〜 ハーブって意外と身近 〜
「ハーブ」と聞くと、どんなイメージを持つでしょうか。
身体によさそう。
香りがよさそう。
でもその一方で、種類もたくさんあるし、使い方もよくわからない。
なんとなく少し敷居が高そう…
実は私自身、以前はそんなふうに感じていました。
アロマテラピーを学んだことをきっかけに、少しずつ植物そのものにも興味が広がってきたものの、ハーブを育てたり、本格的に生活に取り入れたりするとなると、やはり少しハードルが高いように感じていました。
そんな私がハーブコーディアルに出会ったことで、気持ちが少し変化したのです。
水や炭酸水で割るだけ。
ヨーグルトやチーズに加えてもいい。
そして、お酒が好きならカクテルにも。
実際に試してみると、思っていた以上に自由で、気軽に植物の香りを楽しめるものでした。
ハーブコーディアルとは?
ハーブコーディアルは、ハーブや果実などを煮出したり抽出したりして、砂糖やシロップなどの甘味を加えて作る濃縮飲料です。
飲むときには、そのままではなく水や炭酸水などで好みの濃さに薄めます。
「コーディアル(cordial)」という言葉には、もともと「心からの」「心を元気づける」といった意味があります。
語源はラテン語で「心」を意味する cor に由来し、かつてヨーロッパでは、ハーブやスパイスなどをアルコールに浸した薬用酒のような飲み物も「コーディアル」と呼ばれていました。
その後、時代とともに意味や作り方も変化し、現在のイギリスなどでは、果実や花、ハーブなどからつくられた甘い濃縮飲料を「コーディアル」と呼び、水や炭酸水で薄めて楽しむ文化が親しまれています。
なかでもエルダーフラワー・コーディアルは、その代表的なもののひとつです。
市販品なら自分でハーブを用意したり煮出したりする必要もなく、ボトルから少量注いで薄めるだけ。
「ハーブに興味はあるけれど、何から始めたらいいかわからない」という人にとっても、かなり取り入れやすい方法ではないでしょうか。
生活の木のハーブコーディアルを試してみることに
今回、生活の木のハーブコーディアルが来月(2026年9月)から値上げされることを知り、それなら今のうちにと、いくつかまとめて購入してみました。

選んだのは、
- エルダーフラワー
- マヌカハニー
- ゴジベリー&ザクロ
- アップルジンジャー
の4種類。
まず開けてみることにしたのが、エルダーフラワーです。

エルダーフラワーは、セイヨウニワトコ(Sambucus nigra)の小さな白い花。
ヨーロッパでは古くから親しまれてきたハーブで、その香りは「マスカットのよう」と表現されることがあります。
でも、私自身はエルダーフラワーをいただくのは今回が初めて。
というか正直なところ、過去に口にしたことはあるのかもしれないのですが、ハーブコーディアルもエルダーフラワーも、これまであまり深く意識したことはなかったのです。
改めて「マスカットのような花の香りって、どんなものだろう?」と興味津々で、まずはシンプルに水で割って飲んでみました。
エルダーフラワーをじっくりと味わう。まずは水割りから
氷を入れたグラスに、エルダーフラワーのコーディアルと水。
見た目は淡い黄金色で、なんとなくジンジャーエールのような見た目。

口にしてみると……
美味しい!
そして確かに、飲んだあとにふわっと鼻へ抜けていく香りに、マスカットを思わせるものがあります。
私は普段の飲み物といえば、水や無糖の炭酸水、そしてコーヒーやお茶には基本的に砂糖やミルクは加えません。
ジュースなどの甘い飲み物はほとんど飲まず、お酒もどちらかといえば辛口が好きなので、コーディアルの甘さが自分に合うのか、少し気になっていました。
でも、実際に飲んでみると、甘さだけではなくふわっと広がる植物の香りが印象的。
そして生活の木のエルダーフラワー・コーディアルにはレモン果汁が加えられているため、酸味も効いています。
これなら私も楽しめそうです。
炭酸水、そしてレモンやライムを加えて
次に試したのは、炭酸水割り。
これだけで水割りよりも爽快感が増し、私はこちらの方がさらに好みでした。
そして、手元にあったストレートのレモン果汁をほんの少し加えてみると、さらにすっきり。
甘さが引き締まり、華やかな香りは残しながら、より軽やかな飲み口になりました。
後日ライムでも試してみましたが、こちらはレモンとはまた少し違って、どこかカクテルのような雰囲気が増すように感じます。
もちろん、これは好み次第。
甘めが好きならコーディアルを多めに。
甘さを控えたいなら少なめに。
酸味が好きならレモンやライムを。
酸っぱいものが苦手なら入れなくてもいい。
自分の好みに合わせて自由に調整できる。
これもコーディアルの魅力なのだと気づきました。
ヨーグルトやクリームチーズにも
飲み物だけでなく、食べ物にも使ってみました。
もっとも簡単なのは、無糖ヨーグルトにエルダーフラワー・コーディアルを少量かける方法。
ブルーベリーなどの果物を加えれば、それだけで簡単なデザートになります。
さらに試してみたのが、クリームチーズとの組み合わせです。
柔らかくしたクリームチーズに、エルダーフラワー・コーディアルを少量ずつ混ぜます。
コーディアルを加えるとクリームチーズが柔らかくなるため、一度にたくさん入れず、味と固さを確認しながら加えるのがポイント。
エルダーフラワー・コーディアルの華やかな香りと酸味が、クリームチーズのコクとよく合います。
そして、せっかくなので少しデザートらしく。
- グラスの一番下に無糖のクラッカーを砕いて敷き
- その上にエルダーフラワー・コーディアル入りクリームチーズ
- フロマージュブラン(またはヨーグルト)
- ブルーベリーを重ね
- 最後にコーディアルを少量かけて
- ミントを添えて仕上げました。

ちなみに「フロマージュブラン(fromage blanc)」は、フランス語で「白いチーズ」という意味を持つフレッシュチーズです。
熟成させないためクセが少なく、ヨーグルトのような爽やかな酸味と、チーズならではのまろやかなコクがあります。
そのまま食べるのはもちろん、果物やジャム、蜂蜜などとも合わせやすく、デザートにも使われます。
私自身フロマージュブランが好きなのですが、日本では一般的なスーパーでいつでも手に入るほど身近なものではないため、見つけるとつい買ってしまいます。
今回はちょうど手に入ったので使ってみましたが、もちろん身近な無糖ヨーグルトでも楽しめます。
水切りヨーグルトやギリシャヨーグルトを使えば、さらに濃厚なデザートに。
クリームチーズのコク、フロマージュブランの爽やかさ、ブルーベリーの甘酸っぱさに、エルダーフラワーのふわりとした香り。
甘いのがお好みの場合は、ハチミツなどをプラスしても良いと思います。
混ぜて重ねるだけなのに、ちょっとしたレアチーズデザートのような一品になりました。
お酒好きなら、低アルコールのカクテルにも
そして、お酒好きの私としては、ぜひ試してみたかったのがジンとの組み合わせです。
ジン一つとっても、コンビニなどで気軽に手に入るものからそうではないものまでいろいろありますが、今回私が選んだのは、宮城県で生まれたクラフトジン「欅(KEYAKI/ケヤキ)」。

「欅」は、宮城県大崎市に拠点を置く株式会社MCGが手がけるクラフトジンです。
「世界最高峰のクラフトジンをここ宮城の地から発信させたい」という思いから2018年に設立されたMCGが、幾度もの試験蒸溜とブレンドを重ね、2020年に誕生しました。
ジュニパーベリーやコリアンダーシードに加え、宮城県産の柚子果皮、セリ、茶葉、ぶどう果皮をボタニカルとして使用。
口に含むとまず柚子の爽やかな香りが広がり、ジュニパーベリーの甘み、最後にはセリや茶葉の爽やかな苦みへとつながります。
そして「欅」という名前は、宮城県の県木である欅に思いを込めて名付けられたもの。
宮城県民の私としては、それだけでも親しみを感じますが、「欅」は国内外のコンペティションでも高く評価されています。
2021年には香港インターナショナルワイン&スピリッツコンペティションのコンテンポラリージン部門で、国産ジンとして初となる最高賞「トロフィー賞」を受賞。
東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)では2021年、2022年と2年連続で金賞を受賞し、その後も国内外で受賞を重ねています。
2025年にはインターナショナルスピリッツチャレンジ(ISC)で金賞、2026年にはフェミナリーズ世界ワインコンクールでも金賞に輝きました。
もちろん、賞を取っていることだけが美味しさの基準ではありません。
それでも、宮城の素材を生かしてつくられた一本が、国内だけでなく海外でも評価されていることは、宮城に暮らす私としてやはり嬉しく、誇らしく感じます。
そんな宮城生まれの「欅」と、ヨーロッパで古くから親しまれてきたエルダーフラワー。
生まれた土地も文化も異なる二つの植物の香りを、一つのグラスの中で合わせてみることにしました。
ただ私自身、最近はアルコールを控えめにしたいとも思っているので、ジンをたっぷり使うのではなく、
- 欅(お好みのジン) 15ml
- エルダーフラワー・コーディアル 5〜10ml
- 炭酸水 150ml程度
- 氷
という軽い一杯にしてみました。
これなら出来上がりのアルコール度数は、おおよそ3〜4%程度。
まずはライムなしで一口。
思わず、「うまい!」と声が出ました。
エルダーフラワーの香りに、ジンのボタニカルな香りが加わることで、アルコール度数は低めでも「薄いお酒を飲んでいる」という感じがあまりしません。

さらにライムを加えると、より爽やかに。
先ほども述べましたが、ジンを入れずに、
エルダーフラワー+炭酸水+ライム
だけでも、かなりノンアルコールカクテルらしい雰囲気になります。
お酒を飲めない人や、今日はアルコールを控えたいという日でも、同じように楽しめるかもしれません。
アルコールの量ではなく、香りを楽しむ
今回特に面白いと感じたのは、アルコールの強さだけがお酒の満足感を作るわけではないということでした。
エルダーフラワーの花の香り。
炭酸の刺激。
レモンやライムの酸味。
そしてジンのボタニカル。
いくつもの香りや味が重なることで、少量のお酒でも一杯の飲み物として十分楽しめます。
お酒を控えるというと、以前の私なら「楽しみを減らす」というイメージを持っていたかもしれません。
でも、量を少なくする代わりに、植物の香りや組み合わせを楽しんでみる。
そんな方法もあるのだと、今回初めて気づきました。
コーディアルから、実際の花とその土地の暮らしへ
こんな風にしてエルダーフラワーのコーディアルを味わっているうちに、ふと「本物のエルダーフラワーもそばに飾ってみたい」と思うようになりました。
コーディアルを飲みながら、その傍らには実際の花が活けてある。
味や香りだけでなく、目でもその植物を楽しめたら素敵だな、と。
ところが調べてみると、日本ではエルダーフラワー(セイヨウニワトコ)は、一般的な切り花として花屋さんにいつでも並んでいるような植物ではないようです。
苗木や鉢植えとしては流通しているものの、私たちが日常の中でその花を目にする機会は、それほど多くありません。
少し残念に思ったのですが、さらに調べてみると、また違ったことが見えてきました。
エルダーフラワーは世界的に珍しい植物というわけではなく、ヨーロッパでは古くから身近な植物として親しまれてきました。
特にイギリスなどでは、初夏になると生垣や林の縁などに白い花を咲かせ、花を摘んで自家製のコーディアルを作ることも、季節の楽しみのひとつなのだそうです。

私にとっては、今回初めて深く味わい、その実物を見てみたいと思った植物。
けれど遠く離れた土地では、その花が咲くことで季節を感じ、摘んだ花から飲み物をつくって楽しんできた人たちがいる。
そう考えると、一杯のコーディアルから、その植物だけではなく、植物とともにある別の土地の暮らしや文化にも、ほんの少し触れているような気持ちになりました。
そして、実物の花が身近にないからこそ、その香りや味わいをこうして日常の中へ取り入れられることも、なんだか幸せなことのように思えてきます。
植物そのものがいつもそばになくても、その土地で育まれてきた楽しみ方とともに、香りや味を暮らしへ取り入れることはできる──
コーディアルは、植物と私たちの日常をつなぐだけでなく、遠く離れた土地の暮らしともつないでくれるものなのかもしれません。
いつかエルダーフラワーの咲く季節に、その土地を訪れてみたい。
実際の花を眺め、その香りを感じながら、「あのとき飲んだコーディアルの香りは、この花から生まれていたんだ」と確かめることができたら・・・
それもまた、いつかの旅の楽しみになりそうです。
ハーブは、もっと自由に楽しんでいいのかもしれない
ハーブについて知識を深めようとすると、植物の名前、成分、作用、使い方……覚えることはたくさんあります。
もちろん、きちんと知ることも大切です。
でも、知識を身につけてからでなければ楽しめないわけではないんですよね。
炭酸水に少し加えてみる。
ヨーグルトにかけてみる。
果物やチーズと合わせてみる。
好きなお酒をほんの少し加えてみる。
そんなところからでも、植物の香りや味に触れることができます。
そして「これ、好きかも」と思ったら、その植物について少し調べてみる。
今回の私にとって、エルダーフラワーがまさにそうでした。
ハーブを学んでから楽しむのではなく、楽しんでいたら、もっとハーブを知りたくなった。
そんな入り方があってもいいのではないでしょうか。
今回購入したコーディアルは、まだエルダーフラワーを開けたばかり。
マヌカハニー、ゴジベリー&ザクロ、アップルジンジャーでは、また違った楽しみ方ができそうです。
そしていつかは、ドライハーブから自分でコーディアルをつくってみることにも挑戦してみたいと思っています。
植物の世界が、また少し身近になり、楽しみも増えました。
新たな幸せを見つけれたことに、感謝です。







