『トロン:アレス』既に日本でも配信開始!

〜& Blu-ray・DVD発売日情報〜


先日『トロン:アレス』の配信が海外で始まったタイミングで記事をアップしましたら、大反響でした。
感動を分かち合ってくださる方々がいらっしゃることを感じられ、嬉しく思っています。
ありがとうございますm(_ _)m


そしていよいよ、日本での配信や媒体の発売について、ついに昨日(2025年12月9日)発表がありましたね☆・:*
一日遅ればせながらの記事となっていまい申し訳ないですm(_ _)m
が、その最新情報を記述しておきますね。

ディズニー・スタジオ公式チャンネルにて、『トロン:アレス』のデジタル配信(購入/レンタル)とブルーレイ+DVDセット発売を発表するにあたって配信された予告編はこちらです。

映画『トロン:アレス』予告編

この新たに編集された予告編にも明記されている通り、映画『トロン:アレス』の、ここ日本での媒体発売については、4K UHD+ブルーレイ セット・ブルーレイ+DVDセットを、翌2026年2月18日(水)から開始するとのことです。

そして映画本編の配信については、今のところDisney+の見放題ラインナップには入っておらず、いずれ追加される可能性はあるものの、その日程の告知はまだありません。
が!Amazon Prime VideoApple TVなどでは配信が開始されました!!

映画『トロン:アレス(原題:Tron: Ares)
2025年12月9日(火) 日本配信スタート
Amazon Prime Video
Apple TV


ただ現状、これらのプレミアム・ビデオ・オン・デマンド(PVOD)配信では、購入にせよレンタルにせよ、少々お高めの値段設定と感じるところは否めないですね…
Amazon Prime Video → レンタル:1,980円 購入:3,300円
Apple TV → レンタル:2,000円 購入:3,300円

私にとって、『トロン:アレス』は、単なるSF映画ではなく、深い哲学と圧倒的な映像美を持つ作品です。

映画トロン:アレス公式ホームページ:https://www.disney.co.jp/fc/live-action/tron-ares

早く観たい方はPVODによるデジタル購入を、特典映像や高画質でコレクションしたい方はBlu-ray/DVDの予約を、そして無料で楽しみたい方はDisney+での配信開始を待つという、ご自身の視聴スタイルに合わせて選択すべし、というところかなと思います・・・

あなたは好きな映画を
どんな形で
再視聴しますか?
夢は叶えるもの ターシャ・テューダー 人生の軌跡展

“夢は叶えるもの”ターシャ・テューダー展 @仙台藤崎

〜ターシャが教えてくれる「人生を豊かにする方法」〜


11月26日(水)より仙台藤崎本館で開催されている「夢は叶えるもの ターシャ・テューダー 人生の軌跡展」に行ってきました。

ターシャ・テューダーの”夢は叶えるもの“という言葉は、何度聞いても胸に響きます。

彼女は他にも素敵な名言をたくさん残しています。
ターシャの言葉と生き方は、歳を重ねることを恐れず、自分らしく輝き続けたいと願う私にとって、まさに心の栄養です。



ターシャ・テューダーってどんな人?

彼女については、知る人ぞ知る魅力の深さを持った人ですが、「ターシャ・テューダー」という名前を初めて知る人もいるかもしれませんので、簡単に記述しますね。

ターシャ・テューダーTasha Tudorは、1915年8月28日にマサチューセッツ州ボストンで生まれ、57歳の時にバーモント州南部のマールボロという田舎に移り住み自給自足の生活を営みました。
思う存分庭造りや自分の愛する時間を楽しみ、その自宅で2008年6月18日に92歳で亡くなった女性です。

彼女は、アメリカを代表する絵本作家でありながら、同時に「究極のスローライフ」を実践したライフスタイルの先駆者です。

彼女が田舎に移り住んだのは1972年、今から50年程度前のことですから、現代ほどのIT技術はなかったものの既に開発されていた時代。
そんな中で、あえてアメリカ・バーモント州の山奥で、電気も水道もないような18世紀風の暮らしを送り、広大な庭で花や野菜を育て、動物たちと暮らしながら創作を続けました。
彼女の絵本に描かれる世界は、まさに彼女自身の生活そのものなのです。

今回の展覧会は、そんなターシャの約90年にも及ぶ人生を辿る、素敵な機会でした。

夢は叶えるもの ターシャ・テューダー 人生の軌跡展(会場:仙台藤崎本館)チラシ(画像クリックでPDF画面が開きます)
展覧会レポート 〜なぜ、この小さな展示に心を奪われたのか〜

大きな美術展ではありませんでしたが、ターシャの「心の充足」に満ちた世界を、じっくりと感じることができたように思います。

ー 絶筆の絵本原画から伝わる魂 ー

ターシャは92歳で亡くなるまで、生涯現役で絵を描き続けました。
展示されていた絶筆の原画には、年齢を感じさせない力強さと、創作への純粋な情熱が溢れていました。

実は、私自身、子供の頃は絵を描くのが好きであるとともに、画家だった祖父が大好きだったこともあり、自分も画家になりたいという夢を持っていました。
しかし、成長するとともにその想いは薄れ、気がつくとつまらないサラリーマンに・・・
(この辺のことは過去ブログにも記述してます)

そんな「画家になる夢を追わなかった」と虚しく立ち止まる私に、ターシャから、「形は変わったとしても、あなたの情熱が向かう先があるんじゃない?」と問いかけ、そして励まされているように感じたのです。

ー 暮らしの道具とアンティークドレス

展覧会では、彼女が日々の生活で愛用していたアンティークのドレスや、手作りの道具、食器などが数多く展示されていました。
どの品も丁寧に使い込まれ、愛着に満ちています。

私にとってこれらは、日本画家だった祖父の絵筆や、または美容師を生業とし裁縫なども堪能だった祖母のハサミから伝わる手仕事の温もりと同じ。
ターシャにとって、絵を描くことと、家事をすること、庭仕事はすべて、人生を創る手仕事として繋がっていたのだと感じました。

鑑賞アドバイス…? 〜平日だから良かったのかはわからないけど〜

私が行ったのは平日だったこともあるかと思のですが、会場は混雑しておらず、非常に静かでした。
男性の来場者は全く見当たらず、数人の女性のみ。

大きな企画展のような賑わいはありませんでしたが、それが逆に私にとっては、ターシャの穏やかな世界観に浸るには心地よくありがたい環境でした。

「混雑が苦手だけど、ターシャの世界をじっくり味わいたい」という方には、穴場と言えるかもしれません。
また、女性に限らず忙しい日々を送る男性の方にも、彼女の生きる哲学や美しい手仕事に触れると、何か気がつくことがあるかもしれないです。
ご興味があれば、この機会に是非。

ターシャの名言 〜夢を追う私やあなたへのエール〜

この展覧会で再認識したのは、彼女の言葉の強さです。
改めて、ターシャ・テューダーについてのこれまで読んだ本や映画などで知った言葉も含め、彼女の名言に励まされました。

特に、今の私に響いた名言を、英語原文とともに紹介させていただきますね。

「夢は叶えるものよ。語るものではないわ」
“Dreams are what you make them, not what you talk about.”

「今は、人生でいちばんいい時よ」
“Now is the best time.”

「人生は短いから、不幸になってる暇なんてないのよ」
“Life is short, no time to waste on unhappiness.”

年齢や環境を言い訳にせず、この瞬間を楽しみ、自ら喜びを創り出していく。
彼女はそうして、私たちに生き方という最高のアートを見せてくれたのだと思います。

今回の展覧会は、私にとって単なる美術鑑賞ではなく、人生の設計図を見直す時間となりました。

画家になる夢を追わないでしまったという過去を悔やむのではなく、ターシャの言葉を胸に、今、グラフィックデザイナーとして、私なりの「心の充足」を追求した作品を創り、夢を叶えていきます。

私の尊敬してやまない、画家だった祖父と美容師だった祖母のように、「手仕事」や「生き方」を大切にする人でありたい。
この展覧会は、私のそんなルーツと現在の夢を繋ぎ直してくれる、貴重な時間となりました。

「夢は叶えるもの ターシャ・テューダー 人生の軌跡展」日程など

さて、この「夢は叶えるもの ターシャ・テューダー 人生の軌跡展」、仙台での開催は12月9日(火)までと、残りわずかです!

場所:藤崎 本館7階 催事場 (仙台市青葉区一番町)

会期:2025年11月26日(水)〜 12月9日(火)

入場時間:10:00〜閉場時間の30分前まで
(金曜・土曜日は午後7時30分閉場、最終日は午後5時まで)

入場料:一般(大学生含む)当日券税込1,200円
※高校生以下無料
※「障がい者手帳」をお持ちの方は、本人様と同伴者1名に限り入場無料
※Fカード会員特典本人限り当日券を100円引き(会場受付にてFカード提示。オンライン会員は、スマホからマイページを提示)



ターシャの世界に触れるその他の方法

残念ながら展覧会に行けなかった方でも、ターシャの世界に触れる手段はあります。

彼女の晩年の暮らしを記録したドキュメンタリー映画『ターシャ・テューダー 静かな水の物語』(2017年公開)は、彼女の言葉と美しい四季が映像で描かれており、展覧会で感じた感動をより深くしてくれる内容です。

DVD/Blu-rayや、各種動画配信サービスでも視聴可能です。

映画『ターシャ・テューダー 静かな水の物語』予告編

「自分らしく生きたい」「夢への一歩を踏み出したい」と願うすべての人に、ターシャ・テューダーの世界は深く響くことと思います。

一度きりの人生、心豊かに生きていきましょうね。


あなたにとって
豊かな人生とは
どんな感じですか?


IMAX体感が衝撃的だった映画『トロン:アレス』いよいよ配信&媒体リリース

〜唯一無二の世界観『トロン』シリーズの進化〜


本日(2025年12月2日)ついに映画『トロン:アレス(原題:Tron: Ares)』のデジタル配信がスタートされます!
と言っても、日本国外でのことなのですが・・・

また、これも現時点では海外のみでの発表ですが、DVD/Blu-rayの販売は来年の1月6日からとのこと。
ここ日本では、本日時点ではまだ配信も媒体のリリースもいつになるのか公式発表されていないのですが、きっと間も無くでしょう♪
(日本での配信や媒体販売の日程が分かったら追記しますね)
(追記記事です→https://calm-smile-chain.com/tron-ares-streaming/

さて『トロン:アレス』の劇場での公開は、およそ2ヶ月前の10月10日より日米同時に始まりました。

映画トロン:アレス公式ホームページ:https://www.disney.co.jp/movie/tron-ares

『トロン』シリーズファンとして、また主演を演じたジャレッド・レト(Jared Leto)を彼のバンド「サーティー・セカンズ・トゥ・マーズ(30 Seconds to Mars)」活動時代から応援しているファンとしても、IMAXで観られることを心待ちにしていた私は、もちろんその公開直後に観に行きましたよ。

ですが、その感動をすぐにブログに残せないでしまったので、本日の海外での配信スタートを機に、遅ればせながらも熱く語らせていただきたいと思います。

映画『トロン:アレス』予告編

もう、この予告編を観るだけで興奮しませんか?
これをIMAXという巨大なスクリーンと音響で体感した衝撃と言ったら・・・!!

もう素晴らしくて。
「すごい、すごい、面白すぎる」「さすがディズニー、まさに映像改革」などと一人で呟きながら観ていました。

映画『トロン:アレス』チラシ(表)(画像クリックでPDF画面が開きます)
トロンの世界観 〜シリーズの歴史〜

トロン』の魅力は、何と言ってもその唯一無二の世界観にあります。
さて、『トロン』オリジナル作品である第1作目は1982年公開。
なんと40年以上前の作品です。
当時は幼少であった私自身も、第2作目の『トロン:レガシー』から知った世代。
全てをご存じない方もいらっしゃるかと思うので、これまでの流れを簡単にご紹介しますね。

1982年公開『トロン(原題:Tron)』
全ての始まりー

「もし、コンピューターの中に自分自身が吸い込まれたら?」
プログラマーであるケヴィン・フリンジェフ・ブリッジス:3部シリーズ全てに登場)が、自らが作り上げたデジタル世界(2作目からグリッドと表現)に送り込まれるという、当時としては革命的なSF作品でした。
シンプルな光のラインと、レトロフューチャーなデザインは、今見ても色褪せないサイバーパンクの原点です。

映画『トロン(オリジナル)』予告編(字幕なしです)

2010年公開『トロン:レガシー(原題:Tron: Legacy)』
映像美の覚醒

前作から28年後、フリンの息子サムがグリッドに迷い込みます。
フリンがデジタル世界で生き続けていたという設定と共に、映像技術の進化によって、グリッドの美しさはネオン輝く別次元へと昇華しました。
父と子の再会と、デジタル生命体の哲学的なテーマが深まった作品です。

映画『トロン:レガシー』予告編

なおこの他に、アニメシリーズで『トロン:ライジング(原題:Tron: Uprising)』というスピンオフ作品があります。
1982年の映画『トロン』と、2010年の続編映画『トロン: レガシー』の間の物語を描いたもので、2012年にアメリカのディズニーXDで放送開始し、日本では2013年に放送されました。
こちらについては私は観ていないので割愛しますが、ディズニープラスで日本語吹き替え版などでも配信されているようです。
むしろこちらの方がお好みという方もいらっしゃると思いますので、興味あればご覧になってみてはいかがでしょう。

それではいよいよ、これらの続編となる『トロン:アレス』について。

映画『トロン:アレス』チラシ(裏)(画像クリックでPDF画面が開きます)
圧倒的な光と音の饗宴 〜IMAX体験の衝撃〜

『トロン:アレス』が描くグリッドの世界は、ただのサイバー空間ではありません。
それは、光とネオンが秩序をもってデザインされた、神聖な美の世界とでも言えるでしょうか。

IMAXの大画面、特に床から天井までを覆う映像は、まるで自分がプログラムになったかのように、その世界に文字通り「没入」させてくれました。
(私はIMAXでは必ず席を横並び中心に予約して、迫力の映像と音響を堪能します)

映像美の進化
過去作のクラシックな光のラインは継承しつつも、アレスの鎧や環境はより複雑で有機的、そして生命感を感じさせるデザインへと進化していました。
光と影のコントラストが際立ち、デジタルアートとしての完成度は群を抜いています。

音響の迫力
ライトサイクルが走り出すときの重低音、そしてディスクバトルで光の円盤が交差するたびに響く高周波の電子音・・・
IMAXの緻密な音響設計によって、全身でデジタル世界の振動を感じる体験は、自宅での視聴では決して得られないであろう体感でした。

この圧倒的な映像と音響こそが、『トロン:アレス』を単なるSFアクション映画で終わらせない、唯一無二の芸術作品に押し上げています。

Wミュージシャン俳優の存在感 〜創造主とAIの対話〜

トロン』シリーズの魅力の一つは、創造主である人間側も、被創造物であるプログラム側も、演じる俳優が深い芸術的才能を持っている点です。

シリーズの核となるケヴィン・フリンを演じ続けたジェフ・ブリッジスJeff Bridgesは、彼もミュージシャンとして活躍した俳優であり、このデジタル世界を創り出した「ユーザー」の象徴でした。
彼の持つ独特の温かみと哲学的な存在感が、デジタル世界の深みにリアリティを与えてきました。

そして本作のジャレッド・レトが演じるアレスは、フリンが創った世界、そして人間が持つ創造性を模倣し、時に超越しようとするAIです。

創造主(ユーザーフリン)を演じたブリッジス氏と、究極の被創造物(AIアレス)を演じたレト氏。
二人のミュージシャン俳優が、シリーズの根幹である「創造と進化」というテーマを、それぞれの表現力で支えている構造こそ、『トロン』シリーズの芸術性の高さを物語っていると感じます。

映画『トロン:アレス』のパンフレットとチラシ、そして30 Seconds to Marsの初期のアルバム
ジャレッド・レトの才能とアレスや創造主への深い思い

彼のバンド活動(30 Seconds to Mars)時代から才能を追ってきたファンとして、ジャレッド・レトが持つアーティストとしての深い感性が、主人公アレスにどう投影されたのかは、私にとって本作最大の注目点でした。

単なる俳優に留まらず、自身のバンドで楽曲制作、ビジュアルアート、そしてコンサートでの壮大な演出を手掛けてきた彼は、まさに「創造主(ユーザー)」の才能を持ったアーティストです。

芸術的深み
AIであるアレスの「人間性への探求」や「存在意義」といった複雑なテーマは、レト氏の持つ繊細かつ壮大なアーティストとしての感受性によって、深遠なキャラクターとして成立しています。

デザインとパフォーマンス
アレスの持つ革新的なコスチュームや、グリッド内で見せる一挙手一投足の様式美には、レト氏がビジュアル表現者として培ってきた美学が息づいているように感じました。

彼のアーティスト魂が、最新作の持つ哲学的な問いを、視覚的・感情的に深く掘り下げてくれたのです。

次の動画は、「主演ジャレッド・レトが語る制作の裏話」です。
自身も『トロン』が大好きだというレト氏が語る映画『トロン:アレス』の魅力を知ることができます。

映画『トロン:アレス』特別映像「主演ジャレッド・レトが語る制作の裏話」

ああ、それにしてもジャレッド・レト素敵すぎる!
きっと、彼が語った「夢は叶う(Dream It Possible)」って言葉が印象に残ったのは私だけではないはず・・・

映画トロン:アレス公式ホームページ:https://www.disney.co.jp/movie/tron-ares

劇場でご覧にならなかった方々には、本来であれば、この壮大な映像美と音響はIMAXという巨大なスクリーンで体験していただきたかったのが本音です。
私自身も、何度でもあの空間で観たい!!!と思っていて、既にIMAXでのリバイバル上映を望んでいます。
そしてできることなら3Dか4DXで観たい!(しかし吹き替え版となると観ない人です)

ですが、配信や媒体による鑑賞という形でも、人間(ユーザー)と、人間によって生み出されたプログラムやAIアレス)との間の創造と進化、そして感情をめぐる物語は、今まさに話題となっているAIについて考えさせられるホットなテーマですし、より多くの人がこの「グリッド(デジタル世界)」の世界観に触れられ、少しでも感動を共有できたら嬉しいです。


あなたは
自分の「存在意義」を
考えたことがありますか?

映画「落下の王国(The Fall)」デジタル4Kリマスター, 映画レビュー

念願成就!映画『落下の王国』4Kリマスター版を映画館にて!

〜およそ20年越し、大好きな映画を美しく蘇った映像で大画面で観る感動〜


数年前、大好きな映画『落下の王国(原題:The Fall)』について、ロケ地となった世界遺産とともに紹介する記事をしたためた私。

↑当時の記事については、リンク切れを起こしていた箇所など修正し更新しました

なんとこの映画が4Kデジタルリマスター版として蘇り、今年、日本全国の映画館で上映されると知った時はどれだけ心が躍ったことか。

映画落下の王国 4Kデジタルリマスター2025年11月21日(金)より全国公開。
しかも、”オリジナルの劇場公開版でカットされたシーンが新たに追加され、より濃密な没入体験を実現”された”完全版”とのこと。

映画落下の王国 4Kデジタルリマスター公式ホームページ:https://rakkanooukoku4k.jp/


長年のファンとして、この上映日をどれだけ待ち望んだことでしょう・・・

というわけで、その公開初日、ついに映画『落下の王国(The Fall)』の4Kデジタルリマスター版を映画館で鑑賞してきました。
仙台市在住の私が訪れた劇場はフォーラム仙台でしたが、平日の昼間にもかかわらず、劇場は満席。
(上映されている劇場一覧はこちら→https://theaterlist.jp/?dir=rakka4k
制作されてからおよそ20年(2026年制作、2028年日本公開)が経った今でも、この映画が持つ力の大きさを改めて感じ、胸が熱くなりました。

私自身、世界遺産やアート、そして映画をこよなく愛する者として、この作品は特別な意味を持っています。
なぜなら、これは単なるファンタジー映画ではなく、まさに「動く美術書」!!
そして「世界を巡る壮大な旅」!!だから。

映画『落下の王国 4Kデジタルリマスター』予告編


さて、ここから先は少しネタバレ的なことも述べていこうかと思いますので、まだ一度も映画『落下の王国(The Fall)』を観たことがなく、これから観るのだという方は、ご留意くださいね。



まず、『落下の王国(The Fall)』を語る上で欠かせないのは、その息をのむような映像美です。

ターセム・シンTarsem Singh監督は、インド、ナミビア、中国、イタリアなど、20カ国以上でロケを敢行されたとのこと。
4Kリマスターによって大スクリーンに映し出されたその光景は、もはや現実のものとは思えないほどの色彩と質感でした。

誰もが感動するのは、CGに頼らず、世界遺産を含む実在のロケ地を最大限に活かして創り上げられた映像の迫力です。

壮大な万里の長城や、タージ・マハルの前に建つ赤い砦。

砂漠(ナミビア)の絵画的な構図。

インドのジャンタル・マンタル(ジャイプル)の巨大な建造物が、物語の登場人物の背景として機能する瞬間。

一つ一つのショットが、まるで緻密に計算された絵画のようでもあり、劇場で鑑賞することは、世界の美術館を巡るような素敵な体験でした。
これまで小さな画面でしか観たことがなかった方も、ぜひこの機会に劇場の暗闇で、監督が追い求めた「本物の美」に触れ、私が味わったような感覚を得られたなら嬉しいです。

映画『落下の王国 4Kデジタルリマスター』チラシ(表)(画像クリックでPDF画面が開きます)

この映画が、私のような世界遺産好きの心を掴んで離さないのは、ファンタジーの物語が、地球上に実在する最も美しい場所の数々によって支えられている点ではないでしょうか。

病室で語られる物語は、病気の少女アレクサンドリアの無垢な視点と、語り手ロイの絶望や希望が混ざり合いながら進んでいきます。
そのストーリーテリングの中で、世界遺産世界各地の絶景は、単なる背景ではなく、物語の感情を表現する重要な役割を果たしています。

例えば、美しい砂漠(ナミビア ナミブ砂漠)や、青い街(インド ジョードプル)の風景は、旅のキャラクターたちが感じる孤独や、自由への渇望を象徴しているようにも感じられます。

そして、それは私たちが世界遺産に感じる「人類の残すべき遺産」という価値観と深く響き合うのです。

映画『落下の王国 4Kデジタルリマスター』チラシ(裏)(画像クリックでPDF画面が開きます)

最後に、タイトル『落下の王国(The Fall)』に隠された多層的な意味について考えてみたいと思います。

映画の原題である『The Fall』は、邦題として『落下の王国』とされました。
これには様々な解釈が込められているのだと感じます。
この言葉が指し示すものは、現実と物語の世界で、登場人物たちに起こる複数の「落ちる」または「落ち込む」という状態ではないでしょうか。

1. Royの現実:絶望への「転落」

主人公であるスタントマンのロイは、撮影中の事故により再起不能の怪我を負い、恋人にも裏切られ、精神的に深い絶望へと「落ち込んで」います。

物理的な落下として、彼がスタントマンとして経験した「落下」(事故)そのもの。

精神的な崩壊として、絶望から自死を考えるほど、人生のどん底へと「転落」した状態。

物語の終焉において、彼は物語の中で、キャラクターたちを次々と死(あるいは絶望)へと「落とす」ことで、自身の苦しみを表現しようとします。

2. Alexandriaの成長:無邪気な時代からの「脱却」

一方、少女アレクサンドリアは、純粋で無垢な視点を持っていますが、ロイの物語を聞くことで、死や裏切り、悲劇といった現実世界の暗い部分に直面していきます。

アレクサンドリア自身も、オレンジの収穫中に木から「落ちて」腕を骨折して入院しロイに出会った。

ロイを救おうとして病院内で再び「落下」して大怪我を負ってしまう。

わずか5歳の少女アレクサンドリアの無垢からの脱却
→人間が成長する過程で経験する、無邪気な世界から現実の世界へと「落ちていく」過程を象徴

3. 神話的な解釈:「失楽園」のテーマ

The Fall」という言葉は、キリスト教の神話において、アダムとイブがエデンの園を追放された「堕罪(Fall of Man)」を連想させます。

ロイが語る物語は、復讐と裏切りに満ちたダークファンタジーです。
これは、かつて美しい世界(楽園)があったにもかかわらず、人間が悪意や過ちによってそこから「失墜」した状態を描いていると考えられるのではないでしょうか。

映画『落下の王国 4Kデジタルリマスター』の初回限定パンフレットと鑑賞先着プレゼントの復刻版B5チラシ

落下の王国(The Fall)』という、絶望、成長、そして神話的な失墜を表現するタイトル。
こうして考えてみると、笑える部分も大いにある作品でありながら、結構なダークな部分を示唆し、私たちに改めて人生の問いかけをしてくれるような物語だなと感じました。
だからこそ、この映画は単なる映像美だけでなく、深い悲哀と、そこから立ち上がろうとする人間の強さという感動を、観る者に与えるのかもしれません。

長年のファンの方も、今回初めて観る方も、この4Kデジタルリマスター版により、きっと新たな感動と発見を得られると思います。
スクリーンに広がる夢のような世界で、あなた自身の「落下の王国」を見つけてくださいね。

映画落下の王国 4Kデジタルリマスター公式ホームページ:https://rakkanooukoku4k.jp/


映画『落下の王国(The Fall)』ロケ地となった世界遺産について知りたい方はこちら(映画「ザ・フォール 落下の王国」に見る世界遺産)をご覧くださいませ✨


あなたにとって
心に残るシーンは
どこですか?


現実を突きつけられたかのような衝撃作 映画『ハウス・オブ・ダイナマイト』

〜予告編にしてやられるも、深い作品〜


毎回映画を見る時は、ワクワク・ドキドキ感を楽しみたいので、なるべく予備知識は少ない状態で映画を観に行く私です。
今回も、予備知識はほぼゼロで映画『ハウス・オブ・ダイナマイト(原題:A House of Dynamite)』を観てきました。
というか、そもそも公式HPもあっさりしたもので。

映画『ハウス・オブ・ダイナマイト』公式ホームページ:https://www.cinemalineup2025.jp/ahouseofdynamitefilm/

意味ありげで緊迫感あふれる予告編を一度観たきりで「テロリストによる破壊工作を描いたサスペンスかな?」と勝手に思い込んでいたんです。

しかし、ストーリーが進むにつれて、私の予想は見事に裏切られたと気がつきました。

これは単なるテロとの戦いではない。
もっと深く、私たちの生きる世界そのものの危うさを描いている。

そんな作品でありながら、パンフレットは制作されていないこともあり、記録しておきたいと思いました。

映画『ハウス・オブ・ダイナマイト』予告編

この映画で印象深いのは、その「リアル」な描写です。
フィクションでありながら、画面で繰り広げられる政府、軍、専門家たちの混乱と決断のプロセスは、まるで本当に今、この瞬間、世界のどこかで起こっている危機を覗き見ているようでした。

予告編の言葉が示唆していたのは、特定の「敵」の存在ではなく、システム人間の本質が抱える恐ろしさだったのかもしれません。
ストーリーが進むにつれ、「テロ」という外側の脅威ではなく、極限状態での「人間」の選択や、現代社会が抱える構造的な問題に焦点が移っていくことに気づき、背筋が凍るような思いがしました。

「こんなことがあってほしくない」という願いと同時に、「これは本当に現実の隣にある話だ」と突きつけられる感覚。
映画館を出た後も、その重みがずっしりと心に残っています。

映画『ハウス・オブ・ダイナマイト』チラシ(表・裏)(画像クリックでPDF画面が開きます)

そして今回、パンフレットが制作されていないという点について、私なりに考えてみました。
映画好きにとって、パンフレットがないのは残念ではありますが、これはもしかすると、「思考を停止するな」という制作者からのメッセージではないかと感じたりもしています。

通常、パンフレットは映画の答え合わせや解説、情報の整理をしてくれるものですが、それがないことで、観客一人ひとりが「あのシーンの意味は?」「彼らの選択は正しかったのか?」と、頭の中で深く考え、他者と語り合うことを強要されている気がするのです。

この映画の「深い意味」は、提供された情報ではなく、私たちが個々で考え、感じることの中にこそある。
そう訴えかけられているような気がします。

これはエンターテイメントとして楽しめる緊迫感がある一方で、私たちが住む世界、そして平和というものが、いかに危ういバランスの上に成り立っているのかを、静かに、しかし強烈に訴えかけてきます。

映画『ハウス・オブ・ダイナマイト』公式ホームページ:https://www.cinemalineup2025.jp/ahouseofdynamitefilm/

さて、この映画では、最終的な結末は描かれませんでした。
単なるエンターテイメント的な映画を期待していた人にはモヤッとするかもしれません。
しかし、それは要するに、「想像しろ」ということだろうと思うので、私の考える結末はというと…

シカゴは壊滅、そして米国大統領はどうすべもなく(どこが起こした攻撃なのかわからないのに核爆弾なんて本当は落としたくないと思いつつも)報復として核爆弾を発射することを選択、そしてその報復行為は副補佐官が語っていた通り自殺行為となり、米国どころか全世界が滅ぶ道を辿ることになるのだろう。

というところです。
これを映画館を出た帰りの道中で考えていたら泣けてきてしまったのですが、だからこそ、予告編の言葉にあった通り、”我々(自分)を救えるのは我々(自分)だけである”ということを胸に刻み、故郷や大切な人に感謝し、人生に後悔のないように今を生きなければと、改めて思った次第です。

なお、映画『ハウス・オブ・ダイナマイト(原題:A House of Dynamite)』が、私が生まれた故郷閖上のある宮城県で上映されている映画館は、フォーラム仙台イオンシネマ名取イオンシネマ新利府イオンシネマ石巻です。
劇場での上映は2025年10月23日(木)までで、24日(金)からはNETFLIXで配信がスタートするとのことです。



あなたが
深く考えさせられた
映画はなんですか?

いろんな意味で新感覚!映画『ラスト・ブレス』

〜地球上で最も危険な仕事の一つとされる職業の驚くべき実話〜


やっぱり、映画って素晴らしい・・・!
映画を観るたびに、新しい感動、いわゆる”新感覚”というものを感じることができますが、先日またこれまでとは異なる、まさに新感覚を得た作品を観てきたので、記録しておこうと思います。

それは『ラスト・ブレス(原題:Last Breath)』。
(宮城県内ではフォーラム仙台のみでの上映。上映期間は2025年9月26日〜10月16日)

映画『ラスト・ブレス』チラシ(表)
映画『ラスト・ブレス』チラシ(裏)

チラシに記載の通り、”驚愕の実話に基づくサバイバル・スリラー”なる映画というわけで。
(チラシ画像をクリックでPDF画面が開き、拡大できます)

SF系の映画が好きな私。
このチラシを見た時点で、宇宙を舞台にした『ゼロ・グラビティ(原題:Gravity)』の深海版ぽいイメージ?!なるものを想像して、是非観てみたいと思った訳なのです。

映画『ゼロ・グラビティ』予告編

ゼロ・グラビティ』は完全フィクションと言えども、ごく一般人には未知の宇宙世界を知ることができる素晴らしい映画ですよね。
で、その深海版的な映画を観られるのかなーくらいの感覚でいたのですが・・・

映画『ラスト・ブレス』を観終わった後、全身の力が抜けるほどの緊張感と、深海の異様な世界観に心を奪われました。
今回は、この新感覚な作品の魅力を深掘りしていきます。

…と、だいぶネタバレ的なことを書いてしまうかもしれないのですが、その前に。

この作品を見る前に手にしたパンフレットと、チラシ代わりの団扇(うちわ)のアイディアについてをまずは面白いと感じたので、その件について触れておきます。

映画レビュー, ラスト・ブレス

パンフレットは、潜水艦の出入り口や窓のように、丸く切り抜いてデザインされたクリアファイルに収められていて。

映画『ラスト・ブレス』のパンフレット

そして、団扇はこの映画の公開日より前のかなり暑い時期に映画館に置かれてあったもので、「あ!うちわだ!助かる〜」という軽めな気持ちで手にしたものだったのですが、裏面には”涼感音響 イヤホン・ヘッドホンをつけて深海の世界をご体験ください”とのテキストとともにQRコードの記載が…

映画『ラスト・ブレス』のパンフレットと団扇状のチラシ(裏側)

QRコードのリンク先となっている動画はこちら↓です。

(イヤホン推奨の)映画『ラスト・ブレス』予告編

本当にこれ、イヤホンで聴きながらだと・・・!!

さて。
まずこの映画の冒頭時点で引き込まれた点があります。

それは、よく実話ベースの映画では「Based on a true story(実話に基づく)」という表現が使われますが、『ラスト・ブレス』はきっぱりと「This is a true story.(これは実話である)」と言い切ったところ。

実際には、俳優さんたちが演じる映画作品ですので、全てがリアルというわけではないにせよ、20分以上の無酸素状態にあった人が脳に損傷を負うこともなく生還できたという、一番信じられないところが、事実だという点を強調するためにあえてそのように表現したのかもしれません。

そして、この映画の次なる衝撃は、「飽和潜水士(Saturation diver)」という職業の存在を知ったことです。
彼らは深海の高い水圧下で作業するため、体内のガスを人工的にコントロールし、数週間を高圧の閉鎖空間(チャンバー)で過ごします。

その仕事の過酷さ、プロフェッショナルとしての誇り、そして何よりも危険と隣り合わせの日常が、息苦しいほどの緊迫感で描かれます。

海底で命綱一本
それが切れ、地上との通信が途絶えた時、潜水士に残されるのは、深海の底でたった一人、自らの知恵と経験、そしてわずかな酸素に全てをかけるという途方もない孤独…

そんな状態に置かれた人が、再び海に潜ることなんてできるのだろうか、と思いましたが、映画のエンディングでは、この物語の登場人物たちの実際の映像とともに、この事故の数日後に再び彼らは任務についたと締められ、ため息が出ました。

映画『ラスト・ブレス』公式ホームページ:https://lastbreath.jp/

それからやはり、映画を観ていて感じたのは、宇宙を舞台にした傑作サバイバル映画『ゼロ・グラビティ』を彷彿とさせる、究極の閉鎖環境でのサバイバルです。

ゼロ・グラビティ』が「真空、無重力、宇宙の闇」という極限の”上”の環境だとすれば、『ラスト・ブレス』はまさに「高圧、無呼吸、水の密室」という極限の”下”の環境とでも言えるでしょうか。

飽和潜水士」という職業は、世界的にも非常に特殊であり、日本国内全体では100人程度とも言われる、希少な存在なのだそうです。

日本においては特に、海上自衛隊などが高い技術を保有しており、知床沖や宮古島沖の事故など、深い海底での救助・捜索活動において、彼らの技術と勇気が欠かせないものとなっているのだとか。

私たちが知ることのない場所で、人々の安全や国の海洋インフラを支えているプロフェッショナルがいることに、改めて感動を覚えました。

あなたは
どんなことに新感覚を
感じますか?


チュニジア旅の予習 その2<ロケ地となった映画>

〜スターウォーズ以外にも!〜


前回は、今年(2025年)旅するチュニジアについて、アフリカでは世界遺産を比較的多く保有する国であるとのことで、その辺についてまとめてみました。


しかし!もしかしたら、それ以上に映画『スター・ウォーズ』の聖地であるということで知られているかもしれないんですよね。

ですが映画好きの私といえども、特に『スター・ウォーズ』ファンというわけではないので、そこに特別入れ込んでチュニジアに行きたい!と思ったわけではない…

とはいえ、もちろん『スター・ウォーズ』シリーズは観ていて(しかし多分コンプリートしていない。壮大すぎて…)、あの世界観が体現された場所とあれば興味を持つのは当然ですし、チュニジアはその独特な砂漠や遺跡の景観から、『スター・ウォーズ』以外にも数々の映画のロケ地として使われているとのことで、”映画ロケ地巡り”をテーマとした旅も面白そうじゃない?と思った次第です。


というわけで、本日は、チュニジアで撮影された映画について、いくつかロケ地を取り上げ、まとめてみようと思います。
(なお、各所を示す全体のマップは、後半に記載しています!)

やはり代表作品として、まずは『スター・ウォーズ』から。

チュニジアがロケ地!その1:スター・ウォーズの聖地

1)タタウィン(Tataouine)
 ルークの故郷”タトゥイーン”は、実在するこの街の名前から名付けられました。

2)マトマタ(Matmata)
 穴居住宅がルークの家として登場。
 現在は「ホテル・シディ・イドリス(Hotel Sidi Driss)」として宿泊も可能です。

3)トズール(Tozeur)
 サハラ砂漠のオアシス都市。映画のセットが現存していて、砂漠の奇岩「ラクダの首」や「オング・ジュメル」は、映画の異星の風景そのもの。
 エピソード1の砂漠やポッドレースの舞台があります。

4)ジェルバ島 アジム村(Djerba Ajim)
 「アジム村」はモス・アイズリー宇宙港の酒場シーンなどの撮影地となりました。

次の動画は重要なシーンのほとんどがチュニジアで撮影されたというエピソード4(1978公開)の予告編です。

映画『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』予告編

チュニジアにある各所は、『スター・ウォーズ』ファンなら、一生に一度は巡礼したい場所かもしれませんね。

チュニジアがロケ地!その2:インディ・ジョーンズと古代都市

インディ・ジョーンズ シリーズの第1作目である『レイダース/失われたアーク』(1981年公開)では、”カイロの市場”シーンがあるのですが、実際にはエジプトではなくチュニジアの聖地ケルアンの旧市街などで撮影されたのだそうです。

5)カイルアン(ケルアン Kairouan
 イスラム世界四大聖地のひとつとされる歴史都市で世界遺産にも登録されており、伝統的な旧市街や貯水池などの遺跡が残っています。
 『レイダース』では映画の背景として印象的に使われています。

6)スィディ・ブハリル峡谷(Sidi Bouhlel Canyon)
 先述したトズール近郊の峡谷で、『スター・ウォーズ』でも使われた名所(故に、GoogleマップではStar Wars Canyonとも記載されています)。
 『レイダース』では“砂漠の冒険地”として最終決戦のロケ地となりました。

スター・ウォーズではハン・ソロ役で出演していたハリソン・フォードが、インディ・ジョーンズでは主演を務める『レイダース/失われたアーク』の予告編動画はこちら。

映画『レイダース/失われたアーク』予告編

カイルアンは歴史的観光地としても有名なので、映画+歴史の両方を楽しめそうですね。
世界遺産映画好きな私としては是非とも訪れたい場所です!

チュニジアがロケ地!その3:イングリッシュ・ペイシェントのサハラ

アカデミー賞作品賞に輝いた『イングリッシュ・ペイシェント』(1996年公開)。
サハラ砂漠の壮大なシーンは、チュニジア南部で撮影されたことで有名です。

7)クサール・ギレン(Ksar Guilane)
 『イングリッシュ・ペイシェント』でキャラバンが進む場面や砂丘の美しい景色は『スター・ウォーズ』『レイダース』でもロケ地となったトズールの他、クサール・ギレンなどで撮影されています。

8)シェビカ村(Chebika Village)
 シェビカ村山岳オアシスとして、美しい谷とナツメヤシの林が広がる、映画そのままの風景が見られます。

山岳オアシス:山間の谷や斜面に水源があり、砂漠とは異なる緑豊かなオアシス環境を形成している地域

イングリッシュ・ペイシェント』の予告編動画でここにアップできるものでは、以下のように、画質が良いものが見つからなかったのですが、各種配信やDVDなどではちゃんと綺麗に見られますのでご安心ください。

映画『イングリッシュ・ペイシェント』予告編

(ちなみに、トリビュートとして、高画質でまとめられている方がいらして、予告編とはならずとも素敵な動画ならあります→https://www.youtube.com/watch?v=Tz52Gnh2soI&list=RDTz52Gnh2soI&start_radio=1

イングリッシュ・ペイシェント』では砂漠のシーンがとても印象的でした。
現地の砂漠ツアーに参加すれば、映画の登場人物になった気分になるかもですね(ちょっと怖い砂漠シーンだったけど…)。

チュニジアがロケ地!その4:モンティ・パイソンと地中海の要塞

私自身はチュニジアに行くということとなって知りまして、AmazonでDVDが安かったので思わず購入したという、日本ではあまり知られていなちょっとレアな作品です。

イギリスのコメディ映画『モンティ・パイソン ライフ・オブ・ブライアン』(1979年公開)は、チュニジアモナスティルスースで撮影されたとのことです。

8)モナスティルのリバト要塞(Ribat of Monastir)
 映画の背景として何度も登場しており、歴史的な雰囲気を醸し出しています。

9)スースの旧市街(Medina of Sousse)
 こちらも前回(https://calm-smile-chain.com/tunisia-world-heritage-sites/)述べた通り、世界遺産として登録されています。
 中世の街並みをそのまま残し、『ライフ・オブ・ブライアン』のロケーションに利用されています。

モンティ・パイソンはイギリスを代表するコメディグループで、彼らによる映画『ライフ・オブ・ブライアン』は、ここ日本ではレアでマニアックな作品とされていますが、コメディ映画としての評価は根強く、その風刺や皮肉、ブラックユーモアの強さから熱狂的なファンも多いみたいです。

というわけで、私は以下の動画を見て、気になってしまってDVDを購入しました。
Webサイト上には日本語訳のついてる動画はなかったのでこちらを記載してますが、日本版DVDなら字幕がありますのでご安心ください。

映画『モンティ・パイソン ライフ・オブ・ブライアン』予告編

この映画ではコメディの舞台ではありますが、モナスティルスースは、地中海沿岸の美しいリゾート地として観光客にも人気で、楽しめるとのことです。

そして今回もGoogle My Mapsを活用して地図を作成しました。
地図上でも、ここに書いた番号順、また色分けは映画ごとにしていますので、参考にしてみてください。

(地図上のアイコンをクリックすると説明が表れます。もしくは拡大地図を表示することで一覧として見ることができます。また、前回同様、マイマップシステム上、説明は英語入力してますが、ここに記載したことと同じことを述べてます)


最後に一応の記載ですが、映画『グラディエーター』もチュニジアで撮影されたとの噂もありますけれども、チュニジアの世界遺産であるエル・ジェム(El Jem)(世界遺産について述べた前回記事:https://calm-smile-chain.com/tunisia-world-heritage-sites/)が “ローマ時代の円形闘技場(アンフィテアトルム)” を持つことから、「グラディエーターの闘技場シーンと似ている」ためのようです。
ですが「グラディエーター」は実際にはモロッコで撮影されたようですよ。
(ネット検索したり、AIに聞くと事実ではない情報があることもありますので、注意しなきゃですね)

あなたなら
どんな映画の撮影地を
訪れたいですか?

〜 参考書籍(Amazonにリンク)〜

チュニジア旅の予習 その1<9つの世界遺産>

〜歴史と芸術のタイムトラベルの旅〜


前回のブログに記述した通り、今秋、北アフリカの国、チュニジアへ旅します。


というわけで、先日(2025年8月17日)チュニジアについて放映されたTBS『世界遺産』もしっかりチェック!
TBS『世界遺産』によるアーカイブはこちら→https://www.tbs.co.jp/heritage/archive/20250817/


今回この番組で取り上げられたチュニジアの世界遺産は「カルタゴの考古遺跡」と「エルジェムの円形闘技場」の二つでしたが、2025年8月現在、チュニジアが有する世界遺産は、文化遺産が8つ、自然遺産が1つで、合計9つとなっています。
(世界遺産委員会は年に一回開催されます。本2025年は7月6日から16日、第47回世界遺産委員会がパリのユネスコ本部で開催されました)

チュニジア世界遺産について基本を押さえて、そしてこれから旅の予定も具体的に立てたいので、まずは、Google My Mapsでチュニジア世界遺産マップを作るべく各プロパティの個所にピン立てし、情報をまとめてみました。

*プロパティ:登録されている遺産の範囲のこと。文化遺産であれば記念物、建造物群、遺跡などで、自然遺産であれば地形、地質、生態系など。


ちなみに、このGoogle My Maps内にもそれぞれのプロパティについて簡単な説明を記述しているのですが、日本語での書き込みがイマイチなので英語で入力しています。
(日本語での入力自体はできるのですが、Google My Mapsでは日本語サポートが完全ではないので、日本語入力後、改めてGoogle My Mapsで日本語訳設定で表記すると意図しない文章となって変換されてしまったり少々問題ありなのです)
日本語でご覧になりたい皆さまには、Google My Mapsのブラウザを日本語に翻訳設定していただければと思うのですが、それでも若干おかしな日本語表記になる場合ありなので、Google My Mapsに付記した番号と連携させた上、以下にも、2025年8月現在の、チュニジアの9つの世界遺産について、文化遺産と自然遺産に分けた上、登録順で説明を記述しておきます。
(なおここから以降の地図は通常のGoogleマップです)

チュニジアの世界遺産(2025年8月現在、全部で9つのプロパティ)

<文化遺産 8件>

1)チュニス旧市街(Medina of Tunis)
1979年登録
登録基準 (ii)(iii)(v)
イスラム建築の宝庫で、モスク、宮殿、市場が密集。都市構造も高い保存性を持つ。
UNESCO Webサイト:https://whc.unesco.org/en/list/36

2)カルタゴ遺跡(Archaeological Site of Carthage)
1979年登録
登録基準 (ii)(iii)(vi)
フェニキア、ローマ、ビザンツなど複数の文明が重なる歴史的都市跡。円形劇場や浴場跡が見られる。
UNESCO Webサイト:https://whc.unesco.org/en/list/37/

(先日のTBS『世界遺産』で取り上げられた所)

3)エル・ジェムの円形闘技場(Amphitheatre of El Jem)
1979年登録
登録基準 (iv)(vi)
ローマ時代の巨大円形闘技場。35,000人を収容でき、北アフリカでも屈指の保存状態を誇る。
UNESCO Webサイト:https://whc.unesco.org/en/list/38

(先日のTBS『世界遺産』で取り上げられた所)

4)ケルクアンの古代カルタゴの町とその墓地遺跡(Punic Town of Kerkuane and its Necropolis)
1985年登録
登録基準 (iii)
ローマ化の影響を受けずに残ったフェニキア人の都市遺跡。街並みと墓地の保存状態が稀有である。
UNESCO Webサイト:https://whc.unesco.org/en/list/332

5)スース旧市街(Medina of Sousse)
1988年登録
登録基準 (iii)(iv)(v)
防衛都市としての特徴を持ち、要塞だったリバト(Ribat)やカスバ(kasbah)、イスラム教礼拝堂のグレートモスクなどを含む商業・宗教の中心地。
UNESCO Webサイト:https://whc.unesco.org/en/list/498

6)カイルアンケルアン Kairouan)
1988年登録
登録基準 (i)(ii)(iii)(v)(vi)
北アフリカにおける初期イスラム都市。ウクバ・モスク(Mosque of Uqba)の名称で知られる北アフリカ最古のグランド・モスクなど、宗教・建築両面で重要な役割を担ってきた。
UNESCO Webサイト:https://whc.unesco.org/en/list/499

7)ドゥッガ/トゥッガ(Dougga / Thugga)
1997年登録
登録基準 (ii)(iii)
北アフリカで最も保存状態の良いローマ都市。神殿、劇場、浴場、公衆施設が高い完全性を誇る。
UNESCO Webサイト:https://whc.unesco.org/en/list/794

8)ジェルバ:島嶼域の入植様式を伝える遺産(Djerba: Testimony to a settlement pattern in an island territory)
2023年登録(最新)
登録基準 (v)
教会、シナゴーグ(ユダヤ教の会堂)、イバード派(イスラム教の一宗派)の要塞化されたモスクなど、多宗教・多文化が共存する島の歴史的パターンを保存。
UNESCO Webサイト:https://whc.unesco.org/en/list/1640

<自然遺産 1件>

9)イシュケル国立公園(Ichkeul National Park)
1980年登録
登録基準 (x)
湿地と湖の自然景観が育む豊かな生態系。渡り鳥の重要な休息地としても知られている。
UNESCO Webサイト:https://whc.unesco.org/en/list/8

チュニジア世界遺産は、古代文明からイスラム文化、そして自然遺産まで、幅広い魅力にあふれていそうです!
これら9つすべてを巡る旅はまさに「歴史と芸術のタイムトラベル」と言えるのではないでしょうか?

と言いつつ、私自身は今回のチュニジア訪問では1週間程度の滞在期間で、せっかくチュニジアに行くからには砂漠体験もしてみたいので、残念ながら、9つすべての世界遺産を巡ることは難しいのですが、美術世界遺産といった芸術好きの私にとっては、きっと素晴らしい旅となるはず。

特に私、アート好きとしては、先日のTBS『世界遺産』でも言及されていた、チュニジアモザイクアートがとても楽しみです♪
(前出のYouTube映像ではその部分はありませんが、TBS『世界遺産』HPにアーカイブとして画像があります→https://www.tbs.co.jp/heritage/archive/20250817/gallery.html


そしてチュニジア砂漠だったり、古代の遺跡が良い状態で保存されていることもあって、多くの映画ロケ地となっています。
スターウォーズはその代表としてよく知られていますが、それ以外にもありますので、次はチュニジアで撮影された映画をテーマに予習してみようと思います♪



〜 参考書籍(Amazonにリンク)〜


あなたは
巨大な古代遺跡を
実見したことがありますか?

今年の海外旅先チュニジア

〜北アフリカで世界遺産を多数保有する国へ!〜


今年、友人が北アフリカのチュニジアへ赴任しました。
実は、その友人からチュニジアで働くかも、という話を聞いたのは昨年のこと・・・

これまでのブログでも綴っていますが、私、昨年は仕事による心労からプライベートで人に会うのもしんどく、唯一会った友達はというと、フランスで生活する友人が一時帰国した時と、宮城県内に住む一組の友人夫婦のみでして。


そう、私は、フランスで生活していた友人が昨年の9月に一時帰国した時点で、「翌年はこれまでとは違う生活になるかもしれない、チュニジアに行くかも」という話を聞いて、「親友の新しい人生は応援したいし、彼女がチュニジアにいるうちに私も絶対に行く!」と心に決めたのでした。

ただ、その時点ではまだ2024年の9月。
私自身は仕事に苦しんでいたさなかです。
でも、親友との再会で励まされたし、今思えば、彼女からの話を聞いたから故の「私もチュニジアに行ってみたい!」という思いも、「いくら仕事のストレスによる適応障害との診断を受けたところで、辞めるわけにはいかないのでは」という気持ちを抱えていた私だったのに、「自分が望んでやりたいことや幸せだと思えることをできない人生なんて、生きている意味ある?!」と改めて思い出すことができ、仕事を辞める決断をする原動力となった理由の一つだったのかもしれません。

だって、彼女からの話を受けるまで、チュニジアへの旅を思いつくこともなかったですし、あのまま仕事を続けていたら、今年中に海外旅行するための長期休暇なんて確保できなかったでしょうから。
(同じ職場でも一昨年にフランスに行けたのは、コロナ明けは絶対にフランス行きは実行すると決めていたことと当時の職場の体制が異なっていたこともあり、半ば強引に休暇を取ったためで、退職時の体制ではそれは無理であったろうと思われます)


というわけで、東京からドバイ経由でのチュニス行き航空チケットを購入いたしました!!
今年(2025年)の秋にチュニジア旅を決行します!!


ところで、北アフリカの国、チュニジア🇹🇳
この国について詳しい方はいらっしゃいますでしょうか?


私はといいますと、ごめんなさい・・・
白状しますが、友人から聞くまでは意識することなどなかった国です。

しかし、これを機に行くとなれば、当然、よく知りたいわけで。
インターネット上にいくらか情報はあるとはいえど(それら全てが正しくは無いのがネット社会)、まずは信頼する「地球の歩き方」で情報を得たいところでしたが、チュニジアについては2020-21年版が最新、その後の刊行予定は現在なしとのこと。涙
私自身は流行とか人気の場所などには興味ない人間なので、むしろ、チュニジアはそれだけレアな国なのだろうと、それはそれで訪問する意欲は増すので良いのですけどね。苦笑


なので、チュニジアへの旅経験のある方、知っておくべき知識などありましたら是非ともお教えいただきたいです。

そうそう、ちょうど次の日曜(2025年8月17日)に放映されるTBSの『世界遺産では、チュニジアの「カルタゴの考古遺跡」と「エルジェムの円形闘技場」が取り上げられるとのことです!
ナイスタイミング!絶対見なきゃ。





さて、本日は8月15日。明日までがお盆です。
あなたはご先祖様へのお参り済ませましたか?

私の亡くなった家族たちには、芸術に縁のある人たちが多いです。
故に私も、その影響を受けているのかなと感じ、それを嬉しく想っています。
そして私は、彼らから受け継いだ命を大切に、生きているうちに美術や世界遺産という芸術に少しでも多く触れたい。
自分の命に感謝すると共に、そんなことを、ご先祖へお伝えしてきたところです。

今年決行するチュニジアへの旅。
北アフリカでも世界遺産を多数保有する国ということなので、これから予習します。


あなたは
どんな旅の予習が
楽しいですか?
movie Fremont (Fortune Cookie)

幸せの予感…だけじゃない、映画『フォーチュンクッキー』

〜邦題と原題のギャップに隠された、深淵な物語〜


映画ネタが続いてしまいますが、フォーラム仙台で上映されている映画『フォーチュンクッキー』(原題:『Fremont』)を観てきまして、結論から述べると、それは、主人公ドニヤの不器用ながらもひたむきに生きる姿に、胸を打たれ心に静かな感動が広がるとても良い映画で、今年観た映画の中でも特に好きな作品となりました。

映画『フォーチュンクッキー』公式ホームページ:https://mimosafilms.com/fortunecookie/

…しかしながら実は、この映画の「邦題フォーチュンクッキー)」と「原題Fremont)」の違いが、良くも悪くも心に引っかかった、と言うのが私の本音にはありまして…

と言うわけで、その点について、日本における巷の映画批評でも賛否両論言われているのも納得できるわけですが、私自身の最終結論としては、あり(good👍)と言うわけで、是非記録しておきたいと思ったのです。

映画『フォーチュンクッキー』チラシ(表)
画像をクリックするとPDF画面が開き、拡大できます


フォーチュンクッキー、私は久しく食べてないけど、あなたもご存知ですよね?
そう、クッキーを割るとおみくじ的なものが入っている、あの昔からあるクッキーです。

日本の「辻占煎餅(つじうらせんべい)」というお菓子がその起源と考えられていて、辻占煎餅をヒントに、アメリカに移住した日系人たちがフォーチュンクッキーを作ったのが始まりとされています。
第二次世界大戦中に日系人が強制収容された時期に、中国系の人々がこの製法を引き継ぎ、アメリカ国内の中華料理店で提供されるようになり、今日のような「中華料理のデザート」というイメージが定着していった、という経緯があるようだということですよ。

なお、フォーチュンクッキーの歴史などまではこの映画では語られていませんが、パンフレットにはそのことが記載されたページがあって、興味深かったです。
こういう知識もあると、映画がますます面白く感じますね。

映画『フォーチュンクッキー』チラシ(裏)
画像をクリックするとPDF画面が開き、拡大できます


邦題となっている『フォーチュンクッキー』は、映画の中でも重要なアイテムであり、ささやかな希望や未来への期待を象徴しています。

一方、原題の『Fremont(フリーモント)』は、この映画の舞台であるアメリカの地名です。


映画を観る前は、この原題との極端な違いは何だろうと若干怪訝に思いつつも、『フォーチュンクッキー』とされた邦題、そしてチラシにも書かれている『私の殻をやぶるとき』というキャッチフレーズから、主人公の女性が自分の殻を破って行動したら、素敵な恋なり希望があったというような、あったかい気分になれる物語なのだろうと想像していました。
そしてたまたま、その舞台の地がフリーモントになったのかな?くらいに。

確かにその側面もあるのですが、映画を観て、原題の『Fremont』が持つ意味を知ったとき、この映画の本当の奥行きに気づかされました。

映画『フォーチュンクッキー』予告編


主人公ドニヤは、アフガニスタンからフリーモントにやってきた難民です。
慣れない異国の地で、彼女はこの都市のチャイナタウンにあるフォーチュンクッキーの工場で働き始めます。
クッキーの中に入っているおみくじのようなメッセージは、ときにユーモラスで、ときに示唆に富んでおり、彼女の孤独な日々に小さな光を灯します。

予告編の動画もコミカルな感じで、そういったことをほのぼのと楽しめる映画なのかな?と思えるかもしれません。
が、実はもう一つの深いストーリーがあるのでした。

普段はあまり自分を出そうとしないドニヤが「家族を置いて逃げてきた私なんかが、恋をしたいと思っても良いの?」と言うシーンでは、特に胸が締め付けられました。

カリフォルニア州のフリーモント市は、アフガニスタンからの移民が多く住む場所として知られているのだそうです。
私には映画を観るまでこの知識がなかったため、物語が進むにつれて、原題「Fremont」の意味に気づかされ、そして様々なことを考えさせられることとなりました。

映画は、フリーモントで生きる人々の現実を、静かなモノクロームの映像で描き出します。

主人公ドニヤが抱える過去のトラウマ言語や文化の違い、そして何よりも「居場所」を探し求める孤独
これらは、単なる個人の物語ではなく、移民として生きる多くの人々が直面している現実です。

Fremont」という原題は、この物語が特定の場所で、特定の背景を持った人々の、紛れもない現実を描いていることを強く示唆しています。
それは、幸せや希望の物語といった枠組みを超え、アイデンティティや社会への問いかけを私たちに投げかけているのではないでしょうか。

映画『フォーチュンクッキー』パンフレット
裏話が知れると共に、フォーチュンクッキーのレシピなんかも載っていて面白い


さらに特筆しておきたいのは、主人公ドニヤを演じたのはこれが映画初出演というアナイタ・ワリ・ザダ(Anaita Wali Zada)という女優さんについて。

彼女についても、映画を観た後にパンフレットを読んで初めて知ったのですが、彼女自身、タリバンが復権した2021年8月に、アフガニスタンからアメリカへと逃れてきた人物で、ドニヤのキャラクターに共感を覚えたということで、なんと、アメリカに来てわずか5ヶ月、演技も未経験だったにも関わらず、この主演を果たすこととなったのだそう。
(この点は公式HPにも記載あり)

アナイタ・ワリ・ザダが演じるドニヤはあまりにも自然かつ印象的で、観ているこちらも映画に引き込まれましたが、彼女が持つ事実が、単なる演技を超えた、ドニヤというキャラクターの内面的な真実を、見事に引き出していたのかもしれません。

映画『フォーチュンクッキー』公式ホームページ:https://mimosafilms.com/fortunecookie/

以上、映画『フォーチュンクッキー』(邦題)の原題は『Fremont』である点にフォーカスしてまとめてみました。

確かに、島国日本に住む私たちには『Fremont(フリーモント=アメリカの都市名)という原題のままでは、ファーストインプレッションではピンとこないですし、これが映画供給会社によるマーケティング戦略の一つだとしても、邦題やキャッチコピーと原題のギャップをきっかけに、より深く作品を考察するきっかけになったのは、私にとっては初めての良き体験でした。


あなたにも
何らかのギャップによる
面白い体験はありますか?