それはシンプルな暮らし、豊かなカタチを楽しむこと
先日おすすめさせていただいた、宮城県美術館で開催の「足立美術館展」は終了してしまいましたが、ここ宮城県内では他にも、感性磨きに打って付けの展覧会が開催されています。
仙台市のお隣、多賀城市にある東北歴史博物館では、現在(2021年6月12日)「デンマーク・デザイン展」が開催中。
観覧料金は、一般1,200円、シルバー(65歳以上)1,100円、小・中・高校生600円で、足立美術館展の半券を持参すれば、100円割引されます。
会期は6月27日(日)まで。残り2週間ですので、お見逃しなく。
東北歴史博物館は、仙台駅からだと、
*JR東北本線では国府多賀城駅(14分)下車で徒歩約1分
*JR仙石線の場合は多賀城駅(22分)下車で徒歩約25分またはタクシーで約10分
の場所にあります。
*車での場合は、仙台駅付近からだと30分強です。
開館時間は、午前9時30分から午後5時までで、月曜日は休館です。
国府多賀城駅は、いかにも東北地方といった感じの、こぢんまりとした駅です。
駅の南側は賑やかな街ですが、北側には田園風景が広がっていて、清々しい空気を味わえます。
東北の古代史上の重要な歴史遺産である多賀城政庁跡や、重要文化財で日本三古碑の一つ多賀城碑があるのがこちら側になります。
東北歴史博物館はといいますと、国府多賀城駅の南側に隣接しています。
敷地内には、県の重要指定文化財で、宮城県石巻市北上町橋浦から移築さた「今野家住宅」が屋外博物館として設置されています。
東北歴史博物館そのものについてはあまり話題になることはないですが、自然豊かな庭園に、コンクリートの外壁と円筒型の構造、まるで水に浮かんでいるような配置、この凛々しい佇まいの独特な建築物が、私は好きです。
こちらは北側入り口。
日陰の屋外カフェスペースでゆっくりすることもできます。
一方、博物館の南側には駐車場がありますので、車の場合はこちら側から入場することになります。
こちらが正面玄関とされています。
国府多賀城駅利用で来場すると、この南口に出ない人も多いと思いますが、こちら側から見る風景も良いですよ。
エントランスホールは円形でコンクリート造りの近代的でクールなデザイン。
コンクリートというと無機質に思えますが、ガラス窓からいっぱいの光が差し込んであたたかみを感じられ、落ち着きます。
さて、今回お目当の特別展「デンマーク ・デザイン」。
デンマークといえば、アンデルセンやレゴブロックが日本人にも馴染み深い、北欧諸国の一つ。
近年、北欧デザインは日本では流行りみたいなところもありますよね。
北欧デザインはもちろん良いと思っていますが、私は流行っているからとか人気があるからといって飛びつくタイプではないから、正直なところ、今回の展示会、どんなもんなんだろうなーと思っていて足踏みしていたのです。
が、芸術感性の高い友人が見てきたところ「とても良かった!」と言うので、それなら間違いないなと思い、行くことにしたのでした。
そして、いざ観覧しましたところ、結論として、友人の言う通り、すごく良かった!です。
シンプルながらもスタイリッシュで、機能性も兼ね備えられたデンマークデザインを、五感で堪能することができました。
下記の通り、4章に渡って紹介されているデンマークプロダクトの数々、歴史を辿りながら、約200点ほどが展示されています。
第1章 国際的評価を得た最初のデンマーク・デザイン
第2章 古典主義から機能主義へ
第3章 オーガニック・モダニズム ーデンマーク・デザインの国際化
第4章 ポストモダニズムと現代のデンマーク・デザイン
インスタグラム投稿を狙ってか、撮影可能箇所も数カ所ありました。
まずここ、順路回って一番はじめのところが、最も人気の撮影スポットですね。
ヴィアナ・パントン(Verner Panton)は、最先端の科学技術と消費文化、1960年代のポップカルチャーの波から着想を得て作品を生み出し、国外で最も認められたというデンマーク人のデザイナーです。
上の写真の向かい側に展示さていた、様々な椅子や1960/70年代のオーディオ製品なども撮影可能でした(壁面の絵画作品は撮影NG)。
ヤコブ・イェンスン(Jacob Jensen /ヤコブ・イェンセン)は、ミニマルなデザインがかっこいい電話機や時計のブランドとしてその名を知る人も多いのではないでしょうか。
デンマークの家庭の一室が再現された撮影コーナーもありました。
シンプルかつ優美なカトラリーで知られる銀細工職人のカイ・ボイイスン(Kay Bojesen /カイ・ボイスン)は、近年は手足が動かせるサルの木製玩具が人気ですね。
特別出品ということで、椅子の座り心地を実際に体感できるコーナーもありました。
座ることができたのは、ハンス・ヴィーイナ(Hans Wegner /ハンス・J・ウェグナー)の5つの作品だったのですが、私はこれが一番好き❤︎
見た目からは想像できない快適な座り心地!欲しい!!
このデザインから映し出される影までもが美しい。
オマケとして、こんなのもありました。
陸奥国府多賀城の南門を、東大生5人がデンマーク発祥のブロック玩具の「レゴ」で復元!笑
思わず笑っちゃいましたが、設計した時点で9500個のブロックが必要だとわかり、国内からだけでは調達できず、ドイツやデンマークからも取り寄せ、3月末から東大生5人が集まり、約2ヶ月間かけて作り上げたそうです。
東大の学生さんたちが、ここ宮城のために作ってくれたなんて、地元の人間としては嬉しい限り。感謝を申し上げたいです。
そして、今回の展示会図録は、分厚いながらもコンパクトサイズでソフトカバー、気軽に読むことができます。
絵画などの芸術作品はもちろん、立体物はなおさら、本物を見るに越したことはないですが、読み物として楽しむことも豊かな感性を養うことにつながると思います。
世界幸福度ランキングで1位を獲得していたこともあるデンマーク。
今年(2021年)発表された幸福度ランキングでは、フィンランドが1位、デンマークが2位と、上位をキープしています。
数年前、私は、その幸福度の高い国ってどんななんだろう?それに北欧芸術を現地で見たいなぁ、と思って、フィンランドとデンマークを周遊しましたが、確かにどちらも素敵で居心地の良い国でした。
日本から遠く離れた国ではあるけれど、両国ともジャパニーズフレンドリーで、というか、誰にでも親切なのかもしれないのですが、何か精神的にも通づるようなところもあるようにも感じました。
そして個人的には、どちらかというと、フィンランドより、デンマークの方が好きです。
デンマークもフィンランドも、アメリカやイギリスをもしのぐデジタル先進国ではありますが、そんな高度技術が発展した国にあっても、デンマークの方が、より歴史や自然、落ち着きを感じられ、刺激がある中にも安らぎがあるように思えたから。
この実際に触れた北欧芸術については、またの機会に書きたいと思っています。