私が生活できている理由
突然、宅急便が届きました。
あれ?私なんか注文してたっけ??
宅急便屋さんから受け取った小包の伝票には叔母の名前。
届いたのは叔母からの突然の贈りもの。
お米と、マスクでした。
なぜかいつも、叔母はちょうど私の米の在庫が少なくなってきた頃、「お米、そろそろ注文しなきゃ」と考えている時に、タイミングよく送ってくれるのです。
まるで私の気持ちが届いてしまっているかのようです。
マスクも、昨年風邪を引いた時に買っていたものが数枚あり、それを洗いながら使い回していたのですが、それもそろそろ限界かな、と思っていたところでした。
既成の使い捨てマスクに加えて、手作りのマスク。
叔母は、手作りの料理がなんでも美味しければ、裁縫の腕もさすがです。
マスクは、私にしっくりくるデザインで、まるで私が選んで買ったものみたいと、嬉しさ倍増です。
叔母は、「はじめに」と「臨床美術を初体験した時の感動 その1」で触れた、震災で心を病んで亡くなってしまった叔父の奥さんです。
叔父と叔母は小学校からの同級生同士で結婚した、誰からみても素敵なおしどり夫婦でした。
私の母の弟である叔父は、母とは少し年が離れていて、二人が結婚したのは私が7歳くらいの頃。
子供ながらに、おめかしして初めての結婚式参加、しかも花嫁のベールを持つ役割をもらえたので、自分も幸せなお嫁さんにでもなったような気分でドキドキワクワクした感覚を今でも覚えています。
叔母は私と血が繋がっていないにも関わらず、叔父がそうしてくれていたように、いつも私のことを気にかけてくれています。
叔父が亡くなった時、私が叔父の運び込まれた病院に駆けつけた時には、叔母は過呼吸状態となり、別室のベットの上でもがいていました。
叔母まで死んでしまうのではないかと、とても怖い情景でした。
なのに、私がそばに行くと、「ごめんね、ごめんね」と息も絶え絶え、なんども私に詫びるのです。
叔母が悪いのではないのに、誰よりも辛いのは叔母自身のはずなのに、姪の大事な叔父を死なせてしまったと自分を責める気持ちだったのだと思います。
そんな時まで、自分のことより、私のことを思ってくれるような、愛情深い人です。
届いた荷物を、軽やかな気分で定位置に片付けながら、
私、ひとりじゃないんだ・・・
と、生かされていることに、幸せでありがたい気分に浸る、ある日常。
そしてやっぱり私は思うのです。
おんちゃん、なんで死んじゃったの。
自分から命を絶つなんて、絶対ダメでしょ。
こんな素敵な奥さんがそばにいたのに。
私、今、幸せだけど、あなたが生きていたら、もっと、幸せだったのに。
涙を流すことは、今よりずっと、減っていたのに。
だから、私は、ちゃんと生きるよ。
それから、宅急便屋さん、こんな世の中が大変な時にも、配達を止めないで届けてくれて、本当にありがとうございます。
届けてくれたのは、クロネコヤマトさんでした。
ヤマトさんは、東日本大震災などでの被災地支援にも、尽力されていることで知られています。
いつも、私たちの生活に必要な、物の流れを止めないでいてくださることに、心から感謝です。
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月刊事業構想
事業構想大学院が編集する、ビジネス雑誌。
企業活性や地方創生など、イノーベーションのヒントとなる情報誌です。
ヤマトさんの震災時の記事は2014年5月号に記載されました。