翌日の朝には帰路に就くことになるので、実質フランスでの滞在最終日となる日です。 この日の目的地はヴェルサイユ宮殿(Palais de Versailles)とルーヴル美術館(Musée du Louvre)。 そしてその移動経路として、エッフェル塔(La tour Eiffel)界隈を歩くことを決めていました。
同じくアンヴァリッド(Invalides)駅よりRER(エール・ウー・エール/高速郊外鉄道)のC5線のヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュ(Versailles Château Rive Gauche)行きに乗り換えて30分強で、ヴェルサイユ宮殿の最寄駅であるヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュ駅に到着します。
販売機の画面は地下鉄に乗る時と一緒で、(フランス語はわからないため英語画面に切り替えて)よくよく見たら「Ticket for Paris region(パリ地域(郊外)行きチケット)」という選択肢があり、そこをタッチして操作を進めることでヴェルサイユ・シャトー・リヴ・ゴーシュ駅行きの往復券を買うことができました。
そこはまさに、王の権威と富を象徴する一室。 天井には、フランスの宮廷画家として活躍し、ロココ美術を代表する画家として知られるフランソワ・ルモワーヌ(François Lemoyne、1688-1737)による神話絵画「ヘラクレスの神格化(The Apotheosis of Hercules)」が描かれ、壁には、ティツィアーノやティントレットと並んで、ルネサンス後期のヴェネツィアを代表する画家として評価されるパオロ・ヴェロネーゼ(Paolo Veronese、1528-1588)作の「パリサイ人シモン家の晩餐(The Feast in the House of Simon the Pharisee)」が飾られています。
一方、造園家としてヴェルサイユ宮殿の庭園全体の設計を任されたのは、フランス式庭園の様式を完成させたと言われるアンドレ・ル・ノートル(André Le Nôtre、1613-1700)です。 ル・ノートルは、パリの1日目の記録(パリの美術館巡り1 翌朝も再びセーヌ川へと向かって)でも記述した通りチュイルリー庭園(Jardin des Tuileries)も手がけた人物です。
旅先ではアートをテーマに観光する私にとって、パリ市内・郊外にある50以上の美術館・博物館に入場することができる観光パス「パリミュージアムパス(Paris Museum Pass)」は必須のアイテムと考え、この2日(48時間)券を、日本を出る前にネットで抜かりなくゲット済みでしたが、このパスで訪れることができるいくつかの施設は予め入館時間を予約しなければならないのです。
そして話は戻りますが、「パリミュージアムパス」で訪れることができる施設の中でも、予め入館時間を予約しなければならない所がいくつかあります。 予約必須施設は、以下の8施設です(2024年3月末日現在)。 ■シテ建築遺産博物館(Cité de l’architecture et du patrimoine) ■コンシェルジュリー(Conciergerie) ■オテル・ドゥ・ラ・マリーヌ(Hôtel de la Marine) ■ユダヤ歴史美術館(usée d’art et d’histoire du Judaïsme) ■オランジュリー美術館(Musée de l’Orangerie) ■ルーヴル美術館(Musée du Louvre) ■サント・シャペル教会(Sainte-Chapelle) ■ヴェルサイユ宮殿(Châteaux de Versailles et de Trianon)
設立年については、フォントネー修道院(Abbaye de Fontenay)の公式HP(https://www.abbayedefontenay.com/ja/)によると1118年とされているので、この1年の違いがなんなのかよくわかりませんが、いずれにせよ、現存する世界で最古のシトー会修道士の大修道院なのだそうです。
さて、お気づきでしょうか? ここでも出てきましたね、聖ベルナール(St Bernard)。 前日に訪れた世界遺産「ヴェズレーの教会と丘(Vézelay, Church and Hill/Basilique et colline de Vézelay)」に関わった人物で、ユネスコHPでも説明されていた聖人の名前です。 (ブログにも記載したのでこちらも併せてどうぞ→https://calm-smile-chain.com/heritage-vezelay/ )
ベルナールは、1112年、23歳の時に自身にとって理想的であったシトー会へ入門を果たすことができました。 そして、1118年にこのフォントネー修道院(Abbaye de Fontenay)を創設したのです。 (もしかしたら、ベルナールがこの修道院を作ることに着手したのが1118年で、正式に完成したのが1119年ということでしょうか…)
ブルゴーニュ観光の1日目に訪れた、世界遺産「ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ(The Climats, terroirs of Burgundy/Les Climats du vignoble de Bourgogne)」の構成資産地域内にある「シャトー・デュ・クロ・ド・ヴージョ(Château du Clos de Vougeot)」もシトー会によるもので、そちらはワインが修道院の財源でしたが(https://calm-smile-chain.com/climats-burgundy/)、ここフォントネー修道院では、近隣で採れる鉱物を用いた冶金業が重要な財源だったのだそう。
散策中はそれほど人を見かけなかったのですが、こぢんまりとした村のそもそも数少ない飲食店に、ちょうどお昼時とあって割とどこもいっぱいで、丘の頂上からどんどん下り、最終的に、丘の麓にある「ル ルレ デュ モルヴァン(Le Relais du Morvan)」という可愛らしいホテルのレストランに入ってみました。
当然ながら、フランス語によるメニューは、私にはチンプンカンプン。
でも今回の旅は、フランスに10年以上在住の心強い友達の存在があり、メニューについて一つ一つ丁寧に教えてもらい、ブルゴーニュの郷土料理ということで、私がチョイスしたのはこちら。 ガーリックトーストにポーチドエッグが乗った赤ワイン煮込み「ウフ・アン・ムレット(Œufs en meurette)」。
前日の夜に友達が手作りしてくれたブルゴーニュ伝統料理も、赤ワインのボトル1本を丸々使用された「コック・オ・ヴァン(Coq au vin)」という鶏肉の赤ワイン煮込みで、それと似た感じの料理と教えてもらったのですが、あえての選択。 確かに、前日いただいた料理と似た風味。でも具材が異なるし、こちらの方が酸味が強く、前夜のコックリ濃厚な食感に比べ、スープのようなサラサラ感。
ディジョン ヴィル駅 Gare de Dijon-Ville 住所:Cr de la gare, 21000 Dijon, France
そして早速、ブルゴーニュ観光のスタート。 ユネスコ世界遺産として登録されている「ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ(The Climats, terroirs of Burgundy/Les Climats du vignoble de Bourgogne)」の、構成資産であるディジョン歴史地区へと向かいます。
さて、細い通りを抜けると、突如大きな広場が。 そこは、現在は市庁舎と美術館となっている旧ブルゴーニュ大公宮殿(Palais des Ducs et des États de Bourgogne)正面の、リベラシオン広場(Place de la Libération)でした。
この宮殿と広場は、こちらもまたフランスの世界遺産「ヴェルサイユ宮殿と庭園(Palace and Park of Versailles/Palais et parc de Versailles)」の設計を担当した一人であるジュール・アルドゥアン=マンサール(Jules Hardouin-Mansart、1646-1708)というフランス古典主義を大成した建築家による設計とのこと。 訪れた瞬間に独特の美しさを感じたのも納得でした。
ディジョン市庁舎 Hôtel de Ville de Dijon 住所:Pl. de la Libération, 21000 Dijon, France Webサイト:http://www.dijon.fr/
その後、旧市街を出て、少し歩きます。
ディジョンに2022年にできてまもない新しいスポット「ディジョン国際美食館(Cité Internationale de la Gastronomie et du Vin)」にちょっとだけ立ち寄りました。 2010年に「フランスの美食術」がユネスコ世界無形遺産に登録されたことがきっかけで建てられた施設だそうです。
ここの敷地内にあるカフェのジェラートを食べ喉を潤してから、友達の旦那さんと再び合流。 世界遺産「ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ」のブドウ畑内をドライブし、構成資産でもある「シャトー・デュ・クロ・ド・ヴィージョ(Château du Clos de Vougeot)」へと向かっていただきました。