仙台アートギャラリー巡り

私自身の念願達成にも向けて


これまで転々としてきた私が、今年(2022年)いよいよ根を下ろすこととなる場所が決まりました。
居住スペースに加え、大好きな作家さんの作品を飾るためのギャラリーと、自分自身の制作や、想いを共にする皆さまとのワークショップができるようなアトリエも兼ねたアートスペースを設けるため、これから具体的な設計に入っていくところです。

職場である保育園は新年度を迎えるにあたってバタバタしている中で、プライベートについてはこのことで頭がいっぱい、そんなこんなで、せめて毎週末アップしたいブログもサボり気味な今日この頃ですが、先週末は、仙台の街中のアートギャラリーをハシゴし、そのことは既にインスタグラムに投稿しているので、今回も前回同様に、それらの投稿をここでまとめる形でアーカイブしておこうと思います。

まずは、仙台在住のイラストレーター山本重也さんの作品展『』について。
会場は、晩翠画廊https://www.bansui-gallery.com/)でした。

山本さんは、大阪ご出身、東京で長らくお仕事されていましたが、趣味のマラソンで仙台を走った時に、素敵な街だな〜と感じて移り住み、以来、仙台を365日毎日描いているのだそうです。
とっても素敵に表現してくださって、宮城県民としては嬉しく、本当にありがたいことです。

既に今回の展覧会会期は終了していますが、山本さんは超人気のアーティスト、次回の展覧会を楽しみに待ちましょう★

そして、晩翠画廊の並びにあるのが、仙台銘菓「白松がモナカ本舗」の晩翠通店。
このビルの1階が白松がモナカのお店で、2階には昔ながらのカレーライスやスパゲティでコアなファンがいる喫茶店「甘味処 郷(ふるさと)」、3階にはマニアックなアートギャラリー「白松アートホール ギャラリーミラノhttp://www.g-milano.co.jp/)」があります。

2月13日まで開催されているのが、福島県の柳津出身で、日本を代表する木版画家の一人である斎藤清(1907年4月27日 – 1997年11月14日)の展示会。
ボテッとした雪の描写が印象的な斎藤清の作品、好きな人は結構いらっしゃるかと思います。

こちらのギャラリーは写真は個人で楽しむ以外NGとのことなので、その下のフロア「甘味処 郷」で楽しめるカレーライスをアップしておきました(笑)。

こちらは、Gallery TURNAROUND(ターンアラウンド/通称タナラン http://turn-around.jp/sb/)で開催されている(1月30日まで)、銅版画作家でいらっしゃる岡沢幸さんの個展「MESSY SCRATCHING」についてです。
抽象画って難しいなと感じている私ですが、岡沢さんが織りなす世界観がすごく好きです。

そして、ふと、銅版画って美術の授業でやったきりだけど、すごく楽しかったなぁと思い出しました。(ちなみに、銅版画には種類があるけれど、私が体験したのはエッチングでした)
岡崎さんが講師でされている銅版画講座が休校中とのことですが、再開された時には是非とも参加させていただきたいと思っています。

というわけで、最後に、岡沢幸さんによる、今回の個展「MESSY SCRATCHING」のYouTube動画をシェアさせていただきます♪


やっぱりいいなぁ、アートな世界・・・
(ここ仙台宮城にはまだまだたくさんのギャラリーがあるのでおいおいポストしていきます)

いろいろ制限のあるこのご時世でも、豊かになれる世界がある幸せ。
そんなことを今後も感じて、感謝して、生きて行こうと思います。


あなたが
落ち着けるのは
どんなところですか?



アートなうつわと美味しいひととき

2021年冬のガラス工房尚とパウンドケーキ専門店YOU&G


先日、友人がお手伝いしているガラス工房で、今年最後の展覧会をされているとのことで、秋保に行ってきました。
訪れたのは、「ガラス工房尚」さん。

ちょうど昨年の同じ頃に開催されていた展覧会にもお邪魔させていただいたのですが、気がつけば、それ以来。
月日の流れの速さを感じます・・・

昨年の記事
3時のおやつ展@ガラス工房尚/楽しくて美味しくなる♪3人のガラスと金属の素敵なコラボレーション

ガラス工房尚さんのある秋保は、宮城県仙台市に位置しますが、仙台でも山形県寄りの山里にあり、私の住む同じ仙台市でもちょっと気候が違います。
冬を迎えたとは言え、仙台の街中では雪は見ませんが、ここに来たらうっすら雪化粧。
でも、山の冬景色も良いものですね・・・

さて、今回開催されていた展覧会はこちら。

三人展ーアートなうつわー

◾️モザイクガラスを追求するガラス作家ー鍋田尚男(なべたひさお)氏

◾️プリミティブな表現の陶器作家ー垣野勝司(かきのかつし)氏

◾️優しく楽しい絵付けの磁器作家ー関根昭太郎(せきねしょうたろう)氏

こちらの3名のアーティストがコラボレーションした展覧会で、どれもそれぞれの個性、特徴があって、見るだけでも楽しませていただけるものでした。

今回は、陶器作家でいらっしゃる垣野勝司さんが、大分からはるばる来仙してくださっていました。

向かって左手がガラス作家の鍋田尚男さん、右手が陶器作家の垣野勝司さん

垣野さんの作品には初めてお目にかかり、自然で素朴な雰囲気が好きな私は、垣野さんのそのまさにプリミティブ*な作風にとても引き込まれました。


*プリミティブ(primitive): 原始的、素朴な、根源的な、などといった意味で、美術用語としては、プリミティヴィスム (Primitivism)=原始主義、プリミティブ・アート(primitive art)=原始美術などが使われます。有名なアーティストの例で言うと、ゴーギャンやピカソがその系統です。

垣野さんからはいろいろとお話もお聞かせいただけて、素敵な作品も購入でき、貴重な機会に恵まれたことに今回もまた心から感謝です。
垣野さんの、大分にあるくにさきかたち工房も、是非いつか訪ねさせていただきたいと思ってます。

ちなみに、この度購入させていただいたのが、こちらの品々。
化粧泥を刷毛で何度も塗り重ねられて出た風合いに味がある角皿、昔ながらの形と内側の底のブルーが美しい湯呑茶碗、土のザラザラ感と銀の組み合わせが素朴ながらも他に類を見ないぐい呑、これらは使って行くうちに色味も変化するそうで、それもとても楽しみです♪

ところで実は、今回の訪問には、展覧会以外にも、とーっても心待ちにしていたことがあります。
それは、こちらのギャラリーで楽しめるカフェタイム。

ガラス工房尚・シーダーギャラリー」にはカフェが併設されていて、ガラス作家鍋田尚男さんの奥様でいらっしゃる久美子さんが飲み物や軽食を提供してくださいます。

メニューはその時々で変わるのですが、数ヶ月前から出されている「ハンバーガー」の存在をインスタグラムで知ってその映えな出で立ち、そしてこちらの工房をお手伝いしている友人ががめっちゃ美味しいと言っていたこともあり、ずっと絶対いただきたい!と思っていたのです。

久美子さんのご実家であられる新潟の老舗ステーキハウスうすい牧場から取り寄せられているお肉の手作りパティでアレンジされた、お得で絶対に美味しいバーガーランチ!!

使われている食器も作家さんによるものたちで、見ても楽しく、贅沢。
しかも、バーガーに刺された可愛いピックもガラス工房によるもので、お持ち帰りできちゃいます♪
見た目も迫力なハンバーガーですが、付け合せの手作りピクルスやマッシュポテトも含め、もう本当に美味しかった!
また食べに来よう、そう思うこと請け合いです。

そんなランチタイムをゆったりと過ごし、工房を後にしてから立ち寄ったのは、こちら、高級パウンドケーキ専門店YOU&G+cafe

YOU&Gさんについては、今年の春にありがたいご縁があって、当ブログでも既に取り上げさせていただいているのですが、オープンされた店舗を訪れるのはこれが初めてです。

過去の記事
しっとりずっしり魅力の詰まった至福のパウンドケーキ/パウンドケーキに愛と情熱をかける“YOU&G”実店舗がまもなくオープン
待望のYOU&Gクラファン返礼品!/それは支援者の願いに応えたオリジナルケーキ♪

コンクリート造りのクールな外観の中にも、素敵なアートが施されていて、ほっこりする空間のカフェ。

実はこちらでは、前出のガラス工房さんの作品に出会うことができます。
テーブルに飾られているお花の花瓶もそう。

次の写真にチラリと写っているのは、シェフの宍戸元紀さん。
とても優しいのに、美味しいパウンドケーキ作りに熱い情熱を注ぎ続ける素敵な方です。

ショーケースに並んだパウンドケーキはどれも美味しそうで、迷っちゃいますね。

この度、ようやく叶った実店舗訪問なので、カフェでいただいて行くことにしました。

私が選んだのは、季節限定の3カ国の栗パウンドケーキ
ピューレにしたフランス産の栗が混ぜ込まれている生地に、熊本県産の和栗チリ産の大粒栗がゴロッと入った一品で、3種が調和した栗の自然な甘み、濃厚で、食感も楽しくすごく美味しい!
栗好きさんはもちろんのこと、ケーキのモンブラン好きさんもきっと気にいると思います。

飲み物には、日本茶をお願いしました。
宮城県北東部の桃生町で栽培される「北限のお茶 桃生茶」、こちらも美味。
ティーポットでたっぷり、ゆっくりいただけます。

さて、友達が選んだのは、カフェ限定メニューのフルールフロマージュ蔵王ヨーグルトソース付き
ガラス工房さんのプレートと相性抜群、見た目にも楽しませてもらえて、優雅な気分に浸れます。

YOU&Gさんは、つい先日の12月1日には仙台駅前店もめでたくオープンされたので、こちらなら私でも仕事帰りに寄れるし、持ち帰りはいいかなあーと思っていたのですが、美味しさを味わったら、やっぱり買って帰りたくなってしまいました。
結局、カットパウンドケーキ3つ購入してお持ち帰り。笑

とっても素敵なアートな器と美味しいカフェタイムを堪能した充実の1日でした。本当にありがとうございました。




ちなみに、昨日、仕事帰りに、YOU&Gさん仙台駅前店にも立ち寄らせていただきました。

こちらはイートインなしですが、先日お伺いした愛子のお店では出されていなかったパウンドケーキのラスクがあったので、そちらを購入させていただきました♪

それぞれ、抹茶のラスクアーモンドのラスク

パウンドケーキがサクサクのラスクに。
早速、抹茶のラスクを、陶器作家垣野さんの器にのせて。
幸せ〜 ^ ^




なお、ガラス工房さんでの今回の展覧会は終わってしまいましたが、つい先月に増設された体験工房(要予約)など、通常営業は年内26日までで、年明けは1日からとのこと。
(営業時間 10:00〜 16:00/定休 水曜・木曜日)
その間、カフェもオープン、ハンバーガーも引き続き食べられるそうですよ♪

体験工房もチラ見せさせていただきましたが、こちらもとっても素敵☆
またバーガー食べたいし、ガラス体験もしたいし、工房の作りも参考にさせていただきたく、是非またお邪魔して記事にさせていただきたいと思っています。


関連記事
世界に一つの自分デザインのガラス皿 ♪/ガラス工房尚・シーダーギャラリーで楽しむガラスとバーガー
素敵な茶室で楽しいガラス皿制作体験/茶室「面白庵」× 秋保「ガラス工房尚」× 和菓子「まめいち」
紅葉の秋保プチ旅/自然と美食と芸術を満喫する秋の一日


あなたも
ガラス製作体験
興味ありますか?

みちのく 武士が愛した絵画@東北歴史博物館

東北の文武両道な武士たちのアートセンスに触れる


11月も終盤、秋が過ぎて、もう冬の気配ですね。
かなり冷えてきて、私は風邪をこじらせ喉を痛めてしまい、ちょっとしんどいここ数日ですが、今年はコロナが少し落ち着いたこともあって、「芸術の秋」らしい充実した秋を過ごすことができました。

この秋最後、11月後半に訪れた展覧会はこちらです。


東北歴史博物館で、2021年10月9日(土)〜12月5日(日)に開催の、特別展「みちのく 武士が愛した絵画」。
ここ東北にゆかりある武士たちが愛でた美術作品を取り上げた展覧会ということで、テーマが面白いですし、東北出身のアートファンとしては是非観ておきたい!と思っていました。


週末に訪れましたが、人が非常に少なく、ゆったりと観ることができました。

私が前回東北歴史博物館に訪れたのは「デンマーク・デザイン展」の時で、その時はわりとお客さんが入っていたように感じたのですが、「日本美術」って、やはり地味な感じなんでしょうか・・・

「デンマーク・デザイン展」についての記事
感性に響く デンマーク・デザイン展@東北歴史博物館/それはシンプルな暮らし、豊かなカタチを楽しむこと

かく言う私も、日本画家だった祖父を持つものの、正直に言うと、初めは西洋美術にしか興味が持てず、積極的に日本美術には触れてきませんでした。
でも、様々なアートに触れているうちに、その幅広い世界、それぞれの奥の深さ、それらを比べてみることや、変な苦手意識は持たずに見ることで気がつく違いの面白さ、触れるものが多ければ多いほどに感性が豊かになり、インスピレーション力も高まる気がして、この数年でですが、日本美術も素直に楽しめるようになりました。

さて、今回の展覧会みちのく 武士が愛した絵画は、武士たちが集めた美術品のみならず、武士自らが描いた作品も展示されて、武士にとって美術とはどのような存在だったのかを掘り下げてみるというもの。

みちのく武士が愛した絵画展」チラシ(表)
(画像をクリックするとPDF画面が開き、拡大できます)

そして、ここ宮城の武士といえば、東北随一の将軍伊達政宗
桃山美術を仙台城や瑞巌寺などに導入した政宗のコレクションはじめ、政宗が描いた書や絵画という貴重な作品も見ることができました。

また、「みちのく(東北)」がテーマということで、江戸時代の各地の大名にも人気だった「秋田蘭画*」も取り上げられていました。

*秋田蘭画:秋田派、秋田系洋風画ともいい、江戸時代後期に秋田地方で興った洋風画のこと。「蘭画」は当時の言葉で「オランダ絵」のことで、洋風画を意味する。

みちのく武士が愛した絵画展」チラシ(裏)
(画像をクリックするとPDF画面が開き、拡大できます)

武芸に秀でた武士が、学問や歌道、茶道、そして絵画制作にと、文化創造に能力を発揮してきた史実、まさに「文武両道」かっこいいですよね。

展示物は50点程度と多くなく、また、人が少ないのをいいことに、私はガラスにほとんどへばりつく勢いで展示されていた作品をじっくりと観てきました(博物館の場合、美術館と違って、ほとんどがガラスケース内に展示されるため距離があるので少しでも近づきたい)。

私が今回の展示会で目が釘付けになったのは、仙台藩四大画人の一人と言われた小池 曲江(こいけ きょっこう)の「孔雀図」。縦175.5×横121.5cmという大きいサイズで、ほんの一部に金泥が使われているものの、そのほとんどを墨で描ききられている作品でした。

「墨一色じゃ、孔雀に見えねーよ」とぼやいてるおじさまもいらっしゃいましたが・・・
まあ、人によって捉え方、感じ方は様々ですね(笑)

墨だけで描かれた2匹の孔雀の繊細な描写に、よく見ると羽の部分にキラッと輝く金泥が効いてて、すごくクール、これぞ日本の美術だなと私にはとても惹かれるものがありました。

残念ながら、その作品、ネット検索しても画像が出てきません(同じタイトルの他の作品はあるのですが)。
図録にはもちろん載っていますが、大きい作品ですし、やはり今回この目で見ることができて良かったと思いました。

みちのく武士が愛した絵画展」の図録とチケット
図録は72ページと薄めですが、私にはちょうど良いです♪

ところで、東北歴史博物館は、大きな水場があって、県指定有形文化財の今野家住宅もあり、自然が楽しめる散策路もあったりして、ちょっとした憩いの場でもあるのですが、博物館の屋上に登る人は以外と少ないようです。

次の写真では建物の右手側、旗のちょうど上部分に登ることができます。


屋上から見た感じ。
何があるというわけではないですが、お天気の日は気持ちがいいです。




屋上から眺めた博物館の水場と、今野家住宅、そしていい感じで紅葉している樹林には散歩道があります。


週末でもわりと静かで穴場な東北歴史博物館、特別展「みちのく 武士が愛した絵画」は来週(2021年12月5日)までです☆


あなたの
「武士」のイメージって
どんなですか?

遠距離結婚を貫いた画家と美容師 その3

家庭を持っても単身生活を続けた画家


私の祖父母は、大正生まれでありながら、恋愛結婚をし、遠距離結婚を通したというレアなカップルです。
二人とも宮城県出身ですが、祖母は名取市の閖上(ゆりあげ)という港町で美容院を開業して3人の子どもを養い、一方で、祖父は画家として生業するために、単身で東京に暮らし続けました。

現在の閖上の風景。今は殺風景な工場地に見えますが、震災前は家並みが続き、漁港としても賑わっていました。

私は子どもの頃から、そんなちょっと普通じゃない祖父母の生き方が素敵だと思っていました。
しかし、二人とも既に亡くなっているので、心から尊敬する二人の歩みについてもっと話を聞いておくべきだったという後悔もあり、今、こうして私なりに紐解き、綴っています。

遠距離結婚を貫いた画家と美容師 前回まではこちら
その1/おしんのような経験を持つ美容師
その2/ずっと秘密にされてきた二人の馴れ初め

祖父は、祖母の一歳年上で、1917(大正6)年に生まれました。
15歳頃に帝展*審査員だった田中頼璋(たなからいしょう)の元に入門、そして近代日本画家の巨匠の一人である川端龍子(かわばたりゅうし)に師事しました。

*帝展:帝国美術院展覧会。戦前の日本において最も注目を集めた美術展

2017年に山種美術館で開催された川端龍子展のチラシと図録

若かりし祖父母の二人が出会ったのは、おそらく祖父が帰仙していた時に、仙台駅前で絵を描いている時だったのだろうと思います。
文通によって始まったお付き合いののち結婚しますが、祖母は、祖父が画家として成功することを願って背中を押し、自分自身は生まれた実家を守るためと子どもを養うために、美容院を開業して宮城の地から祖父を支えました。

ちなみに私の父が、二人の間に生まれた長男で、妹が二人の3人兄妹です。
父が生まれたばかりの頃こそは埼玉県で家族一緒にいたようですが、間も無く祖母は実家で一人奮闘することとなり、3兄妹にとっては父親がいないも同然の生活となるのでした。
でも、そんな父親でも、たまに帰ってくる時には、例えば当時にはまだ珍しかったコカ・コーラだったり、ある時にはTVを担いできたりして、閖上という田舎にいち早くハイカラな物を持ち込み、子どもたちを喜ばせたそうです。

さて、当の私も生まれ育った所は、祖母が守り続けた閖上の地で、私の母は隣町からお嫁になった人でしたが、祖母と同じく美容師だったため、祖母の後を継ぐ身としていつも忙しくしていたので、祖母はよく母に変わって私の面倒を見てくれました。
一方、祖父のあり方は、父たちが子どもの頃と変わりありませんでした。
祖母の願い通り、私が生まれた頃には、祖父は画家として確立しており、美術展の審査員や協会の役員を務める人ととなっていたので、私も祖父に会えるのは、良くても年に1・2回でした。

祖父母のこの遠距離結婚生活は、2001年に祖父が亡くなる前まで続きました。
パーキンソン病が悪化し、いよいよ寝たきり生活となる頃に、祖父は、故郷であるここ宮城の地へ戻ってきました。
およそ1年程度でしたが、最後に夫婦は、二人にとっては長い時間を共に過ごしたのでした。

浅野紫露「望郷」
浅野紫露「望郷」 閖上の浜辺の情景

ある時、私は祖母に、遠距離結婚なんてよくできたよね?と聞いたのですが、祖母は「半分意地だったんだ」と笑って言いました。
でも、祖父が亡くなってからも、私があえて聞かなくとも、祖母はたくさん祖父の思い出話をしてくれました。
同じ話を聞くこともありましたが、新しい話も時々飛び出し、遠距離結婚でも思い出がたくさんあるんだなと、孫としても嬉しく思いました。
それに、祖父のことを話す時の祖母はいつも楽しく嬉しそうで、祖父との遠距離結婚を意地で通したとはとても思えませんでした。

そして、祖父はと言えば、東京に出てから地元である宮城県に戻ってきたのは数えるほどしかないものの、自分の故郷をテーマとした作品を描き続けました。
また、祖母に捧げる作品として、美しい植物の絵を描くこともありました。

浅野紫露「あおい砂丘」
浅野紫露「あおい砂丘」 東北太平洋沿岸の松林

離れていても、互いに尊敬して信頼し合える愛があったからこそなんだろうなぁ・・・
結婚したからといって常に一緒にいるってことが当たり前じゃない形もあるんだな、むしろ、こういう形だったからこそ二人はそれぞれ自分なりに命を全うできたのかもしれない。
そう感じ、こういう関係って素敵だし、自分の祖父母ながらかっこいいなと素直に思っています。

そんな二人の孫として生まれてこれた私って幸せ。
こんな風に思える私って、本当に幸せ者。
きっと今は天国で、いつも一緒に私を見守ってくれているであろう二人に、心からありがとう。

コロナが落ち着いてきたら、祖父のことを深掘りするために、ゆかりのある場所や人々を訪れようと思っています。
祖父の絵については、また記述したいと思っていますので、引き続きお付き合いいただけましたら嬉しいです。



あなたは
ご祖父母にどんな思い出が
ありますか?

日本の公害汚染を伝えた写真家ユージン・スミスの遺志を継ぐ映画

史実に基づく映画「MINAMATA ーミナマター」から考える生命


科学が発達した現代、私たちは生きるためにその研究や開発からたくさんの恩恵を受けることができています。
しかし人類が押し進める発展によって時に起こる公害汚染という問題。

日本で記憶に新しいのは、ここ宮城県の隣で発生した「福島第一原発事故」がありますね。
これは2011年の東北地方太平洋沖地震による原子力事故で、10年を過ぎてもなお問題は解決していないことは、日本人なら誰もが知っている通り。


しかし、日本で起きた公害汚染といえば、今からさらに遡ること65年、熊本県で発生し、1956年に公式認定された水俣病については、どれだけの人が理解をしているのでしょうね。

私はと言えば、水俣病と公害汚染については、小学校での社会科の授業を通して知った世代です。
日本の四大公害病として他に、富山のイタイイタイ病、三重の四日市ぜんそく、新潟の第二水俣病、テストに出ましたよね。

水俣病は、工場から排出された有機水銀によって体が侵され、中枢神経を中心とする神経系が障がいを受け中毒性疾患となってしまった人が大勢いる公害病で、私は子どもながらに、何となく戦争と同じような怖さを感じ、この時代の熊本の住民に生まれなくて良かったという感覚を持ったことを記憶していますが、その程度で、自国のことでも、訪れたこともない所の自分には関係のない問題といった感じで、それほど考えたことはありませんでした。

映画「MINAMATA ーミナマター」のチラシ(表)
(画像をクリックするとPDF画面が開き、拡大できます)

そんな私が、伝説の写真家とも言われるユージン・スミスが追い世界に伝えた水俣病の真実を、ジョニー・デップ主演によって映画化されたということで話題の「MINAMATA ーミナマター」を観てきました。
(私はフォーラム仙台で観ましたが、2021年9月26日現在、宮城県内では数カ所で上映中です)

映画は、ジョニー・デップ演じるユージン・スミスが、自身が撮影した写真を自宅の暗室で現像作業をしているところから始まります。
BGMに流れるロックな音楽と赤みを帯びた暗室で作業をするその姿はとてもクールで、写真が趣味の一つである私はその出だしでかなり引き込まれました。

しかし、そのかっこいいオープニングも束の間、重くて深刻な物語へと変わっていきます。


映画の中盤、公害汚染を引き起こした企業であるチッソ社の社長が、真実を知らされてはならないと、ユージンを丸め込むために「我々が行なっているのは人類のため、犠牲になるのは漁業なんかを営む少しの人達だけ」といった発言をする場面があったのですが、それには映画鑑賞者としても憤りを感じ、これが映画の中でのセリフとは言え、現実にもあんな被害を起こし、責任逃れをしてきた企業と国はやっぱりおかしいよと改めて思いました。

この映画は、あくまでも”史実に基づく物語”であり、フィクションですが、実際に当時撮影された写真や映像も挿入されており、一層胸が締め付けられる思いがしました。

映画「MINAMATA ーミナマター」のチラシ(裏)

映画にも登場するもう一人の実在の人物でもあるユージンの元妻アイリーン・美緒子・スミスさんが
”ユージンは、決して諦めず、何があっても真実と向き合う人でした。何より大切にしていたことは、被写体と写真を受け止める側、両者への責任でした。
と述べています(映画「MINAMATA ーミナマター」の公式サイトより)。

この映画でも、ユージン・スミスは、酒浸りで自分勝手、複雑な性格を持ちながらも、人との繋がりを大切にし、真実を伝えるために命をも賭けた人であったことが描かれています。

そして、こちらはこの映画のキャッチフレーズ。

” 一枚の写真が世界を呼び覚ます ”

動画が主流となった現代、TVは興味ない私でも、映画は大好きだし、インターネットにアップされた動画も観ますし、たまに自分で動画撮影することもありますが、動画よりも一瞬を切り取る写真からの方が、ずっと強いメッセージを受けると感じることがあります。
一瞬のために渾身が込められた写真にはやはり見るものを捉える力があり、人は心を動かされることがあります。

ユージン・スミスは、世界の人に真実を伝えたいと、時には重症を負いながらも写真を取り続け、報道写真家として壮絶な人生を送り、その生涯は59歳で幕を閉じてしまいますが、彼の写真と生き方は、こうして今も私たちに訴えかけています。

人としての心や生きるものの命を奪ってまでしてなされる科学と経済の発展が人類が目指すゴールなのか、本当の意味での人としての豊かさとは何なのか、生かされている私たちには忘れてはならないことがあるのではないかと深く考えさせられる映画でした。

映画「MINAMATA ーミナマター」のパンフレット

なお、この映画のエンドロールでは、ユージン・スミス氏には直接関係ありませんが、写真とともに世界で起こった数々の公害汚染事件が紹介されます。
普段はエンドロールは見ずに席を立つ人も、是非最後までご覧になって、私たちが生かされている美しく大切な地球の環境について、そして生きとし生けるものの命について、考えてみる時間にしてみてはいかがでしょうか・・・


あなたは、加速される
科学と経済の発展について
どう思いますか?
公害汚染

子ども支援に尽力するアスイクさんの活動

そして私にもできる支援


今年(2021年)は、東日本大震災から10年。この震災をきっかけに、さまざまな支援団体が発足しました。
NPO法人であるアスイクさんもその一つで、代表を務める大橋雄介さんが、震災後に始めた、避難所で子ども達の学習サポートをする活動から支援の規模を広げ、ここ宮城県では現在とても大切な役割を果たす団体として存在してくださっています。

私がNPO法人アスイクについて知ったのは一昨年のことで、大橋さんから直接お話を聞ける機会があり、その取り組みにとても共感しまして、その後、活動を見守らせていただいています。

過去の関連記事
子どもたちの幸せを願って/NPO法人アスイクさんの取り組み
子どもたちを守りたい!アスイクさんのクラウドファンディング/仙台のNPO法人アスイクさんの「食糧支援×見守りプロジェクト」
目標達成の理由はそこに愛があるから/アスイクさんからのクラファン協力御礼のお手紙

大橋さんがご友人と始めた小規模な学習支援だったものが、震災から10年を経た現在では、スタッフも100人を超えるものとなったそうで、主な活動内容は、

・保育園、児童館の運営

・学習・生活支援、不登校・ひきこもり支援、食を通した支援といったセーフティネット事業

といったもので、その他にも、子どもたちを支えるためのプロジェクト事業や、被災地やコロナによる家庭への影響などを調査する事業など多岐にわたり、宮城県内にある数カ所の拠点で、「生きづらさ」を抱える子どもたちと保護者たちへの支援に取り組まれています。

そして今年、NPO法人アスイクの設立10周年を記念してシンポジウムを開催されるとのこと。

(画像をクリックするとPDF画面が開いて拡大できます)

日本でも問題が浮き彫りになってきている子どもたちの貧困、不登校やひきこもり、そして近年よく耳にするようになったヤングケアラーといった様々な課題を解決するのは簡単なことではありませんが、この国の義務教育というシステムの中ではとても解決できることではなく、アスイクさんのような組織が主導となり周りを巻き込んで、多くの人が共に、子どもを取り巻く社会の問題を自分ごととして捉え、不幸を減らし幸せへと導くにはどうしたら良いかを考えることが大切だと思います。

今回、このシンポジウムは、学生や子育てに困難を抱えている当事者の皆さんも含めて多くの人に参加していただくために参加費無料で開催したいということで、その開催資金をクラウドファンディングで募集されています。
NPO法人アスイク10周年記念クラウドファンディング
昨年は「食糧支援×見守りプロジェクト」ということで困難を抱えた家庭に物資をお届けしたいとクラウドファンディング に挑戦し、その目標を達成されましたが、今回の趣旨は異なるのでちょっと厳しそうな感じもしますが、頑張っていただきたいです。

私は普段アスイクさんの取り組みに直接的に協力できているわけではなく、影ながら応援させていただいていますが、このシンポジウムの企画も素晴らしいですし、営利を求めていない法人には、こういった催しの開催はなかなか難しいものですので、もし私自身が当日のシンポジウムに参加できないとしても、少しでも支援できればと思い、気持ち程度ですが寄付させていただきました。

「将来を担う子どもたちのために」とはよく言いますが、私は、それよりも、ただ、「生きづらさ」を感じる子どもが減って欲しい。
「生きづらさ」を抱えた子どもは、何の支えもなければ、そのまま、「生きづらさ」を抱える大人へと成長します。
この混沌とした世の中でも、生きやすい社会、幸せな世界が広がることを願って、私にもできる支援になればと思います。

寄付は1,000円から可能ということですので、もしあなたが、現代の子どもたちとその取り巻く環境について課題を感じていらっしゃるなら、この支援についても考えていただけたら幸いです。

NPO法人アスイクのWEBサイト


あなたが考える
生きやすい社会とは
どんなものですか?

情動感じる造形 香月泰男のマチエール

生誕110年 香月泰男展 @宮城県美術館


前回(2021年8月15日)投稿した「るーぷる仙台で2大ミュージアムを巡る!まずは『古代エジプト展』」に続き、仙台市博物館の次に訪れた宮城県美術館で開催中の特別展についてを、本日は紹介させていただきます。


その日、仙台の観光バスるーぷる仙台にて巡ったのは、「ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展」が開催されている仙台市博物館、そして「生誕110年 香月泰男展」が開催中の宮城県美術館です。

るーぷる仙台宮城県美術館を訪れる際に降車する停留所は「国際センター駅・宮城県美術館前」。
ここから歩いて2分ほどで宮城県美術館に到着します。


しかしながら、再び、ここ宮城も独自の緊急事態宣言が発令されました。期間は8月20日(金)より9月12日(日)まで。
「混雑した場所への外出半減、不要不急の外出を自粛するように」とのことで、飲食店や施設等の時短要請などは出ていますが、るーぷる仙台は運行を停止しておらず、展覧会も中止はされていません。

今回私が訪れたのは平日で宣言前でしたが、仙台市博物館は、平日にもかかわらず、多くの人が訪れていました。
「エジプト展」というテーマ、夏休みということもありお子さん連れが多く、土日祝日なら完全に密な状態になるかもしれないと想像します。
宣言が出された今は、入場はある程度制限されているかもしれません。

さてしかし、私が博物館を訪れた日と同日、宮城県美術館の方はといえば、とっても静かでした・・・


夏は緑が生い茂り、空気がみずみずしく感じて、お天気の日は美術館付近を散歩するのもとても気持ちが良いのですが・・・


話題の展覧会が開催されると、宮城県美術館のカフェはいつも人がいるのですが、この日は人けもなく・・・


私にとっては絶対に見たいと思っていた特別展だったので、ゆったりじっくり観覧することができそうだと、嬉しくはあるのですけれども。


2021年7月3日(土)から9月5日(日)まで、宮城県美術館で開催されいるのは生誕110年 香月泰男展」です。
この静けさ、香月泰男(かづきやすお)の名を知る人は多くはないということなのかもしれませんね。


香月泰男(かづきやすお)は、1911年10月25日、山口県大津郡三隅村(現在の山口県長門市三隅)に生まれ、62歳でその故郷において生涯を閉じるまで、独自の創作活動を貫き、20世紀中頃の美術界に大きな足跡を残した画家です。
今年、生誕110年を記念して、ここ仙台を皮切りに、大規模な巡回展が始まりました。
(宮城県での本展覧終了後は、神奈川県立近代美術館新潟市美術館練馬区立美術館足利市立美術館と巡回する予定とのことです)

香月泰男は幼少の頃から紙さえあれば何かを描き、無口でおとなしく、友だちと遊ぶよりひとりで裏山に登って風景を描く方が楽しいという人物だったそうです。
幼くして両親と離別し兄弟もいないという寂しい過去を持つ香月泰男にとって、絵を描くことは自分だけの世界を創ることであり生きる喜びであったのかもしれません。

1936年に東京美術学校(現在の東京藝大)を卒業したのちは、美術教師として教鞭をとる傍ら、独自の制作にも意欲的で、文部省美術展覧会で特選となるなど、名が知られるようになります。
しかし戦時のこと、1939年には第二次世界大戦が勃発し、1942年に香月も召集令状を受け、4年半の戦争とシベリア抑留により画業を中断することとなります。

死をも覚悟した画家が生み出す作品には、静かながらも情動がみなぎっており、見る者の心を捉えます。

宮城県美術館で開催の「生誕110年 香月泰男展」のチラシ
(画像をクリックするとPDF画面が開き拡大できます)


生誕110年 香月泰男展」のキャッチフレーズのようにもなっている香月泰男による名言、

生きることは、私には絵を描くことでしかない。

香月は他にも数々の含蓄ある言葉を残しており、今回の展示会でも、それらの言葉が造形作品とともに掲示されています。

展覧会では、主要な展示物には説明書きが付けられるものですが、作品を生み出した作家本人の言葉というものが添えられるのは、他人がつけた解説よりもずっと興味深く、味わいが増します。
今回の展示会の面白さは、そこにもあると思います。

次の画像は、1998年に出版された香月泰男の画文集の表紙です。


「画文集」とされている通り、造形物の写真の他、香月泰男による言葉がたくさん掲載されています。
香月婦美子婦人によって語られた「夫・香月泰男の思い出」というページもあり、現在では絶版の貴重な冊子で、私はこれがどうしても欲しくてしばらく前に中古で購入したものです。いかにも古本という匂いが漂うのですが(苦笑)、この中身はちょと他にはない逸品で、私の宝物の一つとなっています。

この本の表紙を開くと、カバーのそでに書かれている一文。
これには誰もが惹きつけられるのではないかと思います。

“ 生きることも捨て身でかからなければならぬ。
 愛することも捨て身でかからなければならぬ。
 芸術を生むことも。
 恋人を愛することも。”


彼が造形した作品の数々は当然のこと、寂しい幼少期やシベリア抑留という辛い過去とともに、だからこそ得られたであろう描く喜びや愛を知った香月泰男が残した言葉に、深い感動を覚えます。

最後に、今回の展示会生誕110年 香月泰男展」の図録は、こちらです。
表紙の作品は「公園雪」というタイトル。


展覧会では、私以外に来ていた二人組の女の子が、この作品(公園雪)を見て「わーっ」と声をあげていて、私も横で「わかる、その感動」と心の中で呟いていました(笑)
静かな冬の公園に表現された人の足跡、まるで、雪の上をサクサクと歩く足音が聞こえてきそうなこのマチエールは、是非とも実物を見ていただきたいです。

ところで、マチエールとは、matière、フランス語で材料や材質、素材を意味し、英語だとマテリアル(material )の意ですが、美術用語として、作品の素材感を指すために使われます。

様々な画材を混ぜるなどして技法の研究に熱心だった香月泰男の独特な表現、そのマチエールを感じるには、間近で、時には離れて、実物を鑑賞するに限ります。

なお、香月泰男は石、木、紙、缶などで創ったおもちゃや彫刻作品も残しており、今回の展覧会では少しですがそれらの立体物も展示されています。
人間愛と平和をテーマに創作を続けた香月泰男の貴重な作品の数々と出会える機会、感染予防をしっかりとして、足をお運びくださいませ。


あなたは
どんなマチエールが
お好きですか?

るーぷる仙台で2大ミュージアムを巡る!まずは「古代エジプト展」

アートが満喫できる仙台市街のミュージアム巡り


せっかくの夏休み、このところジメジメしていますが、皆さまはいかがお過ごしでしょう。
私は、運良く晴れた日に、ここ仙台の2大ミュージアム巡りをして参りました。

勝手に仙台の2大ミュージアムと名付けましたが、今回行ってきたのは、現在(2021年8月15日)、「ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展」が開催されている仙台市博物館と、「生誕110年 香月泰男展」を開催中の宮城県美術館です。


ところで、仙台には、るーぷる仙台という観光バスがあるのですが、地元の方はどのくらい利用されるのでしょうね・・・?
観光バスっていうと、県外からの観光者向けと捉えがちですが、るーぷる仙台も『仙台の観光バス』ですから、当然のこと、仙台街中の主要な観光スポットを巡るバスなわけで、県外の観光者じゃなくとも、ルートの各ポイントについては仙台市民なら知っておきたいところですよね。

特に、るーぷる仙台で巡るスポットは、アート好きという方には是非お勧めしたいもので、私も当然お気に入りで、時々利用することがあります。
仙台市博物館宮城県美術館も、るーぷる仙台には停留所があって、この2か所を1日でゆったり回るのに一日乗車券を利用するのが便利なんです。


るーぷる仙台は、どこで乗ってどこで降りようが、一回乗車につき、大人260円・小児130円です。
一日乗車券は、大人630円・小児320円なので、3回以上乗ることになるなら一日乗車券がお得で、購入特典とし入場料等が割引されるスポットもあるので、2回乗車だとしてもお得になることもあります。

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私は、今回、一日乗車券を購入し、仙台駅前博物館・国際センター前宮城県美術館前メディアテーク前と3回乗車、かつ美術館の企画展観覧では100円の割引を受けることができました。

ちなみに、私は今回平日に行ったので、博物館の特別展は「平日割引」によってなんの提示をしなくても100円割引されたのですが、るーぷる仙台の一日乗車券特典として、博物館も土日祝日には100円割引が受けられます。

また、下図のマップで見てもお分かりいただけるように、博物館から美術館へは直線で結ぶと割と近く、歩いても15分程度なので車だとすぐですが、るーぷる仙台周遊では20分近くかかります。
私はたまにしか乗らないので、このバスにのんびり乗る時間も楽しんでます。それに、暑い夏や雨、雪の場合は助かりますしね。


コロナ禍もあって、るーぷる仙台を利用するのはかなり久々でしたが、お蔭でちょっと新鮮な気分を味わうこととなり、これも今回のリフレッシュに繋がったのかもしれません。


さて、早速出発ということで、こちらはるーぷる仙台のスタート地点である仙台駅前停留所ですが、2021年8月現在、仙台駅前ロータリーは工事中で、ちょっとごちゃごちゃしています・・・
これまでの場所と異なるので、過去にも利用したことがある方はご注意を。

今回、仙台駅前から乗車して、一番初めに降りたのは、博物館・国際センター前停留所。
以下の写真は博物館とは逆方面の景色です。この「大橋」の向こうが仙台の商店街。


大橋の下に流れるのは広瀬川で、この川を外堀として伊達政宗が建立した仙台城の敷地が広がります。
緑豊かで、宮城県民憩いの土地。


るーぷる仙台仙台城跡(本丸跡)まで行けますが、実は、仙台市博物館は、仙台城三の丸跡地に建っているので、博物館の庭からも仙台城の本丸跡地まで散策しながら歩いて行くことができます。


そして、博物館手前にある五色沼は、日本フィギアスケート発祥の地として有名で、天然のスケートリンクとして利用されていたのは昔のことではありますが、ここ宮城の地から荒川静香選手、羽生結弦選手というオリンピックメダリストが輩出されたことで、よく知られるようになりました。


バスを降りてから徒歩5分もかからずに、仙台市博物館に到着します。

建物に向かって左手に静かな庭が広がり、散策路を歩いて仙台城本丸跡地へ行くことができます。


博物館を入ってすぐの1階窓口で展覧会の入場券を購入して、2階の特別展示場へ。



仙台市博物館では、2021年7月9日(金)より「ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展」が開催されていて、ファラオ(古代エジプトの君主)たちの棺が一堂に集まった展示は圧巻だと話題を呼んでいます。

ライデンは、オランダの首都アムステルダムの郊外に位置する小さな町で、芸術の巨匠レンブラントの生誕の地でもあり、オランダ最古の大学都市とされています。世界で最初に日本学科が設置(1855年)されたのはライデン大学なのだそうです。「ライデン国立古代博物館」の他「日本博物館シーボルトハウス」があり、実は日本と馴染みが深い場所なんですね。

私にとっては、オランダライデンも、世界遺産であるエジプトピラミッド地帯も、実際に一度は訪れたいと思っている場所なので、そんな意味でもこのコロナ禍にはとっても貴重な機会。

古代エジプト展チラシ(表)
(画像をクリックするとPDF画面が開き拡大できます)


棺は全部で6人分だったかと思うのですが、一部屋にズラーッと立ち並んで、文字通り圧巻でした。
今回の展示所蔵の本場ライデン国立古代博物館が棺を立てて展示することを発案したのが、実はこの特別展のポイントでもあるようです。
確かに、棺を一堂に立てて展示って、ありそうでなかったですよね。

私には、ミイラにして納められる貴族たちをイメージして作られたであろう棺に描かれた顔の表情が、どれも優しげだったのが印象的でした。
特にハイトエムハトという女性の表情が最も口角が上がっていて、とても愛され感漂っていて、棺という言葉からは寒々しいイメージしか湧かないのに、この古代エジプトの棺からはなんだか暖かさを感じてしまいました。
是非とも、皆さんにも見ていただいて、どんな感想を持ったかお聞きしてみたいところです。

古代エジプト人の芸術感性を存分に感じることができる装飾品がたくさん展示されており、歴史に苦手意識のある方でも、アートには興味あるという方であれば、とても楽しめる内容ではないかな。

そして、この展示会のもう一つの目玉は、世界初のミイラCTスキャン研究成果の公開です。
CTスキャンというと病院をイメージすると思うのですが、こうやって歴史やアートの解明にも貢献してくれるなんてと感動してしまいました。

アートとサイエンスって相反するようで、融合したらそれはそれで面白いものなんだよねって、改めて思えた展示会でもありました。

古代エジプト展チラシ(裏)


以上、るーぷる仙台仙台市博物館についてで長くなってしまいましたので、同日に巡った宮城県美術館で展示されている生誕110年 香月泰男展」については、次回アップしたいと思っています。

でもこちら、エジプト展と同様、仙台での展示終了日が2021年9月5日(日)なんです。残り3週間です。
香月泰男(かづきやすお)氏という画伯を知らない方は多いかもしれませんが、こちらも是非オススメしたいアーティストなので、少しでもアートに興味のある方であれば、知識なくともまずはご覧になられること、推奨いたします。

情動感じる造形 香月泰男のマチエール/生誕110年 香月泰男展 @宮城県美術館


古代エジプトの芸術
あなたはどれが一番
気になりますか?

待望のYOU&Gクラファン返礼品!

それは支援者の願いに応えたオリジナルケーキ♪


今年(2021年)3月にも取り上げさせていただいたパウンドケーキ店 YOU&Gさん。

YOU&Gさんはそれまで、時々催事には出店するけれど、基本的には通販という形のみで運営されていたパウンドケーキの専門店でしたが、4月に、ここ仙台に実店舗を開店されました。

しっとりずっしり魅力の詰まった至福のパウンドケーキ/パウンドケーキに愛と情熱をかける“YOU&G”実店舗がまもなくオープン

前回書きましたように、YOU&Gさんはこの時、実店舗を構えるための資金確保へとクラウドファンディング に挑戦されていて、「あなただけのオリジナルなパウンドケーキを送る」というとても魅力的なコースがあり、こちらに私もエントリーさせていただきました。

人気を呼んだYOU&Gさんのこのクラウドファンディング 挑戦はあっという間に目標額を達成し、その後も最終日まで支援者を増やし続けましたので、返礼を受ける方の立場としても、手作りのパウンドケーキをこれだけの人たちに送るなんて、相当大変じゃないかと、正直なところ、少々心配にもなりました。

特に、私の選んだコースは予め商品が決まったものでなく、個人のリクエストに合わせた商品を作って送る、しかも、パウンドケーキ1品に、サレ1品(ケーク・サレ:フランス生まれの甘くない塩味のおかずケーキ)をオリジナルで作ってくれるというものだったので、エントリーしておきながら、なんて大変な企画をされたんだろうと思ったりしました(苦笑)。

クラウドファンディング 期間終了後には、ご丁寧にお礼と楽しみにお待ちくださいとの手書き(このご時世に手書きのお手紙はコピーでも温かみがありますよね)のお便りが届き、その後にメールが届いて、好みなどについてを確認されるアンケートに応え(今はWEBで手軽にアンケート集計できるいい時代!)、しばらくの期間お待ちしていました。

そして、この度、待ちに待った返礼品が届きました♪

予め応えたアンケート、詳細は忘れてしまいましたが、当然のことながら、食についての好みと要望を問われるもので、私は基本的に好き嫌いはなくなんでも食べるのでシェフにお任せするが、強いて言えばチーズ系が好き、そして地元(宮城)の特産品を活用していただきたいとリクエストしたと記憶しています。

宅急便で届いた箱を開けると、とても丁寧な包装に、使われている材料、保管方法から食べ方のポイントなど、お品の説明も詳しくて、心遣いが伝わります。


包装を開けるワクワク感が高まったところで、いざお目見え♪
下の写真の手前がケーク・サレで、奥がパウンドケーキです。

素材がゴロゴロ入っていそうなのは一目瞭然、美しい見た目にも楽しませていただけます。

まずは、ケーク・サレの方からいただいてみました。
生地の色味が黄色がかっているのは、ベースがトマトだから。鹿島台デリシャスファームのトマトだそうです。
そして、枝豆には仙台だだちゃ豆、ハムには岩出山ジャンボンメゾンのお品が使われ、ゴーダチーズにチェダーチーズと、具材がたっぷりです。

オーブントースターで焼いていただいてみると、完全に私が大好きなお味で、ワインにもピッタリ。
こんなサレ、自宅でゆっくり食べることができるなんてと、週末の夜食時間、なんてありがたいんだろうとしみじみ幸福感に浸りました。

そして、実は私、今回いただいたお品のおかげで、岩出山ジャンボンメゾンさんを知りました。
厚切りのお肉が美味しくて、早速HPチェックしましたよ。
宮城県大崎市岩出山の工房ジャンボン・メゾンのHP
宮城県内であれば大手スーパーなどでも販売されているようなので、もしかしたら私もこれまで食べたことはあったのかもしれませんが、この度、改めてお名前を意識し、こんな貴重なハム・ソーセージ生産社が県内にあったのね、と出会いに感謝。

私は田舎生まれで、そのコミュニティの狭さに窮屈さを感じ、小さい頃から地元を出たいと思って県外にいたこともある人間なので、恥ずかしながら、自分のルーツがある地元に少しでも恩返しできたらと思うようになったのはこの数年のことです。
地元のこともまだまだ知らないことが多く、こういった形で、文字通り、東北の生産者と全国の消費者を繋いでくれるYOU&Gさんには本当に感謝ですね。


さて、もう一品は、こちら。
宮城県産ブルーベリーと、蔵王産クリームチーズを使ったパウンドケーキです。
見た目にも可愛らしくて、これも美しいアート。

宮城県民ならみんな大好き(チーズ好きなら間違いなく)な蔵王産のクリームチーズが練りこまれた生地に、ちょうど旬を迎えたフレッシュなブルーベリーの甘酸っぱさが閉じ込められて、幸せなティータイムを持つことができました。

いずれも私がリクエストしたチーズと、地元の素材がふんだんに使われていて、甘いのとしょっぱいの、美味しい両者がいただけて、大満足の贈り物でした。

個人的にはサレも商品化していただけたら、多分お店にはそうそう行けない分、もし行ったら甘いケーキもしょっぱいサレも両方買うんだけどなと思うところですが、サレは賞味期限のこともあるから難しいのかな・・・

何はともあれ、YOU&Gさん、実店舗開店、本当におめでとうございました。
そして、クラウドファンディング の素敵な返礼品も、本当にありがとうございました。

(画像をクリックするとPDF画面が開いて拡大できます)

ちなみに、私は現在車を持っておらず、愛子(あやし)にはそうそう行くことがないので、開店されたお店にはまだ行くことができていませんが、カフェを併設した実店舗では、私もこのブログで時々取り上げさせていただいているガラス工房尚さんのお皿が使われているそうなんです。
そのコラボした実物を見て、食とアートを楽しみたいので、是非とも、そう遠くない日にお邪魔させていただきたいと思っています♪

高級パウンドケーキ YOU&G(ユージー)
住所:宮城県仙台市青葉区愛子東6−3−27
電話:070-1147-0987
営業:10:00 〜 17:00
定休日:月曜日
Webサイト:https://cookyastore.thebase.in/



あなたがオススメしたい
地元食材は
なんでしょう?

あの日から10周年の今日

2021年3月11日 東日本大震災追悼式


2011(平成23)年3月11日(金) 14時46分に起きた東北地方太平洋沖地震による大災害。
あの日から、10周年を迎える今日。

私は、宮城県名取市の港町である閖上(ゆりあげ)が出身地であるとともに、母の実家が仙台空港付近である北釜地区(名取市)で、身内では母方の祖母と叔父がなくなっているので、毎年、名取市主催の追悼式に参列しています。

名取市の追悼式は名取市文化会館で行われます。
ここには、画家だった祖父の絵を飾っていただいているので、その作品とも対面できる時間を持つこともできるのが、個人的にはありがたいのです。
実家は完全に流失し、実家にあった祖父の作品も全て失われてしまったので、こうした所に残されているのが、遺族としては、本当にありがたいことなのです。

昨年は、コロナによって、式は中止となり、献花だけが可能でした。
かなり人がまばらで、虚しかったのを覚えています。

今年は、コロナ禍の中でもなんとか無事迎えられた式典。
新天皇そして新総理大臣も初めてとなる追悼式です。
このような点からも、節目の10年という感じがしました。

とはいえ、もう10年であり、まだ10年・・・
今日の式での遺族代表者の方による言葉にあった「心の復興は終わらない」といフレーズが、耳に残っています。

今日は朝から爽やかで、1日中穏やかなお天気に恵まれましたが、10年前のあの日は地震後、雪に見舞われました。
私は、勤めていた職場から徒歩で当時住んでいた自宅へ3時間近く歩いて帰ることにはなりましたが、自分の部屋で夜を越すことができました。
一方で、私の実家に住んでいた祖母や義妹とその子供達を含む大勢の人が、寒空の下で、ひどい光景を目の当たりにながら、夜を越すことになったのです。

今日、静かで平和な朝を迎えられたことに、これほど感じる感謝の念。
あの日がなかったら、こんな気持ちも持つことはなかったかもしれません。
生かされたことには何か意味があるのだろう。
そう思って、明日も生きていきます。


あの日から
あなたにとっては
どんな10年間でしたか…?