臨床美術で楽しむマチエール

誰にでも表現できるアートな絵肌


緊急事態宣言も発令中で外出も気軽にできない中、日頃の疲れも少したまり気味の週末・・・
だけれども。こんな時こそ取り組みたい、臨床美術

臨床美術
(画像クリックで拡大)

(私にとってライフワークの一つである「臨床美術」については、当サイトのカテゴリー「臨床美術 Clinical Art」に記事をまとめていますので、ご興味のある方はこちらをご参照くださいませ)

今日は、臨床美術プログラムの中でもとってもシンプルなアート制作をやってみることにしました。

プログラム名は「色面とマチエール」。
使う画材など、準備するものも少なくて、気軽に取り組むことができるアートプログラムです。

ちなみに、マチエールとは、先日のブログでもちょっと書きましたとおり、美術用語としては、作品の素材感を指すために使われます。

情動感じる造形 香月泰男のマチエール/生誕110年 香月泰男展 @宮城県美術館

下準備として4辺をマスキングした用紙に、オイルパステルの中から好きな色をまず1色選んで、一面を塗っていきます。
私は、なんとなく爽やかな気分になりたかったので、ペイルグリーンを選びました。

予め折って短くしたオイルパステルを寝かせて持って、強弱かけて塗っていき、時々指やティッシュでこすったりして、たった一色でも、濃淡や明暗といったコントラストのある、様々な表情を作ることを楽しみます。

次に、他に組み合わせてみたい色を選んでみます。
オイルパステルを寝かせて、立てて、塗り込んでいくと、ところどころで感触が違うのがわかります。

ここにパウダーをかけてなじませて、パステルを全面に定着させます。

そしてさらに重ねてみたい色を選んで塗りこんでいき、またパウダーをかけてなじませ、同様に色を選んで塗りこんでいくという作業を繰り返します。

最後に、マスキングテープをはがして・・・


自分では全く予想していなかった色彩と、ボコボコとした絵肌が面白い、深みのある立派なアート作品が出来上がります。

そうだなー、これにタイトルつけるとしたら、グリーンアイライド(緑の島)? それともフォレストエアー(森の空気)とか・・・?
などと考えてみたりして。

そして、ボコボコ感や、パウダーでツヤも出て、この触った感触の気持ちいいこと。
これを画像だけでは十分にお伝えできないのがもどかしいです。
というわけで、動画だとどうかなあ?と思って撮ってみたのですが・・・

私の撮り方が上手じゃないせいもあり、イマイチですね(苦笑)
やっぱり、実際に体験いただくに限ります。
(ご興味のある方は、当サイトのコンタクトよりご連絡くださいませ)

何かに触れた感触を楽しむって、人間の特権ですよね。
実は、この臨床美術プログラム「色面とマチエール」は子ども向けに作られました。
幼児期において、物の感触を確かめて指先の感覚を養うことや、目にしたものについて、その感触がどんなものか想像を膨らましたりすることで思考力を高める効果があるとも言われています。
でも、物の感触を感じたり、想像したりして感性を高めることができるのは、もちろん子どもに限ったことではありません。
当たり前のことさえも十分に感じたり、ふとしたことに感動できなくなってしまうストレス社会の現代では、大人こそが感性を高めることができる機会を持つことが大切なように思います。

さて、できた作品はというと、マスキングテープによって綺麗に枠ができているため、額装せずそのまま飾っても絵になります。


額装してみるとこんな感じ(百均で購入した額縁)。
マチエールを感じたい作品なので、あえてカバーで覆わないようにするのが良いですね。

自分が生み出した絵肌(マチエール)に、なんだか現代アートの抽象表現主義者にでもなった気分です。

何を描くでもなく、ただただ色を重ねることや感触を楽しむ。
そこには何の悩みもなくて、シンプルな色遊びなのに、自己肯定感も高められる気がします。

幸福ホルモンも分泌されて、幸せって自分で作ることができるんだなって感じます。
おだやかで豊かなひとときに、今日もありがとう。


あなたは
どんな感触が
お好きですか?