映画 プラダを着た悪魔2 パンフレット 映画 プラダを着た悪魔 サウンドトラックCD

20年後に帰ってきた『プラダを着た悪魔』による気づき

〜 音楽と共に、成長から成熟のストーリーへ 〜


映画『プラダを着た悪魔2(原題:The Devil Wears Prada 2)』、2026年5月1日に日米同時上映が始まってから1ヶ月経ちましたが、ここ仙台でも上映は続いていますし(6月5日現在)、老若男女問わず、かなり人気のようです。

記事にするのが遅くなってしまいましたが、私自身も公開開始から5日後にはTOHOシネマズ仙台へ足を運び、観てきました。

映画 プラダを着た悪魔2 チラシ(1)
映画『プラダを着た悪魔2』チラシ(1)

まずは、2006年に公開された映画『プラダを着た悪魔(原題:The Devil Wears Prada)』について振り返ってみましょう。

ヴォーグ誌の女性編集長のアシスタントを務めた経験を持つ新人作家(2003年時)ローレン・ワイズバーガー(Lauren Weisberger)によるベストセラー小説を原作としたこの映画は世界的に大ヒットしました。

気がつけば20年も前の作品ですから、今作の『プラダを着た悪魔2』を劇場に観に行った人の中にも、当時は生まれていなかったという人もいらっしゃるでしょう。

映画プラダを着た悪魔予告編

私はといえば、主人公アンディの「成長」物語としてこの作品を楽しんでいました。

ファッションに興味のなかった一人の女性が、誰もが憧れるファッション誌の世界に飛び込み、戸惑いながらも努力を重ね、自分の居場所を見つけていく。

華やかな衣装やニューヨークの街並み、テンポの良いストーリー展開に加え、印象的な音楽も相まって、とても爽快感のある映画だったように思います。

何より、アンディが仕事を通し、自分の価値観と向き合いながら前に進んでいくその姿に、多くの人が共感したのだと思いますし、私もその一人でした。

20年後の続編が描いたもの

それから20年の時を経て、続編となる『プラダを着た悪魔2』を観て感じたのは、前作とは少し違う空気でした。

映画 プラダを着た悪魔2 チラシ(2)
映画『プラダを着た悪魔2』チラシ(2)

もちろん、相変わらずおしゃれで華やか、テンポも良く、笑える場面もたくさんあります。
けれど、その奥には前作以上に深みのあるドラマが描かれていました。

登場人物たちは20年という歳月を生きています。
成功した人もいれば、挫折を経験した人もいる。
それぞれが様々な選択を重ねながら人生を歩んできました。

だからこそ今回の物語では、「これから何者になるか」ではなく、「何を選び、何を手放すのか」が描かれているように感じました。

ナイジェルのさりげない優しさ。
ミランダが下したある決断。
そしてアンディエミリーの関係性。

どれも若い頃の勢いや競争だけでは語れない、大人だからこその物語でした。
観終わった後、少し胸が熱くなったのは、そんな「成熟」した人間ドラマがあったからかもしれません。

映画「プラダを着た悪魔」の主要人物と関係性
映画『プラダを着た悪魔』の主要人物と関係性の図解(*筆者作成。映画の内容理解を目的としたイメージ図です)
音楽もまた成熟していた

『プラダを着た悪魔』を語る上で、音楽(BGM)は欠かせない存在です。

前作のサウンドトラックは、映画ファンだけでなく音楽ファンからも高く評価されました。
マドンナ(Madonna)U2ジャミロクワイ(Jamiroquai)アラニス・モリセット(Alanis Morissette)など、豪華アーティストの楽曲が並び、作品の世界観を鮮やかに彩っていました。

そして今回の『プラダを着た悪魔2』でも、その伝統は受け継がれています。
レディー・ガガ(Lady Gaga)デュア・リパ(Dua Lipa)マイリー・サイラス(Miley Cyrus)レイヴェイ(Laufey)など、現代を代表するアーティストたちの楽曲が登場し、華やかなファッション業界の空気感を見事に表現していました。

映画を観終わったあと、「サウンドトラックが欲しい」と思った方も多いのではないでしょうか。
私もその一人です。

しかし私にとって、このシリーズを象徴する音楽は別にもあります。
それは、テオドール・シャピロTheodore Shapiro)によるテーマ曲「プラダを着た悪魔(Suite From The Devil Wears Prada)」です。
前作のサントラにも収録されていたこの曲は、まさに『プラダを着た悪魔』そのもの。

テオドール・シャピロTheodore Shapiro「プラダを着た悪魔(Suite From The Devil Wears Prada)」

洗練されたリズム。
都会的で少しユーモアを感じるメロディ。
かと思えばセンチメンタルなピアノの旋律…

あのメロディが流れた瞬間に、ニューヨークの街並みやランウェイ誌の編集部、そしてアンディミランダらの姿が頭に浮かびます。
作品を象徴するテーマ曲というものは数多くありますが、『プラダを着た悪魔』においては、この曲こそが作品の心臓部なのではないかと感じています。

さらに映画の中では、そのテーマを、テンポを変えたり、楽器を変えたり、アレンジした楽曲が様々な場面で使われています。
だからこそ、気づかないうちに作品全体が一つの音楽でつながっているように感じられるのではないかと思えるのです。

20年前、この曲は私にとって「これから始まる物語」の音楽でした。
新しい世界へ飛び込む高揚感や希望を感じさせてくれる音楽だったように思います。

けれど今回続編で耳にしたときは、少し違って聞こえました。
そこには懐かしさがあり、積み重ねた時間があり、そして再会の喜びがあり、「歩いてきた時間を振り返る音楽」にも聴こえます。

同じ旋律なのに、まるで違う意味を持って響いてくる。
それはきっと、映画の登場人物たちだけでなく、観ている私自身も20年という時間を生きてきたからなのでしょう。

映画プラダを着た悪魔2』予告編

それから、ネタバレになってしまいますが、今作でのサプライズは、レディー・ガガの劇中での登場でした。
(すでに話題なので今更ネタバレにもならないかもしれませんが・・・)

『プラダを着た悪魔』を象徴する音楽といえば、私にとってはテオドール・シャピロによるテーマ曲である一方、ポップミュージックという意味ではマドンナ「ヴォーグ(Vogue)」も外せません。

マドンナ(Madonna)「ヴォーグ(Vogue)」

そして続編では、そのヴォーグがさりげなく流れる場面がある一方で、レディー・ガガが新たな時代の空気をまとって登場します。

2006年に『プラダを着た悪魔』が公開されたまさに同じ年にマドンナの生ライブも体験した私としては、マドンナに代わる存在はいない、と思っています。
けれど、「時代を象徴する女性アーティスト」という意味では、レディー・ガガは現代のポップカルチャーを代表する存在の一人なのだろうと捉えることができるのです。

♪ レディー・ガガ(Lady Gaga)&ドーチー(Doechii)「ランウェイ(RUNWAY)」

20年前の『プラダを着た悪魔』と、2026年の『プラダを着た悪魔2』
その間に流れた時間までもが、音楽によって表現されているように感じました。

20年という時間がくれたもの

前作を観た頃の私は、アンディの成長に心を躍らせていました。
そして今は、ミランダナイジェルたちの決断に心を動かされています。

同じ作品の続編なのに、心に響く場所が変わっていました。
それはきっと、この20年で私自身も少しずつ歳を重ねてきたからなのでしょう。

『プラダを着た悪魔2』は、懐かしいキャラクターたちとの再会を楽しめる映画であると同時に、自分自身の時間の流れを感じさせてくれる作品でもありました。
そして、その変化に気づかせてくれたのは、20年前と変わらずそこにあった音楽だったような気がします。

映画 プラダを着た悪魔2 パンフレット 映画 プラダを着た悪魔 サウンドトラックCD
映画『プラダを着た悪魔2』パンフレットと『プラダを着た悪魔』サウンドトラックCD

ちなみですが、今作『プラダを着た悪魔2』のサウンドトラックのCDはまだ販売されておらず、現時点では配信のみです(なので、上の写真もCDは前作のもの)。
7月に輸入盤CDおよびLP(レコード)の発売は予定されていますが、日本盤については今のところ言及されていません。
また、前作の時はありませんでしたが、今回はテオドール・シャピロによるオリジナル・スコアのアルバムの配信もされています。
そしてこのオリジナル・スコアのアルバムについては、輸入盤・日本盤ともにCDの販売は言及されていません。
このご時世ですので、CDでの販売拡大はされないのかもしれませんが、私個人としては、是非とも日本限定特典付きバージョンとして、サウンドトラックとオリジナル・スコアののCDセット販売をして欲しい気持ちです・・・

追記:なんとこの記事をアップした直後、『プラダを着た悪魔2』サウンドトラックCDの日本盤<特典付き>の販売について発表されました!7/31(金)に発売決定とのことで、予約受付が始まっています。
なお、オリジナル・スコアについては未だ配信のみの模様です。

✔️プラダを着た悪魔2上映劇場一覧:https://eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=devilwearsprada2

✔️プラダを着た悪魔2サウンドトラック情報:https://www.universal-music.co.jp/dwp2soundtrack/


あなたには
年月を経て見え方が変わった
作品はありますか?

The spiral of time and memory

名作復活上映「海の上のピアニスト」

20年の時を経て上映される完全版


8月半ばから開催されていた、映画館フォーラム仙台における「エンニオ・モリコーネ追悼特集」。
以前書きました時には、この特集、9月24日までということで、「海の上のピアニスト」の上映も同じく24日までということだったのですが、10月1日(金)にまで伸びたようです。
実は私、24日までの都合がつかないでいたので諦めていた所でしたが、おかげで、観に行くことが出来ました♪

関連記事:
映画や音楽好き必見 ‘映画音楽 ’にスポットをあてた貴重な映画/これまでにないドキュメンタリー「すばらしき映画音楽たち

当初チラシでは9/24までだったが「海の上のピアニスト イタリア完全版」は10/1(金)までに延長♪

海の上のピアニスト」は、全編に渡って、映画音楽の巨匠モリコーネの美しい音楽が堪能できる名作で、日本で初公開されたのは1999年、それから20年ほどぶりで、4Kデジタル修復版およびイタリア完全版として復活上映中です(2020年9月26日現在)。

「海の上のピアニスト 4Kデジタル修復版&イタリア完全版」チラシ(表)

1900年に豪華客船の中で生まれ、“ナインティーン・ハンドレッド(1900)” と名付けられた男の子が凄腕のピアニストとして成長しつつも、生涯船を降りることなく数奇な人生を歩んだことで伝説となったというファンタジー映画(フィクション)です。

映画の中で、副主演であるトランペッターの男性(役名:マックス)が「本当の話」と言って物語が進められていることもあり、実話かと勘違いもされてしまう映画ですが、フィクションです。

また、実際に存在し、ジャズを作った人とも言われているジェリー・ロール・モートンを、物語の中でナインティーン・ハンドレッド(主人公)のピアノ対決相手として登場させていることもあって、よりリアルっぽく感じさせられちゃうわけなのですが、そこがこの映画の見所でもあります。

ジェリー・ロール・モートン
(Ferdinand “Jelly Roll” Morton)
1890〜1941年。
米国ルイジアナ州ニューオーリンズ出身のピアニスト、バンドリーダー、作曲家。
(wikipediaより)

この、ジェリーとナインティーン・ハンドレッドの、それぞれのピアノ演奏による対決シーンは圧巻です。
ピアノ曲が好きな人はもちろん、そうでない人も、時を忘れて見入ってしまうこと請け合いです。

でもふと現実に帰ると、映画の中では二人とも誰もが息を止めてしまうような演奏をするわけだけど、そもそもこれは、演技。本当に演奏している人がすごすぎる!そして、これほどのピアノ弾きの演技をする俳優もすごい!って、そっちの感動が最終的に増します・・・

「海の上のピアニスト 4Kデジタル修復版&イタリア完全版」チラシ(裏)

今回公開されたイタリア完全版は、当初のものより50分ほども長い映画ですが、物語の展開が軽快で、笑えるところもたくさんあり、そしてちょっと悲しくもあるお話なのですが、見所がたくさんあって、3時間も長くは感じません。

個人的には、ピアノの演奏を心から楽しんでいるナインティーン・ハンドレッドを見ていると気持ちがいいのと、悪い人が出てこなくて(一瞬意地悪そうな人も最終的に良い人)、みんな心温かく、人間味あふれる感じが、好きだなーと感じる映画です。


そして、私にとってお気に入りの一つである、この映画のサントラCDはこちらです。
ピアノソロ、オーケストラ、バンド調ありとバラエティーに富み、中にはノリのいい曲もあって楽しめつつも、穏やかな気持ちになりたいときには最適なアルバムです。

「海の上のピアニスト」オリジナル・サウンドトラックCDの表と裏面

このCDに付属のブックレットには、エンニオ・モリコーネ(訳:ジャパンタイムズ)による以下のメッセージが添えられています。

私が、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の映画「海の上のピアニスト」のために作曲したこの音楽は、これまでに私が手がけたどの映画音楽にも見ることのできない特質を備えていると信じています。

この映画は真のミュージカル映画であり、そのために私は心理学、歴史、言語学から音楽的技巧や名人技(この映画が一人の音楽家、独学の偉大なピアニストについての物語だからなのですが)といったモチーフや、壮大で情緒的な音楽シーンあるいは親密で安らぎのあるシーン、またあるいはエンターテインメントに満ち溢れた楽しいシーンやそうかと言えば徹底したリアリズムのシーンといったさまざまなテーマの音楽シーンを相手に奮闘しなければなりませんでした。

これら全てのモチーフが見事に溶け合い、その結果この映画の特質を観客の皆様に十分に楽しんでもらうためになくてはならない表現力が生み出されているのだと思います。

私は、この映画とその音楽がそれらにふさわしい成功を収めることを願ってやみません。

この映画音楽は、扱われているテーマの多様性からいっても、私のこれまでの作品の中で最も成功を収めた作品の一つに数えられることでしょう。

ご本人がそう述べられている通りの、素晴らしい音楽そして映画の名作です。
是非、観て、聴いて、その素晴らしさを感じてください♪


あなたの
お気に入りの映画音楽
はなんですか?

「海の上のピアニスト」オリジナル・サウンドトラック