おうちでアートレク

気軽にできるアートレクリエーション


新型コロナウィルスによる緊急事態宣言、全国で、ようやく解除となりましたね。
とは言え、地球規模の未曾有のこの危機は、ようやく「収束」に近づいたのであって、決して「終息」ではないということで、引き続き、新型コロナウイルスと向き合いながら生活していかなければなりません。

外出自粛は緩和されましたが、注意を払わなければならないことには変わりませんので、ウィルス発生前に比べ、家で過ごす時間が多くなることと思います。

また、今日(5月30日)は、アメリカでは「National Creativity Day(ナショナル・クリエイティビティ・デー)」と言われ、創造性を育み、想像力を働かせるとともに、他者の創造性を支援する日なのだとか。
芸術を実践して、魂を成長させよう」とうたわれているそうです。


そこで、今回は、お子様から高齢者まで誰もが、ご自宅にいながら楽しんでいただける、アートレクについてご紹介したいと思います。

これは、私の趣味の活動「臨床美術のプログラム開発など、『アート』を通した心豊かな社会作りを目指している「芸術造形研究所」にて、ネット配信型アートレクとして考えられたもので、臨床美術のアートプログラムではありませんが、紙と鉛筆、色鉛筆があれば、20分程度で気軽にできるアートレクリエーションです。

動画を見るだけで、簡単にアート体験ができます。
子供も大人も、一人でも家族とでも、どんな描き方でも、人と違った作品になっても、大丈夫。それがアートの魅力です。
動画を参考に、楽しく自由に♪

私も、「リズム絵」やってみました。
時々バランスも考えますが、ほとんど、インスピレーション、無心で描きます。
何か意味を持たせたい人はそこにこだわっても良いですし、逆に意味なんてなくても全然OK。
ただ、その行為を楽しめば良いんです♪
鉛筆や色鉛筆で描くサラサラした感触も、気持ち良かったりします。

終わってみると、「なんか面白いのができたな・・・」
自分で想像していなかったものが勝手に出来上がるのが不思議です。

もしかしたら、描き始めて最初の時点では、「うーんよくわからないなー」なんて思うかたもいらっしゃるかもしれませんが(私も毎回そうです)、描き続けていくうちに、自然に、「今度はここに線を入れてみよう」「次はこっちに色をつけようかな」と、手がどんどん進むようになります。

通常は20分程度でできるものですが、人によっては、凝り始めて、なかなか終わらなくなることもあります。
右脳が活性化している証拠ですのですので、思う存分やってみてくださいね♪


実際やってみないとわからないことって、生きているとたくさんありますよね。
この動画についても、見ただけではピンと来ないかたや、抽象画なんて、と思うかたもいらっしゃるかもしれませんが、まずはやってみる気持ち、大切にしていただけましたら、嬉しいです。


あなたも、色鉛筆
久しぶりに
握ってみませんか?


なお、右脳の活性化にご興味のあるかたには、下記の投稿も併せてご参照いただけましたら幸いです。
臨床美術を初体験した時の感動 その2(臨床美術との出会い 〜左脳と右脳〜)
驚異と感動の実話 奇跡の脳 その1(〜脳科学者の脳が壊れたとき〜)

驚異と感動の実話 奇跡の脳 その2

脳卒中に倒れた脳科学者が語る、左脳と右脳


以前の投稿「驚異と感動の実話 奇跡の脳 その1」では、アメリカの脳科学者ジル・ボルト・テイラー氏による自叙伝の概要を紹介させていただきました。

テイラーさんは、自らが脳卒中という病に倒れ、左脳の機能を欠いたことで知ることができた、右脳の素晴らしさと、左脳も含めた脳機能の神秘についてを、この本で語っています。

今回は、そのテイラーさん自身が語る、左脳と右脳について、興味深いと思った点を、ご紹介いたします。

まず、左脳、右脳のそれぞれのユニークな特徴について、この本に書かれているほんの一部を抜粋し、箇条書きにしますね。

左脳と右脳のユニークな特徴


そして、テイラーさんは、このように述べています。

右脳と左脳はそれぞれユニークな特徴を持っており、ちがったやり方で情報を処理するわけですから、それが別々の価値体系となってあらわれ、結果的に非常に異なる人格が生じるのは、あたりまえかもしれません。

二つの性格のあいだの健全なバランスを生み出すことによって、初めて、変化に対して柔軟に対応できる(右脳)認知能力を持ちながら、同時に道を踏み外さず具体的に行動できるようになります。


与えられた認知能力を100パーセント大切にし、うまく使うことにより、まさに『生命の傑作』とも言えるわたしたちに見合った人生への道が開けます。


決意さえすれば、慈愛に満ちた世界を作つくることが可能なのです。


テイラーさんは、脳卒中に襲われたことで、頑固で傲慢で皮肉屋で、嫉妬深い性格が、傷ついた左脳の自我(エゴ)の中枢に存在することを知り、新しく発見した右脳マインドの純粋さを台無しにしないようにしようと考えたのだそうです。

何事もバランスが大事ですので、脳だって、左脳と右脳、バランス良く機能するに越したことはないでしょうけれども、実際は、どちらかに偏ってしまうのが現実でしょうか・・・?
自分がどっちよりなのか自覚して、うまくバランスをとっていくと、より生きやすくなるのかなと思います。
また、左脳と右脳の機能について知ることは、人を理解する上での助けにもなるかと思います。

なお、左脳と右脳については、臨床美術の記事でも書かせていただいております。ご興味のあるかたには、ご覧になっていただけましたら幸です。

あなたは、左脳派ですか?
それとも、右脳派ですか?

ノンフィクション 彼女が目覚めるその日まで

実話をもとにした感動の映画

邦題は「彼女が目覚めるその日まで
ある日、映画を観に行こうと思った時、このタイトルとアイキャッチ画像の印象は、若い男女のちょっとありがちな感動を誘う恋愛映画かな、でした。
なんとなく、その時はそういう気分ではなかったので、映画は観るつもりないけど、一応、予告編だけでも、と思いチェックしてみましたら、ありがちな恋愛映画でもなさそうで。

それで、原題を確認しましたら「Brain on Fire」なんです。
火の脳とか燃える脳ってことですね。
こっちの方がよっぽどしっくりくると感じました。
実話ということですし、結局、気になって観に行ったところ、非常に印象に残る映画となりました。

というわけで、今回も、脳つながりなのですが、脳に関わる病気と戦った女性と、その家族をはじめたとした彼女を支える人々の、実話にもとづく、衝撃的かつ感動的な映画について、ご紹介したいと思います。

さて、この映画、初めは書籍として出版されたものです。

2009年に「抗NMDA受容体脳炎」という病におかされた、ニューヨーク・ポスト紙の記者であるスザンナ・キャハランが、壮絶な闘病の日々を、医療記録や家族の日誌などから再現し、ノンフィクションとして発表しました。

それが、オスカー女優シャリーズ・セロンのプロデュースによって映画化され、日本では2016年に公開されました。

脳炎:脳内に白血球が入り込んで炎症を起こし、脳が害される病気。寄生虫といった病原体が脳に感染して起こる「感染性脳炎」と、自己免疫によって起こる「自己免疫性(免疫介在性)脳炎」とがあります。

抗NMDA受容体脳炎:自己免疫性脳炎で、若年女性に好発し、発症初期に不安、抑うつ、幻覚妄想などの精神症状を呈することが特徴であり、その後は意識障害、不随意運動(運動異常)、けいれん発作、中枢性低換気(呼吸障害)と重篤な経過をとることを特徴とする脳炎。

古い映画に「エクソシスト」という、悪魔に取り憑かれた少女のホラー映画がありますが、その主人公のモデルになった実在の少年が、実は、スザンナさんがかかった病気の典型的な症例だったと指摘されているのだそうです。
21世紀に入るまでは、精神の病や悪魔憑きと判定され、正しい治療を受けることが難しい病気だったとのこと。

スザンナさんも、発症した時は、医師からも原因不明と見放され、家族や恋人とともに、苦しい日々を送ることになります。

しかし、目覚めぬ娘を信じ続けた両親、絶対にあきらめないと誓った恋人、彼らに突き動かされた医師たちの、献身的な愛によって、希望の道が開かれることとなるのでした。

壮絶な物語なので、こんな現実があるのかと、思い知らされます。
スザンナさんを演じた女優クロエ・グレース・モレッツの迫真の演技も素晴らしく、ゆえに、観ていて辛くもなる一方、完全に引き込まれます。

胸が痛むシーンも多いですが、これは愛の物語です。
両親は離婚しそれぞれの生活があるにも関わらず、自分たちの娘のために力をあわせる姿、頼りない医師がいる一方で、患者のために必死になってくれる医師がいること、彼女が変わり果てても、耐え忍ぶ恋人や友人達。
そんなあたたかい愛に、感動します。

ちなみに、映画のエンディングではスザンナさん本人の写真も出てきます。
ご覧になるのであれば、是非、最後の最後まで♪

あなたも愛の映画で
癒されてみませんか?

脳に棲(す)む魔物 【本】

スザンナさんが執筆した原作です。
記者というだけあって、描写が細かいです。
ページ数も結構あるので、本が苦手な人にはきついかもしれませんが、
とても興味深い内容なので、本好きにはあっという間かもしれません。

訓練再開☆

雨にもコロナにも負けず


数日前までの夏日に打って変わって、また寒くなって、今日も冷たい雨でしたね。
コロナといい、昨今の気候といい、現代人に対しての、何か、宇宙からの警笛なんではないだろうか、と思ったりもします。

ところで、現在、私は、職業訓練校へ通っています。
受講科はCAD・NCオペレーション科です。

私は、以前の職場で、事務職の傍ら、3Dプリンター等の機器を扱うこともあり、それがとても面白かったので、それらの知識と技能をさらに深め、手に職をつけて、人生100年時代と言われるこれからを生き抜ける人材になりたいと考えました。

それで今に至るのですが、新型コロナウィルスによって、しばらく授業も休講となっていました。
突然の休講のお知らせでしたので、その時はショックも受けましたが、それで家時間ができたことにより、私は、このウェブサイトを独学によって、立ち上げることができましたので、これはこれで、とても良い機会になったと思っています。

と、そんな状況でしたが、先日の「緊急事態宣言39県の解除」を受けて、ようやく、今日から訓練再開となり、クラスメートや先生方と、再会できました♪

ですが、色々、ありますね。
授業が延長できないだの、出席日数が修了と認められる日数を満たさないだの、揉め揉めしていて、私自身も腑に落ちないと感じてしまうような点もあったりしますが、世の中には、見えないところで相当な苦しみを負っている人もいるはず、そう思うと、あとは、ことが静かに収まるのを願うばかりです。

さて、先ほど、受講しているのはCAD・NCオペレーション科だと書きました。
「CAD・NCオペレーション」わかる人にはわかっても、わからない人にはさっぱりわからないですよね。

CADは Computer Aided Design(コンピュータ・エイデッド・デザイン)の略で、コンピュータ支援設計
NCNumerical Control(ニューメリクル・コントロール)の略で、機械制御のことを言います。
オペレーションは、機械などの運転操作のことを言います。

と言っても、やっぱり、わかりづらいと思いますので、もっと簡単に一言でまとめると、「従来の職人の技術と現代のハイテク技術を持ってする、ものづくりをする上での設計から加工をすること」という感じでしょうか。

この辺は、もう少し説明が必要だと思いますので、今回は置いておきますが、個人的には、これもアート(芸術・美術)の一種という感覚があって、興味を抱いている分野でありました。

今は、その学びを深めることができることを、とても嬉しく思っています。

これまで、脳に関する投稿をいくつかしてきましたが、人の脳というのは、何歳からでも新しいことを学び、身に付けることは十分に可能と言われていますし、私も、そう信じています。

色々あるご時世ではありますが、こうやって学べる機会が持てることに感謝し、いつまでも学ぶ心を忘れずに生きていこう、そう改めて思った本日でした。

あなたは何を学んでいる時が
楽しいですか?

一流の頭脳 !?

運動が脳に及ぼす影響を説いた本


新型コロナも一応の収束に向かってはいますが、外出自粛が続いて、ちゃんと意識しないと、体が運動不足になる一方ですね。

今回も、脳に関わるお話ではあるのですが、ここまで、芸術とか、どちらかというとインドア的なお話を綴ってきましたので、そろそろ、人間にとって大事な活動の一つである、運動についても考えようと思います。

そこでご紹介するのは、スェーデンの精神科医 アンダース・ハンセン氏(御船由美子氏訳)による「一流の頭脳」という本です。
スウェーデンでは発売前から話題だったそうで大ベストセラーとなり、日本では2018年に出版され、ベストセラーとなりました。

この本のタイトルについては、スェーデン語だと全くわからないので、そこは置いておいて、英語では「BRAIN -How To Train Your Brain According To Best And Latest Neuroscience-」とされており、直訳して「脳 -最良かつ最新の神経科学によって脳を訓練する方法-」といった感じです。

タイトルと表紙のイメージでは、頭をよくするための勉強法でも書かれているのかと思ってしまいますが、さにあらず 。

運動が脳にあたえる影響を紹介した本で、脳にとって最も大切なことは運動することだ!ということを延々と述べられています。
なので、私もそうなんですけど、運動が得意ではない人にとっては、ちょっとキツイ内容ではあるかもしれません。

逆に、普段からよく運動をする人には朗報ですし、確かに!と納得することも多いと思います。

運動がストレスを取り払うことに効果的、ということは誰もが知っていることだとは思いますが、この本では、そういったことに始まり、そして、簡単にまとめると、効率よく学習するには、まず運動。楽器を弾いたり、芸術的な創造性を高めるにも、まず運動。普段からよく運動することが、脳の機能を高め、あらゆることに効果的、しかも脳の老化に歯止めをかけるということが書かれています。
言い方を変えると、頭良くなりたいなら運動しよう、ヒラメキを得たいなら運動しようということのようです。

また、この本に書かれていることで、へーっと思ったのは、「『脳トレ』では頭はよくならない」というお話でした。

「コンピューターゲームやアプリが提供する様々な認知トレーニングは、確かにゲームそのものは上達しても、とくに知能が高くなったり、集中力や創造性が改善されたり、あるいは記憶力が向上したりといった効果はないことがわかったのである。単に、そのゲームがうまくなるだけだ。」

これはクロスワードパズルなども同様で、パズルが得意になるだけで、それ以上の効果はない、とのこと。

だそうですが、私は、頭はよくならないにしても、何もしないよりはいいでしょう?と思うので、否定的にならなくて良いと考えています。
何事も、ものは考えようですし、エビデンス、エビデンス言っても、なんでもいろんな説がありますから、自分が納得できることを、自分の生活に良い形で取り込むのが一番かと思いますので。

※エビデンス:evidence/証拠、根拠、裏付け、科学的根拠
(科学者がよく使う言葉ですが、確かに大事なことではあるんですけど、個人的には、エビデンスだけではわからないことも世にはたくさんあるでしょーと言いたい時もあります…)

運動をすることが心身に良いことはわかっていることだし、加えて頭も良くなるのであれば、やっぱり運動しようという気持ちになりますね。

ところで、運動がなぜ脳の機能をアップさせるのに効果的なのか。
その辺の理由など、個人的に興味深いと感じた点については、またの機会に書きたいと思います。


あなたは運動の効果
どう感じますか?

一流の頭脳 [ アンダース・ハンセン ]

臨床美術を初体験した時の感動 その3

デジタル画とアナログ画 そして臨床美術のアートプログラム


カテゴリー「臨床美術 Clinical Art」の記事、「臨床美術を初体験した時の感動 その2 臨床美術との出会い 〜左脳と右脳〜」の続きです。

前回、左脳右脳の機能の違いについて一般的に知られていることについて記載し、最後に、デジタル画アナログ画は、それぞれ、左脳または右脳のどちらで描かれるかを考えていただきました。

答えからいきますと、左脳で描くのがデジタル画(シンボル画)で、右脳で描くのがアナログ画です。

左側がデジタル画(シンボル画)左脳、右側がアナログ画右脳を使って描いた絵

コンピューターで描くのがデジタル画、人の手で描くのがアナログ画、そういうことではないですよ。 多少なりともIT知識のあった私は、はじめ、そう思っちゃいましたけど・・・(苦笑)

※IT:Information Technology(インフォメーション テクノロジー/情報技術)

もう少し、詳しく解説しますと、
左側の絵は、太陽、月、今日の気分、星、チューリップ、家を、一枚の紙に描いてみてくださいと言われた時、一方、
右側今日の気分を描いてみてください。ただし、具体的な形やシンボル的なことは描かないでと言われて描いた絵です。

シンボル画とは、言葉を聞いた瞬間に、そのシンボル(具体的な形)が目の前にポンポンポーンと出てきたもので、左脳の絵、
対して、直線や曲線を使って抽象的に描かれた絵が、アナログ画右脳の絵です。

『気分』の絵については、「具体的な形やシンボル的なことは描かないで」と付け加えられなければ、人によって、描き出される絵は、ふた通りに分かれます。
例えば、上図の側(デジタル画)の人の笑顔の具象画と、側(アナログ画)のような抽象的な表現のタイプに分かれます。

デジタル画には、どうしても、上手い下手がでてきてしまいます。しかし、アナログ画非常に個性豊かな絵になり、「へえ、あなたの気分はこんな感じだったのね」と、上手いとか下手とかいったことではなくなります。

そして、ちょっと専門的な話になりますが、右脳を刺激すると「前頭前野(思考や創造性を担う脳の最高中枢)」が活性化され、同時に、右脳左脳を繋いでいる「脳梁」という神経網を通して、左脳を刺激することにもなります。右脳が活性化されてくると、何か理由もなく元気になってきたり、前向きになる作用があると言われています。

ちなみに、一番上の図の、右側のアナログ画については、私がその日どんな『気分』だったかのメモを裏側に書いていたのですが、「お花を買って幸せな気分で歩いていたら、知らないおばさまに微笑まれ、私も笑顔になりました」とありました。これは臨床美術の一つであるアナログ日記というものなのですが、描いている時も楽しいですし、あとあと見返してみても、面白いですよ♪

さて、私が臨床美術を初体験した時に、話を戻します。
臨床美術のプログラムには様々なものがあり、画材も絵の具や墨、パステル、画用紙に限らず和紙や粘土など、プログラムによって使用するものが異なり、とてもバラエティーに富んでいます。

この時は、オイルパステルという画材を使用して、白画用紙に描いていく、とてもシンプルなものでした。
ただ、いきなり、描きたいことを描けと言われても、描けませんよね。

先生から「まず、好きな色を3色選んでください。その中の一つで、一箇所、お好みのところに線を引いてみてください。次は違う色で引いてみましょう。今度は線で囲まれたところを塗りつぶしてみましょう。」という感じで声をかけられ、先生と一緒に一つ一つのプロセスを踏んで行きます。
考えることは考えるのですが、イチから一人で描くことに比べ、ハードルがぐっと低くなります。

このプログラムの場合、白い画用紙の上に、切り抜かれた画用紙があらかじめ貼り付けられているのですが、その段差の感触を楽しめると共に、見た目にもちょっとしたアクセントにもなっています。
最後に、描いた絵に合いそうだなと思う色の台紙を選んで、自分の好きな位置に貼り付け、完成です。

この作品も、「当サイトの背景画像について 誰でも手軽に楽しめる♪ 塩を使った水彩技法」でご案内したように、百円ショップで買った額縁に入れてみますと、雰囲気がちょっと変わります。作品感がアップしますね。

でも・・・。そうは言っても、こういった抽象画、正直やっぱり、見ただけや話を聞いただけ、ではちょっとわからない、のが多くのかたの本音かなと思います。
絵を描くのが好きだった私も、抽象画は見るのも描くのも苦手とずっと思っていました。
でも、臨床美術は、アプローチの仕方が、独特なんです。
東北福祉大学で初めてこの体験をした時、普段使っていない脳を働かせている感じ、と言うのか、なんとも言えない心地よさを得ることができ、感動しました。

その日の気分で色を選ぶ。線で描く。曲線で描く。点で描く。塗る。指でのばしてみる。台紙に貼る時の見立てを考える・・・時間にして3・40分くらい。没頭します。

抽象画(アナログ画)って、意外と面白いんだな。初めてそう思いました。
語彙力の乏しい私には、ここまでしか言えません。上手く伝えられないのがもどかしいのですが、これは、やってみた人でないとわからない・・・

ちなみに、こちらのりんごのように、見たものを描く、具象的なプログラムもたくさんあります。
ただ、アプローチの仕方が違うのです。普通の描き方ではない。それが、誰にでもできて、面白い。そして、そこにある心が素晴らしい。
その辺のことについては、またおいおい、ご紹介したいと思います。

なお、左脳と右脳に関しましては、カテゴリー「体の健康」の記事、「驚異と感動の実話 奇跡の脳 その1 〜脳科学者の脳が壊れたとき〜」も、あわせてご参照いただけましら嬉しいです。


あなたの
右脳は
活発ですか?
創造活動


本投稿には、臨床美術士5級のテキストと、市販されている本「臨床美術 認知症治療としてのアートセラピー」を参考にしました。市販本の著者は故・金子健二先生で、宮城県出身の彫刻家であり、臨床美術の創始者です。

驚異と感動の実話 奇跡の脳 その1

〜脳科学者の脳が壊れたとき〜


臨床美術を初体験した時の感動 その2」で、左脳と右脳について少し書きました。
今回は、その左脳と右脳に関わるお話として、私が心からお勧めしたいと思う、1冊の文庫をご紹介させていただきます。

奇跡の脳―脳科学者の脳が壊れたとき (新潮文庫)、アメリカの脳科学者、ジル・ボルト・テイラー氏による、自叙伝です。

原題は「My Stroke of Insight」(マイ・ストローク・オブ・インサイト)で、この本の訳者である竹内薫氏による説明が、前半ページに記載されています。

「本書の原題は「My Stroke of Insight」であり、その元の意味は、『脳卒中』(stroke)と『一撃で生じた』(stroke of 〜)の掛け詞(ことば)になっている。insight(洞察)は、これまでになかった新たな発見、ひらめき、見抜く力のこと。
つまり、脳卒中によってテイラー博士は、劇的に、あることに気づいたのである。」

ハーバード大学で脳神経科学の専門家として活躍していた女性、テイラーさんが、37歳の時に脳卒中に襲われてから回復するまで、そして、この体験によって自身が得ることのできた発見についてを語られた、大変興味深い本です。

「わたしは30代の半ばにあり、仕事も私生活も順風満帆でした。ところが一瞬にして、バラ色の人生と約束された未来は、泡のように消えてしまったのです。
1996年の12月10日の朝、目が覚めたとき、わたしは自分自身が脳障害になったことを発見しました。
脳卒中を起こしていたのです。
4時間という短い間に、自分の心が、感覚を通して入ってくるあらゆる刺激を処理する能力を完全に失ってしまうのを見つめていました。珍しいタイプの出血が、わたしを完全に無力にし、歩いたり、話したり、読んだり書いたり、そして、人生のどんな局面をも思い出すことができなくなってしまったのです。」

第1章でこのように述べられており、続く第2章から4章において、テイラーさんが、その朝、一人暮らしのアパートで目が覚めた時から、脳卒中を起こし、自ら助けを求めるまでの過程を詳細に書かれています。
それが、凄くて!
初めて読んだときは体がゾワゾワしました。
脳卒中、ですよ?
頭の中で大出血が起こっているという時の状況を、実況中継さながら綴られており、一気に読み進めました。
テイラーさんはその時の気持ちをこう述べています。

「ああ、なんてスゴイことなの!」
「そうよ、これまでなんにんのかがくしゃが、脳の機能とそれがうしなわれていくさまを、内がわから研究したことがあるっていうの?」
「おぼえていてね、体験してることをぜんぶ、どうか、おぼえていてね! こののうそっちゅうで、認知力がこわれていくことで、まったくあたらしい発見ができるように−−−」

(注:本文をそのまま記載しています。平仮名が多いのは、テイラーさんの意識が脳卒中によって犯され、認知力が失われていく過程で思い描かれたことなので、あえてそのように表現されているものです)

神経科学者魂とでも言うべきものを持ち合わせていた人だったから、起きた奇跡と幸運だったのかもしれません。

また、彼女は、「若い頃から、
物事が分類や区分けの面でどのように異なるか(=左脳)ということよりも、
物事がどのように直感的に関連しているのか(=右脳)ということのほうに興味を抱いていました。わたしの心は、
言葉で考える(=左脳)よりも
絵で考える(=右脳)ほうが好きなのです。」
と述べており、もしかしたら、そのおかげで、現代のプッシュ式の電話を視覚的パターンで押すことを記憶していたため、助けを呼ぶことに成功したのかもしれない、昔のダイヤル式電話だったら生き残れただろうか、と分析している点について、私は関心を持ちました。
左脳と右脳の機能の違い、が、人生に、何か、影響を及ぼす可能性・・・

この本についても、ちょっと一回では書ききれそうにありません。
テイラーさんが、この本の最後で、

「この本は、わたしが脳卒中で人間の脳の美しさと回復力を発見した物語です。
それは、左脳が衰え、ふたたび回復するのを体験するのがどんな感じか、一人の神経科学者の眼を通して見た、個人的な記録でもあります。
この本が、健康な脳と病気の脳の働きについて新しい発見(insight)を提供することを心から望んでいます。
この本は一般の読者向けに書いたものですが、できれば、脳の外傷から回復中の方や、そういった患者さんを看護する方々に、この本のことを教えてあげてください。」

と、おっしゃってますし、私も、テイラーさんのお気持ちに賛同しますので、多くの方が、この本を手に取ってくださったら良いなと思っています。

・・・とは言っても、活字が苦手なかたも多いと思いますので、せめてもの参考までに、また次回、テイラーさんの語る、左脳と右脳について、私が個人的に思う興味深いポイントについてを、お伝えさせていただきたいと思います。

この続きは、こちらです↓
驚異と感動の実話 奇跡の脳 その2


あなたは脳の奇跡
信じますか?

奇跡の脳―脳科学者の脳が壊れたとき (新潮文庫)

臨床美術を初体験した時の感動 その2

臨床美術との出会い 〜左脳と右脳〜


このウェブサイトを開設して一番初めに投稿した記事「臨床美術を初体験した時の感動 その1 臨床美術に出会うまで 〜東日本大震災というきっかけ〜」の続きです。

東日本大震災のあった翌年の1月に、心を病んだ叔父が亡くなりました。
私は、震災時に勤めていた会社では、パワハラがあり苦痛な状況でしたので、叔父の死後、自分の生を無駄にしたくないと思い、仕事を辞める決意をしました。

その頃に、
私って、なんで生きてるんだっけ?
私って、なにをしてる時が幸せなんだっけ?

と、自分を見つめ直し、考えた先にあったのが、美術に対しての思いでした。

小さい頃は、みんなが外で一斉に遊んでいる時でも、一人で黙々と絵を描いているような子供で、小学、中学では、図工や美術、写生会といった時間が大好きでした。

そんな
子どもの頃には大好きだったのに、成長するにつれて忘れてしまったこと
それがなぜだかとても大事であるような気がして、再び美術に目覚たのでした。

今さら自分なんかが美術の世界で食べていけるとは思えない。
でも、美術に関することで、なにか、私にできることはないか

と考え、インターネットで「美術・趣味・仕事・ボランティア」などの単語で検索をかけ、情報を探していたところ、ある日、「臨床美術」の文字が目に留まりました。

初めに記事を見たのは、臨床美術協会」が運営しているホームページでした。

「臨床美術は、絵やオブジェなどの作品を楽しみながら作ることによって脳を活性化させ、高齢者の介護予防や認知症の予防・症状改善、働く人のストレス緩和、子どもの感性教育などに効果が期待できる芸術療法(アートセラピー)の一つです。」

これなら私にもできるんじゃない?!
そう思って、調べていくと、東北福祉大学で「臨床美術のワークショップ(体験会)が受けられることを知り、仙台で受けられるのなら、受けない手はない!と思って、早速、ワークショップ参加の申し込みをしました。

さて、「臨床美術」初体験の日。
東北福祉大学の国見キャンパス(当時はまだ仙台駅東口キャンパスはありませんでした)を訪れ、少し緊張しながら、ワークショップ会場に入ると、あたたかい笑顔で先生が出迎えてくださいました。

私以外の参加者は、小学生の女の子とそのお母さん。
島になった机にみんなで向かい合って座る形。
机の上には、オイルパステルや工作道具。
教室の中には、いろいろな美術作品が並んでいて、それだけでワクワクしていました。

ワークショップは、まず、臨床美術を理解するための導入として、左脳モード右脳モードのお話から始まりました。

左脳右脳の違いというのは、一般的にも知られていますね。

左脳は、言語象徴時間理論など、
それに対して、
右脳は、非言語具体非時間非理性直感といった働きをします。

よく、ひとことでは、それぞれ、
左脳言語脳
右脳イメージ脳
と表現されます。

また、
面倒なことが嫌いな脳で、時間が経つのが遅いと感じるのは左脳モード
対して、
夢中になっている時など、楽しくて時間を忘れる感覚の時右脳モード
であるとも言われます。

さて、それでは、「デジタル画(シンボル画)」と「アナログ画」、
それぞれ、どちらが左脳モードで、どちらが右脳モードで描かれる絵でしょうか?

・・・と言いましても、デジタル画アナログ画ってなに?ってことになりますでしょうか。

それでは、今回は、ここまでにして、次回に、デジタル画アナログ画についてと、今度こそ本題の臨床美術の実践についてご紹介しますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします☆

この記事の続きは、こちらです↓
臨床美術を初体験した時の感動 その3


あなたには
子どもの頃は好きだったのに
忘れてしまった
なにかが、ありませんか?