パリの美術館巡り3 元駅舎のオルセー美術館

〜建築物の美しさにも酔いしれるパリ3大美術館の一つ〜


海外女一人旅、地元の仙台空港から出国し台湾経由でたどり着いたフランス、パリ美術館巡りの初日、印象派の巨匠クロード・モネの「睡蓮」シリーズが展示されていることで有名なオランジュリー美術館(Musée de l’Orangerie)の次に向かうのは、オルセー美術館(Musée d’Orsay)です。

セーヌ川の右岸に位置するオランジュリー美術館に対し、オルセー美術館はセーヌ川の左岸に位置します。
オランジュリー美術館の正面玄関前に広がるコンコルド広場(Place de la Concorde)から対岸へと架けられた、コンコルド橋(Pont de la Concorde)を渡って向かうこととしました。

コンコルド橋
Pont de la Concorde

住所:Pont de la Concorde, 75007 Paris, France


コンコルド橋から眺めるエッフェル塔も風情あり。


コンコルド橋を渡った先に幽玄と佇み、まるでギリシャ神殿を思わせる建物は、ブルボン宮殿(Assemblée nationale – Palais Bourbon)


ブルボン宮殿は、フランス国民議会(Assemblée nationale)の議事堂として使用されている歴史的な建物です。


1722年にルイ14世の孫娘であるルイーズ・フランソワーズ・ド・ブルボンによって建設され、フランス革命後、1795年にフランス政府に接収されて、1798年から国民議会の議事堂として使用されるようになりました。

ブルボン宮殿
Assemblée nationale – Palais Bourbon

住所:126 Rue de l’Université, 75007 Paris, France
Webサイト:https://www.assemblee-nationale.fr/


コンコルド橋を渡り、ブルボン宮殿に向かって左折した先に見えてくるのが、私にとってこの日2番目のメイン目的地であるオルセー美術館(Musée d’Orsay)


パリの3大美術館の一つとされているオルセー美術館は、建物自体がアートの一部です。
その素晴らしい建築物のシンボルである大時計が見えてきて、胸が高鳴ります。


オルセー美術館の建物が、元々1900年のパリ万博のために建てられた駅舎(旧オルセー駅/Gare du Quai d’Orsay)だったことは、この美術館を語る上では外せない重要な話。

かつての駅の時代に旅人に正確な時間を知らせるために機能していたこの時計塔は、現在では、美術館の歴史と現代の文化的役割を象徴しています。
クラシックなデザインは時代を超えた優美さを保ち、その存在はまるで、時間の流れとともに変化してきたオルセー美術館のストーリーを語っているかのよう。


と、建物の外観を眺めるだけでもうっとりし夢見心地な気分になりますが、一旦現実に戻って、入場を待つ人の列に並びます。

時間が限られている旅行で、パリの主要美術館を訪れるなら、チケットの事前購入は必須です。
時間が読めなかったことと、少し割高になるので入館時間の予約まではしていなかったのですが、ミュージアムパスを利用したことで、比較的すんなり入場できました。


今回の旅で重宝したパリミュージアムパスについてはこちら↓に記述しています。


さて、入館セキュリティーを通過し、さらに次の扉へと進みます。


扉を抜けて、目の前に広がる景色に圧倒されました。
まさに駅舎であったことを窺い知ることができるその風貌。


旧オルセー駅は、1900年5月に運行を開始しましたが、1939年に長距離列車の運行を停止しました。
これは、ホームの長さが新しく登場した列車の長大化には不足していたためなのだそう。
以降、オルセー駅は主にパリ近郊の列車用の駅として使用されましたが、次第にその役割も縮小し、駅としての機能を徐々に失っていきました。

その後、駅は様々な用途に利用されましたが、次第に放置されるようになり、1970年代には取り壊しの計画もあったとのこと。
しかし、歴史的建造物としての価値が見直され、最終的に美術館として生まれ変わることが決定されました。
そして、1986年にオルセー美術館として正式に開館したのです。

かつてのプラットフォームだったメインホールは、その広がりと空間の高さが際立ち、ガラス屋根からの自然光が内部に満ちています。
鉄骨のフレームやガラス張りの屋根が印象的な建物のデザインは、この時代特有のアール・ヌーヴォーの影響によるもの。
線路が敷かれていた場所が現在では彫刻ギャラリーとなり、その両脇のプラットフォームであった場所は絵画などの展示スペースとなっています。


このメインホールにも、駅の名残を思わせる大時計が輝いています。
建物の外壁の時計も内部にあるこちらの時計も、修繕や整備はされてきましたが、旧オルセー駅当時からのものなのだそうです。


素晴らしい装飾が施された時計に釘付けになる私の頭の中に「おーおーきなのっぽの古時計〜♪」の歌がよぎりました。
しかし、この歌詞にある100年休まず動いてきた古時計は最後には動かなくなってしまうわけですが、オルセー美術館のシンボルであるこれらの大時計はゆうに100年を超え、今もなお時を刻み続けているのです。

金色に輝く時計の圧倒的な存在感と美しさに見惚れつつ、嬉しいことも悲しいことも、いろいろ見てきたんだろうなぁ、と感慨にふけってしまいました。

この歴史的建造物として価値あるオルセー美術館の建物自体は6階建ですが、作品が展示されているスペースは地上階(0階)、中階(2階)、最上階(5階)の3フロアで構成されています。
建物の両端にはエスカレーターが設置されていて、好きな所どこからでも見て回れるようになっています。

私はまず最上階まで行ってから降りてゆく形で美術作品を見ることにしました。

エスカレーターを上り切った所の通路は静かなものだったのですが・・・


通路を出た先にあるカフェのなんと賑やかなこと!

最上階(5階)にあるカフェ カンパナ(Café Campana)は外壁に設置された大時計の場所に位置していることもあり、私が通りかかった時間がお昼時ということもあったのかも分かりませんが、とても人気のようです。


このカフェの先に続くのが、マネモネルノワールシスレースーラなどなどの、主に印象派の作品の展示。
相変わらず人は多い中ですが、素晴らしい作品の数々に感動のため息が出ます。


さぁ、このまま進んで辿り着いたこの建物の逆サイド。
こちら側にはカフェはなく、大時計だけを堪能できる素敵スポットがあります。

とはいえ、現代のSNS社会において、そこは要するにまさに”映える”場所。
ここはここで、人が絶えない・・・


それでも私もなんとか少しでも絵になる写真を撮りたい!

人のいない静かな情景を撮影することが願望でしたが、この状況では致し方なく、これで我慢。


人混みが苦手な私は、相変わらず増え続ける人の波に押され、中階(2階)へと移動しました。

さてこちらは、オルセー美術館の建築様式にも影響を与えたアール・ヌーヴォーをテーマとした展示室。


先ほどまでの状況から一転し、怖くなるほど人がいない静かな場所でしたが、おかげで素晴らしい展示品を静寂の中で堪能することができました。

と、私はここで喧騒に逃れたことは嬉しかったものの、反面、ここはこの美術館の歴史的な建築要素が見られる場所であるのにこの静けさ、やはりほとんどの人は流行りだとかSNSによる情報に流されやすいということなのだろうか・・・となんだか寂しくも感じたりした瞬間でもありました。

…が、そんなことを想いつつもこの中階(2階)のテラスに出れば、光がさんさんと降り注ぐ魅惑的な空間に、大勢の人々の姿に圧倒されつつも、厳かな情景に感動を覚えます。


パリ3大美術館の一つオルセー美術館は、その壮大な建築と豊富なコレクションにより、パリを訪れる芸術愛好家にとって必見のスポットであることに違いありません。

歴史と芸術が融合したこの素晴らしい空間で、19世紀から20世紀の美術の変遷を感じながら、優雅な時間を過ごすことができるものと思います。

オルセー美術館
Musée d’Orsay

住所:1Esplanade Valéry Giscard d’Estaing, 75007 Paris, France
Webサイト:https://www.musee-orsay.fr/fr


あなたは
建築物の役目の返還について
考えたことがありますか?

オランジュリー美術館(Orangerie Museum/Musée de l'Orangerie)

パリの美術館巡り2 オランジュリー美術館

〜元オレンジ温室で堪能するモネの大作『睡蓮』〜


アート好き女子一人旅で訪れた、初めてのパリ滞在での美術館巡りの初日は、オランジュリー美術館(Orangerie Museum/Musée de l’Orangerie)からスタートしました。


こちらがオランジュリー美術館の正面玄関です。
この角度から見た限りでは、中世のお城をイメージするかもしれませんが・・・


次の視点から見た感じ、お城にしてはちょっと地味な感じがしませんか?


オレンジはフランス語でオランジュ、そしてオランジュリーとはオレンジ畑オレンジ温室を意味するのですが、オランジュリー美術館はその名の通り、オレンジの木を保護するための温室だったのだそうです。


次の視点からだと、確かに温室っぽい!と感じていただけるのではないでしょうか?


19世紀にナポレオン3世によって造られた大きなオレンジ温室は、その後、資材置き場や試験会場、召集兵士宿舎などとして使われたり、スポーツや音楽、国家行事などの多目的施設としての経緯を経て、1921年に美術行政に割当てられ、政治家でクロード・モネの友人でもあったジュルジュ・クレマンソーの提案によってモネの作品『睡蓮』が収められることとなり、改修工事ののち、1927年オランジュリー美術館としてオープンしたとのこと。

更にその後、6年間にも及ぶ改修工事を経て2006年にリニューアル・オープンし、モダンな美術館へと変貌しました。


天井から自然光がさんさんと降り注ぐ楕円形の白い空間の2室は、いずれもモネの大作『睡蓮』のための展示室となっていて、これを見るために訪れる人が絶えません。
もちろん私も、この部屋に足を踏み入れることをずっと切望していました。


壁いっぱいに広がる幻想的な絵画によって得られる没入感。


そして、モネのタッチによるマチエールに魅了され。

素晴らしいアートにうっとりするこの感覚。
いつもブログを見てくださる皆さまに少しでも伝えられたらな、という思いで撮影してはいるのですが、私めなどの写真による画像では伝えきれないのがもどかしい・・・
アートは、やはり実物を体感するのが一番ですね。


ちょうど私が訪れた時は「Modigliani : un peintre et son marchand(モディリアーニ:画家とそのディーラー)」と題してモディリアーニ展が開催されていたのも嬉しいポイントでした。


オランジュリー美術館ではモディリアーニの作品は、下図の『ポール・ギヨームの肖像』など5点所蔵していますが、それ以外の絵画に加え素描や彫刻なども展示されており、見応えがありました。

オランジュリー美術館所蔵品:アメデオ・モディリアーニポール・ギヨームの肖像』(Amedeo ModiglianiPaul Guillaume.Nova Pilota

最後に、オランジュリー美術館の場所について、世界遺産情報と共に補足します。
前回の記事(https://calm-smile-chain.com/paris-museum-1/)にも記した通り、オランジュリー美術館ルーブル宮殿(Palais du Louvre)の敷地西側に広がるチュイルリー庭園(Jardin des Tuileries)の西端にあります。

オランジュリー美術館
Musée de l’Orangerie

住所:Jardin des Tuileries, 75001 Paris, France
Webサイト:https://www.musee-orangerie.fr/


そのすぐ西隣にある広場がコンコルド広場(Place de la Concorde)
こちらも世界遺産パリのセーヌ河岸(Paris, Banks of the Seine)」の構成資産の一つです。

フランス語でコンコルド(Concorde)協調共和という意味ですが、フランス革命時代(1789〜1799年)には「革命広場」と呼ばれたこの場所で、ルイ16世やマリー・アントワネットなど貴族や一般庶民たちがギロチン台で処刑されたという、暗い過去を持つ場所。
そんな陰惨な記憶を払拭するため、後にコンコルド広場との名称がついたのだそうです。

コンコルド広場の中心部には、1836年にエジプト政府からフランスへの親善の証として寄贈されたルクソール神殿(エジプトの世界遺産「古代都市テーベとその墓地遺跡」)のオベリスク(四角柱)が堂々とそびえ立っているのですが、この周辺は開催が迫っている2024年パリオリンピックの会場の一つとなるため、私が訪れた時にはその準備が進められていました。

中央に見える塔がルクソール神殿のオベリスク

厳かな歴史を持つこの場所が、なんだかゴタゴタした様子になりつつあるのが個人的にはちょっと残念な感じもしましたが、オリンピックで盛り上がるのも、世界人類共通の楽しみの一つですものね。
このために尽力してる方々がいるんだなと思うと、頭が下がります。

コンコルド広場
Place de la Concorde

住所:〒75008 Paris, France
Webサイト:https://parisjetaime.com/transport/place-de-la-concorde-p1981


そしてこの場所からだと、こちらもまた世界遺産パリのセーヌ河岸」の構成資産であるエッフェル塔もこのくらい見えて、改めて、パリにいるんだなぁー、と感慨深い気持ちになりました。


私にとって初めての貴重なパリ滞在。
このままここで感慨に浸っていたかったものの、残された時間はわずかなので、次の目的地であるオルセー美術館へと足早に向かいます。


あなたは
美術館における建築の歴史に
興味はありますか?


美しい大時計がシンボルとして有名なオルセー美術館(Musée d'Orsay)

アート好き必携 “パリミュージアムパス”の備忘録

〜買って良かったパリのアートスポット観光パス〜


2023年10月25日(水)、パリ滞在初日は、夜のパリを1人で2時間ほど歩き回りました。


そして20時半ごろホテルに戻り、ブルゴーニュからドタバタの移動の後でもあったので、すぐに寝てしまいたいくらいの疲れもありましたが、私には眠る前にしなければならないことがありました。

それはパリで巡りたいアートスポットの入館予約。

旅先ではアートをテーマに観光する私にとって、パリ市内・郊外にある50以上の美術館・博物館に入場することができる観光パス「パリミュージアムパス(Paris Museum Pass)」は必須のアイテムと考え、この2日(48時間)券を、日本を出る前にネットで抜かりなくゲット済みでしたが、このパスで訪れることができるいくつかの施設は予め入館時間を予約しなければならないのです。

と、そのような制約は多少ありますが、「パリミュージアムパス」を実際に購入して使用してみて大正解、買って良かった!と思えたので、このパスについて簡単に記録しておきます。

下図が、「パリミュージアムパス」のオフィシャルサイトで購入後、メールで届けられたパスです。


これを、紙に印刷したものか、スマホやタブレットの画面で表示させ、入場可能な施設の入り口で提示すれば、現地での支払い手続きなく入館することができます。

パスには、2日(48時間)、4日(96時間)、6日(144時間)券の3つがあり、例えば私が選択した2日券の場合、最初にパスのバーコードをスキャンされて入場した時から48時間が有効ということになります。

各チケットの料金は以下の通りです(2024年3月末日現在)。
■2日券(48時間):€62(10,141.46円)
■4日券(96時間):€77(12,595.04円)
■6日券(144時間):€92(15,048.62円)

また、インターネットで購入する場合は手数料もかかり、その金額はチケットの種類と枚数によって変わってきます。
2日券1枚の場合の手数料は、2.48ユーロで、この金額は私が購入した時(2023年10月15日)と変わりありません。
が、私が使用したパスの画像でお気づきかと思いますが、手数料込みで57.48ユーロ、パス自体は55ユーロでした。
値上がりしてます!
しかも、2024年3月末日現在の1ユーロは163.57円!!

私がパリへ行った時は、1ユーロは158円台でした。
その時でも、ユーロ高すぎ、フランス何もかもが高すぎ(涙)と思っていましたが、昨年のうちに行っておいて、本当に良かった・・・

この「パリミュージアムパス(Paris Museum Pass)」を購入できるオフィシャルサイトはこちらです。
https://www.parismuseumpass.fr/
(オフィシャルサイト以外にも、日本人向けの購入サイトもいくつかありますが、どれも割高になるのでここでは省きます。それらはキャンペーンなどで一見お得に見える時もありますが、最終的にはやはりオフィシャルサイトが一番と感じています。)

私は現地での時間を節約できるだろうと思いネットで購入しておきましたが、パリで購入することもできますし、その場合は手数料もかかりません。

パリミュージアムパス」の販売店は以下の通り(2024年3月末日現在)。
■パリの各美術館
■パリ シャルル・ド・ゴール空港、パリ オルリー空港内の観光案内所
■ギャラリー・ラファイエット(パリの人気百貨店)の観光案内所
■ディズニーランド・パリの観光案内所

奥に見える建物がフランスの老舗百貨店「ギャラリー・ラファイエット(Galeries Lafayette)」
奥に見える建物がフランスの老舗百貨店「ギャラリー・ラファイエット(Galeries Lafayette)


そして話は戻りますが、「パリミュージアムパス」で訪れることができる施設の中でも、予め入館時間を予約しなければならない所がいくつかあります。
予約必須施設は、以下の8施設です(2024年3月末日現在)。
シテ建築遺産博物館(Cité de l’architecture et du patrimoine)
コンシェルジュリー(Conciergerie)
オテル・ドゥ・ラ・マリーヌ(Hôtel de la Marine)
ユダヤ歴史美術館(usée d’art et d’histoire du Judaïsme)
オランジュリー美術館(Musée de l’Orangerie)
ルーヴル美術館(Musée du Louvre)
サント・シャペル教会(Sainte-Chapelle)
ヴェルサイユ宮殿(Châteaux de Versailles et de Trianon)

この中から私は、オランジュリー美術館ルーヴル美術館サント・シャペル教会ヴェルサイユ宮殿は必ず予定に組み込みたいと思っていました。
それで翌日の朝イチで、パリ最古で最も美しいステンドグラスで知られるサント・シャペル教会へ行こうと考えていたのですが、いざネットで予約しようと試みると、どの時間もすでに予約がいっぱいで取ることができませんでした(泣)。
前日の予約でも、平日だし大丈夫だろうと、たかをくくっていたのが甘かった・・・

サント・シャペル教会(Sainte-Chapelle)に並ぶ長蛇の列
その翌日に私が実際に見たサント・シャペル教会(Sainte-Chapelle)に並ぶ長蛇の列


焦って、他の施設をチェック。
翌日(パリ2日目)の朝イチに訪れるのはオランジュリー美術館へと計画変更し、3日目には、元々考えていた通り、ヴェルサイユ宮殿ルーヴル美術館を無事予約することができました。

ヴェルサイユ宮殿ルーヴル美術館を同日にする?!と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、この日はちょうど金曜日でして。
ルーヴル美術館の開館時間は通常9時〜18時ですが、金曜のみ21時45分まで開館しているので、朝にホテルを出てヴェルサイユへ行き、夕方にパリへ戻ってきて夜にかけてルーヴル美術館を見学しようと考え、体力を要するのは覚悟の上で、そのような計画を立てたのです。

さて、これらの通常の入館料を確認してみましょう。
オランジュリー美術館:€12.5
ルーヴル美術館:€15
ヴェルサイユ宮殿:€24

以上で合計51.5ユーロです(それぞれネット購入すればさらに手数料がかかります)。
私は、加えて、オランジュリー美術館の後に、オルセー美術館(Musée d’Orsay)に行くことを計画していまして、こちらが14ユーロなので、合計65.6ユーロ。

美しい大時計がシンボルとして有名なオルセー美術館(Musée d'Orsay)
美しい大時計がシンボルとして有名なオルセー美術館(Musée d’Orsay)


というわけで、「パリミュージアムパス(Paris Museum Pass)」の元がしっかりと取れました〜♪

実を言うと、お高いユーロの昨今、ちょっとでも経費削減しようかとパリでのパス購入を検討した時もありましたが、経費削減と言ってもネット購入手数料は2.48ユーロ(400円くらい)、現地での時間節約の点も含めて結果的に、オフィシャルサイトからインターネット購入しておいて良かったと思っています。

なお、「パリミュージアムパス」を利用して、予約済みの施設に入館する時は、パスと、施設の予約チケットの両方を提示する必要があります。
なので私は、パスを印刷した用紙と、予約した施設はスマホの画面で、一緒に提示するという方法を取り、スムーズに通過することができたので、その点においても満足してます。

というわけで、「パリミュージアムパス」については、結論として、買って良かったと思えたということなのですが、パリ滞在初日のホテルで、このパリアート巡りのための検索と予約作業をしていたらあっという間に23時を回ってしまい、翌日に備え体力を温存しなければと、慌ててシャワーを浴び、ベッドに滑り込んだのでした。





当ブログをご覧になってくださっている皆さまへ。
いつも当サイトを訪問してくださり、本当にありがとうございます。
言い訳になってしまいますが、現在、過渡期にある保育園のマネジメントを担う私の、今ここで果たすべき使命がありまして、ブログアップのタイムラグが増して申し訳なく感じています。
しかしながら、そんな現実を過ごす私にとって、旅の記録は豊かな人生を歩む糧の一つなので、続けていきたいと思っています。
次回こそ、写真と共にパリでのアート巡りをアップしますので、よろしければ引き続きお付き合いいただけましたら幸いです。
相変わらず牛歩ですが、どうぞよろしくお願いいたします。


あなたが旅行地で重宝する
⚪︎⚪︎パスには
どんなものがありますか?

2023 フランスブルゴーニュ 3日目(最終日)

〜ユネスコ世界遺産「フォントネーのシトー会修道院」〜


ブルゴーニュの友達の家に2泊させていただき、いよいよ最終日となる3日目。
初めてのフランス。
その1日目そして2日目とブルゴーニュの世界遺産を楽しみましたが、この日も飽きることなく、世界遺産!
基本的にいつも旅のテーマは「アート(芸術)」である私にとって、世界遺産に触れることはアートに触れることでもあり、価値ある世界遺産を連日訪れることができ、本当に幸せな毎日でした。


ブルゴーニュ滞在最終日に訪れた世界遺産は「フォントネーのシトー会修道院(Cistercian Abbey of Fontenay/Abbaye cistercienne de Fontenay)」です。


友達の家から北部へと車で1時間半ほど、モンバール(Montbard)という小さな町にあります。
川が流れる森に囲まれ、漂うのは静寂感のみ。


フォントネーのシトー会修道院(Cistercian Abbey of Fontenay/Abbaye cistercienne de Fontenay)」については、ユネスコHPの見出し説明では下記のように述べられています。

この素朴なブルゴーニュ修道院は、1119 年に聖ベルナール(ベルナルド/バーナード)によって設立されました。教会、回廊、食堂、寝室、パン工房、製鉄所があり、初期のシトー会修道士達が実践していた自給自足の理想をよく表しています。

https://whc.unesco.org/en/list/165/


設立年については、フォントネー修道院(Abbaye de Fontenay)の公式HP(https://www.abbayedefontenay.com/ja/)によると1118年とされているので、この1年の違いがなんなのかよくわかりませんが、いずれにせよ、現存する世界で最古のシトー会修道士の大修道院なのだそうです。


さて、お気づきでしょうか?
ここでも出てきましたね、聖ベルナール(St Bernard)
前日に訪れた世界遺産「ヴェズレーの教会と丘(Vézelay, Church and Hill/Basilique et colline de Vézelay)」に関わった人物で、ユネスコHPでも説明されていた聖人の名前です。
(ブログにも記載したのでこちらも併せてどうぞ→https://calm-smile-chain.com/heritage-vezelay/


1090年、フランスブルゴーニュで、騎士である父と貴族出身で信仰心ある母のもとに生まれたベルナールは、彼が幼い頃に亡くなってしまった母の影響もあり、修道士になったといいます。

一方、シトー会(Cistercians)とは、カトリック教会最古の修道会であるベネディクト会(Benedictine Order)から派生したのですが、同じくベネディクト会から派生したクリュニー会(Cluny)の強大な資産と権力による贅沢な振る舞いに反発して、1098年に発足し、修道士としての清貧を守ってきたのだそうです。


ベルナールは、1112年、23歳の時に自身にとって理想的であったシトー会へ入門を果たすことができました。
そして、1118年にこのフォントネー修道院(Abbaye de Fontenay)を創設したのです。
(もしかしたら、ベルナールがこの修道院を作ることに着手したのが1118年で、正式に完成したのが1119年ということでしょうか…)


シトー会修道士は、華美なクリュニー会とは異なり、染料を用いない白い修道服を着たことから「白い修道士」とも呼ばれているそうですが、フォントネー修道院も華やかな装飾というものがなく、そのおよそ究極とも言える地味さが、むしろ厳かさを際立たせているように思います。


この質素ながらも厳かな大修道院教会の一角に佇む聖母子像の、幼子イエスと聖母マリアが笑顔で見つめ合ったその表情が、とても優しく愛情豊かに表現されており、ベルナールの想いを伝えているように感じます。
(ベルナールについては後半で改めて述べます)


教会に直接繋がっている建物の2階には、共同寝室があります。
多い時では300人ほどの修道士のための寝室となったそうですが、木造の連続アーチによる天井の作りは圧巻で、船底をひっくり返したような設計が、なんとなくノアの方舟を彷彿とさせます。


修道士達が写本の作成や、革や織物の加工をしたという修道士部屋も、ロマネスク様式の特徴である半円筒型の二重アーチと支えとなる分厚い壁や柱からなり、その簡素なデザインが美しい。


中庭を囲んだ回廊も必見です。
正にシンプル・イズ・ベスト。シンプルゆえに際立つ美しさ。


修道士達は、ここを聖書を読みながら歩き、瞑想していたのでありましょう。


私たちもここをゆっくりと一周しましたが、映画でも見たことがあるようなシーンを、ありありと思い描くことができました。



外に広がる庭園も壮観でした。
綺麗に整えられた緑に癒されます。


次の建物は鍛冶場(製鉄所)。


当時の様子が再現された博物館となっています。


ブルゴーニュ観光の1日目に訪れた、世界遺産「ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ(The Climats, terroirs of Burgundy/Les Climats du vignoble de Bourgogne」の構成資産地域内にある「シャトー・デュ・クロ・ド・ヴージョ(Château du Clos de Vougeot)」もシトー会によるもので、そちらはワインが修道院の財源でしたが(https://calm-smile-chain.com/climats-burgundy/)、ここフォントネー修道院では、近隣で採れる鉱物を用いた冶金業が重要な財源だったのだそう。


上の写真の燃える石炭は流石に模型ですが、実際に動かされている風車の姿は、再現とはいえ、迫力がありました。


サン=ベルナール渓谷とフォントネー川の合流点地点に位置するフォントネー修道院は、その川の流れを利用し、水力で鉄を打っていたのだそうです。


いくら静かに生きたいと言っても、神に祈るだけとか、単なる布教活動だけでは食べていけませんものね。
質素な修道士達がいかに工夫を凝らして生活していたかがよくわかりました。


最後に、聖ベルナール(St Bernard)のことがとても興味深く思えたので、もう少し彼について記しておきたいと思います。

観想的生活を送りたいというのが本音であったベルナールでしたが、その彼の実直な人格が、名声を高め、シトー会における影響力を増し、否応なく世俗的世界へと巻き込まれていくこととなりました。
静かに過ごしたかったベルナールの想いとは裏腹に、教会の争いの中で陣頭を取ることになり、晩年には十字軍の勧誘演説(1146年:ヴェズレーでの説教)をし絶大な支持を得ますが、1148年に十字軍は惨敗してしまいました。

しかし、この時で第2回十字軍。
この後も十字軍による遠征は何度も何年も続いたのは歴史上有名なことです。
その長い宗教争いの中では初期にあたりますが、第2回十字軍が敗北した時点でベルナールは、

主はわたしたちの罪を怒られて、そのあわれみによってではなく、その正義によって、すぐさまわたしたちを裁かれました。主は、ご自分の民を甘やかさず、主の名声さえ惜しいとは思われなかったのです。教外者は、おまえたちの神は今どこにいるのか、と言っているのではありませんか。そしてだれが、それを怪しみましょう。教会の中堅信者と呼ばれる者が荒れ野で行き倒れ、刃で切られ、飢饉のために滅ぼされたのです。喜びの福音を伝え、平和を述べ伝える者の足は、どんなに迷うことでしょう。わたしたちは『落ち着きなさい』と言っても、落ち着かないのです。わたしたちは、幸運を約束したのに、災難をまのあたりに見たのです。

引用:池田敏雄「聖ベルナルド」(アルバ文庫) p.103

と、十字軍の罪を認め反省しています。
でもその後も争いが続いたということは、残念ながら、この時の彼の想いに関しては理解が集まらなかったということでしょう。

ベルナールは1153年に、クレルヴォー修道院(Clairvaux Abbey:1115年に創設されベルナールが初代院長となった修道院で当時の建物は廃墟となり現在の建物は1708年のもの)にて生涯を閉じ、死後に聖人に加えられ聖ベルナールと呼ばれるようになりました。

神への祈りそして労働を手段として人々に奉仕するシトー会の主要人物ベルナールについて深掘りしていたら、なぜ、人は争う時には団結するのに、平和のために団結できないのだろうと、今も昔も変わらない人間の在り方というものを感じ、切なくなりました。

ただ、このフォントネー修道院が現在も当時とほとんど変わらないままひっそりと残されているのは、ベルナールの想いが生き続けているという光の側面なのかもしれません。

フォントネー修道院
Abbaye de Fontenay
住所:21500 Montbard, France
Webサイト:http://www.abbayedefontenay.com/


静寂の中にあるユネスコ世界遺産「フォントネーのシトー会修道院(Cistercian Abbey of Fontenay/Abbaye cistercienne de Fontenay)」を後に、慎ましく謙虚な心を持って生きてゆかねばと思いつつ、いよいよ花の都パリへと向かいます。


あなたが
瞑想にふけるのは
どんな時ですか?



映画「ミッドナイト・イン・パリ」で巡る名所旧跡

名作映画で知るパリの名所 ーそれは世界遺産やアートの学び


アート好き、そして、SF映画(特にタイムトラベル系)が好きな私にとって、愛してやまない名作映画「ミッドナイト・イン・パリ(Midnight in Paris)」。

2回にわたってその概要と登場する偉大なアーティスト達についてレポートしてきましたが、念願だったフランスへの一人旅を目前に、最後は、主人公ギルが立ち寄った名所について、ほんの少しの雑学を交えつつ記述しておきたいと思います。

モネの家と庭園(Maison et jardins Claude Monet)

フランスのノルマンディー地方、パリから西へ70kmほどのジヴェルニー(Giverny)という小さな村にモネの家と庭園があります。
印象派の巨匠クロード・モネ(Claude Monet、1840-1926)はここで43歳から86歳で亡くなる時までを過ごし、大作「睡蓮(Les Nymphéas)」を生み出しました。
映画「ミッドナイト・イン・パリ」は、舞台のほとんどがフランスの首都パリですが、パリ郊外も一部登場します。
先のブログ(https://calm-smile-chain.com/midnight-in-paris/)で概要を記述した通り、映画はジャズ名曲「Si Tu Vois Ma Mère」に乗せて流れる現代の何気ないパリの日常の映像というオープニングで始まるのですが、曲の終了と同時に、物語はこの美しいモネの庭を舞台に幕を開けます。

エッフェル塔(Tour Eiffel)

パリといえばコレ、ですね。
行ったことがなくても、興味がなくても、知らない人はほとんどいないでしょう。
世界遺産「パリのセーヌ河岸(Paris, Banks of the Seine)」の構成資産の一つでもあります。
324mもの高さを誇るこの巨大で芸術的な鉄の塔が、パリの象徴として映画に幾度も現れます。

シャンゼリゼ通り(Champs-Élysées)

シャンゼリゼ通りもまた世界遺産「パリのセーヌ河岸」の構成資産の一つで、その名称は誰もが知るであろう有名な大通り。
エトワール凱旋門(Arc de triomphe de l’Étoile)からコンコルド広場(Place de la Concorde)まで全長約2.5kmに渡る緩やかな坂道の美しいマロニエ並木からなる通りで、老舗ブティックやレストラン、カフェなどで賑わっています。
なお、コンコルド広場は世界遺産「パリのセーヌ河岸」の構成資産であるものの、エトワール凱旋門は構成資産となっていません。
凱旋門”といえば、エトワール凱旋門からコンコルド広場を挟んで対極に位置するカルーゼル凱旋門(Arc de triomphe du Carrousel)が「パリのセーヌ河岸」の構成資産となっています。

ヴェルサイユ宮殿(Château de Versailles)

パリから約20km南西に位置するフランス北部のイル=ド=フランス地域圏(Île-de-France)のコミューン(基礎自治体)であるヴェルサイユにある壮麗な宮殿で、世界遺産「ヴェルサイユの宮殿と庭園(Palace and Park of Versailles)」として登録されています。
映画の前半で、主人公のギルとフィアンセのイネズ、そしてたまたまパリで会った友人夫婦が、4人で連れ立ってヴェルサイユ宮殿の庭園を歩くシーンがあり、その広大さと美しさを見て取ることができます。

ロダン美術館 (Musée Rodin)

その名の通り、かの有名な彫刻家オーギュスト・ロダン(Auguste Rodin、1840-1917)の作品を一堂に展示している美術館で、ロダンが1908年から亡くなる1917年までを過ごしたという館でもあります。
誰もが知る名作のブロンズ像「考える人(Le Penseur)」が置かれた庭園はバラの名所としても知られており、映画ではギルたちがその美しい庭園を散策するシーンなどが撮影されています。

サンテティエンヌ・デュ・モン教会(Église Saint-Étienne-du-Mont)

セーヌ川を背にパリ5区に位置する聖ジュヌヴィエーヴの丘(Montagne Sainte-Geneviève)に建つ、ゴシック様式とルネサンス様式の要素が組み合った教会。
特に美しい装飾が施されたファサードが印象的で、パリのランドマークであるとともに、静寂で神聖な雰囲気に包まれた内部は、訪れる人々に穏やかな安らぎをもたらします。
映画ではこの場所がギルがタイムスリップするための起点となっているのですが、聖ジュヌヴィエーヴパリの守護聖女だそうで、彼女の墓を収めたのがこの教会とのことで、なんだか優しく守ってくれそうな気配が、物語も映画の観客である私たちも幸せになれそうな予感がしますね。

ポリドール (Polidor)

1845年にオープンした歴史のあるレストランで、作家アーネスト・ヘミングウェイ(Ernest Hemingway、1899-1961)が通った店としても知られています。
映画の中では、ギルが過去にタイムスリップしてヘミングウェイと出会う場所で、ギルが現代に戻るとコインランドリーになってしまいます。
しかし実際(映画ではない私たちの現実世界)は、今も昔から変わらぬ所で、ヘミングウェイに愛された時と同様、19世紀半ばの世界を思わせる雰囲気のままに営業している人気のレストランで、フランスの家庭料理を味わうことができるのだそうですよ。

サン・トゥアンの蚤の市(Marché aux Puces de Saint-Ouen クリニャンクールの蚤の市)

100年以上の歴史を持つパリ最大級のアンティークマーケットで、掘り出し物の宝庫と言われ、世界各地からスタイリストやデザイナーなど、インテリアの業界人が大勢訪れています。
映画では、広大なマーケットの敷地を散策していたギルが、聴こえてきたコール・ポーター(Cole Porter、1891-1964)の音楽に魅かれて入った骨董品店で、物語の鍵の一人である女性ガブリエルと出会うことになります。

オランジュリー美術館 (Musée de l’Orangerie)

モネセザンヌルノワールマティスピカソモディリアーニなどの、印象派やポスト印象派の作品で知らる美術館。
「オランジュリー」とは、フランス語で「オレンジ畑」「オレンジ温室」の意味で、もともとはチュイルリー宮殿(かつてルーヴルの西側にあった宮殿で、その庭が現在は「チュイルリー公園(Jardin des Tuileries)」として人々の憩いの場となっている)のオレンジ温室だったことから名付けられました。
モネの名作「睡蓮」が所蔵されていることでも有名で別名として「モネ美術館」とも呼ばれています。
映画の中では、ギルとイネズその友人夫婦が一緒に、その大作が掲げられている大きな円形の展示室を訪れる場面が描かれています。
なお、ここも世界遺産「パリのセーヌ河岸」の構成資産です。

縁日博物館(Musée des Arts Forains

19世紀の当初はワインの貯蔵庫として使用されていましたが、その後、所有者のジャン=ポール・ファヴァン(Jean-Paul Favand)氏によってコレクションされたメリーゴーランドの乗り物やアーケードゲームなど、遊園地のオブジェを集めた私立博物館としてオープンしました。
映画ではギルが過去の時代へと3度目にタイムスリップする場所で、F・スコット・フィッツジェラルド(F. Scott Fitzgerald、1896-1940)が主催するパーティー会場として描かれていますが、今も見学可能で100年以上前の遊具を体験することができるという大人も遊んで楽しめる博物館です。

サクレ・クール寺院(Sacré-Cœur Basilica)

モンマルトルの丘の頂上に位置し、パリの美しい景色を一望することができるロマネスク様式とビサンチン様式が融合した白亜の美しい教会です。
映画では、この寺院の裏手の階段を、ギルが過去の世界で一目惚れしたアドリアナと語り合いながら降りるシーンがあります。

セーヌ川(La Seine)

フランスを代表する美しい川で、全長777キロメートルに及び首都パリを流れます。
セーヌ川の河岸のうち、シュリー橋(Pont de Sully)からイエナ橋(Pont d’Iéna)までのおよそ8kmほどが、すでに述べている通りの世界遺産「パリのセーヌ河岸(Paris, Banks of the Seine)」として登録対象とされています。
映画には何度も登場するのですが、パリの美しい街並みを反映する鏡のような存在であるこの河岸が、映画の終盤で夜にライトアップされて映し出された景色が特に幻想的です。

ラ・トゥルネル通り(Quai de la Tournelle)

セーヌ川の南岸に位置し、パリ5区と12区の境界に沿った通り。
映画ではこの河岸のブキニスト(セーヌ河岸に沿って屋台のスタイルで営業する古本屋)で、ギルがアドリアナが書いた日記を購入します。

ノートルダム寺院(Cathédrale Notre-Dame de Paris)

“パリ発祥の地”とも称されるシテ島(Île de la Cité)に建つゴシック様式の大聖堂で、その美しい建築や彫刻、ステンドグラスなどから美術史上でも重要な位置付けとされています。
世界遺産「パリのセーヌ河岸(Paris, Banks of the Seine)」の構成資産の一つでもありますが、2019年の4月に火災が発生し尖塔が焼け落ちた事件は記憶に新しく、今も修復が続けられています。
映画「ミッドナイト・イン・パリ」が制作されたのは2011年のこと。当時の姿を拝見してみたかったものです。

ジャン23世公園(Square Jean XXIII)

その名称は、教皇ヨハネ23世Jean XXIII)の名にちなんでつけられ、シテ島の上流部分、ノートルダム大聖堂裏手にある公園で、訪れる人々に癒しとくつろぎを与える空間です。
映画では、ギルがロダン美術館で出会ったガイドとこの公園のベンチで腰掛け、アドリアナがフランス語で書いた日記を英語へ翻訳して聞かせてもらいます。

デロール(Deyrolle)

1831年に創業し、昆虫や貝殻、あらゆる種類の動物の立派な標本や剥製が並ぶ専門店で、今も多くの人が訪れる場所。
映画では、1920年代のパリのこの場所でパーティが行われており、ギルがアドリアナと再会し連れ出します。

ムーラン・ルージュ(Moulin Rouge)

ムーラン・ルージュはフランス語で「赤い風車」という意味で、パリ北部のモンマルトルにある世界的に有名なカバレット劇場(キャバレー)です。
1889年に開業し、特にモダンなカンカンダンスのショーで知られ、見事なエンターテイメントで多くの人々を魅了してきました。
映画では、ギルがアドリアナと一緒に1920年代からさらにさかのぼってベル・エッポクの時代へとタイムスリップすることとなり、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(Henri de Toulouse-Lautrec、1864-1901)とここで出会います。

シェイクスピア・アンド・カンパニー書店(Shakespeare and Company)

1919年に創設され、パリにおける英米文学とモダニズム文学の殿堂として由緒ある書店。
映画にも登場したアーネスト・ヘミングウェイスコット・フィッツジェラルドガートルード・スタインマン・レイなどもこの書店で多くの時を過ごしたといいます。
映画の終盤で、主人公のギルがこの書店から出るシーンがあります。

アレクサンドル3世橋(Pont Alexandre III)

1900年のパリ万国博覧会に際して建設されたセーヌ川に架かる橋で、世界遺産「パリのセーヌ河岸(Paris, Banks of the Seine)」の構成資産の一つです。
映画のラストシーンで登場するのがこの橋で、ギルがとある女性と再会します。
雨が滴りキラキラと輝く情緒あるパリの風景、物語の流れにも思わず頷いてしまうシチュエーションで、ホッと和むエンディングに静かで穏やかな感動を覚えます。

ここまでざっと挙げてみましたが、正確には、映画「ミッドナイト・イン・パリ(Midnight in Paris)」ロケーションとなった場所は他にもあるんですよね・・・


そして、私にとっては初のフランスへの一人旅、念願のパリ滞在、といってもほんの短時間。
ここに挙げたどれだけを訪れることができるのか。

次は、自分で撮影する写真とともに、さらに楽しんでレポートしたいと思っています。

サラリーウーマンでありながら、自由とは言い切れないこのご時世に、ほんの数日とはいえ日本から海外へ旅に出られることに心から感謝して・・・
本当に、ありがとうございます。
行ってまいります。


あなたが愛する
パリのスポットは
どこですか?

アート好きにはたまらないラブコメ「ミッドナイト・イン・パリ」

2012年アカデミー賞&ゴールデン・グローブ賞 最優秀脚本賞W受賞の名作


本日取り上げますのは映画「ミッドナイト・イン・パリ(原題:Midnight in Paris)」。
映画界の巨匠ウディ・アレンが脚本と監督を務め、2011年に全編パリで撮影されました。
2012年のアカデミー賞ゴールデングローブ賞でどちらも最優秀脚本賞を受賞し、その他の数々の賞にもノミネートし受賞しています。

もう、私も大大大好きな映画です!
2012年に日本で公開された当初は映画館で観て、期待していた以上の面白さに感動し、DVDも即買いしました。

映画「ミッドナイト・イン・パリ」のパフレットとDVD


ブログを綴り始めた頃はこの映画について必ず書こうと思っていたのですが、大大大好きだと言いながらも、そのうちすっかり失念。
しかし、初めてのフランス旅を目前に、今こそ綴っておかなければと思い出しました。

ミッドナイト・イン・パリ」のDVDのジャケットおよびチラシのイメージを見て、アート好きならもちろん、そうでなくとも多くの人がアートに関わる映画なのかな?と察しがつくかと思います。

そう、このイメージに使われているのは、天才画家ゴッホによって描かれた名画「星月夜」。
アーティスティックな映画であることを予感できますよね。

映画「ミッドナイト・イン・パリ」のチラシ(表)
(画像をクリックするとPDF画面が開き、拡大できます)

映画「ミッドナイト・イン・パリ」のチラシ(裏)

更には、この映画のキャッチフレーズに

天才ウディ・アレンが真夜中のパリに魔法をかけた!
誰しもをめくるめくおとぎ話の世界へトリップさせる至福のロマンティック・コメディ

とあるように、ラブコメ要素あり、SFファンタジー要素もありで、見応え抜群です。

映画『ミッドナイト・イン・パリ』予告編(by 映画配給会社ロングライド


この映画の内容について私流に一文でまとめると、
あまたのアーティストたちが愛し、誰もが憧れてやまない魅惑の都市パリへ、お嬢様育ちの婚約者との婚前旅行にやってきた、ハリウッドの売れっ子脚本家から本格的な小説家への転身を夢見る主人公ギル・ペンダー(オーウェル・ウィルソン)が、パリの黄金時代へとタイムスリップし、当時のアーティストたちと出会い夢のような時間を過ごす中で、自分の内面に気がつき、言い換えれば、現実と向き合い本当の自分に戻り、そして最終的に自分にとって本当に必要な人に巡り会う物語、
という感じでしょうか。

私事ですが、この映画を観た前年は2011年、東日本大震災で私自身も大きなダメージを受けた年です。
震災後という点で初めて映画館で観たのがこの「ミッドナイト・イン・パリ」でした。

過去のブログにも書きましたが、私は震災のおかげで、命のありがたさを感じ、それまで忘れかけていたアートへの想いが復活したので、そのタイミングでこの素晴らしい映画を観ることができたのには因縁のようなものを感じましたし、映画館で映画を観ることができる幸せを噛みしめ、大好きなアートに関連する物語で楽しく現実逃避しつつも、命ある現実に感謝する気持ちになれたこの映画は私の宝物の一つです。

さて話がそれましたが、映画「ミッドナイト・イン・パリ」はオープニングがまた良いのです。
シドニー・ベシェのジャズ名曲「Si Tu Vois Ma Mère」をBGMに、現代の何気ないパリの日常の映像が映し出されます。
何気ないといっても、そこはパリ。
美しい名所の数々をおよそ3分の曲分いっぱい堪能することができます。

この部分では全く俳優さんたちは出てきませんし、なんの装飾もされていないパリの日常風景の記録動画という感じですので、何も知らないでこれだけを見ると、まさかロマンティック・コメディ映画の一部とは気がつかないかもしれません。
けど、そんなオープニングで始まる映画だからこそ、むしろこのシンプルさが、パリというそれだけで素晴らしい空間で、素敵な物語が展開されるのかもと胸が高鳴るのです。

なんと!その、映画「ミッドナイト・イン・パリ」のオープニングだけを切り取られた動画がYouTubeで観ることができますので、こちらも是非♪

Si Tu Vois Ma Mère – Midnight in Paris (2011)(by Alex Wang


ちなみに、このゆったりした曲を奏でるシドニー・ベシェ(Sidney Bechet、1897年5月14日 – 1959年5月14日)は、アメリカ・ルイジアナ州ニューオーリンズ出身のクラリネットおよびソプラノ・サックスのジャズ・ミュージシャンで、フランスへは1949年に移住したそうです。

曲名の「Si Tu Vois Ma Mère」はフランス語で、「もしもあなたが私の母を見たら」という意味で、1930年代にフランスの歌手Lucienne Delyleによって歌われ、その後も多くのアーティストによってカバーされてきました。

この曲が映画「ミッドナイト・イン・パリ」にピッタリなのも納得ですね。
他にも、古き良き時代の名曲によって心地よく物語が展開されます。

以上、ここまで簡単にまとめましたが、フランス・パリへの一人旅を控えている私なので、本当は、この映画に登場する歴史上のアーティストや舞台になった観光スポットも述べたかったのです。
しかしながら、それでは長くなってしまいそうですので、それらについてはまたの機会に投稿しようと思います。


あなたの好きな
アカデミー賞受賞作といえば
なんですか?

フランス四大河川を知る

人類にとって重要な河川をきっかけに楽しむ旅


旅行する時のテーマは”アート”であり、特に美術世界遺産を中心に、愛用するCanonのカメラを手に撮影を楽しみながら訪れた地を散策するのが、私にとって至福の一つ。

毎週日曜午後6時に放送されるTBS番組「世界遺産」は、Canonの8Kカメラで撮影されていることもあり、通常ほとんどテレビを観ない私でも、この番組だけはチェックしています。
Canon presents”に始まる番組オープニングの画面とナレーションの響きだけでワクワクしちゃう♪


とは言え、限られた時間の中、やるべきことはいろいろあるので、毎回絶対見逃さないというわけでもないのが事実…

なのですが!
本日(2023年8月17日)のテーマは「ローヌ川で行く!南仏の世界遺産」とのことで、フランス旅行を目前に控えている私には外せません!

そしてお恥ずかしながら私、この予告のWEBページ(http://www.tbs.co.jp/heritage/archive/20230827/)を拝見し、初めて「フランス四大河川」について知りました。
世界四大文明であれば中学校の歴史の授業で学んで、どの文明も大河沿いに発展しているということは記憶にあったけれど、フランス四大河川なる存在があったとは。

*世界四大文明:メソポタミア文明 − チグリス・ユーフラテス川(現在のイラク)、エジプト文明 − ナイル川、インダス文明 – インダス川(現在のインド・パキスタン)、黄河文明 – 黄河(中国)

日本のおよそ1.5倍の面積を持つフランスにはたくさんの川が流れていますが、その中でも特に有名なのがフランス四大河川であり、セーヌ川ロワール川ガロンヌ川ローヌ川の4つの河川を指すのだそうです。

フランス四大河川の要約を以下に記します。

セーヌ川Seine River
フランス北部を流れ、首都パリを通過してイギリス海峡に注ぐ河川。
フランス国内で最も重要な河川の一つで、パリ市内にはセーヌ川に架かる美しい橋や観光名所が点在し、「パリのセーヌ河岸Paris, Banks of the Seine)」として世界遺産に登録されています。

ロワール川Loire River
フランス最長の河川で、フランス中部を流れています。
美しい自然が広がる風景と多くの歴史的な城が点在しており、「シュリー=シュル=ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷The Loire Valley between Sully-sur-Loire and Chalonnes)」として世界遺産に登録され、ブドウ畑が広がる地域です。

ガロンヌ川Garonne River
フランス南部を流れ、ピレネー山脈に源を発して大西洋に注ぎます。
フランス南西部の中心都市である港町で世界的なワインの産地ボルドーや、赤レンガ造りの建物が並び「バラ色の街」とも呼ばれるトゥールーズなどの都市がこの川の流域に位置し、商業や農業に利用されています。
ボルドー・リューヌ港Bordeaux, Port of the Moon)もまた世界遺産として登録されており、この港の名「リューヌ」は、湾曲するガロンヌ河岸に発達した町の形状に由来し、フランス語で「」を意味します。

ローヌ川Rhône River
スイスアルプスのローヌ氷河を源流としてフランス南東部を流れ、地中海に注ぎます。
フランス第二の都市であり「絹の町」として知られるリヨンを通過し、主要な交通路としての役割も果たしています。
特にローヌ渓谷地方では高品質なワインが生産され、ワイン愛好家にとっては魅力的な選択肢であるとともに、歴史的な街並みや建造物が点在し、文化的な魅力も携えた、フランスにおける重要な河川の一つです。

この「ローヌ川」が本日のTBS「世界遺産」で大々的に取り上げられました。
フランスのローヌ川沿いには、次の4つの世界遺産が点在しています。

リヨン歴史地区Historic Site of Lyons

オランジュのローマ劇場と「凱旋門」Roman Theatre and its Surroundings and the “Triumphal Arch” of Orange

アヴィニョン歴史地区Historic Centre of Avignon: Papal Palace, Episcopal Ensemble and Avignon Bridge

アルルのローマ遺跡とロマネスク様式建造物群Arles, Roman and Romanesque Monuments

水と農業、交通と貿易、都市の形成と成長、そして文化や芸術と宗教…
河川は古代から現代にかけて、人々の生活と社会の構築に大きな影響を与えてきたのですね。

なんて魅力的な世界なのでしょう。
しかし、私が今年控えているフランス旅ではこれらを全て巡る時間はなく(涙)

けれどもこの度、歴史上重要な河川をきっかけに旅の計画を立てるのも面白そうだということに気づかせていただきました。
フランスに限らず、今後の旅の計画がさらに楽しくなりそうです。
良き知見を与えていただけたことに感謝します⚘


あなたが知る
世界の河川といえば
どこですか?


画家としての一面を持つフジコ・ヘミング

奇跡のピアニストが描く優しい絵画


前回、世界的ピアニストであるフジコ・ヘミング氏のコンサートについて記述したのですが、彼女の画家としての側面を持っていることについては、ファンなら知ることであれど、一般的にはあまり知られていないことのようですね。

そこで、今回は改めて、フジコ・ヘミングさんの画家としての一面についてを投稿しようと思います。

さてこちら、前回アップした写真ですが、ご存知ない方にはピンとこないようだったので、再掲します。


先月(2023年6月)仙台で開催された、フジコ・ヘミング ピアノソロ コンサートの会場で購入した物品ですが、これらCDやDVDの挿絵も含めイラストは全てフジコ・ヘミングさんによるものなのです。

フジコ・ヘミングさんのご両親は彼女が幼い頃に離婚していますが、ピアニストであった母親(日本人)と、画家で建築家だった父親(スウェーデン人)の元に生まれ、正に受け継がれた才能は類い稀なもの。
幼少期からピアノの技術を研鑽するとともに、絵を描くのが好きで、これまでたくさん描きためてこられ、それらの絵画作品がCDなどのジャケットにも使われているのです。
デザインや装丁もご本人のこだわりによることも多いそうです。

フジコ・ヘミング ピアノコンサートで購入した絵はがきのセット

絵本の挿絵も手がけられています。
素晴らしい作家さんとのコラボレーションによる作品は、子どもにはもちろん大人の心潤す逸品としても本当に素敵です。

フジコ・ヘミング氏の挿絵による絵本「ねことワルツを」と「青い玉」
フジコ・ヘミングさんの挿絵による絵本「ねことワルツを」と「青い玉」

ところで、描かれている絵には猫が多いことにお気づきでしょうか?
これもファンなら知ることですが、フジコ・ヘミングさんは大の猫好きで、たくさんの保護猫と暮らしています。
収入を得るのは、猫ちゃんたちのためでもあるそうです。
この2冊の絵本も猫との暮らしがテーマになっています。猫好きさんへのプレゼントとしても喜ばれそう。

ねことワルツを」(出版:福音館書店)の文を手がけるのは詩人石津ちひろさん。

韻を踏んだ軽快な表現の文章が楽しく、中には早口言葉のようなものもあり、子どもと一緒に楽しみながら読めることうけあいです。

このタイトルにもなっている「ねことワルツを」は、フジコさんの幼い頃の体験に基づいていて、お父さんと踊る別れのワルツを楽しくも儚い詩として綴られていて、グッときます。

青い玉」(出版:文化出版局)の文は沓沢小波(クツザワサナミ)さんによるもので、一人暮らしのおばあさんと一匹の猫の幻想的な物語です。

日英対訳版として発行されていて、海外の方にも読まれており、この収益金は、フジコさん沓沢さんのお二人によって、動物愛護団体に寄付されるそうです。


私、先日のコンサートでこの「青い玉」を購入して初めて知ったのですが、沓沢小波さんは、ここ宮城県ご出身の元幼稚園教諭でいらして、柴田町にて工芸家としてご活動されてきたそうです。

共に猫好きというご縁らしいですが、古布工芸家としてフジコ・ヘミングさんの舞台衣装も手がけてもいらっしゃるそうで、単なるいちファンながら、お二人の相性が良いであろうことは想像に難くなく、そのお二人による絵本が素敵なのも、頷けます。

それにしても、自分の地元である宮城県にこんな素晴らしい方がいらしたなんて。
知るのが遅かったのは悔やまれますが、同じ県内に住む誇れる方の存在を知り、とても嬉しく、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

それでは、最後にフジコ・ヘミングさんの公式HP及びYouTubeチャンネルより、心が安らぐ動画を。
飾らないフジコさんの短い語りと、素晴らしい演奏がギュッと詰まった価値ある5分間です。
曲はショパンの『エオリアンハープ』。猫にも癒されます。

2020年6月、コロナ禍の中、ご自宅からフジコ・ヘミングさんが送られたメッセージ

この動画は、東京のご自宅で撮影されたそうですが、パリにもお住まいがあるフジコさん。
そうそうたる画家やピアニストが過ごしたパリにご自身も住めるのがとても幸せなのだそうです。
そして今年、いよいよ私もようやくパリ・フランスへ旅ができます。
私の場合、滞在期間はほんの数日だけど、航空券は取得済み、コロナ禍があけたらまずはフランスへ行くんだという願いの現実も目前です。
パリのフジコさんのお気に入りの場所に行ってみたいな、など、もはや現実可能な想像をするだけでもハッピーです。
私の幸せ感度を上げてくれるアーティストの皆さんの存在に感謝します。




あなたが
優しさで満たされる
絵本はなんですか?


クリスタルボウル奏者 陽蘭さんとの出会い

仙台在住のサウンドセラピスト陽蘭さんのアトリエを訪ねて その1


2023年もあっという間に5月、ゴールデンウィーク突入です。
コロナ自粛もほぼ解禁状態になりつつあるこの連休、きっとあちこちが賑わっていることでしょう。

私は人混みや騒々しい所は得意ではないので、アートスペースのあるマイホームの整備をのんびり進めつつ、気が向いたら近場にふらっと出かけるくらいにして、ゆったり過ごす連休にするつもりです。

なので、まずはここ最近サボり気味のブログを更新。

取り上げさせていただくのは、仙台在住のサウンドセラピストでいらっしゃる陽蘭さん。
タイトルに記載した通り、クリスタルボウルを奏でる方です。

さて、クリスタルボウルについて、あなたはご存知ですか?
その生演奏を聴いたことはありますか?
歴史も浅い楽器ということで、まだまだ知る人ぞ知るかもしれないですね。
というわけで、まずは、以下のインスタグラムポストをご覧くださいませ。

インスタグラムで述べた通り、それまでクリスタルボウルのライブ演奏を聴いたことはなかったので、体験できる機会はないかなと思っていたところ、昨年ウェブ上で陽蘭さんの存在を知りまして。

クリスタルボウル奏者さんはもちろん他にもいらっしゃるわけですが、私にとってのポイントは、仙台を拠点に活動されているということと、アート(美術)やアロマセラピーなどと掛け合わせた演奏会を企画されているという点で、私の大好きなことばかり!是非とも陽蘭さんに直接お会いしたいと思ったのです。

色々な興味深い企画をされているのでどれも体験してみたいところでしたが、クリスタルボウルの生音に触れたことがなかった私は、陽蘭さんのアトリエ/サロン Atelier Blossom を訪れた初回は、まずはクリスタルボウル音浴セラピーのソロセッションでシンプルにその美しい音を堪能させていただきました。
そこでクリスタルボウルの良さを改めて知るとともに、陽蘭さんの安心できる人柄に惚れ込み、すでに数回、Atelier Blossom に足を運んでいます。

先月は、陽蘭さんとセッションが楽しめる「癒しのアート」に参加させていただきました。


ところで、この連休はゆったり過ごしたいと最初に述べましたが、”ゆったり”というと、皆さんはどのような過ごし方をされますか?
ここ最近の私はといえば、”ヒーリング”がキーワードの一つで。

”ヒーリング”を日本語に言い換えるとしたら、”癒し”を思い浮かべるのではないでしょうか。
日本語の”癒し”という言葉には、肉体や精神の疲れを解消する、ストレスから解放されるという意味合いがあります。
ゆったりと癒されて心身の緊張をほぐす・・・もちろんそれも正しい。
のですが、”癒し”を逆に英語にすると”relax(リラックス)”が近いようでして、実はヒーリングhealingとは、英英辞書を引くと

1 the treatment of illness using natural powers or prayer rather than medicine
2 the process of becoming healthy and strong again

ロングマン現代英英辞典より

直訳すると、以下の通り。
1)薬ではなく自然の力や祈りを使って病気を治療すること
2)再び健康で強くなる方法

クリスタルボウルの倍音にも、まさにこの効能があるというわけです。
さらに、クリスタルボウルの音が響く中にアートワークの実践を取り入れたりすると、その効果も倍増するということですね。

上述した陽蘭さんとのアートセッションでそれを実感したのですが、実はこの連休初日、再び陽蘭さんのアトリエ/サロン Atelier Blossomを訪れ、「小顔矯正×音浴セラピー」を体験してきまして、これこそ真のヒーリングであるとますます実感 ♪

詳しくは、また次回にアップさせていただきたいと思います。


あなたは
クリスタルボウルの生音を
体験したことがありますか?


挿絵画家としての佐藤忠良

宮城県美術館で開催中の「生誕110年 傑作誕生・佐藤忠良」展も終盤につき


丸一ヶ月ぶりのブログ更新なので、まずは私事ですが近況報告。
2023年も明けたと思ったらもう3月後半に差し掛かりました。
2022年度も終盤を迎え、私が勤める保育園も卒園と入園(保育園は卒園式後も卒園児が通います)、新たな職員体制、そして法人における予算決めやら役員の入れ替わりなどで、とーってもバタバタしております。
現在の職につくまでは毎年必ず行っていた地元の東日本大震災追悼も、昨年同様、今年も仕事のため行けずで(涙)。
各SNSもログアウト状態にし、仕事に集中しておりました。
貴重な自分の時間はというと、我が家をリノベーション購入したことで確定申告して節税せねばと必要書類の収集やら申告手続きなどで時間を割かねばならず。

ブログ更新されてない、SNSログインもされてない、で、気にかけていただいた皆さま、ご心配おかけし申し訳ありませんでした。
ちゃんと生きてます。

さて、前回記録したのは、ここ宮城県の出身で、日本を代表する彫刻家の一人である佐藤忠良氏の展覧会についてでした。

後期展覧も行くと述べていたのですが、あっという間に終了日(2023年3月26日)近付いてきてしまい、行けるかどうかの瀬戸際に・・・
皆さまはもう行かれましたでしょうか?

本当は後期展覧には3月上旬には行こうと思っていて、そうしたら改めて記事にしようと思っていたのですが、未だ行けておりませんので取り急ぎ、インスグラムへのポストをアーカイブしておくとともに、佐藤忠良氏の絵本挿絵画家としての側面と、同氏が挿し絵された、知る人ぞ知るかもしれないおすすめ文庫をご紹介したいと思います。

佐藤忠良氏の彫刻作品は、アート好きでも特別そうでなくとも、宮城県民の方は何気に目にしてご存知と思うのですが、しかし、その彫刻家さんが、日本人ならほとんどの方が知る絵本の名作「おおきなかぶ」の挿絵をされていたということについては、まだまだ知らない方もいらっしゃるようなので、ここでしっかり言及しておきたいと思いました。

インスタへもポストした通り「おおきなかぶ 」の挿絵原画は、今回の特別展で公開されていますので、是非多くの方々に、素晴らしい佐藤忠良氏の彫刻作品とともに楽しんでいただけたらなと思います。

その想いを込めまして、次にポストしたのがこちら。

小さな町の風景」は、主に児童図書の出版を手がける「偕成社」による文庫で、佐藤忠良氏が挿絵されている一冊なのですが、今回の美術展では取り上げられていませんし、杉みきこ氏による美しい文章の一部は多くの方が知るであろうものの、この文庫本に佐藤忠良氏が挿絵されていることはあまり知られていないだろうと思い、インスタグラムへポストさせていただきました。

それでは最後に、杉みきこ氏による美しい文章の一部を振り返ってみましょう。

「小さな町の風景」ー 第1章「坂のある風景」より
『あの坂をのぼれば』

—あの坂をのぼれば、海が見える。
少年は、朝から歩いていた。草いきれがむっとたちこめる山道である。
顔も背すじも汗にまみれ、休まず歩く息づかいがあらい。

中略

—あの坂をのぼれば、海が見える。
のぼりきるまで、あと数歩。なかばかけだすようにして、少年はその頂に立つ。
しかし、見下ろすゆくては、またも波のように、くだってのぼって、そのさきの見えない、長い長い山道だった。

少年は、がくがくする足をふみしめて、もういちど気力を奮い起こす。

中略

—あの坂をのぼれば、海が見える。
少年はもういちど、力をこめてつぶやく。
しかし、そうでなくともよかった。
いまはたとえ、このあと三つの坂、四つの坂をこえることになろうとも、かならず海に行き着くことができる、行きついてみせる。
白い小さな羽根をてのひらにしっかりとくるんで、ゆっくりと坂をのぼってゆく少年の耳に —あるいは心の奥にか— かすかなしおざいのひびきが聞こえはじめていた。

「小さな町の風景」(偕成社出版/杉みき子著)p.18-21より


「おおきなかぶ」で内田莉莎子さんが表現された「うんとこしょ、どっこいしょ」のリズムの心地よさ同様に、反復される「あの坂をのぼれば、海が見える」の響き、記憶のある方は少なくないと思います。

私は、佐藤忠良さんを深掘りしている時に、杉みきこさんのこの文庫本の存在を知り、さらに懐かしくも美しい文章に触れ、喜びを感じました。
イメージをきっかけに素敵なテキストに出会うという感覚が私は好きです。
アートや文学を楽しむメソッドのひとつとしてもオススメです。


あなたは
絵本についての
記憶がありますか?