感情をマネジメントできる人でありたい

負の感情とも向き合いつつ、慢心や虚栄心には負けないように


先日投稿したEQ(心の知能指数/感情能力)について、初めて知ったというお声をいただきましたので、もうちょっとだけ述べさせていただきますね。

前回の記事:
「感じる力」EQ とは/How Do You Feel Now ?


この本の中では、以下のように述べらています。

感情の使い方がうまい(EQが高い)人は、気持ちのオン、オフの切り替えが上手です。

気分転換が得意なので、ストレス対処がうまくできます。

また、物事の捉え方、受け止め方も広くなるので、バランスよく考えることができます。

(「EQ「感じる力」の磨き方」p.85 『メンタルヘルスとEQ』より要約して抜粋)


是非ともそういう人でありたいので、自分自身の感情を受け止め、そしてコントロールする能力を高めたいと思うところではありますが、一言で「感情をコントロールする」というと、非常に強制的というか、常に我慢が伴いそうに感じますよね。
でも、そういうことではなくて、我慢することも、我慢しないことも、必要に応じて感情をマネジメント(管理・利用)することが大切ということです。

そして、「気持ちのオン・オフの切り替えが上手」というと、ポジティブな感情を作り出す能力を向上させる必要性を感じますが、ネガティブな感情=負の感情も、生きるエネルギーとなり、自分自身の成長に不可欠な感情であるということも、覚えておきたいことです。

私の場合の例で言うと、このウェブサイトのはじめにでも述べたように、私の周りには震災や病気、事故、中には自ら、命を落とした人が多くいて、それらの悲しみがあってこそ、私は自分自身の命を大事に生きなければならないという気持ちにさせられています。
また、自分自身が辛い思いをしている分、苦しい境遇の人へ寄り添える気持ちも養えていると感じています。

できることなら負の感情に陥るような出来事は起きてほしくないというのが正直なところですが、程度の差はあれ、ネガティブな出来事が全くないという人生はありえないから、負の感情とも向き合って、乗り越えていく力を養うことが大切ですね。


また、例えば「感情は合理性や効率性を邪魔する」と考える人も多いかと思いますが、否、「合理性や効率性と感情は対立するものではなく、協力し合うもの」と捉えるのが、合理性や効率性を実現する人への近道となるということも頭に入れておきたいです。
そもそも人には感情があり、その感情を使って、感情を使われないようにマネジメントする、そういうことでもあると。

最後にもう一つ、これも日頃、心に留めておくべきだなと思った部分を抜粋させていただきます。

感情は大切なものですが、嬉しくて有頂天になり、舞い上がった経験はありませんか?

感情が高まり(高揚)すぎると、足元が見えなくなり、とても危険な状態になります。これを「慢心」と言います。

実は、給料日の直後に物を失くしたり、落としたり、大切なことを壊していることが多いことをご存知でしょうか。

「給料日は、お金がある、何でも買える、どーんとこい!」というこの感情が、気持ちを大きくさせ、舞い上がらせ、油断を招きます。

舞い上がった感情は、目を曇らせて足元を見えなくします。

事故防止には絶対に許されない感情、それが慢心です。

(「EQ「感じる力」の磨き方」p.165-166『「クヨクヨ気分」で慢心を防ぐ』より要約して抜粋)


辞書によると「慢心」とは、おごり高ぶること。また、その心。自慢する気持ち。
そして慢心の対義語は、虚心謙虚などです。

謙虚はよく使われますね。
控え目で、つつましいこと。へりくだって、素直に相手の意見などを受け入れること。

虚心(きょしん)とは、心に何のこだわりも持たずに、素直であること。
虚心を使った四字熟語でよく使われるのが、虚心坦懐で、心になんのわだかまりもなく、静かに落ち着いたおだやかな心で物事に臨むさまのこと。

ちなみに、虚心の間に「栄」が入ると、虚栄心となります。
虚栄心とは、自分を実質以上に見せようと、見えを張りたがる心のこと。


安らげる幸せな環境を創出していくためにも、感情をうまくマネージして、慢心や虚栄心に負けない、謙虚虚心坦懐な人でいられるようにしたいです。



あなたは
負の感情とも
向き合えていますか?




「「感じる力」の磨き方」高山 直 (著) 東洋経済新報社
「EQ「感じる力」の磨き方」高山 直 (著) 東洋経済新報社

「感じる力」EQ とは

How Do You Feel Now ?


EQという言葉をご存知ですか?
そして、
How do you feel now?
あなたは自分の今の気持ちと向き合う時間を取っていますか?


私がEQについて知ったのは、以前研究機関に勤めていた際、皆さん頭のいい人たちばかりだけど、どこか心が荒(すさ)んでいないか、なんだか人としての心が欠けていないだろうか?といったことを感じ、私自身の心も喪失していきそうな危機感を覚え、その時に手に取った本『EQ 「感じる力」の磨き方』(高山直著作、東洋経済新報社出版)を読んだことがきっかけです。


IQ:Intelligence Quotient <知能指数>については一般的ですね。
人の知能の基準を数値化したもので、簡単に言うと、頭の良さのレベルを表す指標とでも言いましょうか。
対して、
EQ:Emotional Intelligence Quotient <心の知能指数=感情能力>
emotionalは、感情のとか情緒のという意味です。頭の良し悪しというよりも、すなわち感情コントロールができるレベルを表すものです。

EQについては比較的新しい概念のため、定義はまだはっきりしていないということですが、EQ理論の開発は、1980年代にアメリカの心理学者ピーター・サロベイ博士とジョン・メイヤー博士の発案に基づくと言われています。

感情に関する理論が、論理や数に関する理論と同じくらいに重要である」というのが、EQ理論の考え方です。

感情は自然に生まれ、職場や家庭の至るところ、人生のあらゆる場面にあふれており、感情は情報の源である。
感情は、人生を豊かにすることができるが、妨げとなることもある。
そして、私たちは感情を無視できるが、感情は存在し続ける。
だから、感情を無視するのではなく、感情を上手に管理し、利用することが大切なのだ。
ということなんですね。


EQ 「感じる力」の磨き方』の著者である高山直氏もピーター・サロベイ博士とジョン・メイヤー博士と研究を共にしたとのことで、EQに関わることとなった時に、彼らEQ理論提唱者たちに会うたびに言われたのが
How do you feel now ?
だったのだそうです。
日常生活で感情を意識し、気持ちを「感じる」ことの大切さを学んでほしくて「今の気持ちは?」と聞かれていたのだろうとのこと。


そういえば、
ご機嫌いかが?とか調子どう?(英語だとHow are you?
とは聞いても、例えば、試合で勝ったとか、賞を受賞した時なんかはよく使いますが、挨拶がわりとして
今の気持ちどう?How do you feel now?
とはそうそう聞きませんよね。

残念なことに、日本人は、流行りや人の気持ちに流されやすいだとか、自分の気持ちにフタをしてしまう人が多いためか、EQレベルも低い(※)と言われています。

※2019年1月に発表された、EQのグローバルネットワーク・シックスセカンズの調査によると、日本のEQスコアは世界最下位、健康水準はメンタルヘルスへのアクセスの低さ、幸福度117か国中54位という背景から、中央値を下回ったとのこと。(参照サイト:日刊工業新聞

日頃から「今の気持ちは?」と自分自身に問いかけ、感情と向き合い、心を鍛える必要があるのかもしれません。


ところで、最近、「エモい」なんて言葉が若者の間で使われますが、これもemotionalから来ていて、感情が高まって強く訴えかける心の動きを表現する言葉とされています。
趣がある、切ない、郷愁を感じるなど、それらも含めた表現で、便利な言葉なので、私も稀に若いフリして使うのですが。

しかし、何でもかんでも「エモ〜い」でまとめてしまい、これだけに頼っていると語彙力が低下するとも言われています。
語彙力が低下するとは、即ち心の豊かさも損なわれていくことに繋がります。
言語を与えられた人間は、言葉で(口に出す出さない関わらず)表現することで心を豊かにすることができる生物だからです。

普段から自分の引き出しに多くの言葉を入れておくようにして、感情表現する時には、なるべく自分で考えて、豊かな表現をするようにしたいですね。


あなたは
感情をマネジメント
できていますか?



「「感じる力」の磨き方」高山 直 (著) 東洋経済新報社
「EQ「感じる力」の磨き方」高山 直 (著) 東洋経済新報社