、そして人としてのあたたかい感情を失わないように生きていきたいです。

なお、マザー・テレサに関しては、報道写真家の沖守弘氏の著作「マザー・テレサ あふれる愛(講談社青い鳥文庫)」について述べた記事もありますので、よろしければ、こちらも併せてご覧いただけましたら幸いです。

愛の人 マザー・テレサ その1/マザー・テレサを取材し続けた沖守弘氏
愛の人 マザー・テレサ その2/マザー・テレサを取り巻く人々

関連記事
叔母の愛とクロネコヤマトさん/私が生活できている理由


あなたは
日々に違和感を
感じていませんか?

心を健やかで穏やかに保つヒント集「上手な心の守り方」

枡野俊明住職による禅的心のセルフケア
「上手な心の守り方: 不安、悩み、怒りをこじらせない、99のヒント」枡野俊明(著) 知的生きかた文庫

先日、尊敬するかたとしてご紹介させていただいた枡野俊明ご住職による本
上手な心の守り方 〜不安、悩み、怒りをこじらせない、99のヒント〜
ですが、既に希少なようですね・・・
これも、ストレス社会と言われる現代のあらわれかと思います。

先日の記事↓
本当の幸せに繋がる枡野俊明住職の教え/まずは「上手な心の守り方」からご紹介




こちらの本は、全章において、右側のページに文言が一言書かれて、左側のページにその解説がなされ、見開き1ページで一つのポイントに絞られているので、活字が苦手なかたでも触れやすく、万人にとても親しみやすいものとして構成されています。
本好きなかたなら、スラスラ、一晩で読み終えてしまうと思います。

私の場合、本を読む時は、感銘を受けた部分や、自分の中で大切にしたいと感じた部分には、線を引いたり、付箋をつけたり、少なくとも端っこを折ったりして、後から見直した時にも印象に残った部分であったことをわかるようにしているのですが、この「上手な心の守り方」はこんな感じで、だいぶ折り目がついてしまっています。
この本を購入した時はまさに心が弱っている時だったので、なおさらだったのだろうと思います。

現在の私は回復しているので、今ならこれほど印はつかないと思いますが、調子がそれなりに良い時こそ、忘れてはならないなと感じる部分もたくさんあったりします。


さて今回は、頑張ってもうまくいかない自分に落ち込む時や、自分以外のできない誰かの言行にイライラしてしまうような時に、思い出したいメッセージからピックアップして、ご紹介させていただきますね。

1章 まず、自分を嫌わない
 〜「心を守る」ための絶対のルール
 より


不完全でよしとする



「完璧」なんて、世の中にない


すぐに「自分の努力不足のせい」にするのをやめよう


上手な心の守り方 p.20-21


禅では「完璧」「完全」という概念を否定する。
西洋では、寸分も狂いなく左右対称、これ以上の入れようがない形を「完全な美」とするのに対し、禅に立脚した美意識を持つ日本では、その完全を一度壊して、自身の思いや人間性などを加えていく。たとえば抹茶茶碗の形のゆがみや色ムラなどのあるものが「不完全の美」として尊重される。

「物事にはすべて完全・完璧はない

「どこまで行っても、その先に努力の世界が開けている」

努力に終わりはないのだから、常に努力が不足していて当たり前。
何かうまくいかないことがあるから「努力不足」なのではなく、うまくいこうがいくまいが、さらに努力する余地がある、ということ。
うまくいかないからと自分の努力不足のせいにして落ち込むことに意味はないと考え、「不完全の完全」を目指すことこそが尊いのだ。

そのように、枡野俊明ご住職は教えてくださっています。
努力に終わりはないのだから、常に努力が不足していて当たり前」という発想、目から鱗ですね。
そして、「不完全の美」から「不完全の完全」とは、深い哲学ですが、この禅的思考は素敵ですし、心の拠り所としたいです。


あなたは
完璧だけを
求めていませんか?


「上手な心の守り方: 不安、悩み、怒りをこじらせない、99のヒント」枡野俊明(著) 知的生きかた文庫
「上手な心の守り方: 不安、悩み、怒りをこじらせない、99のヒント」枡野俊明(著) 知的生きかた文庫

「さあ、本当の自分に戻り幸せになろう」を読んで軌道修正

人生は、いつからでも、新しいスタートを切ることができる


ここほんの数ヶ月ですが、「なんでそんなにバカなんだ」「イライラする」「気が利かねー奴だな」「役立たず」そんな罵声を浴びせられています・・・

おそらく、そういう言葉がけによる人材教育方法という、その人独特の美学みたいなのがあってなのだと思いますが、こういうやり方で指導されて、モチベーションが上がる人って一体どれだけいるのでしょう?

確かに私に不備があるから言われるわけで、私が完璧になればいいのかもしれないけれど、もうこんなことに耐えられん!と思ってしまうのは、私だけでしょうか・・・?

耐えられんと言いつつも、私の場合、これまでいろいろ辛い厳しい経験はしてきている分、いい意味でも悪い意味でも鍛えられているので、「コンチクショー」的な気持ちでムキになって頑張ることはできなくはないのです。
でもそれは、「モチベーションが上がって」頑張るのとは、全く意味が違う訳で。

こんなの、精神衛生上いいはずがない。
どんな間柄であろうと、相手に罵声を浴びせることを平気でするような人を尊敬することもできない。
そういう人と限られた時間を共ににするのは無駄ではないか?
しかし、そう考える私の方が甘いのか?

そんなことを思って心がすさんでいきつつある矢先、本屋さんでふと目につき、購入して一気に読み終えた本がこちら↓

さあ、本当の自分に戻り幸せになろう」( ディスカヴァー・トゥエンティワン出版)

さあ、本当の自分に戻り幸せになろう」はNYタイムズ・ベストセラーというわけで、著者は、マーク&エンジェル・チャーノフ(Marc Chernoff and Angel Chernoff )さんというアメリカのご夫婦です。
お二人による、毎月200万PVのアクセス数を誇るブログ “Marc & Angel Hack Life” を書籍化されたものが、今年(2020年)7月に日本でも発刊されベストセラーとなっています。

本書より、私の気持ちがとてもラクになったのはこの部分↓

他人のネガティブな感情に振り回されない



人から粗末に扱われても、自分らしさを貫いてください。
他人の恨みに引きづられて、自分を変えてはいけません。
代わりに、その相手を反面教師にして、自分の熱意と集中力を保ってください。

とくに、自分を不十分だと言う相手に好印象を与えるためだけに自分を変えてはなりません。
何をしても、どんなにきちんとやり遂げても、陰口をたたく人はいます。
何かを強く信じているなら、そのために闘うことを恐れてはなりません。

(「さあ、本当の自分に戻り幸せになろう」p.193)

あなたは、1年前、1カ月前、1週間前のあなたと同じではありません。」と、「人生は、いつからでも、新しいスタートを切ることができる」のだと、この本は教えてくれます。
自分の気持ちに正直になることを後押しされ、幸せだと感じるための行動を起こすことに前向きになれました。

私は心のあたたかい人たちと繋がって、穏やかで安らぎのある世界に生きたいんだった。
これだけは、もう絶対ブレさせたくない。

そう、改めて思いました。

そして、捨てる神あれば拾う神ありで、ちょうどこのタイミングで、心が広く愛の活動に勤しんでいらっしゃる尊敬するかたからお声がけされたもので、「尊敬するかたから私が必要だと言われた。私などはあなたにとっては役立たずで申し訳ないので、そのかたに付いて行き、一からやり直したい」と、前出の罵声の主サマへは伝え、再び新たなスタートを切ることになりました。

今の淀んだ環境から抜け出せるとはいえ、再び新しい環境に臨まなくてはならなくなることには、正直、とても大きな不安もあり、悩みましたが、人生には限りがあるわけで、騙しだましで不毛な時間を過ごして、後から後悔するようなことにはなりたくないのです。

どこに行っても試練はつきもの。
その遭遇した壁は乗り越えることに意味があるのかどうか、本当の自分の幸せに繋がるのかどうかを見極め、時には無理に壁を超えようとせず、回避することも必要ではないでしょうか?

より良い人生を送るためにも、軌道修正は早い方が良い。
自分に嘘はつかずに生きて、幸せを取り戻していきたいと思います。


あなたは
本当の自分
を生きていますか?

さあ、本当の自分に戻り幸せになろう 人生をシンプルに正しい軌道に戻す9つの習慣

愛とは、誰かの心に 希望の灯をともすこと

心に留めておきたい、愛の医師 日野原重明先生からのメッセージ


少し前になってしまうのですが、「人間が人間を愛したり尊敬したりするあたりまえの心を狂わせてはならない」と愛を訴える、心あたたかな医師、日野原重明先生の著書「テンダー・ラブ tender love」について、概要のみを紹介させていただきました。

過去の投稿「テンダー・ラブ tender love/日野原重明先生の愛すべき名著


この本について、その後、興味を持たれた方からリクエストをいただきましたので、私がお気に入りの一部を、抜粋にて紹介させていただきたいと思います。

愛には、与える愛と受ける愛とがあり、愛はその二つの思いと行動のバランスのなかに成り立つものです。
コップに水を注ぐことなくしてコップに水を受けることばかりしておれば、容器はだんだんひからびたものになってしまいます。
クリスタル・ガラスのように透明だった心の器も、不透明な重い陶器のようになって、あなた自身にも自分の心が透けて見えなくなります。

あなたが愛に飢えてやるせない気持ちになったとき、もう一度あなた自身、すなわち内なるあなたのなかで会話をしてみてください。

どんな日常の仕事や家庭内の雑事で忙しい思いを持つ方でも、朝、目覚めたひととき、または夜のひととき、床のなかで眼をつむったまま、深い息を数回繰り返してから内なる自分に問いかけてみてください。

自分は本当に愛を相手に注いでいたかと。

自分は、愛の息吹で相手の心を満たすことよりも、受けることばかりを考えてはいなかったかと。 


これは、文庫「テンダー・ラブ tender love」より、第二章「愛とは、誰かの心に希望の灯(ひ)をともすこと」の中の小タイトル「愛を感じられなくなった夫婦へ」の前半部(p42〜43)の内容ですが、夫婦間だけのことではなく、どんな関係性でも大事にすべきことではないかと思います。

夫婦、兄弟、友人、仕事仲間・・・
人は支え合って生きているのだから、相手に求めるような言動ばかりしていては、人は離れ、孤独になっていくばかり。

また、忙しい日々に追われていると、周りのことだけでなく、自分の心さえも見失いがちで、心はどんどん曇ったものになっていってしまいます。
そうならないためにも、「自分に語りかけをする時間をまず持つことが大切」と日野原先生はおっしゃいます。


そして同じく、この第二章の中の小タイトル「テンダー・ラビング」(p54〜58)において、テンダー・ラビング・ケア(tender loving care)について、教えてくださいます。

「テンダー」とは、愛を形容する最高の表現であり、自分に何ができるかをまず考えること
さらに、「テンダー・ラブ(ハート)」というと、それは人間の幸福とは何かということを考えることでもある。ということです。

人間は、だれでも幸福になりたいという気持ちをもっていますが、本当の幸福は求めても得られるものではありません。

メーテルリンク作の『青い鳥』のチルチルとミチルは、青い鳥を探し求めて旅に出ますが、どこにもいません。何日か旅をして帰ってきたら、家のなかにその青い鳥、つまり幸福があったという話ですが、この作品に示唆されているように、幸福は外にあるのではなく、人の心のなかにあるのです。
そして自分が幸福になるだけではなく、希望を失っている人に、小さくてもよいから希望の灯を届けてあげるのが、本当の愛の行為です。
私は何もできないという人がいますが、何もできない人はいません。
悲しみ、悩んでいる人がいたら、そばに行って希望の灯をともしてあげてください。

人間には欲望という厄介なものがあります。
しかし、私たちは誰もが裸で生まれてきたと同じように、地位や財産などの欲望を持って死ぬことはできません。
ささやかなことでも、人の心に希望の灯をともしてあげてこそ、結果として幸福がもたらされるのです。

(「テンダー・ラブ tender love」p56〜57)

実は私もここ最近、仕事に追い立てられてあまり余裕のない日々を送り、ちょっとした壁にもぶち当たっているところでしたが、本日、心あたたかな二人の友人と食事を共にすることができ、癒しと愛を与えてもらえ、まさに、くすみかけていた心に希望の灯がともりました。

まだ、これから乗り越えなくてはならない壁はあるのですが、きっと大丈夫って思えます。

心から、感謝。
本当に、ありがとう。

感謝の心、愛の心、失うことのないように、歩んでいきたいと思います。



あなたの心にも
希望の灯は
ともっていますか?

「しあわせ」大切なことに気づける絵本

シンプルな文とイラストで綴られた感動の世界


あなたは「しあわせ」について、考えることがありますか?

本日ご紹介しますのは、スウェーデンの作家 レイフ・クリスチャンソン氏の文による「あなたへ」シリーズより、No.5「しあわせ」という小さな絵本です。

レイフ・クリスチャンソン氏は、元は社会科教師で、こころの問題をテーマにした作品を多数残しています。

挿絵は、ヨーロッパ各地の新聞にユーモア溢れる風刺画を寄稿し、フリーのイラストレーターとして活躍していたディック・ステンベリ氏、日本語訳は、大阪教育大学教授の二文字理明(にもんじまさあき)氏によるものです。

この本のカバー表紙の折り返し部分に記しされた、二文字氏のメッセージは下記の通りです。

この本はスウェーデンで

生まれました。

日々の暮らしの中のささやかな


ちいさなちいさな感動を


見逃すことなく伝えてくれる


そんな本です。


生きることがつらい時


そっと手にとってください。


愛と希望と勇気と夢が


あなたの中に


ふくらんでいきますように。


レイフ氏による文章はとっても短くシンプルなもので、あっという間に読み終えてしまいますが、「しあわせってなに」というフレーズで始まる各ページにおいて、例えば、「欲しい物を手に入れる」/「欲しい物を探し求める」など、相反する概念をかわりばんこに示された表現は秀逸で、ハッと大切なことに気づかされます。

どの対比もこころにジーンとくるのですが、私が最もお気に入りなのはこちらです。

しあわせってなに

人気者になること



それとも

ひとりぼっちで悲しいときに

だれかが気づいて

心配してくれることだろうか


そして、 この本の最終頁で閉じられる文章は本当に素敵です。
5分もしないで読めてしまう、こころあたたまるこの一冊、是非、添えられた可愛らしいイラストともに、味わっていただけましたら幸いです。


あなたにとって
「しあわせ」とは
どんな状態の時ですか?

しあわせ (あなたへ5)

愛が溢れる本「あなたがいてくれて、ありがとう」

たくさんの「ありがとう」が詰まった、心があたたかくなる、異色の詩集


本日は、瞑想家でエッセイストの宝彩有菜さん作、挿絵はとっても優しいイラストを描かれる石村紗貴子さんによる、「あなたがいてくれて、ありがとう」という素敵な一冊の詩集を紹介させていただきます。


さて、こちらのタイトル「あなたがいてくれて、ありがとう」の「あなた」の対象は、普通に考えれば「人」だと思うのですが、宝彩有菜さんの素晴らしいところは、さにあらず、日常におけるあらゆるモノ・コトに対して、感謝を捧げるというところです。

以下は、宝彩さんによる、この本の『あとがき』です。

朝、元気な太陽が昇ってくるのを見たり、夜、涼やかな満点の星を眺めたりしていると、私は、この大きな宇宙に浮かんでいる「地球」と一緒に宇宙を航行しているのだなあと思います。
たしかに「宇宙船地球号」に乗っているんだなあと。

こんな「宇宙船」があるってことがとても奇跡に思えますし、その宇宙船に同時にみんな乗り合わせてるっていうのも、それもまたまたものすごい奇跡だと思うんです。

そして、そのことを「すごいね、すごいね」って喜び合えるって、本当に、涙が出るほど、嬉しいですし、本当にありがたいことだなあと思います。


そうおっしゃる宝彩さんの詩は、どれも、対象とされるモノ・コトの発想が素晴らしく、全てが愛情深くて心があたたかくなるので、どれか一つだけを選び出すのは苦難なのですが、この中から、一編を抜粋にてご紹介させていただきますね。

ちなみに、全てが英訳されていて、英語の学習にも繋がりますし、素敵なフレーズは真似させていただいたりして、とても重宝しています♪


あなたがいてくれて、ありがとう。
あなたの姿は見えないけれど、
いつもそばに感じている。
そして、あなたを通して、
私は世界につながっている。
一人じゃないんだって、ちょっと涙ぐむ。

Wind
Thank you for being there.
Although I can’t see you.
I always feel you nearby
And through you,
I am connected to the world.
I’m not alone, I think
– and my eyes mist a little.


この本を読み進めるうちに、当たり前の日常がとても愛おしくなって、生きていられることへの感謝の気持ちが湧いてきます。


なお、この「あなたがいてくれて、ありがとう」は、残念ながら、現在では絶版となっており、あっても中古のみという、大変レアな本です。
私も中古で手に入れ、手放したくはない貴重な一冊です。
個人的には、石村紗貴子さんによる挿絵がカラーだったらもっと良かったのにと思ったりしています。
カラーイラストで再販されたら、間違いなく購入しますね☆


あなたの日常で
「ありがとう」を伝えたいのは
[何 ]ですか?

↓その後チェックしたところ、2022年3月時点、(中の挿絵はカラーではないとは思いますが)Amazonでの取り扱いがあるようです!

日々の流れのなかで大切にすべきこと

行為の意味〜黎明の季節 より


本日、2020年8月4日。
今年の日本は、冷たい雨の日が続き、このまま夏は来ないのではないかと思うほどでしたが、ようやく梅雨が明け、涼しかった昨日までと一転、今日は東北も30℃超え。
青空も広がり、なんとなく、人々の顔も明るく見えました。
気温の急激な変化は体にこたえますが、やはり四季がある日本では、夏らしい「夏」を過ごせる方が、嬉しいですね。


当たり前の毎日で忘れがちな、ほんとはとってもありがたい、当たり前の幸せ。

そういったことを、慌ただしい日常の中にも、時々思える時間を持つことができたら、世界はもっと平和になる気がします。

そこで今回は、宮澤章二さん著作「行為の意味」、最終章に当たる「黎明の季節」より、日常の中で大切にすべきことを思い出させてもらえる詩を抜粋してご紹介させていただきます。


ことばの風景

子供がどんなに大きくなっても
青年になり 独立しても
その子が家に帰って来たとき
「おかえり」と 親は言ってやりたい

いつまでも 言ってやりたいのだ
ひとこと ただ「おかえり……」と
けれど 通例 父も母も
この世から消え去ってしまうのは
子供たちより ずっと早い
それが この世の決まりだから
「おかえり」と 親が言える時刻の
そして「ただいま」と 子が答えられる時期の
ことば に込められた宇宙の重さ……

秋風に熱した柿の実のように
なにげない重さで光ることばたちが
人間の世界にはあふれていて
取り交わされることをよろこんでいて

親から子へ伝えられる 家という場所は
−−−おかえり のひと言で明るくなる
−−−ただいま のひと言で暖かくなる


宮澤章二さんが少年たちへと作られた詩ではありますが、これは、むしろ大人の胸に深く染み入るのではないでしょうか。
「おかえり」を言ってくれた人がいなくなってしまったから、または、「おかえり」を言う立場になり、そしてそれは永遠に続くものではないのだと知ったからこそ・・・
日常的な何気ない言葉が、実はとてもあたたかいものなのだということに気づきます。


流れのなかで

聞けるときに 聞いておかないと
決して聞けないコトバがある
言えるときに 言っておかないと
再びは言えないコトバがある

つかめるときに つかんでおかないと
死ぬまで無縁の宝がある
みがけるときに みがいておかないと
光らぬまま朽ちて行く宝がある

得たものを失う その数よりも
得られずに失われたものたちの数の多さ
わずかな知恵と わずかな努力が
それらに触れ得たかも知れないのに……

新春の光がなでる新しい日記は
最初の頁から最後の頁まで 純白
しるせるときに しるしておかないと
二度とは記せない記録がある


年を重ねるごとに、「あのとき、こうしておけば・・・」と思うこと、多くなりますよね。
日々、流れて行くなかで、大切なものを逃さない感度は、大人になるほどに、鈍ります。
でもそれも、気持ち次第。
アンテナを研ぎ澄まして、何かを感じたら、自分の気持ちに正直に生きて、悔いのない人生が送れたらと思います。

関連記事
生きる礎を感じられる本「行為の意味」/宮澤章二氏著作の詩集「行為の意味 ―青春前期のきみたちに」
人間の原点とは、生き、歩くこと/行為の意味〜出発の季節 より
自分を信じて進む/行為の意味〜前進の季節 より
強くあたたかく生きる心/行為の意味〜結実の季節 より


あなたが日々の中で
大切にしていることは
なんですか?

行為の意味―青春前期のきみたちに

強くあたたかく生きる心

行為の意味〜結実の季節 より


これまで、宮澤章二さんの本「行為の意味(ごま書房新社出版)」より、心に響く詩を、各章より一部ご紹介させていただいております。

「行為の意味―青春前期のきみたちに」宮澤 章二(著) ごま書房新社


「風と光の詩人」とも呼ばれる詩人、宮澤章二さん。
2010年に出版された本「行為の意味 ―青春前期のきみたちに」は、タイトルにある通り、青春前期の若者=中学生を対象に書かれた詩集ですが、どんよりした現代に生きる大人が美しい心を取り戻すのにも適した一冊ではないかと思います。
老若男女、多くの方々に読んでいただけたら、あたたかい世界が広がる気がします。

今回は、一番初めにご紹介した、「〈こころ〉はだれにも見えないけれど、〈こころづかい〉は見える」の一節で知られる代表作『行為の意味』も収録されている三番目の章「結実の季節」より、抜粋させていただきます。


強く そして あたたかく


強く そして あたたかく生きるために
地球上の人間たちは 生まれて来た
冷たい心 荒れる心 で生まれる人間など
初めから この世には 一人もいない

さまざまな風景を見せる この地球には
貧しさに耐えつつ生きる民族も いる
飢えに苦しみながら暮らす民族も いる

一度でもそれを考えたことはないか
実りの大地に 飢える不安もなく生きる
その幸せを 一度でも思ったことがあるか

光る風のなか 鮮やかな緑にいだかれる夏
一つしかない命 の自分の胸に手を当て
<強くあたたかかく生きる心>を確かめよう
燃えて脈打つ何かが 指に触れはしないか


2020年7月30日現在、ジメジメした毎日が続いてはいますが、梅雨が明けたら、夏の緑を感じられる場所にでも訪れて、こういった一編の詩に思いを馳せてみるのはいかがでしょうか・・・

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あなたの胸にも
脈打つ何かを
感じませんか?


「行為の意味―青春前期のきみたちに」宮澤 章二(著) ごま書房新社
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