それで、私としては、過日のハンス・ジマー 初来日公演「Hans Zimmer Live in Japan」(2025年5月、横浜および名古屋にて開催)に行けなかったけれども、これで大好きな映画音楽をライブ映像として映画館の大画面と大音量で楽しめるのであれば良いだろう、特別料金なのもそれなりの理由があるのだろうし…くらいの気持ちで映画館へ足を運んだのでした。
今や鬼才として映画界に君臨する方をこんな風に言うのも恐れ多いことですが、私はこの作品で、監督を務めたクリストファー・ノーラン(Sir Christopher Nolan)の名をしっかりと覚え意識するようになったと記憶してます。 もちろんクリストファー・ノーランの作品はそれ以前のものも観たし、どれも面白いのですが、私には『インセプション』がとりわけ衝撃的だったのです。 その世界観が大好きで、DVDでも繰り返し観ているので、この音楽が映画館の大音量で楽しめて大興奮しました。
そして次の、『パイレーツ・オブ・カリビアン』(原題『Pirates of the Caribbean』)では、あの誰もが聞き覚えある曲の部分で、コンサート会場の盛り上がりも最高潮に。 こちらは、映画『ハンス・ジマー&フレンズ:ダイアモンド・イン・ザ・デザート』の公式ホームページにもアップされている動画をシェアさせていただきますね。
翌日の朝には帰路に就くことになるので、実質フランスでの滞在最終日となる日です。 この日の目的地はヴェルサイユ宮殿(Palais de Versailles)とルーヴル美術館(Musée du Louvre)。 そしてその移動経路として、エッフェル塔(La tour Eiffel)界隈を歩くことを決めていました。
同じくアンヴァリッド(Invalides)駅よりRER(エール・ウー・エール/高速郊外鉄道)のC5線のヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュ(Versailles Château Rive Gauche)行きに乗り換えて30分強で、ヴェルサイユ宮殿の最寄駅であるヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュ駅に到着します。
販売機の画面は地下鉄に乗る時と一緒で、(フランス語はわからないため英語画面に切り替えて)よくよく見たら「Ticket for Paris region(パリ地域(郊外)行きチケット)」という選択肢があり、そこをタッチして操作を進めることでヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュ駅行きの往復券を買うことができました。
そこはまさに、王の権威と富を象徴する一室。 天井には、フランスの宮廷画家として活躍し、ロココ美術を代表する画家として知られるフランソワ・ルモワーヌ(François Lemoyne、1688-1737)による神話絵画「ヘラクレスの神格化(The Apotheosis of Hercules)」が描かれ、壁には、ティツィアーノやティントレットと並んで、ルネサンス後期のヴェネツィアを代表する画家として評価されるパオロ・ヴェロネーゼ(Paolo Veronese、1528-1588)作の「パリサイ人シモン家の晩餐(The Feast in the House of Simon the Pharisee)」が飾られています。
一方、造園家としてヴェルサイユ宮殿の庭園全体の設計を任されたのは、フランス式庭園の様式を完成させたと言われるアンドレ・ル・ノートル(André Le Nôtre、1613-1700)です。 ル・ノートルは、パリの1日目の記録(パリの美術館巡り1 翌朝も再びセーヌ川へと向かって)でも記述した通りチュイルリー庭園(Jardin des Tuileries)も手がけた人物です。
セーヌ川の右岸に位置するオランジュリー美術館に対し、オルセー美術館はセーヌ川の左岸に位置します。 オランジュリー美術館の正面玄関前に広がるコンコルド広場(Place de la Concorde)から対岸へと架けられた、コンコルド橋(Pont de la Concorde)を渡って向かうこととしました。
コンコルド橋 Pont de la Concorde 住所:Pont de la Concorde, 75007 Paris, France
コンコルド橋から眺めるエッフェル塔も風情あり。
コンコルド橋を渡った先に幽玄と佇み、まるでギリシャ神殿を思わせる建物は、ブルボン宮殿(Assemblée nationale – Palais Bourbon)。
最後に、オランジュリー美術館の場所について、世界遺産情報と共に補足します。 前回の記事(https://calm-smile-chain.com/paris-museum-1/)にも記した通り、オランジュリー美術館はルーブル宮殿(Palais du Louvre)の敷地西側に広がるチュイルリー庭園(Jardin des Tuileries)の西端にあります。
旅先ではアートをテーマに観光する私にとって、パリ市内・郊外にある50以上の美術館・博物館に入場することができる観光パス「パリミュージアムパス(Paris Museum Pass)」は必須のアイテムと考え、この2日(48時間)券を、日本を出る前にネットで抜かりなくゲット済みでしたが、このパスで訪れることができるいくつかの施設は予め入館時間を予約しなければならないのです。
そして話は戻りますが、「パリミュージアムパス」で訪れることができる施設の中でも、予め入館時間を予約しなければならない所がいくつかあります。 予約必須施設は、以下の8施設です(2024年3月末日現在)。 ■シテ建築遺産博物館(Cité de l’architecture et du patrimoine) ■コンシェルジュリー(Conciergerie) ■オテル・ドゥ・ラ・マリーヌ(Hôtel de la Marine) ■ユダヤ歴史美術館(usée d’art et d’histoire du Judaïsme) ■オランジュリー美術館(Musée de l’Orangerie) ■ルーヴル美術館(Musée du Louvre) ■サント・シャペル教会(Sainte-Chapelle) ■ヴェルサイユ宮殿(Châteaux de Versailles et de Trianon)
設立年については、フォントネー修道院(Abbaye de Fontenay)の公式HP(https://www.abbayedefontenay.com/ja/)によると1118年とされているので、この1年の違いがなんなのかよくわかりませんが、いずれにせよ、現存する世界で最古のシトー会修道士の大修道院なのだそうです。
さて、お気づきでしょうか? ここでも出てきましたね、聖ベルナール(St Bernard)。 前日に訪れた世界遺産「ヴェズレーの教会と丘(Vézelay, Church and Hill/Basilique et colline de Vézelay)」に関わった人物で、ユネスコHPでも説明されていた聖人の名前です。 (ブログにも記載したのでこちらも併せてどうぞ→https://calm-smile-chain.com/heritage-vezelay/ )
ベルナールは、1112年、23歳の時に自身にとって理想的であったシトー会へ入門を果たすことができました。 そして、1118年にこのフォントネー修道院(Abbaye de Fontenay)を創設したのです。 (もしかしたら、ベルナールがこの修道院を作ることに着手したのが1118年で、正式に完成したのが1119年ということでしょうか…)
ブルゴーニュ観光の1日目に訪れた、世界遺産「ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ(The Climats, terroirs of Burgundy/Les Climats du vignoble de Bourgogne)」の構成資産地域内にある「シャトー・デュ・クロ・ド・ヴージョ(Château du Clos de Vougeot)」もシトー会によるもので、そちらはワインが修道院の財源でしたが(https://calm-smile-chain.com/climats-burgundy/)、ここフォントネー修道院では、近隣で採れる鉱物を用いた冶金業が重要な財源だったのだそう。
フランスのノルマンディー地方、パリから西へ70kmほどのジヴェルニー(Giverny)という小さな村にモネの家と庭園があります。 印象派の巨匠クロード・モネ(Claude Monet、1840-1926)はここで43歳から86歳で亡くなる時までを過ごし、大作「睡蓮(Les Nymphéas)」を生み出しました。 映画「ミッドナイト・イン・パリ」は、舞台のほとんどがフランスの首都パリですが、パリ郊外も一部登場します。 先のブログ(https://calm-smile-chain.com/midnight-in-paris/)で概要を記述した通り、映画はジャズ名曲「Si Tu Vois Ma Mère」に乗せて流れる現代の何気ないパリの日常の映像というオープニングで始まるのですが、曲の終了と同時に、物語はこの美しいモネの庭を舞台に幕を開けます。
パリといえばコレ、ですね。 行ったことがなくても、興味がなくても、知らない人はほとんどいないでしょう。 世界遺産「パリのセーヌ河岸(Paris, Banks of the Seine)」の構成資産の一つでもあります。 324mもの高さを誇るこの巨大で芸術的な鉄の塔が、パリの象徴として映画に幾度も現れます。
シャンゼリゼ通りもまた世界遺産「パリのセーヌ河岸」の構成資産の一つで、その名称は誰もが知るであろう有名な大通り。 エトワール凱旋門(Arc de triomphe de l’Étoile)からコンコルド広場(Place de la Concorde)まで全長約2.5kmに渡る緩やかな坂道の美しいマロニエ並木からなる通りで、老舗ブティックやレストラン、カフェなどで賑わっています。 なお、コンコルド広場は世界遺産「パリのセーヌ河岸」の構成資産であるものの、エトワール凱旋門は構成資産となっていません。 ”凱旋門”といえば、エトワール凱旋門からコンコルド広場を挟んで対極に位置するカルーゼル凱旋門(Arc de triomphe du Carrousel)が「パリのセーヌ河岸」の構成資産となっています。
パリから約20km南西に位置するフランス北部のイル=ド=フランス地域圏(Île-de-France)のコミューン(基礎自治体)であるヴェルサイユにある壮麗な宮殿で、世界遺産「ヴェルサイユの宮殿と庭園(Palace and Park of Versailles)」として登録されています。 映画の前半で、主人公のギルとフィアンセのイネズ、そしてたまたまパリで会った友人夫婦が、4人で連れ立ってヴェルサイユ宮殿の庭園を歩くシーンがあり、その広大さと美しさを見て取ることができます。
19世紀の当初はワインの貯蔵庫として使用されていましたが、その後、所有者のジャン=ポール・ファヴァン(Jean-Paul Favand)氏によってコレクションされたメリーゴーランドの乗り物やアーケードゲームなど、遊園地のオブジェを集めた私立博物館としてオープンしました。 映画ではギルが過去の時代へと3度目にタイムスリップする場所で、F・スコット・フィッツジェラルド(F. Scott Fitzgerald、1896-1940)が主催するパーティー会場として描かれていますが、今も見学可能で100年以上前の遊具を体験することができるという大人も遊んで楽しめる博物館です。
フランスを代表する美しい川で、全長777キロメートルに及び首都パリを流れます。 セーヌ川の河岸のうち、シュリー橋(Pont de Sully)からイエナ橋(Pont d’Iéna)までのおよそ8kmほどが、すでに述べている通りの世界遺産「パリのセーヌ河岸(Paris, Banks of the Seine)」として登録対象とされています。 映画には何度も登場するのですが、パリの美しい街並みを反映する鏡のような存在であるこの河岸が、映画の終盤で夜にライトアップされて映し出された景色が特に幻想的です。
“パリ発祥の地”とも称されるシテ島(Île de la Cité)に建つゴシック様式の大聖堂で、その美しい建築や彫刻、ステンドグラスなどから美術史上でも重要な位置付けとされています。 世界遺産「パリのセーヌ河岸(Paris, Banks of the Seine)」の構成資産の一つでもありますが、2019年の4月に火災が発生し尖塔が焼け落ちた事件は記憶に新しく、今も修復が続けられています。 映画「ミッドナイト・イン・パリ」が制作されたのは2011年のこと。当時の姿を拝見してみたかったものです。
ムーラン・ルージュはフランス語で「赤い風車」という意味で、パリ北部のモンマルトルにある世界的に有名なカバレット劇場(キャバレー)です。 1889年に開業し、特にモダンなカンカンダンスのショーで知られ、見事なエンターテイメントで多くの人々を魅了してきました。 映画では、ギルがアドリアナと一緒に1920年代からさらにさかのぼってベル・エッポクの時代へとタイムスリップすることとなり、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(Henri de Toulouse-Lautrec、1864-1901)とここで出会います。
1900年のパリ万国博覧会に際して建設されたセーヌ川に架かる橋で、世界遺産「パリのセーヌ河岸(Paris, Banks of the Seine)」の構成資産の一つです。 映画のラストシーンで登場するのがこの橋で、ギルがとある女性と再会します。 雨が滴りキラキラと輝く情緒あるパリの風景、物語の流れにも思わず頷いてしまうシチュエーションで、ホッと和むエンディングに静かで穏やかな感動を覚えます。
本日取り上げますのは映画「ミッドナイト・イン・パリ(原題:Midnight in Paris)」。 映画界の巨匠ウディ・アレンが脚本と監督を務め、2011年に全編パリで撮影されました。 2012年のアカデミー賞とゴールデングローブ賞でどちらも最優秀脚本賞を受賞し、その他の数々の賞にもノミネートし受賞しています。
さて話がそれましたが、映画「ミッドナイト・イン・パリ」はオープニングがまた良いのです。 シドニー・ベシェのジャズ名曲「Si Tu Vois Ma Mère」をBGMに、現代の何気ないパリの日常の映像が映し出されます。 何気ないといっても、そこはパリ。 美しい名所の数々をおよそ3分の曲分いっぱい堪能することができます。
☆セーヌ川(Seine River) フランス北部を流れ、首都パリを通過してイギリス海峡に注ぐ河川。 フランス国内で最も重要な河川の一つで、パリ市内にはセーヌ川に架かる美しい橋や観光名所が点在し、「パリのセーヌ河岸(Paris, Banks of the Seine)」として世界遺産に登録されています。
☆ロワール川(Loire River) フランス最長の河川で、フランス中部を流れています。 美しい自然が広がる風景と多くの歴史的な城が点在しており、「シュリー=シュル=ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷(The Loire Valley between Sully-sur-Loire and Chalonnes)」として世界遺産に登録され、ブドウ畑が広がる地域です。
☆ガロンヌ川(Garonne River) フランス南部を流れ、ピレネー山脈に源を発して大西洋に注ぎます。 フランス南西部の中心都市である港町で世界的なワインの産地ボルドーや、赤レンガ造りの建物が並び「バラ色の街」とも呼ばれるトゥールーズなどの都市がこの川の流域に位置し、商業や農業に利用されています。 ボルドー・リューヌ港(Bordeaux, Port of the Moon)もまた世界遺産として登録されており、この港の名「リューヌ」は、湾曲するガロンヌ河岸に発達した町の形状に由来し、フランス語で「月」を意味します。