How Do You Feel Now ?
EQという言葉をご存知ですか?
そして、
How do you feel now?
あなたは自分の今の気持ちと向き合う時間を取っていますか?
私がEQについて知ったのは、以前研究機関に勤めていた際、皆さん頭のいい人たちばかりだけど、どこか心が荒(すさ)んでいないか、なんだか人としての心が欠けていないだろうか?といったことを感じ、私自身の心も喪失していきそうな危機感を覚え、その時に手に取った本『EQ 「感じる力」の磨き方』(高山直著作、東洋経済新報社出版)を読んだことがきっかけです。
IQ:Intelligence Quotient <知能指数>については一般的ですね。
人の知能の基準を数値化したもので、簡単に言うと、頭の良さのレベルを表す指標とでも言いましょうか。
対して、
EQ:Emotional Intelligence Quotient <心の知能指数=感情能力>
emotionalは、感情のとか情緒のという意味です。頭の良し悪しというよりも、心すなわち感情コントロールができるレベルを表すものです。
EQについては比較的新しい概念のため、定義はまだはっきりしていないということですが、EQ理論の開発は、1980年代にアメリカの心理学者ピーター・サロベイ博士とジョン・メイヤー博士の発案に基づくと言われています。
「感情に関する理論が、論理や数に関する理論と同じくらいに重要である」というのが、EQ理論の考え方です。
感情は自然に生まれ、職場や家庭の至るところ、人生のあらゆる場面にあふれており、感情は情報の源である。
感情は、人生を豊かにすることができるが、妨げとなることもある。
そして、私たちは感情を無視できるが、感情は存在し続ける。
だから、感情を無視するのではなく、感情を上手に管理し、利用することが大切なのだ。
ということなんですね。
『EQ 「感じる力」の磨き方』の著者である高山直氏もピーター・サロベイ博士とジョン・メイヤー博士と研究を共にしたとのことで、EQに関わることとなった時に、彼らEQ理論提唱者たちに会うたびに言われたのが
「How do you feel now ?」
だったのだそうです。
日常生活で感情を意識し、気持ちを「感じる」ことの大切さを学んでほしくて「今の気持ちは?」と聞かれていたのだろうとのこと。
そういえば、
ご機嫌いかが?とか調子どう?(英語だとHow are you?)
とは聞いても、例えば、試合で勝ったとか、賞を受賞した時なんかはよく使いますが、挨拶がわりとして
今の気持ちどう?(How do you feel now?)
とはそうそう聞きませんよね。
残念なことに、日本人は、流行りや人の気持ちに流されやすいだとか、自分の気持ちにフタをしてしまう人が多いためか、EQレベルも低い(※)と言われています。
※2019年1月に発表された、EQのグローバルネットワーク・シックスセカンズの調査によると、日本のEQスコアは世界最下位、健康水準はメンタルヘルスへのアクセスの低さ、幸福度117か国中54位という背景から、中央値を下回ったとのこと。(参照サイト:日刊工業新聞)
日頃から「今の気持ちは?」と自分自身に問いかけ、感情と向き合い、心を鍛える必要があるのかもしれません。
ところで、最近、「エモい」なんて言葉が若者の間で使われますが、これもemotionalから来ていて、感情が高まって強く訴えかける心の動きを表現する言葉とされています。
趣がある、切ない、郷愁を感じるなど、それらも含めた表現で、便利な言葉なので、私も稀に若いフリして使うのですが。
しかし、何でもかんでも「エモ〜い」でまとめてしまい、これだけに頼っていると語彙力が低下するとも言われています。
語彙力が低下するとは、即ち心の豊かさも損なわれていくことに繋がります。
言語を与えられた人間は、言葉で(口に出す出さない関わらず)表現することで心を豊かにすることができる生物だからです。
普段から自分の引き出しに多くの言葉を入れておくようにして、感情表現する時には、なるべく自分で考えて、豊かな表現をするようにしたいですね。