地震による傷口を覆う誓い

‘想い’は ‘誓い’と言えるほど強いものに


昨晩(2021年2月13日)、23時7分、福島県沖の大きな地震がありました。
ここ仙台、私の住む地域は震度5強だったそうです。

発生時は、3.11の時の感覚が蘇り「またなの・・・?」という言いようのない恐怖感。
何もなすすべなく、部屋の一番安全と思われる場所で、ただ膝を抱えて、待つだけ・・・

でも、揺れが収まってからは、10年前より多分マシというのが直感としてありました。

とはいえ、部屋は大変なことに・・・
一番大きな本棚が倒れ、キッチンも物が散乱し食器類もいくつか割れ、古いマンションで、住んだ時からたてつけが悪かった玄関の収納は案の定めちゃくちゃ・・・

部屋はこの通りひどい惨状だけど、でも、運よく、携帯も使え、ネットも見られる、電気やガス、水道といったライフラインは問題ない、津波の心配はないってことだし、翌日は日曜、部屋さえ綺麗にすればいいだけ。
過去の経験があるからこそ、昨晩の時点で、そういう安心感はありました。

だけど、大丈夫なのはわかってるんだけど、心臓の鼓動が平常ではない。
心が落ち着かず、ざわつく。
私は軽度だと思うけど、こういうのをPTSD:心的外傷後ストレス障害というのでしょう。

私でさえこうなんだから、相当な不安感を抱え、震えている人もいるだろうな・・・

一度受けた深い傷というのは、いくら年月が経っても、そう癒えるものではない。
傍目にはわからないけど、苦しんでいる人がいるってこと、癒しを必要としている人がいるってこと、忘れないで、私に何ができるか考えよう。
そんなことを改めて思いました。

熟睡などできるはずもなく、疲労感と共に朝を迎えて、変わり果てた部屋の様子に呆然としながらも、重い腰を上げ、ちょっと片付けてはため息をつき、人には動かすのが大変な棚などが動いていることに、自然の力ってすごいなと恐怖を抱くと共に感心もしつつ、やる気を失くす、の繰り返し。
全くもって、作業がはかどりません。

もう、あんまり頑張らないで、休憩入れがらやろう・・・
カオスなキッチンでお湯を沸かし、コーヒーを入れて、一服し、散々な部屋をボーッと眺めつつ思うのは、

厳しい試練をどうしてこうも与えられるんだろう・・・

目指しているのはオアシスなのか破壊された世界なのかという混沌とした現代にいる私たちに対して、人としての本来の心を失うな、生かされていることに感謝し、豊かな心を保つようにと、自然の怒りを使って神様が教えてくれてるのかなぁ

やっぱり、人生、大切に生きなきゃ・・・

いつ何が起こるか、わからない。
備えも大事だけど、先のことばかり考えて、不安を抱えて生きるよりも、今を幸せに生きることを考えよう。

仕事や与えられた使命に心込めて取り組みながら、コロナ禍という制限がある中でも、やりたいこと出来ることはやろう、行けるところには行こう、会いたい人には会って、感謝の気持ちを伝えよう。

遅かれ早かれ命は尽きるのだから。
その時に後悔がないように。
充実と、最高のありがとうの気持ちを感じて、自分の人生に幕を閉じることができるように。

これまで抱いていた‘想い’が、‘誓い’というさらに強いものに変わったように感じています。


あなたの
人生に対しての
誓いはなんですか?


大切な人の法則

臨床美術の心は全てに繋がる


全国の臨床美術士に向けて発信された、関根一夫先生の新春講演会「いきるをえらぼう!」の動画を見させていただきました。

生きるを選ぶ
含蓄のある言葉ですね。

臨床美術は、独自のプログラムにより、絵やオブジェなどの作品を楽しみながら作ることによって脳を活性化させ、高齢者の介護予防認知症の予防および症状改善働く人のストレス緩和子どもの感性教育などに効果が期待できる芸術療法(アートセラピー)の一つです。
1996年に研究が始まり開発されてまだ30年に満たないものではありますが、現在では、療法という枠を超え、老若男女誰もが体験でき心地よい五感への刺激リラックスできるコミュニケーションによって、生きる意欲潜在能力を引き出す効果のある創作活動として、徐々に認知され、活動ネットワークも広がりを見せています。

この臨床美術考案者の一人であり、牧師でカウンセラーの関根一夫先生については、既にこのサイトでも私の尊敬する方の一人としてご紹介しています。

関連記事:
臨床美術におけるナラティブ(語り)/そして、「いてくれてありがとう」という語り
いてくれてありがとう/いつも忘れずにいたい素敵な言葉

臨床美術士の資格を取得する過程において、関根先生によるビデオ講義の時間があるのですが、皆、涙するほど感動し、臨床美術に出会えたことを心から喜ぶとともに、関根先生の大ファンになること請け合いです。

今回発信された動画も、変わらず、飾らず、やさしさあたたかさに溢れたもので、「講演」と言っても、堅苦しいものではなく、私たちに寄り添い、語りかけてくれている、そんな感じのものでした。

このご講演は、コロナ禍にあって活動も難しくなっている臨床美術士に向けての励ましのメッセージでもあったわけですが、その中で、臨床美術を行うには仲間の存在が大切になってくることもあり、それが生きる力にもなるのだというお話がありました。

そこで、先生が「大切な人の法則」として述べてくださったこと。
これは是非書き記して胸にとめておかねばと思いました。


〜 大切な人の法則 〜


一緒にいる時間が短く感じる

また会いたいと思う


ふとした瞬間に思い出す


自然な笑顔でいられる


話を真剣に聞いてくれる


何気ない一言が胸に刺さる


いつも頭の片隅にいる


失いたくないと思う

そんなお互いの関係があることで、人は生きるを選べるのだ、という素敵なメッセージ。

このような関係性は、臨床美術仲間に限らず、どんなところでも必要とされるものですよね。

心から大切だと思える人に出会えれば、自分自身の生きる支えになるし、数の問題ではないことではありますが、そういう風に思える人が多い人ほど、その人自身が周りからも大切と思ってもらえている、人の支えになれているということ。
そういう人でありたい、そう思います。


最後に、いつも素敵なお話をしてくださる関根先生、力をくださりありがとうございます。
また、今回このような講演企画を担って下さった臨床美術士の有志メンバーの方々にも、感謝を申し上げたいです。
私も少しずつでも癒しの世界が広げられるよう、後に続いていきたいと思います。



あなたには
大切な人が
いますか?

あの日からもうすぐ10年

東日本大震災から静かに復興している閖上


年明け初めて、自分の生まれた地「閖上(ゆりあげ)」に行って来ました。
閖上は、宮城県名取市の港町です。

少し雲がかってはいましたが、寒さ和らぎ爽やかなお天気に恵まれ、気持ち安らぐ時間を持つことができました。

2011年3月11日、東日本大震災が発生したあの日から、もうすぐ10年という節目を迎えます。

無慈悲にも壊滅してしまった閖上ですが、ゆっくりと静かに復興しています。

閖上の砂浜と穏やかな太平洋。
この海があのおぞましい津波と化したとは想像もしたくないです。

あの津波を受けて、長い長い堤防が設けられました。
今では、散歩、ランニングにはうってつけの環境。

そして、昨年(2020年)10月には「名取市サイクルスポーツセンター」が復活をとげました。

同施設は、1975年に開設され、私にとってはもちろん、閖上で生まれ育った人なら何度となく訪れたであろう思い出の場所。

1周4キロの「サイクリングロード」や「おもしろ自転車広場」に、スポーツコート、さらには日帰り入浴も可能な天然温泉も備えた名取ゆりあげ温泉「輪りんの宿」が併設され、震災前より充実したレクリエーション施設として復活した「名取市サイクルスポーツセンター」。
東北の新しいレジャースポットとして再出発されたこと、閖上出身者として、とても嬉しく思います。

宿泊施設「輪りんの宿」の屋上からは、広大な景色を臨むことができます。

伊達政宗の命じにより物資輸送のために開削された貞山堀(ていざんぼり/貞山運河)の周辺も、綺麗に整備され、喧騒のない静かな時間を過ごすことができます。

貞山堀を挟んで「名取市サイクルスポーツセンター」の対岸側は、釣り船の出船場となっています。
手ぶらで釣りが楽しめるサービスなどもあるそうですよ。

閖上港朝市が開かれる場所付近の堤防も整備され、そこから眺める並んだヨットと広浦湾の風景は、昔と似ている部分もあり、ノスタルジーを感じます。

あの日からもうすぐ10年。
変わってしまったけれども、懐かしい風景もあり、私のルーツはここにあることに変わりないんだなと感じるとともに、生かされていることに感謝し、この尊い命を精一杯、大切に生きようと、改めて思えました。

清々しくも穏やかで、幸せな時を過ごせたことに、心からありがとう・・・


名取市サイクルスポーツセンターのWEBサイト


あなたの
大切な場所は
どこですか?

慢心は人間の最大の敵

我が心にはマクベスがいないか・・・


ウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare)
本をあまり読まなくとも、知らない人はいないであろう、偉大な文豪。
シェイクスピアの四大悲劇の一つ、「ロミオとジュリエット(Romeo and Juliet)」であれば、大抵の人があらすじを知っていますよね。




”現代版”といっても現在(2021年)からすれば少々古くはなりますが、レオナルド・ディカプリオ主演の映画、現代版「ロミオとジュリエット」(1997年作)は、本で読むような取っ付きにくさはなく、親しみやすい上、見応えがあり、多くの方が観ていらっしゃると思います。




さて、それでは、こちらはどうでしょう?
同じくシェイクスピアの四大悲劇の一つ「マクベス(Macbeth)」。

マクベス」も、数多く翻訳、舞台化、映画化されています。
次の動画は、2015年にイギリスで映画化されたものの予告編です。
この映画は、そういう物語なのでしょうがないのだけど、救われない感漂いますが、映像がとても幻想的で美しいので(残酷な場面もあるけど…)、静かな気持ちになれます。


この予告編の「あなたの心のなかにも、マクベスがいる」というキャッチフレーズが、秀逸だなと思いました。

物語は、国のために戦い英雄と称えられた将軍マクベスが、残念にも野心にかられてしまい、その妻であるマクベス夫人と共に、人を欺き、残虐な殺人を働き、自ら破滅へと向かう、とても暗いお話しです・・・

さて、今回タイトルにした

「慢心は人間の最大の敵」

これは、1949年、日本で一番最初に「マクベス」を翻訳出版された(野上豊一郎訳/岩浪文庫出版)中の一文で、名言として語り継がれているものです。


慢心」とは、先日の投稿でも触れました通り、「おごり高ぶること。また、その心。自慢する気持ち。」のこと。

関連記事:
感情をマネジメントできる人でありたい/負の感情とも向き合いつつ、慢心や虚栄心には負けないように

このセリフにあたる部分は、先ほどご紹介した映画では直接的に取り上げられていなかったのですが、褒め称えられたことからうぬぼれ、欲望に囚われ身を滅ぼしていくマクベスを描かれているところで、慢心に蝕まれるとどうなるか、ということを深く考えさせるものでした。

私の心にはマクベスがいないか。
自分を省みて慢心を戒めることを、忘れないようにしたいです。


あなたの心には
マクベス(慢心)が
いませんか?



目標達成の理由はそこに愛があるから

アスイクさんからのクラファン協力御礼のお手紙


個人的に感銘を受けて以来、応援している仙台のNPO法人「アスイク」さんがチャレンジした2021年12月1日〜31日までの1ヶ月間のクラウドファンディング。
アスイクさんの取り組みは素晴らしく、少しでも多くのかたに知っていただきたいので、当サイトでもご紹介させていただきました。

関連記事:
子どもたちの幸せを願って/NPO法人アスイクさんの取り組み
子どもたちを守りたい!アスイクさんのクラウドファンディング/仙台のNPO法人アスイクさんの「食糧支援×見守りプロジェクト」

出だしの頃は苦戦したようですが、中盤を過ぎてからみるみるサポーターが増え、寄付額も増え、12月26日には、目標だった120万円を達成し、最終的には1,385,000円の支援額(支援者108名)となったとのこと。
経過は時々Webサイトで見ていましたし、ご報告のメールもいただいて、目標を達成されたことが確認できた時は、特別なことは何もできていない一支援者ながら、とても嬉しかったです。

そして、昨日ポストに、アスイクさんからのお便りが届いていました。

気持ち程度の支援しかできない立場ではありますが、やはり、応援する団体が掲げた目標を達成し、こうやってお便りなどいただけると、こんな自分でもちょっとは役に立てたかなと嬉しいものです。

ところで、今回、アスイクさんが目標を達成できたのはなぜでしょうね?
クラウドファンディングというと、寄付額毎に返礼品にも差をつけるのが慣習ですが、アスイクさんはあえてそうされていません。
でも、しっかり目標を達成されました。
この理由こそが、現代の多くの人が切望している願いに直結しているからではないかと思うのです。

さてここで、アスイクさんのHPに掲載されている、代表の大橋雄介さんのメッセージを引用させていただきます。


一人ひとりの幸せをさがす。


この先の未来を見通すことは困難ですが、after/withコロナの世界は、AIや通信規格などのイノベーションも相まって、これまでの世界とは大きく形を変えていくことは間違いないでしょう。
平均寿命が長くなる一方で、体が動くうちは働き続けなければならない社会の到来も近づいています。

生活様式や働き方、あるいは価値観が大きく変わっていく中、今日まで出会ってきたような生きづらさを抱えた子どもたちは、どのように生きていけばよいのか。
経済的な困窮、虐待、精神疾患、不登校や中退による孤立。
今を生きることだけでも精いっぱいな子どもたちは、これまでになく変化が大きく、これまでになく長時間労働ならぬ長期間労働が宿命づけられた時代に、どう生きれば幸せな人生を全うできるのか。

社会が大きく変化する今だからこそ、それを機会ととらえ、これからの生き方や幸せのカタチを子どもや若者たちとともに考えていきたい。
きっとそれは、これまでの社会に彼ら彼女らを適応させるのではなく、その人なりの答えを探すようなことだと思います。

「アスイクについて/ミッション・私たちの使命」詳細欄より一部抜粋


アスイクさんが挑んでいるのは、困難を抱えた子ども達とそれを取り巻く人々の幸せを創出すること。
そこに本当の愛がないと実現できない取り組みです。

アスイクさんの活動は、直接支援差し上げてる方々、支援を受けている方々だけでなく、間接的にでも自分以外の誰かを救うために何かしたいと思っている人たちの心をもあたため、それぞれの生きる力の源ともなり、そしてその周辺には、目には見えなくとも、やさしさの糸の絆が紡がれていくのだろうと思います。

今回のクラウドファンディングを支援した人々は、そんな愛ある活動に真摯に取り組むアスイクさんの姿勢に感銘し、また、自分も愛ある幸せな世界を広げるために貢献できるならという想いを持った人達で、そこに、返礼品が何かということは、ほとんど意味がないということでしょう。
「嬉しい」「幸せ」「良かったね」「助かったよ」「ありがとう」ただそんなあたたかい言葉の交わし合いと、笑顔を生み出すことができればいいだけ。

この科学の発達が進む現代にあって、あらゆることが過剰なほどに加速され、格差社会の問題が依然としてある中で、人間の原点を振り返り、本来の幸せについて、本当にこれでいいのだろうか?と考える人々が増えてきているということが背景にあるのではないでしょうか。
現代ならではの問題が徐々に浮き彫りになってきているという一方で、本来の人間の幸せを考えるということは正常な人間として当然のことであり、幸福な世界を創って行く上では、希望となる現実かもしれないとも思うのです。

変わりゆく困難な時にこそ必要なのは、やさしく愛のある心であるということに一人でも多くが気がつき、互いに寄り添い、支え合って生きていかねばならない、そういう段階に私たちはいるのではないかと感じています。


あなたにとっての
愛ある世界とは
どんなですか?

今日は獅子座の満月の日★

澄み切った冬空に想いを


あなたは、星占いとか、信じますか?
私はというと、あまり信心深いタイプではないです。
信じるか信じないかはあなた次第、と思いますので、お金を払ってまで占いしてもらう友達を否定しませんが、私自身はそういったことはやりません。
でも、例えば、神社にお参りに行ったらおみくじを引きますし、自分にとって都合の良い、といいますか、前向きにさせてもらえる内容なんかは柔軟に取り入れたい、そんな人間です。

ところで本日、2021年1月29日、星占い好きはもちろん、そういったことには興味ないかたにも是非とも空を見上げていただきたい!
とっても美しいお月さまが輝いてますから☆

今日は、獅子座の満月なんですって。

太古から月の満ち欠けに合わせて生きてきた人間には、その月相が、人生を歩む上での拠り所になってたりもするというわけで。

私が感銘する作家の一人、鈴木真奈美さんのブログによると、


しし座の満月は、
フタをしていたネガティブが、
表に出てきやすい時期です。

不安や心配、
トラウマやコンプレックスなど、
あなたの心を
縛るものがあれば、
このタイミングで、リリースしてきましょう。

もうひとつ、
しし座の満月は、一人ひとりが、
素晴らしさを世に打ち出していく時。
これこそ、風の時代に、必要な要素です。

「なにか動き出したい!」
「新しいことにチャレンジしたい!」

そんな想いがあるなら、
この満月と、節分&立春を
追い風にしてください。

鈴木真奈美さんのオフィシャルブログより


ということだそうです。
ありがたいメッセージですね。

トラウマやコンプレックス・・・ああ、なんか覚えがあるな・・・
でも、そんなもの、リリース(流す)しちゃえばいいんだね。
やりたいことにチャレンジしていけばいいんだね、それが今なのね♪
と捉え、一歩一歩、ゆっくりでもいいから着実に進んで行こう、そう満月に想った、今晩。

ちなみに、今日を見逃しても、数日は大きくて真ん丸に近いお月さまを楽しめますので(天候の問題はありますが)、是非、夜空を慈しむお時間、持ってみてくださいね☆


あなたの
月への願いは
なんですか?

こんなに面白かった鉄腕アトム

純粋な愛 X 鉄腕にかなうものはない


先日、画家パウルクレーの絵に谷川俊太郎の詩が添えられた絵本をご紹介しましたが、谷川俊太郎さんといえば、元祖TVアニメ「鉄腕アトム(昭和版)」主題歌の詩を作られた人であることはご存知でしたか?

前回の記事:
大人のための画家と詩人のコラボ絵本/パウル・クレー X 谷川俊太郎

手塚治虫原作のアニメ「鉄腕アトム」は、1963年からフジテレビ系で日本初の30分テレビアニメシリーズとしてアニメ化、1980年には日本テレビ系でカラー版の『鉄腕アトム (アニメ第2作)』が制作され、言わば、カラーアニメの原点とされる名作。
2003年には平成版のアトム、さらにはCGによるアニメ映画も作られ、少しずつ形を変えつつも、多くの世代に愛される作品です。

先日の投稿の際、谷川俊太郎さんから鉄腕アトムを思い出し、小さな頃にTVに食い入って見た記憶が蘇ったので、思わず動画を探しまして、初めは歌だけ聞ければいいかなと思っていたのですが、第1話、面白くて見きってしまいました。

これを見る前、記憶にあったのは、主題歌の部分と、近未来SFのワクワクする展開の中で子どものロボットが世界を救うという物語に魅力を感じていた点で、具体的な内容は全く覚えていなかったのですが、今回YouTubeで見て、こんなに面白かったのかーと関心。
もしかしたら私の近未来SF系の映画が好きな原点は、ここにあるのかもしれません。

それにしても、アトムの誕生秘話、こんな話だったんだ?!といきなりのシビアなストーリー展開に驚きました。
第2話、3話と続けて見たくなってしまいますね。

このSFストーリーが面白いというのは一つですが、「鉄腕アトム」で手塚治虫が伝えようとしているのも「愛」ですよね。
アンドロイドではあるけれど、子どもの心を持っているからこそ表現できる純粋な愛。掛け値無しのやさしさ。
愛のある鉄腕だからこそ、みんなに必要とされ愛される百万馬力になるのだろうな、いくら怪力とか権力とかお金があっても、そこに愛がなければ何にもならないよねと、またまた深く思い浸りました。


あなたは
子ども心
覚えていますか?

大人のための画家と詩人のコラボ絵本

パウル・クレー X 谷川俊太郎


社会人になってからというもの、読書と言えば、ビジネス書や自己啓発系のものが多かったのですが、気がつくと、似たり寄ったりのものも結構あって、もうそろそろ、子どもの頃や学生時代によく読んでいたような、物語や小説、詩集なんかをゆっくりと読みたいなぁという気持ちになってきました。

そこで見つけたのが、美術好きには嬉しい、絵画と詩がコラボレーションした素敵な一冊。


クレーの絵本 」(講談社出版)は、抽象画で有名なパウル・クレーの絵画に、日本の現代詩人を代表する谷川俊太郎の詩が添えられた、とても美しい本です。

パウル・クレー(Paul Klee)は、1879年のスイスで、音楽教師の父と声楽家の母との間に生まれました。4歳で祖母から絵を習い、7歳でバイオリンを始め、小さな頃から芸術の世界にあったクレーの生涯は、絵と音楽と詩にあふれたものだったのだそうです。

そんなクレーからインスピレーションを受けて、谷川俊太郎が詩を綴っています。


表紙にもなっている絵は「黄金の魚/The Goldfish」(1925年制作/ハンブルク美術館収蔵)で、添えられた詩の「どんなよろこびのふかいうみにも ひとつぶのなみだが とけていないということはない」という最後の部分が、心にズシンときます。

どの絵も、詩も、静かな中にも深さと、情緒的な美しさを感じるものばかりで、贅沢な一冊です。
インテリアとしても飾っておけるシンプルな装丁も素敵です。

この本の最後に、谷川氏による解説が載っていますので、一部抜粋させていただきます。
(ちなみに、背景の絵はクレーの「赤い気球/Red Ballon」(1922年/グッゲンハイム美術館)で、この本にも載っています)


抽象画はなんだか難しいと思っていた私にも、クレーの絵には引き寄せられてやまないものがあり、今では好きな画家の一人です。
谷川氏が述べているように、クレーの絵は単なる抽象画ではなく、見るものに魂を感じさせるものだからなのだろうと思います。

以下の動画は、パウル・クレーの作品「島/Island」(1932年/アーティゾン美術館)について紹介されているものです。
「クレーの絵本」では取り上げられていない作品ではありますが、クレーの作風についての参考になると思います。
2分ほどで短くまとめられていて、静かで穏やかなナレーションも心地よい、良質な動画です。


BGMは無いのに、なんだか音楽が聞こえてきそうな気がしませんか?
そして、この不思議な感覚の余韻にしばらく浸っていたい、そんな気持ちにさせられます。

穏やかな気持ちになれる芸術との対話、そんなひと時を、普段の生活の中でも大切にしていきたいです。



あなたは
抽象画を
どう感じますか?




「クレーの絵本」パウル・クレー(著) 谷川 俊太郎(著) 講談社
「クレーの絵本」パウル・クレー(著) 谷川 俊太郎(著) 講談社

感情をマネジメントできる人でありたい

負の感情とも向き合いつつ、慢心や虚栄心には負けないように


先日投稿したEQ(心の知能指数/感情能力)について、初めて知ったというお声をいただきましたので、もうちょっとだけ述べさせていただきますね。

前回の記事:
「感じる力」EQ とは/How Do You Feel Now ?


この本の中では、以下のように述べらています。

感情の使い方がうまい(EQが高い)人は、気持ちのオン、オフの切り替えが上手です。

気分転換が得意なので、ストレス対処がうまくできます。

また、物事の捉え方、受け止め方も広くなるので、バランスよく考えることができます。

(「EQ「感じる力」の磨き方」p.85 『メンタルヘルスとEQ』より要約して抜粋)


是非ともそういう人でありたいので、自分自身の感情を受け止め、そしてコントロールする能力を高めたいと思うところではありますが、一言で「感情をコントロールする」というと、非常に強制的というか、常に我慢が伴いそうに感じますよね。
でも、そういうことではなくて、我慢することも、我慢しないことも、必要に応じて感情をマネジメント(管理・利用)することが大切ということです。

そして、「気持ちのオン・オフの切り替えが上手」というと、ポジティブな感情を作り出す能力を向上させる必要性を感じますが、ネガティブな感情=負の感情も、生きるエネルギーとなり、自分自身の成長に不可欠な感情であるということも、覚えておきたいことです。

私の場合の例で言うと、このウェブサイトのはじめにでも述べたように、私の周りには震災や病気、事故、中には自ら、命を落とした人が多くいて、それらの悲しみがあってこそ、私は自分自身の命を大事に生きなければならないという気持ちにさせられています。
また、自分自身が辛い思いをしている分、苦しい境遇の人へ寄り添える気持ちも養えていると感じています。

できることなら負の感情に陥るような出来事は起きてほしくないというのが正直なところですが、程度の差はあれ、ネガティブな出来事が全くないという人生はありえないから、負の感情とも向き合って、乗り越えていく力を養うことが大切ですね。


また、例えば「感情は合理性や効率性を邪魔する」と考える人も多いかと思いますが、否、「合理性や効率性と感情は対立するものではなく、協力し合うもの」と捉えるのが、合理性や効率性を実現する人への近道となるということも頭に入れておきたいです。
そもそも人には感情があり、その感情を使って、感情を使われないようにマネジメントする、そういうことでもあると。

最後にもう一つ、これも日頃、心に留めておくべきだなと思った部分を抜粋させていただきます。

感情は大切なものですが、嬉しくて有頂天になり、舞い上がった経験はありませんか?

感情が高まり(高揚)すぎると、足元が見えなくなり、とても危険な状態になります。これを「慢心」と言います。

実は、給料日の直後に物を失くしたり、落としたり、大切なことを壊していることが多いことをご存知でしょうか。

「給料日は、お金がある、何でも買える、どーんとこい!」というこの感情が、気持ちを大きくさせ、舞い上がらせ、油断を招きます。

舞い上がった感情は、目を曇らせて足元を見えなくします。

事故防止には絶対に許されない感情、それが慢心です。

(「EQ「感じる力」の磨き方」p.165-166『「クヨクヨ気分」で慢心を防ぐ』より要約して抜粋)


辞書によると「慢心」とは、おごり高ぶること。また、その心。自慢する気持ち。
そして慢心の対義語は、虚心謙虚などです。

謙虚はよく使われますね。
控え目で、つつましいこと。へりくだって、素直に相手の意見などを受け入れること。

虚心(きょしん)とは、心に何のこだわりも持たずに、素直であること。
虚心を使った四字熟語でよく使われるのが、虚心坦懐で、心になんのわだかまりもなく、静かに落ち着いたおだやかな心で物事に臨むさまのこと。

ちなみに、虚心の間に「栄」が入ると、虚栄心となります。
虚栄心とは、自分を実質以上に見せようと、見えを張りたがる心のこと。


安らげる幸せな環境を創出していくためにも、感情をうまくマネージして、慢心や虚栄心に負けない、謙虚虚心坦懐な人でいられるようにしたいです。



あなたは
負の感情とも
向き合えていますか?




「「感じる力」の磨き方」高山 直 (著) 東洋経済新報社
「EQ「感じる力」の磨き方」高山 直 (著) 東洋経済新報社

「感じる力」EQ とは

How Do You Feel Now ?


EQという言葉をご存知ですか?
そして、
How do you feel now?
あなたは自分の今の気持ちと向き合う時間を取っていますか?


私がEQについて知ったのは、以前研究機関に勤めていた際、皆さん頭のいい人たちばかりだけど、どこか心が荒(すさ)んでいないか、なんだか人としての心が欠けていないだろうか?といったことを感じ、私自身の心も喪失していきそうな危機感を覚え、その時に手に取った本『EQ 「感じる力」の磨き方』(高山直著作、東洋経済新報社出版)を読んだことがきっかけです。


IQ:Intelligence Quotient <知能指数>については一般的ですね。
人の知能の基準を数値化したもので、簡単に言うと、頭の良さのレベルを表す指標とでも言いましょうか。
対して、
EQ:Emotional Intelligence Quotient <心の知能指数=感情能力>
emotionalは、感情のとか情緒のという意味です。頭の良し悪しというよりも、すなわち感情コントロールができるレベルを表すものです。

EQについては比較的新しい概念のため、定義はまだはっきりしていないということですが、EQ理論の開発は、1980年代にアメリカの心理学者ピーター・サロベイ博士とジョン・メイヤー博士の発案に基づくと言われています。

感情に関する理論が、論理や数に関する理論と同じくらいに重要である」というのが、EQ理論の考え方です。

感情は自然に生まれ、職場や家庭の至るところ、人生のあらゆる場面にあふれており、感情は情報の源である。
感情は、人生を豊かにすることができるが、妨げとなることもある。
そして、私たちは感情を無視できるが、感情は存在し続ける。
だから、感情を無視するのではなく、感情を上手に管理し、利用することが大切なのだ。
ということなんですね。


EQ 「感じる力」の磨き方』の著者である高山直氏もピーター・サロベイ博士とジョン・メイヤー博士と研究を共にしたとのことで、EQに関わることとなった時に、彼らEQ理論提唱者たちに会うたびに言われたのが
How do you feel now ?
だったのだそうです。
日常生活で感情を意識し、気持ちを「感じる」ことの大切さを学んでほしくて「今の気持ちは?」と聞かれていたのだろうとのこと。


そういえば、
ご機嫌いかが?とか調子どう?(英語だとHow are you?
とは聞いても、例えば、試合で勝ったとか、賞を受賞した時なんかはよく使いますが、挨拶がわりとして
今の気持ちどう?How do you feel now?
とはそうそう聞きませんよね。

残念なことに、日本人は、流行りや人の気持ちに流されやすいだとか、自分の気持ちにフタをしてしまう人が多いためか、EQレベルも低い(※)と言われています。

※2019年1月に発表された、EQのグローバルネットワーク・シックスセカンズの調査によると、日本のEQスコアは世界最下位、健康水準はメンタルヘルスへのアクセスの低さ、幸福度117か国中54位という背景から、中央値を下回ったとのこと。(参照サイト:日刊工業新聞

日頃から「今の気持ちは?」と自分自身に問いかけ、感情と向き合い、心を鍛える必要があるのかもしれません。


ところで、最近、「エモい」なんて言葉が若者の間で使われますが、これもemotionalから来ていて、感情が高まって強く訴えかける心の動きを表現する言葉とされています。
趣がある、切ない、郷愁を感じるなど、それらも含めた表現で、便利な言葉なので、私も稀に若いフリして使うのですが。

しかし、何でもかんでも「エモ〜い」でまとめてしまい、これだけに頼っていると語彙力が低下するとも言われています。
語彙力が低下するとは、即ち心の豊かさも損なわれていくことに繋がります。
言語を与えられた人間は、言葉で(口に出す出さない関わらず)表現することで心を豊かにすることができる生物だからです。

普段から自分の引き出しに多くの言葉を入れておくようにして、感情表現する時には、なるべく自分で考えて、豊かな表現をするようにしたいですね。


あなたは
感情をマネジメント
できていますか?



「「感じる力」の磨き方」高山 直 (著) 東洋経済新報社
「EQ「感じる力」の磨き方」高山 直 (著) 東洋経済新報社