2023 フランスブルゴーニュ 3日目(最終日)

〜ユネスコ世界遺産「フォントネーのシトー会修道院」〜


ブルゴーニュの友達の家に2泊させていただき、いよいよ最終日となる3日目。
初めてのフランス。
その1日目そして2日目とブルゴーニュの世界遺産を楽しみましたが、この日も飽きることなく、世界遺産!
基本的にいつも旅のテーマは「アート(芸術)」である私にとって、世界遺産に触れることはアートに触れることでもあり、価値ある世界遺産を連日訪れることができ、本当に幸せな毎日でした。


ブルゴーニュ滞在最終日に訪れた世界遺産は「フォントネーのシトー会修道院(Cistercian Abbey of Fontenay/Abbaye cistercienne de Fontenay)」です。


友達の家から北部へと車で1時間半ほど、モンバール(Montbard)という小さな町にあります。
川が流れる森に囲まれ、漂うのは静寂感のみ。


フォントネーのシトー会修道院(Cistercian Abbey of Fontenay/Abbaye cistercienne de Fontenay)」については、ユネスコHPの見出し説明では下記のように述べられています。

この素朴なブルゴーニュ修道院は、1119 年に聖ベルナール(ベルナルド/バーナード)によって設立されました。教会、回廊、食堂、寝室、パン工房、製鉄所があり、初期のシトー会修道士達が実践していた自給自足の理想をよく表しています。

https://whc.unesco.org/en/list/165/


設立年については、フォントネー修道院(Abbaye de Fontenay)の公式HP(https://www.abbayedefontenay.com/ja/)によると1118年とされているので、この1年の違いがなんなのかよくわかりませんが、いずれにせよ、現存する世界で最古のシトー会修道士の大修道院なのだそうです。


さて、お気づきでしょうか?
ここでも出てきましたね、聖ベルナール(St Bernard)
前日に訪れた世界遺産「ヴェズレーの教会と丘(Vézelay, Church and Hill/Basilique et colline de Vézelay)」に関わった人物で、ユネスコHPでも説明されていた聖人の名前です。
(ブログにも記載したのでこちらも併せてどうぞ→https://calm-smile-chain.com/heritage-vezelay/


1090年、フランスブルゴーニュで、騎士である父と貴族出身で信仰心ある母のもとに生まれたベルナールは、彼が幼い頃に亡くなってしまった母の影響もあり、修道士になったといいます。

一方、シトー会(Cistercians)とは、カトリック教会最古の修道会であるベネディクト会(Benedictine Order)から派生したのですが、同じくベネディクト会から派生したクリュニー会(Cluny)の強大な資産と権力による贅沢な振る舞いに反発して、1098年に発足し、修道士としての清貧を守ってきたのだそうです。


ベルナールは、1112年、23歳の時に自身にとって理想的であったシトー会へ入門を果たすことができました。
そして、1118年にこのフォントネー修道院(Abbaye de Fontenay)を創設したのです。
(もしかしたら、ベルナールがこの修道院を作ることに着手したのが1118年で、正式に完成したのが1119年ということでしょうか…)


シトー会修道士は、華美なクリュニー会とは異なり、染料を用いない白い修道服を着たことから「白い修道士」とも呼ばれているそうですが、フォントネー修道院も華やかな装飾というものがなく、そのおよそ究極とも言える地味さが、むしろ厳かさを際立たせているように思います。


この質素ながらも厳かな大修道院教会の一角に佇む聖母子像の、幼子イエスと聖母マリアが笑顔で見つめ合ったその表情が、とても優しく愛情豊かに表現されており、ベルナールの想いを伝えているように感じます。
(ベルナールについては後半で改めて述べます)


教会に直接繋がっている建物の2階には、共同寝室があります。
多い時では300人ほどの修道士のための寝室となったそうですが、木造の連続アーチによる天井の作りは圧巻で、船底をひっくり返したような設計が、なんとなくノアの方舟を彷彿とさせます。


修道士達が写本の作成や、革や織物の加工をしたという修道士部屋も、ロマネスク様式の特徴である半円筒型の二重アーチと支えとなる分厚い壁や柱からなり、その簡素なデザインが美しい。


中庭を囲んだ回廊も必見です。
正にシンプル・イズ・ベスト。シンプルゆえに際立つ美しさ。


修道士達は、ここを聖書を読みながら歩き、瞑想していたのでありましょう。


私たちもここをゆっくりと一周しましたが、映画でも見たことがあるようなシーンを、ありありと思い描くことができました。



外に広がる庭園も壮観でした。
綺麗に整えられた緑に癒されます。


次の建物は鍛冶場(製鉄所)。


当時の様子が再現された博物館となっています。


ブルゴーニュ観光の1日目に訪れた、世界遺産「ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ(The Climats, terroirs of Burgundy/Les Climats du vignoble de Bourgogne」の構成資産地域内にある「シャトー・デュ・クロ・ド・ヴージョ(Château du Clos de Vougeot)」もシトー会によるもので、そちらはワインが修道院の財源でしたが(https://calm-smile-chain.com/climats-burgundy/)、ここフォントネー修道院では、近隣で採れる鉱物を用いた冶金業が重要な財源だったのだそう。


上の写真の燃える石炭は流石に模型ですが、実際に動かされている風車の姿は、再現とはいえ、迫力がありました。


サン=ベルナール渓谷とフォントネー川の合流点地点に位置するフォントネー修道院は、その川の流れを利用し、水力で鉄を打っていたのだそうです。


いくら静かに生きたいと言っても、神に祈るだけとか、単なる布教活動だけでは食べていけませんものね。
質素な修道士達がいかに工夫を凝らして生活していたかがよくわかりました。


最後に、聖ベルナール(St Bernard)のことがとても興味深く思えたので、もう少し彼について記しておきたいと思います。

観想的生活を送りたいというのが本音であったベルナールでしたが、その彼の実直な人格が、名声を高め、シトー会における影響力を増し、否応なく世俗的世界へと巻き込まれていくこととなりました。
静かに過ごしたかったベルナールの想いとは裏腹に、教会の争いの中で陣頭を取ることになり、晩年には十字軍の勧誘演説(1146年:ヴェズレーでの説教)をし絶大な支持を得ますが、1148年に十字軍は惨敗してしまいました。

しかし、この時で第2回十字軍。
この後も十字軍による遠征は何度も何年も続いたのは歴史上有名なことです。
その長い宗教争いの中では初期にあたりますが、第2回十字軍が敗北した時点でベルナールは、

主はわたしたちの罪を怒られて、そのあわれみによってではなく、その正義によって、すぐさまわたしたちを裁かれました。主は、ご自分の民を甘やかさず、主の名声さえ惜しいとは思われなかったのです。教外者は、おまえたちの神は今どこにいるのか、と言っているのではありませんか。そしてだれが、それを怪しみましょう。教会の中堅信者と呼ばれる者が荒れ野で行き倒れ、刃で切られ、飢饉のために滅ぼされたのです。喜びの福音を伝え、平和を述べ伝える者の足は、どんなに迷うことでしょう。わたしたちは『落ち着きなさい』と言っても、落ち着かないのです。わたしたちは、幸運を約束したのに、災難をまのあたりに見たのです。

引用:池田敏雄「聖ベルナルド」(アルバ文庫) p.103

と、十字軍の罪を認め反省しています。
でもその後も争いが続いたということは、残念ながら、この時の彼の想いに関しては理解が集まらなかったということでしょう。

ベルナールは1153年に、クレルヴォー修道院(Clairvaux Abbey:1115年に創設されベルナールが初代院長となった修道院で当時の建物は廃墟となり現在の建物は1708年のもの)にて生涯を閉じ、死後に聖人に加えられ聖ベルナールと呼ばれるようになりました。

神への祈りそして労働を手段として人々に奉仕するシトー会の主要人物ベルナールについて深掘りしていたら、なぜ、人は争う時には団結するのに、平和のために団結できないのだろうと、今も昔も変わらない人間の在り方というものを感じ、切なくなりました。

ただ、このフォントネー修道院が現在も当時とほとんど変わらないままひっそりと残されているのは、ベルナールの想いが生き続けているという光の側面なのかもしれません。

フォントネー修道院
Abbaye de Fontenay
住所:21500 Montbard, France
Webサイト:http://www.abbayedefontenay.com/


静寂の中にあるユネスコ世界遺産「フォントネーのシトー会修道院(Cistercian Abbey of Fontenay/Abbaye cistercienne de Fontenay)」を後に、慎ましく謙虚な心を持って生きてゆかねばと思いつつ、いよいよ花の都パリへと向かいます。


あなたが
瞑想にふけるのは
どんな時ですか?



2023 フランスブルゴーニュ 2日目 その2

〜体感:フランス・ブルゴーニュの日常〜


私にとって初めてのフランスの旅におけるブルゴーニュ観光2日目は、ユネスコ世界遺産として登録されている「ヴェズレーの教会と丘(Vézelay, Church and Hill/Basilique et colline de Vézelay)」からスタートしました。

(前回の記述はこちら↓)


ヴェズレーの丘を登り、世界遺産として保存されている教会「サント・マドレーヌ・バジリカ聖堂 (Basilique Ste-Madelaine)」の内外を散策して2時間ほどのところで、既に午後1時を回っていたので昼食をとることに。

散策中はそれほど人を見かけなかったのですが、こぢんまりとした村のそもそも数少ない飲食店に、ちょうどお昼時とあって割とどこもいっぱいで、丘の頂上からどんどん下り、最終的に、丘の麓にある「ル ルレ デュ モルヴァンLe Relais du Morvan)」という可愛らしいホテルのレストランに入ってみました。


当然ながら、フランス語によるメニューは、私にはチンプンカンプン。


でも今回の旅は、フランスに10年以上在住の心強い友達の存在があり、メニューについて一つ一つ丁寧に教えてもらい、ブルゴーニュの郷土料理ということで、私がチョイスしたのはこちら。
ガーリックトーストにポーチドエッグが乗った赤ワイン煮込み「ウフ・アン・ムレットŒufs en meurette)」。


前日の夜に友達が手作りしてくれたブルゴーニュ伝統料理も、赤ワインのボトル1本を丸々使用された「コック・オ・ヴァンCoq au vin)」という鶏肉の赤ワイン煮込みで、それと似た感じの料理と教えてもらったのですが、あえての選択。
確かに、前日いただいた料理と似た風味。でも具材が異なるし、こちらの方が酸味が強く、前夜のコックリ濃厚な食感に比べ、スープのようなサラサラ感。

いずれにせよ、私にとっては初めての味でしたし、料理の素材の一部となっている赤ワインをしっかりと感じることができ、フランスのワイン名産地ブルゴーニュに来たのだということを改めて実感しました。

対して、友達が選んだ料理はというと、チーズが練り込まれたシュー生地「グジェールGougère)」。
こちらもまたブルゴーニュ郷土料理です。


日本ではシューといえば、クリームがたっぷり入ったシュークリームですが、こちらはデザートではなくお食事。
そもそも「シュー」はフランス語で「キャベツ」の意味なのだそうです。
確かに、日本でよく見るシュークリームより大きくて、キャベツに似た形というのがよくわかる!

そしてシューの中は空洞という、その出立ちを初めて拝見した私は驚きました。


さらに、味見せていただき、初めて体験する味に、甘いクリームが詰まったものだけがシューではないのね!と感動。
私自身がチーズ好きであるからかもしれませんが、誰か、日本にこれを持ち込んでみては?!と感じた次第です。
もしかしたら、探せば日本にも、これに近い料理を出すお店もどこかにあるのかなぁ・・・?
(この書き込みを見てご存知の方がいらっしゃれば是非ご連絡くださいませ)

そして、この次にメイン料理として出てきたのは、想像していた以上にがっつりのお肉。
これもまた私にとって初体験となる鴨のステーキ「マグレ・ド・カナールMagret de Canard)」。

見た目にも美しく、美味しい。
…のだけれども、お肉は分厚く歯応えあり、ポテトもたっぷり添えられていて、素朴なりにも豪華、栄養もあるでしょうし育ち盛りのお子さん等には絶対に良いと思うのですが、私には食べ応えがありすぎ、全部平らげるには困難を要しました・・・


ちなみに、飛び込みで入ったレストランだったので事前情報なしでしたが、このブログを残すためにこのお店のサイトを後に拝見したところ、私が前菜に選んだムレットはこちらの名物料理だったということを知りました。

ル ルレ デュ モルヴァン
Le Relais du Morvan

住所:45 Pl. du Champ de Foire, 89450 Vézelay, France
Webサイト:https://www.relais-du-morvan-vezelay.fr/index.html


そうそうそれから、初めメニューを決める時に、「ごめん、私一人でも、せっかくだからワインもいただくね」と、この日運転手をしてくれた友達に断ったところ、「うん、私も一杯飲むよ」とさらりと言い返され、「そうだった、ここはフランス、少しくらいなら飲酒運転も許されるのだな」と思い出したのですが、「とはいえ、ワインってグラス一杯だけでも結構な度数よね、この後運転するの、ほんとに大丈夫?」と、実はちょっとだけ思ってしまったのでした。
日本の在り方になんやかんやと時々不満言いつつも、実際には完全日本人の自分であることを否めません・・・

しかしながら、そんなカルチャーショックも面白いのが海外旅だよね、と、ブルゴーニュの郷土料理に舌鼓を打ちつつブルゴーニュで生活する友達との会話をゆっくりと楽しんで、その後、訪れたのはヴェズレービール工房Vezelay Brewery, Brasserie de Vezelay)。


こちらでは工場見学が可能という事前情報を受け立ち寄ったものの、残念ながらこの日は開催されておらずでしたが、赤ワインを使ったビールを試飲させていただくことができました。

もちろん、ここでも運転手を担ってくれた友達は普通に飲みましたよ。笑


なるほど、確かに赤褐色の色目に、赤ワインが効いた独特のお味で、ワインの産地ブルゴーニュ!ならではのものを感じるというか、これはこれで面白く、話題性はあるかもとは思いつつも、美味しい!好き!と言う人はどれだけいるのか?という感想を持ったのも正直なところでしたが、私たちが滞在している時にこちらのビールを大量に購入していくグループがあったので、それなりに好評なのだろうなと思います。

ヴェズレービール工房
Vezelay Brewery, Brasserie de Vezelay
住所:Rue du Gravier, 89450 Saint-Père, France
Webサイト:http://www.brasseriedevezelay.com/


ワインを様々な角度から楽しめるブルゴーニュ。
そんなこんなの体験に引き続き、連れて行ってもらったのが、ここ。


ヴェズレーのお隣の町アヴァロン (Avallon)にある「オーシャンAuchan)」という大型スーパーです。
フランスのハイパーマーケットチェーンの一つで、国外にも展開されていて、ヨーロッパでは有名なスーパーなのだそう。

写真は撮り損ねましたが、電化製品などの日用品も取り扱われていて、私が思うに、日本で言えばイオンやイトーヨーカドーみたいなところでしょうか。


とは言え、野菜や果物の陳列状態や、これぞフランスパン!が大量に並べられた風景を目の当たりにし、フランスの日常をまざまざと感じることができる場所でした。


チーズのコーナーも想像していた以上。
乳製品好きの私には夢のような空間でした。
(ただ、今回のフランスでのスーパー体験を通して、フロマージュブランの日本における存在の薄さが残念に感じたので、後日改めて記事にできればと思っています)


有名な観光地を巡るのも良いけれど、その地の日常を垣間見るのも興味深いのでは?と気を利かせてくれた友達に大感謝です。
ちなみに、このスーパーで私自身、前日訪れたお店で見たマスタードや、名産塩など、お土産になるものもお得に購入することができました♪

オーシャン アヴァロン店
Auchan Hypermarché Avallon
住所:Route De Tonnerre, 89200 Avallon, France
Webサイト:https://www.auchan.fr/magasins/avallon/sl-185


そんなブルゴーニュの今を感じた次に案内していただいたのは、同じくアヴァロンAvallon)の古き良き界隈。


こちらには、先ほどまで過ごしていた近代的な雰囲気から一変、再び歴史を感じる静かな情景が広がっていました。

こちらがアヴァロン市庁舎Mairie d’Avallon)。
メイン通り沿いに佇んでます。


オフシーズンということもあったようですが、人の姿はあまりなく、人混みが苦手な私にはありがたかったです。
市庁舎前の広場も、喧騒が全くありません。


ここアヴァロン (Avallon)は一般的に日本人が参考にする旅行本にはほとんど取り上げられておらず、ブルゴーニュに住む友達のおかげで立ち寄ることができたレアな場所です。

その歴史的風景が印象に残ったので、帰国してからこの地について改めて調べていたら、なんとびっくり、わが国日本の長野県佐久市の姉妹都市なのだということを知りました。


以下に、佐久市のHPから一部抜粋させていただきます。

昭和48年10月にスイスにおいて、開催されたヨーロッパ禅大会に出席した、貞祥寺(市内前山)住職に、佐久市長が、フランスに佐久市と見合う市があったら紹介していただきたい旨依頼したところ、ヨーロッパ禅協会の会長であり、ヨーロッパで禅を布教している「弟子丸氏」より、佐久市と自然環境などがよく似ているアバロン市が紹介された。

https://www.city.saku.nagano.jp/shisei/profile/shimaiyukokoryu/shimaiyukoyukari/kokugai/france-avallon/france.html


よって、是非とも佐久市へと行ってみたいと思い、私自身の日本国内の行ってみたい場所リストに加えたところです。

そのメインストリートを進み、くぐり抜けることができる素敵な時計台が、この地のシンボルかと思われます。


そしてこの地もまた、いかにも十字軍の基地であったことを知ることができる城壁が残っています。


先に訪れたヴェズレーを見渡すことができる高台にあり、正に中世の城塞都市を感じることのできる情緒的な町でした。

アヴァロン市庁舎
Mairie d’Avallon

住所:37 Gd Rue Aristide Briand, 89200 Avallon, France
Webサイト:http://www.ville-avallon.fr/


この日、盛りだくさんなブルゴーニュ観光を経て、友達のお宅へと戻ったのは午後6時過ぎ。
陽が落ちてきた頃の、年季ある石造りのお家から漏れる灯りの、なんたる素敵な趣きでしょう。
(友達の旦那さまが、室内を暖かくし、明かりを灯してくれていました。感謝です★)


その夜もまた、ブルゴーニュに住む友達夫妻と共に過ごすディナーの時間にて、この地ならではのチーズを楽しませていただきました。


フランスに到着してから2日目が終わる。明日にはもうブルゴーニュを発って再びパリへと向かうのね・・・
と嬉しい反面寂しい気持ちで眠りについたものの、快適な翌朝を迎えることができたのは言うまでもありません。


あなたが
カルチャーショックを受けた
料理はどんなものですか?

2023 フランスブルゴーニュ 2日目 その1

〜ユネスコ世界遺産「ヴェズレーの教会と丘」〜


仙台空港から出国して台湾を経由しての、長距離長時間移動を経て無事到着したフランスでの1日目は、夜眠る直前まで充実の時間を過ごすことができました。

その晩、ようやくベッドで良い眠りをとることができましたが、そこはずっと来ることを願っていた異国の地。
翌朝は5時台に目を覚ましました。
が、真っ暗。
夜中?と思うほっどだったので、時計を見直しましたが、時間に間違いはなく。
ようやく明るくなってきたのはなんと8時前。

私はこれまで、ヨーロッパのフランスお隣の国としては、ベルギーとイギリスへ行ったことがあり、ベルギーは春、イギリスは夏だったという時期的なこともありますが、朝6時前には日が昇っていたし、日本は遅い時期でも7時には日が昇っているから、10月のフランスの朝がこんなにも遅いとは思っておらず、なかなか明るくならないことに、時間がもったいないと、もどかしさを感じてしまいました。

待ち侘びた朝の明るくなってからの風景。


この日の朝もあいにくの曇り空でしたが、友達の家の前に広がる風景は、清々しいものでした。
普段、仙台の街中に住む私には吸えない、緑を感じる空気の味を胸いっぱいに堪能しました。

友達が準備してくれた朝食をいただいてから、連れて行ってもらったのは、友達の自宅から車で1時間くらいのヴェズレー(Vézelay)という村。

目的地に到着した頃には、お天気がすっかり良くなり、最高の散歩日和に。


このフランス2日目も1日目に引き続き、ブルゴーニュの世界遺産観光です。
この地は「ヴェズレーの教会と丘(Vézelay, Church and Hill/Basilique et colline de Vézelay)」として1979年にユネスコ世界遺産に登録されました。


村は小高い丘にあります。
中世の面影が感じられる坂道を歩いて登っていきます。


なだらかな斜面から、頂上に近づくにつれて結構な急斜面となりますが、程よい運動加減。
その丘を登り切ったあたりの所にあるのが、サント・マドレーヌ・バジリカ聖堂 (Basilique Ste-Madelaine/La Basilique de Vézelay)、世界遺産として保存されている教会です。


白い外壁が印象的な荘厳で美しい姿に、わぁーと思わず声が出るほどでした。


正面入り口のアーチの中に彫られたキリストは両手を大きく広げ、まるで訪れた人を教会の中へと誘っているようです。


その教会内部も素晴らしいものでした。


独特なデザインのアーチが続く身廊、施された目をみはる彫刻の数々。


ところで、バジリカとは、西洋古代から中世にかけて発達した建築の形式の一つで、入り口を入ると長い身廊、左右の壁側には側廊、両壁の上部には採光・通気用の高窓、一番奥に儀式を執り行う場所がある長方形の建造物のことで、バジリカまたはバシリカ(basilica)と呼ぶのですが、ローマ・カトリック教会では、由緒ある主要な教会堂にバシリカという呼称が冠せられるのだそうで、この教会名称が「サント・マドレーヌ・バジリカ聖堂 (Basilique Ste-Madelaine)」とされているのも、納得です。


地下祭室も、この教会の見どころの一つでした。
教会の名称にもあるマドレーヌとはマグダラのマリアのことで、その遺骨の一部(とされる)が祀られているのです。


ちなみに、マグダラのマリアとは、元々は娼婦で罪深い女だったが、イエス・キリストに出会ったことで悔悛し聖女になったとされて聖書に登場する女性で、キリストの使徒であるとともにキリストが愛した女性とも言われる彼女は、キリストの母である聖母マリアとは別人ですので、念の為。

さて、教会の外も一周してみました。


その丘の上からの眺めは、最高でした。


ブルゴーニュの平原を、まさに一望千里。


広大で美しい自然をぐるりと見渡すことができる、なんとも贅沢なロケーション。


特に私は海育ちで、水平線を見渡すことには馴染みがあるものの、山々や緑が続く地平線の景色にはほとんど出会ったことがないので、とても新鮮でした。

素人撮影で拙いですが、短い動画に収めましたので、その美しいパノラマ風景をご覧くださいませ。


2023年フランスの旅、ブルゴーニュ2日目の半日はここまで。
この日の午後については、また次回に。


なお、世界遺産「ヴェズレーの教会と丘(Vézelay, Church and Hill/Basilique et colline de Vézelay)」については、ユネスコHPによると以下のように説明されています。

9 世紀に設立されて間もなく、ヴェズレーのベネディクト会修道院はマグダラのマリアの聖遺物を取得、以来重要な巡礼地となった。 聖ベルナール(ベルナルド/バーナード)は 1146 年に第 2 回十字軍をこの地で説教し、リチャード獅子心王とフェリペ (仏:フィリップ)2 世アウグストゥスは 1190 年にここで集い第 3 回十字軍に出発した。彫刻が施された柱頭と門を持つ、12 世紀の修道院教会であるヴェズレーのマドレーヌ寺院は、ブルゴーニュのロマネスク芸術と建築の傑作である。

https://whc.unesco.org/en/list/84/

サント・マドレーヌ・バジリカ聖堂
La Basilique de Vézelay

住所:Vézelay Abbey, 24 Rue Saint-Pierre, 89450 Vézelay, France
Webサイト:https://www.basiliquedevezelay.org/




あなたが
空気が美味しいと感じる
場所はどこですか?

2023 フランスブルゴーニュ 1日目 その2

〜ユネスコ世界遺産「ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ」〜


私にとって初めてのフランスへの一人旅、その初日の13時半頃、待ち合わせの場所としていたディジョン(Dijon)駅に到着し、無事に友人との再会を果たすことができました。

ディジョン ヴィル駅
Gare de Dijon-Ville

住所:Cr de la gare, 21000 Dijon, France


そして早速、ブルゴーニュ観光のスタート。
ユネスコ世界遺産として登録されている「ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ(The Climats, terroirs of Burgundy/Les Climats du vignoble de Bourgogne」の、構成資産であるディジョン歴史地区へと向かいます。

ちなみに、私はディジョン駅付近で友達の車に荷物を預けて歩いて行くことを想定していたのですが、車では友達の旦那さんも待っていてくれて、ご親切に歴史地区内まで送ってくれたのでした(なお、歴史地区はディジョン駅から徒歩でも数分のところです)。

車から降りた地点の町並みです。


いかにも歴史を感じさせる旧市街に足を踏み入れ、改めて異国の地へ来たのだなと感無量の想いに包まれました。

そして見えてきたノートルダム・ド・ディジョン教会(Church of Notre-Dame of Dijon/Église Notre-Dame de Dijon)


ファサードに並んだ怪物の彫刻と、入り口が3つのアーチによってデザインされているのが印象的な、13世紀に建設されたというゴシック洋式による建物。


もちろん拝観無料とのことで、教会内を見学。
(日本の教会も本来はいつでも無料で入れるのでしょうが、なぜか、海外のように気軽に入れませんよね・・・)


内部は、最低限の明かりしか灯されておらず、ステンドグラスから透き通る光の美しさが際立っており、厳かな雰囲気に、人出も少なくて、パリから移動してくる間にあったような喧騒が一切なく、心が落ち着きました。


外観の怪物達の彫刻が奇抜であれば、こちらの聖母像も奇抜なものでした。
「黒いマリア」と呼ばれているそう。
(下図では見えずらいかもしれませんが、ステンドグラスの下方に写ってます)


そして、この教会の一番の特徴というか名物(?)といえば、外の壁面に施されたフクロウの彫刻だそうで。
撫でると幸福が訪れる(正確には、右手で金製のものを触りながら左手でフクロウを触らないといけないらしい)ということで、多くの人になでなでされて、フクロウなのかなんなのかよくわからなくなってます。


人が群がらない「幸福のフクロウ」を撮影することができましたが、実は、私が訪れた際もこのフクロウを撫でながら写真撮影する人の列があり。
幸いほんの数人だったので、一応、私もなでなでしておきました。

ノートルダム・ド・ディジョン教会
Église Notre-Dame de Dijon

住所:2 Place Notre Dame, 21000 Dijon, France
Webサイト:http://notre-dame-dijon.blogspot.com/


そのフクロウがある通りをそのまま行くと、目を引く建物が。


こちらは「La Moutarderie Edmond Fallot – Boutique Atelier Dijon」。
ディジョンはマスタードの本場であることでも知られているそうで、1840年創業から家族経営によって運営されているファロFallot )社によるマスタード専門のお店。
店内にはずらりと様々なマスタードが並んでいました。


ディジョン名産なら買っていこうかなとも思ったのですが、友達が”スーパーでも売ってる、そっちで買った方が安い”と教えてくれたので、ここでは眺めるのだけを楽しむにとどめ…

ファロ
La Moutarderie Fallot – Boutique Atelier Dijon

住所:16 Rue de la Chouette, 21000 Dijon, France
Webサイト:http://www.fallot.com/en/boutique/


ディジョンはこぢんまりとした町ということで、その後もゆったりと徒歩で巡ってみました。


この日は、あいにくの曇り空ではありましたが、時々晴れ間も見えて、雨に当たることもなく、ノスタルジー漂う町中での散歩を楽しめました。


さて、細い通りを抜けると、突如大きな広場が。
そこは、現在は市庁舎美術館となっている旧ブルゴーニュ大公宮殿(Palais des Ducs et des États de Bourgogne)正面の、リベラシオン広場(Place de la Libération)でした。


この宮殿と広場は、こちらもまたフランスの世界遺産「ヴェルサイユ宮殿と庭園(Palace and Park of Versailles/Palais et parc de Versailles)」の設計を担当した一人であるジュール・アルドゥアン=マンサール(Jules Hardouin-Mansart、1646-1708)というフランス古典主義を大成した建築家による設計とのこと。
訪れた瞬間に独特の美しさを感じたのも納得でした。


私は事前にこのことは知らずにいたのですが、もともとヴェルサイユ宮殿も今回の旅で是非とも訪れたいと考えており、実際に後日それも叶いました。
フランスにおけるバロック建築の第一人者とされるマンサールの建築をセットで楽しむことができて良かったです。


ある建築家にフォーカスを当てて旅するのも、アートの知見を深めるのに役立ちますね。

ディジョン市庁舎
Hôtel de Ville de Dijon

住所:Pl. de la Libération, 21000 Dijon, France
Webサイト:http://www.dijon.fr/


その後、旧市街を出て、少し歩きます。


ディジョンに2022年にできてまもない新しいスポット「ディジョン国際美食館Cité Internationale de la Gastronomie et du Vin)」にちょっとだけ立ち寄りました。
2010年に「フランスの美食術」がユネスコ世界無形遺産に登録されたことがきっかけで建てられた施設だそうです。


ここの敷地内にあるカフェのジェラートを食べ喉を潤してから、友達の旦那さんと再び合流。
世界遺産「ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ」のブドウ畑内をドライブし、構成資産でもある「シャトー・デュ・クロ・ド・ヴィージョ(Château du Clos de Vougeot)」へと向かっていただきました。

ディジョン国際美食館
Cité Internationale de la Gastronomie et du Vin

住所:12 parvis de l’Unesco, 21000 Dijon, France
Webサイト:https://www.citedelagastronomie-dijon.fr/


ところで、ユネスコ世界遺産である「ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ(The Climats, terroirs of Burgundy/Les Climats du vignoble de Bourgogne」については、ユネスコのHPにある説明を抜粋させていただきますね。

クリマとは葡萄畑の区画を指し、ブルゴーニュ地方では南ディジョンからマランジュまでの50kmにわたって延びるコート・ド・ニュイとボーヌの斜面に、1247のクリマが広がっている。この景観は、ワイン生産に関連する葡萄畑やコート沿いの村々、および行政的にクリマの仕組みや流通などを調整するディジョンの街からなる。クリマは、一世紀にわたる人々の労働から生まれた技術的なノウハウの宝庫であり、ブルゴーニュのクリマのシステムは、今なお活気ある葡萄栽培の顕著な事例である。

https://whc.unesco.org/en/list/1425


まさにブドウ畑のクリマが延々と広がっていました。
友達曰く、「日本で言えば田んぼのようなものだよね。」
なるほど、確かに。笑


私が訪れたのは10月末のことでブドウを刈り取った後なので、このような見た目で、それはそれで初めて見る景観で圧倒されたのですが、是非とも次回はブドウがたわわになっている風景を見てみたいものです。




実は、こちらは後日談なのですが、なんと偶然にも、私がまさにフランスへと旅立った当日の2023年10月22日のTBS『世界遺産』で、「ブルゴーニュのブドウ畑の景観 〜 世界最高峰のワイン!ブドウ畑の四季」と題して、この世界遺産について放送されたのです!
まさに、豊かにブドウが実っている風景も映し出されたようで、偶然とはいえ、このタイミングにびっくりでした。


私はこの放送がされている時間はまだフランスへと向かう旅路の途中(経由地の台湾へと向かう飛行機の中)でしたので、この放送は見れなかったのがちょっと残念にも思いつつも、その現地へと実際に行けたということを思えば、価値ある行動をとっていたのだなと、自画自賛してしまう自分もいたりします。




さて、ディジョンから車で40分くらいの所、広大なブドウ畑の中に「シャトー・デュ・クロ・ド・ヴージョ(Château du Clos de Vougeot)」というお城のような建物があります。


こちらは、シトー会修道士が12世紀に建てたワイナリー施設で、現在ではワイン製造の博物館となっています。

この日の最後の見学ツアーに加わらせていただきました。
まずこちらの広間に通され、中央にある樽を演説台代わりにガイドさんがお話を始めました。


もちろん完全フランス語。私はチンプンカンプンなので、友達が訳して教えてくれ、助かりました。


12世紀にブルゴーニュの領主たちの寄付によりこの地を所有したシトー会の修道士たちは、この建物を寝泊まりする館とし、また栽培したブドウをこの敷地内の醸造所でプレスし、せっせとワイン造りに励み、キリスト教布教を行いながら、フランスブルゴーニュワインの基礎を築いたのだそう。


圧巻の巨大なプレス機は、現在のワイン祭りでも実際に使われ、また、2000樽を収容できるワイン熟成庫は、現在はパーティーなどの会場として利用されているそうです。


フランス到着初日から、なんともレアな世界遺産を堪能することができました。

シャトー・デュ・クロ・ド・ヴージョ
Château du Clos de Vougeot

住所:Rue de la Montagne, 21640 Vougeot, France
Webサイト:http://www.closdevougeot.fr/


18時頃にこの施設の見学を終え、2泊3日とお世話になる友達の自宅へと向かいました。

想い叶っての高校時代の同級生とのフランスでの再会、そしていよいよ彼女のお宅訪問です。
そこはフランスの国立公園として指定されているモルヴァン自然公園(Morvan Regional Natural Park/Parc naturel régional du Morvan)の森の中。
シャトーから1時間以上の車の運転、ご主人に心から感謝です。

到着したお家(実際には到着した時は真っ暗だったので翌朝撮影)。


事前に写真で拝見していた通り、なんとも素敵。
もちろん、静かな森の奥地に佇む実物をこの目で確かめ、自分の足で踏み入れた時の感動はそう簡単に表現できるものではありません。

彼女と旦那さんの住まい隣の、現在はお休み中の宿屋側の2階にある一室を使わせていただきました。


1階は昔ながらの暖炉やアンティークな家具がなんとも落ち着くサロンです。


築100年以上する石造りの建物を、DIY得意の旦那さんと二人であちこち手をかけ、こんな素敵なお宿を兼ねる自宅に住まう、素敵な夫婦と時間を共にできた私は本当に幸せ者です。

そして、この日のディナーは、友達の手作りによるブルゴーニュの伝統料理「Coq au vin(コック・オ・ヴァン)」というなんとも豪勢なチキンの赤ワイン煮込をいただきました。


ワインに詳しくないので申し訳ないのですが、訪れたのはフランスブルゴーニュ、というわけで本場のワインも出していただけて、何よりも海外の旅先で現地の家庭料理(しかも手が込んでいる)をいただけたというのが嬉しすぎました。

言わずもがな、その日の夜は、飛行機の眠れない長旅から一変、広いベッドで眠らせていただき、翌朝は良い目覚めで迎えることができました。



このところずっと体調を崩していたり仕事が忙しかったりで、ようやく昨年秋に訪れたフランスでの旅1日目の続きがアップできました(正直まだ書き足りない感があるのですが…)。
2日目については、また後日となりますが、なるべく早く記載したいと思います。


あなたの印象に残る
歴史地区といえば
どこですか?

2023 フランスブルゴーニュ 1日目 その1

〜パリ シャルル・ド・ゴール国際空港からブルゴーニュへ向かった初日〜


10月末、台湾を経由してフランスへ行って参りました。
無事日本へと戻って来てからの日常は、相変わらず職場のごたごたが絶えないのが現実で、休日はただただ何も考えたくなくなり、ブログを記述するペースも遅くてタイムラグが大きくなる一方ですが、私自身、次回のより良き旅へと活かしたいので、牛の歩みなりでも記録しておこうと思います。

まずは、フランスでの1日目から。


…その前に。飛行機の乗り継ぎについてよく聞かれるので、補足しておきます。
私が今回往路で乗った便の、台湾台北の桃園国際空港からフランスパリのシャルル・ド・ゴール国際空港への乗り継ぎ時間は4 時間 45 分ですが、割とあっという間でした。

”世界の素晴らしい空港ランキング”では上位には上がらないものの、桃園国際空港は大きくて、保安検査を通った後のショッピング&フードエリアも広くラウンジ等の設備も充実しており、空き時間を有意義に過ごすことができます。

記載した写真は検査通過後に撮影したものですが、制限エリア外も盛り沢山です。
もし時間的に余裕があったら、乗り継ぎにもっと時間をとっても良いくらいだと思えました。

桃園国際空港 第2ターミナル 3・4階(制限エリア)

さていよいよ、台北からパリへと向かうわけですが、出発の時刻が予定よりも大幅に遅れ、飛行機へと乗り込むまで、何もない搭乗ゲートの待合室で1時間近く待機することに。

そして、ようやく乗った飛行機での移動時間はおよそ15時間。

それだけでかなりのパワーを消耗するとともに、無事シャルル・ド・ゴール国際空港へ到着したものの、今度は、友達との待合せ場所へ向かうための高速列車に間に合うだろうかとの焦りが。

シャルル・ド・ゴール国際空港 第1ターミナル 1階

いつもだと空港の写真も多少撮りますが、全くその余裕なく。
なので実は、上の写真は帰りに撮ったものです。

とはいえ、余裕がなかったのは、この全く初めての海外の場所で、時間的余裕のない状況で、電車の乗り換えをし、予約済みの高速列車に間に合うだろうかという私の気持ち的なもので、実際は、もともとゆとりを持って予定を立てていたので、余裕というほどの余裕は無くなったものの、落ち着いて動けば時間的には問題ないだろうという状況でした。

というわけで、冷静な心を保ちつつ(写真撮る余裕はないけど)、スタッフの方々に行き方を尋ねつつ、無事、目的の電車に乗ることができました。

電車の席に座れてホッと一息ついたところで、ようやくカメラをバッグから取り出して、フランスに降り立ってからから初めて撮った写真がこれ(笑)。

RER B線(シャルル・ド・ゴール国際空港とパリ市中心部を結ぶ高速郊外鉄道)車内

シャルル・ド・ゴール国際空港
Aéroport de Paris-Charles de Gaulle

住所:95700 Roissy-en-France, France
Webサイト:https://www.parisaeroport.fr/roissy-charles-de-gaulle


フランスでの初日は、今回の旅の目的の一つである友人との再会です。
彼女が住むのはブルゴーニュ(Bourgogne)で、待ち合わせ場所としたディジョン(Dijon)へと向かうルートは以下の通り。

  1. シャルル・ド・ゴール国際空港 第1ターミナル
    *ターミナル間は無料の無人電車CDGVALで移動
    ・まずはエレベーターでCDGVAL乗り場の2階へ
    ↓ ターミナル1〜3は5分程度
  2. シャルル・ド・ゴール国際空港 第3ターミナル
    ↓ 構内を徒歩で数分
  3. 高速郊外鉄道RER シャルル・ド・ゴール空港Aéroport Charles de Gaulle)駅にてB線乗車
    ・切符自動券売機でパリ行きのチケットを購入
    ・パリ市内であれば下車駅全て料金は同じ
    (2023年10月時点€11.45)
    ↓ 主要駅停車便で約40分
    (直行は30分、各駅停車の場合は50分)
  4. RER シャトレ・レ・アール(Chatelet Les Halles)駅にてA線乗車
    *B線を降りたホームのすぐ隣がA線

    ↓ 約2分(1駅)
  5. RER リヨン(Gare de Lyon)駅(地下)
    リヨン駅は広いので徒歩移動の為の時間的余裕が必要

    ↓ 構内を徒歩で数分
  6. 高速列車TGV リヨン(Gare de Lyon)駅(地上階 Hall2)11:56発

    ↓ 1時間35分(停車駅なし)
  7. TGV Dijon駅 13:31着

ドキドキオロオロもしたけれど、無事に予定通り、待ち合わせ場所のディジョン(Dijon)駅に到着できました。

ディジョン駅 構内

特になぜそんなにドキドキしたかというと、先に述べた通り、高速列車のチケットを予約済みだったからです。
フランスの国鉄SNCFが運営する高速列車TGV(ティー・ジェー・ヴェー)は、日本で言えば新幹線のようなもの。
と言えば想像がつきますよね?
そうです。それなりのお値段!
全席指定席で、1等席と2等席の二つの値段設定による車両があり、1等は空いてる席の中から希望する席を選ぶことができますが*、2等は詳細な席の指定ができません**。また、1等席は高い分、1名席がゆったり広めかつ防犯上の安心感があるということで、私は初めての1時間半の道のり、安心感を優先させました。

SNCFでの直接の予約であればこの選択ができますが、各国の言語に対応する交通・旅行情報検索サービス(Omio(オミオ)やKlook(クルック)といったものなど)からの予約では1等席でも自分で席を選択することはできない上、手数料が発生します。

**2等席は、通路側か窓側かという指定のみで、1等席のようにシートマップによりピンポイントで指定することができません。

そのお値段98ユーロ。日本円にしておよそ1万6千円。
今の日本人にとっては色々と何かとお高いフランス、ユーロ!絶対に乗り遅れたくない!!
もちろん、待ち合わせしてる友達にも迷惑かけるし(そこが本来はとても重要…)。

ちなみに、新幹線と同様に取る時期などによって変動するので、もっと早く取っていればもう少し安かったのでしょう…

SNCFアプリのTGVチケット予約済画面。既に使用後なので消えていますが、利用時は駅員さんが読み取るためのQRコードが表示されます。

実は今回、日本出発の直前までは、シャルル・ド・ゴール国際空港からパリ市内までの移動は、エアポートバスを利用しようかと思っていたのです。
理由は単純に、海外の初めての場所でいきなり電車の乗り継ぎは手間取るかもしれないから、市内までは直行のバスに乗ってしまった方が良いだろうと考えていたから。
それに、日本のサイトで検索すると「空港〜パリ市内移動はバスが良い」という書き込みが多いので、自分もそうするべきかな、と。

でも念の為、会う約束をしていた友人に伺ってみたら、バス到着地のオペラ(Opera)からリヨン駅までの移動も考えるとこっちの方が早いし移動しやすいのではと今回のルートを勧めていただきまして。
「RERの治安を心配しているの?」とのことでしたが、私自身は特にそういうわけでもなかったですし。
列車によるルートは私もチェックはしていて、早いこともわかってはいたけど、日本サイトでのバスによるルートの強調度合いに押され、いまいち考えが及ばなかっただけのこと。
友人から伺ったことで、なんか列車のみのプランで行けそうかも、と思うことができ計画を変更しました。

往路で私が乗ったTGVはこれと同タイプ。外観はどっしり重厚感がありますが、車内については、正直、新幹線の方がずっと綺麗で、その点では我が国に軍配を上げたい。

結果的に、今回は飛行機が遅れたこともあり、エアポートバスの場合では直行といっても限られた本数で時間もかかるので、往路は全て鉄道で予定を組んで正解でした。

もちろん、私の今回の予定がブルゴーニュまで行くからということもあったろうし、海外での個人旅行はある程度は慣れていないと、ということもあるかもしれませんが、誰かの、特に日本人だけの「絶対これがいい」的な話は、鵜呑みにするべきではないのだろうなと改めて感じました。
インターネット上で多く見かけるお話は参考にしつつも、何事も広い視野を持って、自分なりのやり方というものを模索することを楽しみつつ、豊かさにつながる行動をしてゆきたいです。

左手がフランスの主要駅の一つリヨン駅。大きな時計塔がシンボルとなっている駅舎のなんと美しいこと…(復路にて撮影)

リヨン駅
Gare de Lyon

住所:Pl. Louis Armand, 75012 Paris, France
Webサイト:https://www.gares-sncf.com/fr/gare/frply/paris-gare-lyon


毎回『改めて』何かを感じる海外一人旅。
そんなこんなで、今日も移動の話で長くなってしまいましたので、良きフランスを感じた体験についてはまた次回に…


あなたは
駅舎に感動することは
ありますか?