大人のための画家と詩人のコラボ絵本

パウル・クレー X 谷川俊太郎


社会人になってからというもの、読書と言えば、ビジネス書や自己啓発系のものが多かったのですが、気がつくと、似たり寄ったりのものも結構あって、もうそろそろ、子どもの頃や学生時代によく読んでいたような、物語や小説、詩集なんかをゆっくりと読みたいなぁという気持ちになってきました。

そこで見つけたのが、美術好きには嬉しい、絵画と詩がコラボレーションした素敵な一冊。


クレーの絵本 」(講談社出版)は、抽象画で有名なパウル・クレーの絵画に、日本の現代詩人を代表する谷川俊太郎の詩が添えられた、とても美しい本です。

パウル・クレー(Paul Klee)は、1879年のスイスで、音楽教師の父と声楽家の母との間に生まれました。4歳で祖母から絵を習い、7歳でバイオリンを始め、小さな頃から芸術の世界にあったクレーの生涯は、絵と音楽と詩にあふれたものだったのだそうです。

そんなクレーからインスピレーションを受けて、谷川俊太郎が詩を綴っています。


表紙にもなっている絵は「黄金の魚/The Goldfish」(1925年制作/ハンブルク美術館収蔵)で、添えられた詩の「どんなよろこびのふかいうみにも ひとつぶのなみだが とけていないということはない」という最後の部分が、心にズシンときます。

どの絵も、詩も、静かな中にも深さと、情緒的な美しさを感じるものばかりで、贅沢な一冊です。
インテリアとしても飾っておけるシンプルな装丁も素敵です。

この本の最後に、谷川氏による解説が載っていますので、一部抜粋させていただきます。
(ちなみに、背景の絵はクレーの「赤い気球/Red Ballon」(1922年/グッゲンハイム美術館)で、この本にも載っています)


抽象画はなんだか難しいと思っていた私にも、クレーの絵には引き寄せられてやまないものがあり、今では好きな画家の一人です。
谷川氏が述べているように、クレーの絵は単なる抽象画ではなく、見るものに魂を感じさせるものだからなのだろうと思います。

以下の動画は、パウル・クレーの作品「島/Island」(1932年/アーティゾン美術館)について紹介されているものです。
「クレーの絵本」では取り上げられていない作品ではありますが、クレーの作風についての参考になると思います。
2分ほどで短くまとめられていて、静かで穏やかなナレーションも心地よい、良質な動画です。


BGMは無いのに、なんだか音楽が聞こえてきそうな気がしませんか?
そして、この不思議な感覚の余韻にしばらく浸っていたい、そんな気持ちにさせられます。

穏やかな気持ちになれる芸術との対話、そんなひと時を、普段の生活の中でも大切にしていきたいです。



あなたは
抽象画を
どう感じますか?




「クレーの絵本」パウル・クレー(著) 谷川 俊太郎(著) 講談社
「クレーの絵本」パウル・クレー(著) 谷川 俊太郎(著) 講談社

「大人のための画家と詩人のコラボ絵本」への2件のフィードバック

  1. ≪…ひとつぶのなみだが  とけていないということはない…≫ 
    「クレーの天使」を、〇△▢に託し、谷川俊太郎さんの『魂のいちばんおいしいところ』の「あなたはそこに」に[二次方程式が解けないことを知り]のフレーズがある。  二次方程式を「〇△乃庭」で数の言葉ヒフミヨ(1234)を只管すると【寒山拾得】の世界で、カタチと言葉の点線面が「クレーの天使」から、数学符号(+-×÷√=)が浮かび上がる。
    クレーの「別れを告げて」が、数の言葉ヒフミヨ(1234)をいろんな言葉よりもより高級な言葉にさせたようだ・・・

    1. コメントありがとうございます。
      私自身が語彙力がなく、誰にでもわかりやすい投稿を心がけている私には、なかなか難しいですが、、、深いですね。

ヒフミヨは天岩戸の祝詞かな へ返信する コメントをキャンセル

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