子どもから大人まで10人に1人といわれる発達障害への理解
『発達障害』について、考えたことがありますか?
「生きづらさ」を感じている人、その多くが実は『発達障害』の可能性があると言われています。
発達障害は、今や子どもから大人まで10人に1人とされ、自分自身がその可能性もあれば、近隣の人がその可能性もあり、発達障害の当事者はもちろんそうでない人も、互いに付き合い方の難しさを感じているなど、問題は意外と近くに潜んでいたりして、つまりは、発達障害への理解は、全ての人が生きやすい社会へつながるといっても言い過ぎではないということです。
日本において発達障害が認識されるようになったのは、「発達障害者支援法」が2005年に施行されてからのことです。
まだわずか15年ほどですね。
この背景には、昔は単に「活発な子」とか「わんぱくな子」と言われていたような子どもたちが、現代社会の許容範囲が狭くなったことで「問題のある子」ととらえられやすくなったから、という見方もありますし、特に日本は、みんなが同じであることが当たり前で多様性を認める環境の構築を不得意としてきたため、昨今になって、独特の言動・行動特性のある人は周りから受け入れられにくい、または本人が周りとなじめないといった問題が表面化し、かつ、この多様性を認めることのできないこれまでの日本の性格そのものを問題視するようになってきたためという見方もあります。
さて、私は先日、仕事で発達障害に関するセミナーを受ける機会に恵まれました。
セミナーは2部制で、第1部が大学教授の先生による講演、第2部ではご自身が発達障害だという当事者の成人男性によるお話がありました。
演者の先生は、信州大学医学部こどものこころの発達障害医学研究室教授の本田秀夫先生。
TV出演や、出版物も多く、著名なかたです。
こちらは本田先生のご著書の一部ですが、産業カウンセラー・保育士資格を持つミュージシャン手島将彦氏との共著書『なぜアーティストは生きづらいのか? 個性的すぎる才能の活かし方』気になるタイトルですね。
「ミュージシャン」いわゆる「アーティスト」には、強い個性を持つ人、時には変わり者呼ばわりされる人もいます。
特異な個性や才能を持つがゆえに、生きづらさを感じる人々。
この本では、一般の常識を越えているという点で、発達障害を抱える人が潜む可能性の高い音楽業界を例にとって述べられていますが、発達障害と健常者の境界線は曖昧であり、多くの人にその傾向があるということを理解する上での参考になります。
ここ数年、政府をはじめ企業においても、“ダイバーシティ(diversity:多様性を尊重する環境/Diversity and Inclusion:個々の違いを受け入れ、認め合い、いかしていくこと)への転換”を声高に言われるようになりましたが、こんな時代だからこそ、「みんなと同じである必要はない」ということや、それぞれの「自分の人生は自分で生きてく」という「個を尊重する」こと、新たな社会の実現への可能性が広がる「多様性を育む社会」の構築とはどういったことなのか、一人でも多くの人が意識できるようになることが重要ではないかと思います。
それは、誰もが生きやすい世界、人として豊かな生きかたができる世界の創造へと、つながってゆくのではないでしょうか。
そんなことを、今回の発達障害への学びを通して、改めて感じているところです。