そして私が映画パンフレットを買う理由
今年(2022年)公開の映画の中で特に話題となっている一つ、スティーブン・スピルバーグ監督による「ウエスト・サイド・ストーリー(原題:West Side Story)」を観ました。
元祖の「ウエスト・サイド物語」は、文豪シェイクスピアによる「ロミオとジュリエット」に着想を得たブロードウェイミュージカルとして1957年に初演され、1961年にロバート・ワイズとジェローム・ロビンズ監督によって映画化されたもの。
私もまだ生まれていませんでしたが、日本も含め数々の劇団によって幾度も演じられている『これぞミュージカル!』という名作ですから、このタイトルを聞いたことがない人は少ないのではないかと思います。
そんなミュージカルの代表作を映画界の巨匠スティーブン・スピルバーグがリメイク!ということで、私も是非観たいと思っていました。
時代背景も物語も、原作に忠実に制作された今作ですが、巨匠スピルバーグによる「ウェスト・サイド・ストリー」は、やはり見応えがありました。
まず、いかにも、SF名誉の殿堂入りも果たしているスピルバーグならではなカメラワークによるオープニングに始まり、1950年代のニューヨークを見事に再現した衣装やセット、抜擢されたキャスト陣による素晴らしい歌とダンス、計算され尽くされた演出によって、2時間半を超える映画でありながらもそんな長さを感じません。
光と影のコントラストを強調したエンドロール序盤の映像もとても素敵で、最後の最後まで見飽きませんでした。
この王道の愛の物語も良いのだけど、といっても悲劇だし(私はハッピーエンドの方が好きなので)、もしかしたら、オープニングとエンドロールが、個人的には特に好きかもと思えるくらい、アーティスティック感覚が刺激されて、強烈に印象に残っています。(予告編動画にはないので、気になる方は完全版を是非ご覧ください)
ところで、スティーブン・スピルバーグといえば、映画好き関わらず誰もが知る名映画監督、多くの名作を生み出していますが、一般的に知られているのは、「E.T.」「インディー・ジョーンズ」「ジュラシックパーク」等、最近なら「レディ・プレイヤー1」といったところで、VFX(ビジュアルエフェクツ/視覚効果技術)を世に知らしめた監督の一人ですが、そうなる以前に、若かりしスピルバーグの名が世に知られるようになったきっかけの映画をあなたはご存知でしょうか・・・?
それは、無名だった頃のスピルバーグが演出し、1971年にアメリカで公開された「激突!(原題: Duel)」という作品です。
この映画は、カリフォルニアのハイウェイを車で移動中の主人公が、一台のトレーラーに執拗に追いかけられるといういたってシンプルなストーリーなのですが、かつて誰も観たことがないそのハラハラドキドキの展開が視聴者の目を離さないと話題となり、それもスピルバーグ監督演出の素晴らしさによるものと賞賛を浴び、一躍有名になった作品です。
このことを、私は亡き父に教えてもらいました。
私が12・3歳だった頃、ちょうど「激突!」がTV放映されるということで、父が一緒に観ようと勧めてくれた時の話です。
放映直前に父が「これこれ!」とウキウキと見せてくれたのは、「激突!」が1973年に日本で映画公開された時のパンフレット。
当時、前知識もなくなんとなくこの映画を観に行ったそうなのですが、多くの人がそうだったように父も衝撃を受け、スピルバーグファンになったとのこと。
映画好きだった父は、観た映画のパンフレットを必ず購入する人だったので、家にはそれまで父が買いためた映画のパンフレットがたくさんありましたが、私が父と一緒にこの映画を見た時はすでにスピルバーグは有名な監督だったわけで、ゆえに父が購入したこのパンフレットってプレミア感あるのねと、子どもながらに感心したことを覚えています。
もちろん、私自身も映画「激突!」を食い入るように観て、父の話に納得しました。
ちなみに、1973年は、父が母と結婚する直前で、父の独身時代最後に観た映画だとそんな思い出話もあり(笑)。
それが記憶にあったので、私も大人になって自分で映画館へ足を運ぶようになってからは、父と同じようにパンフレットを買うようになりました。
なので、当ブログで映画を取り上げた際には、パンフレットもチラリと紹介させていただいてますが、映画を観た後にパンフレットを読んで、その制作秘話等を知るのも映画を更に楽しむ醍醐味と感じ、私の趣味の一つとなっているわけなのです。
(お父さん、ありがとう)
映画パンフレットの値段は安くて600円、高くても1,500円前後で、相場として800円くらいですし、私は前述した通り、父同様に、映画を観たらパンフレットも購入するが慣例となっているので、特に値段は確認せず購入します。
さて今回のスティーブン・スピルバーグによる「ウェスト・サイド・ストリー」も当然のごとくパンフレットも購入。
したのですが、まず「2,970円です」と値段を言われ、「たか!CD並みじゃん!!」と心で呟きつつお支払いを済ませ、続いて冊子を目の前に出され、思わず「でか!」と声に出してしまいました。
それは、ブックケースに入った、完全に立派な1冊の本でした。
後々ネットで確認したら、”今作の公式劇場パンフレットに関しては、スペシャルメイキングブックとしての発行のみ”との記載あり。なるほど、そうだったのね。
私の映画パンフレット購入歴上、最も高価でゴージャスなお品。
そんなこんなあり、色々と感慨深い映画についての、簡単な感想でした☆