2023 フランスブルゴーニュ 2日目 その1

〜ユネスコ世界遺産「ヴェズレーの教会と丘」〜


仙台空港から出国して台湾を経由しての、長距離長時間移動を経て無事到着したフランスでの1日目は、夜眠る直前まで充実の時間を過ごすことができました。

その晩、ようやくベッドで良い眠りをとることができましたが、そこはずっと来ることを願っていた異国の地。
翌朝は5時台に目を覚ましました。
が、真っ暗。
夜中?と思うほっどだったので、時計を見直しましたが、時間に間違いはなく。
ようやく明るくなってきたのはなんと8時前。

私はこれまで、ヨーロッパのフランスお隣の国としては、ベルギーとイギリスへ行ったことがあり、ベルギーは春、イギリスは夏だったという時期的なこともありますが、朝6時前には日が昇っていたし、日本は遅い時期でも7時には日が昇っているから、10月のフランスの朝がこんなにも遅いとは思っておらず、なかなか明るくならないことに、時間がもったいないと、もどかしさを感じてしまいました。

待ち侘びた朝の明るくなってからの風景。


この日の朝もあいにくの曇り空でしたが、友達の家の前に広がる風景は、清々しいものでした。
普段、仙台の街中に住む私には吸えない、緑を感じる空気の味を胸いっぱいに堪能しました。

友達が準備してくれた朝食をいただいてから、連れて行ってもらったのは、友達の自宅から車で1時間くらいのヴェズレー(Vézelay)という村。

目的地に到着した頃には、お天気がすっかり良くなり、最高の散歩日和に。


このフランス2日目も1日目に引き続き、ブルゴーニュの世界遺産観光です。
この地は「ヴェズレーの教会と丘(Vézelay, Church and Hill/Basilique et colline de Vézelay)」として1979年にユネスコ世界遺産に登録されました。


村は小高い丘にあります。
中世の面影が感じられる坂道を歩いて登っていきます。


なだらかな斜面から、頂上に近づくにつれて結構な急斜面となりますが、程よい運動加減。
その丘を登り切ったあたりの所にあるのが、サント・マドレーヌ・バジリカ聖堂 (Basilique Ste-Madelaine/La Basilique de Vézelay)、世界遺産として保存されている教会です。


白い外壁が印象的な荘厳で美しい姿に、わぁーと思わず声が出るほどでした。


正面入り口のアーチの中に彫られたキリストは両手を大きく広げ、まるで訪れた人を教会の中へと誘っているようです。


その教会内部も素晴らしいものでした。


独特なデザインのアーチが続く身廊、施された目をみはる彫刻の数々。


ところで、バジリカとは、西洋古代から中世にかけて発達した建築の形式の一つで、入り口を入ると長い身廊、左右の壁側には側廊、両壁の上部には採光・通気用の高窓、一番奥に儀式を執り行う場所がある長方形の建造物のことで、バジリカまたはバシリカ(basilica)と呼ぶのですが、ローマ・カトリック教会では、由緒ある主要な教会堂にバシリカという呼称が冠せられるのだそうで、この教会名称が「サント・マドレーヌ・バジリカ聖堂 (Basilique Ste-Madelaine)」とされているのも、納得です。


地下祭室も、この教会の見どころの一つでした。
教会の名称にもあるマドレーヌとはマグダラのマリアのことで、その遺骨の一部(とされる)が祀られているのです。


ちなみに、マグダラのマリアとは、元々は娼婦で罪深い女だったが、イエス・キリストに出会ったことで悔悛し聖女になったとされて聖書に登場する女性で、キリストの使徒であるとともにキリストが愛した女性とも言われる彼女は、キリストの母である聖母マリアとは別人ですので、念の為。

さて、教会の外も一周してみました。


その丘の上からの眺めは、最高でした。


ブルゴーニュの平原を、まさに一望千里。


広大で美しい自然をぐるりと見渡すことができる、なんとも贅沢なロケーション。


特に私は海育ちで、水平線を見渡すことには馴染みがあるものの、山々や緑が続く地平線の景色にはほとんど出会ったことがないので、とても新鮮でした。

素人撮影で拙いですが、短い動画に収めましたので、その美しいパノラマ風景をご覧くださいませ。


2023年フランスの旅、ブルゴーニュ2日目の半日はここまで。
この日の午後については、また次回に。


なお、世界遺産「ヴェズレーの教会と丘(Vézelay, Church and Hill/Basilique et colline de Vézelay)」については、ユネスコHPによると以下のように説明されています。

9 世紀に設立されて間もなく、ヴェズレーのベネディクト会修道院はマグダラのマリアの聖遺物を取得、以来重要な巡礼地となった。 聖ベルナール(ベルナルド/バーナード)は 1146 年に第 2 回十字軍をこの地で説教し、リチャード獅子心王とフェリペ (仏:フィリップ)2 世アウグストゥスは 1190 年にここで集い第 3 回十字軍に出発した。彫刻が施された柱頭と門を持つ、12 世紀の修道院教会であるヴェズレーのマドレーヌ寺院は、ブルゴーニュのロマネスク芸術と建築の傑作である。

https://whc.unesco.org/en/list/84/

サント・マドレーヌ・バジリカ聖堂
La Basilique de Vézelay

住所:Vézelay Abbey, 24 Rue Saint-Pierre, 89450 Vézelay, France
Webサイト:https://www.basiliquedevezelay.org/




あなたが
空気が美味しいと感じる
場所はどこですか?

2023 フランスブルゴーニュ 1日目 その2

〜ユネスコ世界遺産「ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ」〜


私にとって初めてのフランスへの一人旅、その初日の13時半頃、待ち合わせの場所としていたディジョン(Dijon)駅に到着し、無事に友人との再会を果たすことができました。

ディジョン ヴィル駅
Gare de Dijon-Ville

住所:Cr de la gare, 21000 Dijon, France


そして早速、ブルゴーニュ観光のスタート。
ユネスコ世界遺産として登録されている「ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ(The Climats, terroirs of Burgundy/Les Climats du vignoble de Bourgogne」の、構成資産であるディジョン歴史地区へと向かいます。

ちなみに、私はディジョン駅付近で友達の車に荷物を預けて歩いて行くことを想定していたのですが、車では友達の旦那さんも待っていてくれて、ご親切に歴史地区内まで送ってくれたのでした(なお、歴史地区はディジョン駅から徒歩でも数分のところです)。

車から降りた地点の町並みです。


いかにも歴史を感じさせる旧市街に足を踏み入れ、改めて異国の地へ来たのだなと感無量の想いに包まれました。

そして見えてきたノートルダム・ド・ディジョン教会(Church of Notre-Dame of Dijon/Église Notre-Dame de Dijon)


ファサードに並んだ怪物の彫刻と、入り口が3つのアーチによってデザインされているのが印象的な、13世紀に建設されたというゴシック洋式による建物。


もちろん拝観無料とのことで、教会内を見学。
(日本の教会も本来はいつでも無料で入れるのでしょうが、なぜか、海外のように気軽に入れませんよね・・・)


内部は、最低限の明かりしか灯されておらず、ステンドグラスから透き通る光の美しさが際立っており、厳かな雰囲気に、人出も少なくて、パリから移動してくる間にあったような喧騒が一切なく、心が落ち着きました。


外観の怪物達の彫刻が奇抜であれば、こちらの聖母像も奇抜なものでした。
「黒いマリア」と呼ばれているそう。
(下図では見えずらいかもしれませんが、ステンドグラスの下方に写ってます)


そして、この教会の一番の特徴というか名物(?)といえば、外の壁面に施されたフクロウの彫刻だそうで。
撫でると幸福が訪れる(正確には、右手で金製のものを触りながら左手でフクロウを触らないといけないらしい)ということで、多くの人になでなでされて、フクロウなのかなんなのかよくわからなくなってます。


人が群がらない「幸福のフクロウ」を撮影することができましたが、実は、私が訪れた際もこのフクロウを撫でながら写真撮影する人の列があり。
幸いほんの数人だったので、一応、私もなでなでしておきました。

ノートルダム・ド・ディジョン教会
Église Notre-Dame de Dijon

住所:2 Place Notre Dame, 21000 Dijon, France
Webサイト:http://notre-dame-dijon.blogspot.com/


そのフクロウがある通りをそのまま行くと、目を引く建物が。


こちらは「La Moutarderie Edmond Fallot – Boutique Atelier Dijon」。
ディジョンはマスタードの本場であることでも知られているそうで、1840年創業から家族経営によって運営されているファロFallot )社によるマスタード専門のお店。
店内にはずらりと様々なマスタードが並んでいました。


ディジョン名産なら買っていこうかなとも思ったのですが、友達が”スーパーでも売ってる、そっちで買った方が安い”と教えてくれたので、ここでは眺めるのだけを楽しむにとどめ…

ファロ
La Moutarderie Fallot – Boutique Atelier Dijon

住所:16 Rue de la Chouette, 21000 Dijon, France
Webサイト:http://www.fallot.com/en/boutique/


ディジョンはこぢんまりとした町ということで、その後もゆったりと徒歩で巡ってみました。


この日は、あいにくの曇り空ではありましたが、時々晴れ間も見えて、雨に当たることもなく、ノスタルジー漂う町中での散歩を楽しめました。


さて、細い通りを抜けると、突如大きな広場が。
そこは、現在は市庁舎美術館となっている旧ブルゴーニュ大公宮殿(Palais des Ducs et des États de Bourgogne)正面の、リベラシオン広場(Place de la Libération)でした。


この宮殿と広場は、こちらもまたフランスの世界遺産「ヴェルサイユ宮殿と庭園(Palace and Park of Versailles/Palais et parc de Versailles)」の設計を担当した一人であるジュール・アルドゥアン=マンサール(Jules Hardouin-Mansart、1646-1708)というフランス古典主義を大成した建築家による設計とのこと。
訪れた瞬間に独特の美しさを感じたのも納得でした。


私は事前にこのことは知らずにいたのですが、もともとヴェルサイユ宮殿も今回の旅で是非とも訪れたいと考えており、実際に後日それも叶いました。
フランスにおけるバロック建築の第一人者とされるマンサールの建築をセットで楽しむことができて良かったです。


ある建築家にフォーカスを当てて旅するのも、アートの知見を深めるのに役立ちますね。

ディジョン市庁舎
Hôtel de Ville de Dijon

住所:Pl. de la Libération, 21000 Dijon, France
Webサイト:http://www.dijon.fr/


その後、旧市街を出て、少し歩きます。


ディジョンに2022年にできてまもない新しいスポット「ディジョン国際美食館Cité Internationale de la Gastronomie et du Vin)」にちょっとだけ立ち寄りました。
2010年に「フランスの美食術」がユネスコ世界無形遺産に登録されたことがきっかけで建てられた施設だそうです。


ここの敷地内にあるカフェのジェラートを食べ喉を潤してから、友達の旦那さんと再び合流。
世界遺産「ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ」のブドウ畑内をドライブし、構成資産でもある「シャトー・デュ・クロ・ド・ヴィージョ(Château du Clos de Vougeot)」へと向かっていただきました。

ディジョン国際美食館
Cité Internationale de la Gastronomie et du Vin

住所:12 parvis de l’Unesco, 21000 Dijon, France
Webサイト:https://www.citedelagastronomie-dijon.fr/


ところで、ユネスコ世界遺産である「ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ(The Climats, terroirs of Burgundy/Les Climats du vignoble de Bourgogne」については、ユネスコのHPにある説明を抜粋させていただきますね。

クリマとは葡萄畑の区画を指し、ブルゴーニュ地方では南ディジョンからマランジュまでの50kmにわたって延びるコート・ド・ニュイとボーヌの斜面に、1247のクリマが広がっている。この景観は、ワイン生産に関連する葡萄畑やコート沿いの村々、および行政的にクリマの仕組みや流通などを調整するディジョンの街からなる。クリマは、一世紀にわたる人々の労働から生まれた技術的なノウハウの宝庫であり、ブルゴーニュのクリマのシステムは、今なお活気ある葡萄栽培の顕著な事例である。

https://whc.unesco.org/en/list/1425


まさにブドウ畑のクリマが延々と広がっていました。
友達曰く、「日本で言えば田んぼのようなものだよね。」
なるほど、確かに。笑


私が訪れたのは10月末のことでブドウを刈り取った後なので、このような見た目で、それはそれで初めて見る景観で圧倒されたのですが、是非とも次回はブドウがたわわになっている風景を見てみたいものです。




実は、こちらは後日談なのですが、なんと偶然にも、私がまさにフランスへと旅立った当日の2023年10月22日のTBS『世界遺産』で、「ブルゴーニュのブドウ畑の景観 〜 世界最高峰のワイン!ブドウ畑の四季」と題して、この世界遺産について放送されたのです!
まさに、豊かにブドウが実っている風景も映し出されたようで、偶然とはいえ、このタイミングにびっくりでした。


私はこの放送がされている時間はまだフランスへと向かう旅路の途中(経由地の台湾へと向かう飛行機の中)でしたので、この放送は見れなかったのがちょっと残念にも思いつつも、その現地へと実際に行けたということを思えば、価値ある行動をとっていたのだなと、自画自賛してしまう自分もいたりします。




さて、ディジョンから車で40分くらいの所、広大なブドウ畑の中に「シャトー・デュ・クロ・ド・ヴージョ(Château du Clos de Vougeot)」というお城のような建物があります。


こちらは、シトー会修道士が12世紀に建てたワイナリー施設で、現在ではワイン製造の博物館となっています。

この日の最後の見学ツアーに加わらせていただきました。
まずこちらの広間に通され、中央にある樽を演説台代わりにガイドさんがお話を始めました。


もちろん完全フランス語。私はチンプンカンプンなので、友達が訳して教えてくれ、助かりました。


12世紀にブルゴーニュの領主たちの寄付によりこの地を所有したシトー会の修道士たちは、この建物を寝泊まりする館とし、また栽培したブドウをこの敷地内の醸造所でプレスし、せっせとワイン造りに励み、キリスト教布教を行いながら、フランスブルゴーニュワインの基礎を築いたのだそう。


圧巻の巨大なプレス機は、現在のワイン祭りでも実際に使われ、また、2000樽を収容できるワイン熟成庫は、現在はパーティーなどの会場として利用されているそうです。


フランス到着初日から、なんともレアな世界遺産を堪能することができました。

シャトー・デュ・クロ・ド・ヴージョ
Château du Clos de Vougeot

住所:Rue de la Montagne, 21640 Vougeot, France
Webサイト:http://www.closdevougeot.fr/


18時頃にこの施設の見学を終え、2泊3日とお世話になる友達の自宅へと向かいました。

想い叶っての高校時代の同級生とのフランスでの再会、そしていよいよ彼女のお宅訪問です。
そこはフランスの国立公園として指定されているモルヴァン自然公園(Morvan Regional Natural Park/Parc naturel régional du Morvan)の森の中。
シャトーから1時間以上の車の運転、ご主人に心から感謝です。

到着したお家(実際には到着した時は真っ暗だったので翌朝撮影)。


事前に写真で拝見していた通り、なんとも素敵。
もちろん、静かな森の奥地に佇む実物をこの目で確かめ、自分の足で踏み入れた時の感動はそう簡単に表現できるものではありません。

彼女と旦那さんの住まい隣の、現在はお休み中の宿屋側の2階にある一室を使わせていただきました。


1階は昔ながらの暖炉やアンティークな家具がなんとも落ち着くサロンです。


築100年以上する石造りの建物を、DIY得意の旦那さんと二人であちこち手をかけ、こんな素敵なお宿を兼ねる自宅に住まう、素敵な夫婦と時間を共にできた私は本当に幸せ者です。

そして、この日のディナーは、友達の手作りによるブルゴーニュの伝統料理「Coq au vin(コック・オ・ヴァン)」というなんとも豪勢なチキンの赤ワイン煮込をいただきました。


ワインに詳しくないので申し訳ないのですが、訪れたのはフランスブルゴーニュ、というわけで本場のワインも出していただけて、何よりも海外の旅先で現地の家庭料理(しかも手が込んでいる)をいただけたというのが嬉しすぎました。

言わずもがな、その日の夜は、飛行機の眠れない長旅から一変、広いベッドで眠らせていただき、翌朝は良い目覚めで迎えることができました。



このところずっと体調を崩していたり仕事が忙しかったりで、ようやく昨年秋に訪れたフランスでの旅1日目の続きがアップできました(正直まだ書き足りない感があるのですが…)。
2日目については、また後日となりますが、なるべく早く記載したいと思います。


あなたの印象に残る
歴史地区といえば
どこですか?

2023 フランスブルゴーニュ 1日目 その1

〜パリ シャルル・ド・ゴール国際空港からブルゴーニュへ向かった初日〜


10月末、台湾を経由してフランスへ行って参りました。
無事日本へと戻って来てからの日常は、相変わらず職場のごたごたが絶えないのが現実で、休日はただただ何も考えたくなくなり、ブログを記述するペースも遅くてタイムラグが大きくなる一方ですが、私自身、次回のより良き旅へと活かしたいので、牛の歩みなりでも記録しておこうと思います。

まずは、フランスでの1日目から。


…その前に。飛行機の乗り継ぎについてよく聞かれるので、補足しておきます。
私が今回往路で乗った便の、台湾台北の桃園国際空港からフランスパリのシャルル・ド・ゴール国際空港への乗り継ぎ時間は4 時間 45 分ですが、割とあっという間でした。

”世界の素晴らしい空港ランキング”では上位には上がらないものの、桃園国際空港は大きくて、保安検査を通った後のショッピング&フードエリアも広くラウンジ等の設備も充実しており、空き時間を有意義に過ごすことができます。

記載した写真は検査通過後に撮影したものですが、制限エリア外も盛り沢山です。
もし時間的に余裕があったら、乗り継ぎにもっと時間をとっても良いくらいだと思えました。

桃園国際空港 第2ターミナル 3・4階(制限エリア)

さていよいよ、台北からパリへと向かうわけですが、出発の時刻が予定よりも大幅に遅れ、飛行機へと乗り込むまで、何もない搭乗ゲートの待合室で1時間近く待機することに。

そして、ようやく乗った飛行機での移動時間はおよそ15時間。

それだけでかなりのパワーを消耗するとともに、無事シャルル・ド・ゴール国際空港へ到着したものの、今度は、友達との待合せ場所へ向かうための高速列車に間に合うだろうかとの焦りが。

シャルル・ド・ゴール国際空港 第1ターミナル 1階

いつもだと空港の写真も多少撮りますが、全くその余裕なく。
なので実は、上の写真は帰りに撮ったものです。

とはいえ、余裕がなかったのは、この全く初めての海外の場所で、時間的余裕のない状況で、電車の乗り換えをし、予約済みの高速列車に間に合うだろうかという私の気持ち的なもので、実際は、もともとゆとりを持って予定を立てていたので、余裕というほどの余裕は無くなったものの、落ち着いて動けば時間的には問題ないだろうという状況でした。

というわけで、冷静な心を保ちつつ(写真撮る余裕はないけど)、スタッフの方々に行き方を尋ねつつ、無事、目的の電車に乗ることができました。

電車の席に座れてホッと一息ついたところで、ようやくカメラをバッグから取り出して、フランスに降り立ってからから初めて撮った写真がこれ(笑)。

RER B線(シャルル・ド・ゴール国際空港とパリ市中心部を結ぶ高速郊外鉄道)車内

シャルル・ド・ゴール国際空港
Aéroport de Paris-Charles de Gaulle

住所:95700 Roissy-en-France, France
Webサイト:https://www.parisaeroport.fr/roissy-charles-de-gaulle


フランスでの初日は、今回の旅の目的の一つである友人との再会です。
彼女が住むのはブルゴーニュ(Bourgogne)で、待ち合わせ場所としたディジョン(Dijon)へと向かうルートは以下の通り。

  1. シャルル・ド・ゴール国際空港 第1ターミナル
    *ターミナル間は無料の無人電車CDGVALで移動
    ・まずはエレベーターでCDGVAL乗り場の2階へ
    ↓ ターミナル1〜3は5分程度
  2. シャルル・ド・ゴール国際空港 第3ターミナル
    ↓ 構内を徒歩で数分
  3. 高速郊外鉄道RER シャルル・ド・ゴール空港Aéroport Charles de Gaulle)駅にてB線乗車
    ・切符自動券売機でパリ行きのチケットを購入
    ・パリ市内であれば下車駅全て料金は同じ
    (2023年10月時点€11.45)
    ↓ 主要駅停車便で約40分
    (直行は30分、各駅停車の場合は50分)
  4. RER シャトレ・レ・アール(Chatelet Les Halles)駅にてA線乗車
    *B線を降りたホームのすぐ隣がA線

    ↓ 約2分(1駅)
  5. RER リヨン(Gare de Lyon)駅(地下)
    リヨン駅は広いので徒歩移動の為の時間的余裕が必要

    ↓ 構内を徒歩で数分
  6. 高速列車TGV リヨン(Gare de Lyon)駅(地上階 Hall2)11:56発

    ↓ 1時間35分(停車駅なし)
  7. TGV Dijon駅 13:31着

ドキドキオロオロもしたけれど、無事に予定通り、待ち合わせ場所のディジョン(Dijon)駅に到着できました。

ディジョン駅 構内

特になぜそんなにドキドキしたかというと、先に述べた通り、高速列車のチケットを予約済みだったからです。
フランスの国鉄SNCFが運営する高速列車TGV(ティー・ジェー・ヴェー)は、日本で言えば新幹線のようなもの。
と言えば想像がつきますよね?
そうです。それなりのお値段!
全席指定席で、1等席と2等席の二つの値段設定による車両があり、1等は空いてる席の中から希望する席を選ぶことができますが*、2等は詳細な席の指定ができません**。また、1等席は高い分、1名席がゆったり広めかつ防犯上の安心感があるということで、私は初めての1時間半の道のり、安心感を優先させました。

SNCFでの直接の予約であればこの選択ができますが、各国の言語に対応する交通・旅行情報検索サービス(Omio(オミオ)やKlook(クルック)といったものなど)からの予約では1等席でも自分で席を選択することはできない上、手数料が発生します。

**2等席は、通路側か窓側かという指定のみで、1等席のようにシートマップによりピンポイントで指定することができません。

そのお値段98ユーロ。日本円にしておよそ1万6千円。
今の日本人にとっては色々と何かとお高いフランス、ユーロ!絶対に乗り遅れたくない!!
もちろん、待ち合わせしてる友達にも迷惑かけるし(そこが本来はとても重要…)。

ちなみに、新幹線と同様に取る時期などによって変動するので、もっと早く取っていればもう少し安かったのでしょう…

SNCFアプリのTGVチケット予約済画面。既に使用後なので消えていますが、利用時は駅員さんが読み取るためのQRコードが表示されます。

実は今回、日本出発の直前までは、シャルル・ド・ゴール国際空港からパリ市内までの移動は、エアポートバスを利用しようかと思っていたのです。
理由は単純に、海外の初めての場所でいきなり電車の乗り継ぎは手間取るかもしれないから、市内までは直行のバスに乗ってしまった方が良いだろうと考えていたから。
それに、日本のサイトで検索すると「空港〜パリ市内移動はバスが良い」という書き込みが多いので、自分もそうするべきかな、と。

でも念の為、会う約束をしていた友人に伺ってみたら、バス到着地のオペラ(Opera)からリヨン駅までの移動も考えるとこっちの方が早いし移動しやすいのではと今回のルートを勧めていただきまして。
「RERの治安を心配しているの?」とのことでしたが、私自身は特にそういうわけでもなかったですし。
列車によるルートは私もチェックはしていて、早いこともわかってはいたけど、日本サイトでのバスによるルートの強調度合いに押され、いまいち考えが及ばなかっただけのこと。
友人から伺ったことで、なんか列車のみのプランで行けそうかも、と思うことができ計画を変更しました。

往路で私が乗ったTGVはこれと同タイプ。外観はどっしり重厚感がありますが、車内については、正直、新幹線の方がずっと綺麗で、その点では我が国に軍配を上げたい。

結果的に、今回は飛行機が遅れたこともあり、エアポートバスの場合では直行といっても限られた本数で時間もかかるので、往路は全て鉄道で予定を組んで正解でした。

もちろん、私の今回の予定がブルゴーニュまで行くからということもあったろうし、海外での個人旅行はある程度は慣れていないと、ということもあるかもしれませんが、誰かの、特に日本人だけの「絶対これがいい」的な話は、鵜呑みにするべきではないのだろうなと改めて感じました。
インターネット上で多く見かけるお話は参考にしつつも、何事も広い視野を持って、自分なりのやり方というものを模索することを楽しみつつ、豊かさにつながる行動をしてゆきたいです。

左手がフランスの主要駅の一つリヨン駅。大きな時計塔がシンボルとなっている駅舎のなんと美しいこと…(復路にて撮影)

リヨン駅
Gare de Lyon

住所:Pl. Louis Armand, 75012 Paris, France
Webサイト:https://www.gares-sncf.com/fr/gare/frply/paris-gare-lyon


毎回『改めて』何かを感じる海外一人旅。
そんなこんなで、今日も移動の話で長くなってしまいましたので、良きフランスを感じた体験についてはまた次回に…


あなたは
駅舎に感動することは
ありますか?

パリ エッフェル塔

仙台から出国し台湾を経由してフランスへ

〜全便 EVA AIR(エバー航空)による渡航記録〜


久々の海外一人旅、目指したのは、高校時代の同級生が住む国フランス
コロナ禍が明けたら真っ先に行くのはそこだと決めていたことがようやく実現し、無事帰ってまいりました。

仙台市民の私は仙台からダイレクトに出国したくて、今回、仙台から台湾を経由してフランスへと向かう航空便を利用しました。
これが、チケット購入検討時の目論見通り、人混みが苦手な私にとっては好都合で、移動や手続きの快適さを実感しましたので、しっかり記録しておこうと思います。

仙台国際空港 展望デッキからの眺め

この度私が利用した航空便はすべて、台湾の航空会社であるEVA Airエバー航空
すべて同じ航空会社だと、乗り継ぎ時の検査や手続きもすんなりだし、預け入れ荷物についてもロストバゲージの不安が減ります。

旅程は以下の通り(時刻は現地時間*)です。

<往路>
仙台から台湾(台北)を経由してフランス(パリ)へ

出発
場所:仙台空港(Sendai, Japan (SDJ))
日時:10 月 22 日 (日) 16:05
↓(所要時間 : 4 時間 45 分/便名:EVA Airways 117)
到着
場所:台北 桃園國際機場(Taipei, Taiwan (TPE-Taoyuan Intl.) ターミナル 2)
日時:10 月 22 日 (日) 18:55

*日本と台湾の時差:1時間(日本が台湾より1時間早い)

 =乗継時間 : 4 時間 45 分=

出発
場所:台北 桃園國際機場(Taipei, Taiwan (TPE-Taoyuan Intl.) ターミナル 2)
日時: 10 月 22 日 (日) 23:40
↓(所要時間 :  15 時間/便名:EVA Airways 87)
到着
場所:パリ シャルル・ド・ゴール国際空港(Paris, France (CDG-Roissy-Charles de Gaulle)ターミナル 1)
日時 : 10 月 23 日 (月) 8:40

*サマータイム**における台湾とフランスの時差:6時間(台湾がフランスより6時間早い)

**サマータイム:フランスを含むEUでは、サマータイム(夏時間)の期間は3月の最終日曜日から10月の最終日曜日まで

スマホにエバー航空のアプリを入れて。チケットの確認やWEBチェックイン等ができ、搭乗口の変更や遅延のお知らせも随時入ってくるので便利(もちろんアプリなしでもWEBサイトからでも可能)。

<復路>
フランス(パリ)から台湾(台北)、台北にてストップオーバー***し、仙台へ

***ストップオーバー:またはレイオーバー。目的地に向かう途中の乗継地で24時間以上滞在すること

出発
場所:パリ シャルル・ド・ゴール国際空港(Paris, France (CDG-Roissy-Charles de Gaulle)ターミナル 1)
日時 : 10 月 28 日 (土) 11:20
↓(所要時間 :  13 時間 15 分/便名:EVA Airways 88)
到着
場所:台北 桃園國際機場(Taipei, Taiwan (TPE-Taoyuan Intl.) ターミナル 2)
日時:10 月 29 日 (日) 6:35

 =台北にてストップオーバー:2 泊 3 日=

出発
場所:台北 桃園國際機場(Taipei, Taiwan (TPE-Taoyuan Intl.) ターミナル 2)
日時:10 月 31 日 (火) 10:15
↓(所要時間 : 3 時間 10 分/便名:EVA Airways 118)
到着
場所:仙台空港(Sendai, Japan (SDJ))
日時:10 月 31 日 (火) 14:25

(ただし、そうはきっちり予定通り行かないのが航空事情。実際には予定時刻から多少変動があったことを申し添えます)

仙台国際空港 3階フロア

仙台から東京の成田や羽田までは電車なり飛行機で行くにも時間がかかるし、特に国際便の場合はフライト時刻の2時間くらい前までには空港に到着しておくのがベターで、便の出発時間によっては前日から空港近辺に宿泊する必要もあったりして費用もかさみます。
また、どちらの空港も大きいのでカウンターはたくさんあるし、人も多く、チェックイン手続きや荷物を預けるだけでも長い列に並ばなくてはならないし、保安審査にも時間がかかります。

その点、仙台空港なら、国内便も国際便も、保安検査の入り口は別なれど、そこを通過すれば待合のフロアは一緒という規模なので、手続きに時間が取られない点でラク。
ただその分、お店も少ないので、待ち時間をショッピングで楽しみたいという人には不向きかもしれませんが・・・

仙台国際空港 2階フロア エバー航空カウンター(私は事前にWEBチェックインを済ませており、荷物を預けるのみだったので、あっという間に済みました)
仙台国際空港 2階フロア 国内線と国際線の保安検査場の位置関係

もちろん、東京まで行けば、フランスまでの直行便が出ていて、乗り継ぎなしで目的地に辿り着けるに越したことはありませんが、費用はそれなりとなります。

飛行機代の支出を抑えたかったら、どこかを経由していくことを選択せねばならず、東京からでもアジアを経由地とするパターンがよく考えられるので、仙台からフランスへの直行便がなくとも、仙台から出国してアジアの空港を経由して行けば、仙台から東京までの移動のワンステップを省くことができ、出国手続きがラクな上、費用を抑えることができます。

仙台国際空港 2階 国際線保安検査場入口
仙台国際空港 2階 保安審査を通過すれば国内線も国際線も一緒の搭乗待合室

ちなみに、私の今回の飛行機代にいくらかかったのかというと、税およびサービス料込で21万8千円。
これを高いという人もいるかもしれませんが、私の場合、仕事の都合上どうしても日程が限られていて、金額だけを優先して決めることができません。
限られた日程の範囲内で、東京から発つ便なども含めかなり検索したのですが、この金額はその中でもトータル的にみて安い方でした。
金額だけを優先して旅程を組めるのであれば、もっと安くできたろうと思います。

もちろん経由地をさらに増やしたり、乗り継ぎ時間が長くなる便を選ぶなど、移動に時間をかけることでもコストを抑えるのは可能ですが、それはそれで時間にだいぶ余裕がないとそれも難しいです。

また、私は一人旅で好きに動きたいし、旅程を交通機関から宿泊施設、回るルートなどを自分で考えることも楽しみたいタイプなのですべてを自分で決めていますが、場合によっては団体ツアーの方がよっぽどトータル的には安くなることもあります。
自分にとってのプライオリティを明確にしておけば、より良い旅が実現するだろうと思います。

結論として、今回の旅は私にとって、期間的にもコスト的にも概ね満足するものとなりました。
概ね、というのはパリでのホテル代の異常な高さに納得できかねるから。(苦笑)
本日は飛行機に関してのみの話で終わりますが、その辺も含め、フランスや台湾における記録は後日アップいたします。

最後に、2023年10月22日(日)の仙台空港の様子をもう一枚。

仙台国際空港 展望デッキ

私が仙台から台湾へと渡る飛行機に乗ったのは日曜日だったこともあったからでしょうが、この人出。
日本では未だマスクをしてる人は多いですが、コロナ禍が明けたことを改めて実感しました。

余談ですが、フランスではマスクをしてる人に出会うのは1日にせいぜい2・3人でした。
お国柄の違いを身をもって知るのもまた面白い海外旅ですよね。


あなたは
どの航空会社が
お好みですか?

映画「ミッドナイト・イン・パリ」で巡る名所旧跡

名作映画で知るパリの名所 ーそれは世界遺産やアートの学び


アート好き、そして、SF映画(特にタイムトラベル系)が好きな私にとって、愛してやまない名作映画「ミッドナイト・イン・パリ(Midnight in Paris)」。

2回にわたってその概要と登場する偉大なアーティスト達についてレポートしてきましたが、念願だったフランスへの一人旅を目前に、最後は、主人公ギルが立ち寄った名所について、ほんの少しの雑学を交えつつ記述しておきたいと思います。

モネの家と庭園(Maison et jardins Claude Monet)

フランスのノルマンディー地方、パリから西へ70kmほどのジヴェルニー(Giverny)という小さな村にモネの家と庭園があります。
印象派の巨匠クロード・モネ(Claude Monet、1840-1926)はここで43歳から86歳で亡くなる時までを過ごし、大作「睡蓮(Les Nymphéas)」を生み出しました。
映画「ミッドナイト・イン・パリ」は、舞台のほとんどがフランスの首都パリですが、パリ郊外も一部登場します。
先のブログ(https://calm-smile-chain.com/midnight-in-paris/)で概要を記述した通り、映画はジャズ名曲「Si Tu Vois Ma Mère」に乗せて流れる現代の何気ないパリの日常の映像というオープニングで始まるのですが、曲の終了と同時に、物語はこの美しいモネの庭を舞台に幕を開けます。

エッフェル塔(Tour Eiffel)

パリといえばコレ、ですね。
行ったことがなくても、興味がなくても、知らない人はほとんどいないでしょう。
世界遺産「パリのセーヌ河岸(Paris, Banks of the Seine)」の構成資産の一つでもあります。
324mもの高さを誇るこの巨大で芸術的な鉄の塔が、パリの象徴として映画に幾度も現れます。

シャンゼリゼ通り(Champs-Élysées)

シャンゼリゼ通りもまた世界遺産「パリのセーヌ河岸」の構成資産の一つで、その名称は誰もが知るであろう有名な大通り。
エトワール凱旋門(Arc de triomphe de l’Étoile)からコンコルド広場(Place de la Concorde)まで全長約2.5kmに渡る緩やかな坂道の美しいマロニエ並木からなる通りで、老舗ブティックやレストラン、カフェなどで賑わっています。
なお、コンコルド広場は世界遺産「パリのセーヌ河岸」の構成資産であるものの、エトワール凱旋門は構成資産となっていません。
凱旋門”といえば、エトワール凱旋門からコンコルド広場を挟んで対極に位置するカルーゼル凱旋門(Arc de triomphe du Carrousel)が「パリのセーヌ河岸」の構成資産となっています。

ヴェルサイユ宮殿(Château de Versailles)

パリから約20km南西に位置するフランス北部のイル=ド=フランス地域圏(Île-de-France)のコミューン(基礎自治体)であるヴェルサイユにある壮麗な宮殿で、世界遺産「ヴェルサイユの宮殿と庭園(Palace and Park of Versailles)」として登録されています。
映画の前半で、主人公のギルとフィアンセのイネズ、そしてたまたまパリで会った友人夫婦が、4人で連れ立ってヴェルサイユ宮殿の庭園を歩くシーンがあり、その広大さと美しさを見て取ることができます。

ロダン美術館 (Musée Rodin)

その名の通り、かの有名な彫刻家オーギュスト・ロダン(Auguste Rodin、1840-1917)の作品を一堂に展示している美術館で、ロダンが1908年から亡くなる1917年までを過ごしたという館でもあります。
誰もが知る名作のブロンズ像「考える人(Le Penseur)」が置かれた庭園はバラの名所としても知られており、映画ではギルたちがその美しい庭園を散策するシーンなどが撮影されています。

サンテティエンヌ・デュ・モン教会(Église Saint-Étienne-du-Mont)

セーヌ川を背にパリ5区に位置する聖ジュヌヴィエーヴの丘(Montagne Sainte-Geneviève)に建つ、ゴシック様式とルネサンス様式の要素が組み合った教会。
特に美しい装飾が施されたファサードが印象的で、パリのランドマークであるとともに、静寂で神聖な雰囲気に包まれた内部は、訪れる人々に穏やかな安らぎをもたらします。
映画ではこの場所がギルがタイムスリップするための起点となっているのですが、聖ジュヌヴィエーヴパリの守護聖女だそうで、彼女の墓を収めたのがこの教会とのことで、なんだか優しく守ってくれそうな気配が、物語も映画の観客である私たちも幸せになれそうな予感がしますね。

ポリドール (Polidor)

1845年にオープンした歴史のあるレストランで、作家アーネスト・ヘミングウェイ(Ernest Hemingway、1899-1961)が通った店としても知られています。
映画の中では、ギルが過去にタイムスリップしてヘミングウェイと出会う場所で、ギルが現代に戻るとコインランドリーになってしまいます。
しかし実際(映画ではない私たちの現実世界)は、今も昔から変わらぬ所で、ヘミングウェイに愛された時と同様、19世紀半ばの世界を思わせる雰囲気のままに営業している人気のレストランで、フランスの家庭料理を味わうことができるのだそうですよ。

サン・トゥアンの蚤の市(Marché aux Puces de Saint-Ouen クリニャンクールの蚤の市)

100年以上の歴史を持つパリ最大級のアンティークマーケットで、掘り出し物の宝庫と言われ、世界各地からスタイリストやデザイナーなど、インテリアの業界人が大勢訪れています。
映画では、広大なマーケットの敷地を散策していたギルが、聴こえてきたコール・ポーター(Cole Porter、1891-1964)の音楽に魅かれて入った骨董品店で、物語の鍵の一人である女性ガブリエルと出会うことになります。

オランジュリー美術館 (Musée de l’Orangerie)

モネセザンヌルノワールマティスピカソモディリアーニなどの、印象派やポスト印象派の作品で知らる美術館。
「オランジュリー」とは、フランス語で「オレンジ畑」「オレンジ温室」の意味で、もともとはチュイルリー宮殿(かつてルーヴルの西側にあった宮殿で、その庭が現在は「チュイルリー公園(Jardin des Tuileries)」として人々の憩いの場となっている)のオレンジ温室だったことから名付けられました。
モネの名作「睡蓮」が所蔵されていることでも有名で別名として「モネ美術館」とも呼ばれています。
映画の中では、ギルとイネズその友人夫婦が一緒に、その大作が掲げられている大きな円形の展示室を訪れる場面が描かれています。
なお、ここも世界遺産「パリのセーヌ河岸」の構成資産です。

縁日博物館(Musée des Arts Forains

19世紀の当初はワインの貯蔵庫として使用されていましたが、その後、所有者のジャン=ポール・ファヴァン(Jean-Paul Favand)氏によってコレクションされたメリーゴーランドの乗り物やアーケードゲームなど、遊園地のオブジェを集めた私立博物館としてオープンしました。
映画ではギルが過去の時代へと3度目にタイムスリップする場所で、F・スコット・フィッツジェラルド(F. Scott Fitzgerald、1896-1940)が主催するパーティー会場として描かれていますが、今も見学可能で100年以上前の遊具を体験することができるという大人も遊んで楽しめる博物館です。

サクレ・クール寺院(Sacré-Cœur Basilica)

モンマルトルの丘の頂上に位置し、パリの美しい景色を一望することができるロマネスク様式とビサンチン様式が融合した白亜の美しい教会です。
映画では、この寺院の裏手の階段を、ギルが過去の世界で一目惚れしたアドリアナと語り合いながら降りるシーンがあります。

セーヌ川(La Seine)

フランスを代表する美しい川で、全長777キロメートルに及び首都パリを流れます。
セーヌ川の河岸のうち、シュリー橋(Pont de Sully)からイエナ橋(Pont d’Iéna)までのおよそ8kmほどが、すでに述べている通りの世界遺産「パリのセーヌ河岸(Paris, Banks of the Seine)」として登録対象とされています。
映画には何度も登場するのですが、パリの美しい街並みを反映する鏡のような存在であるこの河岸が、映画の終盤で夜にライトアップされて映し出された景色が特に幻想的です。

ラ・トゥルネル通り(Quai de la Tournelle)

セーヌ川の南岸に位置し、パリ5区と12区の境界に沿った通り。
映画ではこの河岸のブキニスト(セーヌ河岸に沿って屋台のスタイルで営業する古本屋)で、ギルがアドリアナが書いた日記を購入します。

ノートルダム寺院(Cathédrale Notre-Dame de Paris)

“パリ発祥の地”とも称されるシテ島(Île de la Cité)に建つゴシック様式の大聖堂で、その美しい建築や彫刻、ステンドグラスなどから美術史上でも重要な位置付けとされています。
世界遺産「パリのセーヌ河岸(Paris, Banks of the Seine)」の構成資産の一つでもありますが、2019年の4月に火災が発生し尖塔が焼け落ちた事件は記憶に新しく、今も修復が続けられています。
映画「ミッドナイト・イン・パリ」が制作されたのは2011年のこと。当時の姿を拝見してみたかったものです。

ジャン23世公園(Square Jean XXIII)

その名称は、教皇ヨハネ23世Jean XXIII)の名にちなんでつけられ、シテ島の上流部分、ノートルダム大聖堂裏手にある公園で、訪れる人々に癒しとくつろぎを与える空間です。
映画では、ギルがロダン美術館で出会ったガイドとこの公園のベンチで腰掛け、アドリアナがフランス語で書いた日記を英語へ翻訳して聞かせてもらいます。

デロール(Deyrolle)

1831年に創業し、昆虫や貝殻、あらゆる種類の動物の立派な標本や剥製が並ぶ専門店で、今も多くの人が訪れる場所。
映画では、1920年代のパリのこの場所でパーティが行われており、ギルがアドリアナと再会し連れ出します。

ムーラン・ルージュ(Moulin Rouge)

ムーラン・ルージュはフランス語で「赤い風車」という意味で、パリ北部のモンマルトルにある世界的に有名なカバレット劇場(キャバレー)です。
1889年に開業し、特にモダンなカンカンダンスのショーで知られ、見事なエンターテイメントで多くの人々を魅了してきました。
映画では、ギルがアドリアナと一緒に1920年代からさらにさかのぼってベル・エッポクの時代へとタイムスリップすることとなり、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(Henri de Toulouse-Lautrec、1864-1901)とここで出会います。

シェイクスピア・アンド・カンパニー書店(Shakespeare and Company)

1919年に創設され、パリにおける英米文学とモダニズム文学の殿堂として由緒ある書店。
映画にも登場したアーネスト・ヘミングウェイスコット・フィッツジェラルドガートルード・スタインマン・レイなどもこの書店で多くの時を過ごしたといいます。
映画の終盤で、主人公のギルがこの書店から出るシーンがあります。

アレクサンドル3世橋(Pont Alexandre III)

1900年のパリ万国博覧会に際して建設されたセーヌ川に架かる橋で、世界遺産「パリのセーヌ河岸(Paris, Banks of the Seine)」の構成資産の一つです。
映画のラストシーンで登場するのがこの橋で、ギルがとある女性と再会します。
雨が滴りキラキラと輝く情緒あるパリの風景、物語の流れにも思わず頷いてしまうシチュエーションで、ホッと和むエンディングに静かで穏やかな感動を覚えます。

ここまでざっと挙げてみましたが、正確には、映画「ミッドナイト・イン・パリ(Midnight in Paris)」ロケーションとなった場所は他にもあるんですよね・・・


そして、私にとっては初のフランスへの一人旅、念願のパリ滞在、といってもほんの短時間。
ここに挙げたどれだけを訪れることができるのか。

次は、自分で撮影する写真とともに、さらに楽しんでレポートしたいと思っています。

サラリーウーマンでありながら、自由とは言い切れないこのご時世に、ほんの数日とはいえ日本から海外へ旅に出られることに心から感謝して・・・
本当に、ありがとうございます。
行ってまいります。


あなたが愛する
パリのスポットは
どこですか?

フランス四大河川を知る

人類にとって重要な河川をきっかけに楽しむ旅


旅行する時のテーマは”アート”であり、特に美術世界遺産を中心に、愛用するCanonのカメラを手に撮影を楽しみながら訪れた地を散策するのが、私にとって至福の一つ。

毎週日曜午後6時に放送されるTBS番組「世界遺産」は、Canonの8Kカメラで撮影されていることもあり、通常ほとんどテレビを観ない私でも、この番組だけはチェックしています。
Canon presents”に始まる番組オープニングの画面とナレーションの響きだけでワクワクしちゃう♪


とは言え、限られた時間の中、やるべきことはいろいろあるので、毎回絶対見逃さないというわけでもないのが事実…

なのですが!
本日(2023年8月17日)のテーマは「ローヌ川で行く!南仏の世界遺産」とのことで、フランス旅行を目前に控えている私には外せません!

そしてお恥ずかしながら私、この予告のWEBページ(http://www.tbs.co.jp/heritage/archive/20230827/)を拝見し、初めて「フランス四大河川」について知りました。
世界四大文明であれば中学校の歴史の授業で学んで、どの文明も大河沿いに発展しているということは記憶にあったけれど、フランス四大河川なる存在があったとは。

*世界四大文明:メソポタミア文明 − チグリス・ユーフラテス川(現在のイラク)、エジプト文明 − ナイル川、インダス文明 – インダス川(現在のインド・パキスタン)、黄河文明 – 黄河(中国)

日本のおよそ1.5倍の面積を持つフランスにはたくさんの川が流れていますが、その中でも特に有名なのがフランス四大河川であり、セーヌ川ロワール川ガロンヌ川ローヌ川の4つの河川を指すのだそうです。

フランス四大河川の要約を以下に記します。

セーヌ川Seine River
フランス北部を流れ、首都パリを通過してイギリス海峡に注ぐ河川。
フランス国内で最も重要な河川の一つで、パリ市内にはセーヌ川に架かる美しい橋や観光名所が点在し、「パリのセーヌ河岸Paris, Banks of the Seine)」として世界遺産に登録されています。

ロワール川Loire River
フランス最長の河川で、フランス中部を流れています。
美しい自然が広がる風景と多くの歴史的な城が点在しており、「シュリー=シュル=ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷The Loire Valley between Sully-sur-Loire and Chalonnes)」として世界遺産に登録され、ブドウ畑が広がる地域です。

ガロンヌ川Garonne River
フランス南部を流れ、ピレネー山脈に源を発して大西洋に注ぎます。
フランス南西部の中心都市である港町で世界的なワインの産地ボルドーや、赤レンガ造りの建物が並び「バラ色の街」とも呼ばれるトゥールーズなどの都市がこの川の流域に位置し、商業や農業に利用されています。
ボルドー・リューヌ港Bordeaux, Port of the Moon)もまた世界遺産として登録されており、この港の名「リューヌ」は、湾曲するガロンヌ河岸に発達した町の形状に由来し、フランス語で「」を意味します。

ローヌ川Rhône River
スイスアルプスのローヌ氷河を源流としてフランス南東部を流れ、地中海に注ぎます。
フランス第二の都市であり「絹の町」として知られるリヨンを通過し、主要な交通路としての役割も果たしています。
特にローヌ渓谷地方では高品質なワインが生産され、ワイン愛好家にとっては魅力的な選択肢であるとともに、歴史的な街並みや建造物が点在し、文化的な魅力も携えた、フランスにおける重要な河川の一つです。

この「ローヌ川」が本日のTBS「世界遺産」で大々的に取り上げられました。
フランスのローヌ川沿いには、次の4つの世界遺産が点在しています。

リヨン歴史地区Historic Site of Lyons

オランジュのローマ劇場と「凱旋門」Roman Theatre and its Surroundings and the “Triumphal Arch” of Orange

アヴィニョン歴史地区Historic Centre of Avignon: Papal Palace, Episcopal Ensemble and Avignon Bridge

アルルのローマ遺跡とロマネスク様式建造物群Arles, Roman and Romanesque Monuments

水と農業、交通と貿易、都市の形成と成長、そして文化や芸術と宗教…
河川は古代から現代にかけて、人々の生活と社会の構築に大きな影響を与えてきたのですね。

なんて魅力的な世界なのでしょう。
しかし、私が今年控えているフランス旅ではこれらを全て巡る時間はなく(涙)

けれどもこの度、歴史上重要な河川をきっかけに旅の計画を立てるのも面白そうだということに気づかせていただきました。
フランスに限らず、今後の旅の計画がさらに楽しくなりそうです。
良き知見を与えていただけたことに感謝します⚘


あなたが知る
世界の河川といえば
どこですか?


フィリピン ビガンの歴史地区とチャバヤン村

世界の行きたい場所リストに加えたレアスポット


以前は多少なりとも仕事で英語に触れることもあった私ですが、現在勤めている保育園では全くと言っていいほど英語に関わることがありません。
ただでさえ英語苦手な私・・・

今年、久々に海外一人旅をするというのに、自分から英語に触れる機会を作らない限り英語でコミュニケーションする度胸がなくなっていく一方だと危機を感じ、ここ最近、オンラインによる英会話レッスンの時間をわずかながらでも取ることに。

先生は、フィリピン人女性。
日本に住んでいた経験もお持ちで、日本人の特性も把握していらっしゃるので、話しやすく、会話するたびに勇気を得ており、出会いに感謝しています。

さて今日は、フィリピンの世界遺産について話をしたいとリクエストしました。

私が取り上げたのは、一般的にもよく知られている、「プエルト・プリンセサ地下河川国立公園Puerto Princesa Subterranean River National Park)」と「フィリピン・コルディリェーラの棚田群Rice Terraces of the Philippine Cordilleras)」。

プエルト・プリンセサ地下河川国立公園
フィリピン・コルディリェーラの棚田群

東南アジアに位置し、7,641もの島国からなる群島国家フィリピンの南西にある熱帯雨林パワラン島には、手つかずの自然が残っており「フィリピン最後の秘境」と呼ばれているそうです。

パワラン島中央部の港町プエルト・プリセンサの北にセント・ポール山地があり、その地下を流れるのがプエルト・プリンセサ地下河川
自然の宝庫としての価値を持つ世界遺産として1999年に登録された「プエルト・プリンセサ地下河川国立公園Puerto Princesa Subterranean River National Park)」は、8.2mにも渡る世界最大の地下河川を有し、壮大な石灰岩の洞窟内を流れる清澄な水で満たされ、天井から吊り下げられた美しい鍾乳石や岩の形状が、訪れる人々を魅了するのだそうです。

フィリピンの玄関口である首都マニラから、フィリピン南西部の都市プエルト・プリンセサまでは飛行機で約1時間15分、そこから車でプエルト・プリンセサ地下河川国立公園までおよそ3時間とのこと。

次に、世界遺産として1995年に登録された「フィリピン・コルディリェーラの棚田群Rice Terraces of the Philippine Cordilleras)」について。
こちらは、首都マニラを抱えるフィリピン諸島最大の島であるルソン島の北部に位置するバナウェ村から広がる美しい棚田で、その景観は「天国への階段」とも呼ばれています。
地元の農耕山岳民族イフガオ族Ifugao)によって約2,000年以上にわたって築かれてきたこの棚田を伸ばしたら、なんと地球半周分の長さになるほどだそうで、棚田地帯の規模は世界最大級を誇ると言います。

マニラからコルディリェーラの棚田群観光の基点となるバナウェまではバスでおよそ8時間とのこと。

いずれも先生はもちろんご存知で、行ったこともある、どちらも素敵な所だよ!とのことだったのですが、先生の方からはこれらとはまた異なるスポットをオススメいただきまして。

一つは、世界遺産として1999年に登録された「ビガンの歴史地区Historic City of Vigan)」。
フィリピンルソン島北部に位置する都市ビガンは、スペイン植民地時代からの歴史的な建築物と美しい街並みが広がる魅力的な場所で、「カレサ」と呼ばれる馬車に乗って、石畳の道やバロック様式、ネオゴシック様式など、多様な建築様式を持つ建物が点在する歴史的な通りを巡ることができるのだそうです。

画像引用元:Wikipedia(by gyunyu3 – Historic town of vigan

お次のこちらは世界遺産ではないですが、「チャバヤン村Chavayan Village)」について教えていただきました。
フィリピンルソン島北部にあるバタン諸島の島において、西南に位置するサブタン島Sabtang)にあり、石造りの家々の景観がとてもユニークな風情をかもし出している村。

この地域特有の伝統的な家屋のスタイルを指す名称を「イバタンハウスIvatan house)」と言うそうで、サブタン島の先住民族であるイバタン族Ivatan)が、強風や台風などの自然災害に耐えるために厚い石壁や草屋根を用いて築いた建物が、今も住居として使われています。
観光客用のイバタンハウスもあって、伝統的な雰囲気や文化に触れる体験もできるそうです。

画像引用元:Wikipedia(by anne_jimenez – Oldest House in Ivatan

多分ここ、WEB上で日本語で検索してもほとんど出てこないから、まだまだ日本人にとってはレアな場所なのだろうと思います。
フィリピンの方による直々のお話だからこそ知り得ることなのだろうと、貴重な情報をいただけて嬉しい限り。

自分の前世は中世のヨーロッパ人だったのではないかと感じてしまうくらい、なぜか石畳の街並みや石造りの家に惹かれがちな私には、どちらもとても魅力的な場所!
(いや、ピラミッドや万里の長城にもすごく惹かれるから、単に石職人だったのかもしれない・・・)
いずれもこれまでノーマークの所だった上にそのレアさにも惹かれ、是非とも行ってみたいと思いました。

私の、一度きりの人生で行きたい世界の場所リストに、またスポットが増えました。
それは要するに、楽しみが増えて、生きる意欲が益々湧くということ。
本当にありがたいことです。
感謝。


あなたがご存知の
石畳の街は
どこですか?

2023年秋のフランス旅行計画

〜仙台から出国そして旅のテーマは世界遺産〜


幾度となく告げてきたフランス旅への想い・・・


その実現も間近です。
実は、先月(7月)は私の誕生日だったので、自分へのプレゼントに!という理由付けで、今年の秋にフランス旅行することを決断し、航空チケットの購入を済ませました。

地球の歩き方「パリ&近郊の町」とそれをもじったコンビニ菓子
(普段コンビニ菓子はほとんど買わない私ですが、その航空チケットを取った日にたまたまコンビニに寄ったら、地球の歩き方「パリ&近郊の町」をもじったコンビニ菓子を発見し、引き寄せを感じて思わず購入)

今回は、ヨーロッパへ行く経路としては初めて、仙台から出国し、台北経由でパリへと向かう飛行機を選択。

日本在住の人がヨーロッパへ行くとなると、一般的には成田空港や羽田空港からの出国かと思いますが、仙台市民の場合、東京までの交通費がかかるし、飛行機の時間によっては、空港近隣で一泊する必要があったりと、出国以前に時間も費用もかかってしまうので、仙台空港からダイレクトに出国して、経由地を挟みつつでもパリに行けるというのは、仙台市民としてはとてもありがたいです。

とは言え、国内での飛行機さえ、コロナ禍以降一度も乗っていない私。
飛行機の乗り方ってどんなだったっけなんて感覚の上、一人旅でいきなり仙台から出国するのはかなり緊張感あり・・・

仙台空港 展望デッキ
仙台空港 展望デッキ(2019年12月撮影)

でも、飛行機は大好きだし、ワクワク感の方が優っているので、楽しみでなりません。

というわけで、航空チケットは取ってしまったので、今、具体的な訪問先の計画を練っています。
行き当たりばったりの旅を楽しむ人も多いと思いますし、私自身も本当はそういった形に憧れはあるのですが、どうしても仕事の休みが限られている私には、旅行日数も短くなってしまうので、予め予定を立てるのは絶対に必要な作業。
ですが、これもまた楽しくて。
このワクワクな気持ちで練っている楽しい旅の計画を、備忘録として、綴っておこうと思います。


さて、アート好き世界遺産検定2級保持者である私の旅のテーマは自ずと決まってきます。

フランスには世界遺産2023年8月時点で49件も登録されていて、パリだけに限っても世界遺産としての見所は沢山あります。

私のたった数日の滞在期間のみでは、全てを回るのはどうしても不可能なので、まずはパリで押さえておきたいのは、文化遺産として1991年に登録された「パリのセーヌ河岸Paris, Banks of the Seine)」の構成資産に含まれる以下のスポット。

ルーブル美術館Musée du Louvre

グラン・パレGrand Palais *リニューアル工事中とのことだけど、外観だけでも!)

プティ・パレPetit Palais パリ市立美術館

オルセー美術館Musée d’Orsay

シャイヨー宮Palais de Chaillot

サン・ルイ島île Saint-Louis

2000年の歴史都市として栄えてきたセーヌ河畔に広がる数々の構成資産の中から、ざっと一部抜粋しただけでも、こんなに。
ああ、想像するだけでもうっとりする世界遺産パリのセーヌ河岸Paris, Banks of the Seine)」。

でも、パリをご存知の方からは、逆にこれだけで良いの?と突っ込まれるかもしれませんね。
しかしながら、私、今回のパリ滞在は2・3日程度の予定なもので・・・
ルーブル美術館だけでも数日かかっても見切れないのはわかっていますが、大好きな美術館でも2時間程度までと時間制限をかけてまわるしかありません。

そして何より、向かうはフランス
世界遺産の構成資産となっていない場所でももちろん、素敵スポットはあるわけで。

それに今回の旅の目的の一つは、フランスモルヴァン自然公園に住む友達との再会でもあるので。

計画に組み込みたいことは他にも沢山。
その辺りについては、また次回メモります。


あなたがおすすめの
パリのスポットは
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宇都宮 アート旅 Day 2

50周年記念展開催中「栃木県立美術館」それから日本遺産「大谷石文化」


今年訪れた宇都宮1日目「宇都宮 アート旅 Day 1(25周年記念展開催中「宇都宮美術館」と自然に癒される「うつのみや文化の森)」に続き、2日目は、お会いしたご夫妻のご提案で、栃木県立美術館大谷石資料館に行ってきました。

毎年お会いするご夫妻と、宇都宮駅東口で待ち合わせ

故人へのご焼香を済ませ、まず向かったのは栃木県立美術館

栃木県立美術館正面

栃木県立美術館はガラス張りで幾何学的な構成によるところが印象深い建物です。
美術館て、その建物自体がアートなので、そこを楽しむのも面白いですよね。

栃木県立美術館の屋外展示場にて

今年の宇都宮訪問1日目に行った宇都宮美術館は開館25周年記念展の開催中でしたが、こちら栃木県立美術館はちょうどその倍、50周年とのことで。

栃木県立美術館開館50周年記念として、「印象派との出会い~フランス絵画の100年 ひろしま美術館コレクション」展が開催されていました。

栃木県立美術館開館50周年記念展「印象派との出会い~フランス絵画の100年 ひろしま美術館コレクション」チラシ表 (画像をクリックするとPDF画面が開きます)
栃木県立美術館開館50周年記念展「印象派との出会い~フランス絵画の100年 ひろしま美術館コレクション」チラシ裏 (画像をクリックするとPDF画面が開きます)

ひろしま美術館が所蔵する国内有数のフランス近代美術コレクションより、モネルノワールなどの印象派の巨匠から、日本の洋画家レオナール・フジタ黒田清輝などの作品が展示され、見どころ満載な企画展。

有名なアーティストたちの、今まで見たことがなかった作品をたくさん見ることができました。
個人的には、新印象派のポール・シニャックアンリ・ル・シダネルの作品を見ることができて嬉しかったです。

今回展示されていたものではないですが、ご参考まで、ポール・シニャックアンリ・ル・シダネルの代表作を以下に。

ポール・シニャック七色に彩られた尺度と角度、色調と色相のリズミカルな背景のフェリックス・フェネオンの肖像」(Paul Signac, Public domain, via Wikimedia Commons)
アンリ・ル・シダネル青いテーブル」(Henri Le Sidaner, Public domain, via Wikimedia Commons)

彼らは、点描で表現するという共通点があります。
15年以上前に亡くなった私の父も趣味で絵を描く人でしたが、点描によって描くことが多かったので、私も心惹かれてしまうのかな・・・
点描で絵を描くなんて、根気のいることだけど、私もトライしてみたい。


さて、栃木県立美術館の後は、ランチタイム。
豆富と湯波懐石の割烹料理店である「月山」というお店でご馳走になりました。

美味しくてヘルシーで芸術的な和食。
後半に供された土鍋で炊かれたご飯、シンプルなのにすごく美味しかった。
多分、煎られた大豆に、昆布と塩が効いてるのかな? 私もやってみよう。

ご夫妻とたくさんお話ししつつ、お腹が満たされた後は、大谷石で知られる大谷町へ。

大谷(オオヤ)資料館敷地内

あいにくの曇り空になってしまったのですが、こちらも紅葉が美しかったです。

資料館の手前にあるミュージアムショップ&カフェ

大谷資料館

このプレハブな建物が資料館となっていて、大谷石採掘場である地下坑内への入り口もこちらに。

地下坑内入口

ちょっとにぎやかな入り口ですが、ここを入ると空間が一変します。

地下へと下る階段
昔、人力で採掘していた様子を人形で再現
現代アートとコラボしたコーナーもあり

とても幻想的かつ圧巻。
海外への旅、今年も叶わないでしまいそうで悲しんでいたところでしたが、異国にでも来たかのような気分になり、高揚感を得られて大満足。


江戸時代から採掘が始まり、最盛期には日本屈指の石の産地となった大谷。この歴史と文化が認められ2018年に日本遺産として認定された「大谷石文化」。
宇都宮に足を運ぶようになってからこのことを知り、気になっていた大谷資料館でしたが、まるで日本ではないどこかへ旅したような非日常を味わえるなんて、全く想像していませんでした。

また、大谷資料館からすぐ近くには、日本最古の石仏「大谷観音」および高さ27メートルの「平和観音」があります。
大谷観音大谷寺に拝観料を払う必要があり、この日はすでに閉まっていたので見ることができませんでしたが、平和観音は外側にあるため、ありがたく拝むことができました。

岩壁に掘られた高さ27メートルの大観音平和観音


こちらも壮観で、大谷を訪れたら絶対に見る価値ありですが、大谷資料館には人がいた割に、以外にも、こちらにはほとんど人がいませんでした。
私達が訪れたのが夕刻だったこともあるかと思いますが、SNS効果でしょうか、大谷資料館が目立って、こちらのことは意外に知られていないのかもです。

大谷寺には登山道があるとのことだし、日本最古の石仏である大谷観音も参拝したいし、大谷町には是非また行ってみたいです。

2022年の宇都宮での2日間。アートで満たされ、幸せでした。
今年も無事に出かけることができて良かったです。本当に、ありがとうございました。


あなたは
どんなアートに
興味がありますか?


栃木県立美術館

住所:
〒320-0043 栃木県宇都宮市桜4丁目2-7

開館時間:
午前9時30分~午後5時
(入館は午後4時30分まで)

休館日:
毎週月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)
祝日の翌日(土日、祝日の場合は開館)

WEBサイト:http://www.art.pref.tochigi.lg.jp/index.html

豆富と湯波懐石 月山

住所:
〒320-0058 栃木県宇都宮市上戸祭4丁目6-13

営業時間:
午前11時〜午後9時30分

電話:028-625-0039

大谷資料館

住所:
〒321-0345 栃木県宇都宮市大谷町909

開館時間:
4~11月 9:00~17:00(最終入館16:30まで)
12~3月 9:30〜16:30 (最終入館16:00まで)

休館日:
4~11月無休
12~3月毎週火曜日休館(火曜日が祭日の場合翌日休館)

WEBサイト:http://www.oya909.co.jp/

宇都宮 アート旅 Day 1

25周年記念展開催中「宇都宮美術館」と自然に癒される「うつのみや文化の森」


この数年、毎年訪れている栃木県宇都宮市。
例年訪れるのは、私が過去に勤めていた職場でパワハラにより自死してしまった方を弔うためなのですが、”このご縁”と言ってしまうのも複雑な想いはあるものの、亡くなった方のご両親が私と同じくアート好きなことや、不思議にも他にもいろいろと共通し想いを共にできる部分があり、結ばれるがゆえにして結ばれたような、心地よい関係性によって、命日前後で、ほぼ1日を一緒に過ごさせていただくというお付き合いが続いています。

今年(2022年)は、私が引越しと仕事とで落ち着かないでいたこともあり、命日から2ヶ月遅れではあるのですが、故人の月命日に合わせ、宇都宮を訪れました。

宇都宮駅西口

だいぶ規制は緩んできていますが、未だコロナ禍であることには変わりなく、宮城県を出たのは今年2回目。
私にとって貴重な遠征。せっかくなので、1泊してきました。
その2日間はアート一色で、とても充実の休日となりました。

宇都宮美術館

1日目、一人でゆっくりと訪れた、初めての宇都宮美術館
そこは、宇都宮駅付近の喧騒から離れ、森の中に佇んでいます。

宇都宮美術館 エントランス
北庭には、ポップアートの巨匠、彫刻家クレス・オルデンバーグによる巨大な作品「中身に支えられたチューブ」がある

宇都宮美術館はずっと気になっていたのですが、昨年の宇都宮訪問の際に、今年こそ行こうと思った時には、改修工事が始まってしまっていて。
その大規模改修工事が終わって今年の9月末、1年2ヶ月ぶりに再オープンされたばかりで、ちょうど開館25周年ということで開催されていたのが「宇都宮美術館開館25周年記念 全館コレクション展 これらの時間についての夢」と題された企画展。

宇都宮美術館開館25周年記念 全館コレクション展 これらの時間についての夢」チラシ 見開き表 (画像をクリックするとPDF画面が開きます)
宇都宮美術館開館25周年記念 全館コレクション展 これらの時間についての夢」チラシ 見開き中(画像をクリックするとPDF画面が開きます)

想像していた以上に良かったです。
宇都宮美術館の収蔵品、一見の価値あるものばかり・・・
とても見応えがありました。

展示室の入り口
展示会場図 宇都宮美術館は独特の形状をした建築物
第1章は宇都宮美術館がオープンしてからの企画展のポスターがズラリ。面白ろそうな企画ばかり。
一部のインスタレーションが撮影可能
大巻伸嗣氏による岩絵具によって花々を描き出す作品『Echoes-Infinity』シリーズの新作
力石咲氏による編む、ほどくといったことで表現されるインスタレーション
髙橋銑氏の写真によるインスタレーション作品

ところで、宇都宮美術館といえば、ナニか、あなたはご存知ですか?
恥ずかしながら、実は、この時まで知らずだった私・・・
美術の教科書にも載っている、誰もが知る世界的有名作品ルネ・マグリットの「大家族」、初めて実物を見ました。感動。

宇都宮美術館所蔵作品図録の最新版に掲載されているルネ・マグリット大家族

この名作を、宇都宮美術館がオープン当初、6億円で購入したことで物議をかもしたとのことで。
でも、それを知らなかった私でしたので、思いがけずこの目で間近に見ることができ、とても嬉しかったです。
会場を一周した後も、この作品前に戻ってじっくり拝見しました。

開館25周年記念出版 宇都宮美術館所蔵作品選 doors: the collection 1997-2022」(宇都宮美術館最新図録)は、カバー付きで、シンプルながら素敵な装丁。260頁程で、見やすくデザインされていながらも説明が丁寧で中身が濃い図録。

ご紹介した通り、今回も図録を購入してきました。図録もとても見応えあり、アート好きなら絶対に興味津々で見入るはずとは思いますが、やはり、作品そのものを生で見るに越したことはありません。言うまでもないですが、素晴らしい作品だからこそ。

この「宇都宮美術館開館25周年記念 全館コレクション展 これらの時間についての夢」展示は2023年1月15日(日)まで開催されています。
古典的なものから、現代アートまでバラエティに富んでいるので、アート好きはもちろん、それほどでもないという方にもアートについて新しい発見をされるであろう、とても楽しめる内容だと思いますので、オススメします。

静かな森に囲まれている宇都宮美術館

また、宇都宮美術館は森の中にあり、「うつのみや文化の森」という整備された公園が広がっているので、休日を過ごすには最適です。

宇都宮美術館の外側

私も、美術館と公園で、丸一日をここで過ごしました。
この日は天気も良く、秋の森林浴がとても気持ちよかったです。

広い森の中には散策路があり、静かな時間を過ごすことができる。

宇都宮美術館の北庭にあるオルデンバーグの作品に加え、広場には2点の彫刻作品があります。

イタリアの画家で彫刻家のサンドロ・キアハートを抱く片翼の天使

次が、髙橋銑氏による今回のインスタレーション展示のモチーフになっていた彫刻作。
この作品の周りには常に人がいました。

ウサギをモチーフにした作品で知られるイギリスの彫刻家バリー・フラナガンの「ホスピタリティー

散策を楽しむ人、ランニングしている人、バドミントンをするファミリー、ゆったりと読書をして過ごす人、音楽を奏でる人・・・
安らぐ自然の中、それぞれが思い思いに豊かな時間を過ごしていました。


そして、私はといえば、ところどころ、紅葉が美しくて、写真撮影するのに夢中になり。


儚い落ち葉のカサカサという音にも癒され。


日が落ちかける頃までの時間を過ごしてしまいました。


お天気にも恵まれたこの日、訪れて、本当に良かった。
穏やかで豊かな時間を得られたことに、心から感謝です。


宇都宮美術館およびうつのみや文化の森は、宇都宮駅から車で20分くらい。
バスも1時間に1・2本ですが、美術館行きが出ているので、不便ということはないです。
美術館にはカフェもありますが、お弁当を持って出かけるのも良いですね。
ゆっくりとお時間を取って行かれることをお勧めします♪

宇都宮美術館

 住所:
  〒320-0004 栃木県宇都宮市長岡町1077

 開館時間:
  午前9時30分~午後5時
  (入館は午後4時30分まで)

 休館日:
  毎週月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)
  祝日の翌日(土日、祝日の場合は開館)

 WEBサイト:http://u-moa.jp/

うつのみや文化の森は開かれた公園なので、24時間OKです


あなた自身の
これからの時間について
夢はありますか?