マスタードの効能を知り日々のレシピに活かそう♪

〜そしてディジョンマスタードの魅力にますますハマる〜


先日、フランスブルゴーニュの名産であるディジョンマスタードについて述べたのですが、

(フランスから一時帰国した友人から頂戴したマスタードについては、その後、友人から更なる情報をいただいたので、前回記事の内容を更新しています)

こちらが意外と好評なのと、私自身もこれを機にマスタードについて知っておきたかったので、今回はマスタードの効能について調べた内容をまとめておこうと思います。
そして改めて、ディジョンマスタード独自の効果や、マスタードを活用したレシピも記載しますね。

マスタードの主な効能

1)消化促進・胃腸機能の改善
マスタードに含まれるアリルイソチオシアネートは、消化を助け、胃もたれや胃痛の予防、食欲増進など胃腸の働きを回復させる効果が期待できる。

2)抗菌・殺菌作用
アリルイソチオシアネートには強い殺菌・抗菌作用があり、食中毒の予防や食品の腐敗防止に役立つ。

3)抗酸化作用・アンチエイジング
マスタードは抗酸化作用を持ち、体内の活性酸素を抑制することで、老化や生活習慣病の予防に寄与。

4)疲労回復・利尿作用
カリウムやビタミンB1を含み、疲労回復や利尿作用も期待できる。

5)新陳代謝の促進・美容効果
ビタミンB2などの栄養素が新陳代謝を促進し、皮膚や粘膜の状態を整える効果。

6)がん予防
アリルイソチオシアネートは発がん物質の無毒化やがん細胞の死滅を促す働きがあるとされ、がん予防効果も期待されている。

7)免疫力の向上
鉄分やマンガン、銅などのミネラルが豊富で、免疫機能の強化にも役立つ。

8)ダイエット・減量効果
代謝を高めるビタミンB群や食物繊維が含まれ、ダイエットにも効果が期待できる。

*アリルイソチオシアネートマスタードやワサビなどに含まれる辛味や涙を誘う成分で、植物が昆虫や動物から身を守るための防御物質として働く化合物。ヒトへの効能としては、強い殺菌作用や食欲増進などの健康効果がある、天然の有機化合物であると言える。

以上のことかから、マスタードは、消化促進や抗菌・抗酸化作用をはじめ、さまざまな健康効果が期待できるスパイスです。
日常の食事に適度に取り入れることで、美容や健康維持に役立つと言えます。

さて、マスタードの効能を理解したところで、改めてディジョンマスタードにフォーカスしてみましょう。

ディジョンマスタード特有の効能について

ディジョンマスタードは、フランスディジョン地方発祥の伝統的なマスタードで、外皮を取り除いたマスタードシードを細かく粉砕し、ビネガーや塩と合わせて作られます。
そのため、他のマスタードと比べて、まろやかで上品な辛さなめらかな舌触りそして明るい色合いが特徴です。

ディジョンマスタード自体が持つ健康効果(消化促進、抗酸化作用、血行促進、抗炎症作用など)は、基本的には一般的なマスタードと共通していますが、ディジョンマスタード特有の製法や原材料の違いから、以下のような特徴が挙げられます。

1)まろやかな辛味による食欲増進効果
種子の外皮を取り除いているため辛み成分が控えめで、上品な風味が料理の味を引き立て、食欲を促進しやすい。

2)脂っこい料理との相性による消化サポート
肉料理や脂の多い食材と組み合わせることで、胃もたれや消化不良の軽減に役立つ。

3) 塩分や酸味のバランス
ディジョンマスタードは塩分と酸味のバランスがよく、調味料として使うことで料理全体の味を引き締め、減塩や味付けの工夫にもなる。

それでは、いくつかマスタードを活用した和風なレシピをご紹介します。

まずは、日本人にはなくてはならない食材、豆腐を使ったレシピから。

豆腐とアボカドのマスタードサラダ

(1)豆腐は角切りし、アボカドトマトはいちょう切りする。
(2)ボウルにみそ、かつお節**、砂糖、マスタード、酢、オリーブ油を入れて混ぜ、(1)を入れて和える。

**かつお節はこの時点では混ぜず、皿に盛り付けてから振りかけても♪

次は、豆腐と似て非なるも、その食感が病みつきになるはんぺんを使ったレシピ。

マスタードマヨソースのハムチーズサンドはんぺん

(1)マスタードマヨネーズを混ぜ合わせておく。
(2)ハムの上に(1)を塗り、その上にスライスチーズを重ね、斜め半分に切る。
(3)はんぺんも斜め半分に切り、さらにその断面から切り込みを入れ、(2)をはさみこむ。 
(4)フライパンを熱し、をひき、(3)を並べて、こんがりと焼き上げる***

***オーブントースターやガスコンログリルにアルミホイルを敷いて焼き上げる方法もあり♪

以下には、食べ応えある、おレシピを記載します。

豚しゃぶとキャベツのマスタードサラダ

(1)ボウルにオリーブ油マスタードバルサミコ酢(その他の酢でもOK)、砂糖こしょうを混ぜ、いちょう切りしたトマトを加えてさっと混ぜる。
(2)鍋に湯を沸かし、食べやすい大きさに切ったキャベツを1分ほど茹で、ざるに上げる(湯は捨てず次で再利用)。
(3)(2)の湯にを加えて弱火にし、しゃぶしゃぶ用または食べやすく切った薄切り豚肉をほぐしながらゆでる(煮立てないように)。色が変わったらざるに上げる。
(4)キャベツは水けを絞り、豚肉とともに(1)のボウルに加え、さっとあえる。

またも豚肉料理ですが、定番の生姜焼きというメニューに、マスタードを隠し味として加えるレシピです。

マスタード生姜焼き

(1)しょうゆ、みりん、酒、砂糖、しょうがすりおろしマスタードを加えて混ぜておく。
(2)豚肉は必要に応じて筋切り****し、小麦粉をふる。
(3)フライパンにを中火で熱し、(2)の豚肉を入れ、両面に焼き色がついたら、(1)を入れてフライパンをゆするようにして煮詰める。

***豚肉は、赤みのみや薄切りで作る場合は筋切り不要だが、厚めの肉の場合は赤身と脂肪の逆目に切り目を入れて筋を切っておくとクルンとそり返るのを防ぐことができる。

では最後に、我々日本人が大好きな肉料理といえば、唐揚げ!のレシピを。

鶏肉のマスタードソース唐揚げ

(1)鶏肉(もも、ムネ、お好みで)は食べやすい大きさに切ってビニール袋に入れ、しょうがすりおろし、マスタード、酒、しょうゆ、塩、はちみつ、を加えてもみ込み、10〜30分おく。
(2)(1)の袋に、薄力粉片栗粉(どちらか一方だけでも可。出来上がりの食感のお好みで)をまぶし、中温(170~180度)ので揚げる。


以上、友人とのフランスでの再会によりディジョンマスタードに出会って、マスタードの奥深さに興味を持ったひとりから、健康で美味しい豊かな日常を送るためのティップスをお伝えさせていただきました✨


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調味料には
どんなものがありますか?

フランスディジョン名産マスタードを使った料理

〜マスタードの美味しさに目覚め、料理の幅も広がる〜


フランス世界遺産の歴史地区の一つとして登録されているディジョン(Dijon)については以前触れましたが、ブルゴーニュ(Bourgogne)地方の名産として知られ、日本でも百貨店や輸入食品店などでも目にすることがあるディジョンマスタードについては、是非記しておきたいと思いつつまだ未記載でしたので、ようやくアップします。

ディジョンに関する過去の記事はこちら↓


さて、料理の調味料の一つであるマスタード、あなたは日常的に利用されていますか?
私はというと、正直なところ、フランス旅を決行するまで、マスタードにはほとんど興味がありませんでした。

一応それなりに料理はするし、一通りの調味料にはそれなりの品質を求めて揃えているつもりなのですが、お恥ずかしながら、マスタードに関しては、一人暮らしで日本人だしソーセージばっかり食べるわけじゃないし使いきれない、と勝手に思い込んでいたのです。

ですが、人生初のフランス旅行の際に、ブルゴーニュで生活する友人から名産であるディジョンマスタードの話を受け、マスタードにスポットって当たるものなんだ?と、今思えば、大変失礼なことですが、そこで私もマスタードへの興味を抱くことになったのです。

というわけで、私の初フランス旅で購入したディジョンマスタードがこちら↓

エドモンド・ファロ(Edmond Fallot社製


ちょうどお土産には良いサイズ感で、街中や空港等のお店でも販売されているものと同じですが、友人からスーパーで買う方が安いと教えられ、確かにその通りでして。
私は友人が連れて行ってくれた「オーシャンAuchan)」という大型スーパーで購入しました。

オーシャンに関する記事はこちら↓


そしてフランス旅の帰国後、お世話になっている食通の方にお土産としてお渡ししましたら、「すごい美味しかった、なんていうか上品というかハーブが効いているのかな、あんなマスタード食べたことない!」という感想をいただきまして。
マスタードは日持ちするからと、一応自分の分もキープしていたものの、味わうことなく放置していたのですが、そこまで言われることに驚いた私、それを聞いて初めて口にしみたら、本当にその通りで感動したのです。

そう、ディジョンマスタードには、私たちが近所のスーパーなどで購入するマスタードとはちょっと違った独特の風味と、料理を引き締める鮮やかな辛味があります。

実はこのディジョンマスタードフランスブルゴーニュ地方の中心都市であるディジョンで生まれ、大変由緒ある調味料なのだそうです。
その歴史は古く、14世紀という中世の時代から、ディジョンマスタードの産地として名を馳せてきました。
肥沃な大地と伝統的な製法が、他とは一線を画す風味豊かなマスタードを育んできたのです。

ディジョンマスタードの主な原料は、ブラウンマスタードシードという種類のカラシナの種。
これを砕いて粉末にし、白ワインビネガーや水、塩などと混ぜ合わせて作られます。
ここで重要なのが、白ワインビネガーを使うことであり、ディジョンマスタード独特の風味と、まろやかな酸味を生み出す秘密なのだそうです。

なるほど確かに、日本のカラシは、なんというかシンプルでツンとくるあの辛みが主体ですが、ディジョンマスタードにはフルーティーでまろやかさを感じると思えたのは、それが理由なのでしょう。

変な表現ですが、日本のカラシはそれだけを舐めていたいとは思えないけど、ディジョンマスタードはそれだけを舐めていられるんですよね(あくまでも私の場合ですが。日本のカラシを舐めていたい人もいらっしゃるかもしれないし、ディジョンマスタードを舐めてられない人もいらっしゃるでしょうから・・・笑)。

とにかく、ディジョンマスタード未経験の方には、是非ご賞味いただきたいと思える食品です。
(料理好きな方であれば、絶対におすすめ!)

さて、以下に続く画像は、友人が日本への一時帰国の際に、フランス旅を経てマスタードにハマった私のためにプレゼントしくれたディジョンマスタードの数々です。

完全オーガニックなレーヌ・ド・ディジョン(Reine de Dijon)社製にて日本では入手困難


Edmond Fallot社製、バニラまたはポルチーニのマスタードにて日本では入手困難

ちなみに、こちらのお品、瓶ラベルの上部にBernard Loiseau(ベルナール・ロワゾー)との記載がありますが、フランスブルゴーニュの友人宅近くのSaulieu(ソーリュー)という町にある2つ星レストランのものなのだそうで。
レストランのブティックでもこのマスタードが売られているということから、Edmond Fallot(エドモンド・ファロ)社がBernard Loiseauとのコラボで作っているマスタードなのかもしれません。
しかもなんとこのお店、日本にも進出し、去年の2月からオープンしているようです・・・!
(友人が調べて教えてくれました。感謝🙏)

Loiseau De France(ロワゾー・ドゥ・フランス) Webサイト:
https://ldf-tokyo.jp/

Loiseau de France
ロワゾー・ドゥ・フランス

住所:〒162-0826 東京都新宿区市谷船河原町15
営業:水曜~日曜 11時30分~21時00分
定休:月曜・火曜


というわけで、入手困難とは書きましたが、もしかしたら、東京(新宿)のこのレストランに行けば出会える可能性も否めません。
私は行ったことがないので確信的なことは言えませんが、機会があれば行ってみたいですし、もし何かご存じの方いらっしゃいましたら、教えていただけましたら幸いです。



Edmond Fallot社製、日本(仙台)でも購入可能(私が見たことがあるのは3個セットではなく1個売り)


ディジョンマスタード、どれもこれも、それぞれの個性があって、いずれも本当に美味!!


それでは、実際にディジョンマスタードを活用して作った料理をご紹介します。
まずは、こちら。

マスタードマリネした豚フィレ肉のオーブン焼き

(1)豚フィレ肉は丸ごと、マスタードはちみつ醤油ニンニクすりおろしの漬けだれを作り、一緒に保存袋に入れて冷蔵庫で1時間以上漬け込む。(その間オーブンを熱する)
(2)(1)を袋から取り出し、180度に予熱したオーブンで30分程度焼く(焼き時間は肉の分量により調節)。
というシンプルなレシピ。

このレシピは、バニラマスタードなんてハードルが高いかも、でもはちみつや砂糖といった甘い味付けに合うだろうから、と友人が気を利かせて教えてくれたものです。
ですが、もちろん、バニラ風味以外のマスタードでもOK♪
そして、マリネ液のはちみつはメープルやミリンに変えても美味しくいただけますよ。
また、記載した写真では、焼き上がったお肉を切り分けて皿に盛った後に、余った漬けだれに刻んだバジルを加えたソースをかけていますが、その辺もお好みで。

さて次は、マスタードを使った料理として最もオーソドックスと言えるかもしれません。

はちみつとマスタードの甘辛ジャーマンポテト長芋バージョン)」

(1)ニンニク玉ねぎは薄切りに、ソーセージ長芋は食べやすい大きさに切っておく。
(2)はちみつマスタードをみじん切りしたバジル(またはパセリもしくは無くても。お好みで)と混ぜ合わせておく。
(3)フライパンにオリーブオイルを熱し、ニンニクを炒めて香りが立ったら玉ねぎを炒め、続けて長芋ソーセージを焼き色がつくまで炒め、(2)を加えて炒め合わせ、胡椒で味を調える。

なお、一般的にはジャーマンポテトといえばじゃがいもですが、同じ分量なら長芋の方が太りにくく、じゃがいもよりも早く炒め上がるし、炒めた時のシャキシャキホクホクした食感がじゃがいもと違った美味しさを楽しめるので、長芋にしてみました。
じゃがいもで作っても当然美味しいので(予めレンチンするなど炒め時間を考慮の上)、この辺もお好みでどうぞ。

お次は、季節野菜を使ったヘルシーなレシピです。

焼きカブのツナマスタードあえ

(1)カブの茎は少し残して切り落とし、果肉の皮をむき、くし切りする。
(2)ツナマスタード砂糖マヨネーズを混ぜ合わせてソースを作っておく。
(3)フライパンにカブを並べてをふり、焼き色がつくまで焼く。
(4)(2)と(3)を混ぜ合わせ、好みにより胡椒で味を調える。

カブを焼いて食べるという発想はあまりないかもしれませんが、このソース(2)で合えると、濃厚で食べ応えあるサラダになります。
なお、カブは3月~5月、10月~12月が旬。カブの美味しい時期に、是非お試しください。

マスタードのレシピはまだまだあるのですが、今がギリギリ旬であるカブのレシピを、取り急ぎ、もう一つご紹介しておきましょう。

カブと豚肉のマスタードミルクスープ

(1)カブの茎は少し残して切り落とし、果肉の皮をむき、くし切りして(前出のレシピと同様)、残りの葉は切り刻む。
(2)豚薄切り肉は食べやすい大きさに切っておく。
(3)ミルクマスタードを混ぜ合わせておく。
(4)フライパンにオリーブオイルを熱し、みじん切りにしたニンニク玉ねぎを炒め、続けて(2)の豚肉を軽く炒めたら、(1)を加えさっと炒める。
(5)(4)に洋風だしコンソメまたはマギーブイヨン)と水を適量加え、煮立ったら(3)を加えて一煮立ちさせる。
(あとはお好みで、塩胡椒)

最後に、緑鮮やかでどんな料理にも添えられるサラダをピックアップします。

パセリとハムのマスタードドレッシングサラダ

(1)赤玉ねぎ(普通の玉ねぎでもOK)をみじん切りにして水にさらしておく。
(2)粗く刻んだパセリと1、2cm角に切ったハムをボウルに入れ、(1)の水気をよく切って加える。
(3)マスタード白ワインビネガー(他の酢でもOK)・オリーブオイル胡椒をよく混ぜ合わせ、(2)に回しかけて和える。

旬としては3~5月または9~11月とされるパセリですが、割といつでもスーパーにはあるし、でもその割には一般的には主役になりにくい食材ではないかと思います。
でも実は、パセリは手に入りやすいハーブであり、鉄分やカリウムなどのミネラルが豊富で、老化や生活習慣病、ストレスの予防やダイエットにも効果的なのだそうです。
よくレストランの料理に添えられているものの、単なる飾り物と思われているのか残している人が多いように感じますが、それはなんともったいないことか・・・!(私はむしゃむしゃ食べますよ)
是非、積極的に取り入れ入れていきたいですね🎶



いかがでしたでしょうか、ディジョンマスタードの詳細と、マスタードを使った料理について。
今回はすでに長くなってしまったので挙げませんでしたが、ディジョンマスタードは和食にも合います。
マスタードに含まれる栄養や効能についても記述しておきたいところなので、それはまたの機会に。

ここまでご覧いただきまして、どうもありがとうございました (^_−)−☆


マスタードやハーブ
あなたは日常的に
取り入れていますか?

私の命 〜東日本大震災から14年目の日に〜

2025年も年が明け、あっという間に3ヶ月目に入り、そして迎えた2025年3月11日(火)。
東日本大震災から14年目の本日、今年になって初のブログ投稿です。

実は昨年、仕事のストレスによる適応障害との診断を受け、2024年末をもって仕事を辞めました。
その職場では、私の担っていた仕事は私にしかできず、後任もいない状況だったので、有休をはさみつつも年末の終業日まで勤務し、年明けも少しお手伝いせざるを得なかったので、心身が落ち着くまで少し時間がかかってしまいました。

昨年の今日は仕事に奮闘しきっていたので、それまで毎年出席していた東日本大震災の追悼式は初めて参列しませんでした。

今年の今日は仕事をしていない身分なので、追悼式に参列しようと思えば行けましたが、まだ人の集まるところに積極的に行く気にはなれないので、昨日のうちに私自身の生まれ育った町であり被災地でもある閖上に行ってきました。



太平洋に面した潟湖の広浦へと流れる増田川にかかる広浦橋の上。
その向こう岸に見える建物は名取市サイクルスポーツセンター/名取ゆりあげ温泉「輪りんの宿」


東北唯一のサイクリング専用施設として親しまれてきた「名取市サイクルスポーツセンター」は、私の実家があった場所から徒歩で15分程度の場所にあり、津波による甚大な被害を受けました。

それから約9年半後、その施設は震災前よりもパワフルな設備と宿泊機能を備え運営を再開されました。


4階建の宿泊施設「輪りんの宿」の屋上からは、雄大な景色を望むことができます。


建物から南側の眺めをぐるりと動画にて。
ちなみに、こちら側は仙台空港がある方向です。


次は、北側でぐるりした眺め。
こちら側が、我が家があった方向。


閖上3丁目に震災後に建立された慰霊碑と、その奥に見える小高い山は、閖上4丁目に生まれ住んだ私も慣れ親しみ震災前から残る日和山(いずれも現名取市震災メモリアル公園)。


日和山は残っているとはいえ、震災前とは全く異なる、日和山前付近からぐるり見た現在の風景動画をアップします。


令和3(2021)年に備えられた東日本大震災津波教訓碑
この画像の右奥あたりに我が家はありました。


現在では、私の生まれ育った家があった場所は”水産加工団地”となっていて、私がそこで過ごした当時の跡形は全くありません。


でも、(土手自体の風貌は震災以降もちろん変わっていますが)実家だった場所から歩いてすぐの土手から見える遠くの風景はあまり変わりないので、正直なところ、複雑な心境ながらも、ホッとします。


それに、団地とは言わずとも、水産加工する施設は閖上には当時からあるので、現在のネーミングも嫌というわけではないですし。



このWEBサイトを立ち上げた際の『はじめに』で述べたとおり、その時、私は生きる喜びを感じていました。
しかし、再就職し数年が経って再び、このWEBサイトを立ち上げるずっと前の私に戻りつつあるような状況に陥りつつありました。

震災以降も、仕事でもプライベートでも辛いことは何かとあろうとも、ある意味では皮肉なことではありますが、震災のこともあってこそ、自分は生かされているから命を無駄にしてはいけないという思いで過ごしてきたので、消えてしまいたいということだけは一度も思ったことがなかったのに、昨年のある時、消えてしまえたらどんなにラクか、という考えを抱いてしまったのです。
そこで自分自身でハタと、なんか最近の私おかしくない…?と気づいたのでした。

冒頭で、私の担っていた仕事は私にしかできず、後任もいない状況だった、と述べましたが、私は本来であれば上司達が担うべき仕事もこなしており、更なる問題は、上司自身がそれをこなせないどころか、理解もしていないという点でした。

この問題が解決できるまでは仕事を辞めるわけにはいかないとずっと思っていましたが、心身に異常をきたして、避けたかった精神科を受診し、初診で医師から受けた言葉は「明らかに仕事のストレスによる適応障害、職場の状況が変わるなり、辞めない限りは解決は難しい」ということでした。

とはいえ、現状の人材では職場の環境改善は簡単にいかないし、休職さえする余裕はないし、今辞めれば職場を見捨てるようなことになるから仕事は続けるほかないと考えたのですが、医師からは「誰か一人に極端な負担をかけている職場というのは、負担をかけてしまっている本人達に自覚はなくとも、責任を背負い仕事をこなしてしまっているあなたのような人の心につけ入る。一時的に休職するという選択もあるが、そのような問題を抱えた職場の場合、復帰すればまたその一人に負担が戻るだけ」という話もあり…

実際に、上司達に体調の不調を訴え、病院へ通い始めたことも伝えましたが、上司達からは「心配している」との言葉はあっても、態度からは誠意を感じられず、残念だけど、これは医者の言う通りだなと思わざるを得ませんでした。

せっかく自分という命を与えられ、生かされているのに。
職場のために良い人でいなければ、という思考に囚われている。
こんな状況、良いはずがない。
心身のためにも、少しでも苦痛を長引かせるべきではない。
自分を大切に生きたい。

そう感じることができたのも、震災で自分が生まれ育った家を失い孤独でも生きてこられたという現実があってこそ。
この歳でまたやり直さなければならないのかと思うと怖い気持ちもあるけれど、それ以上に、一度きりの生涯をこれ以上後悔して過ごすようなことにしたくない。
思い切って2024年中に辞めよう。
と、決断をしました。
そして、新しくやり直そうと始まった2025年も、3月11日という今日を迎えてしまいました。

このサイトの冒頭の『ご挨拶』に述べたことも、昨年の状態では嘘になりつつありました。
実は、そんな気持ちもあって、サイトを閉じた方が良いのか、いや、せっかくだから続けよう、でも新しい年を迎えたんだから大幅リニューアルすべきか、とか考えあぐねていまして、なかなか再開できずにいました。

しかし、ここでリスタート。
このサイトを立ち上げた時の気持ちを大切にしたいから、とりあえずは大幅リニューアルせずこのまま続けることとしました。
アップしていない下書き途中の記事もいくつかあるし・・・

そう、こんな私が思い行き着くのは、結局ここ。

この現世に
生まれたことも
生きていることも
奇跡的なこと
そして
自分の人生は一度きり

だから、与えていただいた自分の命を、自分のために大切に生き、平穏無事に穏やかで静かな幸せを過ごせる日々を、これからも綴っていこうと思います。


あなたの命
一度きりの人生で
大切なのは何ですか?

建立900年 黄金に輝く平泉の世界遺産 中尊寺金色堂

〜そして 岩手の絶品ハンバーグの記録〜


昨年訪れたフランスの旅行記、なんとか今年中に記録し終えたいと思っているところではあるのですが、今月初旬の週末、親愛なる友人夫婦が、岩手県平泉の中尊寺までドライブに連れ出してくれたので、前回記事のヴェルサイユ宮殿に続き、そしてまた今年は金華山も訪れており、たまたまながらも黄金つながりということで、タイミングも良いところですから、写真にて残しておこうと思います。


土曜日の午前9時半、友人夫婦の住む最寄りの駅である塩釜駅にて待ち合わせし、友人旦那くんの運転する車に同乗。
いざ初冬の中尊寺へ・・・の前に、まずは腹ごしらえ。

この日の私たちには、中尊寺を訪れること以外に、岩手県一関市で美味しいハンバーグを食べよう!というもう一つの目的がありました。

ドライブのスタート地点である塩釜駅から、東北自動車道を経由しておよそ1時間30分、訪れたのは「ミートレストラン 格之進」です。


11時オープンきっかりに入店し、メニューを物色。
(パンダがいるのは、友人奥さんが無類のパンダ好きのため。本件とは関係ないので気にしないでください(苦笑))


“お肉のテーマパーク”と謳う「ミートレストラン 格之進」さん、絶品と言われるハンバーグ目的で来ましたが、メンチカツなどなどもどうしても気になって。


最終的に、私は、トリプルハンバーグ定食と単品のメンチカツ(+グラスビール)を注文。
およそ5,000円の御褒美ランチとなりましたが、それはまさに、お値段納得の絶品ハンバーグでした。


「トリプルハンバーグ定食」は、「ミートレストラン格之進」さんの主力商品である3種類のハンバーグ「金格」、「白格」、「黒格」を一つのセットにされた定食メニューで、食べ比べを楽しむことができます。

「金格」、「白格」、「黒格」の、三つの違いは何か、というのは一言でまとめるとそれぞれ以下の通り。
金格:岩手県花巻市が誇る幻のブランド豚「白金豚」の合挽ハンバーグ
白格:厳選された上質な黒毛和牛と「白金豚」の合挽ハンバーグ
黒格:厳選された上質な黒毛和牛100%の最高峰ハンバーグ

ご覧ください、この迫力!(左から金格→白格→黒格ですが、見た目には比べようないですよね。その違いは食べてみないと分からない…)


まんまるボリューミーなハンバーグにナイフを入れた時の、溢れる肉汁は感動ものだったのですが、食べたい情動に駆られ、その情景を写真に収めるのをすっかり忘れていました(涙笑)

どうしても気になって仕方がなかったメンチカツも、オーダーして正解でした。
かりっふわっほくっの食感に続けてジューシーな旨味、ハンバーグ同様に初めて体験する美味しさでした。

そして、日本人が愛するお米にもこだわりを持たれているようで、ご飯も美味。
(格之進さんのWEBサイトに詳細が記載されています→https://kakunosh.in/kanzaki-aging-beef/cat-foodstuff/iwate-rice/

どれもが本当に、絶品!!
だったのですが、実を言うと、流石に分量的な点で私には厳しく、友人旦那くんに食べきれない分を消費していただいたということを、念の為申し添えます(それくらいしっかりボリューミー。ご飯も大盛りやおかわりが無料です)。

ミートレストラン 格之進
住所:〒021-0063 岩手県一関市山目大槻67−1Webサイト:kakunosh.in


お腹が満腹になったところで、ミートレストラン格之進から車でおよそ15分程度の場所にある中尊寺へと向かいます。

紅葉の見頃も終わり、オフシーズンの土曜ではありましたが、到着した中尊寺の駐車場にはそれなりに車が停まっていました。


しっかり寒さ対策した身支度に整え、車を降りて、中尊寺の境内へ。
表参道である「月見坂」入り口は紅葉の名残がありました。


程なくして険しい坂を登ることになりますが、お腹が満たされた後のちょうど良い運動となり、冷たくもグリーンの香りに癒されます。


うっすら雪化粧という風景も美しく。



文政10年(1827)に建立され、義経・弁慶の木像が安置されいるという「弁慶堂」。


弁慶堂」の展望台から見える景色。
写真の手前の広場のようなところは「東物見台」と名付けられています。


2022年に改築されている「薬師堂」は他と比べ真新しさを感じます。


甘味処である「積善院 奥の細道展」の庭の雰囲気はいつ見ても素敵。



本堂の正面に建つ「本坊表門」。


岩手県指定文化財にされているだけあって、厳かな風情の門です。


そして、日本の天台宗の開祖である最澄が1200年前に灯した「不滅の法灯」が護持されている「本堂」。


現在の本尊は、東日本大震災後である平成25(2013)年に新たに安置された釈迦如来坐像で、高さ5mほどのもの。


本堂の隣に位置する「峯薬師堂」の風景は、紅葉の落ち葉がとても美しいコントラストを描いていました。


こちらも岩手県指定文化財に登録されている「旧鐘楼」。
今ではほとんど鳴らされることはないということですが、茅葺き屋根の建物の中に康永2(1343)年に鋳造された梵鐘が配されており、大変貴重。


奥州藤原氏の残した文化財3000点あまりを収蔵する宝物館である「讃衡蔵」。


こちらの建物のチケット売り場にて「讃衡蔵」及び「金色堂」の拝観券(大人1,000円)を購入することができます。


讃衡蔵」の収蔵物も、「金色堂」も撮影はできませんので、「讃衡蔵」の最後に設置されていたフォトスポットのみをせっかくだから撮影・・・
ちょっと切ない・・・
のですが、こちらの写真にある通り、今年は金色堂建立900年の節目だったのだそうで。
私たち、それをつゆ知らずに行ったものですから、年内に滑り込めて、なんだか縁起良く感じました。


(パンダ好きで)実は御朱印集めも趣味だったという友人による今回の御朱印の写真。
ご覧の通り「金色堂建立九百年」と明記され、特別の切り絵が施されています。


さあ、いよいよ「金色堂」へ。
ちなみに、「金色堂」を保存している建物は「覆堂」と言って、その名の通り金で作られた金色堂を覆い守っているのです。


簡単に入ることは許されない場所なので、ぐるりと柵が施されています。
金色堂入口」で、「讃衡蔵」チケット売り場で購入したチケットを提示して入場します。


いよいよ「金色堂覆堂」に近づいた時の不思議な輝き。


この中で守られている「金色堂」そのものは撮影できませんが、やはり実物を見てこそ。
堂の内外いっぱいに金箔を押した「皆金色」の阿弥陀堂に、美しく輝く夜光貝の螺鈿の装飾。
私は東北人なので数回拝見してますが、何度見ても、見惚れます。

金色堂」の外には、松尾芭蕉の句碑があります。


五月雨の降り残してや光堂

芭蕉が詠んだこの意味は、岩手大学平泉文化研究センターによりますと、下記の通りです。
“「五月雨が降り続き(五百年間)、全てのものを腐らせてきたが、
ここだけは降り残したのだろうか。戦なき世を願った藤原氏や
ここに住み続けた人々の祈る心をともし続けるこの光堂を」
平泉中尊寺の多くの建物は奥州藤原氏滅亡後、火災等でほとんどがなくなり、あるいは朽ち果ててしまっていました。しかし戦争をなくし平和を大切にしたいと願う人々の祈りや願いは消えていません。光堂、つまり金色堂は今も大切に守られ、光を放ち続けています。”
(引用元:https://chs.iwate-u.ac.jp/heritage/html/literature-sub-samidare.html

この芭蕉の見解はなんとも閑寂さを感じますが、前回記事にしたフランスのヴェルサイユ宮殿の黄金とは全く異質ですね・・・
(フランス一人旅の記録:華麗なるフランスの世界遺産 ヴェルサイユ宮殿と庭園

そして、芭蕉の像の先にある建物は、重要文化財に指定されている「旧覆堂」です。


古い記録には「鞘堂(さやどう)」とも記されているとのことで、「鞘」も読んだ字のごとく「大切なものを保護するためにかぶせたり、覆ったりするもの」という意味があるわけです。
芭蕉や伊達政宗、明治天皇といった歴史上の人物は、薄暗いこの堂内で金色堂を参拝したのだそうです。

さて、中尊寺の広い境内には「白山神社」が鎮守しています。


850年に中尊寺を開いた慈覚大師円仁(じかくだいしえんにん)が、この地に勧請(かんじょう:神仏の来臨を願うこと)したと伝えられているそうです。


茅葺き屋根が美しくも立派な建物である「白山神社能堂」は、こちらもまた重要文化財で、現在も神事能(神社の祭礼に奉納される能楽)が実施されています。


白山神社」ではくぐってお参りすると願いが叶うと言われる茅の輪(ちのわ)があることでも知られています。
私も、間も無く新年を迎えるこのタイミングで、これまで生きてこられたお礼と共に、新しい自分そして人生へ向けて希望をお祈りしました。


このすぐ近くに「かんざん亭」という食事処があります。


何度か中尊寺は訪れているものの、私はいまだ未体験なので詳しくは語れませんが、広い境内にレストランがあるのは嬉しいですね。
食べログの口コミ(https://tabelog.com/iwate/A0303/A030303/3004624/)を見た限りでも悪くなさそうです。

境内にある建物全てを撮影し切れてはいませんが、ぐるりと一周したところで、そろそろお暇。


先にも述べた通り、これまで何度か訪れている場所でしたが、うっすら雪化粧された中尊寺は初めてでした。
ただ立っているだけなら寒いですが、境内を歩いて運動するには程よい時期でもあり、美しい初冬の世界遺産の地で、人けも多くなく心身ゆったりでき、友人夫婦に誘われての思いがけない日帰り旅でしたが、本当に癒されました。感謝。

中尊寺
住所:〒029-4195 岩手県西磐井郡平泉町平泉衣関202
Webサイト:http://www.chusonji.or.jp/


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華麗なるフランスの世界遺産 ヴェルサイユ宮殿と庭園

〜黄金の時代を刻んだ、芸術の殿堂へ〜


ブルゴーニュでの3日間を経てからのパリ滞在もいよいよ3日目。
(前回までのパリ滞在記録はこちら↓)


翌日の朝には帰路に就くことになるので、実質フランスでの滞在最終日となる日です。
この日の目的地はヴェルサイユ宮殿(Palais de Versailles)ルーヴル美術館(Musée du Louvre)
そしてその移動経路として、エッフェル塔(La tour Eiffel)界隈を歩くことを決めていました。


1日でヴェルサイユルーヴル美術館とは少々無謀ではと思われるかもしれませんが、パリ滞在の最終日であると共に、ちょうどこの日は金曜日で、ルーヴル美術館の開館時間が21時45分まで延長される日だったため(2023年10月時点)、多少疲れるのも覚悟の上でそのような予定を組んだのです。

さてまずは、ホテルを出てヴェルサイユ宮殿へと直行します。
まだほの暗い朝8時、宿泊先ホテル最寄りの地下鉄へ。


宿泊先最寄りの地下鉄駅であるグラン・ブールヴァール(Grands Boulevards)駅から10分内の場所に位置する、複数の路線が乗り入れるアンヴァリッド(Invalides)駅にて下車。


同じくアンヴァリッド(Invalides)駅よりRER(エール・ウー・エール/高速郊外鉄道)C5線ヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュ(Versailles Château Rive Gauche)行きに乗り換えて30分強で、ヴェルサイユ宮殿の最寄駅であるヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュに到着します。


ちなみに、ヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュRERC5線の終点駅となるので、行き先さえ間違わずに乗れば、乗り過ごしてしまう心配がありません。

*フランス国鉄(SNCF) Transilien公式サイトによるRER C線の詳細→https://www.transilien.com/fr/page-lignes/ligne-c

なのですが、ここでもまた自分の思い込みによるプチハプニングがありました。
地下鉄からRERに乗り換えて向かう場合、地下鉄のみの駅でもヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュ行きの切符を選択することが可能なのですが、私はこの時、アンヴァリッド(Invalides)駅で地下鉄を降りたら、改めてRERの切符を買わなければならない、要するに、ヴェルサイユ行きの切符は地下鉄駅では買えないと思い込んでいました。
パリのメトロとRERの運行会社は異なるので、日本では例えば、JRから地下鉄に乗り換える場合には切符を地下鉄改札前で買い直さなければならないから、そのイメージでいたのです。

ところが、アンヴァリッド駅の改札内には切符販売機が見当たりません。
駅員さんに、「この切符ではヴェルサイユまでは行けませんよね?どうしたら良いですか?」と尋ねると、「あの階段を登った先の改札を出た所に自動券売機があるから、一旦改札を出てヴェルサイユ行きの切符を買って」と(英語で)教えてもらいました。


販売機の画面は地下鉄に乗る時と一緒で、(フランス語はわからないため英語画面に切り替えて)よくよく見たら「Ticket for Paris region(パリ地域(郊外)行きチケット)」という選択肢があり、そこをタッチして操作を進めることでヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュ行きの往復券を買うことができました。

せっかく地下鉄でRERC5線も通っているアンヴァリッド駅で乗り換えをすることにしていたのに、広いアンヴァリッド駅内でわざわざ一旦改札を出て改めてRERC5線ヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュ行きの切符を買うこととなり、オロオロしつつでまた無駄な時間がかかってしまいました・・・

それでも、なんとか無事にヴェルサイユへ到着。


なお、私は「パリミュージアムパス」を利用してヴェルサイユ宮殿を訪れることにしていたので切符の購入を選択しましたが、交通機関の乗り換えがスムーズにできるパスも数種類あるので、そちらを利用するのも一つです。

ヴェルサイユ宮殿の所在地はヴェルサイユであり、パリではありませんが、「パリミュージアムパス」が活用できます↓


さて、ヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュから徒歩でおよそ10分、並木道の先に宮殿の姿が見えてきました。


フランスに行ったら絶対に訪れたいと思っていた世界遺産「ヴェルサイユ宮殿と庭園(Palace and Park of Versailles/Palais et parc de Versailles)」を目の前に、ワクワク感が高まります。

宮殿前の広場にて、堂々と佇むのはルイ14世の騎馬像です。
到着したばかりの時はあいにくの曇り空で、イマイチの写真ですが、訪れる人々を最初に出迎え、宮殿の顔として、来訪者に強い印象を与えます。


ルイ14世(Louis XIV、1638-1715)はフランス絶対王政の頂点に君臨し、「太陽王(Sun King/le Roi Soleil)」と呼ばれました。
ヴェルサイユ宮殿(Palais de Versailles)を建設し、まさにたくさんの客人を招き入れ、フランス文化を世界に広めたのです。

ルイ14世の騎馬像の後方にある、入り口の1箇所目となる簡単なセキュリティを通過し、いよいよ宮殿の敷地内へ。


ヴェルサイユ宮殿は9時開館です。
私は10時の入館をネット予約しており(ヴェルサイユ宮殿は事前予約が必須)、9時30分頃到着しましたが、既にすごい人の群れ。

人の多さに圧倒されつつ、まず目が釘付けになったのは、宮殿を取り囲む黄金に輝く柵でした。


この黄金に輝く柵はヴェルサイユ宮殿正門で17世紀後半に建設されたものではなく、2008年に復元されたもの。
当初は純粋な金で作られていたけれど、フランス革命時に取り壊され、復元された門は本物の金に代わり、10万枚の金箔で装飾されているそうです。

復元製かつ純粋な金ではないとはいえ、ヴェルサイユ宮殿の華やかさと豪華さを象徴する存在となっていて、写真スポットとして記念撮影する人が絶えません。


で、私どもは、この黄金の門からは入場できません。
門に向かって左手がエントランスAで、右手側がエントランスBとなっています。


Aが一般入場門で、Bが団体入場門、というわけで、私はAに並びます。


長い列でしたが、割と時間通り入場することができました。
荷物検査などもあるセキュリティを通過し、遂に宮殿内へ。

まずは、黄金の柵の奥に広がっていた「王の中庭」へと足を踏み入れます。


私、写真を撮り損なってしまったのですが、下図の写真のずっと奥の床が大理石となっていて、ここは「大理石の内庭」とも呼ばれています(この写真の見えている部分は石畳です)。


次の写真で写っていない真下部分が大理石の敷き詰められた床となっています。
白と黒の幾何学的なデザインが素敵だったのですが、人が多すぎたこともあり、良いアングルが捉えられず撮影を諦めてしまったことを悔やみます・・・


建物の中へと進んでみると、意外とシンプルな装飾箇所もありました。
私には、こういう雰囲気の方が落ち着くような気がします。


こちらはシンプルと豪華さが融合した空間となっている「王室礼拝堂」です。


この礼拝堂内部には入れず、狭い戸口からしか拝観することができずだっため、私のような見学者がたくさんいるところを必死の思いで撮影しました。

お次もご覧いただいての通り、すごい人。
王の小居殿や内殿である「王の正殿」の中でも、最も見どころと言われる「ヘラクレスの間」です。


そこはまさに、王の権威と富を象徴する一室。
天井には、フランスの宮廷画家として活躍し、ロココ美術を代表する画家として知られるフランソワ・ルモワーヌ(François Lemoyne、1688-1737)による神話絵画「ヘラクレスの神格化(The Apotheosis of Hercules)」が描かれ、壁には、ティツィアーノやティントレットと並んで、ルネサンス後期のヴェネツィアを代表する画家として評価されるパオロ・ヴェロネーゼ(Paolo Veronese、1528-1588)作の「パリサイ人シモン家の晩餐(The Feast in the House of Simon the Pharisee)」が飾られています。

そしてやはり、いろんな意味で一番圧倒されたのが、ヴェルサイユ宮殿の最も有名な空間の一つである「鏡の間」です。


一面に鏡が張られ、太陽の光を反射して輝く唯一無二の回廊は、王の絶対的な権力を象徴しています。

ご多聞に洩れず、私もここを特に楽しみにしていた一人ですが、宮殿内一番の混雑場所で、大勢の人にも装飾の凄さにも大いに圧倒されたのでした。


それから、ドイツと連合国との戦争状態を終わらせて第一次世界大戦を終結に導いた重要な平和条約である「ヴェルサイユ条約」が、1919年6月28日にこの「鏡の間」で調印されたことは、日本人としても覚えておきたいことですね。

鏡の間」に続いて宮廷内の大きな回廊である「戦史の回廊」も、歴史や絵画好きには必見です。


人出は「鏡の間」に比べてだいぶ少なかったですが、「戦史の回廊」には、フランスの歴史的な出来事を描いた絵画がずらりと並び、勝利をテーマにした絵画や、英雄たちの胸像が飾られ、フランスの武勇を称える壮大な空間となっています。

宮殿の内部は、ここに挙げられないほどたくさんの見どころがあり、煌びやかな箇所に人が集まっている印象でしたが、個人的にはやはり静かな場所が好きでして・・・


探索していると、人っこ一人いないような場所にも稀に出くわすのですが、それはそれで、その美しさに感動する反面、ちょっと怖くも感じてしまうのでした。


さて、改めまして、世界遺産の名称は「ヴェルサイユ宮殿と庭園(Palace and Park of Versailles/Palais et parc de Versailles)」です。

しかしながら、通常無料であるヴェルサイユ宮殿の庭園は、訪れるタイミングによっては別料金となってしまうのです。
私はそれをつゆ知らず、私自身が訪れたのは「音楽の庭園」というイベントが開催される日だったため、10ユーロ程度(状況によって異なるようですが、私の場合€9.9)が別途必要でした。
残念ながらミュージアムパスも使うことはできないとのこと。
しかし、ここでケチるわけにはいきません。


レーンに並び(それほど混雑していませんでした)、支払いを済ませ、いざ庭園へ。


それは、やはり価値ある光景でした。

敷地の南側に、宮殿より低い位置にあり、緑のデザインが美しい「オランジュリーとスイス人の池」は、広大な庭園の中でも、私が最も惹かれた場所です。


ヴェルサイユ宮殿の「オランジュリー(オレンジなどの柑橘類のための温室)」は、地下に埋め込まれた特殊な構造になっているのですが、南向きで二重窓のおかげで冬でも5〜8℃と気温が安定しているのだそうです。


ここはまた、ブルゴーニュ観光の記録(2023 フランスブルゴーニュ 1日目 その2)でも触れた建築家のジュール・アルドゥアン=マンサール(Jules Hardouin-Mansart、1646-1708)が才能を発揮した場所の一つとされています。


マンサールルイ14世の首席建築家として、ヴェルサイユ宮殿の拡張計画の中心人物でした。
彼の貢献により、ヴェルサイユ宮殿は単なる王の居城から、フランスの絶対王政の象徴となる壮大な宮殿へと生まれ変わったとされています。
彼の洗練されたスタイルは、フランス後期のバロック建築に大きな影響を与え、その名声はヨーロッパ中に広まったということです。

一方、造園家としてヴェルサイユ宮殿の庭園全体の設計を任されたのは、フランス式庭園の様式を完成させたと言われるアンドレ・ル・ノートル(André Le Nôtre、1613-1700)です。
ル・ノートルは、パリの1日目の記録(パリの美術館巡り1 翌朝も再びセーヌ川へと向かって)でも記述した通りチュイルリー庭園(Jardin des Tuileries)も手がけた人物です。


次の写真は庭園の西側で、手前が「ラトナの泉水」で、奥に小さく見えるのが「アポロンの泉水」、さらに「大運河」が広がっています。


この日のイベントは「音楽の庭園」ということで、バロック音楽が流れる中で広大な庭園内を散策、というわけなのですが、オーケストラで生演奏しているわけでもなくスピーカーから流れ出ている音楽(大音響で広大な広場に流しているので音質が微妙)なので、音楽好きな私ですが、個人的には静かな中で散策したかったところ。


しかし、これらのイベント時には、普段は一般公開されていない樹木庭園に入ることができるとのことで、その点は良かったです。


とはいえ広い敷地内、一人で鬱蒼とした木立ちに入るには迷いそうだしちょっと怖かったので、あまり深くは入り込みませんでしたが・・・


それにしても、想像を絶する圧倒的スケールでした。
太陽王ルイ14世の野望がいかに凄いものだったかを目の当たりにしました。

芸術的と言えば聞こえは良いけれど、華麗すぎる絶対王政時代の宮廷世界。
貴族の贅沢が最終的に市民の反感を買うことになったのは致し方ないと思います。

でも、フランス革命(マリー・アントワネットを妻にしたルイ16世の時代に市民の怒りが爆発して起きた)の後、王政が崩壊して、一時的に荒廃したこのヴェルサイユ宮殿が、その後、国家の象徴として再建されて、こうして残されているのは素晴らしいことですね。

建築であれ、絵画や彫刻であれ、庭園であれ、芸術として価値あるものに触れ、そして我々の祖先が生きた時代の歴史を学ぶことは、教養を養うとともに心を豊かにしてくれます。


この広大かつ壮大なヴェルサイユ宮殿をくまなく巡るには、やはり一日でも足りないくらいですが、時間が限られている私、午後にはパリへと戻ります。


再びヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュ(Versailles Château Rive Gauche)へ。
先述しました通り、この駅はRER(エール・ウー・エール/高速郊外鉄道)C5線の終着駅なので、ここからパリへ戻るのは難しくありません。


往路と同様にアンヴァリッド(Invalides)駅にて下車します。
ただ、往路と異なり、ここで乗り換えはしません。


ここからの予定はエッフェル塔界隈の散策とルーブル美術館見学ですので、駅の外へと出ます。

約半日ぶりのパリ市内の地上。
いざ、エッフェル塔を目指して歩きます。




ヴェルサイユ宮殿
Château de Versailles

住所:Place d’Armes, 78000 Versailles, France
Webサイト:https://www.chateauversailles.fr/




あなたは
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石巻金華山 黄金山神社参拝と女川美食堪能の旅

〜仙台駅発1泊2日にて〜


2024年もすでに10ヶ月目に突入してしまったところ、未だ昨年のフランス旅の記録が完結できないままですが、先月(9月)今年初めての外泊をしてきまして、それがとても感慨深い旅となりました。
今年は趣味である写真撮影も全くできないでいた私でしたが、ようやくカメラを手に外出でき、本当に有意義に過ごすことができましたので、写真にて記録しておこうと思います。

プライベート時間をおろそかに、仕事に奮闘してしまっている2024年の初の旅先は石巻です。


石巻市は、私自身が住んでいる宮城県内ではありますが、これまでアップしてきたフランス旅でもお世話になった友人が一時帰国し実家に帰省するということで、再会を兼ねての女子二人地元旅となりました。


ご実家が石巻市内である友人が車を出せるということで、石巻駅で待ち合わせ。
私は仙台駅からJR仙石線を利用し向かいます。
仙台駅から石巻駅までは、電車だと1時間半程度で、海岸沿いを走るのでその道中の松島近辺は海が眺められるため、私もお気に入りの路線です。

石巻駅
住所:〒986-0825 宮城県石巻市穀町13


石巻駅にて、車で迎えにきてくれた彼女と落ち合ったのが12時半頃だったので、まずはランチを取ることに。
そこで向かったのは、石巻駅から車で30分程度の場所にある女川町地方卸売市場


ここは南三陸、せっかくなら新鮮な魚介類の料理を楽しみたい!ということで、女川町地方卸売市場内(3階)にある女川魚市場食堂という食事処をチョイスしたのです。


お客が並んでいて30分程度待つことになりましたが、純和風的な良い雰囲気の入口に、期待感が高まります。


「食堂」という店名から、賑やかな感じを想像していましたが、お昼時でも少人数しか受け入れない様子、いざ通された席も、落ち着いた掘りごたつタイプのテーブルで、来た甲斐、待った甲斐がありました。

そしていよいよ、注文したレアアジフライ定食のお目見え。


レアアジフライ
その名の通り、焼き加減がレアな鯵(アジ)のフライで、外はサクサク、中はフワトロ、今まで味わったことのないアジフライ!
こちら女川魚市場食堂の人気メニューだと言われているのも頷ける美味しさでした。


新鮮なメニューは数量限定、そして、私たちが入店できたのは13時半頃(13時ちょっと前から待機)でしたが、その私たちの後に入れたのは一組のみという、お客も大勢迎えようとしない雰囲気のこちらのお店自体が、ある意味レアで、幸先の良い旅を予感できました。

女川魚市場食堂
住所:〒986-2283 宮城県牡鹿郡女川町市場通り66番地 3階


女川魚市場食堂から見た風景も清々しく。


私の場合、ここではないし、規模が小さいけれど、同じく宮城県の三陸海岸にある閖上港で育っているので、港に船が停まった卸市場の情景は、懐かしく愛着を感じてしまう風景でした。

お腹が満たされた次は、宿泊先へと向かいます。
目指す場所は、牡鹿半島の先端。
その道すがらの展望台らしきところでパチリ。


その後もひたすら山道をうねうね走って、女川魚市場食堂から車でおよそ40分程度、無事にこの日の宿泊場所である旅館「島周の宿 さか井」に辿り着きました。

島周の宿 さか井
住所:〒986-2523 宮城県石巻市鮎川浜万治下1−7
Webサイト:https://www.newsakai.com/



通された4階の宿泊部屋から見た風景がこちら。


対岸に見える島は金華山です。
牡鹿半島との間の内海である金華山瀬戸を挟んで望むこの眺望はなんとも贅沢。

広大な太平洋と島があるのみ、というこのロケーションが、都会で忙しない日常を過ごしていた私をたちまちに癒してくれました。


喧騒が無い故に、この辺はいわゆる人気の観光スポット的なものがない感じなのですが、夕食まで時間があったこともあり、石巻市で2年おきに開催される芸術祭「リボーンアートフェスティバル」でのインスタレーション「白い道」が、旅館から徒歩10分圏内に残っているということで、こちらに行ってみることにしました。


樹海を抜けて、正に白い道へ。


白い道の先に見えた風景。


それは、静かで厳かで美しく、自分は生かされているのだ、と改めて感じさせられるものでした。

清々しくも穏やかな感慨を胸に、宿に戻って、大浴場にて残暑時の一運動後の汗を流し、再び三陸の美味をいただきます。


島周の宿 さか井はこのお食事も評判らしいとのことでしたが、偽りなく。


南三陸の新鮮な魚介類によるお刺身に焼き物そして釜飯、などなど、どれも美味しいし、高校時代からの友人と再びゆったりと語り合える時間を過ごせたひととき。


お昼にひき続き、またも美食でお腹が満たされた後、こちらの古き良き昭和感漂う和室に敷かれたお布団にて就寝。

そして迎えた翌朝の部屋からの眺めは、また神秘的なものでした。


旅の2日目の目的地は、このお向かいにそびえる金華山
金華山に鎮座する黄金山(こがねやま)神社の参拝に備え、身支度を整えて、朝食はビュッフェにて、ヘルシーな食事をしっかりといただきます。


その後、9時半頃に旅館をチェックアウトし、向かったのは観光交流拠点施設「ホエールタウンおしか」です。
鮎川港に位置するこちらから金華山への船が出航されるということで、前日のうちに、10時半出発の船をネットで予約しておきました。


ここホエールタウンおしかは、宿泊した島周の宿 さか井から車で10分程度の場所。

ホエールタウンおしか
住所:〒986-2523 宮城県石巻市鮎川浜万治下1−7
Webサイト:https://oshika.miyagi.jp/facility/


地図上で見ても、宿泊した旅館の前からでも船が出ていれば金華山へはすぐのように思いますが、そのような経路はないので、ここから金華山を目指します。
船が出る時間まで余裕を持ってこちらに訪れ、物産品を物色したり、観覧できる展示物を見学したりしつつして過ごすことに。


そうしてまもなく、出航間近となりました。
予約している金華山フェリーの停泊場所を確認します。


船に乗り込み、いざ出航。
そして出航後ほどなく、私たちの席の後方で湧き上がる歓声。
ウミネコへの餌付けを楽しむ方々の声でした。


かっぱえびせんを必死で求めるウミネコたち。
餌付けに夢中になり、子供のようにはしゃぐ大人たち。
意外にも、見ているだけでも楽しめる面白い光景でした。


大空の下に広がる太平洋の海原を、波飛沫を上げてぐんぐん走る船の上の爽快さも格別。


金華山到着間近の付近では、左手側の牡鹿半島の景色に、宿泊した旅館を確かめることができました。
白いポツンと見える建物が「島周の宿 さか井」です。


本当に、何も無い場所にポツンと存在する一軒の宿。
今回、友人が一時帰国するという連絡を受けて、たまたまの流れで予約した宿でしたが、良いご縁に恵まれたと改めて感じました。

鮎川港出発から20分程で金華山港へと到着。


黄金山神社の参拝には山を登ることになります。
神社所有の車による送迎サービスを利用することもできますが、残暑厳しい9月でも、幸運にもこの日は涼しかったので、歩くことにしました。


最初にお出迎えしてくださる鳥居は二の鳥居


日頃の運動不足な体には、なかなかに厳しい坂道でしたが、登るにつれ見渡せる美しい景色の変化は、先へ進もうとする意欲を高めてくれます。


5分程度登ったところで、表参道裏参道の分かれ道。


裏参道の方がコンクリート状の道路となっているようですが、やはりまずは表参道から向かうとします。


ここで迎えてくださるのが、三の鳥居


鳥居の脇に広がる芝生にはたくさんのニホンジカの姿がありました。


金華山は野生の鹿が保護されていることでも有名ですが、「金華山の原生林と鹿」という名称で、環境省による「かおり風景100選」の一つに選定されているのだそうです(2001年)。
(参考1)かおり風景100選一覧表:https://www.env.go.jp/air/kaori/ichiran.htm
(参考2)かおり風景100選パンフレットPDF:https://www.env.go.jp/air/kaori/pamph/full.pdf

まさにウッディな香り漂う森林の中に伸びる参道を進みます。
なんとも圧巻な巨木の杉並木。


坂道を登ってきたので体感的にはもっと時間がかかったように思いましたが、二の鳥居から徒歩にておよそ10分のところで、表参道降口に到着。


涼しい日でしたが、さすがにこの時点では汗だくでした。
しかし、息を切らしつつ神社境内に足を踏み入れると、樹齢800年といわれる御神木の欅に出迎えていただき、その隆々とした逞しい姿に感無量。
疲れも吹き飛びそうな気持ちになります。


境内の位置関係は、掲示されていた案内図にて。


御神木のすぐ近くに祀られている恵比須様と大黒様のブロンズ像。
その手前には金の袋を背負った亀の像もあり、ご利益を放出してくれているような雰囲気を醸し出しています。


御本殿を守る随神門の前に建っている石鳥居(石華表)は、当初(明治22年)のものは残念ながら東日本大震災で倒壊し、現在は再建されたものだそう。


大正14年に建立されたという随神門は、繊細な彫刻や木組みの風格が素晴らしい。


茶色い鳥居があるのは金樁(かなぐい)神社で、学問と書道の神様として崇められてきたそうですが、かなぐいは金属のくいの意で、商売や学業は実力だけではなく、運や縁も大事ということで、金(かね)の杭(くい)を打って被害を止めるという云われによるものだそうです。
ちなみに漢字では、樁は椿ではないことに留意(日ではなく臼)。


金樁神社の隣下方に位置しているのが金華山銭洗辯財天(ぜにあらいべんざいてん)で、龍の口から流れ出る水で、ざるを使ってお金を洗い、それを世の不浄を落とした銭として、お種銭(たねせん)として身につけることで、ご利益に預かることができるとされています。


金樁神社金華山銭洗辯財天の間の階段を登った先にあるのが金華山頂上に鎮座する大海祗(おおわたつみ)神社を遥拝するための大海祗神社遥拝所があります。
(遥拝:ようはい。はるかに隔たった所から拝むこと)


大海祗神社遥拝所辯財天奉安殿(べんざいてんほうあんでん)であり、中には弁財天像が安置されています。

何故だかここはとても幻想的で、一際に美しく感じられました。


正しい順路はわかりませんが、最後に黄金山神社の御本殿に繋がる御拝殿をお詣りしました。


日本で初めて“金”が産出されたのは奈良時代の陸奥国と言われていて、黄金山神社は、これを祝って天平年間(750年代)に建立されたのだそうです。

陸奥国むつのくに。現在の青森県、岩手県、宮城県、福島県、秋田県北東部の旧国名で、古くは道奥(みちのおく)、すなわち中央から地方に至る道の果ての意としてみちのくとも呼ばれた)


金銀財宝・金運・開運の神として信仰され、「3年続けて参拝すれば、一生お金に不自由しない」といわれている金華山黄金山神社

宮城県出身ながら、同県内の金華山は初めて訪れたし、詳しいことは知らなかったけれど、これを機に、来年、再来年と3年続けてお詣りしようかな。

今回は祈祷までは申し込まなかったけれど、次あたりは祈祷してもらうべきでしょうか・・・


祈祷申込所のそばには参拝者休憩所があり、ここに人が集まることを知ってか、餌を乞おうとする鹿が待機しています。



金華山詣りには古くから、一定の期間を寺社にこもって祈願する参籠(さんろう)の風習があり、誰でも宿泊可能なのだそう。

お籠り(おこもり)するための参籠施設として設けられている、鳳龍殿と名付けられた参集殿の前に広がる芝生も鹿の安息地帯のようでした。


さて、この時点で、時刻は12時直前。
鮎川へと戻る定期船の時刻が12時半なので、そろそろ参集殿付近から伸びている裏参道を下りながら、波止場へと向かうこととします。


裏参道側は緑の芝生が広がっており、金華山瀬戸牡鹿半島の美しい景観を眺めながら下山することができました。

そして、ここからも宿泊した旅館の姿を確認できました。
向こう岸に見える白い建物が「島周の宿 さか井」です。
昨日と今朝と部屋から眺た場所に、今、立っているのだなとしばし感慨に浸ります。


科学の発達した現代は船も高速で、行き来は簡単にできるけれど、そうではない時代の人には、もっと畏敬を感じられた場所だったのかもしれません。

太平洋を見渡せる場所には三陸復興国立公園(Sanriku Fukko National Park)の記念碑がありました。
かつては南三陸金華山国定公園だった金華山は、東日本大震災後の2015年に三陸復興国立公園に編入し、国定公園から国立公園と変更されています。


時に恐ろしい力を発動させる自然だけど、まさに私たちはこの自然に生かされているんだ。
科学の力に溺れて傲慢にならず、慎ましく生きてゆこう。
そして、生かされているからこそ、自分らしさを大切にして生きてゆこう。

仕事で頑張りすぎていた心が少しほどけました。


再び船に乗り込んで、鮎川港へと戻り着いたのが12時50分頃。


というわけで、ここで早速ランチです。

朝にホエールタウンおしかを一見した際に、やっぱりせっかくここに来たなら鯨の料理だね、と、私たちは迷わずに決めていました。

ホエールタウンおしか内にある3つのレストランから、すぐに席に座れそうだった「PLAZA SAITO(プラザサイトー)」に入店。

海育ちの私は、子供の頃、鯨の刺身を何度か食べた記憶はありましたが、焼いた鯨の記憶がなかったので、鯨焼き定食をチョイス。


鯨の赤みのいわゆるステーキは、柔らかくて、生で食べる味とはまた違う旨味。

でも実は、刺身も捨てがたく、単品の鯨赤白刺身のハーフというのがあったのでこちらも併せてオーダーしていました。


赤身の方には馴染みがありましたが、皮の部分である白身の刺身は初めて。
コリコリしてるのに脂身があるためとろけるような食感も同時に感じます。

調理方法と部位によって全然違う鯨の味わいを楽しむことができました。

お腹も心も一杯に満たされて、再び石巻駅を目指します。

仙台への帰りの電車として予定していた石巻駅発14時59分のJRにも程よい余裕で間に合い、友人とはここでお別れ。


普段は日本を離れているため簡単に会えることはないながらも気のおけない存在である友人との、一泊二日の石巻金華山黄金山神社参拝と女川美食堪能の旅は、瞬く間ではありましたが、心に深く刻まれる充実のひとときとなりました。


豊かな自然と神秘に包まれ、そして自然の産物に舌鼓を打ち、心身共に癒される贅沢な時間を満喫できた素敵な旅に恵まれたことに、心から感謝です。

金華山黄金山神社
住所:〒986-2523 宮城県石巻市鮎川浜金華山5
Webサイト:http://kinkasan.jp/


あなたは
賑やかな所 or 静かな所
どちらがお好きですか?

パリの美術館巡り3 元駅舎のオルセー美術館

〜建築物の美しさにも酔いしれるパリ3大美術館の一つ〜


海外女一人旅、地元の仙台空港から出国し台湾経由でたどり着いたフランス、パリ美術館巡りの初日、印象派の巨匠クロード・モネの「睡蓮」シリーズが展示されていることで有名なオランジュリー美術館(Musée de l’Orangerie)の次に向かうのは、オルセー美術館(Musée d’Orsay)です。

セーヌ川の右岸に位置するオランジュリー美術館に対し、オルセー美術館はセーヌ川の左岸に位置します。
オランジュリー美術館の正面玄関前に広がるコンコルド広場(Place de la Concorde)から対岸へと架けられた、コンコルド橋(Pont de la Concorde)を渡って向かうこととしました。

コンコルド橋
Pont de la Concorde

住所:Pont de la Concorde, 75007 Paris, France


コンコルド橋から眺めるエッフェル塔も風情あり。


コンコルド橋を渡った先に幽玄と佇み、まるでギリシャ神殿を思わせる建物は、ブルボン宮殿(Assemblée nationale – Palais Bourbon)


ブルボン宮殿は、フランス国民議会(Assemblée nationale)の議事堂として使用されている歴史的な建物です。


1722年にルイ14世の孫娘であるルイーズ・フランソワーズ・ド・ブルボンによって建設され、フランス革命後、1795年にフランス政府に接収されて、1798年から国民議会の議事堂として使用されるようになりました。

ブルボン宮殿
Assemblée nationale – Palais Bourbon

住所:126 Rue de l’Université, 75007 Paris, France
Webサイト:https://www.assemblee-nationale.fr/


コンコルド橋を渡り、ブルボン宮殿に向かって左折した先に見えてくるのが、私にとってこの日2番目のメイン目的地であるオルセー美術館(Musée d’Orsay)


パリの3大美術館の一つとされているオルセー美術館は、建物自体がアートの一部です。
その素晴らしい建築物のシンボルである大時計が見えてきて、胸が高鳴ります。


オルセー美術館の建物が、元々1900年のパリ万博のために建てられた駅舎(旧オルセー駅/Gare du Quai d’Orsay)だったことは、この美術館を語る上では外せない重要な話。

かつての駅の時代に旅人に正確な時間を知らせるために機能していたこの時計塔は、現在では、美術館の歴史と現代の文化的役割を象徴しています。
クラシックなデザインは時代を超えた優美さを保ち、その存在はまるで、時間の流れとともに変化してきたオルセー美術館のストーリーを語っているかのよう。


と、建物の外観を眺めるだけでもうっとりし夢見心地な気分になりますが、一旦現実に戻って、入場を待つ人の列に並びます。

時間が限られている旅行で、パリの主要美術館を訪れるなら、チケットの事前購入は必須です。
時間が読めなかったことと、少し割高になるので入館時間の予約まではしていなかったのですが、ミュージアムパスを利用したことで、比較的すんなり入場できました。


今回の旅で重宝したパリミュージアムパスについてはこちら↓に記述しています。


さて、入館セキュリティーを通過し、さらに次の扉へと進みます。


扉を抜けて、目の前に広がる景色に圧倒されました。
まさに駅舎であったことを窺い知ることができるその風貌。


旧オルセー駅は、1900年5月に運行を開始しましたが、1939年に長距離列車の運行を停止しました。
これは、ホームの長さが新しく登場した列車の長大化には不足していたためなのだそう。
以降、オルセー駅は主にパリ近郊の列車用の駅として使用されましたが、次第にその役割も縮小し、駅としての機能を徐々に失っていきました。

その後、駅は様々な用途に利用されましたが、次第に放置されるようになり、1970年代には取り壊しの計画もあったとのこと。
しかし、歴史的建造物としての価値が見直され、最終的に美術館として生まれ変わることが決定されました。
そして、1986年にオルセー美術館として正式に開館したのです。

かつてのプラットフォームだったメインホールは、その広がりと空間の高さが際立ち、ガラス屋根からの自然光が内部に満ちています。
鉄骨のフレームやガラス張りの屋根が印象的な建物のデザインは、この時代特有のアール・ヌーヴォーの影響によるもの。
線路が敷かれていた場所が現在では彫刻ギャラリーとなり、その両脇のプラットフォームであった場所は絵画などの展示スペースとなっています。


このメインホールにも、駅の名残を思わせる大時計が輝いています。
建物の外壁の時計も内部にあるこちらの時計も、修繕や整備はされてきましたが、旧オルセー駅当時からのものなのだそうです。


素晴らしい装飾が施された時計に釘付けになる私の頭の中に「おーおーきなのっぽの古時計〜♪」の歌がよぎりました。
しかし、この歌詞にある100年休まず動いてきた古時計は最後には動かなくなってしまうわけですが、オルセー美術館のシンボルであるこれらの大時計はゆうに100年を超え、今もなお時を刻み続けているのです。

金色に輝く時計の圧倒的な存在感と美しさに見惚れつつ、嬉しいことも悲しいことも、いろいろ見てきたんだろうなぁ、と感慨にふけってしまいました。

この歴史的建造物として価値あるオルセー美術館の建物自体は6階建ですが、作品が展示されているスペースは地上階(0階)、中階(2階)、最上階(5階)の3フロアで構成されています。
建物の両端にはエスカレーターが設置されていて、好きな所どこからでも見て回れるようになっています。

私はまず最上階まで行ってから降りてゆく形で美術作品を見ることにしました。

エスカレーターを上り切った所の通路は静かなものだったのですが・・・


通路を出た先にあるカフェのなんと賑やかなこと!

最上階(5階)にあるカフェ カンパナ(Café Campana)は外壁に設置された大時計の場所に位置していることもあり、私が通りかかった時間がお昼時ということもあったのかも分かりませんが、とても人気のようです。


このカフェの先に続くのが、マネモネルノワールシスレースーラなどなどの、主に印象派の作品の展示。
相変わらず人は多い中ですが、素晴らしい作品の数々に感動のため息が出ます。


さぁ、このまま進んで辿り着いたこの建物の逆サイド。
こちら側にはカフェはなく、大時計だけを堪能できる素敵スポットがあります。

とはいえ、現代のSNS社会において、そこは要するにまさに”映える”場所。
ここはここで、人が絶えない・・・


それでも私もなんとか少しでも絵になる写真を撮りたい!

人のいない静かな情景を撮影することが願望でしたが、この状況では致し方なく、これで我慢。


人混みが苦手な私は、相変わらず増え続ける人の波に押され、中階(2階)へと移動しました。

さてこちらは、オルセー美術館の建築様式にも影響を与えたアール・ヌーヴォーをテーマとした展示室。


先ほどまでの状況から一転し、怖くなるほど人がいない静かな場所でしたが、おかげで素晴らしい展示品を静寂の中で堪能することができました。

と、私はここで喧騒に逃れたことは嬉しかったものの、反面、ここはこの美術館の歴史的な建築要素が見られる場所であるのにこの静けさ、やはりほとんどの人は流行りだとかSNSによる情報に流されやすいということなのだろうか・・・となんだか寂しくも感じたりした瞬間でもありました。

…が、そんなことを想いつつもこの中階(2階)のテラスに出れば、光がさんさんと降り注ぐ魅惑的な空間に、大勢の人々の姿に圧倒されつつも、厳かな情景に感動を覚えます。


パリ3大美術館の一つオルセー美術館は、その壮大な建築と豊富なコレクションにより、パリを訪れる芸術愛好家にとって必見のスポットであることに違いありません。

歴史と芸術が融合したこの素晴らしい空間で、19世紀から20世紀の美術の変遷を感じながら、優雅な時間を過ごすことができるものと思います。

オルセー美術館
Musée d’Orsay

住所:1Esplanade Valéry Giscard d’Estaing, 75007 Paris, France
Webサイト:https://www.musee-orsay.fr/fr


あなたは
建築物の役目の返還について
考えたことがありますか?

オランジュリー美術館(Orangerie Museum/Musée de l'Orangerie)

パリの美術館巡り2 オランジュリー美術館

〜元オレンジ温室で堪能するモネの大作『睡蓮』〜


アート好き女子一人旅で訪れた、初めてのパリ滞在での美術館巡りの初日は、オランジュリー美術館(Orangerie Museum/Musée de l’Orangerie)からスタートしました。


こちらがオランジュリー美術館の正面玄関です。
この角度から見た限りでは、中世のお城をイメージするかもしれませんが・・・


次の視点から見た感じ、お城にしてはちょっと地味な感じがしませんか?


オレンジはフランス語でオランジュ、そしてオランジュリーとはオレンジ畑オレンジ温室を意味するのですが、オランジュリー美術館はその名の通り、オレンジの木を保護するための温室だったのだそうです。


次の視点からだと、確かに温室っぽい!と感じていただけるのではないでしょうか?


19世紀にナポレオン3世によって造られた大きなオレンジ温室は、その後、資材置き場や試験会場、召集兵士宿舎などとして使われたり、スポーツや音楽、国家行事などの多目的施設としての経緯を経て、1921年に美術行政に割当てられ、政治家でクロード・モネの友人でもあったジュルジュ・クレマンソーの提案によってモネの作品『睡蓮』が収められることとなり、改修工事ののち、1927年オランジュリー美術館としてオープンしたとのこと。

更にその後、6年間にも及ぶ改修工事を経て2006年にリニューアル・オープンし、モダンな美術館へと変貌しました。


天井から自然光がさんさんと降り注ぐ楕円形の白い空間の2室は、いずれもモネの大作『睡蓮』のための展示室となっていて、これを見るために訪れる人が絶えません。
もちろん私も、この部屋に足を踏み入れることをずっと切望していました。


壁いっぱいに広がる幻想的な絵画によって得られる没入感。


そして、モネのタッチによるマチエールに魅了され。

素晴らしいアートにうっとりするこの感覚。
いつもブログを見てくださる皆さまに少しでも伝えられたらな、という思いで撮影してはいるのですが、私めなどの写真による画像では伝えきれないのがもどかしい・・・
アートは、やはり実物を体感するのが一番ですね。


ちょうど私が訪れた時は「Modigliani : un peintre et son marchand(モディリアーニ:画家とそのディーラー)」と題してモディリアーニ展が開催されていたのも嬉しいポイントでした。


オランジュリー美術館ではモディリアーニの作品は、下図の『ポール・ギヨームの肖像』など5点所蔵していますが、それ以外の絵画に加え素描や彫刻なども展示されており、見応えがありました。

オランジュリー美術館所蔵品:アメデオ・モディリアーニポール・ギヨームの肖像』(Amedeo ModiglianiPaul Guillaume.Nova Pilota

最後に、オランジュリー美術館の場所について、世界遺産情報と共に補足します。
前回の記事(https://calm-smile-chain.com/paris-museum-1/)にも記した通り、オランジュリー美術館ルーブル宮殿(Palais du Louvre)の敷地西側に広がるチュイルリー庭園(Jardin des Tuileries)の西端にあります。

オランジュリー美術館
Musée de l’Orangerie

住所:Jardin des Tuileries, 75001 Paris, France
Webサイト:https://www.musee-orangerie.fr/


そのすぐ西隣にある広場がコンコルド広場(Place de la Concorde)
こちらも世界遺産パリのセーヌ河岸(Paris, Banks of the Seine)」の構成資産の一つです。

フランス語でコンコルド(Concorde)協調共和という意味ですが、フランス革命時代(1789〜1799年)には「革命広場」と呼ばれたこの場所で、ルイ16世やマリー・アントワネットなど貴族や一般庶民たちがギロチン台で処刑されたという、暗い過去を持つ場所。
そんな陰惨な記憶を払拭するため、後にコンコルド広場との名称がついたのだそうです。

コンコルド広場の中心部には、1836年にエジプト政府からフランスへの親善の証として寄贈されたルクソール神殿(エジプトの世界遺産「古代都市テーベとその墓地遺跡」)のオベリスク(四角柱)が堂々とそびえ立っているのですが、この周辺は開催が迫っている2024年パリオリンピックの会場の一つとなるため、私が訪れた時にはその準備が進められていました。

中央に見える塔がルクソール神殿のオベリスク

厳かな歴史を持つこの場所が、なんだかゴタゴタした様子になりつつあるのが個人的にはちょっと残念な感じもしましたが、オリンピックで盛り上がるのも、世界人類共通の楽しみの一つですものね。
このために尽力してる方々がいるんだなと思うと、頭が下がります。

コンコルド広場
Place de la Concorde

住所:〒75008 Paris, France
Webサイト:https://parisjetaime.com/transport/place-de-la-concorde-p1981


そしてこの場所からだと、こちらもまた世界遺産パリのセーヌ河岸」の構成資産であるエッフェル塔もこのくらい見えて、改めて、パリにいるんだなぁー、と感慨深い気持ちになりました。


私にとって初めての貴重なパリ滞在。
このままここで感慨に浸っていたかったものの、残された時間はわずかなので、次の目的地であるオルセー美術館へと足早に向かいます。


あなたは
美術館における建築の歴史に
興味はありますか?


セーヌ川とエッフェル塔

パリの美術館巡り1 翌朝も再びセーヌ川へと向かって

〜パリ3大美術館などについて〜


いよいよパリでの美術館巡り開始。
2023年10月下旬、朝が遅いフランス、まだ薄暗い朝7時、平日の人がほとんどいないホテルのレストランにて、まずはしっかり腹ごしらえ。


私は普段、仕事は事務作業が中心でそれほど体力を使わないこともあり、朝はお腹がすいたとしっかり感じない限りはコーヒーくらいで済ますことが多いのですが、旅先ではあちこちを歩き回り、食べることよりも見たいという欲求が強くなるため、朝食だけはガッツリ取るようにしています。
もちろん、本当は食べることも好きなので、一人ではない旅路では食事の時間も重視しますが、限られた時間をどう使うかとなってくると、一緒にいる人を気にしなくても良い時は、食べることが優先順位ではなくなるということなのです。
水分だけはしっかりと取るようにし、脱水症状などをおこして元も子もなくならないように配慮して動くようにしています。

さて、お腹を満たし、8時過ぎにホテルを出て、10時からの見学を予約しているオランジュリー美術館へと向かいます。

その道すがらに撮影した建物。

ポンピドゥー・センター/国立近代美術館


こちらは、ポンピドゥー・センター(Centre Pompidou)
1977年に開館し、奇抜な外観で話題となった総合文化芸術センターです。
写真はルナール通り(Rue du Renard)沿いで、センターの裏口側にあたります。

この5・6・7階に、パリ3大美術館の一つである国立近代美術館(Musée National d’Art Moderne)が入っているので、もちろん立ち寄りたい場所でしたが、私に残っているパリでの時間は二日間のみ。
初めてのパリで絶対に行きたいところとして私自身が考えていた優先順位から、今回は国立近代美術館に入館することは諦めていたので、せめてもと、目的地へ行くための経由地に組み込むだけにとどめ、外観だけを眺めてきました。

次の写真が、先ほどの写真の逆サイド側です。
こちらが正面玄関で、国立現代美術館へは建物の外にむき出しになっているチューブ状のエスカレーターを上がっていくのだそう。

ポンピドゥー・センター/国立近代美術館

国立近代美術館は有料ですが、センターへは無料で入館できます。
せめて1階のミュージアムショップだけでも入りたかったけれど、開館は11時から。
10時に予約済みのオランジュリー美術館へと向かわなければ。

ポンピドゥー・センター/国立近代美術館
Centre Pompidou/ Musée National d’Art Moderne

住所:Place Georges-Pompidou, 75004 Paris, France
Webサイト:https://www.centrepompidou.fr/fr/


ちなみに、パリ3大美術館と言われる残り二つは、ルーヴル美術館(Musée du Louvre)オルセー美術館(Musée d’Orsay)です。

初めてパリを訪れた私は、近現代アートよりもまずはゴールデンエイジのアートを、と考えていたので、国立近代美術館は諦めても、ルーヴルオルセーは外さなかったのですが、ポンピドゥー・センターのオフィシャルサイトにちょっと面白い動画がありまして。


私は、帰国してからこの動画を見て、パリ3大美術館の一つである国立近代美術館が入ったポンピドゥー・センターでも、意外と知らない人は多いようだということを知り、私にはそれがむしろ貴重に感じ、やはり入ってみたかったと悔やんでしまったというのが、後日談です・・・

・・・気を取り直して、先へ進みましょう。

前夜にも通ったパリ市庁舎(Hôtel de Ville)前へと再び。

パリ市庁舎


正面には五輪モニュメントが掲げられ、きたるパリ2024オリンピックを大々的にアピールしていました。

パリ市庁舎
Hôtel de Ville

住所:Pl. de l’Hôtel de Ville, 75004 Paris, France
Webサイト:https://www.paris.fr/


そして、朝のセーヌ川(la Seine)

セーヌ川


夜の風景も良かったですが、朝方の静かな情景もやはり良いですね。


運河に囲まれた都市は、そこここに架かる橋を見比べるのも楽しいです。

エッフェル塔を背景に見える橋は、歩行者専用の橋の一つでパリで最初の鉄橋として知られるポン・デ・ザール橋(Pont des Arts)、日本語に訳して芸術橋

セーヌ川とエッフェル塔


セーヌ川左岸にある芸術アカデミー(Académie des Beaux-Arts)と右岸の芸術の宮殿(Palais des Arts)とも呼ばれたルーヴル宮を結ぶ橋であったことからあったことからこの名が付けられたそうです。

ポンデザール橋
Pont des Arts

住所:Pont des Arts, 75006 Paris, France


次は、ポン・デ・ザール橋(Pont des Arts)のたもとから見たルーヴル宮(Palais du Louvre)


この場所から向こう岸に見えるのが、フランス学士院 (Institut de France) の一つである芸術アカデミー(Académie des Beaux-Arts)です。

フランス学士院/芸術アカデミー

芸術アカデミー
Académie des Beaux-Arts
住所:23 Quai de Conti, 75006 Paris, France
Webサイト:http://www.academiedesbeauxarts.fr/


しばしセーヌ川の風景を楽しんだ後、ルーヴルの敷地内に入りました。


ルーブルの西側に広がるチュイルリー庭園(Jardin des Tuileries)です。


この美しい庭園の設計は、ヴェルサイユ宮殿(Palais de Versailles)の庭園をも担当し、フランス式庭園の様式を完成させた造園家アンドレ・ル・ノートル(André Le Nôtre、1613- 1700)によるものとのことです。


そのチュイルリー庭園(Jardin des Tuileries)の西端にオランジュリー美術館(Musée de l’Orangerie)はあります。

オランジュリー美術館


オランジュリー美術館といえば、印象派の巨匠クロード・モネの代表作「睡蓮」。

などなど、こうなってくると、また長くなりそうなので、続きは次回に。

オランジュリー美術館
Musée de l’Orangerie

住所:Jardin des Tuileries, 75001 Paris, France
Webサイト:https://www.musee-orangerie.fr/


パリのような街の風景
夜と朝とでは
あなたはどちらがお好きですか?


美しい大時計がシンボルとして有名なオルセー美術館(Musée d'Orsay)

アート好き必携 “パリミュージアムパス”の備忘録

〜買って良かったパリのアートスポット観光パス〜


2023年10月25日(水)、パリ滞在初日は、夜のパリを1人で2時間ほど歩き回りました。


そして20時半ごろホテルに戻り、ブルゴーニュからドタバタの移動の後でもあったので、すぐに寝てしまいたいくらいの疲れもありましたが、私には眠る前にしなければならないことがありました。

それはパリで巡りたいアートスポットの入館予約。

旅先ではアートをテーマに観光する私にとって、パリ市内・郊外にある50以上の美術館・博物館に入場することができる観光パス「パリミュージアムパス(Paris Museum Pass)」は必須のアイテムと考え、この2日(48時間)券を、日本を出る前にネットで抜かりなくゲット済みでしたが、このパスで訪れることができるいくつかの施設は予め入館時間を予約しなければならないのです。

と、そのような制約は多少ありますが、「パリミュージアムパス」を実際に購入して使用してみて大正解、買って良かった!と思えたので、このパスについて簡単に記録しておきます。

下図が、「パリミュージアムパス」のオフィシャルサイトで購入後、メールで届けられたパスです。


これを、紙に印刷したものか、スマホやタブレットの画面で表示させ、入場可能な施設の入り口で提示すれば、現地での支払い手続きなく入館することができます。

パスには、2日(48時間)、4日(96時間)、6日(144時間)券の3つがあり、例えば私が選択した2日券の場合、最初にパスのバーコードをスキャンされて入場した時から48時間が有効ということになります。

各チケットの料金は以下の通りです(2024年3月末日現在)。
■2日券(48時間):€62(10,141.46円)
■4日券(96時間):€77(12,595.04円)
■6日券(144時間):€92(15,048.62円)

また、インターネットで購入する場合は手数料もかかり、その金額はチケットの種類と枚数によって変わってきます。
2日券1枚の場合の手数料は、2.48ユーロで、この金額は私が購入した時(2023年10月15日)と変わりありません。
が、私が使用したパスの画像でお気づきかと思いますが、手数料込みで57.48ユーロ、パス自体は55ユーロでした。
値上がりしてます!
しかも、2024年3月末日現在の1ユーロは163.57円!!

私がパリへ行った時は、1ユーロは158円台でした。
その時でも、ユーロ高すぎ、フランス何もかもが高すぎ(涙)と思っていましたが、昨年のうちに行っておいて、本当に良かった・・・

この「パリミュージアムパス(Paris Museum Pass)」を購入できるオフィシャルサイトはこちらです。
https://www.parismuseumpass.fr/
(オフィシャルサイト以外にも、日本人向けの購入サイトもいくつかありますが、どれも割高になるのでここでは省きます。それらはキャンペーンなどで一見お得に見える時もありますが、最終的にはやはりオフィシャルサイトが一番と感じています。)

私は現地での時間を節約できるだろうと思いネットで購入しておきましたが、パリで購入することもできますし、その場合は手数料もかかりません。

パリミュージアムパス」の販売店は以下の通り(2024年3月末日現在)。
■パリの各美術館
■パリ シャルル・ド・ゴール空港、パリ オルリー空港内の観光案内所
■ギャラリー・ラファイエット(パリの人気百貨店)の観光案内所
■ディズニーランド・パリの観光案内所

奥に見える建物がフランスの老舗百貨店「ギャラリー・ラファイエット(Galeries Lafayette)」
奥に見える建物がフランスの老舗百貨店「ギャラリー・ラファイエット(Galeries Lafayette)


そして話は戻りますが、「パリミュージアムパス」で訪れることができる施設の中でも、予め入館時間を予約しなければならない所がいくつかあります。
予約必須施設は、以下の8施設です(2024年3月末日現在)。
シテ建築遺産博物館(Cité de l’architecture et du patrimoine)
コンシェルジュリー(Conciergerie)
オテル・ドゥ・ラ・マリーヌ(Hôtel de la Marine)
ユダヤ歴史美術館(usée d’art et d’histoire du Judaïsme)
オランジュリー美術館(Musée de l’Orangerie)
ルーヴル美術館(Musée du Louvre)
サント・シャペル教会(Sainte-Chapelle)
ヴェルサイユ宮殿(Châteaux de Versailles et de Trianon)

この中から私は、オランジュリー美術館ルーヴル美術館サント・シャペル教会ヴェルサイユ宮殿は必ず予定に組み込みたいと思っていました。
それで翌日の朝イチで、パリ最古で最も美しいステンドグラスで知られるサント・シャペル教会へ行こうと考えていたのですが、いざネットで予約しようと試みると、どの時間もすでに予約がいっぱいで取ることができませんでした(泣)。
前日の予約でも、平日だし大丈夫だろうと、たかをくくっていたのが甘かった・・・

サント・シャペル教会(Sainte-Chapelle)に並ぶ長蛇の列
その翌日に私が実際に見たサント・シャペル教会(Sainte-Chapelle)に並ぶ長蛇の列


焦って、他の施設をチェック。
翌日(パリ2日目)の朝イチに訪れるのはオランジュリー美術館へと計画変更し、3日目には、元々考えていた通り、ヴェルサイユ宮殿ルーヴル美術館を無事予約することができました。

ヴェルサイユ宮殿ルーヴル美術館を同日にする?!と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、この日はちょうど金曜日でして。
ルーヴル美術館の開館時間は通常9時〜18時ですが、金曜のみ21時45分まで開館しているので、朝にホテルを出てヴェルサイユへ行き、夕方にパリへ戻ってきて夜にかけてルーヴル美術館を見学しようと考え、体力を要するのは覚悟の上で、そのような計画を立てたのです。

さて、これらの通常の入館料を確認してみましょう。
オランジュリー美術館:€12.5
ルーヴル美術館:€15
ヴェルサイユ宮殿:€24

以上で合計51.5ユーロです(それぞれネット購入すればさらに手数料がかかります)。
私は、加えて、オランジュリー美術館の後に、オルセー美術館(Musée d’Orsay)に行くことを計画していまして、こちらが14ユーロなので、合計65.6ユーロ。

美しい大時計がシンボルとして有名なオルセー美術館(Musée d'Orsay)
美しい大時計がシンボルとして有名なオルセー美術館(Musée d’Orsay)


というわけで、「パリミュージアムパス(Paris Museum Pass)」の元がしっかりと取れました〜♪

実を言うと、お高いユーロの昨今、ちょっとでも経費削減しようかとパリでのパス購入を検討した時もありましたが、経費削減と言ってもネット購入手数料は2.48ユーロ(400円くらい)、現地での時間節約の点も含めて結果的に、オフィシャルサイトからインターネット購入しておいて良かったと思っています。

なお、「パリミュージアムパス」を利用して、予約済みの施設に入館する時は、パスと、施設の予約チケットの両方を提示する必要があります。
なので私は、パスを印刷した用紙と、予約した施設はスマホの画面で、一緒に提示するという方法を取り、スムーズに通過することができたので、その点においても満足してます。

というわけで、「パリミュージアムパス」については、結論として、買って良かったと思えたということなのですが、パリ滞在初日のホテルで、このパリアート巡りのための検索と予約作業をしていたらあっという間に23時を回ってしまい、翌日に備え体力を温存しなければと、慌ててシャワーを浴び、ベッドに滑り込んだのでした。





当ブログをご覧になってくださっている皆さまへ。
いつも当サイトを訪問してくださり、本当にありがとうございます。
言い訳になってしまいますが、現在、過渡期にある保育園のマネジメントを担う私の、今ここで果たすべき使命がありまして、ブログアップのタイムラグが増して申し訳なく感じています。
しかしながら、そんな現実を過ごす私にとって、旅の記録は豊かな人生を歩む糧の一つなので、続けていきたいと思っています。
次回こそ、写真と共にパリでのアート巡りをアップしますので、よろしければ引き続きお付き合いいただけましたら幸いです。
相変わらず牛歩ですが、どうぞよろしくお願いいたします。


あなたが旅行地で重宝する
⚪︎⚪︎パスには
どんなものがありますか?