〜仙台駅発1泊2日にて〜
2024年もすでに10ヶ月目に突入してしまったところ、未だ昨年のフランス旅の記録が完結できないままですが、先月(9月)今年初めての外泊をしてきまして、それがとても感慨深い旅となりました。
今年は趣味である写真撮影も全くできないでいた私でしたが、ようやくカメラを手に外出でき、本当に有意義に過ごすことができましたので、写真にて記録しておこうと思います。
プライベート時間をおろそかに、仕事に奮闘してしまっている2024年の初の旅先は石巻です。
石巻市は、私自身が住んでいる宮城県内ではありますが、これまでアップしてきたフランス旅でもお世話になった友人が一時帰国し実家に帰省するということで、再会を兼ねての女子二人地元旅となりました。
ご実家が石巻市内である友人が車を出せるということで、石巻駅で待ち合わせ。
私は仙台駅からJR仙石線を利用し向かいます。
仙台駅から石巻駅までは、電車だと1時間半程度で、海岸沿いを走るのでその道中の松島近辺は海が眺められるため、私もお気に入りの路線です。
石巻駅
住所:〒986-0825 宮城県石巻市穀町13
石巻駅にて、車で迎えにきてくれた彼女と落ち合ったのが12時半頃だったので、まずはランチを取ることに。
そこで向かったのは、石巻駅から車で30分程度の場所にある女川町地方卸売市場。
ここは南三陸、せっかくなら新鮮な魚介類の料理を楽しみたい!ということで、女川町地方卸売市場内(3階)にある女川魚市場食堂という食事処をチョイスしたのです。
お客が並んでいて30分程度待つことになりましたが、純和風的な良い雰囲気の入口に、期待感が高まります。
「食堂」という店名から、賑やかな感じを想像していましたが、お昼時でも少人数しか受け入れない様子、いざ通された席も、落ち着いた掘りごたつタイプのテーブルで、来た甲斐、待った甲斐がありました。
そしていよいよ、注文したレアアジフライ定食のお目見え。
レアアジフライ。
その名の通り、焼き加減がレアな鯵(アジ)のフライで、外はサクサク、中はフワトロ、今まで味わったことのないアジフライ!
こちら女川魚市場食堂の人気メニューだと言われているのも頷ける美味しさでした。
新鮮なメニューは数量限定、そして、私たちが入店できたのは13時半頃(13時ちょっと前から待機)でしたが、その私たちの後に入れたのは一組のみという、お客も大勢迎えようとしない雰囲気のこちらのお店自体が、ある意味レアで、幸先の良い旅を予感できました。
女川魚市場食堂
住所:〒986-2283 宮城県牡鹿郡女川町市場通り66番地 3階
女川魚市場食堂から見た風景も清々しく。
私の場合、ここではないし、規模が小さいけれど、同じく宮城県の三陸海岸にある閖上港で育っているので、港に船が停まった卸市場の情景は、懐かしく愛着を感じてしまう風景でした。
お腹が満たされた次は、宿泊先へと向かいます。
目指す場所は、牡鹿半島の先端。
その道すがらの展望台らしきところでパチリ。
その後もひたすら山道をうねうね走って、女川魚市場食堂から車でおよそ40分程度、無事にこの日の宿泊場所である旅館「島周の宿 さか井」に辿り着きました。
島周の宿 さか井
住所:〒986-2523 宮城県石巻市鮎川浜万治下1−7
Webサイト:https://www.newsakai.com/
通された4階の宿泊部屋から見た風景がこちら。
対岸に見える島は金華山です。
牡鹿半島との間の内海である金華山瀬戸を挟んで望むこの眺望はなんとも贅沢。
広大な太平洋と島があるのみ、というこのロケーションが、都会で忙しない日常を過ごしていた私をたちまちに癒してくれました。
喧騒が無い故に、この辺はいわゆる人気の観光スポット的なものがない感じなのですが、夕食まで時間があったこともあり、石巻市で2年おきに開催される芸術祭「リボーンアートフェスティバル」でのインスタレーション「白い道」が、旅館から徒歩10分圏内に残っているということで、こちらに行ってみることにしました。
樹海を抜けて、正に白い道へ。
白い道の先に見えた風景。
それは、静かで厳かで美しく、自分は生かされているのだ、と改めて感じさせられるものでした。
清々しくも穏やかな感慨を胸に、宿に戻って、大浴場にて残暑時の一運動後の汗を流し、再び三陸の美味をいただきます。
島周の宿 さか井はこのお食事も評判らしいとのことでしたが、偽りなく。
南三陸の新鮮な魚介類によるお刺身に焼き物そして釜飯、などなど、どれも美味しいし、高校時代からの友人と再びゆったりと語り合える時間を過ごせたひととき。
お昼にひき続き、またも美食でお腹が満たされた後、こちらの古き良き昭和感漂う和室に敷かれたお布団にて就寝。
そして迎えた翌朝の部屋からの眺めは、また神秘的なものでした。
旅の2日目の目的地は、このお向かいにそびえる金華山。
金華山に鎮座する黄金山(こがねやま)神社の参拝に備え、身支度を整えて、朝食はビュッフェにて、ヘルシーな食事をしっかりといただきます。
その後、9時半頃に旅館をチェックアウトし、向かったのは観光交流拠点施設「ホエールタウンおしか」です。
鮎川港に位置するこちらから金華山への船が出航されるということで、前日のうちに、10時半出発の船をネットで予約しておきました。
ここホエールタウンおしかは、宿泊した島周の宿 さか井から車で10分程度の場所。
ホエールタウンおしか
住所:〒986-2523 宮城県石巻市鮎川浜万治下1−7
Webサイト:https://oshika.miyagi.jp/facility/
地図上で見ても、宿泊した旅館の前からでも船が出ていれば金華山へはすぐのように思いますが、そのような経路はないので、ここから金華山を目指します。
船が出る時間まで余裕を持ってこちらに訪れ、物産品を物色したり、観覧できる展示物を見学したりしつつして過ごすことに。
まもなく出航時間。
予約している金華山フェリーの停泊場所を確認します。
船に乗り込み、いざ出航。
そして出航後ほどなく、私たちの席の後方で湧き上がる歓声。
ウミネコへの餌付けを楽しむ方々の声でした。
かっぱえびせんを必死で求めるウミネコたち。
餌付けに夢中になり、子供のようにはしゃぐ大人たち。
意外にも、見ているだけでも楽しめる面白い光景でした。
大空の下に広がる太平洋の海原を、波飛沫を上げてぐんぐん走る船の上の爽快さも格別。
金華山到着間近の付近では、左手側の牡鹿半島の景色に、宿泊した旅館を確かめることができました。
白いポツンと見える建物が「島周の宿 さか井」です。
本当に、何も無い場所にポツンと存在する一軒の宿。
今回、友人が一時帰国するという連絡を受けて、たまたまの流れで予約した宿でしたが、良いご縁に恵まれたと改めて感じました。
鮎川港出発から20分程で金華山港へと到着。
黄金山神社の参拝には山を登ることになります。
神社所有の車による送迎サービスを利用することもできますが、残暑厳しい9月でも、幸運にもこの日は涼しかったので、歩くことにしました。
最初にお出迎えしてくださる鳥居は二の鳥居。
日頃の運動不足な体には、なかなかに厳しい坂道でしたが、登るにつれ見渡せる美しい景色の変化は、先へ進もうとする意欲を高めてくれます。
5分程度登ったところで、表参道と裏参道の分かれ道。
裏参道の方がコンクリート状の道路となっているようですが、やはりまずは表参道から向かうとします。
ここで迎えてくださるのが、三の鳥居。
鳥居の脇に広がる芝生にはたくさんのニホンジカの姿がありました。
金華山は野生の鹿が保護されていることでも有名ですが、「金華山の原生林と鹿」という名称で、環境省による「かおり風景100選」の一つに選定されているのだそうです(2001年)。
(参考1)かおり風景100選一覧表:https://www.env.go.jp/air/kaori/ichiran.htm
(参考2)かおり風景100選パンフレットPDF:https://www.env.go.jp/air/kaori/pamph/full.pdf
まさにウッディな香り漂う森林の中に伸びる参道を進みます。
なんとも圧巻な巨木の杉並木。
坂道を登ってきたので体感的にはもっと時間がかかったように思いましたが、二の鳥居から徒歩にておよそ10分のところで、表参道降口に到着。
涼しい日でしたが、さすがにこの時点では汗だくでした。
しかし、息を切らしつつ神社境内に足を踏み入れると、樹齢800年といわれる御神木の欅に出迎えていただき、その隆々とした逞しい姿に感無量。
疲れも吹き飛びそうな気持ちになります。
境内の位置関係は、掲示されていた案内図にて。
御神木のすぐ近くに祀られている恵比須様と大黒様のブロンズ像。
その手前には金の袋を背負った亀の像もあり、ご利益を放出してくれているような雰囲気を醸し出しています。
御本殿を守る随神門の前に建っている石鳥居(石華表)は、当初(明治22年)のものは残念ながら東日本大震災で倒壊し、現在は再建されたものだそう。
大正14年に建立されたという随神門は、繊細な彫刻や木組みの風格が素晴らしい。
茶色い鳥居があるのは金樁(かなぐい)神社で、学問と書道の神様として崇められてきたそうですが、かなぐいは金属のくいの意で、商売や学業は実力だけではなく、運や縁も大事ということで、金(かね)の杭(くい)を打って被害を止めるという云われによるものだそうです。
ちなみに漢字では、樁は椿ではないことに留意(日ではなく臼)。
金樁神社の隣下方に位置しているのが金華山銭洗辯財天(ぜにあらいべんざいてん)で、龍の口から流れ出る水で、ざるを使ってお金を洗い、それを世の不浄を落とした銭として、お種銭(たねせん)として身につけることで、ご利益に預かることができるとされています。
金樁神社と金華山銭洗辯財天の間の階段を登った先にあるのが金華山頂上に鎮座する大海祗(おおわたつみ)神社を遥拝するための大海祗神社遥拝所があります。
(遥拝:ようはい。はるかに隔たった所から拝むこと)
大海祗神社遥拝所は辯財天奉安殿(べんざいてんほうあんでん)であり、中には弁財天像が安置されています。
何故だかここはとても幻想的で、一際に美しく感じられました。
正しい順路はわかりませんが、最後に黄金山神社の御本殿に繋がる御拝殿をお詣りしました。
日本で初めて“金”が産出されたのは奈良時代の陸奥国と言われていて、黄金山神社は、これを祝って天平年間(750年代)に建立されたのだそうです。
(陸奥国:むつのくに。現在の青森県、岩手県、宮城県、福島県、秋田県北東部の旧国名で、古くは道奥(みちのおく)、すなわち中央から地方に至る道の果ての意としてみちのくとも呼ばれた)
金銀財宝・金運・開運の神として信仰され、「3年続けて参拝すれば、一生お金に不自由しない」といわれている金華山黄金山神社。
宮城県出身ながら、同県内の金華山は初めて訪れたし、詳しいことは知らなかったけれど、これを機に、来年、再来年と3年続けてお詣りしようかな。
今回は祈祷までは申し込まなかったけれど、次あたりは祈祷してもらうべきでしょうか・・・
祈祷申込所のそばには参拝者休憩所があり、ここに人が集まることを知ってか、餌を乞おうとする鹿が待機しています。
金華山詣りには古くから、一定の期間を寺社にこもって祈願する参籠(さんろう)の風習があり、誰でも宿泊可能なのだそう。
お籠り(おこもり)するための参籠施設として設けられている、鳳龍殿と名付けられた参集殿の前に広がる芝生も鹿の安息地帯のようでした。
さて、この時点で、時刻は12時直前。
鮎川へと戻る定期船の時刻が12時半なので、そろそろ参集殿付近から伸びている裏参道を下りながら、波止場へと向かうこととします。
裏参道側は緑の芝生が広がっており、金華山瀬戸と牡鹿半島の美しい景観を眺めながら下山することができました。
そして、ここからも宿泊した旅館の姿を確認できました。
向こう岸に見える白い建物が「島周の宿 さか井」です。
昨日と今朝と部屋から眺た場所に、今、立っているのだなとしばし感慨に浸ります。
科学の発達した現代は船も高速で、行き来は簡単にできるけれど、そうではない時代の人には、もっと畏敬を感じられた場所だったのかもしれません。
太平洋を見渡せる場所には三陸復興国立公園(Sanriku Fukko National Park)の記念碑がありました。
かつては南三陸金華山国定公園だった金華山は、東日本大震災後の2015年に三陸復興国立公園に編入し、国定公園から国立公園と変更されています。
時に恐ろしい力を発動させる自然だけど、まさに私たちはこの自然に生かされているんだ。
科学の力に溺れて傲慢にならず、慎ましく生きてゆこう。
そして、生かされているからこそ、自分らしさを大切にして生きてゆこう。
仕事で頑張りすぎていた心が少しほどけました。
再び船に乗り込んで、鮎川港へと戻り着いたのが12時50分頃。
というわけで、ここで早速ランチです。
朝にホエールタウンおしかを一見した際に、やっぱりせっかくここに来たなら鯨の料理だね、と、私たちは迷わずに決めていました。
ホエールタウンおしか内にある3つのレストランから、すぐに席に座れそうだった「PLAZA SAITO(プラザサイトー)」に入店。
海育ちの私は、子供の頃、鯨の刺身を何度か食べた記憶はありましたが、焼いた鯨の記憶がなかったので、鯨焼き定食をチョイス。
鯨の赤みのいわゆるステーキは、柔らかくて、生で食べる味とはまた違う旨味。
でも実は、刺身も捨てがたく、単品の鯨赤白刺身のハーフというのがあったのでこちらも併せてオーダーしていました。
赤身の方には馴染みがありましたが、皮の部分である白身の刺身は初めて。
コリコリしてるのに脂身があるためとろけるような食感も同時に感じます。
調理方法と部位によって全然違う鯨の味わいを楽しむことができました。
お腹も心も一杯に満たされて、再び石巻駅を目指します。
仙台への帰りの電車として予定していた石巻駅発14時59分のJRにも程よい余裕で間に合い、友人とはここでお別れ。
普段は日本を離れているため簡単に会えることはないながらも気のおけない存在である友人との、一泊二日の石巻金華山黄金山神社参拝と女川美食堪能の旅は、瞬く間ではありましたが、心に深く刻まれる充実のひとときとなりました。
豊かな自然と神秘に包まれ、そして自然の産物に舌鼓を打ち、心身共に癒される贅沢な時間を満喫できた素敵な旅に恵まれたことに、心から感謝です。
金華山黄金山神社
住所:〒986-2523 宮城県石巻市鮎川浜金華山5
Webサイト:http://kinkasan.jp/